男 「雪だるま……懐かしいな」 (30)

男の子 「これをこうして、ああして……」

女の子 「あんたは身体担当ね」

男の子 「何で大変な方を押し付けるのさ」

女の子 「男の子でしょ?」

男の子 「不公平だよぅ」

女の子 「へなちょこ!」

男 「はは、助けてやろうか?」

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男の子 「あ、パパ……」

女の子 「え、あんたのお父さん?」

男の子 「うん」

女の子 「昼間っから……飲んだくれ?」

男 「酷いな! ただの休みだよ」

男の子 「珍しいね。パパが休みの日に外出なんて」

男 「ずっと寝てても気が滅入るんだよ」

男 「……それに、こう雪をみると」

男 「色々、思い出しちまってなぁ」

女の子 「なになに、元カノってやつ?」

男 「ませガキめ。違うよ」

女の子 「えーっ」

――――

男 「こんなもんじゃないか?」

女の子 「わーすごい、こいつより役に立つよおじさん」

男の子 「こいつ言うなバカ」

女の子 「バカ言うなバカ!」

男 「……」 ポロッ

女の子 「あれ、おじさん泣いてる?」

男 「……泣いてたか? 俺」

女の子 「絶対泣いてた! いい大人のくせに」

男の子 「ぼ、僕のせい……?」

男 「違うよ。ちょっとな」

女の子 「おっさんの涙だー不潔」

男 「おっさん言われる歳じゃないはずだけどなぁ」

男の子 「そうだっけ?」

男 「む……」

男 「……雪だるまさ」

男 「見られるうちにちゃんと見とけよ」

女の子 「何言ってんの?」

男 「そのうち溶けるだろ?」

女の子 「溶けたらまた作ればいーじゃん」

男 「……それもそう、だけどな」

女の子 「なんかうぜーこのおっさん」

男の子 「変なこと言って……」

男 「……はは」

男 「そうだな。変なこと言った」

男 「じゃ、俺はお邪魔のようだから」 スタスタ

女の子 「そうだそうだ、邪魔だってのー」

男の子 「……そんなに言わなくても」

女の子 「あんたにゃわかんない」

男の子 「決めつけないでよ」

男 (ほんと、どうして俺は今さら雪だるまで……)

男 (……懐かしいな、あの頃が)

男 (まだ小学生だったか)

男 (あの日もこんな雪の日だったかな……)

これにて区切り
レスは燃料

―――――

数十年前

-公園-

男 「……あー寒い寒い、なんだよこの寒さは」

「~♪」

男 「ん……?」

少女 「んしょ、こらしょ」

男 「一人で何やってんだ?」

少女 「雪だるま作ってるの……よいしょ」

男 「雪だるま……?」

少女 「そ、雪だるま」

男 「公園に作ったら迷惑にならないか?」

少女 「邪魔でも潰せるし大丈夫ー」

男 「簡単に言うなよな」

少女 「……って」

少女 「ボク、どこの子?」

男 「俺と大して変わらないやつが何言ってんだよ」

少女 「へへっ…… 親がよくやってるのを真似てみた」

男 「真似てみた……じゃねーよ」

少女 「一回やってみたかったんだよね」

男 「今じゃなくてもいいだろ」

少女 「今でもいいじゃんか、そんなことより」

少女 「雪だるま作ろうよ、一緒にさ」

男 「俺も……?」

少女 「暇そうだし」

男 「そりゃ……暇だけどよ」

少女 「じゃあ決まり! 君は下の方作って」

男 「お前だけ楽する気かよ」

少女 「れでぃーふぁーすとです、なんちて」

男 「なんちてじゃねー」

コロコロ-

男 「ったく、なんで俺が身体担当なんだよ」

少女 「だって大変だもん」

男 「大変だもんって、お前な……」

少女 「嫌なら代わってあげよーか?」

男 「なら……」

少女 「……」 ジィー

男 「な、なんだよ……」

少女 「代わっちゃうんだ……?」

男 「……あーわかったよ! やりゃいいんだろやりゃあさ!」

少女 「ありがと!」 ニコッ

男 「……」 ドキッ

――――――

男 「ふう、こんなもんか」

少女 「立派な雪だるまだねー」

男 「俺が手伝ったんだから当然だろ」

少女 「二人でやれば二倍大きく! だね」

男 「や、そういう意味じゃ」

少女 「……」 ジィー

雪だるま 「」

男 「……まあ、いいか」

少女 「……あ、もう暗くなってきた」

男 「そろそろ帰んなきゃ、母さんがうるさいな……」

少女 「あはは」

男 「……なぁ」

少女 「んー?」

男 「明日も……遊べるか?」

少女 「ん、いいよ? この公園でいい?」

男 「おう!」

少女 「……でも、いいの?」

男 「なにがだよ?」

少女 「友達とかいたりしたら、ほら」

男 「お前が心配することじゃねーの」

少女 「確かに他人事だけど……そうだ!」


男 「?」

少女 「じゃあさ、明日みんなで雪合戦しよう!」

男 「雪合戦?」

少女 「そ、友達いっぱい誘ってさ」

少女 「違う学校同士でチーム戦なんかどう?」

男 「……違う学校?」

女 「あれ、だってうちの学校の子じゃないでしょ?」

男 「なんでわかんだよ?」

少女 「君を学校で見たことないし」

男 「……アバウトなやつ」

>>22 女 →少女

少女 「……ん~ もやもやするなぁ」

男 「自分の通ってる学校言い合えばいいだけだろ」

少女 「その手があった!」

男 「気づかなかったのかよ」

少女 「そんなこともあるよ」

少女 「あ、私西小ね。三年生なの」

男 「……東小。俺も三年」

少女 「同じ学年だったんだ」

男 「意外そうな顔すんなよ」

少女 「本音いうと一つぐらい下だと思ってた」

男 「……」

男 「……西小って、金持ちの集まりじゃねーか」

少女 「そうなの?」

男 「感覚麻痺してんじゃねーの?」

少女 「ん……そうかも」

少女 「でも正直、あの学校嫌いかなって」

男 「嫌い……?」

少女 「ん、嫌い」

少女 「毎日毎日勉強勉強テストテストでね……」

少女 「成績落としたら怒られて、宿題忘れたら立たされて」

少女 「クラスの空気だってピリピリしててさ」

少女 「……逃げ出したいって、たまに思うよ」

男 「……なんだそりゃ。地獄か?」

少女 「だね。悪いことなんてしてないのに」

男 「……ならやめちまえばいい」

少女 「それは逃げじゃなくてただの逃避」

少女 「……お母さんはそう言ってたよ」

男 「大人のことを何でもかんでも真に受けなくたって……」

少女 「それはちょっと無理かな」

男 「なんでだよ」

少女 「自信なくてさ」

男 「自信……?」

少女 「うん。道から外れて生きていける自信」

少女 「……で、なんの話だっけ?」

男 「友達を連れてくるとかなんとか」

少女 「そうだった! 私適当に声かけてみるね」

男 「俺も友達誘ってみるか」

少女 「うん! じゃあそういうことで」

男 「また明日な」

少女 「また明日ー」

スタスタ…

これにて区切り

ちまちま頑張る

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