宮永咲「図書室って落ち着くよね」 (113)

3年前の6月



長野県の某中学校


咲(1日の授業が終わった放課後の教室)

咲(クラスのみんなは部活に行って、残るは帰宅部の私だけ)

咲(そんな静かな教室で、ゆっくり本を読む、私の穏やかな時間)

咲(……の、ハズなんだけど)



京太郎「俺は、おもちスケール1の《針生えり》と、おもちスケール8の《佐藤裕子》で、おもちスケールをセッティング!これでレベル2から7の雀士を同時に召喚できる!」

誠「なに!?」

京太郎「おもち召喚!現れろ、《旋風のアイドル 瑞原はやり》!」

誠「ばかな、最上級雀士を生贄なしで召喚だと!?」

京太郎「俺ははやりんで、誠の場の《黄昏の淑女 野依理沙》にアタック!さらに後列の《八橋千尋》でブースト!」

誠「甘い!俺は手札の《村吉みさき》で完全ガード!」



咲(隣の席で友達と謎のカードゲームをしてるのは、ハンドボール部の須賀君とその友達の高久田誠君)

咲(今年、中学校で初めて出会った男子生徒達)

咲(今日は顧問不在で部活がないから教室にいるらしいけど、はっきり言って凄くうるさい)

咲「しょうがないなぁ……図書室で読もうっと」



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図書室


司書「こんにちは、咲ちゃん」

咲「こんにちは」

司書「放課後にここにくるなんて珍しいじゃない」

咲「教室だと、クラスメイトがちょっとうるさくて……」

司書「そう。ゆっくりしていってね」

咲「はい」

……






咲「ふう。面白い本だった」パタン

咲「そろそろ下校の時間になったし、帰ろうかな……」

咲「そうだ、せっかく図書室に来たんだし、新しい本を借りようっと」



咲「うーん、どれにしよう。7人のおば、ホテル1222、偽りの楽園、霊応ゲーム……」

咲「……ん?なんだろう。本と本の隙間に何か入ってる」


スッ


咲「これは……大学ノート?」

咲「誰のだろう……勝手にみたらマズイかな」

咲「でも随分古ぼけてて気になるし……ちょっとだけ……」そーっ












司書「あの」



咲「ひいいいぃぃぃっ!」ビクッ

司書「そろそろ閉館の時間になるから、図書室を閉めたいんだけど……」

咲「し、ししよさん……」

咲「そ、それじゃあ帰りますね!」アタフタガサゴソビリリ

咲「さようなら!」

司書「さようなら、咲ちゃん」

通学路


咲「どうしよう……咄嗟に鞄の中に入れて持って帰ってきちゃった……」

咲「今から返しに戻ろうかな。でも、図書室の備品じゃないだろうし……」



京太郎「お、宮永」



咲「す、須賀君!?」

京太郎「いま帰りなのか?」

咲「う、うん……」

京太郎「宮永も家の方向がこっちだったんだな」

咲「うん……」

咲(うう……男子から話しかけられるなんて滅多にないから、萎縮しちゃうな……)

京太郎「そういえば、宮永はいっつも本ばっか読んでるけど、何を読んでるんだよ」

咲「えっと、海外のミステリーを……」

京太郎「ふーん」

咲(自分から聞いといて何その、てきとーな反応!?)

京太郎「本ばっか読んでないで、たまには外で運動しないと健康に悪いぞ」

咲(ほっといてよ!)

咲(もう、ほんと男子って子供っぽくてデリカシーが無いんだから!)

京太郎「そういえばミステリーと言えば……」

咲(えっ、話戻るの?)

京太郎「俺は推理小説は苦手だんよな。やっぱ人が死ぬのを見るのは気分悪いし、それを探偵が得意げになって解き明かそうとしてのも……」

咲「それは違うよ!推理小説はもっと崇高な小説なんだよ!」

京太郎「み、宮永……?」

咲「そもそも現実の殺人事件は単純で生々しさしかないけど、そこに知的遊戯と物語性を絡めたのな推理小説なんだよ!」

京太郎「お、おう……」

咲「日本での本格推理小説の始まりはエドガー・アラン・ポーの小説を読んだ江戸川乱歩がーーーーーー」



……







咲「ーーーーーーというわけで、初期のトリックや犯人を探る小説から、近代では犯人の殺人に至る心理状態を描写するようになって、進化を続け時代と一緒に深みを増すのがミステリー小説なんだよ!わかった!?」

京太郎「あ、ああ……肺活量凄いなお前」

咲「……!」

咲(つ、つい熱弁振るっちゃった……あまり会話したことの無い男子相手に……)

咲(どうしよう……変な子だと思われたかもしれない……)

京太郎「でもさ」

咲「え?」

京太郎「いつも大人しい宮永がそこまで熱くなれるんだから、ミステリーってのは本当に面白いのかもな」

咲「須賀君……」

京太郎「それじやあ、俺はこっちだから。また明日な」

咲「う、うん……また明日」

咲「……」

咲「……ふふっ」

宮永家


咲「お風呂も入ったし宿題もしたし、少し本を読んでから寝ようかな」ガサゴソ



パサッ



咲「あ……これは、図書室で拾ったノート」

咲「何が書かれてるのかな」

咲「……」

咲「ちょっとだけ、中を読んでみようかな」ペラッ






『私は今、とある怪奇現象に見舞われている
 よってノートに書き記す餘裕などないのだが、民俗學者として後世にこの體驗を殘す義務がある
 全ての始まりは、私がある傳承を調べにとある村に赴いた時の事だった』





咲「旧漢字ばっかで読みづらいなぁ……。戦前に書かれたのかな」

咲「えっと、私は今、とある怪奇現象に見舞われている
 よってノートに書き記す余裕などないのだが、民俗学者として後世にこの体験を残す義務がある
 全ての始まりは、私がある伝承を調べにとある村に赴いた時の事だった」



咲「その村は『首巻様』という神様を祀る小さな村だった」

咲「だった。というのは、その村は十数年前に廃村となっていた。私は村の家内に残った日記等から、その民間信仰を解き明かそうと試みた」

咲「首巻様とは、悪霊や妖怪、魑魅魍魎の憑依から守ってくれる神様である」

咲「首筋から妖魔が取り憑いてくるという伝承はよく聞く」

咲「それを防ぐために首に何かを巻くというのは、よくある話だ。故に、それから守るから首巻様なのだろう」

咲「また、悪霊等や、果ては病などの災いの根を切るということで、その村では首巻様を祀る際、鋏を奉納するらしい」

咲「そしてどうやら、その村では鋏を使った『首巻様の儀』という儀式が行われているらしい」

咲「その儀式の方法とは……」



コンコン



咲「ひっ……!」ビクッ


界「咲、まだ起きてるのか。そろそろ寝ろよ」


咲「は、はーい!」


咲「ビックリしたぁ……もう10時だし、そろそろ寝よっと」



パチッ



咲(首巻様、儀式、鋏……)

咲(この人の身に起きた怪奇現象ってなんなんだろう……)

咲(ZZZ……)

……







きん……


きん……



咲(ん……何の音だろう……)



きん……



きん……



咲(まだ夜中の2時か……なんだろう、一階から聞こえてる)




しゃきん……



しゃきん……



咲(これは……鋏を閉じたり開いたりしてる音?)

咲(どうして一階からそんな音が……?)



しゃきん……



しゃきん……



咲(……!)

咲(こ、この部屋にだんだん近づいてきてる!)




しゃきん……



しゃきん……



咲(ど、どうして!?一体何が……)



しゃきん……



しゃきん……



咲(部屋の前まで来た……!)






ギイイイィィィ





.





咲「ひっ……!」






咲「いやあああぁぁぁ!!」ガバッ



咲「はっ……はっ……はっ……」



チュンチュン



咲「ゆ、夢かぁ……」



咲「寝る前にあんなノートを読んだから、変な夢を見ちゃったのかなぁ……」

咲「もうあのノートは、今日、学校で図書室に戻した方がいいかも」

界「咲ー、起きろー」

咲「はーい!」

学校

昼休み


咲「う、嘘……」



『司書が用事で不在のため、本日は図書室を閉鎖します』



咲「そんな……このタイミングで……」






きん






咲「……え?」



しゃきん



しゃきん



咲「こ、この音……昨日の、夢に出てきた、鋏の……」







咲「……?」

咲「すぐに止んだ……空耳だったのかな……?」

咲「……」ブルル

咲「き、気味が悪いし、もう教室に戻ろう……」

放課後


誠「俺は手札から、《融合》を発動!」

京太郎「なに!貴様、アカデミアか!?」

誠「俺は手札の《三尋木咏》と、《針生えり》を融合する!」

誠「融合召喚!現れろ、《繚乱の舞猫 三尋木咏》!」

京太郎「それは、幻の超レアカード!」

誠「うたたんでダイレクトアタック!」

京太郎「ぐあああぁぁぁ!!」



咲(どうしよう……職員室に落し物として届けようかな……)

誠「はー。デュエルも終わったしそろそろ帰るか」

京太郎「そうだな。それじゃあな、宮永」

咲「え!?あ、うん……。また明日」

誠「どっか寄ってくか?」

京太郎「公園でウラガンキンごっこでもするか」

咲(ま、まさか学校で話しかけられるなんて、思ってもなかったよ……)

咲(昨日ちょっと話しただけなのに……ほんと男子ってよくわかんない)






しーん






咲「……い、今気づいたけど、教室の中は私1人になってる」

咲「なんだか怖いから、早く帰ろう……」

通学路


咲「どうしよう……結局ノートを持って帰ってきちゃった」

咲「それにしても……図書室に今日行けなかったのは、本当に偶然なのかな」

咲「まるで、このノートを返すことができないようになってるような……」






しゃきん



しゃきん






咲「ひっ……!」

咲「ま、またこの音……」

咲「ひ、昼休みみたいにすぐに止むよね……」ガクガク




しゃきん



しゃきん



しゃきんしゃきん



しゃきんしゃきんしゃきん






咲「ち、近づいてきてる!」

咲「逃げないと!」タタッ




しゃきんしゃきんしゃきん



しゃきんしゃきんしゃきん



咲「うぅ……引き離せないよぉ……」

咲「このままじゃ、そのうち追いつかれ……」






ドンッ






咲「きゃっ!」

咲「い、いたた……」

京太郎「あれ、宮永」

咲「す、須賀君!?どうしてここに……?」

京太郎「さっきまでそこの公園で誠と遊んでたから、いま帰りなんだよ」

京太郎「それより、なんか慌ててたみたいだけど……」

咲「そ、そうだ!後ろから鋏を打ち鳴らす音が追ってきて……」




しーん




咲「あ……あれ?」

京太郎「音なんてしてないじゃないか」

咲「嘘……さっきまで確かに聞こえてて、私を追いかけてきたのに……」

京太郎「ミステリー小説ばっか読むから、そんな幻聴を聞いたんだろうさ」

咲「本当だよ!本当に、追いかけてきて……私すっごく怖かったんだから!」

京太郎「わかったわかった」

京太郎「そんなに怖いんなら俺が家まで送ってってやるよ」

咲「……え?」

……






京太郎「宮永の家って俺の家と結構近かったんだな」

咲「……」

咲(ど、どうしよう……まさか、男子と肩を並べて帰ることになるなんて……)

咲(いままでそんなことなかったから、緊張して何を喋ればいいのかわかんないよぉ……)

京太郎「宮永?」

京太郎「ひゃい!?」

京太郎「なんだその返事……。なんかさっきから何も喋ってないけど……」

咲「ご、ごめん須賀君……」

京太郎「本当に、何かあったのか?」

咲(あのノートのこと、喋っていいのかな)

咲(でも、もし喋って馬鹿にされたら……)

京太郎「宮永?」



1.須賀君に全部話す
2.須賀君に隠しておく


安価下

咲「……」

咲(きっと、信じてくれないよね。笑い飛ばされるに決まってる)

京太郎「……宮永?」

咲「……なんでもない」

京太郎「おい、何でもないなんてこと……」

咲「もうここまで送ってもらえれば大丈夫だから」

京太郎「宮永!」

咲「ばいばい、須賀君。また明日」


風呂


咲「ふぅ……」カポン

咲「これで……よかったんだよね」

咲「だって、あんな話、信じてもらえるわけないもん」

咲「せっかく仲良くなれそうなのに、変な事を言って関係が壊れたら嫌だもんね」

咲「あれ……私、須賀君との関係が壊れたら、嫌だって思ってる……?」

咲「……」

咲「……よくわかんないや」

咲「頭と身体を洗って、お風呂からあがろっと」




じゃー



咲(須賀君……)わしゃわしゃ

咲(昨日、私が推理小説について熱く語った時、笑わないでいてくれた人)わしゃわしゃ



じゃー



咲(須賀君なら、もしかしたら……信じてくれたのかな)わしゃわしゃ



じゃー



咲「……ま、今更だけどね」わしゃわしゃ




じゃー



咲「明日、ノートを図書室に返そう。それでおしまい」きゅっ

咲「さて、頭も洗い終わったし、そろそろ出ようか……」











しゃきん











咲(……!)

咲(シャワーの音で今まで聞こえなかったけど……)

咲(いまの音、私のすぐ後ろから……)






しゃきん



しゃきんしゃきん



しゃきんしゃきんしゃきん



しゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃき
しゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃき
しゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃき
しゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃき
しゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃき
しゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃき
しゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃき
しゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃき
しゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃきしゃき






BAD END①
「しゃきん」





.

コンティニュー

>>24より


咲(でも、昨日……私がミステリー小説について熱く語っちゃった時、笑わなかった須賀君なら……)

咲「須賀君。今から言うことを……笑わないで聞いてくれる?信じてくれる?」

京太郎「……善処はする」

咲「何それ。政治家みたい」クスッ

咲(なんでかわからないけど……須賀君なら、きっと私の話を信じてくれる気がする)

咲「実は……」

……






京太郎「なるほど。鋏を奉納する首巻様と、その儀式か」

咲「……」

咲(自分で話してて思ったけど、あらためて思うとただ不気味なノートを拾って必要以上に怖がって幻聴を聞いてる危ない人みたいだなぁ……)

京太郎「でも、なんでその幻聴は俺が現れたら止んだんだろうな」

咲「え……」

咲「し、信じてくれるの!?」

京太郎「宮永が信じろって言ったんだろうが」

咲「で、でも……」

京太郎「とにかく、この音の正体を確かめないとな」

咲「正体を確かめるって、どうやって?」

京太郎「そのノートを書いた人は、何らかの怪奇現象に遭ってるんだったよな」

京太郎「それは、今宮永が遭ってのと同じかもしれない」

咲「た、確かに……」

京太郎「なら、そのノートを最後まで読めば、何か手がかりがわかるかもしれない」

咲「そ、そっか!じゃあ、家に帰って読んでみるね」

京太郎「ん……そうだな」

咲「須賀君……?」



咲「あ……私の家に着いた」

京太郎「ここが宮永の家か……」

京太郎「……」

咲(……あ)

咲(お父さんは夜遅くに帰ってくるから、それまで私独りなんだ……)

咲(もし、独りでいる間に、またあの音が聞こえたら……)

京太郎「……」

京太郎「じゃ、じゃあ……家に着いたことだし……俺は、その……」

咲「待って!」

京太郎「……」







咲「その……私の家に、寄ってかない?」





.

咲ちゃんの家の台所


咲(ま、まさか勢いとはいえ、男子を自分の家に連れ込んじゃうなんて……)

咲(うう……凄く大胆な事してるよ私……)


咲(それにしても……さっきの須賀君の反応はおかしかった)

咲(もしかして、私が家に独りになるかもしれないのを心配してくれたのかな)

咲(けど、自分から女子の家に上がるなんて言い出せないから、あんな反応してたのかも)

咲(デリカシーがないと思ってたけど……)

咲(けっこう可愛いかも)クスッ


居間


咲「須賀君、お茶が入ったよ」

京太郎「ああ。ありがとう」

京太郎「それにしても、居間でも本ばっかなんだな」

咲「うん。昔は……自分の部屋じゃなくて、ここで、家族のいる中で本を読んでたから」

京太郎「……?」

京太郎「あれ、この本……」



《二銭銅貨 著:江戸川乱歩》



京太郎「確か宮永の読む本って、海外ミステリーじゃ……?」

咲「あ、それは……お姉ちゃんの本なの」

咲「お姉ちゃんは古典ミステリーが好きだから」

京太郎「ふーん……」

咲「……」

京太郎「……」

咲「そ、それで、どうだった?そのノートの内容」

京太郎「ああ、これなんだが……」

咲「須賀君……?」

京太郎「かんじがよめない」

咲「」

……





咲「そっか、旧漢字ばっかだもんね」

京太郎「すまん。宮永が話してくれたところからの続きを読んでくれ」

咲「うん、わかった」






咲「その儀式の方法とは、村から首巻様降臨の器となる生贄の男児を選ぶところから始まる」

咲「次にその男児の名前を奪う。村の者に、その男児の名前を口にすることも、何かに書き留める事も禁止する」

咲「名前を奪われ存在を失った空っぽの身体にこそ、首巻様が降臨するからだ」

咲「そして……」

京太郎「どうしたんだ?宮永」

咲「そ、そして……鋏を開いて……その男児の両目に突き刺し……視力を、奪う……」

京太郎「な……!」

咲「そ、そうする事で、視覚は現世から解放され、神々の領域へと、踏み込むことが、でき……」

京太郎「ひ、酷い……」

咲「その後、その男児は祭壇へと祀られ、首神様の器となる……」

咲「しかし、この村の現状を顧みるに、儀式は失敗し村は滅びたのだろう」

咲「最後の儀式の贄は、『欠月(かけつき)家』という家の男児らしい」

咲「その家には2人の子供が男女で生まれたが、男児が贄となる際、女児の方は外村に養子として出されたらしい」

咲「自らの弟の、凄惨な姿を見せたくない親心と思われる」

咲「しかし……」

京太郎「しかし?」

咲「気になるのは、全ての屋内のあちこちに、まるで何か鋭利なもので引っかいたような跡がある事だ」

咲「まるで、鋏で引っかいたような」

咲「そして私が、首巻様を祀る祭壇のある屋内に足を踏み入れ、出てきた時、背後から音がした」

咲「鋏を閉じたり開いたりするような、しゃきんという音が」

京太郎「やっぱり、咲が言ってたのと同じ現状が、この人にも……」

咲「思わず背後を振り返った私の目に映ったのは」






咲「真っ白な着物を着、眼球のない眼窩から血を流しながら、鋭利な鋏をシャキシャキの鳴らす、男児の姿だった」






京太郎「ひっ……!」

咲「彼は鋏を鳴らしながら私を追いかけてきた。私は必死に逃げ、咄嗟に近くの家に飛び込んだ」

咲「その家こそがーーーーーー」

京太郎「そ、その家こそが……?」

咲「ここで日記は途切れてる……」

京太郎「な、なんじゃそりゃあ!」

京太郎「ここまで書いておいて止めたのかよ!いや、まさかその名前を奪われた男児に襲われて……」

咲「ううん……違うの」

京太郎「え?」

咲「破れてるの……ここから先が」

京太郎「あ、ほんとうだ。でもどうして……?」

咲「古いノートだし、取り扱ってるうちに敗れたのかも……」






咲『し、ししよさん……』

咲『そ、それじゃあ帰りますね!』アタフタガサゴソビリリ






咲「あ」

京太郎「どうしたんだ?」

咲「もしかして、昨日このノートを咄嗟に鞄の中に入れた時……慌ててねじ込んだから、その時に破れちゃったのかも」

京太郎「な、なんつードジな事を……」

咲「ごめんなさい……」

京太郎「いや、俺に謝られても……」

京太郎「でもとりあえず、この鋏を鳴らしてる者の正体はわかったわけだな」

咲「うん。名前を奪われた男児……」

京太郎「儀式の生贄になったそいつが、なんらかの理由で悪霊になって村を襲い、さらに村にやってきたこのノートの書き手も襲ったって事か」

咲「そして……このノートを手にした私のところにも、やってきてる」

京太郎「けど、原因はわかったけど……どうすればいいかはさっぱりだな」

咲「とりあえず、このノートの続きを読めば何かわかるかもしれないから……明日、学校の図書室で破れたページを探してみるつもり」

京太郎「そうか」

京太郎「なんか、結局俺はあまり役に立てなかったな」

咲「そ、そんな事ないよ!」

咲「須賀君がいてくれるだけで、すごく心強いもん」

京太郎「そうか。ありがとうな」

咲「ううん。こっちこそ」

京太郎「……」

咲「……」

咲(き、気まずい……)

咲(このノートの話題が終わったら、何を喋っていいかわかんないよぉ……)

咲「そ、そうだ!確か美味しいお菓子が……」






しゃきん






咲「!」

京太郎「!」

咲「す、須賀君……今の……」

京太郎「ああ……俺にも、聞こえた」




しゃきん



しゃきん



しゃきん



咲「ま、窓の外から聞こえる……」

京太郎「宮永、逃げるぞ!」

咲「に、逃げるってどこに!?」

京太郎「とにかく、玄関から外にだ!家の中にいたら逃げ場所が無い!」

咲「わ、わかった!」






ギュッ






京太郎「俺の手を離すなよ!」

咲「うん!」




……











しゃきん



しゃきんしゃきん



咲「はぁ……はぁ……」

京太郎「ぐっ……追いかけてきてる……」

京太郎「交番に逃げ込むか……?」

京太郎「いや。きっと信じて貰えない。俺たちで何とかするしか……けど、どうやって……」

京太郎「俺も……流石にこのまま走って逃げ続けるわけには……」

咲「……っ……こ……」

京太郎「なんだって?」

咲「はぁ……はぁ……がっ……こうに……行こう……」

咲「図書室で……ノートの続きを見つければ……何かが、わかるかも……」

京太郎「なるほど……確かに……」

京太郎「よし、学校に向かおう。宮永、まだ走れるか?」

咲「私は……大丈夫……げほっ」

京太郎「学校までの辛抱だ。頑張ろう」

咲「うん……」



咲「ごめんね、須賀君……こんな事に巻き込んじゃって……」

京太郎「……まったくだよ」

咲「ごめん……なさい……」

京太郎「だから……もし助かったら、その時はたっぷりお返しをしてもらうからな」

咲「お返し……?」

京太郎「ああ……いつかお前の胸が大きくなった時に、揉ませてくれ」

京太郎「そうしたら……水に流してやる」

咲「ほんと……こんな時でも……デリカシーが無いんだから……男子は……げほっ」

咲「いいよ……。だから、2人で、一緒に助かろ……」

京太郎「よし、約束だ」

学校


京太郎「ぐっ……やっぱり門が閉まってるな」

咲「はぁ……はぁ……ふぅー」

咲「どこか別の入り口を探すか……フェンスをよじ登るかだね」

京太郎「別の入り口って?」

咲「確か、どこかフェンスに穴があいてるところがあるって聞いた事があるの」

咲「遅刻した時は、そこからこっそり入るんだって」

京太郎「なるほどな……。どっちにしよう」

咲「うーん」



1.フェンスをよじ登る
2.フェンスの穴を探す


安価下

咲「本当にフェンスに穴が空いてるかわからないし、暗くて見えないと思う」

咲「だから、フェンスを越えよう」

京太郎「それはいいけど……宮永は、そんな事できるのか?」

咲「あ、そっか……」

咲「どうしよう」



1.須賀君に登ってもらって内側から門を開けてもらう
2.気合いで登ってみる


安価下

咲「須賀君、先にフェンスを越えて、門の鍵を内側から開けてくれない?」

京太郎「わかった」



京太郎「よっこいしょ」

咲「須賀君……気をつけて」

京太郎「わかってるって」



京太郎「よし、後は降りるだけ……」






しゃきん



しゃきん






咲「……!」

京太郎「……!」

咲「須賀君、早く!」

京太郎「ああ!」


京太郎「悠長に降りてる暇は無い……くそっ、飛び降りるか!」

京太郎「南無三!」



ドシン



京太郎「痛っつー……」

京太郎「そうだ、早く門の鍵を開けないと!」



ガチャ



京太郎「早く入ってこい、宮永!」

咲「うん!」



ガチャ



京太郎「とりあえず鍵は締め直したけど……」

咲「早く図書室に行こう!」

図書室


咲「鍵がかかってる……!」

京太郎「こういうのは扉を上にあげれば……」



ガコッ



京太郎「よし、扉ごと外れた!」

咲「さっすが男子。力持ち!」

京太郎「それで、そのノートを見つけた場所は?」

咲「確か、この辺りに……あった!ノートの切れ端!」

京太郎「よし、読んでくれ!」

咲「その家こそが、自らの息子を生贄に出された、欠月家であった」

咲「私は閂で扉を塞いだ。しかし扉の向こうから鋏を振るい、扉に穴を開けようとしている」

咲「破られるのも時間の問題だ。私はこの家で、必死に何らかの手がかりを探した」

咲「わかった事は、あの男児の母親が儀式の後、自らの目を潰した事。恐らく息子を守れなかった事への贖罪だろう」

咲「そして目の見えない母親が、目を失った息子のために、彼の名前を木に彫り、残した事」

咲「しかし、名前を奪われし者の名を記す事は禁じられているため、暗号にして残してある事」

咲「その暗号が彫られた板は見つかったが、私にはその暗号は解けそうにない」

咲「せめて今までの出来事に手がかりがあると思い、民俗学者の使命感と共にこうしてノートに出来事を纏めているが……ここまで書いてもやはりわからなかった」

咲「もうすぐ扉は破られるだろう。私もここまでだ」

咲「最後に、その暗号をここに書き記す」


じ は
か ご
ん ご

ぎ が
し な
き ぞ

だ よ
ま が
れ き

ぼ の
う び
ず わ

そ ご
ば ず
に き

だ が
い し
ち ぬ

咲「これで日記は終わって……あれ?」

京太郎「まだ終わってないのか?」

咲「裏表紙に何か書いてある」






『名前を奪われし者が自らの名を取り戻した時、彼は消え去る
これを読んだものは、それを解き明かして欲しい』






京太郎「つまり、あいつに自分の名前を教えてやれば、消えていなくなるって事か」

咲「でも、それには……」

京太郎「暗号を、解かないとな」

咲「時間は午後、儀式が謎、黙れよガキ、坊主の琵琶、側に牛頭鬼、大地が死ぬ……」

京太郎「さっぱり意味がわからん」

咲「うーん……わざわざ平仮名にしてるんだから、それがヒントだと思うんだけど」






しゃきん



しゃきん





咲「……!」

京太郎「まずい!もう逃げ場が……」

咲(これ以上手がかりはない。逃げることもできない)

咲(今ここで暗号を解かないと、私だけじゃなくて須賀君も……)

咲(助けてーーーーーーお姉ちゃん!)

咲(!!)

咲「わかった」

京太郎「咲?」

咲「この暗号の答えがわかった!」

京太郎「なんだって!?」

咲「この文章は、平仮名ってことと、この文章の形がヒントだった」



しゃきん



しゃきん



咲「名前を奪われた男の子。あなたの名前はーーーーーー」





名前を奪われし男児の名前は?

正解のレスが出ればストーリーが進みます

咲「桜太郎」

咲「あなたの名前は桜太郎!」

咲「お願いします、帰ってください!」





京太郎「お、音が止んだ……」

咲「よ、よかった……」へなへな

京太郎「それにしても、よくわかったな」

咲「うん。私1人じゃ無理だったかもしれない」

咲「けど……」

京太郎「けど?」

咲「お姉ちゃんが、助けてくれたの」



……



>>60の訂正

京太郎「咲?」

京太郎「宮永?」

翌日


京太郎「宮永、ついてきて欲しいところって?」

咲「ちょっとね」

京太郎「?」







京太郎「ここは……図書室か」

咲「うん」



ガララ



司書「あら、咲ちゃん」

咲「こんにちは」

京太郎「こ、こんにちは」

司書「今日はボーイフレンドを紹介しにきてくれたのかしら?」

司書「咲ちゃんも隅に置けないわね」クスクス

咲「違います」

咲「私の用事は、確認したい事があるからです」

京太郎「宮永?」






咲「今回の桜太郎の正体は……あなたですね?」





.

司書「……何のことかしら?」

咲「あなたがとぼけるなら、勝手に私の推理を話します」

京太郎「おい、宮永。桜太郎の正体がこの人ってどういう事だよ?」

京太郎「あれは、首巻様の儀式の生贄にされた男児じゃないのか?」

咲「あのノートに書かれてた事が本当にあった事だと仮定しても……今回の事件と同じとは限らないよ」

咲「少なくとも……人間に不可能な事象は何1つ起きてなかった」

咲「私たちはただ、鋏を鳴らす音しか聞いてなかったんだから」

京太郎「あ……」

咲「図書室に残ってたノートの切れ端」

咲「私がノートをしまったまま立ち去ったのなら、床に落ちた切れ端が、嫌でも目につく」

咲「それを回収しなかったのは、いずれ私には拾わせるため」

咲「そして、それまでに他の人に拾われないように、私がノートを返しに来ないように、図書室を閉鎖できるのもあなただけですよね?」

司書「……」

司書「よくわかんないけど、私がそんな事をする理由はあるのかしら?」

咲「その謎も、あのノートを最後まで読んだ時に解けました」



『名前を奪われし者が自らの名を取り戻した時、彼の者は消え去る
 これを読んだものは、それを解き明かして欲しい』



咲「今までの文と、この最後の文を見比べた時……ある矛盾がありました」

咲「その矛盾から、この最後の文だけは、このノートの筆者が書いたものではないとわかったんです」

京太郎「宮永、その矛盾って?」

咲「それはーーーーーー」




最後の文の矛盾とは?

正解のレスが出ればストーリーが進みます

『私は今、とある怪奇現象に見舞われている
 よってノートに書き記す餘裕などないのだが、民俗學者として後世にこの體驗を殘す義務がある
 全ての始まりは、私がある傳承を調べにとある村に赴いた時の事だった』



咲「このノートは、全部旧字体で書かれています」

咲「それなら、最後の文もこうなるわけです」



『名前を奪われし者が自らの名を取り戾した時、彼の者は消え去る
 これを讀んだものは、それを解き明かして慾しい』



咲「けれどそうではないという事は、他の誰かが追加しただけにすぎません」

咲「本物の桜太郎が、名前を解き明かせば消えるかはわかりませんけど……少なくともこれを書いた人は、この暗号を解いて名前を解き明かして欲しかった」

咲「だから、このノートを見つけた私を脅かして、なんとか名前を奪われし男児を撃退するために、暗号を解き明かすように追い込んだんです」

京太郎「けど、それじゃあ動機が半分じゃないのか?」

京太郎「暗号を解いて欲しいから脅かした。ってのはまだわかる」

京太郎「けれど……その解いて欲しい理由はなんでなんだよ」

咲「その理由も、わかってるよ」

司書「……」

咲「あなたが……桜太郎の血縁者だからですね?」




司書『そろそろ閉館の時間になるから、図書室を閉めたいんだけど……』

咲『し、ししよさん……』



咲「そうですよね?『ししよ』さん」



司書「……」



京太郎「ん?この人のししよって名前が何か関係があるのか?」

咲「この人の名前は別にあるよ。この学校に来た時からずっと、『ししよ』っていう自分のあだ名をみんなに呼ばせてたの」

咲「最初は司書だから『ししよ』って名乗ってるのかと思ったけど……」

咲「『しし』は四四。九九での答えは『十六』」

咲「『よ』は『夜』」

咲「繋げて読むと、『十六夜』。十五夜、満月の次の日」

咲「つまり、欠けた月、『欠月』になる」

京太郎「宮永、いくらなんでもそれはこじつけ過ぎじゃないか?」

咲「こじつけじゃなくて後付けだよ」

咲「ししよさんが犯人。犯人は桜太郎の名前を知りたい」

咲「その理由を推理してみて、思い当たった時……この符号に気がついた」

咲「どうですか?何か間違ったところがあれば教えてください」

司書「……ふぅ。概ね正解よ」

司書「あいにく私は推理小説は読まなくてね」

司書「あなたなら追い込めば、私の祖母の弟……桜太郎さんの名前を、解き明かしてくれると思ったんだどけどね」

司書「どうやら、それだけじゃ済まない名探偵さんだったみたい」

咲「祖母の弟さん……?」

司書「そう。私のお婆ちゃんがよく言ってた」


司書「私は物心つく前に、村から養子に出された」

司書「村の事はあまり覚えていないけれど、弟とよく遊んだ事は覚えている」

司書「けれど、数年経って故郷に戻った時、村は廃村になっていた」

司書「そして、弟は儀式の生贄にされ、名前を奪われた」

司書「私は弟の名前を思い出せない。村からも弟の名前は消されている」

司書「そして恐ろしい事に……弟の顔も、思い出も失われてきた」

司書「名前がなければ、思い出に記録をつける事もできない」

司書「あの頃、よく遊び、何度も読んだはずの弟の名前」

司書「それを口に出して呼ぶことができればーーーーーーきっと、弟との思い出も、鮮明に蘇る」

咲「名前が、思い出の記録……」

司書「そうよ」

司書「名前があるから区別もつくし、呼ぶこともできる」



司書「そして……記憶の海の灯台にもなる」



司書「あなた達には悪いことをしたわね」

司書「だから、こんな事を言うのもおかしいけど……」



司書「ありがとう。お婆ちゃんが死ぬ前に、思い出をプレゼントできそう」



.

……






通学路


京太郎「はー。全部、人がおこしてた事件だったんだな」

咲「うん。あまりの不気味さとノートの内容に、完全に呑まれてた」

京太郎「それにしても、凄かったな宮永!」

咲「えっ、何が?」

京太郎「さっきの推理だよ!まるで名探偵みたいじゃないか!」

咲「え……えへへ///」

京太郎「なんか……俺も、推理小説とか読みたくなってきたな」

咲「ほんと!?」

京太郎「ああ。だから、何か面白いの貸してくれよ」

咲「うん!」

京太郎「頼むぜ、宮永」

咲「あ……そうだ」

京太郎「ん?」

咲「その……さっきの司書さんの、お婆ちゃんの話」

京太郎「弟の名前を失って、思い出も失ったって話か?」

咲「うん」

咲「名前で呼ぶって、大切な事だと思う」

咲「だから、私も須賀君の事、下の名前で呼んでいいかな?」

京太郎「……?なんか意味がちょっと違うような……」

咲「い、いいの!合ってるの!」

咲「だから、私の事も下の名前で呼んでね」

京太郎「あ、ああ……」

咲「んん!」ゴホッ

咲「とりあえず、改まって……これから、よろしくね。京ちゃん」

京太郎「ああ。咲」






HAPPY END
「名前で呼んでね」





.

これで終わりです


旧字体じゃないとかそんなわけありました
旧字体にするのが大変なので、最初以降全部咲さんの口頭式にしたまでです

点字の問題はきっとそう簡単に解けないであろうとか思ってたけど、あっさり解かれて目が点になりました

前作は京ちゃんと咲ちゃんが旧校舎の鏡に引きずり込まれる話です
本当は全部幽霊の仕業にしようと思ったけど、それだと旧校舎に入り込んだ時に、心霊体験初会合にならないのと、心霊現象に思えても実は全て説明がつく現実的な事象の場合もあるという事を言いたかったので、司書さんに急遽犯人になってもらいました


最後までお付き合いいただき本当にありがとうございました

乙です。
この感じ割と嫌いじゃないです、前の話は【宮永咲「】とかで検索すれば見つかりますか?

>>98


豊音「末原さーん。会いたかったよー!」ぎゅー


恭子「廃旅館……なんかこういう廃墟を見てると、探検したくなるわ」


「この村では、魂を輪廻させる儀式が行われていたらしい」

「そして、その儀式の生贄は……旅館に泊まりに来た旅人だった」


『末原恭子「宮守譚」』



由子「私達の通ってた小学校が廃校になって取り壊されるらしいのよー」


恭子「七不思議か……けど」

恭子「私がいた頃は、六不思議だったはずやけどな」


『末原恭子「ようこそ廃校姫松小学校へ」』



洋榎「なんや……この古ぼけた鏡は」

由子「私、こんな鏡が欲しかったからちょうどいいのよー」


恭子「鏡が追いかけてくる……?由子、今すぐ主将とそっちに行くから、なんとか逃げるんや!」


『末原恭子「鏡の国の由子」』



恭子(全ての元凶、村木家)

恭子(その謎は、この村にある)

豊音「わあ、綺麗な桜……」

恭子「ここが、首吊り村……」


『末原恭子「続・宮守譚」』



塞「これは、友達の友達に聞いた話なんだけどね」


恭子「まさか、あの村でやった事が裏目にでるなんて……」

恭子「なら、人形屋敷のエリカちゃんをどうにかするのも、私の役目や」


『末原恭子「終・宮守譚』」




菫「ふふふ。松実旅館にお泊まり……そこで私は宥と一夜を共にする」

菫「ああ!楽しみだなぁ!」パタパタ


『菫「松実旅館の怪」』



京太郎「ここは……廃病院か」

京太郎「なんだこの缶詰は?」


「……を食べた者の末路。それはーーーーーー」


『京太郎「全国って可愛い女の子が多いよな」』



久「この旧校舎はね……昔は病院だったのよ」

久「廃病院を取り壊してこの校舎を建てたんだけど、病院の備品はそのまま使ってるみたいよ」

久「特に、倉庫にしまってある鏡は、曰く付きの品よ」


『須賀京太郎「旧校舎の鏡」』



憧「まさか、屋敷の中に閉じ込められるなんて……」

穏乃「早く脱出しないと……。あのメイドさんに見つかったら、どうなるか……」


「私たちはこの屋敷にたどり着いた者達を、実験の被験体にした」


『新子憧「しずと一緒に山登り」』




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