凛「ノートパッドに未来を描いて」 (48)
舞踏会のチケットも、ミリオン3rdのチケットもご用意でき(ry
いいもんLVあるもん……M@GIC生で聞きたかったなー……。
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凛「ただいま」
凛母「お帰り。今日は遅かったわね」
凛「うん。ちょっと収録が長引いちゃって」
凛母「大変ねぇ。あっそうそう収録と言えば、この前凛が出てたテレビ録画しといたわよ~」
凛「し、しなくていいってば!」
凛母「だって凛が出る番組教えてくれないから」
凛「恥ずかしいから教えたくないんだってば!」
凛母「まーまー。ご飯は食べてきた? 温めよっか?」
凛「ううん、自分でやるからいいよ」
凛「あ、そうだ。明日はお休みだからお店手伝うよ」
凛母「せっかくのお休みなんだから休んでていいのよ?」
凛「これも私なりの休憩だから」
凛母「そうねぇ……じゃあお客さんのところにお花届けてくるまでの店番お願いしてもいい?
お昼前には戻ってくるから」
凛「うん、わかった」
・・・・・・・・・・・・・・・
カウンターに頬杖をつきながら外を眺めてる。
四角く切り取られた風景は夕日に照らされ、赤く染まっている。
学校が終われば入っている部活があるわけではなく、寄り道する場所があるわけでもなく。
ただ毎日のように店の手伝いと称して暇をつぶしている。
そろそろ仮入部の期間が終わることを思い出したけれど、
そもそも仮入部をしていない私にとっては縁のない話だった。
凛(部活、どうしようかな……)
手元にあった真新しいメモ用紙に思いつく部活動を書いてみた。
結局、どれもしっくりこなかった。
凛「行ってらっしゃい」
凛母「はーい」
なんだか間抜けなエンジン音を響かせて、お母さんを乗せた車が去って行った。
見上げると薄い雲が空全体にかかっている。
冬の、眩しいだけで温かみのない陽光をちょうどいい感じでさえぎってくれている。
凛(……今日はお客さん来ない気がする)
カウンターの中に戻り、椅子に腰かけながらそう思った。
凛(……やっぱり)
お母さんが花を配送に行ってから一時間。
残念ながらお客さんが来る気配は全然しない。
凛(宿題、持って来ればよかったかな……?)
メモ用紙の隣に置いてあったペンをもてあそびながら、
これからの時間をどうやって過ごすべきかを考える。
凛(うーん……はっ)
気付いたら古くなったメモ用紙にラクガキをしていた。
まだ途中だけど、愛犬のハナコが紙の上ではねていた。
凛(もうちょっと毛並みははねてて、目はくりくりしてて)
とりあえず、今はこのラクガキを完成させることに決めた。
部活を書いたメモ用紙を破り、紙飛行機を折ってみた。
けれど店の中で飛ばせるわけもなく、紙飛行機は所在なさげにしている。
凛(紙飛行機、久々に作ったな)
小さい頃はどちらかと言えば外で遊んでいる子だったので、
あまり折り紙に触れる機会がなかったことを思い出した。
凛(あとは何してたっけ? ぱらぱら漫画とか描いてたっけ?)
教科書の端っこは私の中で小さなステージだった記憶がある。
そのころを思い出してメモ用紙をぱらぱらとめくってみる。
もちろん何も描かれていないので何かが動くことはな……。
凛「ん?」
一瞬、視界の中に見慣れないものが入ってきた。
もう一度、メモ用紙をぱらぱらとめくる。
凛「……なんだろう、これ?」
最後の方のページにラクガキがしてあった。
犬のラクガキのように見えるけど、それにしては毛並みの跳ね方が怪獣のように見える。
目からはビームが出そうだ。
凛(お母さんが描いたのかな?)
ペンを取り、一言付け加えた。
へたっぴ
凛(……うん、かわいく描けた)
メモ用紙の上で元気そうにはしゃぎまわるハナコを描き切った。
満足してペンを置く。
絵を描いたのは久しぶりだ。
凛(莉嘉とかみりあちゃんはよく描いてるんだろうけど)
前にみくの絵も見たことがある気がする。
そう思うとシンデレラプロジェクトの面々は意外に絵が描ける人が集まっているのかもしれない。
プロジェクトのロゴを蘭子が描いているのを見たときはその上手さにびっくりもした。
凛(トライアドだと誰だろう……加蓮は独特のやつを描きそう。奈緒は……うん、上手いと思う)
「描いて」と言っても描いてくれなさそうだけど。
いやいやと両手を振りながら照れる奈緒を想像して思わず口元が緩んだ。
凛(未央は……以外に上手そう。卯月は……かわいい絵描きそう)
そんな企画があったら面白いかもしれない。
みんなで出されたお題の絵を描く企画。以外にみんな描けないようなお題で。
凛(例えば……自転車とか)
考えて、自分で書けるかどうか試してみたくなった。
もう一度ペンを手に取る。
ラクガキをしたページに目を落とすと、書いた覚えのない文字が書かれていた。
でもこの文字には覚えがあった。
凛「……う、る、さ、いっと」
そう答えた。
←うるさい
凛「……嘘……」
紙飛行機の先端を折り直していると、
メモ用紙にさっきまではなかった汚れがあったことに気付いた。
最初はシミのように見えたそれははっきりとした点になり、
点は線になり、線は文字を形作っていく。
まるで、幽霊が見えないペンで文字を書くように。
まるで、じゃない。
誰か、いや、見えないけど何かがそこにいる。
凛「だ、誰かいるの……?」
一人きりの店内に答えてくれる人影はなく、
ありえないその現象に、外の空気だけじゃないうすら寒さを感じる。
手のひらにちくりとした感触を感じ、手を開くと紙飛行機が墜落した残骸のようになっていた。
まくっていた袖から自分の腕が覗き、鳥肌が立っているのが分かった。
凛「誰?!」
一人きりの店内に答えてくれる人影はなかった。
メモ用紙に浮かび上がった文字を観察する。
私が書いた「へたっぴ」に答えるように書かれた「←うるさい」の文字。
私の声には反応してくれなかった何かは、この紙に書かれたものに対してだけ反応するのかもしれない。
そう思い、鳥肌を抑えながらペンを持つ。
今の、純粋な疑問を紙に書いた。
誰? どこにいるの?
ペンを回しながら返信を待つ。
もう、大分前の出来事で。それにその後のインパクトが強すぎて、
今まで忘れていた。
数分待つとメモ用紙に文字が書かれる。
少し筆圧が弱い。書いた人の心情まで伝わってくるようだった。
凛「誰? どこにいるの? ……か」
頭の中を探りながら返信をする。
確かこんな感じだったはずだと思い出しながら。
渋谷凛。花屋にいる
帰ってきた答えは、あまりにも意外なものだった。
凛「……私?」
先ほどと同じように、見えない誰かが書いた答えにははっきりと、
「渋谷凛。花屋にいる」
と書かれていた。
ばかばかしいと思いながら腕をつねってみる。
……普通に痛かった。
まさか自分に夢遊病の癖があるとは思っていなかった。それも大分深刻なものらしい。
もう一度、眠くないけど眠気覚ましに腕をつねってみる。
普通に痛かった。そして鳥肌が引いていることに気付いた。
もう、この謎の返信者に怖さを感じてはいなかった。むしろ、
凛「……私はこんなに絵下手じゃないよ」
妙な憤りすら覚えていた。
もし、この謎の返信者が私なら、私の深層心理や私が気付かないところで動いている存在なら
聞いてみたいことがあった。
目下一番の問題。
貴重な機会にこんなことを聞くのはバカらしい気もしたけど、どうしても聞きたかった。
ペンを取り、少しずつ余白が少なくなってきているメモ用紙に文字を刻む。
書きながら、自分の子供っぽさに苦笑する。
部活は何に入りたいの?
もう、ここからの答えは決まっていた。
そして、間違えちゃいけないものだとも知っていた。
入ってないよ
それで楽しいの?
楽しいよ
何で?
未央「しーぶりーん!」
卯月「おはようございます、凛ちゃん♪」
凛「おはよう……って二人ともどうしたの?」
未央「ふっふっふ。うら若き乙女が二人、花屋さんに来たってことはあれだよ、あ~れ!」
凛「薔薇を100本ね。二万円になります」
未央「いやいや、別に旧石器時代じみた告白の準備しに来たわけじゃないよ」
卯月「薔薇を100本……素敵ですね」
凛「あれは薔薇の本数に意味があるんだよ未央」
未央「へーそうなんだ。てっきり「俺はお前にゾッコンラブ100%だぜ!」的な意味かと思ってたよ」
凛「うん、大体あってるけどね。……で、何しに来たの?」
未央「お買いものに来たのだよ」
卯月「二人でプロデューサーさんへのプレゼントを選んでたんですけど、なかなか二人じゃ決められなくて」
凛「そうなんだ。それで花を贈ろうってこと?」
未央「うん。お花も贈りたけど、何か別のプレゼントも用意したいんだよね~。
プロデューサーもうすぐ誕生日らしいから」
凛「え? それ初耳なんだけど」
未央「ふっふっふ。あっ未央ちゃんの~情報網をなめてもらっちゃあ困るよしぶりん」
凛「見栄を切られても困るんだけど……」
未央「いやぁ最近演技の勉強で歌舞伎を見てるからかなー」
凛「間違ってる。何かが間違ってる」
卯月「前来た時と置いてあるお花がだいぶ違いますね」
凛「うん。クリスマスもお正月も終わったからね」
未央「おっ、これなんかプレゼントに良さそう! えっと? 一十百千……京垓……」
凛「こら」
未央「あでっ」
卯月「私たちのイメージカラーと同じ色のお花を贈るのはどうでしょう?」
凛「うん、いいと思う」
未央「私たちをプレゼントってね!」
卯月「へっ?」
凛「えっ?」
ブロロロロロロー
凛母「ただいまー。あら卯月ちゃんに未央ちゃんいらっしゃ……どうしたの三人とも赤くなって」
卯月「……はっ、お、おじゃましてます!」
未央「おじゃましたます! してます!」
凛「お、お帰り。なんでもないよなんでも」
凛母「店番ありがとね。三人で遊びにでも行くの?」
凛「えーっと、うんまぁそうかな」
凛母「いってらっしゃい。ご飯食べてくるかどうかはメールしてね?」
凛「うん分かった。じゃ、行こっか?」
卯月「えっと、お花はー……」
凛・未央「花はやめよう」
卯月「は、はいっ!」
未央「じゃあどこ行く? ハンズでも行こうか? 今なんかイベントやってるみたいだし」
凛「そうだね。あそこなら仕事でつかえそうなプレゼントもありそうだし」
卯月「お買いものです♪」
未央「よーしそうと決まれば全速前進! 善は急げ!」
凛「あ、ごめんちょっとだけ待ってて」
もう余白のほとんどないメモ用紙に走り書く。
大丈夫。今の不安なんて吹き飛ばしてくれる人がすぐ来るから
アネモネ
花言葉「期待・希望」
・・・・・・・・・・・・・・・
凛「……どういう意味?」
手のひら大のメモ用紙は自分の文字と、もう一人の自分の文字で余白なく埋め尽くされていた。
もう書くスペースのなくなったメモ用紙、そこに書かれた最後の言葉の意味を考える。
凛「アネモネの花言葉……?」
店の手伝いをしているから花言葉には詳しいつもりだったけど、
この花言葉は初めて聞いた。
カウンターの下に置いてある本を取り出す。
あ行はすぐに見つかった。
凛「赤いアネモネは「君を愛す」白は……白がこれなんだ」
その下に紫のアネモネの花言葉が乗っていた。
凛「紫は」
「こんばんはー!」
凛「あなたを信じて待つ。だよ」
S(mile)ING!生で聞いたら泣き崩れる恐れがあるのでLVで良かったのかもしれない(セルフ洗脳)。
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