【デレマス】P「なあ。あんたはアイドルが好きか?」 (10)

みんな違ってみんな良い。


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なあ。あんたはアイドルが好きか?
俺は好きだ。今でも大好きだ。
ところで、アイドルといえばソレをプロデュースする仕掛け人だ。
そうだ。プロデューサーだ。

プロデューサーにはいくつかの種類がいる。
ひとつめは、金の卵を見つける「スカウト」だ。こいつは育つ苗しか見つけてこない。
ふたつめは、どんな石ころでも、宝石にしちまう「トレーナー」だ。こいつが育てた石ころは、息が長いぞ。
みっつめは……

夏。何かがありそうな雲ひとつない青空。
背中に張り付くワイシャツが気持ち悪い。
だが、このあとも営業先へ挨拶に行かなきゃいけない。
バスに乗り込み、一息つく。次の計画を立てるべく手帳を開こうとした。

出発しようとするバスを呼び止める、どこか間の抜けたような声。よく通る声だ。
声の主は、息を荒げてバスに乗り込む。無防備に胸元を旗つかせるため、目のやり場に困る。
首筋から流れる汗が光を反射する。

素直に「きれい」だと思った。
これでスカウトしなければ、プロデューサーの名に恥じると使命感を燃やさせる何かがあった。

結果は、けんもほろろに断られた。

茹だるような雲ひとつない夏の日だった。

しかし、再開する日は遠くなかった。
自社でのオーディション会場に彼女がいた。お互いに気づくと少し気まずそうにするのが、一層可愛らしく見えた。

友達が勝手に応募した。彼女はそういった。
彼女は、ウチのアイドルになった。
小さいプロダクションの大きな期待と夢を背負ったアイドルになったのだ。

毎日、レッスンした。色々な番組、ライブやイベント。外回りだって沢山行った。一ヶ月で2足も革靴をダメにした。

だが、結果は出なかった。
彼女はいつも笑っていた。
励まされる日のほうが多かったと思う。
幸せだった。アイドルとともに歩いている。そう感じたんだ。

それでも、現実は非情だ。
赤字がかさみ、アイドル部門から撤退することになった。アイドル黄金時代のこのご時世。デビューすれば売れるとさえ揶揄される時代。俺は彼女をアイドルに出来なかった。
俺は解雇され、彼女は別の事務所に移籍した。

彼女のことだ。きっと今にトップを狙えるだろう。そう信じたかった。

果ての見えない夜空の元。
俺は、誘導灯を振っていた。
たくさんの車が俺の前を通り過ぎる。

向かい側の小料理屋のテレビに年末の特番が放送されているのが見える。
アイドル番組のようだ。アイドルを眺めながら振るライトはさながらサイリウムだ。

アイドルは俺の全てだった。そう全てだったんだ。
テレビの中でアイドルが踊っている。歌っている。
なぜ俺はこんなところにいるのだろう。舞い散る雪のような想いが溶けては、また降ってくる。

番組は、大手プロダクションが主催するコンテストのようだ。今回が初開催。はてさて、初代は誰の手に渡るのか。

サイリウムが止まる。世界がとまる。
彼女だ。今まさに壇上に上がりトロフィーを手にしているのは彼女ではないか。
遠くからでもわかる。苦楽を共にした彼女。

嗚呼。まだアイドルを続けていたのか。
嬉しかった。本当に嬉しかった。
彼女が、笑いながらインタビューに答えている。
カメラに向かって、まるで俺に話しかけるように。

だが、彼女の隣にいるのは俺じゃない。
やり手のプロデューサーだ。彼女はもう俺のアイドルじゃあないんだ。
なぁ。俺はお前に何かをしてあげられたのかな。

汗ばむような雪の元。
じっとりと濡れた靴を踏みしめ、
暗い空を見上げた。

・・・

・・




「初代シンデレラガールに選ばれました。お気持ちはいかがでしょうか。」

「プロデューサー。えっと、今のプロデューサーさんじゃなくて、
前の事務所のプロデューサーなんですけど。聞こえますか?
私、トップになりましたよ。えへへっ。
プロデューサーのおかげで、トップになるっていう夢叶えられましたっ!」


合いの手ありがとうございます。
html依頼だしてきます。

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