女神「あなたが落したのは金の斧ですか?それとも……」(39)

女神「……」ポケー

男「えっ、なんでフリーズしてるんですか?」

女神「はっ!?あっ、いえ!えーと、そ、それともこの銀の斧ですかっ?」

男「いえ、ホームセンターで買った3980円の斧です」

女神「あ、あなたは正直者ですね!代わりにこの金の斧を差し上げましょう!!」

男「えっ」

次の日。

男「最近めっきり寒くなったなぁ」

男「はっくしょーい!ちきしょーい!!」ブシャー

男「おおう、風邪ひいたかな……ティッシュティッシュ」ズルル

風「俺の名は寒太郎!北風小僧の寒太郎だ!!」ビュゴオオオオオ

男「あっ、鼻かんだティッシュが池の方とんでった。拾いに行かなくちゃ」

・・・

女神「……あっ!あなたが落としたのはこの鼻セレブですか?」

男「あっ、また女神さまだ」

女神「それともこのスコッティカシミヤですか?」

男「いえ、ドラッグストアで買った5箱198円の安ティッシュです」

女神「あなたは正直者ですね!代わりにこの鼻セレブ1ダースを差し上げましょう!!」

男「えっ」

女神「おっ、落したティッシュはこっちで処理しておきますから!!」

男「いいのかなあ」

女神「あなたは正直者だからいいのです!!」

男「そうなんだうれしい」

・・・

数日後。

友「なにその金の斧」

男「裏手の池でもらった」

友「どういうことなの……」

男「かくかくしかじか」

友「へー、そうなの。しゅごい」

男「とはいってもこんな金の斧もらってもねえ」

友「すっごい悪趣味なインテリアかと思った」

男「薪割りには使えないし、さすがに売りに行くのもちょっと気が引ける」

友「ていうかわざわざ金で斧を作るとかこれもう哲学の領域だよね」

男「うん」

友「あ、じゃあ斧じゃなくて石とか投げいれてみたら金塊になるんじゃないかな」

男「なるほど」

友「早速その池でやってみようよ」

男「でもそういうやましい気持ちがあると交換してくれないんじゃないかな」

友「ものは試し」

男「なるほど一理ある」

・・・

友「この池に落とせばいいの?」

男「そう」

友「じゃ、早速」ポチャン

男「……」

友「……」

女神「……」ゴゴゴ

友「おぉー!本当に女神様があらわれた!!」

男「こんにちは女神さま」

女神「……この石を投げいれたのあなたですか?」ゴゴゴ

友「はい!って、あれ?なんか怒ってる……?」

女神「いきなり池に石を投げ入れるなコラアアアアアアアア!顔に当たったでしょうがあああああああああああ!」ブォン

友「痛ァい!!」ドゴォ

男「楽天則本のような投げっぷりのいい投石フォーム」

※参考動画
https://www.youtube.com/watch?v=VQg_IEvBoUY

友「い、石より斧のほうが絶対危ないでしょ……」ピクピク

・・・

男「この間は友人がどうもすみませんでした」ペコリ

女神「いっ、いえ!私の方こそ大人げない対応を……」

男「お詫びにうちで作った干し柿をもってきました」

女神「ええっ!?いいんですかっ!?」

男「どうぞどうぞ」

女神「手作りですか!?」

男「はい」

女神「あ、あなたが作ったんですかっ!?」

男「はい。あ、気に入らないようなら何か別n」

女神「イヤッホオオオオオオオオオオオウ!!!家宝にすんべええええええええええええ!!!!」

男「えぇ……(困惑)」

・・・

女神「ウフ、ウフフ……彼がつくった干し柿……」

女神「ああ……こうして見ているだけで彼が近くにいるようだわ!この干し柿に彼を感じる!!」

女神「ではさっそくいただきま……はっ!?」

女神「もったいないからしばらくお供えしてから食べよーっと!」ウキウキ

干し柿「どういうことなの……」

翌日。

女神「……一晩中水に浸かってたから戻ってる」プルン

<ドサササッ

女神「ん?」

・・・

<ガサゴソ

男「うーん、また裏で動物が干し柿でも狙ってるのかなあ」

男「ちょっと様子を……ああっ!ゴミ捨て場の金網が壊されてる!!」

男「あらー……こりゃ池の方までゴミが落ちちゃってるなあ」

男「とりあえず片付けよう。あとで女神さまにも謝っておこう」

・・・

女神「こっ、これは……!」

女神「この匂い間違いない!これはまさしくあの方の家から出たゴミィィィ!!」

女神「こ、こんなん10連ガチャ連続で回すようなもんじゃない!!」

女神「今日はなんて良い日なのかしらああああああああああああああああああああああ!!」

池<アアァアアァァアァアアァアアアァァァ……

男「なんか池の中から禍々しい声が聞こえる」

男「女神さまー女神さまおいでですかー女神さまー」

<シーン……

男「いないみたい」

男「あれ?ゴミもなくなってる……まぁいっか」

池<オッホオオォォォオォォォォオオオォ……

・・・

太陽「今日はいい天気」

男「久しぶりに洗濯物を外で干せてうれしい」

風「メイ!私たち風になってる!!」ビュゴオオオオオ

男「あっ、パンツが池の方とんでった。あれがないと困る」

女神「あっ、あなたが落したのはこの金のパンツですか!?それとも銀のパンツですか!?」ハァハァ

男「いえ、女神さまがかぶってるそのパンツです。ユニクロで3枚999円のやつです」

女神「あなたは正直者ですね!代わりにこの金のパンツを差し上げましょう!!」

男「それだと履けないんですけど」

女神「じゃ、じゃあ代わりに私が今履いてるのを……!」ゴソゴソ

男「男物がいいよう」

・・・

男「女神さま。女神さまはいつも池の中にいて寒くないんですか?」

女神「部屋に温泉ひいてるのでそんなに寒くないのですよ」

男「そうなんだすごい」

女神「よ、よかったらちょっと遊びにきませんか!?」

男「息できなくて死んじゃう」

女神「そこは神の力でどうにかしますから!!」

男「神の力ってすごい」

女神「では早速参りましょう!!」

男「ゴボゴボ」

女神「一度その肉体を捨てることになりますが……」

男「やめて殺さないで!!」

女神「す、すみません……!それによく考えてみたらまだ部屋の片づけもしてませんでした……」ションボリ

男「あの、このままだと風邪ひいてしまうので家に帰ります」ビッチョリ

女神「待って下さい!せめてなにか償いを……!」

男「気にしないでください。女神さまにはいつもお世話になってますから」

女神「月末になると薄い給料袋の封も切らずに郵便局へ行きます」

男「さすが女神さま。選曲チョイスが古い」

・・・

男「結局パンツを一枚失ってしまった」

男「ぶえーっくしょーい!こんちきしょーい!!」ゴブシャァー

男「やばいやばいこのままだと本当に風邪をひいてしまう」ブルブル

男「風呂を沸かそう」

https://www.youtube.com/watch?v=rtmyhK5w4Xg

男「明るいうちから風呂に入るのも悪くないね」ガララ

女神「つ、ついに潜入してしまったわ、彼の家の浴室にまで……!!」ドキドキ

男「……」ガララ

男「あ、もしもし警察ですか。うちの中に変な女神が」

・・・

女神「す、すみません……どうしても償いをさせていただきたいと……」

男「いえ、本当に気にしないでください。それよりお風呂入っていいですか?」

女神「あ、じゃあお背中でも流しましょうか!?」

男「そんな。女神さまに背中なんて洗わせたらきっとバチが当たってしまいます」

女神「大丈夫です!むしろ私がバチを当てる側ですから!Win-Winです!」

男「誰が何に勝ったんだろう」

女神「さあお湯が冷めないうちに」

男「では失礼して」

女神「……」

男「えっ、一緒に入る気ですか!?」

女神「えっ」

男「女神さま、いくらなんでもそれはまずいですよ」

女神「す、すみません!つい、いつものクセで……」

男(いつもどんな生活送ってるんだろう)

女神「た、確か人間が入浴するときは衣服を脱ぐのでしたね」ヌギヌギ

男「女神さま、それはもっとまずいです」

・・・

男「なるほど。水の神様だから近くの水場だったらどこへでもいけるのか」

男「ってことは、この家って女神さまが侵入し放題?」

男「……まあ、神様なわけだし悪いことするはずがないよね」

男「ちょっとトイレに」ガチャ

女神「い、いくら水の神とはいえトイレの水に潜むのは……で、でもここにいれば彼のあられもない姿g」

男「……」パタン

男「あ、もしもし警察ですか。うちの中に変な女神が。たぶん変態だと思うんですけど」

・・・

男「ねぇ女神さま」

女神「はい、なんでしょう?」

男「女神さまは僕のことが好きなんですか」

女神「……はい!生まれる前から好きでした!!」

男「あなたが生まれる前ってそれ下手したら人類すら誕生してなさそうなんですが」

女神「す、すみません……実は、あなたがこの池に斧を落として拾いに来たあの日から、私はあなたにフォーリンラブ!!」

男「イエスフォーリンラブ」

女神「あなたの身体が朽ち果てるその日まで、私と共に歩んでくれませんか?」

男「女神さまはヤンデレ」

女神「あなたが落したのは金の斧でも銀の斧でもなくこの私なのです!」

男「女神さま。話は落ちてませんよ、雑すぎます」

女神「手厳しいですね。でも好き!」

おしま い

そんなばかな
もっと続くでしょう?

>>32-33
いいのよ

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