みほ「戦車道が廃止!?」 (17)

杏「そう、戦車道は危険ーとか怪我する命にかかわるーとかいう苦情が多すぎて、戦車道を大それと出来なくなったらしいんだよね」

みほ「ええっ!?」

優花里「そんな!戦車道は安全には十分配慮されてるんじゃ」

杏「まーね。実弾は使わないって言っても素人目から見たら充分危ないし、事故したり炎上することもあるしで色々と文句が来たらしいんだよねー」

杏「そんで、戦車道を更に安全面に配慮して、これから学習課程としての戦車道は」

杏「今までの戦車道、『硬式戦車道』と区別された、『軟式戦車道』として履修することになるから」

優花里「軟式戦車道……ですか?」

杏「そ。西住ちゃん達が乗るIV号も軟式用に改造されてるから」

みほ「へー……」


沙織「どんな改造を施されているんだろうね?」

華「更に安全に配慮されているらしいですが……」

優花里「下手に戦車を弄られて、砲弾の発射音やエンジン音が変わってないといいのですが……」


杏「んで、これが軟式IV号戦車」


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優花里「」

みほ「やわらかすぎない!?」



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沙織「やだ可愛いー!」

沙織「見て見て!顔ついてる!キュートー!」

沙織「やっぱりこういう可愛い女子力に満ちた戦車に乗ってた方が男受けいいよねー!」


華「……そうでしょうか?」

麻子「女子力に満ちてるとは到底思えんがな」

優花里「そ……そうですよ!」

優花里「なんですかこれ!」

優花里「これ戦車って言い張るんですか!?」


杏「うん」

優花里「アア……IV号が……」

優花里「しかも!見渡すとヘッツァーも!38tも!M3までー!!」パタッ

沙織「あっゆかりんが倒れた」

みほ「さ……流石に私もこれは」

みほ「キャタピラの付いた大福にしか……」

麻子「顔面のある大福とは怖いな」


沙織「大福!まんまるでプリティー!」ツンツン

杏「あーあんまりいじんない方がいいよ」

沙織「えー?」

杏「あんまりいじるとさー」


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杏「傷んで腐っちゃうから」

沙織「腐る!?」

みほ「痛む!?」

麻子「やっぱり大福じゃないのか」

杏「そんなわけで次の日曜聖グロリアーナと試合だから。よろしくねー」


沙織「試合……試合!?」

優花里「こ、こんなので聖グロのチャーチルやマチルダと渡り会おうって言うんですか!?」

華「と、とは言っても以前の試合も戦車の戦力差はありましたし……」

優花里「今度はこっち側戦車でも何でもないじゃないですかー!!」

優花里「試合ってなんですか!?聖グロの皆さんとこの大福つまみながらお茶会でもするんですか!?」

麻子「落ち着け……秋山さん。生徒会長の言葉を信じるなら、向こうの戦車も恐らくこうなってる筈だ」

優花里「はっ!そうでしたね、それなら一安心……」

優花里「できませんよー!!イギリス戦車も魔改造されてるってことじゃないですかー!!」


みほ(こんなので試合になるのかな……)ハハハ

ダージリン「こんな格言を知ってる?」

ダージリン「『幸せな人生の秘訣とは、変化を喜んで受け入れること』」

優花里「ああ……やっぱり向こうの戦車も……」


ダージリン「急なルールの変化にお互い戸惑っているでしょうけれど、お互い正々堂々頑張りましょう」

みほ「あ……はい」

みほ「ダージリンさん、こんな状況でも落ち着いてる……流石だなあ……」

ダージリン「流石に、私もはじめに聞いた時は少なからず焦ったけれど」

ダージリン「ええ、紅茶をこぼさなかったけれどね、勿論」

ダージリン「『変化は苦痛だが、それはつねに必要なものだ』」

ダージリン「それに文句を言っても現実は変わらないものね」



沙織「ねえ麻子、変化と言えば」

麻子「何だ」


沙織「あれが私たちのIV号」


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麻子「ああ」


沙織「あれが聖グロのチャーチル」


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麻子「らしいな」



沙織「違いわかる?」

麻子「全く」

沙織「だよね」


華「私も、実は……」

優花里「私も、全く区別がつきません……」

沙織「ゆかりんで分からないんだから、相当だよね……」

みほ「皆さん、整備おわり次第戦車に乗り込んでください!」

みほ「乗り込……乗り……」


沙織「……ねぇ、みぽりん」

みほ「……うん」


みほ「どうやって乗り込むの、これ……」


杏「ああ、言ってなかったね」

みほ「会長!」

杏「基本的に無人で動くから、命令したげて。大体言うこと聞くようになってるから」

優花里「AI!?」

麻子「というか命令って、戦車に意思でもあるのか……」

華「まるでペットみたいですね」


みほ「えっと……じゃあ」

沙織「じゃあ!じゃなくて!」


沙織「それって操縦手は」

杏「いらないねぇ」

沙織「砲手は!?装填手は!?」

杏「砲塔も弾もないからねぇ」

沙織「通信手は!?」

杏「電話でチームメイトと電話するくらいはできるんじゃない?」


沙織「チームって何なのよ!!」

麻子「どうどう」

沙織「これが落ち着いていられる!?」

杏「まあまあ、決まっちゃったものは仕方ないよね」

沙織「納得できるかー!!」

みほ「そんなこんなで試合が始まりましたが」

みほ「始まるや否や、『蚊に刺された』『観戦に来た男子中学生に餌付けされた』『紅茶を浴びてしまった』やらでほぼ全車退却」


みほ「まるで試合にならないってことで軟式戦車道の話はなかったことになりました」


優花里「いやあめでたしですね!!本当にめでたしですね!!」


おわり

おまけ


アンチョビ「軟式戦車道用の戦車は安価だから何台でも買えるぞ!!」

ペパロニ「つまりおやつの回数を我慢しなくても!?」

アンチョビ「ああ大丈夫だ!」

ペパロニ「うおおおおお!!」


カルパッチョ「……あの、統帥」


カルパッチョ「安価だからって、流石に書い過ぎでは」



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                           ;;'';';';;'';;';'';';';;;'';;'';;;
                             ,ハハハハハハハハハハハハ,
                         ハハハハハハハハハハ、
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アンチョビ「そうか?」


おまけおわり

硬式戦車道の同人誌を見て思いつきました

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