幼女「ねえね、なにしてるの?この下、なにかあるの?」
ホームレス「……お嬢さんこそなにしてるんだい。ママは?」
幼女「おじょーさんじゃないもん、幼女だもん!」
ホームレス「幼女ちゃん、ママはどうしたんだ?」
幼女「ママはあっちでたーくんのママとおしゃべりしてるよ」
ホームレス「…」
幼女「ねー、なにしてるのー?これ、じどーはんばいきだよね。そのした、なにかあるの?」
ホームレス「小銭だよ。小銭」
幼女「こぜに?」
ホームレス「もう、おじさんのことはいいから、ママのところに戻りなさい」
幼女「やだ!だってママ、ずっとおしゃべりしてるんだもん。たーくんはね、たーくんのママが大好きなんだよ」
ホームレス「…」
幼女「たーくんね、ママがいないとなにもできないのよ。だから一緒に遊んでくれないの。こまるわよネ」
ホームレス「……おじさんねえ、こわーい人なんだよ」
幼女「えー、でも園長センセのほうがこわいよ!あのねえ、園長センセはね、あたしのこといっつも怒るんだよー」
ホームレス「……」
幼女「ねーねー、こぜにってなにー?」
ホームレス「…」
ホームレス「幼女ちゃん、いいから戻りなさい。おじさんといると、ママがカンカンになるよ…」
幼女「えー?ふふ、なんでー?」
ホームレス「ほら、いいから行った行った!おじさんばっちいよ。おじさんといると、病気になるかもしれないんだよ」
幼女「あたしおととい風邪治ったばっか!あのね、ちゃんと苦いの飲んだんだよ~。くまさんのねえ…」
ホームレス「もういいから!あっち行きなさい!」しっし
幼女「えー…」とぼとぼ
ホームレス「まったく…なんだ、あの子は……」
ホームレス「さて、小銭こぜに…よっこらせ」キョロキョロ
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一ヶ月後
ホームレス「はー…今日も寒いな…」
ホームレス(さて、今日も缶拾いに行くか…)スタスタ
「あ!」
ホームレス「え?」くるっ
幼女「あー!こぜにさんだ!」
ホームレス「げっ……」
スタスタスタ
幼女「あー!まってまってー!」タッタッタッ
ホームレス(な、なんで…)スタスタスタ
幼女「あたし、運動会のせんしゅなんだよー!まけないよー!」タッタッタッ
ホームレス「っ」キュッ
ホームレス「よ…幼女ちゃん?だっけ」
ボフッ
幼女「つかまえたー!……わ、おじさんへんなにおいする!」ぱっ
ホームレス「…」
ホームレス「な、なんでここにいるの?ママはどうしたんだい?」
幼女「ママはあっちでさきちゃんのママとおしゃべりしてるよ」
幼女「おじさん!なんでここにいるのー?おじさんち近いの?」
ホームレス「お、おじさんは……い、いや」
ホームレス「ママのところに戻りな。さあ、ほら」
幼女「えー、だめだよ!だってまだ終わってないもん!」
ホームレス「な、なにが?」
幼女「鬼ごっこしてたでしょ?はい!幼女がつかまえましたー!次はおじさん鬼だよ」タッタッタッ
ホームレス「あ!ちょっと」
幼女「ほーら、おにさんこちらー!ふふ」タッタッタッ
ホームレス「待ちなさい!そっちは道路だよ!危ないんだよ!」タッタッタ
幼女「こっちこっちー!ほらほらー!」
ホームレス「こら!待ちなさい!」
ぐいっ
幼女「ひゃー!つかまったあー!」キャッキャ
ホームレス(しまったつい掴んでしまった)パッ
ホームレス「はあはあ…危ないでしょ!そっち行っちゃだめ!」
幼女「ふふ、ごめんなさい!おじさん、こわいねえ。ふふっ」
ホームレス「もう、はあ……もういいからほら、戻りなさい。一人で遠く行くと、ママが心配するよ」
幼女「へーきよ、ママねえ、さきちゃんのママとずーっとおしゃべりしてるんだもん。あたし楽しくないのよ」
幼女「さきちゃんはずっと絵本読んでるの。かしてーって言っても、だめって意地悪するの。だからいやなの」
ホームレス「……」
幼女「おじさん、前もここらへんにいたよね、おうちちかいのー?」
幼女「あたしはねえ、ここから……えっと、じゅっこくらいのとこに住んでるんだよ!ママと、パパと、ポチと暮らしてるんだよー」
幼女「ポチはね、これくらいちっちゃくてー、まだ赤ちゃんなんだよー。可愛いんだよ」
ホームレス「……」
ホームレス「幼女ちゃん、前も言ったけど、おじさんはこわーい人なんだよ。一緒にいると、ママが怒るし、幼女ちゃんもこわい思いをするよ」
幼女「なんで?おじさんおばけなの?幼女はね、おばけ嫌いー。あと、ピーマンもいや!」
ホームレス「……」
幼女「でもね、にんじんさんはこのまえ食べられたの!あのね、あのね」
ホームレス(どうすりゃいいんだ…)
書き溜めが終わった。
のんびり書いてく。
ホームレス「あ、あのね」
ホームレス「おじさんはわるーい人なんだ。幼女ちゃん、悪い人と一緒にいちゃだめってママや先生に言われなかったかい?」
幼女「うん、言われた」
ホームレス「そう、だから…」
幼女「でもおじさん、悪い人なの?」
幼女「悪いこと、したのー?」
ホームレス「……」
幼女「ねえね、悪いことしたの?悪いことした人が、悪い人なんだよね。おじさんも、そうなの?」
ホームレス「……っ」
ホームレス「…も、もう、いいから。とにかく、おじさんと一緒にいちゃだめ!ほら、ママはどこにいるの?あっちの、大通りのカフェかい?」
幼女「ねえー、なんでだめなの?おじさん!おじさん悪い人じゃないでしょ?ねえね!」
ホームレス「だめなんだっ!おじさんは世間的に見たら悪い人なんだ!ほら、とにかく帰りなさい!」
幼女「…うっ……ふぅ…」
ホームレス「!?」
幼女「ふぇえ……」
ホームレス「えっ、ちょ、な、なん…」オロオロ
幼女「えぇえええぇえぇぇえ!!」ポロポロ
ホームレス「なな、ちょ、よ、幼女ちゃん…!?」
ホームレス「ご、ごめんね。おじさんが悪かった、おじさんが悪かったから…」スッ
なでなで
幼女「ぶぇ、く……ひっく…」
幼女「あたし悪くないもん……なんでおこるのぉ…」
ホームレス「ご、ごめん…ごめんね…」なでなで
ホームレス(たしかに誰も悪くない、俺も悪くない。じゃあどうすりゃいいんだ)
ホームレス(どうすりゃこの子に俺といちゃだめってことを、正当な理由で伝えられるんだ…)
幼女「えぇえ……うぇえ…」ポロポロ
ホームレス(……あ、そうだ)
ホームレス「たしか…」ガサガサ
幼女「…?」
ホームレス「あった。よ、幼女ちゃん、ほら、、」ひょい
幼女「グスッ……わー、きれー」
ビー玉「キラキラ」
ホームレス「こ、これあげる…ごめんね…」
幼女「グスッ…うん。ありがとう」
ホームレス「…」
幼女「へへっ。キラキラ」ズビッ
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