じゃーん!茜ちゃんだよ!
さっき会ったばかりだけどプロちゃん元気ぃ~?
突然ですが、お世話になってるプロちゃんにプレゼントでーす♪
日頃の感謝をこめて、ジャイアント茜ちゃん人形プロトタイプをプロちゃんのお宅に送っといたよ!
置き場所ないし、なんか時々勝手に動くからね!
先に言っておくけど、いくら茜ちゃん人形がカワイイからってヘンなことしちゃダ・メ・だ・ぞ?ニャハッ♪
じゃ、また明日ね~!
カワイイカワイイ茜ちゃんより
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1452407512
茜「ほい送信、っと♪ プロちゃんきっと喜ぶぞぅ!」
茜「あっとと、ヤカンが鳴ってるよ! カワイイ茜ちゃんには冬の寒空の下、月を見上げながらあったかいココアを飲むのがよく似合う! よっ美少女!」
茜「すずず……ふぃー、なんだかとってもイイ気分。今日も一日お疲れ様、茜ちゃん。明日も頑張るぞ、茜ちゃん!」
茜「ぷえっくしょい! ぶるる、美少女らしからぬクシャミしちゃった。カワイイカワイイ茜ちゃんのイメージの危機!」
茜「風邪なんて引いたら皆が悲しむからね! お風呂入っておやすみだー! ……ん?」
茜「あの電柱の影、誰かいるなー……いくら茜ちゃんがカワイイからって、お家まで来られるのはちょっと困るよ?」
茜「うーん、でも何かしてるって訳でもないしほっとく? これもユーメーゼー? ってやつ? だよね、そだよね、じゃあ放置!」
茜「でもでもちょっち怖いから戸締まりはキチンとね。抜け目ないぞ茜ちゃん、ファンとの距離の取り方も完璧だぞ茜ちゃん!」
茜「さーておっふろーおっふろー♪」
茜「むにゃむにゃ、まだ食べられ……は! 朝、それは太陽が茜ちゃんを照らす時間!」
茜「美少女の朝は100回クシを通すところから始まる……うん、今日もカワイイ! 顔洗ってハミガキハミガキ」
茜「パパママおっはー、今日の朝ごはんナニー? サンドイッチ? うんうん痒いところに手が届くぅ、いただきまーす!」
茜「はむ、むぐぐ……けぷ、ごちそーさま! んじゃ茜ちゃん出かけて来るね! ううん、お昼は劇場で食べてくるからいいや! 行ってきまーす!」
茜「っと、そういえば昨日の晩はあの電柱の影にいたんだっけ。あり? なんかまだいらっしゃる感じ?」
茜「ってこれジャイアント茜ちゃん人形プロトタイプやないかーい! 思わず関西弁で突っ込んじゃったよ!」
茜「んん? ってことはってことは? 昨日のはプロちゃん? そしてジャイアント茜ちゃん人形プロトタイプを持ってきた?」
茜「……んもー困るなー! プレゼントが嬉しかったから肌身離さず持ち歩いてくれてるのはいいけど、忘れて帰っちゃダメじゃーん♪」
茜「そうと決まったらもう一回郵送だ! ん、よいしょっと……! ぐうう、重い! 頑張れ茜ちゃん! なんでそこで諦めるんだ出来る出来る!」
茜「はいムリー。ただいまー、パパ台車貸してー。っていうか車出してー。郵便局までー」
From:野々原茜
To:P
Sub:ダメだぞプロちゃん!
ハロー、プロちゃん!
茜ちゃんはもう激おこプンプン丸だよ!
ジャイアント茜ちゃん人形プロトタイプ、忘れて帰ったでしょ!
もう一回プロちゃんのお宅に送っておいたから、今度は大事に可愛がってね!
そ•れ•と、こっそり茜ちゃんに会いに来るのはいいけど、アポ取ってくれないと困っちゃうな~。
ちゃんと連絡してくれたら、茜ちゃん特製クッキーでオ•モ•テ•ナ•シ……おもてなししてあげるからお願いね!
それじゃ、バイバーイ!
今日もレッスンで会える系アイドル茜ちゃんより
茜「おっハロー! アイドルのみんなのアイドル茜ちゃんだよー! アイドルオブザアイドルと呼んでちょうだい!」
茜「やあやあおはようモガミン今日も釣れないクールビューティーだねー、はーいウミミンおっはージュリアンもはろはろー!」
茜「おや? おやおや? プロちゃんは来てないのかい? 社会人なのに遅刻なんてだらしないなー全く」
茜「茜ちゃんぐらいかわいかったら笑顔一つで許してもらえるけど、プロちゃんじゃちょっとなー、これは有罪ギルティ待ったなしだよ」
茜「……え? 律子さんにも連絡来てないの? っかしーなー、プロちゃんその辺はきっちりしてると思ったんだけど」
茜「うーん、プロちゃん心配だー心配でご飯も喉を通らないーご飯も喉を通らないから体も動かないーだからレッスンは明日☆」
茜「ああ! 殺意の波動が律子さんから……はい、ごめんなちゃい。ちゃんとレッスン行きます、かわいさに磨きかけてきます、はい」
茜「で、プロちゃんほんとに連絡取れないの? はっ、まさか茜ちゃん成分欠乏症で倒れてるんじゃ……!」
茜「うーん心配だねー。じゃあじゃあ、レッスンの帰りに茜ちゃんが様子見てきたげる! この天使のような笑顔を見たらプロちゃんもきっと元気になるよ!」
茜「そんなマジメにお礼言われるようなことじゃないよ律子さん、茜ちゃんはゴージャスセレブプリンさえ買ってもらえればそれでウソデースナンデモナイデース」
茜「うん、任された! 任しといて! マカフシギ! いざレッスン場へ茜ちゃん出発進行ー!」
茜「……なーんつって、律子さんのあんな顔見てほっとけるほど茜ちゃんは悪魔じゃないのだ。小悪魔は可愛げがないとね!」
茜「もしもし野々原茜ちゃんはちょっとレッスン遅れますごめんなさいそれじゃ! ……ひとまずこれでよし、と」
茜「えっと、ここからだとバスが楽かな。ヘイタクシー! 違った、ヘイバース! ここに美少女がいるよー!」
茜「ぶらり途中下車の旅。こんな状況じゃないならゆっくり楽しめたんだけどにゃー。おのれプロちゃん、茜ちゃんに心配かけさせちゃって~!」
茜「電話、はダメだよね。メール、メルメルメルメル……ほい送信! 降りたら電話もかけちゃうから覚悟しとけー!」
From:野々原茜
To:P
Sub:寝坊助さんに茜ちゃんのモーニングコール♪
グッモーニンだよプロちゃん!
って、もうとっくにお昼だよプロちゃん! グッアフタヌッ!
黙ってお休みなんて、お仕事チュードクなプロちゃんらしくないぞ~?
律子さんも茜ちゃんもみんなも、すごく心配してるよ?
このメール読んだら、すぐにアクション返してね! ニャハッ☆
by マジ天使な茜ちゃんエンジェル
茜「この辺だったよね、降りますボタンぽちっとニャ。メールの返信は……なし。ホントにどうしちゃったのプロちゃん?」
茜「はいごめんなさいねー美少女が降りちゃって寂しいだろうけどごめんねごめんねー、よっと」
茜「かかるかなー、かかるかなー、かかって欲しいんだけどなー……? あー留守電だ、だめだこりゃ」
茜「ここで気の利く茜ちゃんはコンビニでお粥パックを買っていくのだった。茜ちゃんのお弁当も買って梅干し分けてあげちゃおう、よっ気配り上手!」
茜「多分風邪で寝込んでるとかそんなんだよ、プロちゃんはぼやっとしてるところあるから携帯の充電も忘れてうんうん唸ってるに違いない」
茜「領収書ください、765プロで。この茜ちゃんが看病に来る代金と思えば安いもんだよプロちゃん? なんたってこのスマイルは万病に効くんだから!」
茜「あっ白猫ちゃんだー、かわいいなあかわいいなあ茜ちゃんには遠く及ばないけど♪ うりうり、君がなでなでに弱いのは知ってるんだぞ!」
茜「はっ、遊んでる場合じゃないや! 待っててねプロちゃん、カワイイ茜ちゃんがすぐにうひゃあっ指先舐めてくるとは小癪な、このこのなでなで!」
茜「すっかりしっかり遊んじゃった。逆に考えるんだ茜ちゃん、別にプロちゃんを待たせてしまってもいいやと考えるんだ」
茜「電話もメールも反応ないから、やっぱり携帯は電源切れてるんだよきっと。そもそも待たせてないんだから問題ないよね!」
茜「えーとえーと、このアパートかニャ? プロちゃんプロちゃんねえねえプロちゃーん、カワイイカワイイ茜ちゃんが看病しに来てあげたよー!」
茜「むむ、返事がない。これは鍵が開いてるパターン! そして見つかる死体! ダイイングメッセージにはあの人の名前が……!」
茜「わっ、ホントに開いてた。もープロちゃん不用心だなー、取られるものなくても鍵は閉めておかないとー」
茜「やっほープロちゃん! 風邪で寝込んでるだろうから茜ちゃんがお見舞いに来てあげ、プロちゃん? プロちゃんやーい?」
茜「プロちゃんプロちゃーん? もしかしておトイレかい? やだなー茜ちゃんに何見せようとしてんの! えっち! 変態!」
茜「トイレも外れ? じゃあじゃあお風呂だ! 風邪引きさんが長風呂はダメだよーって茜ちゃんに何見せようとしてんの! いやんばかん!」
茜「お風呂にもいない。プロちゃんどこ隠れてんのー? 降参だよー、出てきてプロちゃーん。上手に隠れたご褒美に茜ちゃんをなでなでする権利あげるよー」
茜「まずは状況整理だ野々原刑事。靴は……革靴とスニーカー、プロちゃんの性格から言って多分靴はこれで全部」
茜「ということは出かけていない? いや、結論はまだ早い。スーツ、上下揃ってる。洗濯物、溜まってる。冷蔵庫……これは」
茜「美味しそうなプリン! 賞味期限ギリギリだけどセーフ! お見舞いに来たお駄賃にもらうよプロちゃん! これも推理の為に必要な糖分なのだよ!」
茜「甘ーい、おいすぃー! 茜ちゃんのツボを押さえてますなあ、さてさて食べながらでも現場検証は出来るぞ野々原ケーシソーカン!」
茜「スーツのポッケに何かあるかい? ん、財布に携帯、定期入れ、免許証その他……? こっちはこの家の鍵?」
茜「……ヤバくない? もしもし律子さん? まあまあレッスンの話は後で! 今プロちゃんの家にいるんだけど、まあまあ落ち着いて!」
茜「なんかね、事件の香りかも。あっそんなヤバい感じじゃないんだけど! ただちょっと鍵も財布も携帯も置いていなくなってるだけで」
茜「うん、うんうん、鍵開いてたから入っちゃったんだけど、そう。いない、多分隠れられるとこもないし」
茜「やっぱり捜索願? だよね、分かった。じゃあ茜ちゃんは今度こそレッスン行くね、うん、はい、はいはいお説教は帰ってから聞きますバイにゃら!」
茜「えっと、鍵閉まってないのはまずいよね。外から郵便受けに入れちゃえばいいか。じゃあねプロちゃん、お邪魔しま……ん?」
茜「手作りっぽい。ニャハッ、プロちゃんそっくりだ♪ こういうの送るのは琴葉ちゃんかな? 星梨花ちゃんもありそうだなー」
茜「……プロちゃん、こんな風にみんなに好かれてるんだからさ。あんまり、心配かけちゃダメだよ? どこ行っちゃったの、ねえプロちゃん?」
茜「ふう、今日も楽しい1日だったー! おやすみなさーい!」
茜「ってこともないか、プロちゃんどっか行っちゃうし。律子さんはフラフラだし」
茜「みんなにはまだまだ秘密にしとかないと。うんうん、きっとすぐ戻ってくるはず。いっぱい心配したんだぞって言ってまたプリン買ってもらおう」
茜「なでなでだっていつもみたいなのじゃ全然足りないもんね、スペシャルなでなでフルコースじゃないと!」
茜「……」
茜「大丈夫大丈夫、何も心配ない、だから早く寝るんだ茜ちゃん。睡眠不足は1番の敵だよ!」
茜「でも寝る前にメールだけチェックしてから……」
茜「……」
茜「あ、送っちゃった」
茜「プロちゃんは今携帯持ち歩いてないのに……茜ちゃんもケッコーグロッキー? こんな美少女に心配させるなんて、罪だよプロちゃん!」
茜「はあ、今度こそおやすみなさい……」
From:野々原茜
To:P
Sub:プーローちゃーんー!
プロちゃん、今どこにいるの?
すぐに連絡しなさ~い!
ハードボイルドでキケンな香りなんて、ヘナチョコなプロちゃんには似合わないよ?
黙っていなくなるなんて、超カッコワルイんだから!
早く帰ってきて、いつもみたいに茜ちゃんをナデナデして、安心させなさい!
そうそう、玄関の鍵開けっぱなしじゃドロボウに入られちゃうから、今度から気をつけたまへよ!
冷蔵庫のプリンをいただいた華麗なる怪盗•茜ちゃんより☆
茜「おはよーごぜーますだよー、憂いの顔もレアでかわいい茜ちゃんだけど茜ちゃん的にはそろそろニッコリしたいかも」
茜「……んぇ? お!? えっ、えっ、ええー!? プロちゃんプロちゃんプーローちゃーん! プロちゃんいるじゃん!」
茜「ちょっともーかわいい茜ちゃんほっぽってどこ行ってたのさプロちゃん! 事と次第によっちゃ許さないわよぷんぷん! ぷんすかぽん!」
茜「そういえばプロちゃん家の鍵のことだけど、あれやったの茜ちゃんなんだごめんね☆ でも鍵かけないプロちゃんも悪いし、まあ管理人さんとかに言えば」
茜「っ、きおくそーしつ? ははは、またまたご冗談、うっそマジで? えーとそれって大丈夫なの? 病院は? 頭大丈夫?」
茜「いや茜ちゃんのことはいいんだよ、こんな美少女一回見たらどうやったって忘れられるわけないんだからそこは心配してな」
茜「……茜ちゃん、嘘きらいだよ、プロちゃん」
茜「なんで、そんなこと言うの? 全然、全然面白くないよ、プロちゃんのギャグセンス全然だよ」
茜「ホント、なんだ。そっか」
茜「……」
茜「あ、律子さん。おはよ、うん、うん、聞いたよ、うん、仕方ないよね。何はともあれプロちゃんが帰ってきたんだもん、茜ちゃんはそれだけで胸がいっぱいだよ」
茜「分かってる、うん、あっ……そのことだけど、今日はちょっと休みたいかなーなんて」
茜「……いいの? ううん、ありがと律子さん。今日はもう帰るね、プロちゃんもバイバイ。また明日」
茜「あっと、その前に……プロちゃんプロちゃん? 一回だけ茜ちゃんをなでなでしてくんないかな?」
茜「ん、ありがと。もういいよプロちゃん。ごめんね、じゃね」
茜「きーらーきーらーひーかーるー……なんだかいつもより星の数が少なく見えるのは気のせいかにゃあ」
茜「流れ星に願いをかけるなんて乙女度高いぞ茜ちゃん。もちろんお願いは意中のあの人とラブがラブしてラブラブに」
茜「なーんてマンガだよね、茜ちゃんはみんなの心を奪ってばっかりで自分の恋はまだまだお相手募集中なのだ、いやん罪な女」
茜「……」
茜「プロちゃんが元に戻りますように」
茜「……あ」
茜「またあの電信柱のとこ、ってもうジャイアント茜ちゃん人形プロトタイプの線はないか、プロちゃんあんなんだし」
茜「んー、ってことは今度こそ誰かファンの人? 流石にタイミング悪いよ今は勘弁してほしいよう、茜ちゃんまぢヘコみ中だぞう」
茜「はー寝よ寝よカーテン閉めて寝よ。このまま茜ちゃんが笑えないと世界中の茜ちゃんファンが泣いちゃう、明日からはいつもの茜ちゃんだ」
茜「……」
茜「プロちゃん、ホントに記憶喪失なんだなあ……なでなで下手すぎだったもん」
茜「こういう時よくあるのはー、えーっと、メールがキッカケで何か思い出したり? うん、やるだけやってみても、いいよね?」
茜「そーうしんっ……おやすみ、プロちゃん」
From:野々原茜
To:P
Sub:あんまり悩まないでね
茜ちゃんだよ☆
今朝は茜ちゃんもビックリしてちょっと取り乱しちゃった、ゴメンね!
なんか大変なコトになっちゃった感じだけど、あんまり悩みすぎちゃダメだよ!
こういう時こそ、男はどっしり構えるんだってこの前見たドラマでも言ってたし!
逆に、茜ちゃんみたいな美少女と二回も出会えるなんてキチョーなケーケン、むしろラッキーと思っちゃお?
初恋のトキメキを、二回も体験できたってことなんだからね!
ホントにホントに無理しちゃダメだよ?
プロちゃんがガンバりすぎてるの見つけたら、茜ちゃんがペナルティを課すので、そこんとこヨロシク~!
あっこのメールには返信しなくていいよ! それじゃおやすみプロちゃん!
プロちゃんの担当アイドル の野々原 茜ちゃんより
茜「ん、んん……あ、さ」
茜「なんか、意外とよく眠れちゃった。プロちゃん関係で、ケッコー大変なことになってるのに」
茜「……やーっぱりこれは茜ちゃんが大物って証だよねー! だよねだよねー! ちょっとやそっとじゃへこたれないよ茜ちゃん!」
茜「さあ今日もシュバッと起きてババッと着替えてズバッと出勤ザバッとお仕事やっちゃうよー☆」
茜「プロちゃんの記憶は……まあ仕方ないよね! 戻る戻る大丈夫、茜ちゃんに出来ることは今は何も、なに、も」
茜「う、ううー……ふへあはふは~、やっぱりやっぱり気になるよ気になっちゃうよ~!」
茜「うん、遠慮なんてムヨー! いっぱいお話すればきっとプロちゃんの記憶も戻る! そうに決まってる!」
茜「諦めたらそこで試合終了だからね! 思い出すまで思い出させるよ覚悟しててねプロちゃん!」
茜「あう、お腹すいた。ママー今日のモーニンはなにー?」
茜「おっはよーございまーす! プロちゃんもおっは……馴染んできた? なになに、何の話?」
茜「何そんなに慌ててんの? スーツ? ふーん、スーツ一つでそんなに変わるもんなの? 茜ちゃんよく分かんないや」
茜「ちょっとちょっとーぅ、茜ちゃんの扱いが雑だよプロちゃん! 別に分からなくていいってどゆことー?」
茜「ま、今回は特別にプリン一個で許して進ぜちゃおう! あ、その辺の安物じゃダメだからね、駅前の美味しいやつね」
茜「おっ律子さんもおはよーちゃーん! え、何々なーにー給湯室に連れ込んでとっておきのお菓子振舞ってくれちゃったりしちゃったりー?」
茜「……」
茜「うん、分かってるよ。でも、そういうのって気を使い過ぎるのも違うって思うから、茜ちゃんはいつも通りにすることにしたの」
茜「だめ、かな?」
茜「……えっへへ! さっすが律子さん、分かってくれると思ってたよ! あ、そういえば律子さんもスーツ買いたてって変な感じする?」
茜「さっきプロちゃんと話しててそんな話になったの。新しいスーツは体に馴染むのに時間が……にゃ?」
茜「うーん、そう言われてみればそうかも。うん、あのスーツ別に新しくないよね。あはは、変なプロちゃんー」
茜「あっ、記憶喪失だから初めて着たような気持ちになったのかにゃ? 記憶ってフッシギー、茜ちゃんの可愛さの秘訣ぐらいフッシ」
茜「わっとと、そうだった。それじゃレッスン行ってきまーす! プロちゃんも律子さんも可愛い可愛い茜ちゃんの為にお仕事頑張っちゃってねー!」
茜「お疲れちゃーん! プロちゃんもお仕事ちゃんと頑張ってたかい? うんうん、それじゃあ茜姫がご褒美にこれをあげよう!」
茜「うまい棒きらい? あれ、明太味好きって言ってなかったっけ? まあまあ騙されたと思って食べてみてよ!」
茜「あーお腹いっぱいなら仕方ないね、持って帰ってテキトーに食べちゃってよ。え? ケータイ? ううん、茜ちゃん見てないよ」
茜「プロちゃんケータイ無くしちゃったの? んもー、いい大人なんだからしっかりしなきゃダメだよプロちゃーん」
茜「今日行った場所を順番に思い返してみればいいんじゃないかにゃー。倉庫とかちゃんと探した? どわお!?」
茜「あービックリした……ちょっとプロちゃん! ジャイアント茜ちゃん人形、ちゃんと持って帰って飾って愛でて抱きしめて寝てよ!」
茜「う、うそうそ冗談冗談、そんな怖い顔しなくても……え、謝るほど怖い顔でもなかったけど」
茜「なんかプロちゃんじょーちょふあんてー? だねえ、だいじょぶ? あ、ほらほらケータイあったよプロちゃん! 元気出して、ね!」
茜「……う、ん、言われなくてももう帰るけど。プロちゃんも、無理しない程度に頑張ってね。んじゃねー、お疲れちゃーん」
茜「るんたったーるんたったー今夜はあのドラマの山場~、おや? いつの間にプロちゃんからメール着てたんだ?」
茜「……はい?」
From:P
To:野々原茜
Sub:Re:プーローちゃーんー!
いまさひゆわ、ら。りら
茜「なんだろこれ、猫ちゃんがケータイぽちぽちしちゃったのかにゃ? むしろポッケの中でゴサドー? 的な? 風な?」
茜「にゃ、送信時刻……え? だってさっき、朝からケータイ探してたって……え、どゆことどゆことー?」
茜「んー、んー、んー」
茜「ちょっと帰り遅くなってもいっか、残業で忙しいプロちゃんにはほっかほっかなお弁当を差し入れだ!」
茜「お腹空いてるからプロちゃん頭が回ってないんだよ、しっかり食べてしっかり寝て可愛い茜ちゃんを見たら元気百倍プロちゃんマン!」
茜「何がいいかなーヘルスィーな野菜系? やっぱりガツンと揚げ物系? んもーニキビ出来ちゃっても知らないぞ☆」
茜「よーし茜ちゃんフンパツしてウナギ買っちゃうぞー! 夏バテにも効果バツグンらしいしプロちゃんも喜ぶよね!」
茜「うぐ、茜ちゃんの懐にダイレクトアタック!? ウナギって結構高いんだね……足り、足り、足りたー!」
茜「おばちゃんこれ一つちょーだい! ラッピングは可愛い感じの、え? やってない? じゃあいいや、お箸二つ付けてね!」
茜「おおう、なんだかずっしり重い感じ……! ククク、重い……金は、命より……! っとと、冷めちゃう冷めちゃう急げー」
茜「やっほープロちゃん! お疲れだろうけど天使な茜ちゃんがご飯買ってきてあげたから構って構ってー! ……おや?」
茜「プロちゃん? いないの? もう帰っちゃったー、わけじゃないか電気点いてるし」
茜「プロちゃーん?」
茜「あ、プロちゃんそこにい、ひゃ……!?」
人形「……」
茜「あ、何、なんで……!? ジャイア、ント茜ちゃん人形、動」
人形「……」
茜「ひっ」
人形「……ネ」
茜「きゃああ!! しゃべ、プロちゃ、プ、プロちゃん! どこ、助けてよプロちゃん!」
人形「ア、ガネ……」
茜「来ないでよ! ヤダヤダヤダヤダあっち行け、こっち来るなー!」
P「まだ動けたのか」
茜「あ、プロちゃん! 助けてプロちゃん、アレ、あの人形、あいつが!」
人形「ニ……ロ、アガ、ネ」
茜「……え?」
人形「ハヤグ、ニゲロ、アガネ」
茜「あ」
P「喰らえ、この! 化け物が! この、オラ!」
茜「プロちゃん、待って」
P「今度こそ、動けなくしてやる、クソッタレ!」
茜「待ってよ、ねえ待ってプロちゃん」
P「うるさい、お前は下がってろ! この、この野郎!」
茜「プロちゃん、記憶は戻った?」
P「ああ!? 今はそんなことどうでも……!」
茜「答えてよ、ねえ」
P「ちっ、戻ってねえよもういいだろ! クソ、まだ動くのかよ!」
茜「ねえ、プロちゃんは」
P「はぁ、はぁ、やっと動かなくなったか……これで、へ、へへ、ははは!」
茜「プロちゃんは……」
P「ああ?」
茜「プロちゃん、なの?」
P「……どこからどう見ても、俺がその『プロちゃん』だろ、なあ?」
茜「あ」
P「へへ、スッキリしたついでにもう一つスッキリしとくか? お前俺のこと好きなんだろ? 目見りゃ分かる、抱いてやるよ」
茜「プロちゃん」
P「久しぶりなんだ、たっぷり楽しませてくれや」
茜「プロちゃん」
P「おうプロちゃんだぞ、お前のこと好きだし愛してるぞ。今だって守ってやったろ」
茜「プロちゃん!」
P「うるせえな、早く脱げよ」
茜「プロちゃん!!」
P「あ?」
人形「……アガネ」
茜「おっはよープロちゃん! 今日も元気かニャー? 元気がないならカワイイ茜ちゃんのお顔見つめてい・い・ゾ♪ ほらほらほらー」
茜「あ、元気なんだ。じゃあキュートな茜ちゃんをナデナデする権利をあげよー! ほらほらほらー恥ずかしがらずにー!」
茜「ぐえー首根っこを抑えるのは誰じゃーって律子さん!? なになに茜ちゃん何にも知らないよ!?」
茜「ちっがーう! 茜ちゃんじゃない! 無実だー! アレは麗花ちゃんに頼まれて仕方なく、ハッ……!」
茜「べ、別室ですか? 正座ですか? も、もしかして……お説教ですかーっ!?」
茜「ええい逃げるが勝ち! さらば律子さん、この件は麗花ちゃんにツケといて! シュババー!」
茜「ふぅ、どうにか撒けたぜ……っと、勢いで何にも持たずに出てきちゃった。ついでに散歩でもしようかな」
茜「ふんふんふふーん♪ んー、なんか全部夢だったみたいな青空だーねこりゃこりゃ」
あの後、起き上がったジャイアント茜ちゃん人形がプロちゃんみたいな人を捕まえて、馬乗りになって、首を絞めて。
プロちゃんみたいな人、っていうかプロちゃんの筈なんだけど、その人がもがくんだけど、全然振りほどけなくて。
茜ちゃんはワケわかんなくて、見てるしか出来なくて。
その内、プロちゃんみたいな人が気絶して、茜ちゃん人形もドサッ、と倒れて。
両方からなんか、どう言えばいいのかな、モヤモヤした煙みたいな、景色が歪むみたいな、シンキロー? 出てきて。
あれってやっぱり、魂とかそういうやつだったのかなー。
目が覚めたプロちゃんは、茜ちゃんの知ってるプロちゃんで、茜ちゃん人形はもう動かなくて。
プロちゃんが言うには、気付いたら入れ替わってたんだってさ! メルヘンやファンタジーじゃあるまいし、おっかしー!
……なんて、笑い飛ばしたりも出来なくて。
怖かった、って言ったら、プロちゃん、頭ナデナデしてくれた。いつもの優しいナデナデ。
今になってもワケわかんないけど、とにかく一件落着、なのかな。
ジャイアント茜ちゃん人形プロトタイプは、次の日人形供養のお寺に送った。量産計画もなくなっちゃった。そりゃそーだよね。
それと、それで、それから……それぐらい?
うん。じゃあ、一件落着でいーよね。
茜「むむ、青空が一瞬で夕暮れに!? これは敵のスタンド攻撃!?」
茜「ってそんなワケな……いとも言い切れないよねあんなことあったし。いや普通にぼーっと歩き続けちゃっただけなんだけど」
茜「どこだろここ、ホントにぼーっとしちゃってたんだにゃー。でもなんか見覚えあるような。あ、プロちゃん家に行く時通ったとこだ」
茜「かなり歩いちゃったし、帰りはタダで便利なプロちゃんタクシーを呼ぼう。ケータイ取り出しポパピプペー」
茜「ん? あの白くて小さくてカワイイモフモフはいつぞやの猫ちゃん?」
茜「また会うなんて奇遇だねー! 元気にしてたかウリウリ、モフモフ、茜ちゃんには負けるけどやっぱりキミはカワイイなあ♪」
茜「そーれモフモフモフモフ、こっちもモフモフモフモフ、ここんとこもモフモフモフモフ……お?」
茜「あれ、怪我してる? でもなんかこれ、えーと」
茜「……」
茜「綿?」
その猫は、人間みたいな声でニャアと一鳴きして、そのままどこかに行っちゃった。
……人形作って売るのは、もうやめとこうかな。
おわり
どうもです
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