ナガタとイヌヅカ (28)

ナガタ「聞いて」

イヌヅカ「うん?」

ナガタ「聞いてよ」

イヌヅカ「聞かないけども」

ナガタ「えっ」






ナガタ「困る困る」

イヌヅカ「そう?」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1459013336

ナガタ「聞いて貰わなきゃ」

イヌヅカ「聞いて欲しいの?」

ナガタ「肺が出る程に」

イヌヅカ「喉からね」

ナガタ「手はどうやっても出せないから」






イヌヅカ「肺ならなんとか」

ナガタ「でしょ」

ナガタ「最近ナガタさんアレじゃん」

イヌヅカ「滑稽だよね」

ナガタ「違うよ?」

イヌヅカ「太ったよね」

ナガタ「3キロ痩せたわ」






イヌヅカ「すごい」

ナガタ「ひと月でね」

イヌヅカ「それはやるなぁ」

ナガタ「超スリム」

イヌヅカ「あぁそう」

ナガタ「心なしか身体も軽くて」

イヌヅカ「飛べちゃうね」

ナガタ「うん」






イヌヅカ「いいなぁ」

ナガタ「いやいや」

ナガタ「流さないで」

イヌヅカ「えっ?」

ナガタ「ナガタさんの話を軽く流さないで」

イヌヅカ「流しがちだよね」

ナガタ「そういうのやめて」






ナガタ「……なんだっけ」

イヌヅカ「えっとね」

イヌヅカ「おいしい親子丼を作った話じゃない?」

ナガタ「それアナタが話したい話じゃないの」

イヌヅカ「あれは店にも出せるレベル」

ナガタ「待って待って」

イヌヅカ「待たないね」

ナガタ「ナガタの話」






ナガタ「ナガタの話をだね」

イヌヅカ「そう?」

ナガタ「アナタはナガタの部屋で」

イヌヅカ「ナガタの話を聞けば良い?」

ナガタ「分かってるじゃない」

イヌヅカ「分かってた」

ナガタ「そういうとこある」

ナガタ「イヌヅカさんはそういうとこあるよね」






イヌヅカ「あるある」

ナガタ「待って」

イヌヅカ「なにさ」

ナガタ「『アルアル』、じゃないよ?」

イヌヅカ「そんな言い方してた?」

ナガタ「否定をしなさい否定を」

イヌヅカ「認めちゃったけども」

ナガタ「ナガタさん何回も言ってるよ」

イヌヅカ「えぇ」

ナガタ「否定の美学について」






イヌヅカ「聞いてあげる」

ナガタ「ありがとうございます」

ナガタ「否定ってのは無限の可能性を秘めていてね」

ナガタ「例えば、『変人』」

ナガタ「『ナガタさんって変人ですよね』と言われたとします」

ナガタ「ナガタさん知ってます」

ナガタ「変わり者だって自覚あります」

ナガタ「もう中学の頃から気付いてましたよ」






ナガタ「ただそれを認めてはいけないのです」

イヌヅカ「はいはい」

ナガタ「そうなんですよね、よく変わってるって言われるんですぅ」

ナガタ「『ですよね』」

ナガタ「終わり」

ナガタ「この会話は終わりですよ」

イヌヅカ「そうね」

ナガタ「布団の中で後悔するでしょうね」






ナガタ「今日盛り上がらなかったなぁ、と」

イヌヅカ「熟睡しちゃうけどね」

ナガタ「どうするべきか?」

ナガタ「否定をするんですよ否定」

ナガタ「『ナガタって変わってるよな』」

ナガタ「いやいや、ドが付く程の常識人ですよ」

ナガタ「『それは有り得ないだろwww』」

ナガタ「世界平均、ネリマが誇る世界平均ですもの」

ナガタ「『やっぱりコイツ変わってるよな? そう思うだろ?』」

ナガタ「広がりました」

ナガタ「会話が広がりましたね」






イヌヅカ「標準じゃない?」

ナガタ「えっ」

イヌヅカ「世界平均?」

ナガタ「わざとわざと」

イヌヅカ「はい?」

ナガタ「あえてね」

イヌヅカ「ツッコミを」

ナガタ「そうそう」

ナガタ「そういうとこある」

ナガタ「そういうとこあるからナガタさん」

イヌヅカ「そっかぁ」






ナガタ「ちょくちょく流すよね」

イヌヅカ「流してない流してない」

ナガタ「いやいやめっちゃ流してるよナガタの話」

イヌヅカ「親身になって聞いてる」

ナガタ「『そうめんかな?』ってくらい流してるよね」

イヌヅカ「竹感は出てないけども」

ナガタ「上から流してはない?」

イヌヅカ「むしろ締めのうどん並に聞いてる」






イヌヅカ「実践したね」

ナガタ「ちょっと違くない?」

イヌヅカ「否定したじゃないの」

ナガタ「そうだけども」

イヌヅカ「広がりを見せたよ」

ナガタ「そうめんを否定しろって意味ではなくてさ」






イヌヅカ「そっかぁ」

ナガタ「流すな流すな」

ナガタ「まったく」

イヌヅカ「そんなもんよ」

ナガタ「否めない」

イヌヅカ「ここは否まないんだ」

ナガタ「ナガタさんちょっと力量不足」

イヌヅカ「精進しなさい」






ナガタ「……世界標準?」

イヌヅカ「うん」

ナガタ「世界平均ではなく?」

イヌヅカ「そんな言い方はしないなぁ」

ナガタ「自分間違ってた?」

イヌヅカ「英訳はグローバルスタンダードじゃない」

ナガタ「あぁ」






ナガタ「敗北感」

イヌヅカ「痛感してるね」

ナガタ「なんも言えない」

イヌヅカ「勝っちゃったね」

ナガタ「ナガタさんの語彙力の弱さが出ちゃった」

イヌヅカ「つつかれがちだね」

ナガタ「ぱぁの音も出ない」

イヌヅカ「そうね」






ナガタ「いやだからさ」

イヌヅカ「うん?」

ナガタ「流すなと」

イヌヅカ「そういうとこぐらいは勝たせてあげたいなって」

ナガタ「ツッコまれなきゃもはや負けだよ」

イヌヅカ「イヌヅカの優しさがね」

ナガタ「心無い優しさは敗北だと言うだろうに」






イヌヅカ「言わないね」

ナガタ「んふふ」

イヌヅカ「聞いたことないよ」

ナガタ「言わない?」

イヌヅカ「言わない言わない」

ナガタ「でも聞いたことはあるでしょうに」

イヌヅカ「どこで」

ナガタ「カラオケ」






ナガタ「ナガタ歌ってたよ?」

イヌヅカ「あぁ」

ナガタ「分かるよ?」

イヌヅカ「はい?」

ナガタ「歌声に集中しちゃってたものね」

イヌヅカ「うん?」

ナガタ「美ボイスに聞き惚れてたものね」

イヌヅカ「スマホ弄ってたけども」






ナガタ「ダメでしょそれ」

イヌヅカ「良いかなって」

ナガタ「ナガタはちゃんとノるよ?」

イヌヅカ「えらい」

ナガタ「絶対弄ることないよ?」

イヌヅカ「どこを?」

ナガタ「どこを?」

イヌヅカ「なんでもない」






ナガタ「やめて」

イヌヅカ「やめたやめた」

ナガタ「アナタからなんて珍しい」

イヌヅカ「最近出がち」

ナガタ「それはむしろナガタのキャラだよね」

イヌヅカ「俺はスポンジ人間だから」

ナガタ「キャラを奪わないで」






イヌヅカ「奪いがちだね」

ナガタ「やめて」

イヌヅカ「うん」

ナガタ「はぁ」

イヌヅカ「終わり?」

ナガタ「というか思い出せない」

イヌヅカ「なんの話がしたかったのか?」

ナガタ「アナタが変な茶々いれるから」

イヌヅカ「ティーカップにね」






ナガタ「さいですか」

イヌヅカ「あれ?」

ナガタ「流してやったわ」

イヌヅカ「ちゃんと飲んで」

ナガタ「毒入ってるもん」

イヌヅカ「愛の間違いだね」

ナガタ「尚更トイレに流してやるわ」






イヌヅカ「やっぱり飲むんじゃないの」

ナガタ「待って」

イヌヅカ「飲みたがりなんだから」

ナガタ「理解しないからな」

イヌヅカ「はい?」

ナガタ「貴様の言意を朕は理解しないからな」

イヌヅカ「貴様て」

ナガタ「認められない」

イヌヅカ「そっか」






ナガタ「貴様!!」

イヌヅカ「掌の上だね」

ナガタ「もういい」

イヌヅカ「そろそろお腹が」

ナガタ「食べいこう」

イヌヅカ「良いね」

ナガタ「結局ナガタの話は出来なかった」

イヌヅカ「十分喋ったじゃないの」

ナガタ「したい話はまったく出来てないけども」






ナガタ「あれ?」

イヌヅカ「はい」

ナガタ「ナガタは何を話したがってた?」

イヌヅカ「そこ?」

ナガタ「店で話せばいいのだから」

イヌヅカ「親子丼じゃない?」






ナガタ「アナタの食べたい物じゃないの」

イヌヅカ「よし決まり」

                  終

イヌヅカ「うまかったね」

ナガタ「全然上手くないよ」

イヌヅカ「いや旨かったよ」






ナガタ「うるさいうるさい」

イヌヅカ「転がってるねぇ」

                 今度こそ終

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom