黒森峰女学園 戦車倉庫
ギギィ
エリカ「よし、誰も居ないわね」
みほ「や、やっぱりやめようよ。逸見さん」
エリカ「嫌なら来なければいいでしょ」
みほ「逸見さんが止まってくれないから……こんなことしたら怒られるよ」
エリカ「度胸が無いのね。それでも西住先輩の妹なの?」
みほ「うぅ、そんなこと言われても」
エリカ「無駄話してる場合じゃないわね。……あった。
ビニール被ってるけど間違いない。よし!」
バサァッ
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みほ「わぁ……」
エリカ「ティーガーⅡ。やっぱり間近で見ると迫力が違うわ」
みほ「うん。じゃあティーガーⅡも見れたし戻ろう?」
エリカ「何言ってんの!先輩達に『1年が戦車に乗るのはまだ早い』なんて言われて悔しくないわけ?」
みほ「そういうルールだからしょうがないんじゃないかな……」
エリカ「戦車道は実力主義でしょ。入学したばかりの1年って理由だけで実戦をやらせないなんてくだらないわ」
みほ「基礎練習も大切だし……」
エリカ「初心者ならね。私もあなたもそうじゃないんだから。ぼーっとしてないで乗るわよ!
今、先輩達は少し離れた演習場で模擬戦をしてるはず。そこに乱入して暴れてやるわ!」
みほ「ええっ!?」
エリカ「操縦できるでしょ?」
みほ「私、重戦車は操縦したこと無いよ。それに操縦は苦手だし……」
エリカ「はぁ?使えないわねまったく。じゃあ私が動かすからあなたは車長席で周りを警戒して」
みほ「ちょ、ちょっと、それ私が首謀者みたいに……」
エリカ「見せつけてやるのよ!パンツァー・フォー!」
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ゴシゴシ ゴシゴシ
エリカ「ほら、そこ磨き残し」
みほ「あ、ありがとう」
エリカ「1週間トイレ掃除なんて、いつの時代の罰だか」
みほ「私はこれだけで済んでほっとしてる、かな」
エリカ「はぁ……」
みほ「な、なに?」
エリカ「不服じゃないの?私に巻き込まれて私と同じ罰なんて」
みほ「ううん。結局私も悪い事しちゃったからしょうがないよ」
エリカ「……もっと怒ったりしなさいよ。覇気がないのよ覇気が」
みほ「ええー……」
エリカ「そんなんでよく黒森峰の機甲科に入ったわね。なんのために戦車道やってるわけ?」
みほ「家が代々戦車道やってるし、お姉ちゃんも……」
エリカ「そんなこと知ってるから。家がどうのじゃなくてあなた自身の目的はなんなの?」
みほ「えっ……わ、私は……」
エリカ「ただ家元だからやってるだけ?自主性がないのね」
みほ「ご、ごめんなさい」
みほ(私自身の目的、かあ……)
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エリカ「西住先輩。隊長就任おめでとうございます!」
まほ「ありがとう。ところで逸見、頼みがあるんだが」
エリカ「西住先輩、いえ西住隊長の為にできることがあるなら喜んで!」
まほ「副隊長になってほしい」
エリカ「へっ!?」
まほ「驚かせて悪いなが、隊長としてしっかり考えた結果だ。どうだ、受けてくれるか?」
>>6 訂正
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エリカ「西住先輩。隊長就任おめでとうございます!」
まほ「ありがとう。ところで逸見、頼みがあるんだが」
エリカ「西住先輩、いえ西住隊長の為にできることがあるなら喜んで!」
まほ「副隊長になってほしい」
エリカ「へっ!?」
まほ「驚かせて悪いが、隊長としてしっかり考えた結果だ。どうだ、受けてくれるか?」
エリカ「は、はい!光栄です!喜んでお受けします!」
まほ「だが私も隊長になったばかりで慣れないことだらけだ。おそらく副隊長の負担も大きいだろう。そこで、副隊長補佐をつけることにした」
エリカ「お気遣い、ありがとうございます。それで補佐は誰が?」
まほ「みほに頼む」
エリカ「ええっ!」
まほ「お前たち二人で私を、いや黒森峰を支えてくれ。頼んだぞエリカ」
【ガルパン】エリカ「これが私の戦車道」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1454839191/) の続きです
今日はここまで
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ドォン!! ズバァッン!
まほ「こちら隊長車。プラウダのフラッグ車を伴う部隊を発見。戦闘を開始した」
まほ「主力部隊と思われるが、数が足りない。そちらに向かっている可能性がある。気をつけろ」
エリカ「フラッグ車、了解!聞いてたでしょ?周囲の警戒を続けて!」
みほ『こちら3号車。後方、異常ありません』
小梅『7号車、前方も大丈夫……』
ヒュンッ ドォンッ!
小梅『きゃあっ!』
ズズズッ ザバァッ
エリカ「砲撃!?……7号車大丈夫?応答しなさい!」
みほ「大変!川にっ……行かないと!」
エリカ「待ちなさい!!敵がすぐそこまで来てる!応戦するのよ!」
みほ「でも、エリカさん!」
エリカ「戦車内は耐水カーボンで守られてる!それよりも、この状況で素人が川に飛び込むほうが危険よ!」
ドォンッ!!
みほ「……わかりました。フラッグ車を守ります!」
ガガガッ ズバァンッ!!
エリカ「ここで耐えれば、すぐに隊長が敵フラッグ車を倒してくれるはず……!」
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『プラウダ高校フラッグ車、走行不能!優勝は黒森峰女学園!!』
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エリカ「……申し訳ありませんでしたっ!」
まほ「お前が謝る必要はない。作戦を指揮したのは私だ。責任は私にある」
エリカ「そんなことっ……」
みほ「お姉ちゃん、エリカさん」
まほ「みほ。どうだった?」
みほ「みんな命に別状は無いって……4人はすぐに退院できるみたい」
エリカ「4人は?」
みほ「小梅さんが、昏睡状態で……先生は、しばらくしたら目が覚めるって言ってたけど」
エリカ「……っ」
まほ「みほ、エリカ。お前たちも帰って休め」
みほ「でも……」
まほ「保護者の方もそろそろこっちに来るだろう。説明と謝罪は私がする」
エリカ「ですから、謝るべきは私で……」
まほ「帰れと言っている」
エリカ「……わかりました」
みほ「お姉ちゃんも……無理しないでね」
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トボトボ
みほ「……」
エリカ「……」
テクテク
みほ「……」
エリカ「……何も言わないの?」
みほ「え?」
エリカ「私を責めたいんじゃないの?私があなたを止めなければ、こうならなかったかもしれないわ」
みほ「そんな……エリカさんは悪くないよ、あれは事故だから」
エリカ「またそうやって、甘いことを言うのね」
みほ「違うよ。正しいよ、エリカさんは」
エリカ「は?」
みほ「お母さんに電話したら、こう言われたんだ。
『優勝を誇りなさい。彼女たちもそれを望んでいる。副隊長の判断は正しかった。貴女も見習いなさい』って」
エリカ「……」
みほ「ねえエリカさん、戦車道ってなんなのかな?
前に、何のために戦車道やってるのかって聞かれたけど……わからないよ、もう」
みほ「勝つために仲間を助けないのが正しいことなら」
エリカ「……やめて」
みほ「私もう、戦車道なんてやりたくないよ」
エリカ「やめて!!」
みほ「あっ……」
エリカ「もういい。もう私とやっていけないってことね」
みほ「ご、ごめんなさい!違うの、エリカさんを責めてるわけじゃ」
エリカ「もういいって言ってるでしょ!そうね。私も、無理だわ……じゃあね」
タッタッタ
みほ「エリカさん!」
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杏「逸見ちゃーん」
エリカ「……」
桃「逸見!何をぼーっとしている!」
エリカ「あ……いえ、なんでもないです」
柚子「やっぱり疲れてる?ずっと頑張ってくれてるものね」
桃「せっかく会長があんこう鍋を作って下さったんだぞ!」
グツグツ
杏「じゃあ食べようかー」
エリカ「それで、話ってなんですか?」
杏「まあまあ、とりあえず食べて食べて」
柚子「会長のあんこう鍋は絶品なんだよ」
エリカ「はあ、いただきます」
モグモグ
桃「どうだ。最高の味だろう」
エリカ「なんで河嶋先輩が偉そうにしてんですか。まあ美味しいですけど」
杏「へへー、ありがとねー。そうそう、Ⅳ号の砲身が新しくなったけどさ、どんな感じ?」
エリカ「単純に威力と射程距離が伸びたのは大きいですね。
ですが今までと感覚は変わるので、しばらくは砲手が慣れるように射撃訓練を重点的にやります」
杏「そか。あ、ルノーの方はどう?」
エリカ「やはりといいますか、自動車部の整備は文句なしです。
乗員の風紀委員は例によって素人だけど、それはもうしょうがないので……
まずは真っ直ぐ走る所から急ぎで教えていきます」
杏「立派に戦ってもらわなきゃいけないからねー。そういえば、ルノーのチーム名はどうする?」
エリカ「鴨っぽいって意見が出たんですけど、それだとエンテになってハオスエンテと紛らわしくなるので、
チーム・ブビコウツ(おかっぱチーム)ってことに」
杏「いいねー!」
エリカ「それで、話ってなんなんですか」
杏「ほら、もっと食べなって。小山、よそって」
エリカ「会長。何か隠してます?」
杏「……」
エリカ「今更ごまかせませんよ。何か私に打ち明けたくて呼んだんでしょう。はっきり言ってください」
杏「いやー、逸見ちゃんには敵わないねー。やっぱり知らないほうがのびのび戦えるって思ったんだけど」
桃「会長……」
杏「ぶっちゃけちゃうね。私らが大会で優勝しないと……この学校、廃校になっちゃうんだよね」
エリカ「……は?」
〆
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杏「ってわけで、文科省が力を入れてる戦車道の大会で優勝するしか方法がなくなっちゃったんだよねぇ」
エリカ「戦車もまともに残ってない状態でよくそんなこと決めましたね」
杏「もっと良い戦車があると思ったんだけどさー、売っちゃってたみたいで」
桃「困難なことは会長だってわかってらっしゃる。だがこれしかなかったのだ」
柚子「このこと、他のみんなにはまだ言わないでね?」
エリカ「私が言わなくても、どの道いつか知ることになると思うんですけど」
杏「みんなの重荷になったら嫌だからね。事実を知って萎縮するより、ちゃんと私から良いタイミングで……」
エリカ「待ってください。隊長は私です。士気に関わる問題をそっちで勝手に決めないで欲しいですね」
桃「逸見、会長は皆の為にだな……」
エリカ「勝ちたいんでしょ?」
杏「そりゃもちろん」
エリカ「ならそれをみんなに言うタイミングも私に任せてください。
素人の集まりだけど……会長が思ってるほど、皆はひ弱じゃないので」
杏「……わかった。ありがとね、逸見ちゃん」
エリカ「やるからには負けたくないだけです。それに、会長には会長の仕事があると思うんで。
……私達は全力を尽くします」
杏「……おーけい、がんばってこー」ニヤッ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
大洗 戦車倉庫
キャッキャッ
あゆみ「タイツ二枚重ねにしよっか!」
優季「レッグウォーマーもしたほうがいいよね♪」
桂利奈「それより、リップ色ついたのにしたほうがよくない?」
あゆみ「チークとかも入れちゃったりして……」
梓「みんな、あんまりはしゃがないで真面目にやろうよ」
あや「えー、このくらいいいじゃん」
左衛門佐「どうだこのカツラ」
そど子「ちょっとあなた達!メイクは禁止!そこ!仮装も禁止!」
おりょう「いちいちうるさいぜよ」
優花里「アンツィオ高に勝ってから、みんな盛り上がってますよね」
沙織「クラスのみんなも期待してるし頑張らないと♪」
エリカ「……」スーッ
エリカ「全員、集まりなさい!!」
「「「!!」」」ザワッ
エリカ「……アンツィオ戦では、私のミスをあなた達がカバーした。
確実に成長してるのは認める……だけど慢心したら勝利は遠のく」
エリカ「負けても楽しいって言うならそれでも構わない。だけど、ここまで来たからには勝ちたいと思わない?」
「「「……」」」
梓「……わ、私は勝ちたいです!隊長と一緒に!」
エリカ「当然ね。みんなは?」
「私もー!」「私達も!」「無論だ!」
ザワザワ ザワザワ
左衛門佐「勝って兜の緒を締めよ、だな」
エリカ「みんな言ったわね。次、遊び半分なことしたらサンドバッグにするから」
カエサル「左衛門佐、カツラ」
左衛門佐「あ、はい」スッ
そど子「ほら冷泉さん!早くこっちにきて訓練の続きよ」
麻子「はいはい」
優花里「逸見殿!みごとな激励でした!」
沙織「うん!スポ根ぽかった!」
華「私、さらにやる気が出てきました」
エリカ「……ふぅ~」
優花里「……」
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準決勝 試合会場
ヒュウウ
沙織「寒っ!マジ寒いんだけど……」
梓「準備体操ちゃんとしないとね」
あや「それ、いちに、さんしっ!」
カエサル「心して戦うぞ」
エルヴィン「スターリングラード」
おりょう「会津戦争」
左衛門佐「あれは冬が来る前に終わっただろ」
そど子・ゴモヨ・パゾ美「……」ガチガチ
エリカ「ちょっと」
そど子「な、何?」
エリカ「麻子が見てるわよ」
麻子「……」
そど子「何見てんのよ!?」
麻子「わからないことがあったら無線で聞いていいからな、そ・ど・子」
そど子「そど子って言うな!」
ギャーギャー
ゴモヨ・パゾ美「……」クスッ
ブロロロロロ
ガチャッ
沙織「あれ?誰か来たよ」
優花里「あれはプラウダの隊長と副隊長!
『ブリザードのノンナ』と『霜天のクラーラ』ですね!」
杏「やあやあ、生徒会長の角谷だ。よろしく」スッ
ノンナ「隊長のノンナです。よろしくお願いします」ギュッ
ノンナ「彼女は副隊長の」
クラーラ「こんにちは。はじめまして。クラーラです」
杏「お上手だねぇー」
エリカ「……」
ノンナ「これは、逸見エリカさん。昨年以来ですね」
エリカ「……どうも」
ノンナ「私達を倒し、黒森峰を優勝に導いた貴女が、まさか転校しているとは思いませんでした」
エリカ「褒めてるの?貶してるの?」
ノンナ「いえ。喜んでいるのです。準決勝と決勝戦で2回も世間に示すことが出来るのですから。
去年の雪辱を果たす、新たなるプラウダの栄光を」
エリカ「ずいぶん私を恨んでるみたいね」
ノンナ「まさか」
エリカ「私も、あなた達には負けたくないから。よろしく」
ノンナ「こちらこそ。では、до свидания」
ノンナ「Переместить . Клара(行きますよ、クラーラ)」
クラーラ「Да」
エリカ「……相変わらず不気味な連中ね」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『試合、開始!』
〆
プラウダ高校 車輌編成
T34/85 ×5 (ノンナ車、クラーラ車)
T34/76 ×8 (フラッグ車)
KV2 ×1
IS2 ×1
Ⅳ号戦車D型F2仕様(ゼートイフェル)
38(t)戦車(シルトクレーテ/フラッグ車)
Ⅲ突(ニルプフェルト)
89式(ハオスエンテ)
M3リー(カニンヒェン)
ルノーB1(ブビコウツ)
ブロロロロロ
エリカ「全車、警戒を続けながら微速前進」
優花里「偵察は出さないんですか?」
エリカ「プラウダの車輌性能は知ってるでしょ?下手に偵察に出して遭遇戦になったらまず勝ち目がない。
なるべく多対一の状況を作って撃破を目指すわ」
沙織「そうさせてくれるかなあ?」
エリカ「プラウダの戦い方は防御重視。手堅く攻撃を受けながら引いてからの反撃を得意としてるから、
一度布陣すればあまり動くことはない……そこを狙うわ」
プラウダ斥候「……」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『敵は、全車北東方面に走行中。かなり速度を落としています』
ノンナ「了解。警戒を続けなさい」
クラーラ「一気に来ると予想されていましたが、慎重に動いていますね」
ノンナ「心配ありません。偉大なるカチューシャ戦術は完全無欠。
この作戦ノートにはあらゆるパターンに対応した仔細な指示が書かれています」
パラパラ
ノンナ「敵が一気に攻めてこないならば、プランBを開始します」
クラーラ「Да」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
梓「!!……10時の方向、敵!」
エルヴィン「……T34!」
グググッ ブロロ
桃「逃げる気か!撃て!」
エリカ「発砲許可!仕留めなさい!」
ドォンッ!! ドォンッ!!
カアァンッ
ズバァンッ!
沙織「うわー、撃ってきた!」
優花里「ですがそのまま逃げていきますね。偵察車がうっかり出すぎたのでしょうか」
華「追いますか?」
桃『逃がすな!全員で追撃だ!』
エリカ「待ちなさい!!」
桃『早くしないと逃げられるぞ!』
エリカ「プラウダにしてはあまりに間抜けすぎる。わざと見つかりに来たようにも思えるわ」
桃『また考え過ぎじゃないのか?』
エルヴィン『いや、確かに妙だ。逃げるだけならまだしも、わざわざ一発撃って挑発してくる意味は?』
梓『私も……ちょっと怖いです』
典子『追うなら絶対に追いついてみせます!』
そど子『私じゃ判断できない。隊長に任せるわ』
エリカ「……ゼートイフェルより各車、追撃は中止。敵に位置がバレたから警戒を続けつつ速度を上げてここから離れる」
『『『了解!』』』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
クラーラ「敵は挑発に乗ってこないそうです」
パラパラパラ
ノンナ「あのような場合、彼女らが取れる選択肢は追撃か警戒の2択。
警戒を選んだのならばプランBからプランB-2に移行」
クラーラ「Да」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ドォンッ!!ズバアン!!
典子「9時の方向から敵!T34が4両!!」
エリカ「っ!集まるのが早い!すでに補足されてた……!?」
優花里「85が1両、76が3両です……!逸見殿!」
エリカ「応戦しなさい!」
バゴォッ!!
エルヴィン「ってー!」
ドバァンッ!!
カッ シュポッ
エルヴィン「ニルプフェルト、1両撃破!」
エリカ「よし、これなら突破できる……!」
ドォッン!!
エリカ「!?」
梓「3時の方向からも敵が!!いちにい……5両います!」
エリカ「挟撃っ!?」
ゴゴゴゴ
グォン ドォオォォン!!
エルヴィン「……!前方にギガント……KV-2だ!!」
ヒュンッ
ドゴォオオンンッ!!
優花里「街道上の怪物……!すごい威力です!」
エリカ「ここで一気に潰しにきたわね……!」
ズバァンッ!
カッ シュポッ
沙織「ナイス華!」
優花里「さすが五十鈴殿!これで左は残り2両です!」
ドォッ! ドォンッ!
エリカ「左から突破すれば撤退できる……いや」
エリカ「ここまで入念に囲んできてあっさり2両やられるなんて……おそらく罠!
だったらあえて正面を突破してやる!
各車、正面のKV2を突破するわよ!」
桃『なにー!あんな化物戦車相手に正気か!』
エリカ「化物でも戦車1両には変わりないわ!あれは装填が遅いから……」
ドゴオオオンッ!!!
ヒューン
ズガァアアッン!!
エリカ「1発避ければ次まで時間が掛かる!今よ!全車前進!!」
ブロロロロロ
エリカ「砲撃はするな!フラッグ車を守りつつ突破を目指しなさい!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
クラーラ「敵はKV-2を突破し、廃村地帯に向かいました」
ノンナ「これで彼女たちは自ら死地に飛び込んだ。そろそろ仕上げですね。
プランB-2からプランB-2-αへ移行しなさい」
クラーラ「Да」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ブロロロロロ
優花里「追ってきませんね。KV2を突破したことで撹乱できたのでしょうか」
エリカ「だといいけどね……とにかく、ここは廃村地帯で隠れ場所が多い。
追撃が来る前に待ち伏せするには丁度いいわ」
エルヴィン『我々の出番だな!』
ヒュンッ
ズガァッンッ!!
エリカ「なっ!?」
沙織「きゃ!!どこ?敵が隠れてたの?」
ガチャ
エリカ「……!近くには隠れてない。これは長距離からの砲撃……IS2ね」
ヒュッッ
ズゴァンッ!!
杏「おー怖ぇー」
柚子「言ってる場合ですか!」
梓『隊長!』
エリカ「あそこだ!シルトクレーテ!あの教会みたいな建物に入って!」
杏『はいはーい』
エリカ「ニルプフェルトとブビコウツは教会を防衛!残りはゼートイフェルとIS2を仕留めに行くわ!」
『『『了解!』』』
クラーラ「Я не позволяю !(させないわよ!)」
ブロロロ
ドォンッ!! ズバァンッ!!
そど子『うわ!左から3台来ました!!』
ヒュッッ
ズゴァンッ!!
エリカ「ちぃ!……全車!教会に入りなさい!IS2の援護が届かない場所はそこしかない!
T34が入り口まで来たところを各個撃破!!」
ブロロロロ
ズガァンッ!!
ドドドド
エリカ「……砲撃が止んだ?」
スタスタ
麻子「誰か来るぞ」
ノンナ「全員お揃いですね」
エリカ「……何しに来たのよ?」
ノンナ「降伏勧告です」
エリカ「はぁ?」
ノンナ「あなた方はこれから反撃に転じるつもりなのでしょうけど、無駄です。
すでに包囲は完了していますから」
エリカ「……ハッタリでしょ?」
ノンナ「いいえ。咄嗟の判断でこの教会内に逃げ込んだつもりかもしれませんが、
我々は最初からあなた方をここに招き入れるために動いていました。すべて我々の手のひらの上です」
エリカ「ふざけるな!そんなことしてあんたたちに何の得があるっていうのよ!」
ノンナ「すべては同志カチューシャの作戦。あなた方が途中どんな判断をしようとも最終的結果は変わらない。数段構えの完璧な作戦。
それが偉大なるカチューシャ戦術です」
エリカ「カチューシャ?」
ノンナ「プラウダの指導者となるべきお方です。この戦いでその偉大さを世に知らしめなければなりません」
エリカ「イライラするわね……!ならこんな回りくどいことしないで私達を倒すための作戦を立てればいいじゃない!」
ノンナ「それだけではダメなのです……降伏条件をまだお伝えしていませんでしたね」
エリカ「興味ないわ!」
ノンナ「条件は簡単。逸見エリカさん。貴女が同志カチューシャを肩車して敗北を宣言することです」
エリカ「……はい?」
ここまで
ノンナ「この戦いでカチューシャの偉大さを世に知らしめると言ったでしょう。
貴女が同志カチューシャを肩車して敗北を宣言することで、逸見エリカの屈服を示すと同時にそれを成し遂げることが出来るのです」
エリカ「悪趣味にもほどがあるわ……だいたい高校生が高校生を肩車なんて無理があるでしょ」
ノンナ「その点はご心配なく。カチューシャの器は誰よりも大きいですが体のサイズは慎まやかですので」
エリカ「嫌だと言ったら?」
ノンナ「その時は残念ですが、あなた方を叩き潰すことになります。しかしあっさりと終わらせては我々の強さは伝わらないので、
そちらのフラッグ車以外のすべての車輌を徹底的に戦闘不能にしてから最後にフラッグ車を倒させていただきます」
桃「降伏などするものか!徹底抗戦だ!」
ノンナ「どんな抵抗をしようとも、このカチューシャの作戦ノートにはあなた方が勝利のために取り得るあらゆる行動パターンと、
それに対応した作戦指示が記載されています」
ノンナ「降伏までの猶予は3時間。賢明な判断を期待していますよ。ではдо свидания」
スタスタ
エリカ「くそっ!!好き勝手言って!!」
ダンッ!
沙織「え、えりりん、あまり怒んないで」
エリカ「私は人に舐められて見下されるのが一番嫌いなのよ!!」
華「その様子なら、やはり降伏はしないということですね」
エリカ「当然よ。私を甘く見たこと後悔させてやるわ!」
桃「もちろんだ。頼むぞ逸見」
杏「せっかくここまで来たからねー」
梓「私達も!隊長にそんな恥ずかしい真似はさせません!」
桂利奈「やったるぞー!」
典子「最後まで戦います!」
妙子「諦めたらそこで試合終了です!」
エルヴィン「自分の人生は自分で演出する」
左衛門佐「黙れ小童!」
エリカ「各車、修理箇所の確認を急いで!それから偵察隊を出すわよ!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
柚子「逸見さん、偵察隊の6人みんな帰ってきたよ」
沙織「みんなお疲れ様!スープと毛布どうぞ!」
優花里「雪の進軍は楽しかったでありますなあ」
エルヴィン「ああ、楽しかった」
麻子「そど子のせいで逃げまわったおかげでかえって情報が増えたな」
そど子「うるさいわね!」
エリカ「ご苦労様。これで各車の位置関係はほぼ掴めたわ。で、肝心のあれは?」
左衛門佐「心配するな。我々がしかと見つけてきたぞ」
梓「はい。左衛門佐さんの忍術すごかったです」
エリカ「よし。あとは戦車の最終調整が終わり次第出撃よ。わざわざ3時間待つ必要もない」
梓「はい!あれ、ちょっとみんな……」
あゆみ「寒いよ……」
佳利奈「もう疲れた……」
おりょう「そのマフラーあったかそうぜよ」
カエサル「これはマフラーじゃない……」
そど子「ちょっとゴモヨ!パゾ美!寝ちゃダメでしょ!」
忍「スノーバレーってどうですか……?」
典子「いいんじゃない?……知らないけど」
エリカ「あなた達!もっとしっかりしなさい!」
「はぁーい……」
エリカ「何!?そのやる気のない返事は!?」
梓「ごめんなさい!ほらみんな、隊長が怒ってるから……」
エリカ「怒ってないわよ!」
優花里「い、逸見殿。みんな寒さでまいってるんですよ」
華「スープもすでに尽きてしまいましたし」
麻子「ボルシチ食べたい」
沙織「贅沢言わないの!」
桃「おい逸見、士気が下がってるぞ。なんとかしろ」
エリカ「なんとかしろって……隊長だからってなんでもできると思われても困るわ」
桃「こうなったら……廃校の件を皆に知らせて奮い立たせるしかないか」
エリカ「待って!それは駄目!かえって逆効果になるかもしれないじゃない!」
桃「じゃあどうすればいいんだ!」
エリカ「……仕方ないわね」
エリカ「」スゥー
エリカ「やっーてやる やっーてやる やっーてやるぜ♪イーヤなあーいつをボーコボコに♪」
「「「「?!??!?」」」」
沙織「えりりん!?なにその歌!?」
麻子「物騒な内容だな」
エリカ「やっーてやる やっーてやる やっーてやるぜ♪イーヤなあーいつをボーコボコに♪」
沙織「繰り返し!?」
エリカ「うるさいわね!///昔の知り合いがよく聴いてた曲だけど 、この部分しか覚えてないのよ!」
梓「た、隊長……」
エリカ「よく知らないけど、とりあえずムカつくやつをボコボコにするって歌よたぶん!今の状況にぴったりでしょ!
私についてきて!プラウダをボコボコにするわよ!」
エリカ「やっーてやる やっーてやる やっーてやるぜ♪イーヤなあーいつをボーコボコに♪」
沙織「わかった!みんな歌うよ!」
優花里「はい!」
麻子「仕方あるまい」
杏「よーっし、逸見ちゃんと一緒に歌うよー!」
柚子「はい!」
桃「わかりました」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
観戦席
『『『『やっーてやる やっーてやる やっーてやるぜ♪イーヤなあーいつをボーコボコに♪』』』』
オレンジペコ「こ、これは……」
ダージリン「ハラショーですわね」
まほ「一体何が起こっているんだ……」
みほ「……エリカさん」キラキラ
まほ「まあ、士気は上がってるみたいだな……」
みほ「……ガンバレ、ガンバレボコー」ボソッ
まほ「何か言ったか?」
みほ「ふえぇっ!?///なっなんでもないよ///」
『『『『やっーてやる やっーてやる やっーてやるぜ♪イーヤなあーいつをボーコボコに♪』』』』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
エリカ「ヴァイスヴルスト(白いソーセージ)作戦、開始!!」
ブルルルルルルル
クラーラ『隊長。教会からエンジン音が』
ノンナ「降伏は選びませんでしたか。ですがカチューシャ戦術によるこの布陣はどうあがいても突破できません」
ノンナ「彼女たちが偵察をしてしっかり車両位置を把握できる時間を作ってあげました」
ノンナ「包囲網にあえて薄いところを作り、そこを突破しようとしたところを挟み撃ち。
万が一フラッグ車が脅かされた場合も、KV-2が護衛についている」
ノンナ「カチューシャ、いよいよ貴女の作戦の素晴らしさを本格的に知らしめることが出来ます」
ゴゴゴゴッ
クラーラ『1両目、出てきました!』
ノンナ「全車、砲撃……!?待ちなさい!砲撃中止!」
杏「よっしゃー!行くよー!」
ノンナ「38t!?フラッグ車が真っ先に飛び出してきた!?」
クラーラ『後続車両、出てきません!』
杏「小山!河嶋!今回も頼むよー!」
小山「フラッグ車だけで飛び出させるなんて」
桃「相変わらず逸見はとんでもないことさせてくれる!」
杏「とりあえず正面、85の履帯いっちゃうよー」
ズバァッン!! ガリィンッ!!
『履帯やられました!隊長!どうしますか!』
ノンナ「くっ……こちらも履帯を狙いなさい!撃破してはいけません!」
『ちょこまか動きまわって狙いが……』
『味方を撃ちそうです!うわっ危ない!』
『この状態で履帯だけ狙うなんてっ』
ゴゴゴゴゴ ズドォン! バゴォンッ!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
優花里「予想通り敵は混乱してるようです!」
沙織「まさかフラッグ車だけ出てくるなんて思わないもんね」
エリカ「こっちが勝利のために取り得るあらゆる行動パターンを網羅って言ってたから、
勝利に繋がらないような行動されたら混乱するでしょ」
麻子「だがやろうとすればすぐに撃破されてしまうぞ」
エリカ「相手はカチューシャの作戦とやらにご執心みたいだし、プライドも高い。
フラッグ車を最後に倒すと明言した以上、そう簡単にフラッグ車を撃破するような判断はできないはずよ……」
エリカ「だけどそれも時間の問題。装填!弾種榴弾!!」
優花里「はい!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ノンナ「砲手、変わりなさい」
「はい!」
ノンナ「考えましたね、エリカさん。ですが……」
ズバァッン!!
ドゴッォッ バキィッ!
桃「うわーやられた!」
柚子「桃ちゃん、やられてないよ!」
杏「でも履帯がやられちゃったねぇ」
クラーラ『敵フラッグ車、完全に停止。いつでも撃破できます』
ノンナ「フラッグ車の単騎突撃は多少予想外でしたが、誤差の範囲内。
カチューシャ戦術には、相手がヤケになって教会に閉じこもった場合の対応もあるのです」
ノンナ「KV-2、教会前へ」
ゴゴゴゴゴゴゴ ガッシャン
ノンナ「KV-2の152mm砲で教会を粉々に破壊します。砲撃用意」
梓「パンツァー・フォー!!」
ゴゴゴゴ
エルヴィン「突撃ー!」
そど子「風紀委員の腕の見せどころよ!!」
ノンナ「KV-2を恐れて出てきましたか。ですがそれもカチューシャ戦術の予想通り。全車、砲撃!」
ズバァンッ!! ズドォンッ! ドゴォンッ!!
ゴォンッ! カッ シュポッ
そど子「うう!チーム・ブビコウツやられました!残りの健闘を祈る!」
クラーラ『1両撃破!』
ノンナ「……おかしい。3両しか出てきてませんね。もう2両いるはず。クラーラ!」
クラーラ『はい……教会内に……これは!隊長、教会の背面に大きな穴が!!』
ノンナ「そんな穴なかったはず……まさか、最初の騒ぎに乗じて壁を爆破し穴を開け、そこから!?」
ノンナ「……フラッグ車が危ない!!KV-2を移動させたせいで今は護衛がゼロになっています!
クラーラ、フラッグ車の援護を!!」
クラーラ『了解!』
ドォッッン! カッ シュポッ
エルヴィン「くっ!ニルプフェルト、撃破された!敵が気付いてそっちに向かってるぞ気をつけろ!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
エリカ「今更気付いても遅いわ!!麻子!!」
麻子「おう。迂回完了。フラッグ車の背後についたぞ」
エリカ「よし!撃て!!」
ドォンッ! カァンッ!
華「ごめんなさい、外しました」
優花里「惜しいです!」
エリカ「ちっ!もう一発!」
ブロロロロ
沙織「逃げていくよ!」
エリカ「何としても仕留めるわ!本隊に合流されたら終わりよ!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『こちらフラッグ車!狙われてます!助けてください!』
ノンナ「急いで合流してください。クラーラがそちらに向かいます」
ノンナ車装填手「隊長、ピンチですよ!もう敵フラッグを撃破したほうがいいんじゃないですか!」
ノンナ車砲手「いつでも撃てるんですから!宣言通りじゃないけど、負けるよりはマシです!」
ノンナ「ですが……それでは」
ノンナ車操縦手「隊長!」
ノンナ「わかりました。離れているカチューシャの車両に通信を!カチューシャからフラッグ車撃破の許可を得ます」
ノンナ車通信手「はい!……こちら隊長車!カチューシャ様、応答を!」
カチューシャ車通信手『現在敵と交戦中っ……きゃっ!カチューシャ様は応答する余裕がっ……』ブッ
ノンナ「!?」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
典子「アタックアタックアターック!!!ブロックブローック!!」
ギギギギギ ドォンッ!!
典子「とにかく車体をくっつけまくって!!このT34を脅かしまくれ!」
ドォンッ! ドォンッ! キィンッ!!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ノンナ車通信手「89式と交戦中につき通信不能のようですっ!!」
ノンナ「カチューシャには頼れない……わかりました。フラッグ車を撃て!!」
ドォンッッ!!
エリカ「撃てっ!!!」
ズバァッン!!
カッ シュポッ
カッ シュポッ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『大洗女子学園、プラウダ高校、フラッグ車ともに走行不能!』
『僅差のため、機械による判定に移ります!』
『……計測の結果、プラウダ高校フラッグ車が1.75秒早く白旗を上げています!』
『よって、大洗女子学園の勝利!!』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ワァーーー!!!
沙織「やった!!!」
エリカ「ぎりっぎりね、お見事よ。お疲れ様」ポン
華「いえ。エリカさんの作戦の皆さんの頑張りのお陰です」
優花里「カチューシャという方が乗っている車両をマークして正解でしたね!」
エリカ「顔は知らなかったけど、私が肩車できる体型なんて限られてるからね。偵察隊がよくやってくれたわ」
沙織「ふう、でもこっちのフラッグ車をすぐに攻撃されたら危なかったよね」
エリカ「あの隊長のことだから、予定を崩すときはカチューシャとやらに律儀に許可を取るだろうと思ったから。
ふん、他人の脳味噌で戦おうとするからそうなるのよ!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ノンナ「負けた……私の判断が遅れたせいで……」
ノンナ「皆さん、申し訳ありません」
ザッザッ
カチューシャ「お疲れ様。誰もノンナを責めたりなんかしないわよ」
ノンナ「カチューシャ!わ、私は……」
カチューシャ「わかってる。カチューシャの作戦で勝つことがプラウダの為だと思って戦ってくれたのよね」
ノンナ「ですが……私の力不足で偉大なカチューシャ戦術を活かしきれませんでした」
カチューシャ「違うわ。負けたのはノンナの力不足じゃない。私とノンナの連携が出来なかったからよ」
ノンナ「……そんな!すべて私の判断ミスです……私が……」
カチューシャ「ニェット!私だって、去年負けてからずっとノンナに守られてばっかりだったわ。
だけど、これからは二人でプラウダを強くしましょう」
ノンナ「カチューシャ……ですが逸見エリカに肩車させるという野望が……」グスッ
カチューシャ「……ほら、ハンカチ。涙拭きなさい」
ノンナ「な、泣いてません」ズビッ
カチューシャ「べ、別に……肩車ならノンナがしてくれればいいじゃない」
ノンナ「……!はい!!」
ここまで!
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タタタッ
会長「逸見ちゃーん、やったね!」
柚子「ありがとぉ!」
桃「よくやった」ズビッ
梓「先輩!」
佳利奈「カッコ良かったです!」
そど子「やったわね!ほら冷泉さんももっと喜びなさいよ!」
麻子「おー」
エリカ「言ったでしょ。ボコボコにしてやるって」
エリカ(かなり危なかったけど)
エルヴィン「ウチの隊長を怒らせたのが奴らの運の尽きだな」
カエサル「隊長を怒らせて無事で済んだ奴はいないというしな」
エリカ「そこ!」
スタスタ
優花里「あっ、あの方たちは」
ノンナ「……」ペコリ
カチューシャ「あなたが隊長ね!」
エリカ「そうだけど。あなたが噂のカチューシャ?」
カチューシャ「ええ!……私の作戦を破るなんて、やるじゃない」
エリカ「私達を甘く見るからそうなるのよ」
カチューシャ「言うわね。ま、今回だけは認めてあげる」
エリカ「……まあ、こっちも危なかったわ。あなたが最初から指揮をしてれば、もしかして」
カチューシャ「次はカチューシャとノンナのコンビで、勝ってあげるんだから!
決勝戦、見に行くわ。がっかりさせないでよね」
スッ
エリカ「そっちこそ。次に戦うときは私をがっかりさせないでよね」
ギュッ
カチューシャ「当たり前じゃない!行くわよ、ノンナ!ピロシキ~」
ノンナ「до свидания」
エリカ「……肩車、あなたがやったほうが似合ってるじゃない」
ノンナ「カチューシャ、やはり貴女が隊長になるべきです」
カチューシャ「え?」
ノンナ「私は間違っていなかった。貴女のウラル山脈より高い理想と、バイカル湖より深い思慮こそ、これからのプラウダに必要なものです」
カチューシャ「……ノンナも一緒だからね」
ノンナ「もちろんです」
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生徒会室
エリカ「決勝戦は20輌。相手の編成はティーガー、ティーガーⅡ、パンターに駆逐戦車……
それにもしかしたら……」
杏「いやー強そうだねぇ」
柚子「今の予算と義援金では戦車を増やすのはとても……」
桃「義援金は現有の戦車の改造に回すとして、ポルシェティーガーはどうなったんだ?」
柚子「そろそろレストアが終わるって言ってたよ」
エリカ「あんなの、誰が乗るのよ」
杏「あー、それなら自動車部のみんなに頼んどいたからー」
エリカ「自動車部が!?……確かに失敗兵器でもあの人達なら」
桃「失敗兵器でも自動車部なら平気だな」
杏「座布団いちまーい」
エリカ「」イラッ
エリカ「……くだらない話はともかく、それでも戦力の差はあまりにも大きいわ」
杏「逸見ちゃん、頼んだよー。
プレッシャーかけちゃって悪いけどさ、ここまでやって負けたんなら私らも悔いないし」
桃「いや逸見!なんとしても勝たねば!頼むぞ!」
エリカ「……もちろん、勝つつもりで作戦は立てます」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
エリカ「はあ……」
エリカ(会長達にはああ言ったけど、例え戦車が同じ数だったとしてもあの姉妹がいる時点でかなり厳しい……)
ねこにゃー「あっあの」ボソボソ
エリカ「……」スタスタ
ねこにゃー「あのっ!逸見さん!」
エリカ「ひゃっ!?何なのいきなり!?」
ねこにゃー「あ、ごめん驚かしちゃって」
エリカ「猫田さんだっけ……いきなり何の用?」
ねこにゃー「あの、ボクも今から戦車道やってもいいかな?操縦はね、慣れてるから」
エリカ「そうなの?前に戦車道経験者は私だけって聞いた気がするけど……」
ねこにゃー「そ、その、実際の戦車じゃなくてネットゲームの戦車なんだけど」
エリカ「は?バカにしてるの?」
ねこにゃー「ひっ!ご、ごめんなさい」
エリカ「ゲームと実戦は全く違うのよ。そんなこともわからないなら戦車道をやらせるわけにはいかないわね」
ねこにゃー「そ、その、ボクもみんなに協力したいと思って……も、もちろんゲームと違うのもわかって、ます」
エリカ「……まあいいわ。実際の運用人数に足りてない戦車がいくつかあるから、やるならそのどこかに入ってもらう。
途中参加はかなり厳しく鍛えなきゃいけないけど、そのでもいいなら来ればいいわ」
ねこにゃー「あ、ありがとう!」
エリカ「戦車ゲームのことは一切忘れてゼロからのつもりでやること。良いわね?」
ねこにゃー「うん。ところで駐車場にずっとある『あの戦車』は試合には出ないの?」
エリカ「あの戦車?」
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大洗 戦車倉庫
エリカ「まさか駐車場に三式中戦車が置きっぱなしだったなんてね」
ナカジマ「状態もいいし、すぐに整備できそうだよ」
ホシノ「こっちの整備も終わったところだしな」
ツチヤ「ドリフトドリフトォ!」
ズズキ「楽しみだねー」
エリカ「でも、これだと逆に人数が足りなくなるわね」
ねこにゃー「大丈夫、仲間を呼んでおいたから」
エリカ「仲間?」
ももがー・ぴよたん「うわー!かっこいい」
ねこにゃー「あのーボク、ねこにゃーです」
ももがー「ももがーです!」
ぴよたん「ぴよたんです!」
ねこにゃー「リアルでは初めまして!」
ぴよたん「本物の戦車に乗れるなんてマジヤバむごっ」ガシッ
ねこにゃー「ぴよたんさん、ももがーさん、隊長の前でゲームの話はご法度です。
本物の戦車とゲームは全く別ですから」
エリカ「……」ジトー
ももがー・ぴよたん「!!!」コクコク
エリカ「はぁー、……しっかり頼むわよ」
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杏「みんなー、次はいよいよ決勝戦!目指すは優勝だからね!」
オオー!!
杏「ほら、逸見ちゃんからも一言。前に出てさ」
エリカ「はい」スタスタ
エリカ「決勝の相手、黒森峰女学園は本当に強い。普通に戦ったらまず勝てないわ」
エエー!? ザワザワ
エリカ「最後まで聞きなさい!私達が今まで普通の戦いをしてきた?
どんな強い相手でも隙を突いて勝って来たわ」
エリカ「それに私はあそこで副隊長だった。つまり、隊長以外はみんな私より格下!
恐れることはないわ!!」
エリカ「厳しい戦いになるけど、絶対に勝つわよ!全員、明日に備えて英気を養うように!」
「「「「はい!!」」」」
桃「よし、解散!!」
沙織「えりりん、今日はえりりんの部屋でごはん会しない?」
エリカ「食事はいいけどなんで私の部屋なのよ」
華「沙織さんのご飯、楽しみです」
麻子「デザートも頼む」
エリカ「なんか勝手に話が進んでるし!」
優花里「逸見殿、ぜひ!」
エリカ「しょうがないわね……」
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エリカの部屋
「「「「いただきまーす」」」」
モグモグ
華「とても美味しいです」
麻子「……」モグモグ
麻子「!」ニッコリ
エリカ「相変わらずやるわね」
優花里「いつでもお嫁にいけますよ!」
沙織「……重大な発表があります。私、アマチュア無線2級に合格しました!」
優花里「ええ!すごいです武部殿!通信手の鑑ですね!」
エリカ「2級って結構難しいやつじゃない。あの沙織がよくできたわね」
麻子「教えるのに苦労したぞ」
華「まあ!このキャベツも本当に美味しいです」
沙織「ちょっとみんなひどくない!」
優花里「私も何か資格の勉強をすればよかったです。逸見殿もヘリの操縦免許持ってますし」
エリカ「あと飛行船と大型車と船舶と、それから……」
優花里「さ、さすがです!」
沙織「もー!えりりんもそんな資格ばっかとってないで、彼氏くらい作ったら!?」
華「沙織さんが言えるんですか?」
エリカ「彼氏ねえ?今はそれどころじゃないし、まあ私に相応しいレベルがいたら考えてあげないこともないけど」
沙織「なんかすごいモテる女の余裕の発言っぽい!」
優花里「私は、みなさんと戦車道をもっともっとやりたいです!」
沙織「そ、そうよね!相手には悪いけど恋愛してる場合じゃないわよね!」
華「相手、いないでしょ?」
沙織「華、いちいちうるさい!」
エリカ「ふふっ、そうね……このメンバーでもっと戦車道できたら……」
エリカ「……」
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~~~~~~~~~~~~~~~~~
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ピンポーン ピンポーン
エリカ「……」
ピンポーン
エリカ「……」
みほ『エリカさん、いるよね?』
エリカ「……」
みほ『ねえ、開けてくれないかな?』
エリカ「……」
みほ『小梅さんが、今日退院したの。後遺症もなくて、しばらくしたら復帰できるって』
エリカ「……」
みほ『お姉ちゃんもみんなも、エリカさんのこと心配してるよ。あれからずっと休んでるから』
みほ『あんなこと言ってごめんなさい。でも私も……ちゃんとエリカさんと話したいの』
エリカ「……」
みほ『こんな形でエリカさんが戦車道やめちゃったら、悲しいから……』
エリカ「……」
みほ『……また明日、来るね。あのっ、ドアの前に手紙を置いておくから、読んでくれたら嬉しいです』
エリカ「……」
エリカ「……明日には、もういないんだけどね」
ガチャ
エリカ「……手紙と、ぬいぐるみ?」
スッ ペラ
”エリカさんへ。
私は口下手だから、ボコの力を借ります。
このボコは、いつもボコボコにされているけど、必ず立ち上がります。
どんなにボコボコにされても、必ず。私はそんなボコが大好きでした。
私は、敵にどんな攻撃を受けても絶対に諦めないで反撃するエリカさんを、
ボコみたいだなってこっそり思ってました。
だからエリカさんにも、立ち上がって欲しいです。
それが私の知ってる、エリカさんだから。
みほ ”
エリカ「こんなぬいぐるみ置いてかれちゃ、迷惑じゃない……」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
~~~~~~~~~~~~~~~~~
決勝戦会場
優花里「ここで試合ができるなんて!」
華「そんなすごいことなんですか?」
優花里「戦車道の聖地です!!」
エリカ「興奮するのはほどほどにね。ほら、最終チェックいくわよ」
優花里「はい!」
ダージリン「御機嫌よう」
オレンジペコ「こんにちは」
エリカ「!」
ダージリン「エリカさん。貴女が黒森峰とどんな戦いをするのか、楽しみですわ」
エリカ「……それはどうも」
ダージリン「私達は準決勝で黒森峰に負けたけれど、一つだけ貴女に忠告しておくわ」
エリカ「忠告?」
ダージリン「野獣は野獣を知る。同じ羽毛の鳥はおのずから一緒に集まる」
オレンジペコ「アリストテレスですね」
ダージリン「眠れる獅子を覚まさぬよう、気をつけることね」
エリカ「はあ?」
ちょっとお待たせしました。今日はここまで
>>198誤字訂正
エリカ「……まあいいわ。実際の運用人数に足りてない戦車がいくつかあるから、やるならそのどこかに入ってもらう。
途中参加はかなり厳しく鍛えなきゃいけないけど、そのでもいいなら来ればいいわ」
↓
エリカ「……まあいいわ。実際の運用人数に足りてない戦車がいくつかあるから、やるならそのどこかに入ってもらう。
途中参加はかなり厳しく鍛えなきゃいけないけど、それでもいいなら来ればいいわ」
ブロロロロン!
ケイ「ヘイ!エリカ!」
エリカ「あなた達は……」
ケイ「応援に来たわよ!ほら、アリサ」
アリサ「……」
エリカ「あら、これはこれは。私達の試合を盗撮しにきたの?」
アリサ「なっ!誰が!!」
ケイ「ほらほら、喧嘩しない。アリサが見に来たいって言ったんでしょ」
アリサ「ちょっと!隊長!!言わないって約束でしょう?!」
ケイ「そうだったっけ?ソーリー」
アリサ「……そういうことだから!次は堂々と倒してやるために偵察に来てやったわ!」
エリカ「ふーん。ま、勝手にすれば?」
アリサ「あんたの許可なんか求めてないし!」
ナオミ「ほら、そろそろ移動するぞ」
ケイ「oh,じゃあね!グッドラック!」
アリサ「ふん!」
ブロロロロ……
エリカ「うるさい連中ね」
カチューシャ「エリーニャ!」
エリカ「?」
カチューシャ「約束通り見に来たわよ!期待を裏切らないでよね!」
エリカ「ていうか、何?エリーニャって」
ノンナ「ロシアでは親しい相手の名前は愛称で呼ぶのが一般的なのです。
つまり、エリカさんは同志カチューシャに認められたということ」
カチューシャ「光栄に思いなさい!黒森峰なんかボッコボコにしちゃってね!」
エリカ「去年その黒森峰に負けたでしょ、あなた達は」
カチューシャ「うっうるさいわね!」
エリカ「ふふっ、いいわ。ちゃんと見やすいように肩車して観戦するのよ」
カチューシャ「言われなくてもそのつもりよ。じゃあね、ピロシキー」
ノンナ「до свидания」
ダージリン「あなたは面白い人ね。戦った相手と仲がいいのか悪いのか分からないけど、みんな気にしてるわ」
エリカ「まだいたの?」
ダージリン「……おやりになるわね」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
亜美「両チーム、隊長・副隊長、前へ!」
エリカ・桃「……」スタスタ
まほ・みほ「……」スタスタ
ザッ
エリカ「お久しぶり」
みほ「……」ペコ
エリカ「弱小チームがここまで来るなんて、思ってなかったでしょうね」
みほ「……」
亜美「両校、挨拶!」
「「「「よろしくお願いします!」」」」
エリカ「強豪校だからって、いい気にならないでよ。見てなさい、あなたには負けないから」
みほ「……」
エリカ「っ!なんとか言いなさいよ!」
桃「おい逸見!試合前に揉め事を起こすな!」
みほ「……ごめんなさい」
まほ「みほ。先に戻れ」
みほ「……はい」
エリカ「何がごめんなさいよ……」
まほ「エリカ。形はどうあれ、お前と砲火を交えることになって、私は嬉しい」
エリカ「隊長……」
まほ「お前も隊長だろう。よろしく頼むぞ」
エリカ「は、はい!」
タタッ
小梅「逸見さん!」
エリカ「!!」
小梅「ずっと、ずっと謝りたかったの。私達のせいで、逸見さんが責任感じて辞めちゃったから」
エリカ「なんであなたが謝るのよ……私のせいで酷い目にあったのに」
小梅「ううん。逸見さんはチームの為に最善のことをしてくれたよ。
みほさんを止めたのだって、みほさんの安全のためでしょ?」
エリカ「……」
小梅「でも、こうしてまた戦車道を初めてくれて、良かった」
エリカ「……あなたも、無事に復帰出来て良かったわ」
小梅「ありがとう、逸見さん」
エリカ「だけど試合では手加減しないから。覚悟しなさい」
小梅「うん!」
みほ「……皆さん、戦車に乗り込み持ち場についてください」
『試合、開始!!!』
〆
黒森峰女学園 車輌編成
ティーガー (まほ車)
ティーガー (みほ車/フラッグ車)
ティーガーⅡ ×2
パンター ×7
Ⅳ号駆逐戦車 ×4
Ⅲ号戦車 x1
ヤークトティーガー ×1
ヤークトパンター ×1
エレファント ×1
マウス ×1
大洗女子学園 車輌編成
Ⅳ号戦車H型仕様(ゼートイフェル/フラッグ車)
ヘッツァー(シルトクレーテ)
Ⅲ号突撃砲(ニルプフェルト)
89式(ハオスエンテ)
M3リー(カニンヒェン)
ルノーB1(ブビコウツ)
ポルシェティーガー(レオポン)
3式(アーマイゼンフレッサ)
沙織「ゼートイフェルより各車、状況はどうですか?」
桃『シルトクレーテ、いつでも行けるぞ!』
典子『チーム・ハオスエンテ、大丈夫です!』
梓『こちら、カニンヒェン。準備完了です!』
エルヴィン『ニルプフェルト、出撃準備よし!』
そど子『チーム・ブビコウツ、問題なしです!』
ナカジマ『こちらレオポン、いい感じだよー』
ねこにゃー『アーマイゼンフレッサ、おっけーだにゃー』
エリカ「みんな。黒森峰は強い。強力なドイツ戦車と、西住流直伝の攻撃的で圧倒的な戦い方で攻めてくるわ。
例え黒森峰を知り尽くした私が敵でも、絶対に同じ。黒森峰はどんな相手でも戦い方を変えずに全力で叩き潰しにくる」
エリカ「だけど、それは裏返せば彼女らを縛る弱点でもある。黒森峰は王者の高いプライド故に、
他のセコい戦術には手を出さないし、挑まれた勝負からは絶対に逃げない。
それに、大会連覇、勝って当然というプレッシャーが隊員たちの根底にはある」
エリカ「それに比べて私達を縛るものは何もない!負けて失うものも何もない!
とにかく気持よく勝つ!そのために全力で戦う!それだけよ!!
……みんな、驕れる王者の足元を掬ってやりましょう!」
『『『おおーーーっ!!!』』』
エリカ「パンツァー・フォー!!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ブロロロロロドドド
エリカ「重装甲故に敵部隊の移動は速くない。こちらは全速力で高地を奪取し地の利を得るわ。
重くて登坂に不利なポルシェとルノーは別動隊として後方に回れ」
沙織「うん、ゼートイフェルより各車。レオポンとブビコウツは3時方向の森の中に入って下さい。
残りは全車で207地点に移動します」
ナカジマ『りょーかーい。また後でねー、ほらいくよー』
そど子『私がいなくなってもちゃんとするのよ、冷泉さん!』
麻子「はいはい。エンストするなよそど子」
ブロロロ
エリカ「高地へ向かって全速前進!」
ももがー「ぬぐー、うまくまっすぐ進めない」
ねこにゃー「だ、大丈夫?ゲームでは簡単に動くのに」
ぴよたん「ゲームと一緒に考えたら隊長にまた怒られるし!」
ねこにゃー「にゃっ!?し、失言」
ももがー「がんばるもも!」
ヒュンッ ドォンッッ!!
エルヴィン「森の中から敵!!」
典子「早い!!」
ドォンッ!! ズバァンッ!!
あゆみ「あわわわ!?」
桂利奈「やばいやばい!」
桃「森の中をショートカットしてきたのか!」
華「強烈ですね……!」
優花里「これが西住流……!」
エリカ「ふっ。やはり来ましたか、西住隊長……!全車応戦!!」
ドォンッ!! バゴォンッ!!
まほ「反撃してきたな。皆、砲撃を緩めるな。ここで仕留めるつもりでいくぞ」
ドォンッ!! ズバァッン!!
ガチャ
みほ「……」
装填手「どうしました?」
みほ「敵の数が2輌少ない。少し怖いかな」
砲手「隊長に進言しては?」
みほ「……ううん。フラッグ車は見えてるし、今は隊長の言う通り攻める時だと思うから。
砲撃を続けて下さい」
砲手「了解」
ドォンッ!! バァンッ!!
エルヴィン「くそっ!!このままでは!」
ズドォンッ! ガアンッ!!
桃「逸見!かなりやばいぞ!!」
ズバァンッ!!
エリカ「全車!!あと少しだけ耐えなさい!!」
沙織「えりりん!来たよ!!」
エリカ「……よし」ニヤリ
みほ「……っ!!」ゾクッ
みほ「……っ!!」ゾクッ
みほ(この感じ……エリカさんが何かしてくる!)
ガチャ キョロキョロ
みほ「!!9時の方向に敵影!転回してください!」
ナカジマ「お待たせー!!」
そど子「いくわよ!風紀アタック!」
ドォンッ! ズバァッン!!
バゴォッン!!
カッ シュポッ
『黒森峰女学園、Ⅳ号駆逐、走行不能!』
ホシノ「1輌撃破!!」
ナカジマ「やるねぇホシノー」
ドゴォン!!ズゴォン!
梓「やった!」
エルヴィン「奇襲成功だな」
エリカ「でかした!このまま挟んで削ってやりなさい!あと1,2輌倒したらここから離れるわ!」
まほ「……!別方向から新手が2輌。向こうも森の中に潜ませていたのか。
各車、フラッグ車を守りつつ両翼に展開し反撃を」
通信手「隊長!副隊長車が陣形から離れてます!!」
まほ「なに?」
ドォンッ!! ズバァンッ! カァンッ!
そど子「もう!なんなの?ティーガーってあんなに硬いの!?
こちらブビコウツ!フラッグ車のティーガーが前に出てきました!反撃を受けてます!」
エリカ「フラッグ車が!?チャンスね!全車輌!狙いを2時方向ティーガーに!ここでフラッグ車を倒すわよ!
合図で斉射しなさい!」
まほ「敵車輌が狙いをフラッグ車に……仕方ない。7号車、10号車、頼む!」
『了解!!』『了解!!』
エリカ「撃てーー!!」
ドォン!! ズバァンッ! バァンッ! ドンッ! バァンッ!
みほ「……!」
ゴゴゴゴ
ゴォンッ!! ガキィッンッ!!
カッ シュポ カッ シュポッ
『黒森峰女学園、パンター2輌、走行不能!』
みほ「私達の盾に……」
まほ『みほ、何をしている!下がれ!』
みほ「……は、はい!」
エリカ「ちっ!まあいいわ。敵が持ち直す前に移動するわよ!」
『『『了解!』』』
まほ「向こうには足の遅いポルシェティーガーがいる。そう引き離されることはない。
落ち着いて体制を立て直し、追撃を行う」
『了解』
まほ「みほ、敵の奇襲を察知していたのか?」
みほ『い、いえ。すこし嫌な予感がしてただけで、察知したってほどじゃ……』
まほ「だが真っ先に反撃をしただろう。
あそこで、周りに指示を出して複数車輌で警戒・対処していればフラッグ車を危険に曝すことも無かった」
みほ『……ごめんなさい』
まほ「みほ。お前は副隊長だ。もっと自分に自信を持て。周りを動かすことを恐れるな」
みほ『はい……』
ガロロロロロ
優花里「Ⅳ号ラングに、パンター2輌!すごい戦果ですよ!」
エリカ「ええ。戦力差はまだ大きいけど、全車無事でこれなら上等ね。士気も上がるわ」
沙織「えりりん、私達勝てるかもよ!この調子なら!」
エリカ「何言ってるの。勝てるかもじゃなくて勝つのよ」
華「私、興奮してきました」
優花里「私も!勝ちたいです!」
麻子「やるからには当然だ」
エリカ「高地が見えてきた。次の作戦に移りなさい」
ここまで!
ブロロロロ ガッコン
みほ「敵車輌、4輌が高地に陣取っています。
えっと、M3リー、Ⅲ突、89式、それにフラッグ車のⅣ号」
まほ「高地に登ったのは半分、残りは別働隊か。みほ、どう思う?」
みほ「位置関係はこっちが不利だけど、相手が4輌ならこのまま数と火力で押し切る。
それが西住流の戦い方です」
まほ「それはわかっている。私はみほ、お前自身の考えを聞いてるんだ」
みほ「……エリカさんのことだから、私たちが高地を登ったら別働隊が背後から奇襲してくるかも。
何輌かで後方の索敵をしたい、です」
まほ「よし、それで行こう。みほ、私達が高地を攻める間にパンターを率いて後方の森を警戒せよ」
みほ「了解しました。8,9,11,12,13号車は私に付いて来て下さい。
砲力の高いポルシェティーガー、待ち伏せが得意なヘッツァーに特に警戒しながら進んで下さい」
ブロロロロロ
まほ「我々は高地を攻めるぞ。ヤークトティーガー、正面へ。パンツァー・フォー」
ゴゴゴゴゴ
エリカ「来たわね。撃て!」
ドォンッ! ドォンッ! カァンッ!!
華「当たったのに効いてません……硬い!」
優花里「ヤークトティーガー、戦車道ルール内では最強クラスの前面装甲です」
沙織「えりりん、大丈夫なの?」
エリカ「さすがは西住隊長。装甲を抜きにくい駆逐戦車と重戦車だけで来たか……」
エリカ「欲張らないで、作戦通り敵部隊を中腹まで引き付けることを第一に。無駄撃ちはしないでなるべく足元を狙いなさい。
沙織、別働隊に通信」
沙織「うん。ゼートイフェル以下3輌、高地にて敵と交戦中です!そっちの状況はどうですか?」
ドォンッ!バァンッ!!
ナカジマ「じわじわ来てるよー。すぐ見つかって交戦始まっちゃった」
沙織『敵の数は?』
ナカジマ「見た感じパンターばっかりでー、5輌かな。奥にフラッグのティーガーがいるよ」
桃「しかし砲撃はまばらだな。黒森峰にしては慎重だ」
杏「さっきの奇襲でかなり警戒してるっぽいねえ」
エリカ「撃破じゃなくて牽制のために動いてるんでしょうね。確かに黒森峰にしては慎重だけど、あいつらしいか……。
そっちも無理はしないで、しばらく足止めしたら撤退して」
『『『了解!!』』』
ドォンッ! ズガァンッ! バァンッ!
エルヴィン「くそっ、厳しい……!」
左衛門佐「鉄砲隊に弓で挑むようだ……!」
典子「57mm砲のスパイクが効かないなんて!」
妙子「キャプテン、黒森峰じゃなくてもだいたい効きません」
あや「おりゃー!」
あゆみ「くらえー!」
梓「ちょっと、無駄撃ちするなって隊長言ってたから!」
優花里「敵部隊、中腹まで進軍!」
エリカ「敵の被害は2輌履帯破損……できればここでも何輌か削りたかったけど、潮時ね。
全車撤退!右斜め前方に突っ切るわよ!」
『『『了解!』』』
ブロロロ ガガガガッ
「敵部隊、急に動き出しました!逃げられます!」
まほ「3号車、4号車、やれ」
優花里「わわ、ティーガーⅡがこちらを指向中!!」
エリカ「臆せず突っ切れ!!」
典子「いけ河西!!根性の見せ所だ!」
忍「はい!!」
おりょう「ええい、南無八幡大菩薩ぜよ!!」
桂利奈「あいあいー!!」
ゴゴゴゴ
ドォンッ!! ドォンッ!!
バスンッ バスンッ!!
エリカ「よしっ!初撃さえ躱せばあっちは足の重い戦車がほとんど!
中腹まで登った丘陵から降りるには時間がかかるわ!今のうちに合流、川を渡って次の作戦よ!」
沙織「ゼートイフェルより別働隊!そちらも撤退して下さい」
杏『はいよー』
優花里「あちらにはバランスの良いパンターがいます。そのまま追撃してくるのでは?」
エリカ「フラッグ車を抱えてるし、あの副隊長は隊長にべったりだから。
運用経験の少ない中戦車だけの部隊で来ようとはせず、どうせ合流して大隊で攻めようとするはずよ」
優花里「なるほど、黒森峰を熟知されてるからこその作戦ですね」
エリカ「……私の居た頃と変わってなければ、だけどね」
『敵部隊、撤退していきます』
みほ「……あの方向は、川、それを超えたら市街地。少数を活かした市街地戦に持ち込むつもりかな」
まほ『こちら本隊。丘陵での攻防により各車で足回りに不調が出ている。追撃に時間が掛かりそうだ』
みほ「すぐにそちらに合流します」
まほ『被害状況は?』
みほ「ほぼ全車輌無傷です」
まほ『ならばお前たちは先行して敵部隊を追撃しろ』
みほ「でも……そんな戦術は」
まほ『エリカは我々を知り尽くしている。
だからこそ、今までどおりのセオリーで戦っていてはいつまでも足元を掬われるぞ。
お前だって感じているはずだ』
みほ「……うん。わかりました。これより敵を追撃します」
みほ「パンツァー・フォー」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
エリカ「ここの川を超えればすぐに例の橋よ。重量のある順に並んで、慎重かつ速やかに進みなさい」
沙織「慎重かつ速やかにって、無茶言うわね」
麻子「わかった」
沙織「わかったの!?」
ゴゴゴゴ ザパッァン
梓『隊長!遠くに敵の車輌が見えます!たぶんパンター!まだ距離はありますが……』
エリカ「早いわね……中戦車だけで追撃してくるなんて、意外」
桂利奈「急がないと……あれ?」
ピタッ
梓「どうしたの?」
桂利奈「う、動かない!エンジンかからないよ!」
あゆみ「えぇ~!」
沙織「大変!カニンヒェンが止まっちゃったって!」
エリカ「!」
梓「……」コクリ
あや「……」コクリ
梓「隊長!私たちは大丈夫です!先に行ってください!」
あや「後から追いつきます!」
沙織「そんな、このままだと流されちゃうかも」
麻子「だが黒森峰がそこまで来てるぞ」
エリカ「……」
優花里「逸見殿……」
エリカ「ゼートイフェルよりカニンヒェン。その言葉、嘘じゃないわね」
梓『もちろんです!』
エリカ「……わかったわ。各車、カニンヒェンを置いて進むわよ」
麻子「了解」
沙織「えりりん!やっぱり置いていけないよ!あの子たちを危険な目にあわせられない!」
エリカ「あの子たちを大切に思うなら、覚悟を認めてあげなさい!」
沙織「っ……」
梓『沙織先輩!安心して下さい!先輩たちに頼ってばかりじゃありませんから!』
沙織「み、みんな……」
華「沙織さん。一年生の方たちも、沙織さんに心配かけたくないはずですよ」
沙織「……わかった。みんな、無理しないでね!」
エリカ「いい?今度は何かあっても絶対に車外に出ないこと」
梓『はい!』
ブロロロロロ
ザバァ
あや「先輩たちは無事に川を渡りきったよ」
梓「桂利奈、どう?」
桂利奈「もうちょっとでかかりそうなんだけど……」
優季「その前に流されちゃうかも……」
あゆみ「っていうか、黒森峰もすぐそこまで来てるし!」
ゴゴゴッゴ
装填手「敵はこの川を超えたようですが、M3だけ残ってますね」
砲手「エンストして取り残されたのか?この距離なら余裕で撃てるけど」
通信手「なんか危なっかしいなぁ」
みほ「……」
通信手「副隊長!」
みほ「!……ううん。撃破より追撃を優先します。このまま各車、M3の上流を進んで下さい」
操縦手「了解!」
あゆみ「敵の部隊が!川まで入ってきたよ!!」
あや「桂利奈ちゃん急いで!」
梓「あれ、でもなんで撃ってこないんだろう」
みほ「……ここで止まって下さい。一旦、双眼鏡で先行した敵部隊の様子を確認したいから」
ガチャ
操縦手「はい。ふふっ」
通信手「副隊長らしいですね」
みほ「えっ」
あや「敵が6輌みんな真横で止まったよ!」
梓「もしかして、これって……」
桂利奈「川の流れが弱くなった!これなら……」
ガチッ ブロロロロロ
桂利奈「かかった!!」
優季「やったぁー!」
通信手「M3が動き始めましたよ。遅いですが」
みほ「私達も進みましょう。少し遅れました。M3と交戦する暇はありません。構わず急いで行きます」
操縦手「了解っと」
ブロロロロ
ザバァ
あゆみ「みんな先に行っちゃった」
梓「……私達ももたもたしてられない。急ぐよ!」
桂利奈「あい!」
〆
梓「こちらカニンヒェン。敵が川を越えてそちらに向かいました!」
ザザ・・・
梓「あれ?」
優季「んんーー無線が繋がらないなぁ、水没して壊れちゃったのかな」
あゆみ「無線ってそんな弱いの?」
優季「わかんなーい」
梓「先輩達なら多分大丈夫だから、私達は作戦通り迂回して合流しよう」
優季「調整続けるねー」カチャカチャ
ブロロロ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ガガガガガ
ナカジマ「私ら以外は橋、渡りきったよー」
ホシノ「もっと後ろに1年たちがいるけど、大丈夫か?」
スズキ「作戦は知ってるから平気っしょ。ちゃんと迂回するって」
ナカジマ「じゃ、ツチヤ頼んだ。隊長、始めるよー」
エリカ『本当に大丈夫でしょうね?あなた達が落ちたらシャレにならないわよ』
ナカジマ「任せて下さいよー。路面に関しては専門家ですからウチら」
エリカ『……わかった。なら行くわよ。ルーデンドルフ作戦、開始!』
ツチヤ「ここが腕の見せどころぉ!」カチッ
ブォオオンン! ガガガガッ!
ミシミシッ
優花里「ポルシェティーガーをあんな速度で走らせるなんて……」
沙織「普通の車くらい速度出てたよ今!?」
ブォオオン
ナカジマ『これでバッチリです。あと1発ドカンと衝撃あげたら一気に崩れちゃいますよー』
エリカ「よし。ゼートイフェルとニルプフェルトはここで作戦続行。ハオスエンテは市街地に先行して偵察。
残りは少し離れた場所で待機」
典子『わかりました!行ってきます!』
杏『ほーい』
エルヴィン『了解!』
ブロロロロ……
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
エルヴィン『こちらニルプフェルト。位置についた。ここからなら橋の真横を完全に狙い撃てるぞ』
エリカ「ゼートイフェルも準備完了よ。敵の到着が思ったより遅れてるおかげで理想的な待ち伏せ体勢が作れたわ」
華「しかし敵ごと橋を崩すなんて、危険じゃないでしょうか」
エリカ「橋の下はただの傾斜地で、川も流れてない。
この高さで戦車が落下しても砲塔がへし折れる程度で乗員に危険は無いから平気よ。
もちろん白旗は上がるけどね」
優花里「フラッグ車を落とせる可能性もありますね」
エリカ「ええ、それが第一の狙いよ。
市街戦の準備をしてるとはいえ、持ち込む前に決着をつけられるならそれに越したことはないわ」
麻子「楽なのはいいことだ。だが逸見さんはそれでいいのか?」
エリカ「……何が言いたいの?」
麻子「いや、いいならいい」
沙織「!!来たみたいだよ!」
ゴゴゴゴゴ
優花里「パンター5輌にフラッグ車のティーガー。やはり先行してきた部隊のようですね」
エリカ「隊列は?橋を渡る順番が重要よ」
優花里「前からパンターが4輌、続いてティーガー、最後尾にパンター1輌です」
エリカ「ならティーガーが橋に差し掛かった瞬間に砲撃よ。合図するわ」
エルヴィン「了解。頼んだぞ左衛門佐。レマゲン橋を落としてやれ」
左衛門佐「合点承知!」
みほ「このまま橋を渡ります。かなり古そうなので慎重に」
『『『了解!』』』
ガガガガガガッ
みほ「……」
エリカ「今だ!!撃て!!」
エルヴィン『てーっ!!!』
みほ「!!!」
みほ「停止して!!!全速後退!!」
ズガガッ!!!
ドォンッ!!!!
ゴォゴゴッ!ガシャァァ!!
バラララッ
みほ「橋が崩れて……!みなさん大丈夫ですか!!?怪我は!」
エルヴィン「くそっ、フラッグ車がギリギリで後退して仕留められなかったか」
カエサル「だが一撃で4輌を落としたぞ」
エリカ『……ええ、成果は充分よ。フラッグ車は落とせなかったけど橋の向こう。
これで敵がこっちに追いつくまでにはかなり時間がかかる。
全車、これより市街地に向かう!』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『黒森峰女学園、パンター4輌走行不能!』
小梅『みほさん!』
みほ「みんな怪我は無いみたい。
でも一気に4輌も……先行部隊で残ったのは私達と小梅さんの車輌だけになっちゃった」
小梅『橋が崩れては追撃は難しいですね。隊長たちの部隊に合流するしか……』
みほ「うん。ごめんね、私が川で余計なことして遅れたせいで……。
……またエリカさんに甘いって言われちゃうかな」
小梅『副隊長!私たちはそんな副隊長も慕ってるんですから。あの判断は誰も責めたりしませんよ!』
みほ「そう、かな」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ブロロロロ
エリカ「ふっ、あいつの慌てた顔が目に浮かぶわ」
ザザ・・
梓『こちらカニンヒェン!聞こえますか!』
沙織「!!みんな!聞こえるよ!大丈夫だった!?」
梓『よかった、やっと通信が繋がった。こっちは大丈夫です!現在橋を迂回して進行中です!』
エリカ「無事に川を抜けたのね。よくやったわ」
梓『あ……その、実は川を抜けたのは、敵に助けられたおかげで……」
エリカ「は?」
梓『あの後どうしてもエンジンがかからなくて、流されそうになっちゃった所に、敵のティーガーが川の上流で止まってくれて。
そのおかげで川の流れが弱くなって助かったんです』
エリカ「……」
梓『ご、ごめんなさい。隊長がせっかく信じて残してくれたのに』
エリカ「……」
梓『隊長?』
エリカ「敵が同じルートで迂回してくるはずよ。そのまま偵察をしなさい」
梓『り、了解です』
エリカ「通信は以上。無線を切って」
沙織「え?でも?」
エリカ「切って」
沙織「う、うん……」
沙織「これで、もうどことも繋がってないけど」
エリカ「……」
エリカ「……っあぁああ!!!」ガァッン!!
「「「「!?」」」」
エリカ「なんでっ!!なんでっ!!!なんでよっ!!!」ガン!ガン!
優花里「い、逸見殿!あ、あの、あの」
麻子「そんなに壁を殴ったら手を痛めるぞ」
沙織「冷静に言ってる場合!?華、止めて!」
華「エリカさん、落ち着いてください」ガシッ ギュッ
エリカ「離してっ!!」ジタバタ
華「離しません」ギュー
エリカ「っぅうっ!!私は、敵が遅れたって喜んでっ!橋を壊して!!!」
エリカ「でも敵はあの子たちを助けて……!?私はなんなの?最悪じゃないっ!!」
エリカ「なんでっ!!なんでそんなに甘いのよっ!!こっちは真面目に戦ってるのに!!馬鹿にしてっ!!!」
エリカ「うぅうう……」
〆
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
黒森峰 合流地点
まほ「橋を落とすとは、フラッグ車が無事なのが不幸中の幸いだな」
みほ「ごめんなさい。私の警戒が足りませんでした」
まほ「謝ることはない。エリカの策がこちらを上回っただけだ」
みほ「……」
通信手「隊長。偵察中のⅢ号から通信です」
『こちら偵察車。敵部隊が市街地に入りました』
まほ「わかった。こちらは橋を迂回中で少し時間がかかる。
その間に敵が布陣できないように、マウスで打撃を与えろ」
『了解!』
まほ「我々も急ぐぞ」
みほ「お姉ちゃん……ごめんなさい」
まほ「謝るなと言っているだろう」
みほ「そうじゃなくて……私が副隊長でごめん」
まほ「……何を言い出すんだ」
みほ「私はエリカさんの代わりにはなれないから」
まほ「お前はお前だろう。当たり前だ」
みほ「でも、お姉ちゃんはエリカさんが副隊長ならこんなミスはしないって思うでしょ?」
まほ「仮定の話をするつもりはない。もう出発するぞ」
みほ「……はい」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
エリカ「はぁ、はぁ……」
沙織「えりりん、落ち着いた?」
エリカ「最初から落ち着いてるわ」
沙織「いや、そんなわけないでしょ」
麻子「市街地に到着したぞ隊長」
優花里「逸見殿、こんな時に恐縮ですが……みんな指示を待っています」
エリカ「事前に打ち合わせた通りでいいわ」
華「エリカさん、彼女たちが敵に助けられたのがそんなに気に障ったのですか?」
エリカ「……」
沙織「ちょっと華」
華「沙織さん。私たちはチームですから。
エリカさんがこんなに辛そうにしているまま戦いたくありません」
エリカ「あの子たちのことは別に責めてないわ……敵が勝手にやったことだもの。
気に喰わないのはあいつよ……!」
優花里「ティーガーに乗っている、副隊長の西住みほさんのことですか?」
エリカ「……あいつは昔から才能が有るくせに甘くて……!
わかんないのよ。本気で戦ってる私達のことも、1年生たちの覚悟のことだって!」
エリカ「その行為がどれだけ屈辱かも知らないで、平気で手を差し伸べてくる……!
それでいて自分なんて大した事ないって思ってる!!」
沙織「で、でも結果的に1年の子たちを助けてくれたんだからさ……?
私達も前に話したことあるけど、西住さんは良い人なだけなんだよ」
エリカ「そうね、いい人よ。私なんかより余程ね……1年を見捨てた上に助けた敵に文句を言う私に幻滅した?」
沙織「そういうことじゃなくって!なんでそうやって自分を悪者みたいに言う訳?」
エリカ「違うの?助けなかった私を責めてるように聞こえたけど!?」
沙織「責めてないし!!えりりんが勝手に怒ってるんでしょ!西住さんの優しさを見習ったら?」
エリカ「はぁ!?そんなにあいつがいいなら黒森峰に転校したらいいじゃない!」
沙織「なんでそんな酷いこと言うの!?信じらんない!!」
麻子「おい、沙織」
優花里「逸見殿!」
華「二人共、これ以上ここで喧嘩するなら砲に詰めて外に撃ち出しますよ?」
エリカ・沙織「!?」
華「冗談ですよ」
沙織「もう、華ってば……」
エリカ「本気でやりかねないから怖いわ」
華「そんなことありませんよ?」
エリカ・沙織「……」
沙織「ごめんね、えりりん。わかったようなこと言って」
エリカ「……ちょっとカッとなって言い過ぎた……悪かったわ」
優花里「よ、よかったぁ」ホッ
ドォオオンンッ!!!
「「「!!」」」
優花里「砲撃!?」
エリカ「この砲撃音……」
ガチャ
ゴゴゴゴゴゴゴ
エリカ「マウス……やはり完成してたのか!」
優花里「超重戦車マウスですか!?動いてるとこ初めて見ました!」キラキラ
エリカ「感心してる場合か!」
そど子『なんなのよあれ!?あんな図体してマウスって詐欺じゃない!』
ねこにゃー『すごいボスキャラっぽい……』
杏『でっかくていいなー』
エルヴィン『重武装化していったドイツ戦車の終着点だな』
典子『うちの89式の何倍あるんだろう……』
ナカジマ『ひゃー、こりゃ重そうだねえ』
ギグググゥ
エリカ「次弾くるわよ!!とにかく退却!!うちの戦車じゃまともにやって装甲は貫けないわ!」
『『『『はい!』』』』
ドォオオンンッ!!!
ヒュンッ! ドゴォンンッ!
杏「やーらーれー」
桃「てません!」
柚子「すごい風圧!?」
エリカ「麻子、他の戦車を振り切らないように路地へ!沙織!カニンヒェンに状況を!」
麻子「ほいー」
沙織「こちら本隊、カニンヒェン。偵察はどうですか?」
梓『黒森峰本隊、あと3分で市街地に到達します』
エリカ「このままマウスと本隊を合流させたらまずいわね……」
Ⅲ号戦車車長「あーはっはっは!お前たちにマウスが倒せるか!」
エリカ「マウスの後ろにⅢ号戦車……」
優花里「影に隠れてフラフラしてますね」
エリカ「マウスは動きも視界も悪いから。Ⅲ号が索敵と指揮役をしてるんでしょう」
優花里「なるほど、だとしてもあのフラフラしてる動きはどういう意味でしょうか」
エリカ「あの調子に乗った動きは、たぶんあいつがⅢ号の車長ね」
優花里「お知り合いでありますか?」
エリカ「ええ。あいつはそこそこ優秀だけど、調子に乗ると高笑いして判断能力が落ちるのよ」
優花里「そ、それは黒森峰っぽくないですね」
エリカ「周りが思ってるほど、黒森峰も統制が取れてるわけじゃないわ。それぞれ個性があるのよ。
とにかく、あのⅢ号戦車は利用できるわね。沙織、地図を」
沙織「うん」バサッ
エリカ「これからの作戦は地形把握と通信が重要よ。各車との連携を密にして」
短いけど今日はここまでです
『『『了解!』』』
エリカ「……そして、それ以上に重要なのが私達全員の意思を一つにすること。
簡単な作戦じゃないわ。一人でも動きを間違えれば、失敗する」
エリカ「だけど、現状私と皆の間には決定的な意思の差があるわ。
私は、今まで皆にある事実をずっと黙ってきたから」
華「ある事実?」
優花里「一体どんな機密情報でありますか?」
エリカ「みんな、私と同じものを背負う覚悟は……ある?」
沙織「そんなの、あったりまえじゃん!前にも言ったよね!」
麻子「もっと私達を頼って構わない」
優花里「はい!私は逸見殿に何処までも付いていきます!」
華「逸見さんの戦車道、私達にも歩かせて下さい」
エリカ「……そう言うと思ってたわ。物好きなんだから」
沙織「また照れ隠し?」
エリカ「うるさい。……他のチームはどう?」
カエサル『賽は投げられた』
典子『なんでも受け止めます!』
そど子『風紀委員は怖気づかないわ!』
ねこにゃー『ゲーマーは鋼の心を持ってます』
ナカジマ『なんでも言っちゃいな、隊長』
梓『逸見隊長、教えてください!』
杏『悪いね、逸見ちゃん。頼んだよ』
エリカ「……この戦い、私達は失うものは何もないって言ったけど、アレは嘘」
エリカ「優勝できないと、大洗女子学園は廃校になるわ」
『『『『ええええぇーーーー!!!』』』』
エリカ「つまり、私達の肩に大洗女子の未来が掛かってるって事。
……気にするなとは言えない。責任を感じるなとも言えない。言っても無理だってわかってるから。
だけど、それでも皆が一緒に戦うって言うなら……きっと成功するわ」
沙織「皆と離れ離れになっちゃうの?」
優花里「そんな……せっかく出会えたのに」
左衛門佐「素浪人……」
ぴよたん「リアルニート……」
妙子「バレー部復活どころか……」
ホシノ「自動車部解散……」
ゴモヨ「取り締まりが……」
桂利奈「にゅ、入学したばかりなのに」ウルウル
あゆみ「私達1年じゃなくなったらどうなっちゃうの?」
優季「いやだ……」
あや「なんでこんなことに……」
梓「み、みんな……そんなこと言わないで……ぐすっ」
トントン
梓「え、紗希、どうしたの?マイク?貸してほしいの?」
紗希「……」コクリ
紗希『……勝ちたい』
『『『!!』』』
沙織「誰の声!?」
紗希『勝ちたい。勝って皆で戦車道、もっと』
梓「紗希……!!」
優季「紗希ちゃん!」
あや「そうだよね!勝てばいいんだ!」
あゆみ「うん、勝とう!」
桂利奈「よっしゃー!勝つぞーーー!!!」
エルヴィン「そうだ、勝つぞ。我々は勝つ!!……えいえい!」
カエサル・左衛門佐・おりょう「おおーーーー!!」
典子「良い根性だ!私達も負けないよ!!バレー部!」
妙子・あけび・忍「ファイトー!!」
ザワザワ オオオー! ザワザワ ザワザワ オオオオオ!!
華「皆さんの熱気が通信機越しに伝わってくるようです」
優花里「やりましょう逸見殿!」
沙織「うん!女は度胸!」
麻子「やれやれ」
エリカ「……これで私達は一蓮托生よ!各車、作戦指示をよく聞きなさい!!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ブロロロロロ
梓『黒森峰本隊、市街地に入りました。2列縦隊、前方にヤークト他駆逐戦車、中央にフラッグ車のティーガー……
両脇にティーガーⅡ、最後方はティーガーとパンターです』
エリカ「予想通りの布陣ね。パンターを多く撃破したから、奇襲を受けやすい市街地でフラッグ車の左右と後方を護れる戦車が限られてる」
そど子『マウス及びⅢ号戦車、再び後方から迫ってきます』
エリカ「これより、へクセンシュス作戦を開始する!シルトクレーテ、ハオスエンテ、やって」
杏『ほーい、じゃまた後ほどねー』
ブォオオン
Ⅲ号戦車車長「ヘッツァーが離れた……まあいい、このままフラッグ車のいる本隊を脅かし続ければそのうち音を上げるだろう」
典子「接近しろ!そーれそれそれ!」
ドォン!! カァンッ
あけび「やっぱり異常に硬いです!」
典子「いいよ!目的は挑発だ!やーいやーい!!」
ドォンッ! カァンッ! バババババ
マウス車長「なんだっあの軽戦車はちょこまかと!マウスの主砲の餌食にしてやる!」
典子「ほーら、こっちにおいで!」
ブォォォ
マウス車長「脇道に入った!?逃がすか!」
Ⅲ号車長『待て!見え見えの挑発に乗るな!』
マウス車長「くっ、しかし我ら黒森峰、受けた挑発を無視など出来ないわ!」
Ⅲ号車長『なら89式は我々が追う!お前たちは本隊を狙い続けるんだ!でも無理はしないで!
相手はあの逸見副隊長……元副隊長、どんな罠を仕掛けてるかわからない!』
マウス車長「了解!」
そど子『Ⅲ号、ハオスエンテを追って横道に入りました』
エリカ「了解。全車、機銃掃射!!」
ダラララララッ! バババババッ!
マウス車長「この後に及んで機銃だと!?痛くも痒くもないがこれじゃ車体の外に出れない……
危険な香りがするわ!速度を落とせ!慎重に追うぞ!」
エリカ「今よ。レオポン、ニルプフェルト、脇道へ!」
ナカジマ『はいよー!』
エルヴィン『待ってろハオスエンテ、今行くぞ!』
エリカ「1893地点の十字路まであと300m。アーマイゼンフレッサとブビコウツは私達の後方へ」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
Ⅲ号車長「待て待てー!」
典子「待ちませーん!」
ドォンッ!
Ⅲ号車長「はーっはっは!Ⅲ号戦車とはいえ89式なんぞに遅れを取るか!覚悟しろ!」
典子「こちらハオスエンテ、1145地点まで5秒」
エルヴィン『いけるか?レオポン』
ナカジマ『お待たせ。いけるよ!』
典子「よし、今だ!いけー!!」
ブォォンッ!
Ⅲ号車長「はっ!」
ドォンッ!!!ズバァンッ!!!
カッ シュポッ
『黒森峰女学園Ⅲ号戦車、走行不能!』
左衛門佐「やった!」
ホシノ「ふぅっ!」
典子「ナイスアタック!」
Ⅲ号車長「くっそやられた!マウス、聞こえるか!Ⅲ突とポルシェティーガーの待ち伏せを受けて撃破された!
でもこれはチャンスだ!おそらく本来はマウス用のトラップ!敵本隊に残った火力は少ないぞ!一気に攻めろ!」
マウス『おっけー!仇は取るよ!』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ゴゴゴゴゴ
ズバァンッ!! ズババババババ!!
そど子『マウス、加速してるわ!』
沙織「十字路まであと100m!カニンヒェン、どうですか!」
梓『黒森峰本隊、十字路到達まであと20秒!』
エリカ「そろそろね。麻子、スピードを上げて!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
まほ「マウス、現在位置はどこだ」
マウス『視界不良に付き確認できません!フラッグ車を追撃中!』
みほ「……音が近い。十字路に差し掛かります。左右に十分注意して下さい」
ガガガガッ
みほ「!?」
ギュンンッ
エリカ「全力で右折!!」
ギャギャギャギャ!!
ヤークトパンター車長『正面に敵Ⅳ号戦車!フラッグ車です!十字路から飛び出してきました!仕留めます!』
まほ「マウスがフラッグ車を追っていたということは……全車停止!十字路でマウスと交差するぞ!!」
エリカ「交差なんかさせるもんですか!タイミングも位置も完璧!衝撃に備えて!!!」
そど子『はい!停止!!』
ももがー『止まるもも!』
ガガガガッ キイィー!!
マウス車長『なっ、前方2輌が突然止まっ…うわぁー!』
ドガァンン!!!
みほ「危ないっ!」
まほ「……なるほど」
ドォンッ!!
カッ シュポッ
梓「ナイス、あゆみ!」
あゆみ「やった!」
『黒森峰女学園、パンター走行不能!』
エリカ「あなたたち、頼んだわよ……!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
オレンジペコ「十字路の真ん中でマウスを無理やり止めて、黒森峰を2隊に分断した……」
ダージリン「史上最大の巨体を、狭い十字路でそのまま壁にしたわけね」
オレンジペコ「ですが分断のタイミングが悪かったのでは?黒森峰の前方部隊はフラッグ車を含めて9輌。
後方は今パンターが撃破され、ティーガーが1輌。乗っているのは」
ダージリン「まほさん、ね」
オレンジペコ「そして向かい合っているM3は……」
ダージリン「ええ、覚えているわ。練習試合で、逃げ出した子たちね」
オレンジペコ「1対1とはいえ……あまりに差が大きいです」
ダージリン「ふふっ、そうね。でもなんだか、わくわくしない?」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
マウス車長『すいません!前方を2輌に止められて……旋回するにも道幅にピッタリ嵌ってしまってます!』
まほ「そのまま進め。マウスなら敵が2輌でもいずれ重量差で押しきれる」
みほ『お姉ちゃん!』
まほ「マウスが動くまでしばらく道は開かない。お前たちはフラッグ車を追撃しろ」
みほ『わかりました。お姉ちゃ……隊長もすぐ合流してください』
ブロロロロ
まほ「そのつもりだが、まずは挑戦者の相手をしなくてはな」
梓「……」
まほ「西住流に逃げるという道はない。エリカの育てたチームの腕前、見せてもらうぞ」
梓「みんな、準備はいい?」
あゆみ「相手は日本最強の高校生……」
あや「超怖いんだけど……でも!」
優季「隊長が任せてくれたもん」
梓「このティーガー、逸見隊長の所に絶対に向かわせちゃいけない……ここでやっつけよう!」
桂利奈「やったるぞーーー!!」
梓「絶対に、今度は絶対に逃げないんだから!!」
「「「「おおーーっ!!」」」」
ここまで!
>>430
だいたいこんな感じかねえ
1.エリカ右折
兎 │ │
│ │
───────┘ └──
黒森峰ミホ本隊→ ┌→
───────┐鮟┌──
│↑│
│鬘│
│蟻│
│↑│
│鼠│
│ │
兎 │ │
───────┘ └──────
豹 マホ 黒森峰ミホ本隊→ →鮟
│鬘│
│蟻│
│↑│
│鼠│
│車│
│鬘│
│蟻│
───────┘鼠└──────
───────┐体┌──────
│ │
>>434
わかりやすいAAありがとうございます!
その通りの状況です
ちなみに次の投稿は明日を予定してます
まほ「前進」
ブロロロロ
梓「後退!」
ブオオオオオ
梓「狭い道でティーガーと向かい合っても一方的にやられるだけ。まずは広いところに出るよ!作戦通りにね!」
桂利奈「あい!」
まほ「追え」
ブロロロ
梓「やっぱり付いてくる……逸見隊長の言ったとおり」
あや「私達なんか放っておいてフラッグ車倒しに行けばいいのに!」
あゆみ「挑戦は絶対受け止めるのが西住流なんだって」
ドォンッ!!
優季「撃ってきたぁ」
梓「やっぱり西住流半端ない……桂利奈!」
桂利奈「もうすぐ広場に出るよ!」
梓「あや!」
あや「うん。喰らえー!」
バァンッ!
まほ「ここなら動き回って被弾を防ぎやすいと考えたのだろうが、それはこちらも同じ」
まほ「撃て!」
ズドォンッ!!
あゆみ「ひっ!」
梓「大丈夫。このまま左方向からティーガーを牽制してちょっとずつ外側へ!」
ブロロロロロロ
ドォンッ!!
梓「撃て!」
バァンッ!!
ブロロロロ
まほ「こちらを牽制しながら撃ってきているようだが、M3の動きに仕組まれた何かを感じる……」
ドォンッ!!!
ブロロロロ
梓「このまま引き付けて……会長今です!」
杏『はいよ!』
まほ(……!建物の陰にヘッツァー)
ドォンッ!!!
まほ「旋回右30度!」
カァンッ!
杏『斜めに受けて逸らされた……!』
まほ「最初から、マウスを誘導した時からこの一撃を狙って動いていたわけか。
緻密で良い作戦だ。だが私もやられるつもりはない」
ドォンッ! バキィッ!
あゆみ「きゃあっ!!」
あや「大丈夫!?」
あゆみ「うん、弾がもうちょっと左にずれたら完全に撃破されてたけど……」
杏『ごめんね逸見ちゃん失敗しちゃった。2対1でもこりゃもう長くは持たないよ』
ドォンッ!!
エリカ『……了解。西住隊長をここまで引き止めただけでも上等です。あとは少しでも時間を稼いで下さい』
杏『だってさ、澤ちゃん』
梓「皆が作った最大のチャンスを逃しちゃった。私のタイミングが悪かったせいで……」
優季「梓は悪く無いってー、頑張ったじゃん」
あや「もう体当たりでもしてちょっとでもティーガー止めよう!」
梓(そうだよね……ここまで頑張ったんだもん。逸見隊長だって許してくれる)
梓(許す……?私は隊長に許される為に戦ってたの?)
梓(初めて会った時、いきなり怒られて、試合中に逃げて怒られて……確かに隊長は怖いけど、誰よりも真剣だった)
梓(そうだ、私は隊長に許されたいんじゃない。隊長みたいになりたいんだ。隊長と肩を並べたいんだ!)
梓「……みんな、ちょっとわがまま言っていい?会長も」
あや「珍しいじゃん」
優季「梓がわがままなんてー」
あゆみ「いつも私たちに流されてるもんね」
桂利奈「なんでもこい!」
紗希「……」コクリ
杏『いいよー』
桃『作戦があるなら早くしろー!』
梓「サンダース戦の時も、プラウダの時も。隊長はどれだけ不利になっても逆に利用して戦いを覆してきた!
私たちにだって出来るはずだよ!」
ドォンッ! ブロロロロ ドォンッ!
砲手「ヘッツァー、M3、共にこちらと距離を取りながら行進間射撃を繰り返しています」
まほ「もう我々を倒すのは諦めて、時間稼ぎのつもりだろう。M3は副砲しか撃っていないな」
砲手「先程の砲撃が車体側面に当たったので主砲が使用不能になったのでしょう」
まほ「まずはヘッツァーから仕留めるぞ。停止して確実に撃ち抜け」
操縦手「はい!」
ガガァ
まほ「撃て!!」
ズバァンッ!!
ドォガッ! カッ シュポッ
『大洗女子学園ヘッツァー、走行不能!』
あや「ティーガーが止まった!ってもうシルトクレーテやられたよ!」
梓「行くよ!全速前進!!」
桂利奈「あいあい!!」
ブロロォォォ!!
装填手「M3、突撃してきます!やけになったか!?」
ブロロロォ ガァンッ!
操縦手「ッ接触!ゼロ距離です!敵の車体が高くて砲塔が回りません!」
まほ「37mmだけなら至近距離で受けても問題ない。このまま後退し砲塔旋回……!」
まほ「……まさか」
梓「撃てええええ!!!」
あや・あゆみ「「せーの!!」」
ドドォンッッッ!!!!
ドォオオンンッ!!
カッ シュポッ
カッ シュポッ
『大洗女子学園M3、走行不能!』
『黒森峰女学園ティーガー、走行不能!』
まほ「こちらに停止射撃をさせるため、主砲が故障したと見せかけヘッツァーを撃たせたのか」
まほ「エリカのチームらしい……」
あゆみ「相討ち……」
あや「ギリギリで対応されちゃったか、やっぱりすごい」
優季「でも倒せちゃったよ、黒森峰の隊長を」
桂利奈「やったっ!!」
梓『こちらカニンヒェン、シルトクレーテ。ティーガー倒したけどこちらも戦闘不能です』
梓『あとは先輩たち、お願いします!』
杏『我々の役目はここまでだな』
桃『頼んだぞ、逸見隊長!』
柚子『頑張ってぇ!』
エリカ「……西住隊長を、倒した」
エリカ「最初は印象最悪だった生徒会と1年生が……!!ふふっ!」
優花里「すごいです!快挙であります!」
沙織「みんな怪我もないって!」
華「次は私達が頑張る番ですね」
麻子「一転攻勢」
エリカ「ええ、敵はまだ9輌こっちは6輌、
だけど西住隊長のカリスマに支えられてきた黒森峰にとってこれは1輌どころじゃない損失よ!!」
エリカ「ええ、敵は9輌こっちは6輌、
だけど西住隊長のカリスマに支えられてきた黒森峰にとってこれは1輌どころじゃない損失よ!!」
エリカ「敵は弱ってるわ!ここでフラッグ車の部隊を倒す!!アーマイゼンフレッサ、ブビコウツ!マウスからは離れたわね?
あなたたちは左翼から敵部隊を攻撃!」
ねこにゃー『はいにゃ』
そど子『はい!』
エリカ「ニルプフェルト、ハオスエンテ、レオポンは左翼から!挟撃するわよ!!
敵9輌のうち6輌は砲塔の回らない駆逐戦車。横からの攻撃には対応できない!
フラッグ車が応戦しようとした隙を突いて私達ゼートイフェルが転進して前方から攻めるわ!」
エルヴィン『了解だ!』
典子『わかりました!』
ナカジマ『ほーい!』
エリカ「待ってなさい!私達を甘く見たこと後悔させてやるわ!」
土曜日といいつつ日付を超えてすいません
とりあえずここまでです
乙です
まさか2輌がかりで相打ちとはいえ倒すとは
>>467
両方とも「左翼から」になってますが、どちらかは「右翼から」かな?
>>483 指摘ありがとうございます。間違えてました
>>467 レス訂正
エリカ「敵は弱ってるわ!ここでフラッグ車の部隊を倒す!!アーマイゼンフレッサ、ブビコウツ!マウスからは離れたわね?
あなたたちは左翼から敵部隊を攻撃!」
ねこにゃー『はいにゃ』
そど子『はい!』
エリカ「ニルプフェルト、ハオスエンテ、レオポンは右翼から!挟撃するわよ!!
敵9輌のうち6輌は砲塔の回らない駆逐戦車。横からの攻撃には対応できない!
フラッグ車が応戦しようとした隙を突いて私達ゼートイフェルが転進して前方から攻めるわ!」
エルヴィン『了解だ!』
典子『わかりました!』
ナカジマ『ほーい!』
エリカ「待ってなさい!私達を甘く見たこと後悔させてやるわ!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ヤークトパンター車長『……敵Ⅳ号戦車に大幅に引き離されました』
みほ「数的にはこちらが優位です。もうすぐ隊長も合流するはずなので、このまま陣形を崩さず着実に追撃します」
『黒森峰女学園ティーガー、走行不能!』
通信手「みほさんっ!!隊長が!!隊長が撃破されました!!」
みほ「!!」
みほ「お姉ちゃんっ!?」
まほ『すまない。エリカの戦車道を見せ付けられてしまった。みほ、部隊の指揮権をおまえに移す』
みほ「……はい。勝つために頑張ります」
まほ『お前はなぜ、エリカに勝ちたいと思う』
みほ「だって、戦いは勝たないといけないから。勝たなきゃ駄目だから」
まほ『確かに西住流の考えはそうだ。
だがみほ、西住流の娘である前に、お前は私の妹であり、エリカの友人だ』
みほ「私なんかを友達だと、思ってくれてたのかな」
まほ『私には、お前たちがお互いに足りないものを持っているように見えていた。
それをどう捉えるかは、お前たちの問題だが』
まほ『敵同士になっても、それはきっと同じはずだ』
みほ「……」
まほ『我ながら口が下手だな、相変わらず。とにかく後は頼んだ。みほ、お前の戦車道を見せてくれ』
みほ「私の戦車道……」
エリカ「攻撃開始!!」
ドォンッ!! ズバァンッ! ドォンッ!! ダァッンッ!!
みほ「……!」
『左右から攻撃です!!』
『くそっ!こっちが固定砲塔なのをいいことに!』
『4号車応戦します!きゃあっ』
みほ(エリカさんが転校したと思ったら別の学校で隊長になって、決勝戦まで来て、お姉ちゃんを倒した)
みほ(わかってるんだけど、なんだか、現実じゃないみたい)
みほ(私は……エリカさんがいなくなって、副隊長になって、今は隊長代理で)
みほ(戦わないといけない、エリカさんと……)
『くぉの!ヤークトパンター履帯破損!重いのに!』
『副隊長、指示を!』
『フラッグ車を護れ!敵はここで終わらせるつもりだ!』
みほ(勝てるかな……私がエリカさんに)
みほ(お姉ちゃんは私の戦車道を見せてって言ってた。私の戦車道って?そういえば……)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
エリカ『そんなんでよく黒森峰の機甲科に入ったわね。なんのために戦車道やってるわけ?』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
みほ(エリカさんにも同じようなこと聞かれたことあったっけ……)
みほ(あ、私、エリカさんにとっての戦車道ってなんなのか、結局教えてもらえなかったな)
みほ(ちゃんと聞いておけばよかった……あれ、でも)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
まほ『……すまない。エリカの戦車道を見せ付けられてしまった』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
みほ(そっか、そうだ。戦車道は言葉で表現するものじゃないんだ。エリカさんがお姉ちゃんに見せたように)
みほ(うん、そうだね、そうだ、そうだったんだ)
みほ(なんで気付かなかったんだろう、私は……エリカさんに勝ちたい!)
みほ(エリカさんと戦って、お互いの戦車道を分かり合いたいんだ!)
『副隊長!!応答して下さい!!』
通信手「みほさん!!」
装填手「副隊長!」
操縦手「みほ!」
砲手「副隊長!」
みほ「……ここから撤退します!!」
エレファント車長『く、黒森峰が敵から逃げると!?』
みほ「逃げずに負けるなら逃げて勝つことを選びます」
エレファント車長『は、はい』
みほ「ヤークトパンターはその場に残って下さい。履帯を修理する必要はありません。
おそらく数秒後に正面からⅣ号が来ます。迎撃してください」
ヤークトパンター車長『え、はい、了解!』
みほ「残りは全車全速で後退し、左右の路地へ!行きます!」
ブロロロロロロ
おりょう「敵が逃げたぜよ!」
そど子「待ちなさい!」
沙織『こちらももうすぐ合流します!』
エリカ「!!?ヤークトパンター!左に避けて!」
麻子「ん」グググッ
ドォンッ!!!
エリカ「そのまま路地に後退!くそっ、合流を阻まれた……」
みほ「1331地点に敵を誘導します。12、13、15号車はラングの機動力を活かして敵の背後をとりつつ追い立ててください。
ティーガーⅡは威嚇射撃をしながら怪しまれないよう攻撃を多少受けつつ、各車の位置状況を正確に伝えて下さい」
ヤークトティーガーとエレファントは正面から敵にプレッシャーを与えながら、散開させすぎないよう努めて下さい」
『『『了解!!』』』
典子『なんだ?敵が急に単独で動き出したぞ!』
ナカジマ『あっちは集団行動が得意らしいのにね』
ねこにゃー『あわあわ、危ない。右に曲がるにゃー』
エルヴィン『いつの間にか後ろをとられてる!左に振り切れ!』
そど子『ヤークトパンターが撃ってきたわ!後退するわよ!』
エリカ「みんな!周りをよく見て!フラッグ車だけを狙いなさい!」
典子『いたっ!フラッグ車発見!護衛はいません!』
エルヴィン『おっと、前方に敵フラッグ車だ!』
ねこにゃー『真のラスボス見つけたにゃー!』
そど子『フラッグ車がいたわ!しかも単独よ!』
ナカジマ『ありゃ、みんなおそろいで。これはチャンスだね』
エリカ「味方が5輌もフラッグ車のところに集まった!?」
沙織「私達以外みんないるじゃん!」
優花里「大チャンスなのでは!?」
エリカ「そうね……」
エリカ(でも何、この悪寒は……!)
典子「アタッーク!」
エルヴィン「ってーい!」
そど子「撃て!」
ねこにゃー「ファイアだにゃ!」
ナカジマ「やっちゃうよ!」
ドォンッ ズバァンッ! ドゴォン! バァンッッ! ズバァンッ!
みほ「後退、左20度、そのまま1時方向B1bis、撃て!」
ブロロォ ドォンッッ!!!
そど子「きゃあっ!」
みほ「次弾装填、3時方向八九式、全速前進しつつ砲撃後に10時へ砲塔指向」
ブロロブォオオン
ドォンッ!! ガゴッォ ゴロンゴロン
典子「うわーーーっ!!」
エルヴィン「おのれハオスエンテとブビコウツの仇!装填いそg
ドォンンッ!!!
エルヴィン「げぇっ!?」
みほ「右10度、微速後退、8時方向三式」
ナカジマ「撃て!」
ドォンッ! ヒュン
ブロロロォ ガガァ!
みほ「撃て!」
ドガォンッ!!!
ねこにゃー「ぎにゃぁあ!」
みほ「旋回、停止。正面ポルシェティーガー、撃て!」
ドォンッッ!!
ナカジマ「あっちゃっあー」
カッ シュポッ
カッ シュポッ
カッ シュポッ
カッ シュポッ
カッ シュポッ
『え、あっ』
『お、大洗女子学園ルノーB1bis、走行不能!』
『八九式中戦車、走行不能!』
『Ⅲ号突撃砲、走行不能!』
『三式中戦車、走行不能!』
『ポルシェティーガー、走行不能!』
みほ「あとは1輌。待っててくださいエリカさん、必ず勝ちます!」
みほ「私の戦車道、やっと見つかりそう!」
〆
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ケイ「アメージング!この試合は驚くことばっかりね!」
アリサ「西住まほがやられたと思ったら副隊長が大暴れ……なんなのよこの決勝!」
ナオミ「へえ……」
ダージリン「まほさんと妹さんは全然違うと思ってたけど、やっぱり姉妹ね。
それにしても、耳が痛い目覚まし時計だったようで」
オレンジペコ「ダージリン様は何でもお見通しなんですね」
ダージリン「私はハーブティーでも飲んでゆっくり目を覚ましたいものですわね」
オレンジペコ「は、はあ」
ノンナ「これは、両校ともかなりの奮闘ですね」
カチューシャ「……」
ノンナ「どうしました?カチューシャ」
カチューシャ「わからないの!?あいつが今何をしたか!」
ノンナ「1輌で5輌を倒したことは、私も驚いていますよ」
カチューシャ「違うわ!それだけなら、大きな実力差があればわからないこともないけど……
問題はそれまでにあいつがしたことよ!普通キルゾーンに誘導するときは、少数の囮で誘導して多数で叩くもんでしょ!」
ノンナ「なるほど……彼女は逆に全ての車輌を誘導に使い、自らの車輌たった1輌をキルゾーンに……」
カチューシャ「しかもフラッグ車でね。あんなの自信があるだけで出来るようなことじゃないわ」
絹代「見ろ、お前たち。やはりあの方は普通じゃない。我が知波単学園もあそこまで強くなるために……」
玉田「大洗の人たち、見事な散り様でした!」
名倉「西住まほ殿とお相手の相討ちも素晴らしい散り方でした!」
福田「私もあんなふうにかっこ良く散りたいであります!」
絹代「そこじゃないだろ!まあいいか!どちらも応援するぞ!」
アキ「すごいね!こんな試合初めて!興奮しちゃう!」
ミカ「感情を高揚させることは、賢いこととは言い難いよ」
アキ「またそうやって水を差すんだから」
ミカ「だけど、賢ければいいってもんじゃない。見てごらん。
戦車道には、もっと素晴らしい物が詰まっているからね」
アンチョビ「むにゃむにゃ……なんだ、騒がしいな……んあっ!!!やばい試合始まってるぞ!!お前ら起きろ!!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
沙織「嘘、うそ!?全滅しちゃった……!」
華「残りは私達だけ……」
麻子「西住流というのはこうも理不尽なのか」
優花里「い、いえ……こんなの私も初めてです。西住流の戦い方で形容できない何かとしか……」
沙織「ど、どうしようえりりん」
エリカ「……」
華「エリカさん?」
優花里「さ、さすがの逸見殿も言葉を失うほどでありますか」
麻子「何か様子が変だぞ」
エリカ「……」
沙織「あ、また怒らないでよ!落ち着いて!」
エリカ「……ふふっ」
華「……今、ふふって」
エリカ「ふ、ふふ、うふふふ、はははははは!!!」
優花里「逸見殿!?」
沙織「えりりん!?おかしくなっちゃった!?」
エリカ「ははははっ!!そうよ!そうよ!来たわ!ついに来たのねこの時が!」
エリカ「昔からずっとずっと甘ちゃんで、私が何をしても本気を見せようとしなかったあいつがっ!!」
エリカ「今!やっと!私を本気で潰そうとしてるのね!!タイミングは最悪だけど……気分は最高よ!!」
麻子「ずいぶんハイになってるな」
華「こんなに笑ってるエリカさん、初めて見ました」
優花里「なんでしょう……!なんだか私もテンション上がってきましたよ!」
沙織「笑ってるけど、相手はあんなに強いんだよ!?」
優花里「あ、そ、そうでした。相手は強力な戦車が9輌、マウスが復帰したら10輌……こちらは我々Ⅳ号だけ」
エリカ「は?……だから何?」
優花里「えっ、ですから戦力差が」
エリカ「いい?よく聞きなさい!!
相手の性能がこっちより上ってことも!相手の数がこっちの10倍ってことも!相手の指揮官が5輌を瞬殺したことだって!」
エリカ「どれひとつとして、私達が負ける理由にはならないわ!!」
沙織「な、なんでよ!?」
エリカ「だって、私達は強いから」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ヤークトティーガー車長「こちら第2小隊。副隊長、敵フラッグ車を発見しました」
みほ『分かりました。気を付けて包囲して下さい』
ヤークトティーガー車長「こちらは我々含めて4輌。すぐに片付けますよ。攻撃開始!」
ズドォンンッ!! バァンッ! ズバァンッ!!
優花里「敵襲!前方より4輌……!ヤークトティーガー、ティーガーⅡ、ラングが2輌!恐ろしい火力です!」
エリカ「勝利を急いで焦った砲撃なんて怖くないわ。麻子、ジグザグに避けつつ11時方向ラングへ近づいて」
麻子「わかった」
エリカ「優花里、華。1発で頼むわよ!」
華「はい」
優花里「はい!」
ブロロロロ
エリカ「停止!!……撃て!」
ギギッ ドォンッ!
カッ シュポッ
『黒森峰女学園Ⅳ号駆逐戦車、走行不能!』
エリカ「そのまま全速前進」
ブロロロォ
ヤークトティーガー車長『くそ、後ろに抜けられた!だがこっちにはティーガーⅡがいるんだぞ!』
ティーガーⅡ車長『任せて!砲当旋回!』
>>542 訂正
ブロロロロ
エリカ「停止!!……撃て!」
ギギッ ドォンッ!
カッ シュポッ
『黒森峰女学園Ⅳ号駆逐戦車、走行不能!』
エリカ「そのまま全速前進」
ブロロロォ
ヤークトティーガー車長『くそ、後ろに抜けられた!だがこっちにはティーガーⅡがいるんだぞ!』
ティーガーⅡ車長『任せて!砲塔旋回!』
ガチャッ
沙織「えりりん!今顔を出したら危ないよ!」
エリカ「……」ニヤリ
ティーガーⅡ車長『……ひっ!い、逸見ふくたいちょっ……!』ビクッ
ティーガーⅡ車長『ってビビってる場合か!撃て!』
エリカ「真剣勝負で3秒も止まるなんて馬鹿ね」
ドォンッ!!
ガキィッ!!
ティーガーⅡ車長『くっ、履帯破損!』
エリカ「ヤークトの真横に付けて」
ブロロロロ ピタッ
ヤークトティーガー車長『な、横に付かれた!15号車頼む!』
ラング車長『了解!信地旋回完了、狙うはⅣ号。撃てー!』
エリカ「全速前進」
ブォオオオオン
ドォンッ!!ドゴォッ!!
カッ シュポッ
『黒森峰女学園ヤークトティーガー、走行不能!』
ラング車長『ああっ!ごめんなさいっ!!』
エリカ「味方を撃って動揺してるわね。楽にしてあげるわ。撃て!!」
ドォンッ!!!
カッ シュポッ
『黒森峰女学園、Ⅳ号駆逐戦車、走行不能!』
エリカ「さすがにティーガーⅡのトドメは無理ね。離脱するわよ!」
麻子「おう」
ブロロロロロオオ
優花里「や、やりました!確かにヤークトティーガーは最強の前面装甲と比べて側面は弱いですもんね!」
エリカ「普段の黒森峰ならそんな隙は見せないけどね。副隊長の活躍で沸き立ってはいるけど、
今は慣れない状況で各車が動きを模索している」
沙織「……」
エリカ「沙織、あなた今、この状況で私だけ役に立たない、なんて思ってる?」
沙織「えっ!?いや、そんなこと」
エリカ「言ったでしょ。私達は強いって。そこにあなたも含まれてんのよ」
沙織「でも、私にできることなんてもう」
エリカ「車内で通信するだけが通信手の仕事じゃないわ」
〆
沙織「じゃあどうすればいいのよー!」
エリカ「車外に斥候に出てもらえる?」
沙織「私が!?」
エリカ「味方の車輌が全滅した今、私たちに残された勝機はフラッグ車同士の一騎打ちしかないわ。
その状況を作り出すためには別の場所から敵の位置を知らせ私達をナビゲートする役目がどうしても必要なの」
優花里「しかしどうやって一対一に持ち込むんですか?」
エリカ「これだけ見せ付けたもの。あいつは路地での戦闘は避けて、私達の逃げ場がなく、尚且つ数を活かせる広い場所での包囲を狙うはずよ。
この付近でその条件に該当するのは」
沙織「HS0017地点だけ……」
華「沙織さん、お分かりに?」
エリカ「ふっ、やっぱりね。あなたなら地形が完全に頭に入ってる」
沙織「それは、通信手は地図の把握も大事ってえりりん言ってたから……」
エリカ「熱心さは十分。あと必要なのはほんの少しの勇気だけ。どう、やれる?」
沙織「もー!ずるいわよ、えりりん!」
エリカ「そうね。いってらっしゃい。……気をつけて」
麻子「転ぶなよ」
沙織「麻子も、私のナビ通りちゃんと走ってよね!」
麻子「任せろ」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
みほ「3輌撃破、1輌履帯破損……やっぱりすごいな、エリカさんは」
装填手「このまま一気に攻めますか?」
みほ「路地での遭遇戦はあちらが有利です。同士討ちの危険もあるし……」
みほ「敵を逃げ場のないHS0017地点に誘導し、全戦力でこれを叩きます」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
沙織『こちら沙織!マウスが追いついてきたよ!そっちに接近中!』
エリカ「どこから!?」
沙織『えーっと、右のほうのあれの角のあたりから!』
優花里「武部殿、もうすこし正確に……」
エリカ「麻子、お願い」
麻子「やれやれ」スチャッ
麻子「沙織。ここからは私が直接聴く。もう一度敵の位置を教えろ」
沙織『あの角のあたりからぐわーっと左のあたりに近づいてるよ!』
麻子「わかった」
ガガッ ブオオオオオンン
優花里「おぉ!」
華「さすが、幼馴染ですね」
沙織『今度はヤークトパンターがあっちから!麻子、えーと斜め上に逃げて!』
麻子「おうよ」
ブロロロロロ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『こちら3号車!Ⅳ号が東十字路を左折!』
『0811地点、通過しました!』
みほ「わかりました。私達も出ます」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
優花里「ここを曲がればすぐHS地点です!」
エリカ「いいわ。ここまで突発的な発砲無しで来れた、最後の仕上げよ」
麻子「いたぞ」
ブオオオンッ
みほ「……」
エリカ「前方、敵フラッグ車!追うわよ!」
沙織『後ろからたくさん追ってきてるよ!』
エリカ「いいわ。前にはフラッグ車だけ、残りは全て私達の後ろにいる。目の前はHS0017地点。
この状況を作りたかったの。お陰様で最高の配置にできたわ!」
沙織『そ、そう?えへへ、あとはお願いね!』
エリカ「任せなさい!」
装填手「Ⅳ号、追ってきます」
みほ「このままHS0017地点に入り、包囲します」
『『『了解!』』』
ブロロロロ
通信手『こちらフラッグ車、HS0017入りました!』
エリカ「いいわね、入り口を抜けた瞬間に先頭にいるヤークトーパンターにターンしてぶち込むわよ!」
華「はい!」
ブロロロロロッ
エリカ「今だ!!」
麻子「……っ」
グィイインンッ
ズバァンンッ!!
ガキィイッ!
ヤークトパンター車長『なっ!!ふ、副隊長!ヤークトパンター履帯破損!せっかく直したのに!』
みほ「……そういうことですか。やられました」
ラング車長『ヤークトパンターが邪魔で通れません!』
エレファント車長『入り口はここしかないのよ!すぐに履帯を修復しなさい!』
ヤークトパンター車長『無茶言うなー!ウチの履帯は重いんだぞ!?』
ガチャ
みほ「後続車の道を塞がれた。これで1対1……」
ガチャ
エリカ「怖い?別にいいのよ。仲間が復帰してくるまで逃げまわっても」
みほ「私は、逃げないよ。だってエリカさんがやっと私の前に来てくれたから」
エリカ「何言ってるの。やっと私の前まで来たのは、あなたの方!……行くわよ!!」
みほ「受けて立ちます!」
エリカ「撃て!!」
みほ「撃て!!」
ドォンッ!!
ズドォンッ!!
エリカ「2時方向に前進!ギリギリまで肉薄する!」
みほ「後退、車体転回右30度。相手は真正面を避けて接近を狙ってきます。中距離を保ちつつ確実に撃ち抜きます」
ブロロロロオォ
みほ「撃て!!」
ズドォンッ! ガガガガッ!!
エリカ「撃て!!」
ドォンッ! カァンッ!
エリカ「全速離脱!!」
ブォオオン
みほ「8時方向砲塔旋回、機銃撃て!」
ババババババ
エリカ「右へ緊急回避!次弾装填急げ!!」
みほ「撃て!!」
ズドォンッ!!
エリカ「……っ!停止!!」
ギキィッ!!
ズダァッン!!
エリカ「時計回りに建物を迂回、回りこむわよ!」
ブロロロ
みほ「追撃すると見せかけて、逆周りに後部からの攻撃を迎え撃ちます」
ギャイインッ
エリカ「発見、撃……砲撃中止!!」
みほ「撃て!!」
ドォンッ!!
ギィイイ
エリカ「と見せかけて停止射撃!撃て!!」
ズバァンッ!!
みほ「!!一旦後退!隠れてください!」
エリカ「ちっ!!後退!!」
みほ「はぁ、はぁ……」
エリカ「はぁ、はぁ……」
華「エリカさん、大丈夫ですか?」
エリカ「ええ、勿論よ」
優花里「逸見殿。徹甲弾、残り2発です」
エリカ「そうね。体力的にもそろそろ決着を付けないと」
麻子「あっちも同じようだな。さっきからこっちを伺って動かないぞ」
エリカ「でしょうね……次で決めるわ」
エリカ「華、優花里、麻子」
華「はい」
優花里「はい!」
麻子「なんだ」
エリカ「よろしく」ニヤッ
みほ「きっとこれが最後の攻防になります」
みほ「さっきヤークトパンターを撃つ時に見せたあのターン、相手の操縦手の実力は相当なものです。
次に相対したら、たぶん正面からのドリフトで一気に後ろに回りこんで撃ち込んできます」
みほ「こちらは相手の動きに惑わされず、冷静に砲身を合わせて迎撃します」
みほ「前進!!」
エリカ「前進!!」
ブロロロロロ!!
ブォオオオオオ!
みほ(怖かった。エリカさんと向き合うのが。戦車道と向き合うのが)
エリカ(許せなかった。あなたを認めるのが。自分を否定するのが)
みほ(羨ましかった。強いエリカさんが……)
エリカ(気に食わなかった。優しいあなたが……)
みほ(人を怖れないエリカさんが)
エリカ(人を思い遣れるあなたが)
みほ(仲間を信じて先に進めるエリカさんが)
エリカ(仲間のために立ち止まれるあなたが)
みほ(頑固だけど柔軟なエリカさんが)
エリカ(甘いけど芯が強いあなたが)
みほ(お姉ちゃんに一番信頼されてるエリカさんが)
エリカ(隊長に一番信頼されてるあなたが)
みほ(……本当は誰よりも優しいエリカさんが!!)
エリカ(……本当は誰よりも強いあなたが!!)
みほ(今ここで……!私は!!)
エリカ(あなたを倒す!!)
エリカ「撃て!!!」
ズバァッン!!!
ガァドバン!!
みほ「撃て!」
ドバァンッッ!!ヒュン!!
エリカ「やれ!!」
ブォオオオン!ギギギギィ!
みほ「やっぱりドリフトっ……照準合わせて!」
エリカ「させるかぁあああ!!」
ギィイイイイイ!
みほ「回り込まないでそのまま突っ込んできた!?」
エリカ「正面でもゼロ距離なら抜けるわ!砲塔旋回!」
みほ「なら近づく前に倒せます!!撃てっ!!」
ドォンッ!!!
ガキッ グワンッ!
みほ(Ⅳ号の車体が微妙に、浮いた!?)
みほ(……!1発めに撃った弾が、地面のアスファルトを抉ってる!)
みほ(最初からそれが目的で……!直撃するはずの弾をほんの少し下に逸らされた!)
エリカ「喰らいなさい!!撃てええええ!!」
ガァンッ!!
みほ「……っ!けど間に合う、撃て!!」
ドォンンッ!!! ズドォンッ!!!
シーン
カッ シュポッ
みほ「……」ニコッ
みほ「私の、負けです」
『黒森峰女学園フラッグ車、走行不能!』
『よって優勝は、大洗女子学園!!』
ワァーーーーーーーーー!!!
カッ シュポッ
優花里「こっちも白旗が……」
麻子「僅差だったな」
エリカ「……」
沙織「えりりん!みんな!」タッタッタ
華「沙織さん」
沙織「勝ったんだね!私達!」
エリカ「……ええ、勝ったわ!」
優花里「そうですよ!やりました!私達優勝したんです!」
華「素晴らしい戦いでした」
麻子「疲れた」
エリカ「向こうの隊員はあいつの急な変化に追いつけなかった。
だけど私達はここまで一緒に強くなった。たぶん違いはそれだけよ。
危なかったわ」
沙織「でも優勝ね!やったよ!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
あゆみ「あ、戻ってきた!」
梓「先輩たち!お疲れ様でした!」
梓・桂利奈・あゆみ・あや・優季「お疲れ様でした!」
沙織「みんなもすごかったよ!ありがとう!」
エルヴィン「まさにロンメルの如き戦い」
左衛門佐「本当の勝鬨をあげるぞ!えいえい!」
エルヴィン・左衛門佐・カエサル・おりょう「おー!!!」
優花里「おー!であります!」
そど子「やるじゃない。かっこいいじゃないの……冷泉さんも」
ゴモヨ「本人に言ってあげなよそど子」
パゾ美「くすっ」
麻子「聞こえてるぞ、そど子」
ねこにゃー「やっぱりリアルは厳しいにゃ」
ももがー「でもネットより充実感あったもも!」
ぴよたん「どっちもありだお!」
ナカジマ「徹夜で修理だねぇ」
ホシノ・ツチヤ・スズキ「そうこなくちゃ!」
典子「来年も戦車道やるぞ!」
忍、妙子、あけび「はい!!」
華「バレーはよろしいのですか?」
桃「逸見、こ、今回の戦い、本当に、感謝の、う、うわあぁああん!」ビエエエ
柚子「桃ちゃん、よしよし」
杏「逸見ちゃん!ありがとう。私達の学校、救えたよ」
エリカ「別に。私が負けたくなかっただけですから」
杏「へへ、これからもよろしくね?」
エリカ「ええ」
まほ「エリカ!」
エリカ「隊長……」
まほ「エリカらしい戦いだった。それにチームの皆も。いい仲間を持ったな。
……優勝おめでとう」
エリカ「……ありがとうございます」
ガシッ
まほ「……お前も来たらどうだ、みほ」
みほ「ふえっ、あ、えっと」コソコソ
エリカ「何見てんのよ」
みほ「そ、その、ありがとう」
エリカ「はぁ?なんでお礼なんか言うのよ」
みほ「今回は負けちゃったけど、エリカさんのお陰で見つかりそうだから……
私の、戦車道」
エリカ「自分の、戦車道……」
みほ「じゃあ、私はこれで……」
エリカ「待ちなさい」
みほ「え?」
エリカ「……ありがとう」
みほ「っ!」
エリカ「これはM3の後輩たちを勝手に助けてくれた礼よ。勘違いしないでね」
みほ「あ、うん……無事でよかった」
エリカ「相変わらず甘いんだから」
みほ「そうかな。でも、私は次も同じことすると思う」
エリカ「でしょうね。私は次も怒ると思うわ」
みほ「あはは……」
エリカ「ふふっ」
まほ「そろそろ行くぞ。みほ。エリカ、また戦おう」
エリカ「はい!」
みほ「次は負けません!」
エリカ「いつでも来なさい。叩き潰してあげるわ」
みほ「はい!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
沙織「はー、帰ってきたー」
優花里「はい!なんだか夢のようですね!」
杏「んじゃー、ここで隊長!何か言えー」
エリカ「え?」
エリカ「……みんな」
エリカ「あ、あり、ありが……」
エリカ「……」
エリカ「……次も勝つわよ!!!」
「「「「おおーーーー!!!」」」」
沙織「ねえ、帰ったら何する?」
華「お風呂入って」
麻子「アイス食べて」
優花里「それからー」
沙織「戦車乗ろっか!」
エリカ「はぁ?まあ、いいけど」
沙織「なんだかみんなで戦車道やるの、大好きになっちゃったもん!」
優花里「私もです!」
華「ええ、私も大好きです!」
麻子「嫌いじゃない」
エリカ(……自分の戦車道見つかりそう、か)
エリカ「私は、やっと見つけたわ……」
エリカ「そう、これが……」
エリカ「これが私の戦車道」
完
このエリカの物語はこれにて完結です。
長くかかりましたが、読んでくれた皆様、たくさんの反応をくれた皆様、ありがとうございました!
書く上ですごく励みになりました!
またどこかで会いましょう
では、もう一度。ありがとうございました!
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