菜々さんがデビューしてから10年後のお話です。
よろしくお願いします。
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春が来て、桜が咲く。
夏が来て、木々が緑に色ずく。
秋が来て、山々が紅葉に染まる。
冬が来て、世界が白で多い尽くされる。
そして、長い冬を経てまた春が来る。
一日一日。一秒一秒。刹那を繰り返して時間は進んでいく。
それはあっと言う間で、気がついたら振り返れるほどに時間は積み重なっていく。
って、あー! なんで引いてるんですか? もう、わかりましたー!
ごほん……すいません、無理して変な事言う必要なかったですね。いつものナナでいきます!
でも、今ここにいることが不思議で仕方なくて……それで、なんか変になっちゃってます。
けっして、10年経ったから自分のキャ……ごほんごほん、ステージの上で何を言っていいか分からなかっただけです。
さっき、いつものナナって言いましたけど、それもちょっと可笑しな話です。
ここに立つのは、本当に久しぶりですから。
だけど、今も昔も、ナナの心は変わってません。
もちろん皆さんも覚えてますよね。
声をそろえて! せーのっ!!
「ウッサミーン!」
モニター越しに見えるステージはウルトラピンクのサイリウムで埋まる。
アリーナは一斉に放たれたウサミンコールで揺れる。
それが、あの日から続く物語がまだ終わっていないことをナナに教えてくれました。
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春の日差ざしが街を照らし、若葉の香りが混ざった風が吹く。爽やかな春の朝。
「ああー、遅れちゃう遅れちゃう!」
そんな爽やかな陽気の中、ナナは爽やかさなんて1ミクロンもない涙目の顔で全力疾走しています。先ほどすれ違った犬の散歩をしている御婦人と飼い犬が全力でこっちを見ていますが、無理もありません。ナナが逆に立場だったら絶対に振り返ります。
「年々朝起きるのは辛くなるのに、なんで事務所は近くならないのーっ!!」
我ながら最高に理不尽な文句を言ったものだと思います。気にしない気にしない。今大切なのは、始業に間に合うこと。
もはや慣れ親しんだ町並みを駆け抜けて事務所への道を走る。走る。
血相を変えて全力疾走をしたおかげか、ようやく事務所のビルも見えてきました。スマホで時間を確認すると、まだ少しだけ余裕がある。
「はあ……はあ……」
立ち止まって息を整える。もう、現役のときほど体力はない……いえ、あの時もこんなものだったかもしれない。私、『安部菜々』はそんな隙だらけのアイドルでした。
「うう……行かないと」
重い体を引きずって、なんとか事務所へと歩き始める。階段を昇るのは少し億劫ですけど、これも毎日繰り返して慣れたものです。
「……でも、そろそろエレベーターつけてくれないかなあ……」
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「おはようございまーす」
勢いよく事務所のドアを開けて、精一杯挨拶をします。この瞬間だけは疲労なんてなんのそのっ!
現役の時ほど体は動かなくなった。ダンスなんて以ての外だし、歩く速度だってどんどん遅くなっていく。
だけど、朝一番の挨拶だけはあの時からずっと、事務所全体に響くくらいに出している。
「おはようございまーす」
「菜々ちゃーん、今日もお願いします」
すると、すでに事務所に入っていた現役のアイドルやアシスタントたちが元気に挨拶を返してくれます。
事務所に所属する子たちも様変わりしましたが、それはずっと変わりません。
ウサミン星からやってきた、歌って踊れる声優アイドル、安部菜々がデビューしてから10年の時が流れました。
ナナも4年ほど前にアイドルの衣装を脱いで、今着ているのは薄緑色のジャケットのスーツ。アイドルの時にサポートしてくれたアシスタントさんとお揃いです。
顔には、もうすっかり馴染んだ赤縁の眼鏡。髪もシュシュでまとめて背中に下ろしています。
アイドルの安部菜々はもう居ません。ここに居るのは、ステージの上での癖が抜けなくて、すっかり一人称がナナになったアイドルではないただの安部菜々です。
そんなナナは、今でもアイドル時代に所属していた事務所にお世話になっています。
アイドルを辞めた後、きっぱりこの世界と縁を切れればカッコよかったのですが、あいにくナナは往生際が悪くて、今でも間接的にアイドルに関わっています。
そんなナナでも、事務所のみんなは受け入れてくれて無事に働いています。
「よ、どうしたんだ、ナナ」
そんなナナの耳に、慣れ親しんだ声が届いた。
「は!? プロデューサーさん?」
あわてて振り返る。そこには、ナナのアイドル時代のプロデューサーさんが立っていました。
「髪、乱れてるぞ」
「はうわっ」
指摘されて慌てて髪を押さえる。近くに何か姿が見れる物がないか、キョロキョロと探しましたが見つかりません。
そうしていると、プロデューサーさんはちょっと意地悪な顔をして笑います。
「もう!」
ナナは、わざとらしく頬を膨らませてぷいっと顔を横に向けます。もちろん、本気で怒っているわけじゃなくてわざとらしい演技です。
「はは、悪かった悪かった」
そう言うと、ナナの髪を優しく整えてくれます。
思えば、これもアイドルをやっていたときから何度もあったこと。
あれから長い時間が経ちました。それこそ、ニュージェレネーションがオールドジェネレーションになるくらい。
楓さんは本格的な歌手に。かな子ちゃんはレギュラーのお料理番組を持つ人気タレントに。莉嘉ちゃんは美嘉ちゃんが立ち上げたブランドでモデル。杏ちゃんは……なんか株取引ですごいことになっている。
千枝ちゃんのように今でもアイドルをやっている子も居るけれど、あの時顔を合わせていた皆はそれぞれの道を歩んでいます。
今までどおりと言うには、あまりにも多くのものが変わってしまったけれど、変わらないものもあります。
ナナは、今でもプロデューサーさんと一緒に仕事をしています。
「そういえば」
そう言うと、プロデューサーさんは壁に掲げられたポスターを指差します。
そこには、ピンク色にデコレートされたポップなフォントでこう書かれてます。
『ウサミン星交流開始十周年記念祭』
変わっていないことは、もう一つあります。
アイドル、安部菜々の物語は、最後にステージに立った日に終わりました。
だけど、ウサミン星人の物語は、まだ終わっていません。
「菜々、確認するが、本当にいいんだな」
「あのお話ですか? はい、ナナとしてもあれがギリギリ許せるラインだと思ってます」
「そうか、ならいいんだが……」
それは、ナナが歩いてきた道の成果。
ドラマチックには程遠くて、喜劇にするにしてはちょっと生々しい。
あの日から始まった物語の、一つの成果です。
そう、思い出しても、あれは変な始まりでした。
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アイドルになりたい――
そんな漠然とした願いだけを抱えたナナは、メイドカフェでアルバイトをしながらただ只管にオーディションに挑んでいました。
けれど、結果は芳しくありませんでした。
それは当然です。
安部菜々は、ウサミン星と呼ばれる地球じゃない惑星からやってきた女の子。
どうしても歌って踊れる声優アイドルになりたいから、わざわざウサミンロケットで地球にまでやってきた、夢を追いかける永遠の17歳。とまあ、聞く人が聞いたら頭痛で吐き気がするような設定の山盛りでした。もちろん、ナナは大好きですよ。
でも、やっぱり世間は甘くありません。そんなおかしな設定を引っさげた年齢不肖な人間をアイドルに使用なんてそう居ません。
だけど、一人だけ居たんです。
ある日、バイト先に突然あらわれた変わり者のあの人。
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「自分は中つ国が実在すると思っている」
その人は、ナナをスカウトする時にそんなことを言いました。
「中つ国?」
「ミドルアースと言ったほうがよかったか?」
「あー、指輪物語!」
中つ国とは、J・R・R・トールキンの作り出した物語の世界のことです。
日本でも指輪物語と題されて実写絵画化され、そのハイファンタジーの世界の知名度は低くはありません。
エルフとドワーフ、それにホビット。漫画やゲームでも使われるようなファンタジーの基礎となったその世界は、ナナも大好きでした。
だけど、それはあくまで創作の世界のことです。トルーキンが持てる知識を総動員して作り出したその世界が如何に完成度が高くても、架空の物です。
それが実在すると、プロデューサーさんは迷いなく言い切ります。
「……正気ですか?」
「正気だ」
そう答える声と瞳は真剣そのものでした。今でも確かに覚えています。
「え、だって」
「物語を、信じていると言った方が正しいかな」
戸惑うナナを前にして、プロデューサーさんは恥ずかしそうにしていました。
「と言うか、自分がその世界が存在するって信じたいの、かな」
「あー、分かります。ナナも信じたいものってあります」
「ゼテギネア暦も存在するし、遥か昔宇宙の彼方ではジェダイの騎士とシスの暗黒卿がフォースで戦っていたとも思う」
「ゲームも映画もファンタジーもごった煮じゃないですか!」
思わずキャラ作りも忘れて突っ込みを入れてました。
「それでも、その『物語』を信じている」
だけでも、この人は最初と同じ、真剣な瞳でナナを見続けています。
「たとえ架空の物語だとしても、それがこの世界の歴史に存在しなくても。その物語を信じる」
「それは……」
そう、プロデューサーは物語の舞台は架空の物だと分かっている。だけど、物語は確かに存在すると言っていたんです。
「もう一つ、信じてる物語があります。安部菜々の、ウサミン星の物語です」
「ナナの、ですか?」
「自分は、安部菜々がアイドルになれると信じている。それはどんな物を纏っていても、信じたくなる輝きを持っている」
ナナはその時に理解しました。目の前にいる人間は、自分以上にバカなのだと。幻想の世界を『信じよう』としているバカなのだと。
思わず、笑ってしまいました。
「あははっ。えっと、ごめんなさい」
だから、自分をスカウトするなんて、常人が聞いたら愚かだと吐き捨てる行為も本気で行う。
本気でバカで、どうしようもないロマンチストだ。
だからこそ、ナナはこの人を信じられる。
夢だけを抱えて溺れかけていたナナを信じてくれるのは、この人だけだと確信できました。
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それからは、休むまもなく駆け抜けていく日々でした。
仕事先への挨拶とレッスン。先輩のアイドルたちのサポート。
そうして小さな仕事をこなしていくうちに、少しずつ増えていく安部菜々のアイドルとしても仕事。
「やったぞ菜々! ついにCDデビューだ」
そう言って、メルヘンデビューを持って来てくれた時は、二人で事務所の中で大はしゃぎして、ちひろさんから怒られました。
止まっていた時計が一気に動き出したかのような、目まぐるしい毎日。
それは、年齢的にナナには少しだけ辛かったけど、とても輝いていた日々。
でもちょっと情けないことなんですけど。ナナはあの時、油断したんだと思います。
仕事も軌道に乗ってきた。素敵な歌に沢山のファンも手に入れた。
じゃあ、その次はどうしたらいいんだろう。
何がしたいかと聞かれても、ナナはアイドルを続けられればそれで幸せです、と答えていました。
もちろん、ファンが増えてくれて、その人たちを幸せにしたい。
よく言えば現状を維持。その先には、何も考えられませんでした。
それは、間違っても不幸ではないです。ナナの身には余るほどの幸運な日々でした。
だけど、これが終わったあと、ナナはどうなるんだろう。
アイドルでなくなったナナは、ウサミン星人でも17歳でもないただの女の子……でもない、ただの女性です。
ウサミンコールを受けてステージの立つ、みんなの憧れのアイドルじゃなくなった時。
その時、安部菜々に何が残るんでしょうか。
漠然とした不安は日に日に大きくなっていったけれど、ナナはアイドルを続けていました。
川島さんの髪の毛に白髪が混ざり、早苗さんが痛風で倒れたり、みんな少しずつ年齢を重ねていきました。
ナナも体が少しずつ言う事をきかなくなって、思ったように踊れなくなって……情けなくなって……でも、そんなナナを、プロデューサーはいつだって気遣ってくれましたね。
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ところで、ナナは今までの生涯で二人だけ、自分よりも夢見がちな人に出会っています。
一人はプロデューサーさん。もう一人は、あの子です。
アイドルを続けて数年。いよいよ体力的に辛くなって来たとき、あの子は現れました。
「私、ウサミン星人になりたいんです!」
事務所に来るなり、その子はナナを見て無邪気な瞳でそう言いました。
年の程は12歳ほどの、小さな子供。聞けば中学生と言うけれど、幼い容姿はそうは見えませんでした。
だけど、誰よりも強い意志を持った子でした。
なんど追い返そうとナナにくらいついて、プロデューサーさんたちにも認められた、一歩間違えたら頑固な子でした。
だからこそ、ナナとプロデューサーは、彼女にウサミン星の真実を告げることにしたんです。
それは、とっても辛かったです。
ナナのツギハギだらけの設定を本気で信じてくれた女の子。その子から希望を奪うことになる。
だけど、ナナは言いました。
一字一句、言葉を選びながら。時々泣きそうになりながら、間違えのないようにナナの真実を伝えたんです。
「……わかった」
「はい」
彼女は、そう短く答えました。
ナナは、怖くて顔を見れませんでした。
突き詰めてしまえば、ナナは嘘を演じ続けてきたんです。どんなにすばらしい音楽と衣装で彩られても、ナナはナナでしかない。
ウサミン星は存在しないし、安部菜々は安部菜々でしかないんです。
アイドルに憧れて無謀な挑戦を続けてたナナが、子供の夢を奪うなんて皮肉にも程がある――と、思ってました。
「ありがとうございます、菜々さん」
瞳にうっすら涙を浮かべながらも、その子は菜々をまっすぐに見て感謝の言葉をくれたんです。
信じられますか? 夢を壊したナナに、あの子は感謝の言葉をくれたんです。
「菜々さんがウサミン星人じゃないのは寂しいけど。それでも私は菜々さんがアイドルしてる姿、大好きなのは変わりないもん」
その言葉で、救われた気がしました。
「でも――」
だけど、神様は意地悪です。救いなんてものじゃない大きな物を、ナナに寄越したんですから。
「ウサミン星が、菜々さんだけのものなら――」
その言葉に宿った熱は、今でも忘れられません。
「ウサミン星が菜々さんだけの物なら、菜々さんが居なくなったらどうなっちゃうの?」
その時、気がつきました。
もう、アイドルとしてのナナ。ウサミン星から来た安部菜々は、自分だけのものじゃない。
「あれは、ナナがアイドルをするための――」
「なくなるのなんて、嫌です。私は菜々さんの言うウサミン星のお話が大好きで、いつも勇気を貰って来ました」
ナナは何もいえませんでした。
でも、プロデューサーは言いました。と言うか、どう考えてもずっと考えてましたよね。なにせ歌から衣装まであの後即座に用意しましたから。
「なら、君がウサミン星を語り継いでみないか」
その時から、ナナがステージに立つための『設定』だったウサミン星は、沢山の人の意思が紡ぐ『物語』に生まれ変わったんです。
ウサミン星から安部菜々を追いかけてきた、ちょっとあわてんぼうの女の子。
歌って踊れる声優アイドル、安部菜々の活躍は、地球だけじゃなくて遠く離れたウサミン星にも伝わっていました。
それは、新しい希望をつなぐのに十分でした。
安部菜々に憧れて、ウサミン星からアイドルを目指してやってきた少女が居たのです。
二代目ウサミン星人の誕生です。
ナナの夢が、ナナだけの夢でなくなったんです。
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『ウサミン星交流開始十周年記念祭』
それは、ナナがデビューしてから10年。いまや5人に増えたウサミン星人たちの節目のイベント。
そこに、ナナは特別に出演させてもらえることになりました。
と、入っても実際にステージに立つ訳ではないです。遠いウサミン星から、音声だけでファンに感謝を伝える。
「それで、いいんだな」
「はい」
もう、ナナは一線を退いた身です。それでも、ここまで物語を繋いでくれたファンたちに感謝の言葉を伝えたい。それだけのために、ナナは声を出します。
「しかしまあ、遠くまで来た者だな」
「はい……」
でも、まだ終わりではないんです。
「もし、100年後……ううん、ずっとずっと先まで、ウサミン星が信じられたら、どうなると思います?」
「そりゃもう、大偉業だよ」
「それってきっと、歴史を作ることなんだと思います」
プロデューサーさんは、黙って聞いてくれています。
「ナナは、自分がアイドルになれれば、きっとそれで満足だったんだと思います」
そう、ナナの夢はアイドルになること。それだけだった。
「でも、気がついたら沢山の人が居て。沢山の希望を見つけて。たくさんの夢を新しく作ってくれる」
それだけだったナナに、沢山の人が希望を見出してくれた。
前に、川島さんが言っていました。
アイドルは、ふわっとしたイメージだからこそみんなが憧れて、追いかけるもの。
それだけじゃなくて、プロデューサーさんは教えてくれました。
形のない物だからこそ、誰かが信じて初めて形になるんだって。
「最初はノートの角にちょっとだけ書いた、ツギハギだらけの夢見るだけだった女の子妄想」
それが、ナナの始まり。
「いつかそれが夢の形を借りた呪いになって、ナナを蝕みました。だけど、王子様は呪いを希望に変えてくれました」
それが、ウサミン星の物語。
「そしてその希望は、ずっとずぅっと続いていくんです」
まだ、終わってほしくない。それはみんな持ってる願いの筈だから。
「プロデューサー。ナナの我侭を聞いてくれますか?」
「いや、その前に一つ訂正したいちょっと違うな」
プロデューサーは咳払いをすると、ナナを真っ直ぐと見つめます。
「俺は、王子様のつもりもないし、ただ自分と不幸に酔っているだけのシンデレラ気取りの小娘をアイドルにしたつもりはない。だから、王子様なんて言ってくれるな」
そうでしたね、プロデューサーは、王子様なんて柄じゃないです。
「それに……ウサミン星を作れたのは、いつだって最高のパートナーの安部菜々が隣に居たと思ってる」
ずっとずっと、一緒に走り続けてきた。
「だから、これからもそうして欲しい……いや」
そうして、プロデューサーは、初めて出会った時と同じ瞳で言いました。
「夢見がちな俺に、まだ夢を見させてくれますか?」
「あはっ、なんか立場が逆ですね」
「ずっとこうしてきただろ。お互いに一緒に歩いてきたんじゃないか」
「だから、これからも」
これからも、と言う未来への約束の言葉が重なる。
「これからも、隣で一緒に夢を紡がせてください」
まだ、ナナはアイドルを捨てられない。
「もうステージで歌って踊ることはできないけど。でも、まだウサミン星人の物語は終わっていませんから」
そう言うと、プロデューサーはナナに手を差し伸べる。
もちろん、ナナはそれを迷わず取った。
「……なあ、菜々」
「どうしました?」
「もう、結婚しようか」
「そうですね」
すると、真後ろから素っ頓狂な声が聞こえてきた。
「え!? 今までしてなかったんですか?」
なんて、ちひろさんが間の抜けたような事を言っていた。
了
以上となります。長々と失礼しました。
>めちゃくちゃ読みづらいのはなんで
大変申し訳ないです。
課題とし、他の方々の投稿を読ませていただき勉強して改善していきます。
読み返すと、タイトルの括弧が閉じていない、一箇所トールキンがトルーキンになってるなど、見直してミスが目立ち、恥ずかしい限りです。
それでもお付き合いいただきありがとうございます
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