友「中二病患者だな。」
男「うるさい。」
友「そしていつもの事だな。」
男「ぐぬぬ。」
友「話くらいは聞いてやるよ。」
男「ありがとう。」
友「いえいえ。」
男「まず不老不死に、次に不死身になろうと思う。」
友「不老不死は勘違いされやすいが、定義を言えば『年老いて死なない』だからな。不死身とは別物だ。」
男「そう。そしてつまりこの『不老不死』と『不死身』から導き出される能力は……」
友「超回復能力。」
男「正解。」
友「超回復能力なら『不死身』はほぼ完全に、だな。」
男「ただ問題は『不老不死』だ。細胞の修復にも限度がある。」
友「そうだな。」
男「そこで、だ。体の修復細胞を人為的、故意的な癌細胞化、もしくは性細胞化を図る。」
友「それは、マイナスな事じゃないか?」
男「極力マイナス面は取り除く。」
友「しかし、何故?」
男「癌細胞、性細胞は元々『不老不死』の特性を持っている。分裂に限度はない。」
友「つまり癌細胞、性細胞化する事で『不老不死』の能力を手に入れる、と?」
男「そういう事。」
友「良い案だ。」
男「照れるな。」
友「それから?」
男「これにより俺に『死』の概念はほぼなくなる。」
友「そうだな。」
男「次に『時間操作』の能力を手に入れたい。時間操作は『時間停止』の能力でも良い。」
友「ふむ。」
男「時間を止める事ができれば、ほぼの事を遂行する事が容易くなる。」
友「主に資金調達や、日本だけではなく他の国々の機密情報が狙い。それに時間をかけたくないから、だろ?」
男「ご明察。」
酉付けずにid変わってしまったが続ける。
友「しかし、時間操作の能力は扱いずらいだろ。」
男「あぁ。周囲の時間を止め、自分の時間だけを動かす。難しい処理が必要になる。」
友「失敗すれば永遠に時は、動かない。」
男「友も十分中二病患者だな。」
友「うるさい。」
男「しかし、克服すれば。時間操作は大きな力となる。」
友「周囲の時間を戻し、自分の時間を戻さなければ過去へ。また逆も然り。」
男「時間操作の唯一の問題である『自分の時は進んでしまう』も不老不死で解決している。」
友「まとめると不老不死、不死身で死から逃れ、時間操作で資金、情報の収集。また過去や未来などでも情報収集。」
男「そうだ。」
友「しかし、問題は。」
男「脳のキャパが足りなくなる事。超回復の効果で体はピークである20歳に近い状態だが、脳は120年分しか記憶できない。」
友「つまり、時間操作で未来を目指し、脳のキャパオーバーを迎える前に記憶脳の改造を。」
男「あぁ、あまり未来には行きたくないがね。」
友「確かに、その時点での能力は無敵に近いが無敵ではないからな。」
男「即死、もしくは能力失効が命にかかわる問題だからな。未来に進めば能力者が現れる可能性も否定できない。」
友「しかし、それは幸運でもある。」
男「能力者から能力を奪い取ることができれば最高だからな。」
友「ふむ。全体としては良い案だな。」
男「照れるな。」
友「で?」
男「ん?」
友「お前がこの話を俺にするってことは、何か当てがあるんだろ? ただの中二病にしては的確すぎる。」
男「……友はさすがだな。協力してくれるか?」
友「勿論。」
男「まず相手にするのは科学者、その後も科学者。その次は神、もしくは科学者。」
友「神、ねぇ。」
男「時間操作は今の化学ではどうしようもない。一応、神を探しながら。気長に未来の進歩を待つつもりだ。」
友「神を相手にするなら時神クロノスだな。それ以外にあまり有名な時神は知らない。」
男「友はなんでそんなに詳しいの。」
友「一般知識。」
男「まぁ、良いけど。じゃあ、一先ず超回復能力を手に入れよう。」
友「それでどこに行くの?」
男「アメリカ、ワシントンd.c.ペンシルベニア通り1600。北緯38度53分51.61秒。西経77度2分11.48秒。」
友「……アメリカ合衆国大統領官邸、ホワイトハウス。」
男「そこに修復細胞の活発化、そして癌、性細胞化に関する資料があると踏んでいる。」
友「危ない事する気だね。協力するけど。」
男「……友。」
友「……男。」
男「問題は仲間かな。あと二人くらいは欲しいところだけど。」
女「それで何で私なのよ!」
男「危険物取扱免許、乙種、第2類、第3類、第4類、第5類、第6類。丙種。」
友「甲種の取得の為に第1類の勉強も勿論している、受かっていないだけ。」
女「」
男「ついでに自家用操縦士技能証明書も持ってるだろ? しかも飛行機だし。」
友「それに運転免許は大型特殊免許。大型二輪免許も。」
女「」
女「な、な、な、何で知ってるの!?」
男「麻薬取扱免許も取得しようとしてるよね。その他も色々。」
友「そして将来の夢は、シャーロックホームズのような名探偵。アメリカに住むと同時に探偵資格を保持する。」
女「」
男「しかし、驚いた。アメリカの探偵資格は銃器の保持まで許されるんだね。」
友「うん。凄いよな。」
女「」
女「あ、あ、あ、あんたたちなんなの!?」
男「中二病患者です。」
女「……何よ、馬鹿にするの? 友達みたいに、親みたいに、そんなの無理だ、って。」
男「それはない。」
女「……え?」
男「全知全能の神なんてくだらない夢を持つ俺が、君の夢を笑うわけないだろう?」
友「男に比べたら立派なもんだ。俺もただ面白そうだからって理由で協力するだけだし。」
男「それに君は、君の夢の為にそれだけの功績を残してきたんだ。」
女「……」
男「そしてその君の力が必要なんだ、……女探偵。」
女「……」
友「勝手に女の事を調べたのは悪かった。ごめん。」
男「それでも女の力が必要なんだ。頼む!」
女「……分かった。協力する。」
男「おぉ、やった!」
女「で、でも! 勘違いしないでね? 私は経験を積む為に協力するんだから。お、男の夢を手伝おうなんて思ってないから!」
男「にやにや。」
友「によによ。」
女「それで? 私は何をすれば良いの?」
男「殴られた。あと1人仲間を増やしたいから、まだ何もする事はないよ。」
友「蹴られた。いや、アメリカに行くことと犯罪を犯すことについての決心を固めてくれ。」
女「アメリカ!? 犯罪!?」
友「ホワイトハウスに忍び込んで資料を盗むからね。罪状は不法侵入罪と反逆罪かな? 法律は詳しくない。」
男「あっ、あと死ぬ覚悟も宜しく。」
友「多分、撃たれるんだろうからね。」
女「あんたたち馬鹿じゃないの!?」
友「帰ったな。当たり前か。」
男「でも、協力はしてくれると思う。してくれなくても、命に関わることだから仕方ない。」
友「それにしても凄い免許の数だな。これ、爆発物の取り扱いもできるってことだろ?」
男「そうそう。」
友「痺れるね。」
男「痺れるな。」
友「それで? もう1人スカウトするんだろ?」
男「あぁ。女の子なんだが、まぁ、二つ返事で引き受けてくれると思うぞ。」
休憩。酉。
男「サバイバルゲーム部、部長。1年特別生の女の子。」
友「1年生? つまり、お前の後輩って事? しかも女の子だろ? 大丈夫なのか?」
男「ある意味危ないかもしれない。」
友「駄目じゃねぇか。」
男「ここが部室。」
友「その後輩はなんだ、情報要員ってことか? 入るぞ。」
男「心配するな。立派な戦闘要員だ。」
友「えっ?」
後輩「先輩、こいつ誰ですか?」
友「ちょ、ナ、ナイフ?」
男「俺の友達。ナイフ首に当てないであげて。」
後輩「脅されて部室を案内させられた、とかじゃあないんですね?」
男「あぁ。つか、それはどんな状況でそうなるの?」
後輩「これはこれは、失礼しました。一年特別生の後輩です。男先輩とは深い仲です。きゃー。」
友「……お前、先に言えよ。生きた心地がしなかった。」
男「悪い悪い。」
後輩「それでそれで? 先輩、今日は何の用事なんですか? 今日も私と熱く、甘く、遊んでくれるんですか?」
男「fpsはまた今度な。協力してほしい事があるんだ。勿論、無理強いはしない。」
後輩「先輩の頼みごとなら。」
男「ホワイトハウスに侵入、のちに機密資料を持ち出して逃亡。まずはこれだ。」
後輩「……」
後輩「断ります。」
男「!?」
友「!?」
後輩「先輩が死んだら私が生きていけません。そんな危ない事しないでください。」
男「で、でも……」
後輩「私は先輩の為に死ねます。でも、先輩には私の為に生きててほしいんです。」
男「……」
友「……」
後輩「だから、先輩。ほっぺにちゅーしてくれたら考えてあげても良いですよ。」
男「」
友「」
男「よし。これで後輩も協力してくれることになったし、あとは女だけだな。」
友「だな。」
後輩「でもどうやってホワイトハウスに侵入するんですか?」
男「うーん。それは俺と友で追々考えるよ。まだアメリカにも行かないといけないし。」
友「そのアメリカへ行く為に、パスポートの偽造、もしくは不法入国のどちらかを選択しないといけない。」
後輩「私たちのパスポートを堂々と使っても別に良いんじゃないですか?」
友「どうして?」
後輩「ホワイトハウスですよ? どうせすぐ顔で名前や身分が割れて指名手配されるでしょう。」
友「そうならない作戦を考えてる。男と俺は指名手配されることも厭わないけど、女と後輩ちゃんの安全は保障しないと。」
男「そうだな。だからこそ、出入国審査だけは避けたい。」
後輩「先輩格好良いです……!」
友「……」
男「しかし、不法入国にしろ旅券偽造にしろ金がかかる。」
友「まったくだ。」
後輩「どうしましょうね。」
男「……」
男「ヤクザと一戦交えよう。」
友「あの繁華街で勢力を伸ばしてるヤクザか? ホワイトハウス侵入に比べれば楽かもしれないな。」
後輩「危ない事は危ないですね。」
男「いや、一戦交えると表現したがドンパチやるわけじゃあないし、危険も少ない。」
後輩「?」
友「資金調達と拳銃の入手が目的。別に戦う必要はない。」
男「正解。」
後輩「それでそれで? どういう作戦で行くんですか?」
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