御神木「また、いじめられたのかい?」少年「うん」(7)




━━━とある神社の

━御神木の前



少年「ひっく……ひっく……うあああん……」

御神木「どうしたんだい、少年」

少年「……神木さん、あのね、いじめっ子くんが」

御神木「あぁ、また彼にいじめられたのかい?」

少年「うん」


御神木「ごめんね、僕がもっと力のある……神格のある樹木だったら、実体化なり何なりして君を護ってあげられるのに」

少年「……ううん、こうやっておしゃべりできるだけでも、ぼく嬉しいよ」ニコッ


御神木「君は良い子なんだね」

少年「ねぇ神木さん」

御神木「何だい?」

少年「どうやったら強い人になれるのかなぁ」

御神木「さてね、僕は人間じゃないから分からないや」

少年「そっか」

御神木「でも、少年は十分強い人間だよ。体じゃなくて、心が・ね」

少年「ふーん」


少年「心じゃなくて、体を強くしたいなぁ」

御神木「どうして?」

少年「強くなったら、いじめられないから」

御神木「………」

少年「いじめられると、痛いんだ」

御神木「………」


━━━━数ヶ月後

タタタッ

少年「神木さん!」

御神木「やぁ、久しぶりだね少年」

少年「うん、最近これなくてごめんね」

御神木「大丈夫だよ、気にしてないから……おや?何だか体が大きくなったね」

少年「うん!ぼくね、空手を始めたんだ!」

御神木「ほうほう」

少年「力もついたし、痛くても泣かなくなったよ!」

御神木「凄いじゃないか!」


━━━━十年後


青年「ここに来るのも久しぶりだなぁ」

御神木「………ん?」

青年「神木さん」

御神木「君は……あぁ、あの時の」

青年「こんにちは」

御神木「こんにちは、暫く見ないうちにまた大きくなったね」

青年「もう高校生だからね」


御神木「高校生か、君も随分成長したんだね。初めて会ったときはあんなに小さかったのに」

青年「十年もたつんだ。大きくなってなきゃ困るよ」

御神木「それもそうか」

青年「空手を始めたら、忙しくなっちゃってさ、なかなか会いに来れなくなっちゃった。本当はもっと来たかったのに」

御神木「これからまたちょいちょい会いに来ればいいじゃないか」

青年「いや、それは無理なんだ」

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