提督「清霜は戦艦になりたいのか」清霜「うん!」 (50)


―執務室―


提督「そうか……清霜、まず戦艦になるには何が必要だと思う?」

清霜「えーっと……練度を上げる?」

提督「そうだな。清霜は来たばかりで練度はたったの一、これでは戦艦どころか駆逐艦としても未熟で戦場には出すことも危険すぎる」

提督「だからまず、清霜は改になるまで演習に参加してもらうぞ。出撃と違って轟沈のリスクが無いとは言え、真剣に取り組むんだぞ」

清霜「はい! 清霜、改を目指して頑張ります!」

――――――


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一週間後


清霜改(以下清霜)「清霜、改になりました!」

提督「おめでとう。演習だけとは言えここまでよく頑張ったな。でもこれからが本番だ」

提督「清霜にはしばらくの間、リランカ島周辺の対潜哨戒の旗艦を担当してもらう」

清霜「対潜哨戒をするの? 戦艦になるなら砲戦を重視したほうがいいんじゃ……」

提督「戦艦になる前に、駆逐艦として出来ることをマスターしておくことが大事だと私は考え、対潜哨戒をさせようと私は考えたんだ」

清霜「そっか、確かに基本は大事だね!」


提督「それにリランカ島は難関海域故に練度も上がりやすいからちゃんとやればメキメキ強くなるはずだ」

清霜「難関海域……改になったばかりの清霜に出来るかな?」

提督「大丈夫だ。被害を最小限に抑えるため、優秀な随伴艦を清霜につけることになっている。これを見ろ」スッ

清霜「えーっと、軽巡が二隻に重巡が一隻、空母が一隻に……戦艦!?」


提督「そうだ。今回は護衛に金剛型姉妹が交代でつくことになっている。彼女達の戦い方は清霜の参考になるだろう」

清霜「……今回の対潜哨戒、頑張ります!」キラキラ

提督(何もしてないのに戦意高揚状態になっているな……でも、これなら期待できそうだ)

提督「では、清霜はまず工廠に行き、近代化改装を済ませろ。そして明石から対潜装備を受け取ってからまた執務室に来てくれ」

清霜「了解! 清霜、行ってきます!」ガチャ

バタン


提督「何百回の出撃で達成するんだろうな……燃料が足りればいいけど」

――――――


改造から二週間後


清霜「司令官、おはよう!」

提督「おはよう、清霜。あれから二週間だが、調子はどうだ?」

清霜「うーん……一昨日までは順調に強くなった感覚があったけど、昨日の午後に限界を感じた気がするかな」

提督「むむっ、それはもしかしたら練度が限界に達したかもしれないな」

清霜「え、ホント!?」


提督「ああ。どうやら改造の時と違って大きな変化が無いから気づかぬ間になっている事もあるらしい。確認方法もあるにはあるが……」

清霜「どんな方法?」

提督「これはなるべく艦娘に見られたくないんだが……どうしても気になるか?」

清霜「うん!」


提督「そうか……よし、そこの椅子に座って目を閉じて待っていてくれ。出来れば手で顔を覆ってくれると助かる」

清霜「うん、分かった!」トテトテ

提督(さて、どこにあったかな……)ゴソゴソ

提督(よし、見つけたぞ。箱の中身を出して)パカッ

提督「もう少し我慢してくれ、すぐに終わらせるから」

清霜「うん!」

提督(さて、これを近づけて淡く輝けば……)ソーッ

ピカーッ

提督(どうやら限界になったようだな。後はこれを直ぐ様戻して……)ゴソゴソ

提督「よし、もう目を開けていいぞ」


清霜「はーい」パチッ

清霜「司令官、清霜の練度どうだった?」ワクワク

提督「どうやら最大に達していたみたいだ。これでリランカ島の対潜哨戒も卒業だな」

清霜「やったあ!」

提督「ここまでよく頑張った。私は君の事を誇りに思うよ」

清霜「えへへ、これで戦艦になれるかな?」

提督「戦艦になるには、まだもう少し足りないな」


清霜「ええっ!? これだけ頑張ってもまだ無理なの?」

提督「戦艦への道はそう簡単じゃないからな。ただ、近づくための方法はまだ残っている」

清霜「なになに? 清霜に出来ることならなんだってするよ!」

提督「そうか……清霜は頑張り屋だな」ナデナデ

清霜「んっ……えへへ」


提督「……この方法については、もう少し考えさせてくれ。今日の夜には考えを決めて、清霜に話せたら話すよ」

清霜「うん、分かった!」

提督「具体的に時間を決めておくか……二三○○に執務室に来てくれ。もしかしたら話が長くなるかもしれないから同室の艦娘には遅くなる事を伝えておくように」

清霜「了解! 楽しみにしてるね、司令官」ガチャ

提督「あ、来る時に寝間着も用意しておくようにな!」

清霜「? はーい!」

バタン


提督「……」

提督(まさか戦艦になるためにここまで本気で打ち込めるとはな)

提督(正直なところ疑っていたが、練度限界まで言われたことをやれるなら真実だと言えるだろう)

提督(つまり……戦艦になれる可能性があるといえばあんな事もできる可能性だってあるかもしれない。ククク……)ニヤリ

――――
――

眠いから残りは明日



二三〇〇


清霜「失礼しまーす」ガチャ

提督(寝間着姿で来たか。しっかり普段着も手に持って用意周到だな)

提督「おっ、よく来たな。こっちにおいで」

清霜「うん」バタン テクテク

提督「さて、早速本題に入ろうと思うが……その前に清霜に聞きたいことがある」

清霜「?」

提督「清霜は戦艦になりたいと言っているが、具体的なイメージを聞かせて欲しい」

清霜「清霜が戦艦になったらって事よね?」

提督「ああ」


清霜「えーっとね、武蔵さんや大和姉さまの用に46cm三連装砲を装備して深海棲艦を倒したい! それと戦艦の皆のような大きな身体になりたい!」

提督「なるほど、後者はまだ清霜に成長の余地があるから可能性はあるが……前者は現状の技術力や清霜の練度を持ってしても達成は不可能だな」

清霜「……やっぱり、無理なんだ。駆逐艦はいくら頑張っても、戦艦になれないんだね」

提督「まあ待て。今すぐは無理でもいつかはきっと清霜が戦艦になれるようになる可能性はある筈だ。それに……」ポンッ

提督「清霜が頑張って上げた練度はうちの戦艦達に匹敵するんだぞ? 駆逐艦としてその域まで達したのは君が初めてだ。私は誇りに思っているよ」ナデナデ

清霜「司令官……あ、ありがとう」

提督「礼は要らないさ。それより、清霜はさらなる高みを目指したいとは思わないか?」


清霜「更なる高み?」

提督「そうだ。例えば今の限界を超えて練度を上げる方法があると知ったら、清霜はどう思う?」

清霜「え、そんな方法あるの?」

提督「ああ、色々あってまだ誰にも話していない極秘事項だ」

清霜「……司令官、清霜にその方法を教えて! 清霜、もっと強くなりたい!」

提督「……分かった。ちょっとそこに座って待っていてくれ」

清霜「うん!」ポスッ


提督「確かここに……」ゴソゴソ

清霜「……」ワクワク

提督「よし、見つけた」パカッ

清霜「何々? 見せて見せて!」

提督「そう急かすな……ほら、これだ」スッ

清霜「……指輪?」

提督「そうだ。これはケッコンカッコカリと言う艦娘の練度限界を無くし、強化するための指輪だ」

清霜「へー、とても綺麗だね!」ジーッ

提督「この指輪は練度限界に達した艦娘に近づけると淡く光るんだ。朝に顔を隠してもらったのはこれを見られたくなかったからなんだ」

清霜「そういうことだったんだ」


提督「誤解を招くからな……さて、清霜。君が更に強くなることを望むなら、私はこの指輪を君に渡そう」

清霜「えっと……司令官も、同じ指輪を指に嵌めるんだよね?」

提督「ああ。勿論だ」

清霜「……清霜はもっと強くなりたい。だから、指輪を清霜に下さい!」

提督「……分かった」


提督「じゃあ、嵌めるぞ」

清霜「うん」

提督「……よし、これでOKだな」

ピカアアアッ

清霜「わっ!? 指輪がさっきより強く光ってる!」

提督「こうなったら後は書類に名前を書いて私が指輪をはめれば正式に契約が完了するらしい。ちょっと待ってろ」カキカキ

提督「……これでよし。清霜」

清霜「……」カキカキ

清霜「……書き終わったよ!」

提督「じゃあ、後はこの指輪を嵌めると……」


シュウウン

清霜「あれ、光が消えたよ?」

提督「問題ない。これで手続きは終わりだからな」

提督「それより、何か変化はあるか?」

清霜「うーん……何だかもう少し強くなれそうな気がする!」

提督「よし、これで清霜は更なる高みへ進めるようになったわけだ。おめでとう」パチパチ

清霜「えへへ……ありがとう。司令官!」

提督「どういたしまして」


清霜「あっ、もうこんな時間なんだ。そろそろ寝ないと……」

提督「……なあ、清霜」

清霜「何?」

提督「……その、これはあまり信ぴょう性がない話なんだが、もっと強くなる方法がもう一つあるんだ」

清霜「何々!? 」

提督「ここでは話しにくいことでな……清霜が良ければ私の部屋で話したい」

清霜「司令官の部屋で? うーん」

提督(悩むのは当然か。ここは無理せず、清霜の判断に委ねるとしよう)

清霜「……決めた、司令官の部屋に行く!」

提督(よしっ)ググッ

提督「分かった。では早速、部屋に行こう」

清霜「うん!」

――――――


提督の部屋


清霜「ここが司令官の部屋……」キョロキョロ

提督「特に何も無いだろう? 今日は寒いから、布団の中で話そう」

清霜「う、うん……」

提督「……」


清霜「布団、冷たいね」

提督「誰も入ってなかったからな。暖房が効くまで待ってくれ」

清霜「うん」

提督「……」

清霜「……」

提督(……さて、そろそろ話すか)


提督「清霜、さっき言った話についてだが……」

清霜「……」ドキドキ

提督「……これは、口で説明するより実際にした方が早い。そしてかなり時間がかかる行為だ。早く済ませるためにも今から噂の検証を始めたいと思っている」

清霜「……それは、危険な事をするの?」

提督「ああ、清霜には危険な事と言える。だから今から断ってもいいし、途中で嫌になったら断ってくれてもいい」

提督「清霜に無理をさせてまでやる必要は無いと考えているからな」

清霜「……」

提督(口から出まかせで言ってみたが、どうだ?)


清霜「…………清霜、挑戦してみるよ」

提督「本当に、いいんだな?」

清霜「うん。嫌だと思ったら止めてくれるって言ったから、清霜は司令官を信じる!」

提督「そうか……ありがとう、清霜。では早速、始めるぞ」

清霜「うん」


提督(――こうして私は、初めて彼女に手を出した)

――――――

風呂入ってくるから続きは後で


提督(私はあの日を境に、二日ほど日を空けて彼女に手を出した)

提督(最初こそ罪悪感があったが、それも少しずつ薄れていった)

提督(罪悪感が薄れていった一番の理由は、彼女の変化が大きかった。最初こそ不安な表情をしていた彼女だが、だんだんと不安が無くなり、いつしか楽しむようになっていた)

提督(私はあまりにも出来すぎていると不安になることが何度もあった。でも結局、目先の欲に走り彼女と共に楽しんでいた)

提督(――その後どうなるかも知らずに)

――――――


ある日の夜


提督「zzz……ん?」

提督(布団の中に何かが入り込んでいる気がするな)バサッ

清霜「あ、起きちゃった?」

提督「き、清霜!? 今日は部屋に戻っていった筈じゃ……」

清霜「えへへ、どうしてもしたくてこっそり来ちゃった」

提督「検証は明日にするって言っただろ。今日は大人しく部屋に戻りなさい」


清霜「まだそう言うんだね、司令官は」

提督「……何が言いたい」

清霜「清霜はね、検証でしている事が何かもう知ってるんだよ」

提督「なん……だと……?」


清霜「ふふーん、清霜が知らないふりをしていたから騙せていたと思ったんでしょ? 残念だけど指輪をもらった日より前にとっくに知ってたの」

提督「し、知ってるならその場で言っても良かったんじゃないか?」

清霜「……ううん、それじゃきっと司令官は清霜に手を出すことをやめたかもしれない。だから、これでよかったの」

提督「どうして、どうして君は私の事を拒まなかったんだ」

清霜「それはね、清霜をここまで育てて、貴重な指輪を最初にくれたからだよ」


清霜「清霜はちょっぴり強いだけの駆逐艦なのに、ここまで大切にしてくれて……本当に嬉しかったの」

清霜「それに、司令官は唯一の男性だからきっと苦労してると思ったから、清霜が司令官のために一肌脱いであげたの」

提督「清霜……君は本当にいい子だ」ギュッ

提督「私は清霜のそんな健気な気持ちを利用して、最低な事をした。許してくれるか分からないが……清霜が望むことを何でも……なるべくしてあげたい」


清霜「え、何でも?」ピクッ

提督「ああ。これが今の私に出来る償い方だ。戦艦への改装は無理だけど、無茶な願いでも叶えたいと思ってるよ」

清霜「司令官……後悔はないんだよね?」

提督「後悔?」

清霜「うん。だって清霜が無理難題を叩きつけてきてもやり遂げるってことだよね? そんなこと言って大丈夫?」


提督「ああ、私はもう覚悟している。だから遠慮なく言ってくれ」

清霜「分かった。じゃあ司令官、清霜と――」

提督「……」



清霜「――朝になるまで、しよ!」


提督「……あ、朝まで?」

清霜「うん。今から日の出までは約四時間、これだけあればたくさん楽しめるよね」

提督「ま、待て……私はそこまでする体力が――」

清霜「清霜はね、司令官のせいでこんな悪い子になっちゃったんだよ?」

提督「うっ……」

清霜「寝ても覚めても司令官とした事を思い出してドキドキして、みんなの前ではそれを隠して……結構大変なんだよ?」

清霜「今だって、本当はすぐにしたくて仕方が無いの。そろそろ我慢の限界」

清霜「だから……お願い」


提督「……分かった。清霜のその願い事を叶えるよ」

清霜「やったあ!」

提督「……お手柔らかに頼むぞ?」

清霜「うん! いーっぱい、しようね?」ニコッ

――――――


数時間後

―執務室前―


大淀(今日は久々の秘書艦任務です。頑張ってサポートしないと……)

清霜「大淀さん、おはようございます!」ニコニコ

大淀「おはようございます、清霜ちゃん。何かいいことでもありましたか?」

清霜「うん、とてもいい夢が見れたんだ!」

大淀「そうですか。それは良かったですね」ニコッ

清霜「うん! 清霜は夕雲姉さん達の部屋に行くね。秘書艦任務、応援してます!」タッタッタ

大淀「いってらっしゃい、清霜ちゃん」


コンコン

大淀「提督、大淀です」

提督『どうぞ……』

大淀(提督は元気が無さそうですね。いつもより弱々しい声です)

大淀「失礼しま……て、提督!?」ガチャ

提督「……」

大淀「ど、どうなさいましたか!? 顔色が悪いですよ!!」


提督「いいんだ、これは色々あってこうなっただけだから……大淀は気にしなくて……いい」

大淀「気にしない方が無理ですよ! 何があったか話してください」

提督「私は平気だから……心配し……」バタッ

大淀「て、提督? 起きてください!」

提督「」


この日から、提督は清霜の尻に敷かれ続けるのだが、それはまた別な話


終われ

――――――

騙されたと思ったら実はわざと騙されていた清霜が書きたかっただけ

依頼してくる

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