ことり「ことうみ税を導入します!」 (292)
ことり「ことうみSSが全然足りないの!」
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【働いたらことうみ税】
真姫「何なのよあの法律!ふざけてんじゃないわよ!」
真姫「医者だって苦労してんのよ!それなのに!働いて手元に残るお金に応じて掛かる税?何それ!イミワカンナイ!」
真姫「ことうみSSを納めろっていうけど私には仕事があるのよ!ムリに決まってるでしょ!」
にこ「真姫ちゃんの言いたいことはわかるわ」
真姫「デショー?」
にこ「でもことり政権がことうみSSの不足を訴えている以上、一般国民は従うしかないのよ……」
真姫「わかってるわよ!」
真姫「理解はしても納得できないのよ……働いたら罰金を課される気分だわ……」
真姫「はあー…どうして真姫ちゃんがことうみSSを書いて納めなきゃいけないのよ……医者なのよ私は…」
にこ「真姫ちゃん……」
真姫「そういうことなら…ことうみ税の税率がランクアップしないギリギリのところで仕事を抑えないと……私が働けば働くだけ、にこちゃんに贅沢させてあげられる人生設計だったのに……」
にこ「うっ……」
にこ「あ、ほら見てよ。ニュース」
ことり≪皆さんから集めたことうみSSは必ず公共の利益へ還元することを誓います!≫
にこ「公共ってことは私たちにも利があるってことよ。きっと大丈夫」
真姫「……嫌な予感がする」
こころ「ただいま帰りました、お姉様。真姫さん」
ここあ「ただいまだぜー!」
にこ「ほらほら真姫ちゃん。暗い話題はおしまいにこよ?」
真姫「…ふぅ。そうね」
真姫(日課のにこ真姫SSに支障を来さない程度に、ことうみSSを書いていくしかないわね…)
希「うーん…うちみたいな日銭稼ぎにもことうみ税は課せられるんやろか……」
希「課せられるんやろなあ……少しずつ更新してるのぞえりSSがさらに遅れてまう」
希「あ、いらっしゃいませ。何を占ってほしいん?……ああ、出演運ですね。モブさんは大変やんなぁ」
【起業して社会に貢献したらことうみ税】
花陽「あ……あはは……そんなことって……」
凛「……元気だして」
花陽「酷いよ…最高品質のお米を生産して、鮮度抜群のまま数時間でお届けして、調理までしてあげる会社を考えてたんだよ……やっと目処が立ってたのに……」
凛「…」ナデナデ
花陽「起業したらことうみ税が発生するなんてあんまりだよ……罰金と同じ…」
凛「…凛もラーメン屋を開いてみたかったんだけどにゃー…ことうみ税が重い…」
花陽「事業が成功するかもわからないのに、あんまりだよ…」
凛「凛は文章書くの下手だからことうみSSを払えないよー」
凛「これはもう、ラーメン屋を諦めるしかないなー」
花陽「花陽一人じゃとてもことうみ税を払い切れない…あぁ」
花陽「ダレカタスケテー!」
花陽「はぁ…」
凛「……今晩、うちに来る?」
花陽「…うん。花陽の知ってる限りで最高の日本酒を持っていくね」
凛「飲み明かすにゃー」
【もらったらことうみ税】
絵里「は?お金を受け取ってもことうみ税が発生するですって!?」
真姫『そうなのよ…』
絵里「どうして国家が個人的なお金のやり取りに介入してくるのよ!?プライバシーの侵害じゃない!」
真姫『参ったわ…あの法律のせいで友達に金銭の援助をするのが難しいのよ……』
絵里「なにがなんでも搾取する気満々ね……」
希「でも、うち聞いたよ?ある程度までの金額なら免除されるって」
絵里「あ、おはよう?」
希「おはようやないよ……真姫ちゃんとスカイプするのに夜中じゃなくてええやん?裸で通話してたら風邪引くよ?」
真姫「あなた今裸なの!?」
絵里「そういう希だってバスローブ一枚でうろついてるじゃないのよ」
希「裸よりはマシやん。ほら、絵里ちの分」
絵里「いいわよ、スカイプ終えたらシャワー浴びて寝るつもりだし」
希「絵里ちに風邪引いてほしくないねんっ」
スッ……
希「絵里ちはあったかいなぁ…抱き心地もええわ~…」
絵里「クスクスッ。背中に当ててるの、わざとでしょ?」
真姫「ちょっと!私の存在を忘れてるんじゃないでしょうね!」
希「あー真姫ちゃん、ごめんね。絵里ちの暇つぶしに付き合わせちゃったな」
真姫「いえ、私がこの時間帯でないと時間が取れないから仕方ないわ」
真姫「それでね、希はある一定金額までならことうみ税が免除される、ていうけど。そういう問題じゃないわ…」
絵里「物のやり取りにまで国の目を気にしなきゃいけない、て事実が許せないのよ」
希「あー……せやな」
絵里「働いてもことうみ税、起業してもことうみ税、貰ってもことうみ税……SS書きに掛かる時間はゼロじゃないのよ!?」
真姫「でも納税するしかないのよね…国の決めたことだから」
絵里「…ロシアの御婆様のところに帰ろうかしら」
希「そんならうちも行く!いっぺんロシアに行ってみたかったんや!」
絵里「いいけど…希、お金はあるの?」
希「絵里ち!貸して!」
絵里「そりゃそうよね…はいはい、わかったわよ」
絵里「……これってことうみ税かからないわよね?」
真姫「ちょっとにこちゃんを起こして訊いてみる」
絵里「にこがかわいそうだから自分で調べるわ…」
希「飛行機に乗ったらことうみSSとのぞえりSSを書こうっと♪」
真姫「……はぁ。愚痴ったら少し落ち着いたわ」
絵里「こちらこそ、希が起きてくるまで良い退屈しのぎになったわ」
真姫「はいはい。それじゃもう切るわ。二人きりの時間を奪って悪かったわね、希」
希「かまわへんって。真姫ちゃんだもん」
プツッ
希「……で?」
絵里「で、て?」
希「ほんまはシャワー浴びて寝るつもり、無いやろ?」
絵里「フフッ、ごめんなさいね」
絵里「お互い身体を持て余すと大変ね。十代の頃と比べても全然体力が衰えないわ。子供が出来る心配も無いし♪」
希「子供……」
絵里「えっ反応するとこソコ?」
希「…絵里ちは子供欲しいって思ってるやん」
絵里「なによぅ突然」
希「知ってるで……絵里ちが、うちらが子供を授かるSSをネットにアップロードしたの」
絵里「あらやだ、隠してたのに。希ったら私の全てを知っておきたいタイプだったの?良いわね、そういうの。ゾクゾクするわ」
希「共用のパソコンのデータにSSのログがあったんよ」
絵里「ふーん…」
絵里「たしかに希との子供を持てたら幸せなことだと思う」
絵里「でも現実に有り得ないわ。女同士では子供を作れない」
絵里「希は心配してくれてるのね?子供を持てなくて寂しがってるんじゃないか、て」
絵里「ありがとう。でも大丈夫よ。あなたが隣にいてくれればちっとも寂しくないわ」
絵里「どうせ夢見るなら子供よりも不老不死が良いわ。そうだ、二人きりの花園でいつまでも若いままラブラブに暮らすSSでも書いてみましょう」
希「絵里ち…養子、もらう?」
絵里「いいえ、二人の血が繋がらない子に愛情を注げる自信はないわ」
希「うちも…」
希「くしゅんっ…寒っ」
希「ごめんな?変なこと話してもうて」
絵里「いいわよ。希がストーカー気質だって解ってゾクゾクしたから♡」
希「んもう…からかわんといて。はよベッドに行こ?身体が冷えてきて敵わんよ」
絵里「寒がりさんね。もう一回温め合いましょうか♪」
【死んで継いだらことうみ税】
穂乃果「そんな……聞いてないよ!?」
にこ「マジよ、マジ。ニュースを確認しなさい。あんたのとこのお婆ちゃんが亡くなって、穂むらの財産の所有者が変わるから、そこでことうみ税が湧いてくるのよ」
穂乃果「あんまりだよ!亡くなった人に対して酷過ぎるよ!人でなし!」
穂乃果「そ、そうだ!ことうみ税の手続きの前にお婆ちゃんの財産を全部お父さんのものにしちゃえば!」
にこ「無駄よ」
にこ「先日施行された税制度のせいで、財産を渡してもことうみ税が掛かるのよ」
穂乃果「そんな横暴な!いやだよ!お婆ちゃんの財産が原因で穂乃果たちの時間を潰されちゃうの!?」
穂乃果「…ことりちゃんに文句言ってくる!」
にこ「やめときなさい」
穂乃果「やめない!」
にこ「無駄よ。ことりが見ているのは国であって、国民じゃないわ。ことりは国を良くしようとしてるらしい。なら穂乃果一人が訴えたところでなんにもならない」
穂乃果「そんな……」
にこ「受け入れるしかないのよ…国が決めたことだから…」
穂乃果「で、でも」
にこ「あまり目立った行動を起こすと、来るわよ?」
にこ「ことうみ警察が」
穂乃果「ッ!」ビクンッ
にこ「そうなったら音ノ木坂ブランドで成り立ってきた『穂むら』は信用が地の底に落ちておしまいね。亡くなったお婆ちゃんが草場の陰で泣くわよ」
穂乃果「………………ことうみSSを書いてくる」
にこ「ええ」
にこ「そうするしかないのよね…」
にこ「うちは家族が多いから、家単位で生産することうみSSはμ'sの皆の中じゃ多い方。だから一人当たりの生産数は少なくて済む。恵まれてる方なのかしら」
【お酒を流通させたらことうみ税】
花陽「パナ…パナ…」
凛「真姫ちゃーん!かよちんがこわれたー!」
真姫「来ると思ってたわ……にこちゃん、ベッドに寝かせて」
にこ「はなよ…」
花陽「パナ…パナ…パナ…」
凛「かよちん…日本酒を買うのにもことうみ税が掛かる、て聞いた途端に『パナ』以外しゃべれなくなっちゃったの…」
真姫「一種の心因性失語ね…カウンセリングに通うことを推奨するわ」
絵里「あ・・・・・・まき・・・・・・」
真姫「あなたもなのね……」
絵里「おかしいわよね・・・・・・こんなの・・・・・・」
真姫「ええ……」
絵里「そう・・・・・・よね・・・・・・」
にこ「悔しいけどこれ、現実なのよね…」
絵里「・・・・・・ベッド・・・借りるわよ・・・・・・」
にこ「どうぞ」
絵里「ウォスト・・・・シャンペン・・・・・・・・」
にこ「……穂乃果の方はどう?大丈夫なのアイツ?」
真姫「……残念ながら。祖母を亡くしたショックにことうみ税が重なって、すっかり元気を失くしてる」
凛「やっぱりこんなのおかしいにゃー!税ってなんにゃ!」
真姫「ことり政権は公共の利益に還元すると言っていたけれど…」
凛「どこがさ!凛の生活はちっとも良くなってないにゃ!ラーメン屋開きたかったよー!」
にこ「気づいてないだけかもしんないわよ?道路や水道管、公共施設とかいろいろ整備してるはずよ」
凛「そんなのことうみ税が導入される前からやってきてたにゃ!」
真姫「どう考えても不要な施設や仕組みを作って、ことうみ税徴収を図ってるし」
にこ「うっ……そうよね」
真姫「おかしいわよねえ?ことうみ税で一体何が良くなったというのかしら」
凛「説明しろにゃー!ことりちゃん!」
絵里「そうよ!!」
真姫「わぁっ!起きてたなら言いなさいよ!?」
にこ「やめなさい!ことうみ警察が来るわよ!」
三人「…………」
にこ「…ことり政権はことうみSSが足りないと言っていた。だからことうみ税を導入した」
にこ「問題はなぜことうみSSが足りないのか、そしてことうみSSは何に使われてるのか、よね…」
凛「とりあえずオレンジジュースを一斗缶で持ってきたから乾杯するにゃ。ヤケジュースだよ!」
絵里「ノるわ!!」
真姫「あーんもー!ことうみSSの重圧から解放されたい!」
にこ「わたしも…気分を変えていくにこYo★」
「かんぱーい!!」
花陽「パナァ…」
凛「プハーッ!ことうみ税のせいで凛のラーメン屋構想が死んだ!未来がお先真っ暗にゃ!凛はどうすればいいの!」
真姫「私の医療研究の時間もことうみ税に盗られてる!助かるかもしれない命を助けられないじゃない!どうすればいいのよ!」
花陽「日本酒…どうすれば……」
にこ「にこだってアイドル研究時間も足りないわ!十代のアイドルオタクたちに差つけられるじゃないの!どうすればいいのよ!」
絵里「酒ぐらい自由に飲ませなさい!これからどうすればいいのよ!」
繁華街の希「どうすれば……」
「「「「「「どうすればいいの……」」」」」」
穂乃果「いらっしゃいませ…。…え?」
穂乃果「役所の…はい…」
穂乃果「ハ…イ………」
【買ったらことうみ税】
真姫「なーにが『申し訳ございませんが、このSSは納税基準をクリアしないため書き直しをお願いします』よ!これだからお役所仕事は!腹立つわねー!」
真姫「真姫ちゃんは医療が本業なのよ!文句があるなら役所の奥でブラウザゲームしてた怠慢役員に修正させなさいよ!」
真姫「あーんもー!むかつくー!」
真姫「ただいまー!」
にこ「ふざけんじゃないわよ!!」
真姫「ヒッ!」
にこ「物を買うだけでことうみ税!?満足に買い物することも許されないの!?」
真姫「なっ……」
ことり«まだまだことうみSSが足りません!国民のみなさんはもっとことうみSSを書いてください!』
にこ「信じられない!!これなら野生動物の方がよっぽど賢い生き方してるわ!とうとう鳥類になったのかしらコイツは!!人としてどうかしてるわ!」
こころ「お姉さま…ぐすん…」
ここあ「お姉ちゃん落ち着きなよ…」
にこ「……ちょっと一人にさせて。これからの家計を考えないといけないわ…」
にこ「誰かさんのせいでッ!」
真姫「……待ちなさいよ」
にこ「何よ!」
真姫「私がことうみ税に怒ってるときは落ち着くよう叱ってたのに、自分は荒れ狂ってんじゃないわよ」
にこ「っ……そうね、ごめんなさい」
真姫「そんなにしおらしくならないで張り合いなさいよ…キモちわるい…」
にこ「ぬぁ…誰が気持ち悪いですってー!?」
真姫「そう、それでいいのよ」
にこ「良くないわよ!だいたい私は家計の心配をしただけで!」
真姫「でもまあ、にこちゃんが怒ってくれたから私の怒りはすっかり冷めちゃったし……私の代わりに怒ってくれた、みたいな?悪いことでもないのかもね」
にこ「!…………」
真姫「家計だって私が働いて得たお金なんだから、私にも家計について考えさせてよ」
こころ「私にも協力させてください!」
ここあ「私も参加しといた方がいい?部活費とか遊びに使うお金とかがピンチになるとヤだし」
真姫「ええ。そうしてくれる?」
にこ「こころはともかくここあは節制を覚えた方がいいわ。買い食いとか買い食いとかゲーセン代とか」
ここあ「ちょっ!いいじゃん!私の小遣いの範疇でしょ!」
こころ「貯金は大切ですよ、ここあ」
真姫「逆にこころちゃんはもっと遊んでいいのよ。素材は良いんだからおしゃれの一つでもしてみれば?」
こころ「ふぁ…はい、ありがとうございます」
ここあ「あ、照れてる?照れてる?真姫さんのこと好きになっちゃった?」
こころ「むぅ……ここあなんて、もうきらいです」
ここあ「ごめんよぅこころー!」
にこ「ははは、しょうもないことでケンカしないの」
真姫「…ありがと」
にこ「え?……あっ…」
にこ「べ、べつにお礼言われるようなことじゃないし…」
真姫「はあ?どうしてそこで否定するのよ。素直に受け入れなさいよメンドクサイわねー」
にこ「はあ!?どぉっちがメンドクサイと思ってんのよ!」
真姫「間違いなくにこちゃんね!」
にこ「いーえ!真姫ちゃんよ!」
真姫「それμ'sに入る前のにこちゃんと比べても言えるの!?」
にこ「そんなら真姫ちゃんだって入部前はめーっちゃツンツンしてたでしょ!穂乃果が言ってたわよ!」
真姫「ずっとそうだったわけじゃないわよ!あの頃は穂乃果が不審者だったんだから当然の反応でしょ!」
にこ「はぁーこれだから世間知らずのお嬢様はねー小さいことにツンツンしすぎなのよねー」
真姫「あ…あんただってくだらない、ちーちゃなプライドのために穂乃果たちの活動をジャマしてた時期があったでしょ!」
にこ「その程度の苦労、真姫ちゃんのちぃーさい堪忍袋のためにご機嫌とりしなきゃいけないにこの苦労に比べれば超ちーさいわよ!!」
真姫「小さいのはにこちゃんの背だけにしなさいよ!」
にこ「関係ないでしょお!?」
真姫「あるでしょうが!あなたとお出かけすれば合わないサイズの服を無理して買おうとしたり、足の届かない展示用バイクに跨ったり、アイドルグッズだってよくわかんないけどケチ臭い空気を出しながら品定めするし!」
にこ「な、ななnな…!うるさーい!///」
真姫「服もバイクも欲しいなら特注してあげるわよ!グッズなら大抵のものは買ってあげる!だから素直に言いなさい!!」
にこ「冗談じゃないわ!にこの我が儘で家計を無駄遣いすることなんて絶対にしない!」
真姫「私がμ'sにいた頃にあなたから貰ったものに比べたら、小さすぎて目に見えないわ!」
にこ「な…なんで感謝してんのよ!!今はケンカ中でしょ私たちー!///」
真姫「にこちゃんがメンドクサイからでしょう!」
にこ「はあ!?どっちが!?」
ここあ「何度目だよこのやり取り。ほんとお姉ちゃんたちラブラブだねー」
にこ・真姫「…………」
ここあ「あ、つい…」
にこ「……真姫ちゃん。ちょっとここあに用事が出来たから席、外していいかしら?」
真姫「奇遇ねぇにこちゃん。たった今私もここあちゃんに用事が出来たのよ?」
にこ「そういうことなら二人で一緒に用事を済ませた方が時間の節約になるにこよぉ?」
真姫「そうねえ?節約ってやっぱり大事よねぇ?」
ここあ「ひぇっ!機嫌悪いときにからかっちゃいけないんだったー!」
こころ「ここまでテンプレです。やれやれ」
こころ「ただ、服もバイクもグッズも、みんなみんな、ことうみ税が掛かるようになるんですね……」
こころ「一日に書くことうみSSを増やしませんと……勉強と両立できるのでしょうか……」
【若い人にはことうみ税】
ことり≪若者のみなさん!全国のおじいさん、おばあさんを支えるためです!どうかご理解ください!≫
凛「えーっと……なになに」
凛「若いうちにことうみSSを納めておけば全国のお年寄りの方に配られる?で、凛がお婆ちゃんになる頃に国からことうみSSを唯でもらえるの?」
凛「うーん……もうことうみSSは一生分見た気がするよ……書きたくもないし読みたくもないにゃ……」
凛「これって意味あるのかにゃ…?」
凛「もっと楽しい番組を放送してほしいよー。新しくKTUMって放送局が出来てすぐに強制加入させられたけど、面白い番組がひとつも無い!なにこれ!」
凛「こんなのスマホで観れてもいらない!スクールアイドルの映像が観れる動画サイトで十分にゃ!」
凛「にゃーぅ……刺激が欲しいよぅ」
花陽「あっ凛ちゃん……」
凛「かよちん……目が赤いよ?泣いてたの?」
花陽「……うん」
凛「凛には解るよ。ちょっと前にお酒にかかることうみ税が更に上がったもんね……」
花陽「ううん…それもあるんだけど…」
凛「ほかにもあるの?凛に話せる?」
花陽「あのね……ことり政権が新しく若者にことうみ税を掛けたでしょ?」
凛「うん……嫌なニュースだよね……」
花陽「そのニュースを聞いたとき私はヤケ酒してたんだけど」
凛「…今晩一緒に、ヤケジュースする?」
花陽「ありがとう…でね」
花陽「その時にお婆ちゃんもニュースを聞いてて、花陽に話してくれたの」
花陽「『こんな老いぼれのために若い子が心から楽しめないSSを書くより、自分のために自分の満足するものを書いてくれるのが、老いぼれには嬉しいことだけどのう』って……」
花陽「その言葉を聞いたら花陽、泣いちゃって……。そうだよね…SSは自分のために書くものだよね…」
花陽「そうして書き上げたSSを今度はみんなに読んでもらって、みんなで楽しむのが本来のSSだよね……ぐすん…」
凛「かよちん…」
花陽「ごめんね…また泣いちゃってる…くしゅん…」
凛「かよちんの言ってることは正しいと思う!」
花陽「凛ちゃん…!」
凛「書いてる本人が楽しくなくて何がSSにゃ!強制されて書くもんじゃないよ!」
ことうみ警察「ん?」
花陽「凛ちゃんシーッ!」
凛「もがっ」
ことうみ警察「……」スッ…
花陽「……行ったね」
凛「あーびっくりしたにゃあ…ことうみ警察が近所に来るなんて思わなかったよー」
花陽「巡回が厳しくなったらしいよ…ことうみ税の評判が散々だから」
凛「自業自得じゃないかにゃ…ソレ」
花陽「…そうだっ。凛ちゃん。今からうちででもヤケジュースしない?」
凛「おお、やっちゃう?」
花陽「じつは花陽ね、ことうみSSの他にもSS書いてるの。凛ちゃんに読んで欲しいな」
凛「それなら凛もSS持っていくね!」
あっ、お家のジュース切らしてたんだった
今から買いに行こ!お財布とことうみSS取ってくる!
凛ね、絵里海未SSとほの海未SSにハマってるの!
海未ちゃんブーム?じつは花陽も海未凛SSを書いてるんだぁ
えー海未ちゃんと凛がー!?恥ずかしいよぉ!
受け身な凛ちゃん、すごく女の子らしくてかわいいよぉ
にゃー!にゃー!!
あのね…凛ちゃん…二人でりんぱなSS書いてみない?
かよちんと共作かにゃ?おもしろそう……て、え?え?凛とかよちんのカップリング!?
だめ…かな
う、ううん!そうじゃなくて、その、凛なんかでかよちんとカップリングしていいのかな…
凛ちゃんじゃなきゃダメ…
かよちん……ありがとう
【持ったらことうみ税】
ことり「まだ……まだまだ……」
ことり「まだ足りない!!ことりのプライベートハウス一軒分をパンパンにするくらい、ことうみSSが欲しいの!」
ことり「せめて真姫ちゃん家の別荘いっぱいに収まるくらいは……」
ことり「はぁ……お仕事つかれた……国を動かすのは大変だなあ」
ことり「そこで、ジャン★疲れた頭にことうみSS!」
ことり「ことうみSSは偉大だよ…ことうみSSがあれば当分は生きていける……」
ことり「今晩は何日分のことうみSSを読もうかな♪」
ことり「読書のお供はもちろんお酒♪グラスと氷と、碧い海ちゃんと、小鳥のさえずりの二本でお~くりしま~す」
ことり「それではことうみ電車の旅、しゅっぱ~つ!」
電話「PiLiLiLi」
ことり「この着信音は…!!」
ことり「はい!……うん!」
ことり「うんうん!お仕事は順調なんだ!」
ことり「ことりの方も大変だけどやり答えがあるよ~。ことりが頑張れば頑張るだけ国は豊かになるんだもん」
ことり「やだあ♡ことりはことりのままだよ?ほんとだよ?キリリとした顔なんて作れないよっ」
ことり「任せて!ことりは一人でもやれるよ!だから安心してお仕事して」
ことり「家のことはお手伝いさんと協力して済ませてる。海未ちゃんがいつ帰って来ても良いようにね?」
ことり(そうだ!持ち家1軒あたりにことうみ税を課せば莫大な量のことうみSSを稼げる!いっそ土地にも課してしまおう!)
ことり「それがいいね!」
ことり「あ、ごめん、お仕事のことで閃いちゃっただけ///」
ことり「それじゃもう切るね。帰ってきたらたくさん甘えさせて?」
ことり「愛しの海未ちゃん♡」
【車に乗ったらことうみ税】
ことうみ警察「――では以後スピードには気を付けてください」
希「苦労かけてすんませんなあ」
絵里「…………」
車「BrrrrrrrrrrrrrrrrrrBrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrBrrrrrrrrrrrrrrrrrrBrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrBrrrrrrrrrrrrrrrrrr Brrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrr」
絵里「希、本気でロシアに行くわよ」
希「いやースピード違反は絵里ちが悪いって」
絵里「スピード違反したくなるようなメンタルにさせる国が悪い!」
希「せやけど絵里ち、現に交通事故起こしそうになったやん。ことうみ税導入前と違反基準は変わらんよ?」
絵里「ことうみ税が無かったら安全運転してるわよ!」
絵里「買い物するにもことうみ税!働いてもことうみ税!税!税!税!」
絵里「ことうみSSから解放されるときがまるで無いわ!!」
希(絵里ちがドライブに連れていってくれるのは嬉しいけど、これは楽しい思い出作りは望み薄かなぁ)
希「まあ、たしかに他のカップリングも読みたいね」
希「せや、にこりんぱなのイけないSSネットに落ちてないかな♪」
絵里「そういう問題じゃないのよ…とにかくことうみ税に支配された世界から解放されたいの!」
希「そうそう、凛ちゃんと花陽ちゃんお付き合い始めたらしいよ」
絵里「凛ぱなSSを書くことでことうみ税から一生解放されるなら書くわよ!」
希「いやリアルの凛ぱななんやけど…」
絵里「うわ…言ってるそばから出たわよ…」
希「ん?『国営遊園地ことうみランド』の広告看板?」
絵里「集めたことうみ税で建設したらしいけど、あんなものが誰のためになるっていうのよ……もうことうみSSに関わりたくない…」
希「たしかに入園者数は目も当てられんことになってたなあ」
絵里「はぁー…いっそのこと他のSSからコピペ改変してでことうみSSを自動で書くアプリでも作ろうかしら……」
希「ズルはせん方がええと思うよ~…おっ!あるやん♡『レ○性こう部~にこりんぱな~』」
絵里「えっマジで?見せて見せて」
希「運転手は前見て!」
絵里「ちょっとぐらい許すチカ!新鮮なSSが読みたいチカ!ことうみSSはもううんざりチカ!」
車内ラジオ「昨日の未明、SSを剽窃してことうみ税を納めた疑いで、音ノ木坂住まいのモブ子容疑者が逮捕されました。ことうみ警察はSS偽造の罪で起訴する方針を――」
絵里「…………」
希「……ズルはやっぱアカンね」
絵里「ええ…」
希「……読む?にこりんぱな」
絵里「……運転に集中するわ。罰ことうみはこれ以上ゴメンよ」
希「あ、そろそろガソリン入れ直した方がええんやない?」
絵里「そのつもりでこっちの方面で来たからね。でもやんなっちゃうのよね…ガソリン入れるのにもことうみSSを納めなきゃいけないなんて」
絵里「これなら本当にロシアに帰った方が…」
絵里「ってアーッ!!さっきのことうみ警官にことうみSS徴収されたからガソリン入れられない!!」
希「はあ!?ことうみSSもう持って来てないん!?」
絵里「だってもうことうみSSを見るのも嫌チカ!最低限しか持ちたくないチカァ!」
希「うち、いつも言ってるやん!嫌でもなんでもことうみSSはお金のようなものなんやから、手元に多めに持っときって!」
絵里「そう言われてポケットに突っこんでたらお尻がアトピーみたいに赤くなったチカァ!ことうみSSは恐ろしいチカァ!」
希「あかん…絵里ちも真姫ちゃんところのカウンセリングに通わせないと……」
絵里「ガソリンスタンドに着いたチカ!現金ならあるチカ!ガソリン入れさせてチカー!」ガタンガタン!
希「あかんよ絵里ち!それ以上は立派な器物損壊罪や!」
ヤー!
メーン!
コテー!
ドー!
パシンッ!
いっぽん!
Oh!Beautiful!
Yamatonadeshiko!Fooooooo!
Wonderful Rush!
Awesome!Onigami Moe!
海未「ふぅ…………」
【生きるだけでことうみ税】
穂乃果「死にたいのに死ねないの……」ブツブツ
真姫「(声が小さくて聴き取りづらい…)まだ死ぬには早いわよ…」
穂乃果「ううん…良い頃合いだよ…」
真姫「どうして?」
穂乃果「だって穂乃果が生きてるだけでことうみ税が掛かるんだよ…?お家に迷惑かけてるじゃん…」
真姫「アレのことね…。でもあのことうみ税が穂乃果だけに掛けられたものじゃないわ。私も雪穂ちゃんも一緒でしょ。私たちも生きる価値が無いのかしら?」
穂乃果「全然ちがうよ……だって穂乃果は…真姫ちゃんたちとちがって…もうずっと家に引籠ってるし……」
雪穂「お姉ちゃんには休息が必要なんだってば!お仕事してたら嫌でもことうみ税と関わらないといけないから、キツいでしょ!」
穂乃果「ごめんね…ゆきほ……だめなおねえちゃんで…ごめんねえ……」
雪穂「…………」ぎゅっ
穂乃果「……ぐすんっ」
真姫「……何度でも言うけど、穂乃果だけが特別なわけじゃないわ」
真姫「カウンセリングを利用するクライアントが極端に増えてるのよ、ことうみ税が導入されてから」
真姫「ことうみSSの執筆が生活を極度に圧迫している。ことうみ税の発生を怖れて仕事を諦めたクライアントも居る。まったく…国民のための税なんて大嘘ね。むしろ国民を殺しに来てるわ」
雪穂「やっぱりですか…………友達にも鬱になった人がいます」
真姫「みんな口ぐちに言うわ。役人に監視・盗聴されてる。家の周囲をことうみ警察に張り巡られている。ほんとは守秘義務があるけど、アルミホイルを頭に巻いて来たクライアントもいるのよ。もちろん妄想の類だけど事態は深刻」
雪穂「うわぁ……」
真姫「正直なところ、穂乃果の症状は社会的にはマシな方よ。無気力型の鬱病だから社会に影響を及ぼす心配は無い」
穂乃果「……やっぱり生きててもしょうがないんですね」
真姫「……どうして?穂乃果は元気になればまた人のためになるわ。諦めるには早い」
穂乃果「ちがうよ…穂乃果は・・・・・・だよ……」
真姫「えっ?もう一回聴かせて?」
穂乃果「…………なんでもない」
真姫「なにか言いたいことがあるなら聞いてあげるわよ?」
穂乃果「…………」
雪穂「真姫さん…お姉ちゃんは元気になるんですか…?」
真姫「……穂乃果のは明らかに周りの環境、つまりことうみ税に囚われていることが原因でしょう」
真姫「だからことうみ税を受け入れてしまうのが手っ取り早い……」
雪穂「……できそう?」
穂乃果「っ…」フルフル
真姫「あるいはことうみ税が廃止されるか…ことり政権が解散するとか」
穂乃果「!」
真姫「まぁ当分有り得ないでしょうけど…任期までまだまだ国を蹂躙しそうね、ことり首相は」
穂乃果「……」
真姫「とりあえず外に出て日光を浴びなさい。残念だけどことうみ税に囲まれた環境に慣れていくしかないわ」
穂乃果「……薬はのまないの」
雪穂「薬って…お姉ちゃん……?」
真姫「正直出したくないのよ。知り合いならなおさらね」
真姫「さっきも言った通り原因はことうみ税であって内部疾患じゃない。ストレスで体調不良になることはあっても、もともと身体のどこにも異常は無いはず」
雪穂「ほっ」
穂乃果「……元気になる薬はないの…?少しの間でもいいの…」
雪穂「!?」
真姫「んー…………あるにはあるわ。でも薬を使って何をしたいの?」
穂乃果「それは……少しでもお店の手伝いとか…外に出るとか……」
雪穂「待ってよ!それなら私がサポートするから!薬なんて使わなくても」
穂乃果「ううん…だめだよ……自力でなんとかしないと治らないもの……」
雪穂「だめ!真姫さんもやめた方がいいと思ってますよね!?」
穂乃果「おねがい…ちょうだい……」
真姫「…………雪穂の助けになりたいのね?」
穂乃果「……」コクリ
真姫「……とりあえず一週間分出しとくわ」
穂乃果「…」
雪穂「真姫さん…だいじょうぶなんですか」
真姫「ただし、飲むときは雪穂ちゃんの許可を得ること。そして雪穂ちゃんの見てる前で飲むこと。わかった?」
穂乃果「……」
雪穂「わかりました。お姉ちゃんは私が見守ります」
真姫「はぁ……私まで病んじゃうわ……」
にこ「おつかれさま…はい、トマトジュースのリ○ビタン割」
ゴクゴク
真姫「ふぅ…」
にこ「穂乃果の奴、ひどい顔してたわね…元ラブライブ優勝者とは思えないわ……」
真姫「…そういうにこちゃんだって、このところ抜け毛が目立つわよ」
にこ「ぬぁんですってー!?どうしてそんな大事なことをもっと前に言わないのよ!!鏡!鏡!」
真姫「……プッ」
にこ「今笑った!?にこのクリティカルダメージを見て笑ったでしょ!?」
真姫「嘘よ、嘘」
にこ「……何なのよ!あんたって奴はー!」
真姫「ただにこちゃんが傍にいてくれる幸福を確認しただけよ」
にこ「な……なによ突然///」
真姫「はぁ。察しなさいよそれくらい」
にこ「解ってるわよ!口に出すのが恥ずかしいのよ!ほんとに!めんどくさいわね!」
真姫「ほんと、めんどくさい♪」
にこ「あんたに言ってんのよ!めんどくさい!」
雪穂「たいへんです!私が会計済ませようとしたらお姉ちゃんが倒れて動かないんです!!」
にこ「えっ何でよ!?穂乃果に持病あったの!?」
真姫「しまった!きっと心因性のショックよ!医療にもことうみ税が掛かるから意識しちゃったのね!行くわよにこちゃん!」
にこ「そういうことね……」
真姫「これまでは本来掛かる診療代の一割だけ現金で払えば良かったのに、つい先日、診療代の二割に当たることうみSSも納めなきゃいけなくなったから!」
にこ「ことうみ税を導入する前より負担がでかいじゃないのよ……」
にこ「まるで人が生きることを許さないかのように、ことうみ税に束縛されていく…」
にこ「ことり政権……人として最っ低よ」
希「怖い顔してんなあ」
にこ「うわああああああああああ!?背後から驚かさないでよ!」
真姫「突っ込むところソコ?希、当たり前のように職員の休憩所に入らないでくれる?」
希「大目に見てくれへんかな~」
希「大切な話をしにきたんよ」
【強勢に立ち上がる小勢】
私が悪いんだ。
穂乃果があんなことを願ったせいで、皆不幸になったんだ。
絵里ちゃんや花陽ちゃんが鬱病になったのも、私のせいだ。
知らなかった。願いが時には人を傷付けることを。
取り返しのつかないことを言ってしまった。
時を巻き戻せるのなら戻したい。私たち三人が一緒に居られたあの頃に。
もう、限界だ。ことりちゃんがことうみ税を導入してから、穂乃果の生活は散々だ。ことうみ税を納税するために義務感でSSを書かなきゃいけない。しかもことうみSSの質が問われるから、税が重くなるにつれてことうみSSの質を重視せざるを得なくなる。そうなるとことうみSSに掛ける時間が嫌でも増える。
ことうみ税が導入される前、あんなにSSを書くのが楽しかったのに。
ことうみ税がほとんどが空回りしているのを、穂乃果はネットで知っている。けれどことりちゃん本人は大成功を収めたつもりでいる。
真っ暗な部屋で、テレビの中のことりちゃんはとびっきりの笑顔を向けてくる。なにが『コトウミクス』さ。成功したのは最初だけじゃん。穂乃果の生活はどん底だよ。愛らしい声が憎らしい。
幼馴染としてことりちゃんを止めたかった頃もあった。でもそうする手段が無い。ことりちゃんに直接繋がる連絡手段は全て断たれていた。
海未ちゃんにことりちゃんを説得して欲しかったのに、海未ちゃんとも連絡がつかない。きっとことりちゃんが細工したに違いない。その海未ちゃんはあと半年は世界のどこかで剣道を広めている。そうテレビで一度だけ報じられたけど、その後の海未ちゃんの行方を聞いたことがない。今の穂乃果のことなんて何も知るはずがない。
もう、穂乃果には後が無い。私がことうみ税から解放されるにはことり政権を壊滅させるしかないんだ…。
穂乃果「……そろそろ調子、出てきたかな」
コップに残ったお茶を飲み干して肩を動かす。気だるい気分は相変わらずだけど、数十分前の穂乃果なら些細な準備運動さえする気にならなかったから、薬はたしかに効いてる。
テーブルの上の錠剤をポケットへ杜撰に突っ込んで立ち上がる。この薬は穂乃果を無理矢理奮い立たせる最後の希望。
穂乃果「だるい……」
鬱病を患うちょっと前を思い出すな。ことうみ税って言葉を聞くたびに胸が苦しくなって、それでも『穂むら』の仕事を続けなきゃいけない毎日。雪穂が心配そうな顔をしてきても元気な顔を作ってきた。でもある日役人が不意打ちに訪問してきた。穂乃果の納めたことうみ税が納税基準を満たさないから書き直せ、て。そんなことを涼しい顔で言われて、とうとう限界が来たみたい。足が竦んで、勝手に涙が溢れて、声の震えが止まなかった。
あの日、穂乃果は壊れた。
一日部屋に引籠ってベッドに横になっているだけの毎日。ごはんもろくに喉を通らないし、トイレもめんどくさい。そもそも気づかないうちにお漏らししてた。そんな自分が情けなくて涙が止まらないこともあった。
夢の中でも私はぼーっとしていた。夢の中の世界。それは佇むだけの穂乃果に、穂乃果の背後で白く輝く太陽に、両方に背を向けてひたすらことうみSSを書き続ける人たちが、地平線の向こうまで広がっていた。
楽しい?そう穂乃果は彼女たちに呟くだけ。そしてやっぱり勝手に涙が溢れてくるだけ。これは彼女たちの忙しない背中を眺めるだけのくだらない夢。
穂乃果ならあなたたちをくだらない夢から解放する方法を実行できる。これは穂乃果が招いた不幸だから、穂乃果が責任を取らないといけない。
テレビの中のことりちゃんを睨み付けて電源を切る。あとは台所に向かって必要なものを準備するだけだ。
ありがとう真姫ちゃん。この薬は大切に使わせてもらうね。
そして…ごめんなさい、お婆ちゃん。穂乃果は悪い娘になります。
「お~穂乃果ちゃあ~んや~」
穂乃果「……どうして希ちゃんが穂乃果の家の前にいるの」
希「う~んとね~、絵里ちのお酒に付きおうた帰りなんよ~」
穂乃果「ふぅん……深夜までごくろうさま…」
希「な~穂乃果ちゃん…お水、くれない?」
穂乃果「ああ…ふだん家の前に水を撒く用の蛇口があるからそこで飲んで…」
希「あはは、穂乃果ちゃんひどいわー」
穂乃果「早く帰りなよ…夜道は危ないよ」
希「うーん!気を付けて帰るわー!」
穂乃果「あ、うん……」
希「と思ったけどやーめ!」
穂乃果「……え」
希「穂乃果ちゃんこそどこいくのー?うちが警護したるよー」
穂乃果「なんでもないよ…帰って」
希「うわーん!穂乃果ちゃんがのぞみんを嫌いになったー!」
穂乃果「えぇー……酔っ払い、めんどくさい」
希「いいもん!いいもん!穂乃果ちゃんがいない間にお店上がらせてもらうもんね!」
穂乃果「え、ちょっ、やめてよ」
希「売れ残りのほむまんがたらふく眠ってるやろー!」
穂乃果「やめてってば」
希「…………」
希「……ほんなら代わりに、ちょっとうちの自慢話きいてくれるー?」
穂乃果「……それで帰ってくれるなら」
希「あんなー、うちなー、占い師やっとんやんなー?」
希「高校卒業してー、大学入って卒業してー、会社入ったけどスピリチュアルをぜーんぜん感じないからさっさと退職してー、占い師はじめたんよ?」
穂乃果「ふぅん…大変だね…」
希「やっぱアキバってええなあ。スピリチュアルな気ぃがギョーサン集まってくるわ。おかげさまで占いがよく中るわー」
希「しかもや!高校まで見えなくなってた神さんが、占いやるようになってからまた見えるようになったんやで☆のぞみパワー復活や!」
穂乃果「おめでとう…あと声のボリューム落として」
希「だから言えることなんやけど」
穂乃果「…?」
希「穂乃果ちゃんに憑いてたはずの太陽神が離れて迷子さんになってるんや。心当たりないん?」
穂乃果「さあ……太陽神なんて見たことないし」
希「ほんとにぃ?見えへんでも見ようと思えば神さんは応えてくれるんよ~」
穂乃果「ふうん…朝を迎えられれば呼びかけてみるよ」
希「今でええんやで」
穂乃果「いや夜だし…」
希「夜でも太陽さんは地球の反対側におるんやで?無駄じゃないよん♪」
穂乃果「あ、うん、そう……話はおしまい?」
希「うわーん!穂乃果ちゃんが冷たいわー!」
穂乃果「あぁだるい……(希ちゃんが帰ったら薬飲もう…)」
希「くすん、くすん。うち悲しいわぁ」
希「だーれも太陽神さんの方を向いてくれへん!みんな太陽神を背にして蒼白な顔で俯いてるんや!」
穂乃果「誰も…」
穂乃果(それって……穂乃果の夢に見た光景と似てる……)
穂乃果(…あれ……夢の中の私も太陽に背を向けてた…)
穂乃果「……」
希「占いに来るお客さん、どの人も楽しい相談をしてくれへん!あーんもう。絵里ちの言うようにロシアに行こうかなー!」
穂乃果「…誰もが太陽神に背を向けるのはことり政権のせいだ」
穂乃果「ことりちゃんがことうみ税なんて始めたから皆不幸になった…」
希「…」
穂乃果「そしてことりちゃんをそうさせたのは私…」
希「いーや!太陽神さんに向かい合わない理由はそんなんやない!」
穂乃果「違わない…穂乃果だってことうみ税のせいで……こんな薬が無いと満足に動けなくなった」
ごくんっ
穂乃果「うっ、ケホン!ケホン!水…水……蛇口……」グビグビ
穂乃果「う…鉄っぽい…小学校の水道みたいな味…」
希「……占いのお客さんにいつも言ってるんや。独りでいたら来る幸運も来ないって」
穂乃果「……なにが言いたいの」
希「それはスピリチュアルが、神さんの力が人と人の交流によって強まるからや。決して孤独な人間には幸運は訪れない」
希「穂乃果ちゃんは今、独りになってない?」
穂乃果「情けないけど家族に助けてもらってきたから、穂乃果は一人じゃない」
希「……独りになるのってな、とても窮屈なんよ」
希「自分のことしか考えられない。周りのみんなのことを考える余裕が無い。そういうかわいそうな生き方…」
穂乃果「……っ!」
穂乃果(どうして…希ちゃんの言ってることは穂乃果とは関係ないはずなのに、胸が痛くなる)
穂乃果(穂乃果は誰よりも国民のことを考えてる。ことり政権を崩壊させれば全部終わるんだから)
穂乃果(なのに穂乃果は希ちゃんの言葉に惑わされてる…?)
穂乃果(わからない…穂乃果は一人じゃない……独りじゃないよ…ね?)
穂乃果(ね…ね?私は誰に確認してるの?)
穂乃果(…………あれ。いない?)
穂乃果「……ちがう…雪穂がいる…ことうみ税の被害者たちが味方してる…」
希「……その仲に穂乃果ちゃんのやることを知ってる人は誰や」
穂乃果「え…………」
穂乃果(穂乃果のやること、て……えっ…いや、希ちゃんは知らないはず…)
穂乃果(雪穂にも教えてない…だって知られたら絶対に止められる…)
穂乃果(……あ……れ……)
穂乃果(穂乃果は今…………独り?)
穂乃果「ッ…!」
希「…………」
穂乃果「希ちゃん!穂乃果は独りじゃないよね!?」
希「・・・・・・」
穂乃果「答えて!穂乃果のそばには今、希ちゃんがいるでしょ!?」
希「・・・・・・」
穂乃果「ねえ…!黙ってないで何か言ってよ!これじゃまるで!」
穂乃果「穂乃果が孤独みたいじゃん!」
希「・・・・・・・・・・・・」
穂乃果「なんとかいってよ……」
希「…………」
穂乃果「穂乃果の胸ワシワシしていいから……」
希「っ…………」
穂乃果「ねえってば…」
希「……」
穂乃果「…………」
希「……」
穂乃果「……ぐすっ」
希「・・・・・・」
穂乃果「やだよ…独りは嫌……」
希「…………今晩、よう考えとき。自分がどうあるべきか」
穂乃果「うぅ…ぐしゅん…」
希「……ほな、さよなら…」
穂乃果「ひぐっ、えぐっ、…」
穂乃果「ごめんね…ごめんねお婆ちゃん…雪穂…みんな……」
ショルダーバッグ「ドサッ」
包丁「カランッ」
穂乃果「穂乃果……間違ってた……」
希「うちらが本当に進むべき道には穂乃果ちゃんが必要。カードがそう告げとったんや」
雪穂「…………」
雪穂「お姉ちゃん、朝だよ。起きて…」
穂乃果「……………」
雪穂「背中起こすよ」
穂乃果「……ぁ……あさ…?」
雪穂「そう。ほら薬」
穂乃果「…………ごくんっ」
雪穂「……」
雪穂「お姉ちゃんは強いよ」
穂乃果「…………ぇ」
雪穂「廃校寸前で誰もが諦めていたときに希望を作り出した」
雪穂「それが叶ったら今度は自分の夢に突き進んで、ラブライブで優勝した」
雪穂「そしてラブライブのさらなる発展を願って、次の世代に託した」
雪穂「全部、お姉ちゃんが頑張ったから出来たこと」
穂乃果「…………ちがうよ」
雪穂「どうして?」
穂乃果「…」
穂乃果「…穂乃果は独りじゃ何も出来ない」
雪穂「ほんとだよ。お姉ちゃんは危なっかしいったらありゃしない」
穂乃果「……あれ?」
雪穂「ちょっと目を離したらすぐ変なことをしでかす」
穂乃果「あのー…」
雪穂「目標を決めたら突き進むくせに、計画性皆無だからすぐつまずくし」
穂乃果「もしかして穂乃果…バカにされてる?」
雪穂「ほかに何があるの?」
穂乃果「ひ、ひどーい」
雪穂「でもね。そんなお姉ちゃんだから、皆、ついて来たんだと思うよ」
雪穂「お姉ちゃんに可能性を感じる。けれどそれだけじゃない。お姉ちゃんを支えなきゃ、とも感じる」
穂乃果「……買い被りすぎだよ。現に穂乃果は今…引籠りじゃん」
雪穂「それはお姉ちゃんが独りだからだよ」
穂乃果「っ…………」
雪穂「そろそろ薬効いて来たんじゃない?ダメなら私が着替えさせてあげる」
穂乃果「……自分で着替える」
雪穂「あっ、やっぱり私がやる」グイッ
穂乃果「え、大丈夫!ほらこの通り!元気!元気!」
雪穂「だーめっ。見てないとお姉ちゃんは何するかわかんないもん、と!」ズルッ
穂乃果「きゃあ!?もう!替えの下はどこー!///」
穂乃果「うぅ…無理矢理脱がされた…」
雪穂「いまさら何言ってんの。お姉ちゃんが寝たきりのときは全部私が世話してたんだからね?とっくにお姉ちゃんは丸裸だよ」
穂乃果「もうお嫁にいけない……」
雪穂「それより」
雪穂「仕事を再開するなら身体馴らししていこう。最初は家の前の水撒き。よろしく」
穂乃果「はーい…」
穂乃果「はぁ……雪穂には一生頭が上がんないな……」
穂乃果「これからはお姉ちゃんとしてしっかりしないとね…」
穂乃果「……誰かが傍にいてくれるって、こんなに素晴らしいことだったんだ」
穂乃果「よしっ…気合入れて水撒きだ」グッ
ドア「ガララッ」
凛「おはよー!」
花陽「おはよう穂乃果ちゃん」
にこ「おそようよ!しゃきっとしなさい!」
穂乃果「えっ、えっ…」
絵里「午前10時。高校なら2時限目よ」
希「まぁまぁ、大学の1時限と考えればむしろサボってええやん」
絵里「元生徒会副会長の台詞とは思えないわね」
真姫「なにボケーっと口開けてんのよ穂乃果。シャンとしなさい」
穂乃果「りんちゃん…はなよちゃん…にこちゃん…えりちゃん…のぞみちゃん…」
穂乃果「どうして…」
にこ「あんたがいないと始まらないのよ。音ノ木坂学院OB、元μ'sのリーダーにしてラブライブ優勝者、高坂穂乃果」
穂乃果「……?」
絵里「さあ、始めるわよ。作戦会議を!」
凛・花陽・真姫・にこ・希・凛「おーっ!」
穂乃果「作戦って何の……?」
凛「何、てもちろん!」
花陽「穂乃果ちゃんが本当に叶えたい夢を叶えるために!」
真姫「そしてそれは私たちのために!」
にこ「苦しむ誰かのために!」
希「みんなが笑顔になるために!」
絵里「新しいステージに立つ!」
穂乃果「!」
絵里「さあ!あなたが始めたことよ!やり遂げましょう、最後まで!」
穂乃果「わたしが……ハッ」
希「ふふんっ♪」
穂乃果「希ちゃん…!」
穂乃果「……そうだ。私はひとりぼっちじゃない!」
穂乃果「支えてくれる仲間がこんなにいる!」
そういえば希ちゃん。
ん?
クンクン……やっぱり。
なに?
お酒飲んでるって言ってたの、ウソでしょ。
……フフフッ、さあてな?
ごまかさないでよぅ!夜に逢ったときもぜんぜんお酒臭くなかったじゃん!!
気づくの遅いやん♪
もう!騙したなー!
普通なら簡単に気付けるのに気付けないほど、穂乃果ちゃんに余裕が無かったってことやで?
うぅ……いじわる。
ことり「おかしい……いっこうにことうみSSが夢見てる量に届かない……」
秘書「過去一ヶ月の納税状況を参照しますと、納税基準に満たないことうみ税の再納税を請求された背景を持つ滞納者が、じつに4000万人に上ります」
秘書「またことり政権が成立して半年間の間に、記録上の自殺者は5000人に上ります。このペースでいきますと相乗曲線を描き年に10000人は優に超える見込みです。人的資源の損失も大きいかと」
ことり「なに言ってるの?人が足りない?一億人もいるのに?」
ことり「それに人が足りないなら今いる人がたくさん書けばいいだけだよ」
秘書「一般家庭の労働環境についてアンケートを行ったところ、55%が労働時間をことうみSSに回さざるを得ないと回答しています。このことは所得水準のデータからも伺えることで、富の一極集中とは無関係に国民全体の所得が大幅に低下しています」
ことり「でもGDPは安泰でしょ?ことりが首相になる前より良くなったはず」
秘書「いえマイナスに転じています。時期的にもことうみ税の導入が原因でしょう」
ことり「……なに?ことりの責任だと言いたいの?」
秘書「端的にはそのとおりです」
ことり「そんなわけない!」
ことり「どの家を見ても裕福にしてるもん!ことうみSSを納められないはずない!」
秘書「たしかに納められないことはございません。ただし」
ことり「そっか!きっと皆脱税してるにちがいない!」
ことり「ゆるせない!ことりの目を盗んで不当に贅沢するなんて!ありえない!」
ことり「こうなったら国民の財産を全て把握するしかない…」
ことり「そうだよ!それなら不正なんて起きるはずがない!誤ってデータの流出が起きて表沙汰になっても、数人くらい生贄にすればなあなあで済ませられる!」
ことり「ことうみ警察もことうみ公安もことうみSSを積極的に回収してくれる!障害は何もない!」
ことり「すべては海未ちゃんのために!頑張れ、ことり!」
秘書(園田首相の要求通りにことうみ税を納めていたら自殺者は今の比ではないのですが)
秘書(ああ…この人の言ってることは滅茶苦茶です。倫理というものを海の底にでも捨ててしまったのでしょう)
秘書(しかし下手に諌めれば前秘書のように左遷されてしまう。私はことうみSSの納税の義務を回避できる、この特権階級の立場を享受するより選択肢が無い)
ことり「こっとうみ~こっとうみ~♪いけませんか?いけませぇん♡ちゅんちゅん♡」
秘書(この方の目にハイライトが戻るときは二度と訪れないでしょう…)
ことり「う~み~ちゃ~ん♡」
「知らない番号から電話……」
「今忙しいから無視しよっ。明日は未明からホテルを出て追っかけないといけないのに」
「こんなに遅くまで活動してるんだもん。睡眠時間が足りないよ」
「って、あ!カメラが落ちる…!」
カメラ「ドンッ」
スマホ「ガチャッ」
スマホ「あ、あー……テス、テス。きこえますかー?」
「もうっ、出たくなかったのに」
スマホ「アイサツグライシナサイヨ!」
スマホ「はっ!しまった!」
「もう…この喧騒、たぶんパーティー中の学生かな?いたづら電話はやめてほしいな」
「てきとうな理由で切ろう」
「…あれ?そういえばこの人、日本語だったよ?日本人?」
「…懐かしい言語。ちょっとだけ付き合ってあげてもいいかな。私の日本語、忘れてないといいんだけど」
「もしもし?」
スマホ「あ…」
スマホ「あー!」
「きゃっ!?大声で叫ばないでください!切りますよ!」
スマホ「やっぱり…この声…」
「…えっ?あれ?そういえばこの声…」
スマホ「もしかしてあなたは――」
続きはまた明日。
トリップを付けておきます
鳥を忘れてました
15時に再開します
【終章:託す】
穂乃果「本日はカンカンと照らす日の下、お集まりいただき、ありがとうございます!」
穂乃果「本デモの主催者の高坂穂乃果です!」
あの人が伝説のμ'sのリーダー?
わあ…美人……
でもちょっとカリカリじゃね?
スクールアイドル経験者がデモを仕切る時代かよw
今の鳥だってスクールアイドルでしょうが
ほのぱなSS書いてまーす!
ほのまきSS書きたいから二人で絡んでー!
ガンバレ穂乃果ー!
ほのかー!ファイトー!
穂乃果「みんな……ありがとー!!」
穂乃果「みんなの想いは必ず!穂乃果が責任をもってぶつけたいと思います!」
いいぞー!
穂乃果がいれば百人力だー!
A-RISE「本日はお招きに預かりありがとうございます!」
A-RISE「一度は美しい最期を迎えたμ'sが、こうして再び蘇ったことに感動を覚えました」
A-RISE「ワレワレハヒトツ」
絵里≪……出だしは順調、てとこかしら≫
希「うん。これだけの人が集まれば、いくら偏向報道で悪名高いKTUMテレビでも報道しない自由を行使するとは考えづらい」
希(見える…穂乃果ちゃんに纏う太陽神が……よかった…)
凛≪すっごいにゃー!この公園も、その道も、あっちの道も人!人!人!≫
花陽≪うわあ……怖いくらいだね……≫
にこ「怖いわけないでしょ!」
花陽≪ピャァ!≫
凛≪そうにゃそうにゃ≫
真姫「みんな私たちの想いに応えて集まってくれたのよ?そんなこと言ったら失礼よ」
花陽≪そっか…そうだね!≫
希「緊張してるんやったらワシワシするよ~?」
花陽≪え、遠慮します!≫
花陽≪それでも穂乃果ちゃんの一声でこれだけの人が集まってくれるのは不思議な気分がします…≫
雪穂「スクールアイドルを卒業してから数年経っても、これだけの人が応援してくれる。それはきっと、SSのおかげだと思います」
絵里≪間違いなくね。国民の皆がSSを書いてくれるから、私たちの存在が風化することはなかったのよ≫
にこ「二次創作を書かれるということはファンに覚えられているってこと。サブカルの流行りが目まぐるしく変化していく昨今で、これは感謝しきれないわ…」
絵里≪……でも実際、私たちの存在ってこんなに大きかったんだって実感すると≫
真姫「自分に怖くなるわ♪ふふんっ」
――穂乃果復活の日。回想
ことり≪みなさんの納めてくれることうみSSは素晴らしいものばかりです!でも残念なことに税のシステムの都合上、納税したはずなのにしていないことにされてる国民がいることを、ことりは知っています≫
ことり≪国のリーダーとして謝罪させていただきます≫
ことり≪一方で残念ながら脱税や脱ことうみ税、不穏なお金の動きが広まっているのも事実です≫
ことり≪なのでぇ、誰がどんなことうみSSやお金を納めたかわかるような素晴らしいシステムを考えました♪国民一人一人に番号を付けて、その番号で国民の財産と納税状況を照らし合わせれば、冤罪のリスクを避けることができまぁす!≫
ことり『名付けて鳥籠番号制度でぇす♡』
真姫「……つまり国民の財産を徹底的に監視して、あらゆるお金の動きにことうみ税を課す布石を敷くってことよね」
凛「えー!?またことうみ税が上がるのー!?」
真姫「こんなのが施行されれば、国民の生活はことり政権の意のままにされてしまう…」
KTUM放送局会長≪ことり政権がこう言ってることですしねぇ、鳥籠番号を使って受信料をお支払いいただくのも良いかもしれません≫
絵里「ちょっと待ちなさい!鳥籠番号とやらは国が管理するんでしょ?鳥籠番号に紐づけられた個人情報をたかが公共放送局が把握できるの!?」
真姫「ていうか鳥籠番号の個人情報にテレビ所有の有無も付けるつもり?バカ?」
絵里「ガバガバ制度じゃない!?」
にこ「いや……おそらく全国民から分け隔てなく受信料を強制徴収するつもりなんじゃないかしら」
真姫「最悪ね…そんなシステムをことり政権が通したら現代の暴君政治と呼んで差支えないわ」
ことり≪この素晴らしい制度を使えば、消費に掛かることうみ税をもう数パーセント上げても円滑に管理できます!なんと鳥籠番号記載のカードで食品を買うと、国に申請してもらえれば今回上げる分のことうみ税を返還いたしまぁす♡≫
花陽「えっと……」
にこ「買い物に掛かることうみ税がまた上がるってことよ!!」
花陽「ぴゃあ!?」
絵里「しかも食品については申請すればある程度のことうみ税が返ってくる、て言うけど」
にこ「最初から上げんな、つーの!消費に掛ける税を上げるたびに税収が悪化して経済も委縮する、てデータが出てるでしょうが!」
真姫「ことうみ税の上昇につれて患者さんやクライアントの元気が露骨になくなっていってるのよね…」
にこ「しかも結局私たちのことうみ税の負担が結局増えてるじゃない!返してもらわなくていいから書く仕事を増やさないで!」
凛「もうことうみSSは見たくもないにゃー!」
にこ「さらにさらに!そんなややこしい仕組みを作るには費用が掛かるし専用の機械も現場に必須。にこもレジの仕事やってたことあるからわかるけど、余計な仕事増やすんじゃないわよ、ほんと上の人間って現場の下々のことが見れないんだから!」
凛「凛知ってるよ、そういう上から目線な人たちのことを上級国民て言うにゃ」
花陽「よく知ってたね、偉い偉い」ナデナデ
凛「にゃぁん♡」
希「これには裏があるね……」
凛「希ちゃん…それは…」
希「買ったものを申請させるってことは、国民が買う物のデータを集めてることになるやん?」
凛「そんなの集めてどうするの?」
絵里「消費の動向を探ってマーケティングを操作する、とか」
凛「?」
真姫「マーケティング戦略を練るために販売情報を分析することは普通だけど、それが一企業じゃなくて国っていうのが問題よ。私的利用で済む話じゃないわ」
真姫「こういうプライバシーが深く関わってくる情報は倫理的に、個人を特定できないように加工した情報を活用する。統計の基本よ」
真姫「必要なら企業からそういった情報を適切な処理を施した上で買えばいいだけ。国がそんな情報をわざわざ集めるって……はっきり言ってキモいわね」
にこ「アイドルが出したゴミ袋を漁って生活を覗き見する集団ストーカーみたいね…」
凛「国がストーカーってこと…?」
凛「ヒッ…なんだか寒気がしてきたよ……もしかしてこの部屋、国に盗聴されてない?」
真姫「待って凛!そういう風に考えすぎると凛まで統失を患いかねない」
希「凛ちゃんの気分をほぐしてあげる♡わしわしエクストリィィィィム!!」ワシャワシャワシャ
凛「にゃあぁああ!?///」
希「ほれほれ~~~~凛ちゃんは笑ってなきゃダメだよ~~~~~」ワシャワシャワシャ
凛「ひゃ、待って、のぞみちゃ、これ、ヤバ…きゃぁぁぁぁああ!!///」ビクンビクン
希「あら…?」
凛「はぁー…はぁー…テクニシャンにゃあ…///」
花陽「凛ちゃぁん!?」
にこ「あんたナニやってんのよ…」
希「お、おかしいなあ…いつもみたいにじゃれただけなんやけど」
絵里「へー…希って女の子なら誰にでも手を出すのね…」
希「絵里ち!?それは深すぎる誤解や!うちは絵里ち一筋や!」
真姫「単に絵里と付き合うことで希の腕が上がったんじゃないの?」
絵里「なっ、そういうこと言わないでよ!恥ずかしい!///」
希「あー…そういうことやったか。たはは」
にこ「希は凛と、それから花陽に謝りなさい」
希「申し訳ございませんでした」
凛「いいよ……悪気はないんでしょ///」
花陽「あの、希ちゃん。花陽にそのテクニックを教えてください…///」
希「……ふふっ。もちろんや♪」
真姫「…鳥籠番号制度が便利なシステムなのは当然として、便利過ぎるのも問題だわ。もしもことり政権より暴虐な政権が誕生したら、国民の動向は完璧にされて搾取され、もはや他国に占領されるぐらいしか自浄作用の無い国になる」
にこ「便利な道具も使い手次第。そういうことね」
にこ「銃刀類は持ってれば凶悪犯罪者や獰猛な野生動物を撃退する道具になる。核兵器なら持ってるだけで他国の侵略を受けないよう威嚇できる。けれど持ち主が残虐な人ならかえって危険よ。とくに核兵器に至っては世界中で作らない方が平和のためにも良いに決まってるわ」
にこ「銃刀類や爆発物なんて一般人が所有することは著しく制限されているし、作ることも許されない」
にこ「銃刀類や爆発物なら国が規制してくれる。じゃあ国主導の愚策を誰が規制してくれるのかしら?」
真姫「国民ね。しかし国民が抵抗できないほどの圧政を敷かれたら、他国の介入以外救われる方法は有り得ない」
凛「難しいことはよくわかんないけど、便利過ぎるのも良くないってことはわかったよ!」
にこ「はあ……こんな国民を締め上げるだけのバカ制度……最低よ」
凛「そうにゃそうにゃ!不穏なお金の動きってなにさ!前振りでいろいろ言ってたけど全部ウソに違いないにゃ!」
雪穂「んー…」
凛「どうしたの雪穂ちゃん?」
にこ「なによ、言いたいことがあるならどうぞ言って」
雪穂「今インターネットで調べてみた感じ、どうもお金のトラブルが頻発して最近まで放置されてきたのは本当のようです」
雪穂「脱税、生活保護の不正受給、その他いろいろと。もちろん脱ことうみ税も」
絵里「脱税ねえ……」
にこ「生活保護の不正受給なら聞いたことある。にこが子供のころにお母さんがぼやいてたわ。生活保護なんて受けたら恥、だけどこのまま子供四人を満足に養えるかわからないならいっそのこと、てね」
にこ「結局生活保護は受けなかった。にこもバイトをして少しでも家計の足しにした。その苦境を乗り越えてようやくお母さんの仕事での待遇が上がったから、家のお金に余裕が出来たの」
穂乃果「……二人とも立派だね」
にこ「だから生活保護の不正受給なんて許せないわ。これにメスを入れることについては支持するわ」
にこ「でもことり政権のやり方は間違ってる!鳥籠番号制度は絶対支持しない!」
凛「にこちゃんにそんな過去がにゃー……」
にこ「脱税とまではいかなくても、現金でことうみ税の代筆請負なんてのが流行ってた時期もあったわね」
凛「あのサービスは凛も受けようか考えたよ。お金の方が大事だからやめたけど、今のことうみ税の重さならサービス受けてやってもよかったにゃあ……」
真姫「あのサービスは素晴らしかったわ…文字通りお金で時間が買えるんだもの……」
真姫「でもことり政権が圧力をかけてポシャッたのよね…そりゃ作者が同じ団体なら類似のSSで溢れかえるでしょうから、ことりとしては面白くないし潰されて当然でしょうけど」
にこ「代筆の需要が高い、てことは国民はことうみSSを書きたくないって意思表示に等しいわ」
真姫「……正直、脱税したい気持ちはわかるわ…」
凛「ええ!?真姫ちゃん脱税したの!」
真姫「実際にしてないわよ!失礼ねぇ!」
真姫「理解を示してるだけよ。税の使われ方がめちゃくちゃな昨今、払う必要の無さを感じるもの。ことうみ税なんて使途すらろくに明示されていない」
花陽「よかった…真姫ちゃんがズルしたくて言ってるのかも、て花陽は気になっちゃって」
真姫「安心して」
真姫「ただ、ことうみ税で苦しむクライアントを多く見てきたから…」
花陽「……そっか」
希「やっぱ真姫ちゃんは優しいね♪」
真姫「……ばかっ」
絵里「結局、税金やことうみ税の使い道が国民の反感を買うから脱税するのよね。もしもことうみSSが真っ当な使われ方をしていれば、まだ国民は我慢できたでしょうに」
絵里「とはいえ脱税する人の気持ちはわかるけど、みんなは絶対にしちゃダメよ?脱税したら無機質な役人が家に押しかけてくるわ」
穂乃果「ッ!」ビクッ
希「絵里ち!」
絵里「あっ…穂乃果、ごめん」
穂乃果「…ううん。穂乃果はだいじょうぶ」
雪穂「こわくないよ、おちついて?」
穂乃果「ありがとう雪穂…」
雪穂「絵里さん…っ」
絵里「ごめんなさい…」
穂乃果「……みんな凄いや。穂乃果が引籠ってる間に賢くなりすぎだよ。置いて行かれちゃってる気分だ…」
凛「大丈夫!凛はいつまでも穂乃果ちゃんサイドにいるにゃ♪」
穂乃果「ううん、そんなことない」
穂乃果「みんなのやり取りをずっと聴いてた。きちんと理由があって、色々な意見を言ってる。きっとことうみ税が始まってからずっとそうやってきたんでしょ?」
穂乃果「それなのに穂乃果は……情けないな。ことうみ税に堪え切れなくなってベッドで横になってただけ」
真姫「無理もないわよ…親友があんなに変わり果てて苦しめてるんだもの。穂乃果はわるくない」
凛「そうだよ!ことりちゃんが悪いにゃー!ことりちゃんが!穂乃果ちゃんは頑張ったんだよっ」ギュッ
穂乃果「……あったかい」
花陽「お婆ちゃんが亡くなったところにあのことうみ税だもんね……花陽も自分のお婆ちゃんが亡くなったときが怖いよ…」
穂乃果「そう…だよね……」
絵里「どうしても辛くなったら一緒にロシアに行きましょう!」
希「その宣言、何度目や」
絵里「誰でもいいから一緒に来てよ!亜里沙が世界放蕩の旅に出てて実家に帰っても寂しいだけなの!」
凛「亜里沙ちゃんが?なにそれ初耳!」
絵里「日本にいたおかげで異国の文化に触れるのが好きになったみたいで……それは亜里沙の好きにすればいいけど、もう何年も顔を合わせてないのよ~!」
絵里「旅行に行ってからたまに更新してたSNSもここ一年くらい投稿してないし、心配よ…電話も繋がらないし……」
真姫「あの子は好きになったものに真っ直ぐだから、ね?」
絵里「一回くらい実家に顔見せてもいいじゃない…」
凛「絵里ちゃん、亜里沙ちゃんのSNSを見たいからSNSとアカウント教えて!」
絵里「これよ。……ああ…やっぱり更新が無い…プロフに載ってる番号も今は使われてないのよ…」
凛「すごーい!アフリカの黒人女性と写真撮ってる!仲良さそう!」
絵里「そこに私も混ぜて欲しいチカ……」
雪穂「あの妹キャラ全開の亜里沙が絵里さんを放置するなんて……」
希「はいはい、いつかみんなで絵里ちの実家に遊びに行こうなー」
絵里「絶対よ…?」
穂乃果「あはは…」
雪穂「そろそろ薬飲む?気分が元に戻ってきてるよ」
穂乃果「そういえばそうかも……」
雪穂「はい」
穂乃果「ごくんっ……」
にこ「…さっきから聞いてれば何?ロシアに行く?んなわけないでしょ」
絵里「え˝え˝っ」
にこ「引き摺り下ろすのよ!ことうみ税の元凶たることりを!国会議員の座から!」
希「最初っからそのつもりで集まってるんやで」
にこ「集まって早々にやったことと言えば、バカ鳥の新しい愚策について語ることでしょ」
凛「頭の鶏冠を剥ぎ取ってやりたい!凛でもおかしい政策だってわかるよ!」
花陽「あ…あの……」
絵里「アホ鳥ー!酒を満足に飲ませなさーい!」
真姫「ことうみSSに時間を盗らせないで!時間泥棒!」
雪穂「お姉ちゃんを苦しめた罪を償えー!」
穂乃果「……やめて」
にこ「あん?」
穂乃果「ことりちゃんを憎んじゃダメ」
にこ「は?この後に及んで何言ってんのよ?」
穂乃果「気づいたんだ。憎しみに囚われてたら孤独に陥る。周りのことが何も見えなくなるし、支えてくれた人のことも忘れてしまう」
穂乃果「そしたら大きな過ちを犯そうとする自分に気付けなくなる」
にこ「一人ならそうでしょうね」
にこ「でも周りを見なさい!これだけの仲間がいれば何の心配もいらない!」
穂乃果「そうじゃないよ…」
にこ「じゃあどうだって言うのよ?」
穂乃果「数の問題じゃない……とにかく憎しみで動いちゃダメ」
にこ「……あんたねえ?苦しんでるのは穂乃果だけじゃないのよ?親友だったことりを庇いたい気持ちはわかるけど、ことりがどれだけの国民を敵に回してると思ってるのよ。ここに居るみーんな、ことりに愛想尽かしたわ」
花陽「……穂乃果ちゃんに賛成」
にこ「花陽……?」
花陽「ことりちゃんは酷いことをしてきたよ。それでも悪口はダメだと思う。自分まで酷い人になっちゃう気がして…」
花陽「本当のところ、花陽も悪口が頭によぎることはあるよ?でもそんなことを考えちゃう自分が恥ずかしくなるの…」
にこ「ぬぬぬ……」
凛「かよちんは心が真っ白にゃあ……」
雪穂「やば…惚れちゃいそう…///」
絵里「ハラショー…」
穂乃果「花陽ちゃん……」
花陽「あ、あの、でしゃばってごめんなさい!」
凛「いいんだよー、かよちんはそのままで良いんだよー」
花陽「えへへ…」
穂乃果「花陽ちゃんは凄いよ……穂乃果なんて納税したことうみSSにことりちゃんへの憎しみをぶつけてた。とても恥ずかしいことだよ……」
花陽「……でも今はそんなことしない、て言えるならそれで良いんだよ。きっと」
穂乃果「……ありがとう」
真姫「……だけど綺麗事を並べれば良い、てものでもないわ」
真姫「現在この国の環境は明らかに『異常』。『異常』な中で国民が、太平の『普通』の考え方でいるというのは『異常』よ」
真姫「異常時には『普通』でない考え方をするのがむしろ道理なのよ」
凛「異常が普通で異常ふつー……何言ってんの?」
真姫「たとえば笑顔でこっちに手を振る花陽が公園にいるとする。そしたら凛はどうする?」
凛「声をかけて遊びに行くにゃ」
真姫「では花陽の背後に血まみれの女が横たわっていたら?」
花陽「ピャア!?」
真姫「しかもよく見たら花陽は後ろ手に何かを隠しているとしたら……」
凛「かよちん……罪を償ったらまた一緒に笑い合おうにゃ…」
真姫「元はと言えば凛が他の女に優しくするから勘違いさせちゃったのよ……」
凛「本当に罪深いのは凛の方だったにゃ……凛もケジメを付けないと……」
花陽「花陽は絶対そんなことしないよぉ!?」
真姫「……てわけよ?凛は花陽を見かけたら遊びに誘うのが普通、だけど異様な状態の花陽に遭ったら遊びに誘おうなんて考えるはずがないわ」
凛「痛いほど理解したよ…。普通なら憎しみを抱く相手じゃないはずなのに、今が異常だから憎しみを抱くのも仕方ないのにゃ」
希「といってもやっぱり悪口を叫ぶのは品が無い、て話をしたやん?」
にこ「じゃあどうしろっていうのよ。にこの仏の顔の残機はもう無いわよ」
穂乃果「……訴える」
にこ「えっ?」
穂乃果「そうか!訴えるんだ!国民の意見を!」
希「…クスッ」
にこ「訴えるって、まさかことりを裁判にかけるの!?」
穂乃果「違うよ!みんなで集まって大声でことりちゃんに伝えるんだよ!」
凛「それってデモのことかにゃ……」
花陽「ひぇっ……」
穂乃果「あれ……どうしたの?」
にこ「さっきまで憎しみはダメとか言ってたじゃないのよ…」
真姫「ときどきアレの参加者が怪我人としてやって来るわ…」
絵里「気持ち悪い音楽を鳴らして踊ったり、気持ち悪い看板を建てたり、道路に寝そべったり……穂乃果はそんなことする人じゃないと信じてたのに」
雪穂「やめてください!お姉ちゃんは心を病んでるだけなんです!ほらお姉ちゃん、ベッドで休もう?」
穂乃果「え、あれ……?穂乃果、マズいこと言った?」
花陽「だってデモって……」
希「……いいや。穂乃果ちゃんは正しい」
穂乃果「希ちゃん…?」
凛「正しい??」
にこ「どういうことよ」
希「にこっち達の言ってるデモはデモやない、てこと」
穂乃果「デモじゃないデモって?」
希「それはもう罵詈雑言で溢れ返って、喧嘩常套、警察さんとも攻防絶えず、死者も出るという……」
希「その名も暴動や」
穂乃果「うわあ……」
にこ「ウソでしょ?テレビでデモって言ってたわよ?暴動の別の言い方じゃないの?」
希「それこそKTUMテレビ含めた放送局の偏向報道や」
にこ「へ、へえ……」
絵里「やけに詳しいじゃない?」
希「職業柄色んな人と話さなあかんからね。ネットは必須よ」
花陽「じゃ、じゃあ穂乃果ちゃんの言ってるデモは…」
凛「おっきな声で伝えたいことを伝えるだけなの?」
穂乃果「うん、そう言ったつもり」
穂乃果「穂乃果、思ったんだ。ことうみ税の問題を解決するにはことり政権を解散させる方法の他にもあるんじゃないか、て」
にこ「ふーん、つまりことり政権がことうみ税と鳥籠番号制度を見直しさえすれば良いってこと?」
穂乃果「うんっ!」
穂乃果「希ちゃん!デモってどうやればいいか知ってる?!」
希「ネットに載ってるで~」
穂乃果「雪穂!お願い調べて!」
雪穂「えーっと…どれだ……」
希「ふむふむ…そこ。そこのページ」
雪穂「あ、はい」
雪穂「ありました!」
穂乃果「どう!?」
雪穂「…げっ」
凛「雪穂ちゃんの顔が歪んだにゃ…」
花陽「花陽…聴くのが怖い…」
にこ「っ……」
雪穂「…ことうみ警察にデモの許可を取らないといけない」
にこ「ハハハ…ここでもことうみ…」
絵里「もうダメだわ!にこ!のぞみ!ロシアにランナウェイするわよ!」
凛「ずるいにゃ!凛も連れてって!」
花陽「私を置いて行かないでぇ!」
真姫「ちょっと私の病院はどうするのよ!」
希「みんな落ち着いて!!」
凛「だってことうみ警察がことり政権への批判を許すわけないよ!」
希「ことうみ警察は腐っても警察や。規則の範疇で治安を乱すようなことをしなければ、認めてくれると思うんよ」
希「ちなみに暴動はことうみ警察の許可を貰わず、むしろことうみ警察やことうみ機動隊と武力衝突するんよ」
真姫「ああ……それは血みどろにもなるわ…」
穂乃果「……最初はことうみ警察が相手になるってことか」
凛「…前にことうみSSの悪口を言ったらことうみ警察官に睨まれたのを思い出したよ。凛はもうマークされてるに違いないにゃ…おわたにゃ…」
花陽「じゃあ花陽もなのぉ!?」
真姫「はあ…そんなわけないでしょー?不安を煽らないの」
凛「真姫ちゃんがそういうなら安心だね」
真姫「単純で助かったわ…」
凛「えっ」
穂乃果「よし!私たちのやることが決まった!」
絵里「ことり政権にデモを仕掛ける。そのためにはことうみ警察に許可を貰わなきゃいけない」
凛「デモで何を訴えるの?」
穂乃果「ことうみ税と鳥籠番号制度の全面廃止!」
にこ「絶対廃止よ!」
穂乃果「そして、SSに込めた夢を思い出してもらう!」
にこ「夢って誰の?」
穂乃果「ことりちゃん!」
にこ「ことりが?」
花陽「あっ、言ってた……。内閣総理大臣に就いて最初の演説で」
にこ「……ああ。すっかり面影無くなってるけどね」
穂乃果「そう!理由はわからないけど、ことりちゃんはことうみSSを徴収してるから、ことうみSSが国民から嫌われようとしてる」
穂乃果「ことうみSSだってことりちゃんが暴走していなければ、愛されるジャンルの一つ!そうでしょ?」
真姫「違いないわ」
花陽「じつは私、ことうみ税の導入より以前にことりちゃんにことうみSSを渡したの。そのときのことりちゃんは目をキラキラ輝かせて喜んでたな…」
凛「テレビのことりちゃんは死んだ目をしてる…」
絵里「こら凛っ」
凛「ごめんなさい…」
穂乃果「ことうみSSを書くこと、これを国民に無理強いして広めてもことうみSSを愛する人たちは悲しむだけ!」
穂乃果「解ってもらう。SSは人が自由に書くからSSなんだって!」
在りし日のことり『SSは皆に希望をもたらし笑顔にしてあげられる。SSの素晴らしさを世に訴えたい。それが今のことりの夢です』
絵里「……ふぅ。さて、それで?他に質問はある?」
花陽「どれくらいの規模のデモになるのかな…」
真姫「国民の不満は相当溜まってるわ。にも関わらず今日まで暴動じゃなくてデモと呼べるものを聞いたことが無い」
穂乃果「どうしてだろう…?」
希「カリスマ性」
穂乃果「えっ」
希「人を引き付ける魅力。説得力のある実績。安心して身を委ねられる逸材」
希「それらを兼ね備えた人が居らんかった、ちゅうことや」
希「でもそんな氷河期も今日でお終いや」
希「な?」
穂乃果「!」
穂乃果「……うん!」
穂乃果「懐かしいな……穂乃果がスクールアイドルに可能性を感じて、八人が穂乃果を信頼してくれて、μ'sが優勝して、そのあとラブライブのさらなる発展を願って、たくさんの希望あるスクールアイドルたちと路上ライブをした」
穂乃果「あの娘たちはみんなμ'sを信頼してくれていたから集まってくれた」
穂乃果「今の穂乃果は誰かに信頼してもらえる存在なのかわからない。スクールアイドルを辞めて随分立つし、鬱病を患って迷惑をかけてる」
穂乃果「だから私がんばる!絶対にみんなの信頼を得られるデモのリーダーになる!」
花陽「その意気です!」
凛「今の穂乃果ちゃんは輝いてるにゃ!」
にこ「よーやく我らがリーダーの復活ね」
絵里「クスクスッ、ほんとに鬱病かってぐらい元気ね」
希「人脈はうちがいろいろサポートしてあげる」
真姫「そういうことならこの真姫ちゃんもいないとね?学園祭のときみたいに無理して倒れたりしないよう、体調管理してあげる」
穂乃果「ありがとう皆!」
穂乃果「よーし!やるぞー!」
穂乃果「ススメー!」
――回想終了
穂乃果「それでは穂乃果が先導します!列を乱さず、適切な速さでついてきてください!」
穂乃果「何度も言ってすいませんがもう一回だけ言わせてください!このデモはことり政権の政策に反対意見を述べます!決して園田ことり首相を誹謗中傷するようなことはお控えください!」
ザッ ザッ ザッ ザッ ザッ
ザッ ザッ ザッ ザッ ザッ
ザッ ザッ ザッ ザッ ザッ
わんわん!
ザッ ザッ ザッ ザッ ザッ
ザッ ザッ ザッ ザッ ザッ
真姫「穂乃果を先頭に街一つ占拠できる数の群集が、整然と歩いていく……壮観ね」
凛≪うぅ……ここまで本当に長い道のりだったにゃ≫
花陽≪事故が起きませんように……事故が起きませんように……≫
にこ「こちらレジェンド・アイドル。穂乃果の周辺に不審者無し」
絵里≪こちらKKE。後方に不審人物は無し≫
にこ「OK」
花陽≪こちらサンフラワ――≫
凛≪こちらりんぱな!デモ隊半ばに異常無しにゃ≫
花陽≪あーん凛ちゃーん…≫
にこ「コードネームくらい統一しときなさいよ!OK!」
希「そういやにこっち、トランシーバーなんてよく持ってたね?しかも人数分」
花陽≪希ちゃん!イベントのときには遠距離で頻繁に連絡を取り合うからトランシーバーは必需品だよ!≫
雪穂「こちらシスター。SNSや掲示板には不審者は確認されていません」
にこ「OK」
真姫「こちらマッキー。穂乃果の体調に異常はないわ」
にこ「OK!」
にこ「今の穂乃果を止められるのはことり政権とことうみ警察くらいしか無いわ!その他の変質者が穂乃果に接触を試みるなら、その前に私たちが相手になる!」
にこ「私たち自称トラブルバスターの名に恥じないように!」
穂乃果「ことうみ税を廃止せよー!」
ことうみ税を廃止せよー!
穂乃果「ことうみSSを国民の自由に書かせよー!」
ことうみSSを国民の自由に書かせよー!
穂乃果「鳥籠番号制度には絶対反対だー!」
鳥籠番号制度には絶対反対だー!
そうだー!
穂乃果「園田首相は国民の声に耳を傾けよー!」
国民の声に耳を傾けよー!
凛「動画で見た不審者は怖かったにゃー……」
花陽「怖かったよぉ…出鱈目なことを信じ切ってデモ隊に絡み続けてたね…」
凛「もしあんな人が本当に来ちゃったら…」
花陽「ピァッ…!」
真姫≪そのときはことうみ警察が止めに来てるはずよ≫
花陽「はぁー良かったー……」
希「…………」
希(ここまでは全て順調。この後は穂乃果ちゃんがことうみ警察指導の下、首相官邸周辺を人間の鎖で包囲して代表者として訴える)
希(ことりちゃんがどう出るか、あるいは出てこないか。そこは穂乃果ちゃんの挑発に掛かってる)
希(でも……まだや。仮にデモが成功したとしても課題がある)
希(ことりちゃんが穂乃果ちゃんの演説を聴いても改心せん場合……。穂乃果ちゃんはあくまでことりちゃんの良心に訴えかける。もしも穂乃果ちゃんの思う以上にことりちゃんの意志が固かったら……)
希(あぁ……こんなときに彼女がいてくれたら……)
希「……」チラッ
雪穂「…」チラッ
希「……」(携帯電話を指さす
雪穂「……っ」(首を振る
希「…はぁ」
希(もしも彼女がここにきてくれる奇跡が起きたら……)
――デモ決行日の二日前。回想
穂乃果「ニュースでも新聞でも見たことないんだよねぇ……」
凛「だよねー……」
絵里「なんなのかしらね……あの娘はトップシークレットな存在ってわけでもないでしょうし」
希「きっと国民に動向を知られたくないんやないかなー…」
花陽「え?」
希「彼女はいはばことりちゃんのブレーキ役。ことりちゃんが私欲で暴走しても宥める存在でいた」
希「けれど今はアメリカで何らかの活動をしている。その活動ももうすぐ一年になるけど、どのニュースを見てもその内容まで書いてない」
穂乃果「今のことりちゃんはブレーキが無いからどこまでも突き進むことができる……」
希「突き進む方向が間違ってるとも気づかずにね…」
希「そのブレーキを引かれるとことりちゃんは困るんやないかな。だから報道に圧力を強いて国民に動向を知らせないようにし、万が一でも海未ちゃんにこの国の惨状をチクられないように……」
花陽「なんのためにそんな大胆なことを……」
穂乃果「ことうみSS」
にこ「しかないわよねぇ?」
希「ことり政権がことうみSSの生産に力を入れるようになったのは、彼女の訪米・滞米よりすぐ後」
希「時期的に考えて動機は間違いなく」
真姫「海未が恋しいから」
にこ「にわかには信じがたいけど、それが真実っぽいわね……ことりならいつでも連絡とれるでしょうにどうしてかしら」
絵里「にこ……連絡を取れるだけじゃ寂しいものよ……」
にこ「実に解りやすい例がそこにいたわ…」
絵里「ことりの気持ちを理解できたかもしれないチカ……」
凛「待って?ことりちゃんが海未ちゃんを恋しいのはわかったけど、どうして海未ちゃんにこの国の現状をチクられたくないのにゃ?ていうか早く海未ちゃんに帰ってきてもらえばいいのににゃ」
穂乃果「そういえばそうだ」
絵里「たしか滞米期間は発表されてたんじゃなかったかしら」
雪穂「二年です。偶然見ていたネットニュースに載ってました」
穂乃果「今日まででだいたい一年経ったから、あと一年……」
凛「もう一年もことうみ税に苦しめられたら、凛も真姫ちゃんのカウンセリングに通うはめになるよぅ……」
真姫「下手したら私も潰れるかも……」
凛「えー!?困るよー!」
真姫「カウンセラーだって人の子だもの…クライアントから託される負の感情が大きすぎたら、私の心が潰れるわ…」
にこ「ちょっと真姫ちゃん!私じゃ真姫ちゃんの癒しになれないってわけ!?」
真姫「にこちゃん…」
花陽「三人とも落ち着いてっ」
希「そして海未ちゃんにことうみ税政策をチクられたくない理由は、もう凛ちゃんが答えを言ったようなもんや」
凛「凛が?」
にこ「最初からことうみ税政策は二年掛かり、いいえ海未の滞米期間だけ時間を掛けないと完成しない」
にこ「完成したことうみ税政策で収集したことうみSSを海未にサプライズで披露するつもりなんだわ」
絵里「……凛。この作戦が終わったらロシアに行きましょう」
凛「デモするだけで死んじゃうみたいに言わないでよ!?」
希「みんなわかった?もう一年もことうみ税政策を敷いてたらこの国は間違いなく崩壊する」
希「だから何としても食い止めないとあかん」
花陽「はわわ…このデモがそんなに重大なものになってたなんて…」
穂乃果「でもさ、ことりちゃんのやってることってかわいいと思うんだ」
七人「な……」
雪穂「なに言ってるかわかってるの!?」
穂乃果「もちろん多くの人に迷惑をかけてきてるし、動機もめちゃくちゃだけど」
穂乃果「まるで恋人に渡すプレゼントを一生懸命用意する少女みたいで、ことりちゃんが微笑ましい、そしてちょっぴり羨ましい……」
花陽「…………」
真姫「…………」
絵里「…………」
穂乃果「まあ穂乃果が一人身だからそう思うのかもしれないけどね……アハハ」
花陽「……よかった」
穂乃果「ん?何?」
花陽「ううん、なんでもない♪」
希「ふぅん?」
絵里「…なによ」
希「べつに♪」
真姫「ふんっ///」
にこ「なーに赤くなってんのよ♪」
真姫「ヴェエッ」
雪穂「うーん……」
穂乃果「険しい顔ばっかしてると眉間に皺できちゃうぞー?」
雪穂「皺とか言わないでよ!!」
穂乃果「ヒッ」
雪穂「海未ちゃんに関するニュースを探ってたんだけど、ないね…」
にこ「絆の強さではことりと一、二位を争う穂乃果でさえ連絡が行ってないんだから、捜索はお手上げね」
穂乃果「痛いとこ突かないでよう、気にしてるんだからさ」
穂乃果「あーんもー!どこにいるのさー!」
真姫「雪穂、ちょっとパソコン貸して」
雪穂「あ、はい!」
真姫「もしかしたら…………ビンゴ」
雪穂「え?」
真姫「海未の滞米の早期にアメリカのニュースで、海未のことが少しだけニュースになってたわ」
穂乃果「おおっ!真姫ちゃん天才!?」
真姫「日本のニュースだけ見ても世界のニュースをカバーできないわ。まあアメリカの新聞も読んでる私ですら見逃してたほど、扱いは小さいけど」
希「内容は!?」
真姫「アメリカで剣道の普及に励んでるわ。Kendoを国際競技にすべく活躍する鬼の大和撫子、なんて評されてる」
穂乃果「ほぇー……海未ちゃん凄いや……」
花陽「鬼の……て何をしてるの……」
真姫「そこまでは書いてない」
真姫「これ以外の記事は見つからない。ちょろちょろヒットする書き込みも海未メインのSSの感想やスクールアイドル時代の海未のファンコメントくらいね。海外にも海未の情報の統制を働きかけたのかしら」
にこ「どうにかして海未を拉致ってこれないの?剣道できる場所って限られるっしょ?」
真姫「アメリカがどれだけ広いと思ってんのよ」
にこ「…言ってみただけよ」
希「……残念やけど、海未ちゃんの件はここで行き止まりやね」
雪穂「ですね……画面の見すぎで目がシパシパしてきた……」
穂乃果「っ……なにか……なにか手が……」
――回想終了
希(……。μ'sは9人。誰ひとり欠けても奇跡は起こらない……)
希(それでも諦めなかった穂乃果ちゃんは、最後の博打のカードを見つけた。海未ちゃんをここに連れてくる最後の切り札……)
希(だけれども首相夫人を簡単にどうこうできるはずは……。海未ちゃんがここに来ること自体が奇跡のようなもんや…。)
希(彼女は…奇跡を起こせるんやろか…)
凛「すごーい!首相官邸の周りに人がいっぱい!」
絵里≪これが人間の鎖……!≫
花陽「感慨深いです…!」
にこ「こちらニコニコ。報告を」
絵里≪こちらチカ。異常無しよ≫
真姫≪こちら真センター。穂乃果に疲労の色が見られるけど、それ以外に異常無し≫
にこ「了解。あとセンターはにこよ」
雪穂「こちらスノウ穂ワイト。不審者に関する書き込みは以前ありません」
雪穂「ただデモを巡って熾烈な論争が繰り広げられ、過激な発言が見受けられます。何らかの拍子に殺害予告に発展する可能性も考えられます」
にこ「元μ'sのリーダーであっても身の危険な立ち位置には変わりないか……了解!」
花陽「いよいよ穂乃果ちゃんの演説だね……!」
凛「凛たちも穂乃果ちゃんの隣に並ぶにゃー!」
にこ「いよっしゃー!皆!私たちの奇跡を起こすわよ!」
雪穂「おー!!」
希「…………」
雪穂「希さん!今はお姉ちゃんを応援しましょう!」
凛「そうだよ希ちゃん!うかない顔してても始まらないにゃ!」
花陽「きっと奇跡が起きて海未ちゃんは来てくれるよ!」
希「……そうなるとええな」
穂乃果「園田ことり首相ー!!聞いてますかー!」
穂乃果「官邸の周りにいる人たちは皆、首相のことうみ政策に反対しています!」
そうだー!
全面廃止しろー!
ことうみSSに費やした時間を返せー!
穂乃果「皆はことうみSSを書くことを強いられて、私生活を著しく圧迫されてきました!」
穂乃果「それなのに首相は徴収したことうみSSはおろか、税金も出鱈目な用途に使おうとしていますね!!」
穂乃果「たとえば『国営遊園地ことうみランド』!これはことうみSSから出資して建造されたものです!堕ちたことうみSSへのイメージを回復する戦略だったのでしょうが、この遊園地は閑散とし日々赤字を生み続けています!はっきり言って不要です!」
穂乃果「そのほかにも天下り、役職を増やすだけ増やして国民の税金及びことうみSSをばら撒いていますよね?!国民は知っていますよ!」
穂乃果「このような税の無駄な使い方をしておいて、国民から税を円滑に回収するシステム、つまり鳥籠番号制度を作るというのは、順番がおかしいと思います!」
穂乃果「税の無駄な使用を徹底的になくすことが先でしょう!そうでなければ国民は納税に納得しません!」
穂乃果「しかも鳥籠番号制度が導入されて数日で汚職や情報流出の問題が起きています!これこそこの制度の欠陥を体現しているでしょう!」
穂乃果「このような政策は果たして国民の生活を考慮してのことでしょうか?!していないでしょう!」
穂乃果「首相はこのまま国民の怒りを買い続けて良いのですか?!」
ことうみ税をやめろー!
ことうみSS好きだったのに嫌いになったぞー!
廃止しろー!誰も支持しないぞー!
花陽≪た、たったた、たたたたた≫
凛≪にこちゃん!不審者たちが来たにゃ!≫
花陽≪ダレカタスケテー!≫
穂乃果「!!」
にこ「りんぱな班!詳細を!」
花陽≪街宣車です!拡声器から野太い男性の声がガンガン鳴ってます!≫
凛≪広告、て何を売る広告なのかにゃ?喧嘩?≫
にこ「あーよく聞こえるわ!あんたたちじゃ対抗できないでしょうから静観しときなさい!」
凛≪えー!?凛たち何のためにいるのさ!≫
にこ「そいつらは暴徒の仲間よ!あんた死にたいの!?」
凛≪うっ……≫
花陽≪あっ、でもデモ隊の方々が!≫
≪街宣車は帰れー!≫
≪ジャマすんなー!≫
にこ「……素晴らしい仲間ね」
凛≪やっぱり凛たちも叫んでくる!みんなでやれば怖くないよ!≫
花陽≪……凛ちゃんがやるなら花陽も!≫
凛≪街宣車は帰ってラーメンでも啜るにゃー!≫
花陽≪へ、平和的に抗議してくださーい!≫
凛≪……お、帰っていくよ≫
花陽≪よかったぁ……≫
にこ「おつかれさま」
穂乃果「良かった…二人とも無事だ」
穂乃果「えー、ことり政権はー!」
穂乃果「…げほっ、ごほっ」
真姫「!」
穂乃果(喉が……そりゃそうか。お店の仕事サボってたからなあ……直前になって発声練習しても間に合わないか…)
――官邸内
ことり「へぇ……本当に穂乃果ちゃんがデモ隊のリーダーなんだ」
秘書「書類に偽りがあれば直ちにことうみ警察が撤収を呼びかけるでしょう」
ことり「ふふっ……必死な顔しちゃって…幾つになっても穂乃果ちゃんはかわいいなあ……」
ことり「海未ちゃんには敵わないけどね」
ことり「もし他の名も知らないリーダーだったらことりはプライベート別荘に籠ってやり過ごすつもりだったよ」
ことり「秘書、穂乃果ちゃんの演説が下火になった辺りで赴きます。それまで私はことうみSSを書いてるので時が来たら呼んでください」
秘書「承知しました」
ことり「ソーシテーワーターシータチハメーグーリーアーウー♪」
秘書(高坂穂乃果……健闘を祈りましょう)
――官邸周辺
穂乃果「ゴクッ…ゴクッ…ぷはぁっ」
真姫「ファイトっ」
穂乃果「ありがとう…」
がんばれー!
いい声してるよー!
穂乃果「多くの国民がことり政権に要求することはー!ことり政権の退陣ですがー!」
穂乃果「最大の目的はことり政権が掲げる経済政策や鳥籠番号制度を全面的に見直すことです!」
穂乃果「もしことり政権がこの一点を約束するのであれば!国民はことり政権への評価を保留するでしょう!」
穂乃果「ことり首相!どうかあなたに良心が残っているのでしたら、国民の意見に耳を傾けてはどうでしょうか?!」
凛「聴いてくださーい!」
花陽「お願いしまーす!」
そうだー!そうだー!
国民の声を聴けー!
りんぱなファイトー!
穂乃果「はぁ……はぁ……」
真姫「……依然としてことり側はアクション起こさないわね」
凛「じつは首相官邸に居ない、てオチはないかにゃ?」
絵里≪それはないわ。官邸を出入りする人を朝からチェックしてきたけど、ことりはその中にいなかった≫
穂乃果「っ…………」
おい、誰か出てきたぞ
ありゃSPだ!てことは!
後ろにいたぞ!首相だ!
穂乃果「!」
花陽「あ……ことりちゃん……」
雪穂「ことりちゃん…っ」
ことり「はあい♪鳥籠番号XXXXXXXXXXXXの高坂穂乃果さん♪」
穂乃果「ヒッ……!」
ことり「鳥籠番号XXXXXXXXXXXXの高坂穂乃果さんは滞納が無い模範的国民です♪」
穂乃果「ヤメテ……番号で呼ばないで…怖いの……」
ことり「鳥籠番号XXXXXXXXXXXXの高坂穂乃果さんが納めてくれたXXXXXXXXXXXってことうみSSは美味しかったよ~。未来人のことりを十代の色欲旺盛な海未ちゃんが蹂躙してくれて、ことり火照っちゃった♪」
穂乃果「ア…イヤぁ……」
雪穂「お姉ちゃん!しっかりして!」
希「ことりちゃん!それは秘匿情報やろ!?」
絵里「やっぱりとんでもない制度だわ…っ!」
おいおい、マジで鳥籠番号は納税したSSまで紐づけされんのかよ
穂乃果ちゃんのSS読みたい
おまいらの性癖が丸裸じゃねえか
ふざけんじゃないわよ!
国民はおまえの家畜じゃねーんだぞー!
穂乃果「……だい、じょうぶ」
雪穂「お姉ちゃんを苦しめるな…っ!!」
ことり「事実を言っただけだよ?♪」
ことり「お久しぶりだね、μ'sの皆」
ことり「あいにく執務が忙しくてお菓子を焼く暇もなかったの。ごめんね?」
穂乃果「茶化さないで!!こっちに来て話し合おう!来ないなら穂乃果だけでもそっちに行く!」
ことうみSP「ぬんっ」
穂乃果「っ!」
ことり「あはは♪ことりに近づいたらSPさんに体力使わされるだけだよ?海未ちゃんが直々に選んでくれた自慢のSPさん♪」
穂乃果「ことりちゃん……」
雪穂「あなたはって人は……!!」
凛「目が死んでるにゃ……」
やっぱり話が通じる相手じゃなかったんだ!
正真正銘の畜生鳥だ!
鳥頭!
焼き鳥にしてやれ!
穂乃果「みんな止めてー!!ことりちゃんの悪口を言わないで!!」
凛「っ」
…………
………
…………っ
穂乃果ごほっ…げふっ……ゴクゴク…」
ことり「へぇ?優しいところも相変わらずだね」
穂乃果「…ことり首相……ことうみSSはどれだけ集まりましたか」
ことり「それは言えないよ。やがて訪れる予算委員会のときにことうみSSは本格的に運用されるでしょう、とは言える」
穂乃果「ことり首相…ううん、ことりちゃんにとってことうみSSはお金と変わらないものなの?」
ことり「ことうみSSはお金と同等に大切なものだよ」
凛「ほかのカップリングSSと随分扱いが違うにゃー…」
花陽「凛ちゃん!」
凛「えっ…」
ことり「ふぅーん?そっかぁ、ほかのカップリングSSでも納税できるようにすればいいの?」
凛「あ、え、えと…」
真姫「そういう話じゃないわよ!!」
ことり「違うらしいよ凛ちゃん?デモ隊の中で話を纏めておいて欲しかったなー」
凛「ごめんね…」
にこ「よしよし、次からは慎重に発言しなさい」ナデナデ
雪穂「ことりちゃん…想定通り図太いッ!」
ことり「でも安心して?あと一年我慢してくれれば翌年からは凛ちゃんの言うように、他のカップリングSSでも納税できるようにするから♪」
真姫「だから…」
穂乃果「ことりちゃん!!」
無理だ…鳥頭には何言ってもダメなんだ……
今日もいい天気ですね……はは……
穂乃果ちゃんでもダメならもう何に縋れば……
希「静かに!静かに!」
穂乃果「ことうみSSを特別扱いするなってことじゃない!SSを、みんなの想いを踏みにじらないで!」
ことり「へぇ……穂乃果ちゃんが言い出したことを叶えてあげたのに、ことりの業績をそういう風にけなすんだぁ……」
穂乃果「違う……私はこんな現実を望んでない!」
ことり「そうでしたっけ?ウフフ」
ことり「SSがネットだけでなく表の世界でも盛り上がること。違わないよ?」
えっ、ことり政権がSSを世に広めるきっかけを作ったのは穂乃果ちゃん!?
やっぱ穂乃果ちゃんすげえ!
でもそのせいで今の惨状が出来上がってるんじゃないか?
それとこれとは別よ
ことうみ税なんてなければSSとは無縁だった俺からすれば、戦犯は穂乃果ちゃんになるんだが
ちょっと穂乃果ちゃんは悪くないでしょ!バカ!
バカはてめえだろ!
やるの?!
あ゛あ゛?
やめろおまえら!
にこ「静粛にして!」
穂乃果「穂乃果はただ、SSを通じてみんなに希望と笑顔を与えたかった」
穂乃果「ことりちゃんだって内閣総理大臣に就任した当時に言ってたでしょ!」
穂乃果「たしかに最初は堅実にSSを国民に広めていってた。それなのにことうみ税を始めてから全てが狂った!」
穂乃果「海未ちゃんが海外で活動するようになった時期から!!」
海未ちゃん、て海未夫人のこと?
そういや海未夫人って今何してんだ?
さあ?
活動ってなにー!穂乃果ちゃーん!
穂乃果「海未ちゃんがいなくて寂しい?」
ことり「っ……」
穂乃果「だったら定期的に帰国してもらえば良かったじゃん!」
ことり「口だけなら簡単に言えるねえ!!」
穂乃果「ッ!!」
ことり「海未ちゃんには海未ちゃんの夢がある!剣道を世界に広めるって夢が!ことりは応援しなきゃいけない!ことりの我が儘でジャマしちゃいけないの!」
ことり「……そうだよ。ことうみ税を始めたのは海未ちゃんのいない生活に安息を求めたから」
ことり「いくらインターネットが発達して声も顔も判っても、やっぱり人肌が恋しいよ」
ことり「でもことりの事情だけでは国は動かせない。ことりだってそれぐらいは解る」
ことり「だから財務省や官僚と協力して、ことうみ税という名目でことうみSSを徴収し金銭と同等に取引できるようにした。お金として使ってもOK、読み物として使ってもOK」
ことり「画期的だと思うんだけど?」
穂乃果「それで不幸になる人が大勢いる、て解ってても…?!」
ことり「不幸な人を零にすることはできないよ。そのことを慮っていたら何も出来ない」
ことり「それよりは不幸な人がその環境を受け入れるように働きかけた方が自然じゃない?」
穂乃果「なっ……」
花陽「ひどい……」
雪穂「あんたねえ!お姉ちゃんがどれだけ苦しんできたか知らないで……!!」
真姫「雪穂!ダメ!」
雪穂「放して!一発叩いてやらなきゃ気が済まない!!」
ことり「これで話はおしまいだね?」
穂乃果「待って…!」
ことり「ではことうみ警察の皆さん、本日のデモは終了ということで」
ことうみ警察「はーいご苦労さまでした。解散、解散」
穂乃果「放して!!ことりちゃんにはまだ話が!」
雪穂「お姉ちゃんに汚い手を出すなー!!」
凛「かよちん!一旦退却するよ!」
花陽「でも…」
「…………」スッ
花陽「え……」
凛「あれ……」
にこ「あ…」
絵里「…まさか!」
穂乃果「ことりちゃんッ!!ことりちゃーんッ!!ことりちゃああああああああ!!」
ことうみ警察「これ以上抵抗するなら公務執行妨害で逮捕する!」
穂乃果「ことりちゃぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああ!!!!!」
雪穂「やめてぇえええええええええええええええええええ!!!!!」
穂乃果「うああぁぁあああぁぁあああああああああああ!!!!うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
「よく頑張りましたね、穂乃果」
穂乃果「……ぇ…?」
雪穂「え…!」
真姫「本当に奇跡が起きた……」
希「ああ……!」
ことうみ警察「なんですかあなたは……て!!」
「…………」スゥッ
ことうみSP「ぬぅんっ」
「雇い主の顔を忘れましたか?」
ことうみSP「!」
「…………」スゥッ
ことり「え…どうしたのSP……ああ…っ!」
ことり「わあ♡どうしてここにいるの♡」
パンッ......
穂乃果「!?」
ことり「・・・・・・え」
海未「あなたは……最ッ低ですッ!!」
パンッ.......
ことり「痛いっ!!」
パンッ.......
ことり「待っ…」
パンッ.......
ことり「どうし…」
パンッ.......
ことり「いくら海未ちゃんでm」
バチンッ.......
ことり「ヒッ…」
パンッ.......
ことり「いひゃぁい…」
パンッ.......
ことり「やめひぇ…ひひゃい…」
パンッ.......
ことり「い゛た゛い゛んだってばあ゛あ゛あ゛」
ガシッ
パンッ.......
ことり「は゛な゛し゛て゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛」
パンッ.......
ことり「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
パンッ.......
ことり「や゛た゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!や゛あ゛!!や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
パンッ.......
パンッ.......
パンッ.......
パンッ.......
雪穂「 」
真姫「………………………」
花陽「怖いよ……」
凛「ことりちゃんの顔……もうパンパンにゃ……」
にこ「ね…ねえ、さすがに止めたほうが」
穂乃果「もうやめて!海未ちゃん!」
希「待って!!」ガシッ
穂乃果「はなして!もうことりちゃんは十分過ぎるくらい叩かれてる!」
希「その判断するのは海未ちゃんや」
穂乃果「でも!」
希「海未ちゃんの顔、見てみ」
穂乃果「え……」
海未「………………グスンッ」
パンッ.......
穂乃果「涙……」
希「怒りに任せて叩いてるわけやないんや」
にこ「でもことりの口から血が零れてるわよ……口の中切ったのよ…やり過ぎじゃ…」
「やっぱりこんなことに……」
花陽「亜里沙ちゃん……!」
凛「本当に来てくれたのにゃ…」
真姫「ああ…やっぱり亜里沙ちゃんが連れてきてくれたのね」
絵里「来るなら連絡する約束でしょう……どうして連絡くれなかったのよ…」
亜里沙「ごめんなさい…携帯はアメリカで海未さんと接触する道中で壊されちゃったし、海未さんの携帯はことりさんの細工でGPS機能や盗聴機能が搭載されてるから持っていけないし」
亜里沙「公衆電話から覚えてる番号に連絡しても、お姉ちゃんも穂乃果さんも雪穂も出てくれなくて……」
絵里「え…あっ、電話帳に登録してる人以外着信拒否にしてるのよ。ごめん…」
凛「デモの告知をしてから大変だったよ。悪戯電話とか無言電話とか脅迫電話とか」
真姫「いったいどうやって特定してくるのかしらね……恐ろしい」
にこ「なんにせよ、よくやったわよ亜里沙ちゃん」
亜里沙「そんなことより海未さんを止めないんですか!?ことりさんを殺しちゃう勢いですよ!」
希「止めちゃダメや……海未ちゃんがことりちゃんを改心させてるところやから…」
亜里沙「っ……」
亜里沙「海未さん……帰国する飛行機の中でこの国の情況を食い入るように聞いていました…」
亜里沙「見る見るうちに顔つきが険しくなって、かと思えば咽び泣いて……どうなぐさめて良いのかわからなかったんです。海未さんのファンなのに何もしてあげられませんでした…」
絵里「……亜里沙はよく頑張ったわ」ギュッ
亜里沙「お姉ちゃん…」
雪穂「亜里沙…おかえり……」
亜里沙「ただいま……ゆきほ。美人になったね…」
雪穂「フッ…亜里沙に言われても嫌味にしか聞こえないよ…」
パンッ
ことり「g………………」
穂乃果「海未ちゃん…………」
ことり「ぃ………ゃ……」
海未「あなたはまだ解らないのですか…このッ!!」グッ
にこ「ちょっ拳は!」
ゴンッ......
ことり「ゲフッ…………」
海未「ッ………………」グッ
穂乃果「だめええええええええ!」ギュッ
海未「穂乃果…ッ」
ことり「ぁ…………ぁ…………」
穂乃果「もう十分だよ!海未ちゃんのそんな苦しそうな顔、見たくない!」
海未「まだですッ…何を反省すれば良いのか理解していません…ッ」
穂乃果「話し合おう?!今度こそ対等に話し合えるから!」
海未「穂乃果の言葉を聴いても悔い改めることはなかったんです!身体で解らせるしかありません!!これは国民のためなのです!」
穂乃果「力で身体を服従させても心までは変えられない!」
ことり「!」
海未「あなたは甘すぎます!」
穂乃果「海未ちゃんが厳しすぎるの!」
海未「国民が受けてきた苦痛がこの程度で済みますか!?愚かな首相の妻として、幼馴染として責任を取らなければいけません!!」
穂乃果「だったら私も責任を取る!私を殴って!!」
海未「あなたは最大の被害者でしょう!鬱病を患うほど苦悩してきたことは亜里沙から聞いています!」
穂乃果「っ…」
ことり「……ごめんなさい」
穂乃果「あ…」
海未「…」
ことり「ごめんなさい……」
ことり「グスッ……ごめんなさい……」
海未「言いなさい!何について謝ってるのですか?!」
ことり「ことりの…わがままで…国民のみんなに…めいわくをかけました……」
海未「……そうです、あなたは国民を巻き添えに私利私欲を働いたのです」
ことり「ごめん…なさい……鳥籠番号制度もことうみ税も廃止します……」
海未「ようやくわかってくれましたね…」
穂乃果「ことりちゃん…!」
花陽「ことりちゃん……!」
凛「やったぁ……!」
うおっしゃー!!
ことうみSSから解放されるー!
海未ちゃんすげー!
自由にSSを書いていいんだねー!?
海未「しかし他にもあるでしょう!?」
穂乃果「え?」
ことり「ほか…に……?」
海未「……はぁ、本当にわかりませんか?」
ことり「ヒッ……」
穂乃果「暴力はやめて!」
海未「わからないのなら教えてあげます」スッ
ことり「ヒィ……」
海未「……」ギュッ
ことり「……うみちゃん?」
海未「遠くに行って欲しくないのでしたら言えば良かったのですよ」
ことり「うみちゃん……でも、うみちゃんの夢が……」
海未「ことりが幸せな夢を見れない夢なんて私の夢じゃありません」
ことり「う…み………」
海未「わがままの使いどころを間違えましたね。次からは気を付けてください?」
ことり「うみちゃん…うみちゃぁん!!」
海未「ことり……愛してますよ…もっと私を求めてください……」
ことり「うみちゃん…うみちゃん…」
海未「はい…これからはいつでもあなたのそばに……」
ことり「う…うわーーーーーーん!あーーーーーーーーーーーーーん!!」
終章はおしまいです。続きは21時頃に。
【エピローグ】
・花陽宅
――【ことうみ税の廃止決定!】 ××新聞 202X年XX月XX日
202X年XX月XX日、園田首相は緊急記者会見を開き、ことうみ税制度並びに鳥籠番号制度の全面的な見直しを表明した。園田首相は記者団に対し「国民の皆様に大変な過ちを犯したことを、ここに謝罪します」と、深々と頭を下げた。
ことうみ税制度は202X年より施行して一年が経っていた。その内容は国民の生存が罰ゲームである、と称されるほどに批判を浴びていたが、園田政権は粛々とことうみ税制度を拡大していった。ことうみSSを金銭に置き換えた場合、この政策による国の財源は潤沢を見せたものの、GDPはその期間中、過去に例を見ない水準で減少し続けた。また諸企業の売上高も大きく減少していた。
XX大学のXX教授はこう語る。「この現象は生産、流通、消費といった経済を回す上で必須な項目や、生殖、生存、逝去といった生物として定められた機序に税を掛けたことで、これらの税に結びつく行為全般が委縮してしまった。ことうみ税政策を罰ゲームと呼称する風潮がありますが、この俗称に込められた意味の通りの結果である。望ましい行為を働けば罰を与えられるならば、望ましい行為を働かなくなるのは至当である」。
また同専門家は鳥籠番号制度の見直しについても述べた。「そもそも個人情報やプライバシーという当たり前の概念を足蹴にするというのは、前例を作ってはいけない。疾しいことが無ければ何を知られても良いわけがない。それなら盗撮や盗聴の何が犯罪なのかわからなくなる。これらは被害者に疾しいことがあるわけでなければ実害があるわけではない。知られたくないから知られたくない、という感性を国民が共有しているから犯罪になる。当然鳥籠番号制度は盗撮や盗聴より踏み込んだ監視制度であるから、国民の反感を買うのは当然である。脱税、種々の社会保障費の不当な享受といった金銭的問題の解決に躍起になった結果、園田政権は当たり前の感性を脱ぎ棄ててしまった」。
なおことうみSSに付加されていた金銭的価値は当分は持続させつつ、随時金銭との交換を各銀行で行っていく模様である。このため国民はことうみSSの廃止に伴う金銭的損失は免れるため、社会の混乱は最小限に抑えられると見られている。
花陽「ほわあ・・・・・・」
凛「本当に終わったんだね……凛、死ななくて良かったにゃ……」
花陽「夢じゃないよね……SSの中でもないよね……」
凛「…………」ムニムニッ (花陽の頬をつねる
花陽「ふぇふぃふぉ…」
凛「久しぶりにかよちんの頬を堪能しようかにゃって。柔らかい」ムニムニッ
花陽「んも~……」
凛「で、どう?」
花陽「え?」
凛「痛かった?夢やSSの中なら痛くないよ?」
花陽「……クスッ」
花陽「あったかかった♪」
凛「うん!」
花陽「だからこれはそのお返しっ」
チュッ
凛「にゃぅん」
花陽「あ、もうかわいい声出しちゃって」
ワシワシ
凛「ひゃぁ!」
花陽「甘えた声出しても今はダメだよ?続きは夜にね……フフッ…」
凛「朝からゾクゾクさせないでよぉ…///」
花陽「クスクス♪」
花陽「昼間は何してよっか……お出かけする?」
凛「家でのんびりしてたいよー……身体の節々が痛む…」
花陽「デモが成功したからって急に街中走り回るから…」
凛「あの喜びを抑え込むには凛の身体は小さすぎる……」
花陽「凛ちゃんを止めようと追いかける身のことも考えて……うぐっ」
花陽「…脚ぃ…痛い…」
凛「……かよちんの脚ならマッサージしてあげるよー」
花陽「うーん…おねがい……」
凛「ふんっ」グッ 花陽「ピャイッ!」
凛「もういっちょ」グッ 花陽「ハァンッ!」
凛「そーれ!」グッ 花陽「ヤァッ…」
凛「ここか!」グッ 花陽「ヒィンッ!」
凛「ふぅ…ベッドの上とは立場が真逆で興奮してくるにゃ…」
花陽「ふつうにマッサージしてよお!」
凛「もうちょっとだけかよちんのかわいい声を聞かせて♪」グッ
花陽「アンッ!」
花陽「あ…そこ、気持ちイイ……」
凛「肩甲骨の辺りが凝ってるにゃ~」
花陽「はふぅ…………」
凛「それっ、それっ」
花陽「……凛ちゃんはこれからどうする?」
凛「家に居たいよー…」
花陽「そうじゃなくて、ことうみ税が廃止されてから」
凛「それなら諦めてたラーメン屋を開きたいな」
凛「いろんなカップ麺の味を参考にして、音ノ木坂の皆に安価なラーメンを提供するの。きっと運動部員は常連になってくれるよ」
花陽「学生さん向けなんだ!良いと思う!凛ちゃんならきっと成功するよ!」
凛「サラリーマン向けにビールと餃子と炒飯も提供するよ」
花陽「……凛ちゃんが頑張るなら、私も頑張らなきゃっ」
花陽「研究室に保管してあるとっておきのお米を農家さんに試供して、同時進行で流通会社に交渉して、会社も建てて…」
凛「かよちんの夢は実現するのに途方もない苦労が掛かりそうにゃ…」
花陽「大丈夫、ことうみ税で忍耐力は鍛えられたと思うし」
花陽「凛ちゃんが傍にいてくれるから♪」
凛「かよちん…応援してるよ!」
花陽「お互い頑張ろう!」
炒飯のお米にかよちんのお米を使ってもいい?
お米の種類が炒飯に合わないから別のにした方がいいよ
そっか…海未ちゃんパパ直伝の炒飯にかよちんのお米を合わせれば最強に見えたのに
…わかった!だったら炒飯用のお米も開発する!
ええ!?これ以上お仕事増やすの?かよちんは休んだほうがいいよー!
ううんっ、大好きなことのためなら何だってできる!
でもー……なら、かよちんの研究を凛に手伝わせて!
それはダメ!
信用無いにゃー!
・穂乃果宅
亜里沙『………………』
UJテレビアナウンサー『――いくら首相の奥さんといっても首相への暴行行為は赦されるものではないと思うのですが』
コメンテーター『法律的にはそうでしょう』
UJテレビアナウンサー『ではやはり園田夫人を犯罪者として祀り上げ、犯罪者の妻である園田首相に退陣を求めるべきということですね!』
コメンテーター『なんとでたらめな誘導でしょう。貴方みたいな人がアナウンサーをなさっているのが不思議で仕方ありません』
UJテレビアナウンサー『…………』
コメンテーター『法律が全てではありません。もしそうであるなら先日のデモを起こす民意が育まれることはなかったでしょう』
コメンテーター『法律は絶対のもので無ければ、国民を束縛するものでもありません。社会を円滑に回すためにあるのです』
UJテレビアナウンサー『し、しかし園田夫人の暴力を見なかったことにするというのは、社会へ暴力を助長することになるのでは!』
コメンテーター『見なかったことになどしていませんよ。見た上で逮捕するべき案件では無い、とことうみ警察は判断したのでしょう。それに国民からの批判もそう目立たないようです』
UJテレビアナウンサー『ありがとうございました、次のコーナーに移りたいと思います』
コメンテーター『おいおい、まだ話は――』
亜里沙「……♪」
穂乃果(お婆ちゃん…)
穂乃果(私、やり遂げたよ)
穂乃果(これからは誰かが亡くなっても、残された人たちの負担にならないよ)
穂乃果(きっとお婆ちゃんのことだから天国に行っても、ことうみ税に苦しむ穂乃果を心配してくれてたんだよね)
穂乃果(もう大丈夫だよ。穂乃果はこのとおり元気になりました)
穂乃果(安らかにお休みなさい)
亜里沙「おはようございます!穂乃果さん!」
穂乃果「亜里沙ちゃんおはよー!早起きだね!」
亜里沙「寝ても覚めても昨日の興奮が冷めません!どうしたらいいのでしょう?!」
穂乃果「んー……じゃ雪穂を起こしてきて!お店の朝仕込みしてもらう!」
亜里沙「それなら亜里沙がやりたいです!やってみたいです!」
穂乃果「おっ、いいの?じゃー早速だけど」
雪穂「こらこらこら!部外者に何させる気なの!」
穂乃果「わっ!なんだ起きてきたの」
亜里沙「おはよう雪穂!」
雪穂「おはよー…もう、亜里沙の話し声が騒がしくて目覚めちゃったよ」
希「若いってええなあ」
亜里沙「おはようございます!希さん!」
穂乃果「希ちゃんと亜里沙ちゃんじゃ3歳しか違わないよ」
希「ヒェッヒェッヒェッ……甘いでえ穂乃果ちゃん。女にとってはその差が重いんやでえ。今は肌がピッチピチでも」
雪穂「朝から憂鬱な話はやめてください!」
亜里沙「?」
穂乃果「?」
雪穂「まったく……。じゃあ絵里さんも起きました?」
希「いや、絵里ちはぐっすり」
穂乃果「絵里ちゃんは眠りが深いみたいだもんね。きっと良い夢見てるよ」
雪穂「ああ…」
雪穂「どうりで絵里さんが私を抱き枕にしてきたから呼んでも叩いても起きないし、力ずくで逃れても起きないはずだ…」
穂乃果「抱き枕…」
亜里沙「ハラショッ」
希「ああ…うちに来ないと思ったら雪穂ちゃんが犠牲になってたんか…」
亜里沙「お姉ちゃん良い香りするでしょ?」
亜里沙「心地よくてそのまま寝ちゃいそうだったよ」
雪穂「まあ、絵里さん美人ですから役得だったと思うことにします」
穂乃果「そうだよ!ずるいよ雪穂!次は私が絵里ちゃんの抱き枕になる!」
雪穂「あ、うん、がんばれ」
希「穂乃果ちゃんはダメや」ピラッ
穂乃果「えっ!?」
希「カードが告げるんや。穂乃果ちゃんがそんなことしたら、ウチが不幸になるってな」
穂乃果「(目がマジだ…なんで…)あ、うん、ごめん」
亜里沙「でも一番の役得は亜里沙かもしれません」
雪穂「なんで?」
亜里沙「だってこんなに綺麗な女性や可愛い女性の寝顔を眺めていられたんだもん♪より取り見取りで亜里沙、手を出さないようにするのが精いっぱいで///」
雪穂「なっ……///」
穂乃果「ちょっと亜里沙ちゃん……?///」
希「う、うちには絵里ちがいるから堪忍な……」
亜里沙「お姉ちゃんから希さんを奪うマネはしませんよ?」
希「ふぅ…」
雪穂「あのね雪穂…うちの国は性に奔放なのは良くないことだから、うちの国にいる間は女性を毒牙に掛けるのやめようね?」
亜里沙「毒蛾?亜里沙は蝶が良い!」
雪穂「蝶?……あー違う違う」
雪穂「要は手を出すなってこと!」
亜里沙「雪穂はイヤ?」
雪穂「イヤっていうか……///」
希「うち…おばさんとおじさんたちのところで穂むらのお手伝いしてくるわ…」
穂乃果「あのね亜里沙ちゃん?うちの国では身体を許す相手は大切な人だけ、ていう風習があるの。オーケー?」
亜里沙「それなら大丈夫です!雪穂も穂乃果さんも大切な人です!」
穂乃果「ま、待って待って!たぶん亜里沙ちゃんの言ってることは別のことだよ…///」
亜里沙「雪穂は中学の頃からずっと、この国に疎い私を支えてくれた大切な人。雪穂と出会わなければ寂しい学生生活だったと思う」
亜里沙「穂乃果さんはμ'sを通して夢を与えてくれましたし、その翌年もスクールアイドルに成りたての私と雪穂と三人でユニットを組んで、いっぱい、いっぱい引っ張ってくれました。穂乃果さんも大切な人です」
亜里沙「それとも亜里沙、『大切』の使い方を間違ってますか?!」
雪穂「いや合ってるよ!だから困ってるんだよ!///」
穂乃果「えっと…えっと…ありがとう///」
雪穂「お姉ちゃん!?///」
穂乃果「あ、ちがう!……と思う」
雪穂「落ち着いて!亜里沙の毒牙に掛かってる!」
亜里沙「クスクスッ、二人とも可愛い」
穂乃果・雪穂「 」キュン
穂乃果「う……雪穂はそれでいいの?」
雪穂「なにがさ…うぅ///」
穂乃果「……一つ聞かせて。亜里沙ちゃんは世界中に彼女がいるんだよね。その人たちも大切な人なんでしょ?」
亜里沙「そんなことないですよ!彼女たちは馬が合ったとか、身体の相性が良さそうだったとか、親切にしてもらったお礼にしてあげたとか、慰めてあげたとか、そういう間柄です」
雪穂「じゃあ海未ちゃんは?!海未ちゃんのファンなんだから絶対そういうことしたいでしょ?!」
亜里沙「…たしかに海未さんも大切な人ですし、身体の関係を求めていました」
亜里沙「でもどうなんでしょう…海未さんのことは憧れていますが、家族になるってイメージがどうしても湧かないです…」
雪穂「ファンの心理ってそういうものなのかな……」
亜里沙「もし亜里沙が他の人と身体のお付き合いするのを、雪穂や穂乃果さんがイヤがるのでしたら、今後一切控えます」
亜里沙「だから雪穂や穂乃果さんは別格です!大好きです!愛してます!」
穂乃果「ど、どど、どうしようゆきほ~~~~~~~~~~~///」
雪穂「ちょっと…こころの準備が………///」
亜里沙「じつは私、この国に定住しようと考えてるんです。海外で色々な人と出逢ってきましたけど、やっぱりμ'sの皆さんや雪穂といるときが一番自然体でいられる気がします」
亜里沙「なのでそのときは雪穂と穂乃果さんの家にお世話になるつもりで荷物も持っていきます…」
穂乃果・雪穂「!?」
亜里沙「もちろん穂むらのお手伝いもします!朝から晩まで働きます!他のこともなんでもします!どうか亜里沙を置いてくれませんか?!」
穂乃果「もう限界だー!///」ギュッ
亜里沙「わひゃぁっ!?」
雪穂「亜里沙のバカ!大好き!///」ギュッ
亜里沙「ひゃぁ!」
穂乃果「いいんだよね!?亜里沙ちゃんのこと好きになって良いんだよね!?」
雪穂「いまさら冗談とか言わないでよ!?」
亜里沙「本気ですっ♪」
チュッ チュッ
亜里沙「ね?」
雪穂「わ、わあ!わあ!わーーー!///」
穂乃果「ひゃあ…胸のドキドキが止まらないよぉ…///」
亜里沙「うぶな二人も魅力的です」
穂乃果「ね…もう一回キスしよ…」
亜里沙「ハマっちゃいました?♪」
チュッ
穂乃果「すごい…なにこれ止まらない…」
チュッ
チュッ
雪穂「お姉ちゃんばっかりズルい!」
穂乃果「ちょっと待って!もう少しだけ!」
亜里沙「フフン……じゃあもっと特別なキスをしますので、それで交代してください」
穂乃果「特別ってンン…!」
亜里沙「ん~っ、ちゅぱっ、ちゅぅ…ぴちゃっ、ちゅぷっ…ぴちゃぴちゃ…ぷはっ…ちゅぅ…」
穂乃果「ん…んぁ…、あ…はぁ…んん、…ぴちゃっ…はぁはぁ…ン…ちゅぷっ、あん……」
亜里沙「ぷふぅ…最初だから力抜いてください……ちゅぅ…」
穂乃果「ん…ぴちゃん、ぴちゃ…ぴちゅ…、は……ぁ…ゃ…ぴちゃぴちゃ……」
雪穂「わ…でぃーぷきす…わあ…こんなことを私も亜里沙と……///」
希(穂むらのカウンターで何やってんや…)
希(告白タイムが終わる頃合いを見計らって戻ってきたら、すでに前戯が始まってた……)
希(穂乃雪亜里……まさかこんなカップリングが実現するとは)
希(書いた人はおるんやろか…)
希(数年の間にずいぶんとアクティブになったなあ、亜里沙ちゃん)
希(昨日のデモが成功に終わったのは亜里沙ちゃんの行動力のおかげやし)
――回想、デモ二日前
絵里「じゃあそろそろ一旦休憩にしましょう。どこかでお昼ご飯を済ませて、そのあとデモの最終確認に入るわ」
希「いよいよ明後日やね……」
雪穂「あ、お昼ご飯ならうちで食べません?お姉ちゃんの復活記念も兼ねて」
穂乃果ママ「まかせてっ」
凛「よろしくお願いするにゃー!」
花陽「……海未ちゃん…もう一年も海未ちゃんの声を聞いてないんだなあ…」
絵里「ここに居る誰もが海未を求めてる、て教えてあげたら羞恥心で燃えるんじゃないかしら」
真姫「結局私の知る限り、海未は注目を浴びることに慣れなかったわ」
穂乃果「そうそう。ライブや剣道の試合なら元気なのにね」
希「日本にいたころはマスコミの目も積極的に避けてたよね」
絵里「案外海未のニュースが世間に流れないのは海未の人見知りのせいだったりしてね」
穂乃果「どんだけ逃げ隠れ上手なのさ!」
花陽「その事情だけだとちょっと無理があるよ…」
真姫「いくら海未でも単独でインターネットの情報封鎖なんて出来っこないしね」
にこ「わかんないわよー?海未なら書き込み一つ一つに鬼になって削除要請しかねないわ!」
穂乃果「あ、わかるわかる!」
凛「ほんとにやりかねないよ…」
凛「凛が二年生の頃に、海未ちゃんが変顔してるところをSSのネタにしたくてこっそり撮影してたのがバレたの。そしたら漏らしちゃいそうなくらい怖い形相でデータを消させられたにゃ……」
にこ「うわぁ……ご愁傷様」
花陽「それは凛ちゃんがわるいよお」
真姫「ファンクラブまである人気を誇ってたくせに撮影禁止を徹底してたわね……」
穂乃果「真姫ちゃんはいっぱい撮らせてあげてたよね」
真姫「アッタリマエデショー?有名税よ有名税」
絵里「こうしてみると海未って、いつまでも変わらないわねー」
穂乃果「ほんとだっ。クスクス」
穂乃果「……待って!!もしかしたら!」
七人「えっ?」
穂乃果「……ファンクラブ」
凛「んっ?」
穂乃果「そうだよ!ファンクラブがあるじゃん!」
穂乃果「雪穂!パソコン貸して!」
雪穂「うぇえ……お姉ちゃんは休めるときに休んだほうがいいよ…そろそろ薬切れるんじゃない?」
穂乃果「もしかしたらそこに海未ちゃんを見つける手掛かりがあるかもしれない!」
希「!」
雪穂「ほんと!?」
絵里「……良い顔してるわ」
真姫「ファンクラブなんて見てどうすんのよ。スクールアイドルの海未の情報から今の居場所を割り出せるわけないでしょ」
穂乃果「海未ちゃんのファンクラブって、スクールアイドルの海未ちゃんだけが好きなのかな?」
真姫「なっ……そういうことね」
凛「ファンの中に今の海未ちゃんが好きって人がいるかもしれないってこと?」
にこ「今のって言うけどアンタ。今の海未の情報を知らなきゃファン活動のしようがないじゃない。そんな情報があったら私たちが集めてるわよ」
穂乃果「そうだよ!それなのに今の海未ちゃんが好きでファン活動してる人がいたら!」
にこ「!」
花陽「…そっか!その人がもしかしたら海未ちゃんの居場所を知ってるかも…!」
穂乃果「よーっし!調べるぞー!」
カタカタカタカタカタ
カチッ
カタカタカタ
穂乃果「…………ふぅ」
花陽「どう…?」
穂乃果「穂乃果が英語なんてわかるわけなかったや」
花陽「ええええええええええええええええ」
にこ「期待させんじゃないわよ!」
真姫「こんなことだろうと思ってたわ。貸して」
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ
凛「凄い勢いでページが移動してる……」
真姫「ふむ。たしかに首相夫人になった海未を持て囃すサークルがあるわ。巧妙なことに海未を『Makemichan』って暗号に変換して会話してる」
穂乃果「よしっ!」
真姫「ただ直接的な答えは無かった。どうやらファンの間でも海未の居場所については一部の人しか知らされないトップシークレット情報として扱いしてるように感じる」
真姫「でも、ファン同士のやり取りの中で海未の居場所を知ってる素振りをするアカウントを二十数個見つけたわ」
絵里「信憑性に欠けるわね…その人を信用していい保証はない」
真姫「その中からさらに信憑性の高いものを博識さ・人格・正確さから選別すると、ただ一つのアカウントが上がるわ」
絵里「なによもう、引っ張ったわね~」
真姫「ふふんっ、ちょっとぐらいかっこつけても良いじゃない」
凛「レ、レベルが高いにゃ……」
穂乃果「凄いよ真姫ちゃん!」
真姫「ふんっ♪それで、このアカウントの主はてきとうな偽名を名乗ってるから、書き込みから人物像を推測してみたのだけど」
真姫「もしかしたら話をすぐに解ってくれる女性かもしれない」
凛「そこまでわかるの!?」
真姫「穂乃果、このアカウントのプロフィールに載ってる番号に電話してくれる?」
穂乃果「え、ええ!?ムリムリ!英語ムリ!」
真姫「デモのリーダーである貴女が頭下げないつもり?」
穂乃果「そういう問題じゃなくてぇ!」
真姫「大丈夫よ。日本語は通じるわよ」
穂乃果「……ほんとう?」
真姫「信じなさいよ」
穂乃果「うぅ…真姫ちゃんの鬼……えーと番号は…」
凛「真姫ちゃん頭良すぎにゃー」
真姫「あくまで推測よ、推測。このアカウントはファンクラブのリーダーポジションにいるみたい。それほどの大ファンにしたって奇妙なところがある。異様に黎明期のμ'sについて熱心に語ってるのよ」
真姫「μ'sが穂乃果・ことり・海未の頃からのことを詳細に知っているわ」
絵里「へえ……そんな人が海外にいたのね」
希「もしかしてそのアカウントって!」
絵里「うひゃっ…突然なによ大声で!」
真姫「そう、そんな熱心なμ'sのファンかつ海未の大ファンときたら?」
にこ「…ちょっ、マジで?」
花陽「ああ…!」
雪穂「そうか……良かったですね絵里さん!」
絵里「だから何がよ!」
凛「そのアカウント見せて!見せて!」
真姫「静かにしなさいっ。電話掛けてるでしょ」
凛「穂乃果ちゃんは隅の方にいるから大丈夫!」
絵里「ちょっと何なの!みんなして絵里チカをスルーなの!?」
真姫「絵里も黙ってて!」
穂乃果「あ、あー……テス、テス。きこえますかー?」
真姫「挨拶ぐらいしなさいよ!」
穂乃果「はっ!しまった!」
凛「穂乃果ちゃん!ロシア語だよ!ロシア語!」
穂乃果「ロシア語?!ハローしかわかんないよ!」
真姫「んなわけないでしょお!?使ってたことあるでしょうが!」
絵里「ロシア語なら任せるチカ!ありょー!」
凛「あいよー!」
花陽「凛ちゃんは黙ってて!」
凛「うわーん!かよちんがこわいー!」
穂乃果「ロシア語であいさつ…ロシア語で…」
「もしもし?」
穂乃果「あ…」
穂乃果「あー!」
「きゃっ!?大声で叫ばないでください!切りますよ!」
穂乃果「やっぱり…この声…」
「…えっ?あれ?そういえばこの声…」
穂乃果「もしかしてあなたは…亜里沙ちゃん?」
亜里沙「ハラショッ!!穂乃果さんですね?!お久しぶりです!どうしたんですか!?」
穂乃果「亜里沙ちゃ~ん!!えっ何で!?世界せますぎない!?」
亜里沙「世界は広いですよ!海未さんは全世界を魅了する大和撫子です!」
絵里「えっ亜里沙!?電話の相手って亜里沙なの!?」ピポパ
亜里沙「あれ、今度は知らない番号から着信だ」
穂乃果「えっ」
希「絵里ちはジャマせんといてなー」(携帯を取り上げながら
絵里「あぁん亜里沙ぁ…」
真姫「あとで好きなだけ姉妹水入らずの時間にしてあげるわよ」
花陽「亜里沙ちゃん…今でも海未ちゃんの大ファンなんだね」
穂乃果「へー!台湾ってやっぱ日本語を話す人多いんだー!」
亜里沙「そうなんです!わたし見た目がロシア人だから、初対面の人からは英語で話しかけられることが多いんですが、亜里沙が日本語を話しだしたら豆鉄砲に撃たれた顔をして、にこにこの笑顔に流暢な日本語で話してくれるんですよ!」
穂乃果「へー!へー!日本語が通じるなら行ってみようかなー、台湾!」
真姫「あなたは話を脱線しない!!」
穂乃果「ヒャイッ!!」
亜里沙「どうしました?」
穂乃果「…あの、亜里沙ちゃん。折り入って聞きたいことがあるんだけど」
亜里沙「なんですか、クスクス。穂乃果さんが畏まるなんてらしくありませんよ?」
穂乃果「そ、そう?じゃあ…」
穂乃果「海未ちゃんの居場所を知ってる?」
亜里沙「もちろんです!一年ほど前に訪米してるとニュースを見てから、亜里沙は再び海未さんの追っかけを始めたんです!Kendoの海未さんはスクールアイドルの海未さんとはまた違った美しさを持ち合わせています!」
穂乃果「そっか…海未ちゃんは元気にしてるんだね」
亜里沙「…?」
亜里沙「はい!海未さんは鬼のような迫力と大和撫子の美貌を讃えて『鬼神萌え』なんて呼ばれることもあるんですよ!」
穂乃果「…海未ちゃんの様子を穂乃果も見てみたいな。写真か動画で送れない?」
亜里沙「そ…それは……」
穂乃果「あ、ごめん。ファンクラブの会員しかダメとか、そういう感じ?」
亜里沙「いえ…じつはですね」
亜里沙「事情はわかりませんが、海未さんの活動はアメリカ政府によって一般人には秘匿されています。だから本来は海未さんの剣道をしている様子を一般人が見ることは叶わないんです」
穂乃果「……だから海未ちゃんの情報が全然無いんだね」
亜里沙「ですが亜里沙なら人脈と盗撮技術があります。大っぴらにしないことを条件に偉い人から撮影を黙認してもらっているんです」
穂乃果「人脈…盗撮技術……たくましくなったね亜里沙ちゃん…」
凛「物騒な言葉が聞こえたよ……」
花陽「亜里沙ちゃん…強くなったね…」
絵里「お姉ちゃんは亜里沙の将来が不安になってきたわよ……」
亜里沙「なのでどうしても海未さんの写真や動画を送ることはできないです。でももしも亜里沙が日本に戻る機会があれば、直接穂乃果さんにお見せします!」
穂乃果「いいの?ありがとう!」
亜里沙「ところで海未さんの居場所を知ってどうするんですか?」
穂乃果「あ…うん……それなんだけど」
穂乃果「もしかしたら海未ちゃんをこっちに呼び戻せないかなー、なんて考えてたんだけど、連絡はつかないし、その様子だと海未ちゃんの周りは凄く厳重なセキュリティに阻まれてそうだし、迎えに行くのも無理だなー」
亜里沙「…ちょっとごめんなさい。穂乃果さんの方が亜里沙より仲が良いですし連絡を取りやすそうに思うけど、ダメなんですか?」
穂乃果「うぅ…皆にも言われたよ……穂乃果が連絡取れないなら他の人にも無理だって………」
真姫「ちょっと穂乃果!急ぎの用なのよ!要件は単刀直入に!」
穂乃果「ひゃいっ!」
亜里沙「……どうやら海未さんを遊びに誘う様子ではないですね。一体何があるんですか?」
真姫「ちょっと穂乃果!急ぎの用なのよ!要件は単刀直入に!」
穂乃果「ひゃいっ!」
亜里沙「……どうやら海未さんを遊びに誘う様子ではないですね。一体何があるんですか?」
穂乃果「亜里沙ちゃんはうちの国のニュースを見てる?」
亜里沙「はいっ。ことりさんがSSを文化にしようと色々がんばってるんですよね!じつは亜里沙もゆきありSSを日本語でアップしました!あ、雪穂には内緒でお願いします、えへへ」
穂乃果「ゆきありかーイイネー」
雪穂「え、ゆきあり!?///」
亜里沙「穂乃果さぁん!///」
穂乃果「あっ、ごめん!」
絵里「ゆきあり……アリね」
雪穂「えっ!?///」
穂乃果「なんでもないよ雪穂!なんでもない!」
雪穂「いやいやいやいや!!ちょっと詳しく!」
穂乃果「亜里沙ちゃん、じつはうちの国はことりちゃんが原因で大変なことになってて!」
雪穂「あーーーーーー気になるーーーーーー!!」
かくかくしかじか
ハラハラショーッ
亜里沙「SSは書き手の自由に書くべきです!失望しました!ことりさんのファン辞めます!」
穂乃果「わー!待って待って!ことりちゃんに失望するの待った!」
亜里沙「なぜですか!ことりさんは海未さんがアメリカに行っている間に権力を振るって穂乃果さんたちを苦しめているんでしょう!少しずれてるけど優しくて美人なお姉さんだったことりさんはもういません!」
亜里沙「しかもデモの計画を練ってる間に施行されたなんて!」
穂乃果「だから穂乃果たちが訴えるつもりなんだ。ことりちゃんは間違ってるって」
穂乃果「もしことりちゃんが私たちの想いを受け止めてくれたら、きっと元の優しいことりちゃんに戻ってくれる、て信じてる」
亜里沙「……穂乃果さんがそう言うのでしたら」
穂乃果「それでね、さっきも言ったとおり海未ちゃんへ連絡を取るのは無理なんだ。恐らくことりちゃんが何らかの細工を施してるんだと思う」
亜里沙「……今までの話を総合すると、連絡が取れないから、穂乃果さんたちの中から誰かが直接海未さんのところへ向かう、と言いたいのですか」
穂乃果「あっ…」
穂乃果「ねーねー!誰が海未ちゃんを迎えに行くのー?!」
真姫「まだ決まってないわよ。ていうか迎えに行けるのかもわからない状況だし」
穂乃果「そういや連絡を取るのも難しいのに迎えに行くのはもっと無理じゃない?!」
凛「それもそうにゃ!?」
真姫「あっーそうだったわ…」
亜里沙「……待ってください」
穂乃果「うん?」
亜里沙「その役、この亜里沙に委ねてもらえませんか?」
穂乃果「亜里沙ちゃんがやるの!?」
雪穂「!」
亜里沙「さっきも言いましたが私には人脈があります。それに盗撮技術だけでなくスニーキングやストーキング、ピッキング、最低限の体術も学びました。野良仕事なら楽勝です」
穂乃果「え、え、えーとー…?」
亜里沙「さすがに国家レベルのセキュリティを相手にするのは今回が初めてですが…」
亜里沙「ですから穂乃果さんたちはデモの準備に集中してください」
穂乃果「……つまり、亜里沙ちゃんが海未ちゃんに逢ってきてくれるってこと?」
亜里沙「はい♪」
真姫「!」
穂乃果「…う~~~~、やったー!」
真姫「本当にやってくれるのね!?それならあとで計画の詳細を練ることを伝えて!」
亜里沙「はい!その声は真姫さんですね!お久しぶりです!」
真姫「聞こえたの?久しぶりね……日本語が随分上手になったわね。元気そうでなによりよ」
亜里沙「日本語上手ですか!?ありがとうございます!」
真姫「ところで亜里沙ちゃんの人脈ってどれほどのものなのかしら?ずいぶん自信があるようだから先に聞いておきたいわ。私はどうしても医者の仲間しか作れないのよね」
亜里沙「わ!お医者さんに就けたんですか!おめでとうございます!」
穂乃果「今じゃにこちゃんとラブラブの毎日を過ごしてるよねー?」
真姫「真面目な話してんのよ!黙ってて!」
亜里沙「私は音ノ木坂を卒業してからこの通り海外を放浪して回ってるので、特定の職業の方とはお近づきになれないです…」
亜里沙「でもその分色々な国の女性と裸のお付き合いをしてきたので、広く浅い人脈があります!」
花陽「裸の付き合い!?///」
絵里「ちょっと亜里沙!どういうことよソレ!初耳よ!」
真姫「何妄想癖を拗らせてんのよ二人とも…」
真姫「お風呂とかサウナのことでしょ?仲良いわね」
亜里沙「ヤですよ真姫さん、セッ○スに決まってるじゃないですかー♪」
真姫「ヴェエエエエエエエエエエエエ!?!?!!?!?!?!?!?!?!?!!?!?!?!?!?!?!?!!?!?!?!?!?」
にこ「あんた元スクールアイドルでしょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」
花陽「ピャフンッ! ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■」ドサッ
凛「かよちんが鼻血噴いて倒れた!?」
絵里「アハハ…亜里沙が汚されてた……やっぱり海外になんて行かせるんじゃなかった…」ドサッ
希「絵里ちー!!」
雪穂「亜里沙が…亜里沙が…亜里沙gggggg亜里ggggg亜里沙里沙亜ggggggggggg」
穂乃果「しっsっしsっしっしいいいしっかりしてゆゆうyyyうきほおおおおhhhっほおおほほほほおh」
亜里沙「あ…あのー……どうしたんですか皆さん?」
八人「「「「「「「「 それはこっちのセリフ!!!!!!!! 」」」」」」」」
亜里沙「ハ…ハラショッ……」
絵里「どこで誤ってしまったのかしら……お姉ちゃんの教育が悪いの?悪いのね?ああ今すぐに絞首台に登って罪を償いたい」
雪穂「私も亜里沙の海外放浪について行けばこんな過ちは……」
亜里沙「あのー…最初の滞在国で出逢った女性から、女性同士の友好の証にって教わったんだけど」
亜里沙「亜里沙、間違ってないよね?日本の言葉にも『裸の付き合い』って言葉があるし」
絵里「うわあああああああああああああああああああああああああああ私がしっかり日本語を教えていればああああああああああああああああああああああああああああ」
雪穂「いやああああああああああああああああああああああああああ日本語のバカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」
にこ「日本にそんな習慣あるかあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
穂乃果「日本でそんな経験したことないよねええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ」
亜里沙「えっ、えっ……あっ、無いですね。勘違いしちゃいました♪」
――回想終了
希(結果として亜里沙ちゃん以外の誰かには海未ちゃんとの接触は不可能だった)
希(海未ちゃんと接触するために、ホテルの従業員への変装・暗証番号入力必須のトビラのハッキングは当たり前、アナログなセキュリティは女性従業員を口説き堕落させつつ突破し、仲間のおとりによってアメリカの警備員の目を盗み、同伴のことうみSPを無力化してきた)
希(しかし一人のことうみSPに抵抗され、その拍子に携帯を壊された)
希(ようやく海未ちゃんと接触したら、海未ちゃんがことうみSPに根回しを開始しことりちゃんへの連絡を阻止、あとは外交上根回しの効かないアメリカの警備員に感づかれないよう二人で脱出した)
希(……その恐るべき行動力は亜里沙ちゃんが身体目的の女に海外で騙されたことから生まれたわけやから、一概に賞賛できひんけど…)
希(絵里ちがこの光景を見たらまた発狂しそうやな……溺愛してた亜里沙ちゃんの生エッチシーンは……)
希(って……こ、これは…)
雪穂「はぁ、はぁ、…おねえひゃん上手くなりすぎ…んちゅ…ちゅぱ……」
穂乃果「ゆきほぉ…えろぃ顔してる…ちゅぷっ…ぴちゃ…んん…」
雪穂「や…ちょっ休けぇ…ん……ちゅぱっ…ぴちゃ……」
亜里沙「穂乃果さんその調子です!雪穂はもっと舌の力をやわらかく動かして!背中のけぞらないで!」
さわさわ
雪穂「んんっ…!!いま胸はヤバっひゃぁ…///」
雪穂「んちゅっ…ちゅるっ…ぴちゅっ…ちゅっ……」
亜里沙「穂乃果さん…雪穂…舌を突き出して。私も混ざりたい…♪」
雪穂「んひゅっ!?///」
穂乃果「うん…いいよぉ……♡」
希(ほのあり×ゆき…それとも三人リバ…雪穂ちゃん総受けの方が盛り上がるSSが書けそうやね)
絵里「そんなとこに隠れて何してるの?」
希「うげぇっ!?」
絵里「凄い声出さないでよ…」
希「ちょっと絵里ちはおばさんたちのとこでお手伝いしようや?そうしよう?」
絵里「怪しい……いったい何があるって言う…」
希「覗いちゃあか……」
絵里「の……よ……」
穂乃果「はぁ…はぁ…ぺろぺろ…ぁ…ぺろん♡」
亜里沙「ぺろ…ぺろ…ん♡…ぺろ…ぺろ……♡」
雪穂「ぁぁ…はにこれぇ…ひもちよふひぃ…♡」
穂乃果「はれぇ…?ゆひほぁへんへんうほいてないほぉ♡(雪穂が全然動いてないよ)」
亜里沙「ほうふほはふんらほぉ…ぺろんぺろん♡(こう動かすんだよ)」
雪穂「あぁぁ…ふりぃ……♡(無理)」
絵里「なんだ夢か」
希「これが現実や…」
絵里「亜里沙が……とうとう仲間たちまで汚した……」
希「あの三人な……付き合うことになったで」
絵里「なんだ、ちゃんとした恋人関係なのね。紛らわしい反応しないでよ希」
希「あ、そういう基準?」
絵里「穂乃果や雪穂ちゃんなら安心して亜里沙を預けられるわ」
希「……ようやく妹離れできた、か」
・後日、首相官邸
先日の大規模デモから数日が経った。首相を呑み込まんとする群衆の叫声は無く、電気自動車の微かな往来音が響くだけである。ただしその入り口となる自動ドアは職員の頻繁な出入りにより定期的な開閉音を刻む。常時開閉しておいた方が電気代の節約になるのではないだろうか。
首相官邸内は慌ただしかった。もって十数年は維持すべく準備していた鳥籠番号制度の廃止は、職員に幾重もの後始末を強いた。関係者各位への陳謝、法的手続き、各機関との廃止に向けた連携など、一つの仕事を取っても大量の書類とアポイントメントを要し、職員達はてんやわんやしていた。
職員が汗馬の如く邸内を駆け巡る様子を、警備員は欠伸を隠しながら眺め遣る。インドアの連中には丁度良い運動になるんじゃないか。そんな心中の言葉を別の警備員にアイコンタクトで送る。その別の警備員は徐に制服の前ボタンを外していく。警備員は慌てて首を振った。
首相官邸内部は現首相の趣味により可愛らしい装飾を施されていた。職員のメンタルに配慮し、チーズケーキ風味のアロマや美少女たちの絡み合った絵画など、リラックス効果を期待できる品々が整然と並べられていた。
中でも小鳥のぬいぐるみは女性職員らに人気があり、その彼女らもイノセントな私服や純白のワンピースに身を包み、香水や化粧にも抜かりは無い。これで彼女らが笑顔できゃっきゃうふふと話に花を咲かせれば、あたかも硝子の花園のような美しさもあろう。生憎ながらすっぴんで汗水を撒き散らし眉を顰めながら書類と格闘し続ける様は、枯れ朽ち始めた花のようである。
どの部屋を覗き見ても、かつてマグカップを片手に優雅な態度で仕事の相談をする女性の影は消失していた。
……それは首相の仕事場も同様である。
そこへ至る廊下に足を踏み入れれば、早速とばかりに異音が鳴るのを聞く。馬が鞭打たれる音と表現するのがしっくりくるだろうか。断続的に響く異音は仕事場に近づくほど大きくなっていく。
それとともに異音の中に二人の女の声が混ざっていった。
実際にこの扉の前に立てば、扉の隙間から禍々しい威圧感を感じるのではないだろうか。そして産毛が逆立つのを覚えるのではないだろうか。
なんとも言えない不可視の黒い靄が溢れ出す、扉の向こうでは……。
ことり「もう赦してください……」
園田ことり首相は服を全て剥ぎ取られ、四つん這いの体勢で赦しを乞うていた。両の手首を交差させられた腕を頑丈な紐で拘束され、背中に置くより自由が無かった。その背中も、そしてお尻も紅葉型の腫れが至るところに散在し、小刻みに震えていた。
涙と汗と涎でぐしゃぐしゃな顔は床にキスするより他は無い。著しく体力を奪われた彼女には首を上げ続けることもできない。
そんな惨状を前に冷たく言い捨てる声があった。
海未「一体何度『お仕置き』すれば真面目に仕事をするんですか」
園田海未夫人はあのデモの日以来、首相の仕事から片時も目を離さない。夫人の言い分は単純明快である。首相には夫人が欠かせない存在である。故に首相を『お仕置き』するのだ。今回も首相は夫人の目を盗みことうみSSを書いていたことがバレてしまった。
『お仕置き』の内容は一般常識からはかけ離れている。それはこの二人の様子を見れば明らかである。雅ながら洋風の気品も兼ね備えた美しい着物に身を包む海未夫人と、いたるところを鬱血した肌を晒し続けることり首相。さながら人と家畜である。家畜に服は必要ない。
二人…いや、一人と一匹は、天井まで届く大きな檻の中に入っていた。あたかも人間と家畜の関係を象徴するように。
ことり「それは……」
首相は口を噤む。されど唇から溢れ出す涎はトロリと糸を引いて零れていく。これから先に告げる言葉はきっと、いや間違い無く守られることはない。その言葉はかつて幾度も夫人に誓いを立てる際に告げてきた。その結果が現在であるのだから、初めから首相には改心の余地は無いのである。
海未「それは?」
硝子を切り裂く冷水のような眼差しが、ことり首相の瞳を射抜く。首相の傍に寄れば、否応なく濃密な女の匂いに包まれることになる。しかし海未夫人が冷徹な目尻を解くことはない。
ことり首相が身震いを起こす。自分は一生海未夫人から逃れられない。そんな濃やかな予感にことりの精神は侵食されていた。
海未夫人の眼差しは片時もことり首相の瞳を逃さない。首相の瞳の微振動や身体の呼吸を正確に捉える。瞠目さえことりには赦されない。
首相の顎から涙とも汗とも涎とも見て取れる液体が垂れ落ちていく。
ことり「それは」
とっくの昔にハイライトを失った瞳には、唯一の感情が込められている。いや、瞳だけではない。身体も、侵食され切った精神も、この感情を表現したいと叫ぶ。
胸中に熱いものを感じる。
下腹部に尋常でない熱が籠もる。
両足のむず痒さにぴったりと揃えずにはいられない。
全身の火照りを堪え切れず、無意識のうちに身をくねらせ、お尻を振り始めた。
ことり「海未ちゃんがもっとお仕置きしてくれたらぁ♡もしかしたら…♡」
海未「まだ言いますか!この!この!」
バシンッ! バシンッ!
ことり「ひぃん♡ことりの背中はもう真っ赤だよぉ♡」
海未「そのおバカな声をやめなさい!」
バチンッ!
ことり「あっはぁ…♡」
海未「わかりました!そのたわわな胸にことりの知性が吸い尽くされてしまったんですね!搾り取ってやります!」
ことり「そんなわけ…あん♡」
モミモミモミモミ
クニッ…クニッ
海未「この!この!うらやまけしからん胸を持ってるからこんな破廉恥に育ってしまったんです!」
バシンッ! バシンッ!
グニグニグニ…
ことり「あ…いたぁい…同時攻めはむりぃ…あひゃぁ♡」
海未「なに気持ちよくなってるんですか!だったらこっちです!」
バシンッバシンッ
バシンッバシンッ
ことり「あぁあぁっああああぁぁ♡お尻いたいよぉ!もうやめてぇ♡」
海未「甘えないでください!何ですかこのいやらしい汁は!」ヌチュヌチュ
ことり「はぁぁあっ、あんっあんっ♡だってぇ海未ちゃんのお仕置きが甘いからぁ♡」
海未「あなたは破廉恥です!そんないやらしい人はお尻も前も攻めてあげます!」
バシバシッ
ズッチュ…ズッチュ…
ことり「あひいぃ♡ことり…おかしくなっちゃううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう♡」
海未「この程度のお仕置きで済むと思わないでください!国民を虐げた罪は重いんです!次は指を一本から三本に増やしてあげます!覚悟しなさい!」
バシンッ バシンッ
ズチュッズチュッズチュッ…
ことり「やぁ…はあん!あぁぁ♡うっひぃ♡やんやん♡」
海未「なに気持ち良くなってるんですか!こんなに指を締め付けて!そんなに気持ち良くなりたいですか!」
クリッ…クリクリッ…
ズチュズチュズチュ…
ことり「いやぁぁあっぁああ♡中と、ひゃああん…あっ、クリちゃんを同時にいひぃ!攻めちゃやぁ♡」
海未「いいでしょう!そんなに気持ち良くなりたいのでしたら、お望み通り何度でもイカせてあげます!やめてと言ってもやめませんからね!」
グリグリグリ…グリ…グリグリ…
じゅぷっ、じゅぽっ、ぐちゅっ、じゅぷぷぷ…じゅぽっ…
ことり「あぁあ♡イっちゃうのぉっぉおおおおぉぉっぉぉおおおおぉおおおおおぉおおおおおおおおおおおおぉおぉおぉおぉお♡」
ことり「はひぃ…♡」
じゅぷっ、じゅぷぷ…
ことり「やんっ!♡ことりイったばっかだよぉ♡やめてえ、敏感なのぉ!ごめんなさぁい!♡」
ことり「ああん、ひゃぅ、うみちゃあ!イっちゃううううううううううううううううううううううう」
ことり「はぁ…はぁ…もうゆるしへぇ…ひゃあん!!」
海未「はぁ♡はぁ♡やめませんよ…ことりが反省するまでやめませんからね…♡」
ことり「まってぇ♡気持ち良すぎてぇ♡ことり…おバカになっちゃううううううううううううううううううううううううううううううううううう♡」
秘書(連日連夜とよくやりますね、このお二人は。まあこの二人が醸し出す香りは好みではありますが)
秘書(だからといってほぼ全ての仕事を秘書に委ねるというのは如何なものかと思います)
秘書(園田首相のワンマン政権の頃と比べれば、仕事に遣り甲斐が見出せます。ことうみ税制度の廃止をさっさと済ませて、この国の発展に貢献したいものです)
秘書(この国が真に発展に進むとき、きっと園田首相ではなく別の首相になっているでしょう。その人のもとで恥ずかしくないよう、研鑽を積むつもりで今の仕事に臨みましょう)
秘書(しかし園田首相以前の直近の首相は目も当てられない方々でした。きっと園田首相は彼らと比べれば評価され得ると思います)
秘書(もしも園田首相が奇跡の首相と評されるのであれば、……私はこの秘書の仕事を辞めた方がいいのかもしれません)
秘書「ふぅ…」
秘書「次の書類でkendoの案件も綺麗に終了ですか。これが終わったら休憩にしましょう」
海未「あ、はあん、ことり、ことりぃ、あなたのからだは、んんっ、どうして破廉恥なのですかぁ…!♡」
ことり「うみちゅ、うみちゅん、うみちゅぅん!んみちゅぁ、いっしょにイコ♡」
海未「ずるい…、です…、ことりはずるいですぅぅぅぅぅぅぅううううううううううううううううううううううう」
ことり「うみちゃああん!うみちゃあああああああああああああああああああああああああああああ」
海未「ぁ……ぁぁ……」
ことり「はぁ…はぁ……♡」
秘書「…………」
秘書「玩具は使いますか?」
海未「あ…はぁ…はぁぁ…♡」
ことり「ありがとぉ秘書ちゃん♡じゃあ双頭バイブちょうだい?あ、小さいのね♡」
秘書「それならたしかデスクのこっちに……」
秘書(いま…久しぶりに、ことりさんに…呼び捨てでなく秘書ちゃん、て呼んで貰えました…///)
秘書(国会議員になられた頃が懐かしいです。仕事をする機械とまで揶揄されてきた私の名前を、素敵な声で『ちゃん』付けで呼んでくださったこと)
秘書(あの頃の優しいことりさんが帰ってきたのかもしれません…)
秘書「…どうぞ」
ことり「うん♪」
ことり「ほぉら…早くイったから海未ちゃんの方が破廉恥だ♡」ヴィィィィィィン
海未「ち…ちがいます……ことりのほうが長くイってたじゃないですか…」
ことり「ふーん?それじゃこれで我慢比べしてみよっか?」ヴィィィィィィン
海未「イイでしょう……受けて立ちます!」
ことり「それじゃイっきまーす♡」
ズプッ
ヌププッ
ことり「あはっ…ジクジクくるよぉ…♡」
海未「う…くっ…負けませんよ♡」
秘書「……」
秘書(私が知る限りではもう……)
秘書(……この国はダメかもわかりません)
『穂乃果はただ、SSを通じてみんなに希望と笑顔を与えたかった』
秘書「!」
秘書(高坂穂乃果……彼女なら?)
秘書(いえ彼女は一般人です。聞けば祖母の代から受け継ぐ和菓子屋の跡取り娘。とても総理の器には…)
秘書(……園田首相も一般人から這い上がってきたのでしたか)
秘書(これは…この可能性は……もしかしたら……!)
秘書(…………変ですね…新しい可能性に興奮して動悸が止まりません)ドキドキ
秘書(……この二人の情事は明日まで続きそうです。明日の朝一番にこの案を園田首相に相談しましょう)
海未「やぁ…ああ♡ずるいですぅ…♡ことりの…ひんっ…はれんちなからだでしがみつくなんてぇ♡やん♡みうごきとれないじゃないですかぁ…♡」
ことり「うふふ…♡感じるよぉ♡んっ…うみちゃんの熱くてえっちな洪水が…♡ことりの中に染み込んでくるぅ♡」
・数か月後、ある日の西木野病院
にこ「ふわっあ……んんっ!バ…カ……あんっ…シャワーあびるだけって…っっんんんっ!」
真姫「どこをなでても、つまんでも、いれても喘いじゃうなんて、にこちゃんてば、いやらしい人♡」
真姫「もっと聞かせて…にこちゃんの恥ずかしい声…」
にこ「あはぁ…待っ…てっ!……ぁあっふわっ…このあと穂乃果とっ、んんぁ…会うのに…」
真姫「はぁ…はあ…にこちゃんがわるいのよ…いちいち真姫ちゃんの○っぱいにすべすべな背中をすりつけてくるから…」
にこ「ちが…あっううぅっぁ……まきちゃんが身体をながすとね…気持ちよくて、つい寄りかかっただけなのよ……」
にこ「だから…んんっ!あっんんっ!……ぁううぅんんっ!ぁあっ」
真姫「かわいい…ベッドでも浴室でも、にこちゃんの声はここちいいわ…」
にこ「ふわっ……あっあ…黙ってよ…この性欲魔人…やぁん!」
真姫「そう言ってラストにはいつも自分から甘えてくるのにね…ほら、ほらっ♡」
にこ「あ…や…クルっ……ぁぁぁぁあっあ!ふわっううぅんんっ! ぁあっあああ!!」
にこ「…はひぃ…はひ……」
真姫「にこちゃん…」ギュッ
にこ「ふわぁ…はっ、はっ、…も……かんべんして……」
真姫「んんっ…」
真姫「だめよぉ…にこちゃんが呼吸するたびに真姫ちゃんの○っぱいが圧迫されて気持ちよくなっちゃうのよぉ♡」
にこ「いひん…!やら…もうイきたくないぃ…!ん……んんっ!……っんんっ!っふわっあっふわっっんんっ!」
穂乃果「遅いよー、お土産の出来立てほむ饅が冷めちゃったじゃん。何してたの?」
真姫「ちょ、ちょっと研究の止め時が見つからなくて…」
穂乃果「ふうん?で、なんでにこちゃんは不機嫌なの?」
にこ「…………」ムスーッ
真姫「研究の止め時が見つからなくて…」
穂乃果「えっ?」
・
・
・
・
・
・
真姫「結局ね、この国の財産は科学力よ」
穂乃果「ふむふむ、科学力っと」
真姫「現代人で科学の恩恵を受けないものはいないわ」
真姫「だけど科学に対して盲目的な批判が起こる。墓を暴き遺体を解剖することは科学の一歩だったけど、宗教上ではやってはならないことだった」
真姫「神様が科学を赦さない?じゃあ神様が死を赦してるから死ねって言うのかしら?」
真姫「科学者は常に妄言やオカルトと戦ってると言っても過言じゃないわ。そのせいで科学の発展は本来進むべきレベルより数十年の遅れを取っている」
穂乃果「へー…」
真姫「残念だけど現代にはまだまだオカルトの勢力が根強いわ。人権って何よ。そんな妄想が人の命を守るわけないでしょう。観念ばかりこねくりまわして実際を見れなくなった愚か者の思想よ」
真姫「そういう話であるクレーマー化したクライエントに反論したら『じゃあ人権を捨てたおまえを殺しても罪に問われないなwwwwww』って笑い出して包丁を取り出したのよ。バッカじゃないの!人権の有無が人命を左右するものじゃないって話をしてるのに、だからオカルト狂いの蛮族だって言うのよ!いつまでも錯誤的妄想を引き摺るのは勝手だけど、理性的な人間を巻き込むなっつーの!」
真姫「人命を何だと思ってんのよ。まったく、腹立たしい。科学者の方がよっぽど人命を尊重してるわ」
穂乃果「あ…あのー……」
にこ「穂乃果に解るように説明しなさいよ、そんな話。はいコーヒー」
真姫「あ、ごめんなさい。つい熱が入っちゃったわ」
穂乃果「むっ…酷い言われよう。あ、ミルクと砂糖がいっぱい♪」
にこ「いやねー真姫ちゃんったら、ことうみSSに割いてた時間を全部研究に捧げるようになってから、すっかり科学者気取っちゃって」
真姫「気取りじゃなくて科学者。本分は医療。そういうにこちゃんだって私の助手が板に着いてるわ」
穂乃果「へー、にこちゃんも研究に付き合ってるんだ」
にこ「助手の仕事は大変よ~?真姫ちゃんのスケジュール管理、栄養管理、薬品管理、病院の人材管理、家事、納税その他諸々」
穂乃果「すごーい!うちの秘書さんと同じくらい凄い!」
真姫「あなたの秘書と比べてられるわけないでしょ。仕事のレベルが全然異なるわ」
にこ「あんた、煽て方がヘタね」
穂乃果「ガァーン」
にこ「ま、それでもここまで這い上がって来たんだから良いんじゃない?それが高坂穂乃果っていう一人のヒトなのよ」
穂乃果「これが高坂穂乃果…」
真姫「あなたにはヒトを惹きつける力がある。そうやって有能なヒトを仲間にするのよ」
真姫「ま、難しい話は秘書に任せて、とにかくそういうわけだからよろしくね」
穂乃果「うん、任せて!」
こころ「穂乃果さん!穂乃果さんのためにSSを書いてきました!」
ここあ「あたしもー!」
穂乃果「わあ!ありがとう!」
穂乃果「日常物のほのゆきありSSだ…こっちも……嬉しい…」
真姫「二人だけじゃないわ」
にこ「ほら、受け取りなさい」
穂乃果「真姫ちゃん…にこちゃん…」
こころ「応援してます!」
ここあ「ファイトだぞー!」
真姫「ファイトよ、次期首相さん?」
穂乃果「よっし!やるぞー!やるったらやるぞー!」
真姫ちゃんのSSはえっちぃね…恥ずかし、えへへ
にこちゃんのは……ほのかハーレム!?
・数か月後、とある大学にて
希「――であるから、当初の園田政権は過去の過ちに学ぶことなく、国民のあらゆる活動に対してことうみ税を課しました」
希「この重税に立ち上がったのが現首相の高坂穂乃果です。彼女はことうみ税政策や鳥籠番号制度の廃止をデモで訴え、政策の見直しを受け入れさせることに成功しました」
希「これらの政策は法的に問題はありませんでした。しかし現実との齟齬が大きく、法的問題を超えた問題に発展しました。そうした問題を解決するのは国民の強い意志です」
希「このように、相手が法律であろうと憲法であろうと、現実に即さない規則を正す力は国民にあります。学生の皆さんでも内閣へご意見メールを送ることもできますから、皆さんは積極的に声を上げることを覚えておきましょう」
希「さて、政権が高坂政権に換わります。高坂首相は多くの税に代わる新しい財源を求めた結果、科学の振興を我が国のスローガンに措き金銭・技術・物資の支援することで、その恩恵に与る形で財源を潤わせていきました」
生徒1「せんせいっ」
希「はい」
生徒1「さきほどのデモの説明では税の用途の改善に言及していました。そのことは素晴らしいと思いますが、高坂政権はこの問題に着手したのでしょうか?」
希「ああ、それね」
希「じつは園田政権はそのデモ以来、税の用途の改善を徹底しました。歳出の面では不要な仕事を廃止し、強制送還すべき人を強制送還し、公務員の不適当な高級取りを是正し、不当な社会保障の受給を根絶するといったことを、さっき言ったようなプライバシーを丸っと無視した鳥籠番号制度とは別の形で乗り出しました」
希「歳入の面では経済活動の障害と成り得る税制度の見直しをすることで大幅な減額を行いました」
希「その結果数十兆円もの規模で国家資産の流動を削減することに成功しました。資産の不要な運用が減ることで資産の管理が改善されたわけです」
希「このようにして出来た国家資産の流動に健全な活性化を促しているのが高坂政権です。つまり園田政権は初期の汚点さえ無ければ歴代でも上位の政権であり、高坂政権へ理想的なバトンタッチを行ったといえるでしょう」
希「ちなみに皆さんの机は高坂政権主導で開発された学習机の試験用です。パネルの上で私の小さな立体映像が歩き回って話しているでしょう?そこにいる私は今の私の姿をリアルタイムでスキャンして加工した、質量を持ったソリッドヴィジョンです。そして皆さんがお昼寝や早弁や、そこにいる私にセクハラしたりスマホをいじったりすると、困った顔で皆さんの顔を覗き込むように設定してあるので、興味があれば一度試してください。もちろん立体映像ですから、しゃがめば今穿いてる下着が見えますね?そこの男子」
生徒2「 」
希「講義のまとめに入ります。園田政権の功績は、SSを普及し新たな娯楽・コミュニケーションを作り出した面が一点、国の資産運用を徹底的に整理し高坂政権への足掛かりとしたのが二点。前者については後にことうみ税の暴君政治と呼ばれる政策を招きますが、高坂穂乃果が主導するデモ活動によって、園田政権は政策の転換を余儀なくされました。その流れで税金の流動についても見直しが行われて二点目の結果になります。そして現在、高坂政権は科学の振興を打ち出すことで経済の発展を促しています」
希「では初回の講義はここまで。オリエンテーションですので定刻より早く切り上げます」
希『SS学は新規に開講したばかりなので、私に至らないところがあると思いますが、良かったら受講し続けてください』
希「そうそう、講義の感想をそのパネルから私のパソコンに送ってください。パネルの使い方は最初に説明した通りです」
いっしょにかえろーっ
ごめん、学内図書館に寄っていくわ
また?あんた、ことうみSS好きだねー
一口にことうみSSといっても多種多彩ですわ
一生掛かっても読み切れないって聞くよー。
それはそうですよ。なんていったって国民総出で生産したカップリングですもの。アイデアの宝庫ですわ。
ほかのカップリングにも目向けようよ。あたし、うみぱなSSにハマってるんだ
うみぱなも有名どころは拝読しましたわ。オススメは花陽さんと海未さんが飯テロを通じて結ばれるSSよ。
なんだ他のカップリングも読んでんじゃん。
当たり前です。他のカップリングに理解を示さないようでは読み手失格です。
でもあんた書き手でもあるでしょ?ことうみSSばっか書いてんじゃん。他のカップリングも書けばいいのに、ほんと、ことうみSS好きだねー。
好きだから好きなのよ。あなたもご一緒にことうみの深淵に潜り込みませんこと?
なんだよそれ、誘ってんの。
たまには合作というのも悪くないと思いましてのことです。むろん、遠慮するのならご勝手に。
しょーがないなー、寂しそうだし付き合ってやるよー。
寂しいなんて一言も言ってませんことよ!
はいはい。
このバカ!お待ちなさい!
おーい、下品な言葉になってるぞー。
うるさいですわ!
希「……ふふっ」
生徒3「……あの、東條先生」
希「どうしたん?」
生徒3「東條先生って元μ'sのメンバーです…よね?」
希「あら?よくわかったやん?講師一覧のプロフには書いてないはずやけどな」
生徒3「わたしアイドルが好きで、昔のアイドルも今のアイドルも知りたいんです」
希「そっか。じゃあ高坂穂乃果がμ'sのリーダーだっていうのも」
生徒3「はい。園田政権のことりさんもμ'sのメンバーですよね」
生徒3「あの……それでどうしても訊きたいことがありまして」
希「ふうん?ええよ」
生徒3「その…さっきのデモのときはことりさんと穂乃果さんたちは…言い方がわるいですけど敵同士になってしまったじゃないですか…」
生徒3「伝説のスクールアイドルμ'sの人たちでさえ仲違いすることもあるんだと思うと…友情って案外脆くて、もし関係を修復できなかったらと思うと怖くなります…」
生徒3「やっぱり仲違いしてるときって、お互いに相手のことを恨んだり死んじゃえと思うのでしょうか?そうまでして憎み合った相手と仲直りする方法、てよくわからないです……」
希「…………(この娘…もしかして誰かと)」
希「……悪く思っちゃうことは誰にでもあると思うよ」
生徒3「……そうですか」
希「でも、そう思ったことを形にしてしまうのは、その人が孤独であることの裏返しなんよ」
生徒3「え……?」
希「考えて見てくれる?キミがうちに死ね、て言ったとするよ?そしたらキミとうちの間には深い溝ができる」
希「その瞬間さっきまでうちらは二人で話してたのに独りと独りになる」
希「そしてそれぞれ別の人と交流することで再び独りではなくなる」
生徒3「ほんの少しの間だけですね…独りでいるの」
希「じゃあ交流する相手がいなかったら?その人はずっと独りやん?」
生徒3「……そう、ですね」
希「……たとえ誰かと交流できても精神的に繋がりがなかったら、その人はやっぱり孤独なんよ。相手が家族であっても」
生徒3「…実体験、ですか?」
希「秘密や♪」
生徒3「あ、はい…」
希「そして二つ目の答え。仲直りするには、自分が孤独であることを自覚することや」
生徒3「自覚する…とどうなるんですか…?」
希「孤独でなくなろうとする」
希「本人は自分が孤独だと気づかないまま、孤独の道を歩んでいくもんや。なら周りの誰かが気づかせてあげなきゃあかん」
希「そうすれば自ずからお互いを求めて仲直りできるものやで」
生徒3「…なるほど!」
希「キミのお役に立てた?」
生徒3「はい…!東條…希さん…ありがとうございます!」
希「どういたしまして♪」
生徒3「あ、あの!お礼と言ってはなんですけど、のぞえりSSを書いたのでどうぞお読みください!」
希「わー…くれるの?」
生徒3「はい…!希さんと絵里さんが大学生の頃にアップロードした、高校生の頃を振り返るSSを昔読みました。学生時代のお二人の関係に感動しました!これはその頃のことを意識して書きました!」
希「ほんまに?面と言われると恥ずかしいわぁ」
生徒3「じつは中学の頃から片想いしてた友達がいるんですが、ちょっぴり引っ込み思案な私は告白できずに葛藤していました。その娘は優等生で、私なんかじゃ釣り合わないと思ってました」
生徒3「そんなとき希さんと絵里さんのSSに出逢って、『これだ!』て思ったんです。その娘とお二人の熟年夫婦のような関係になりたいと思いました」
希(学生の頃なのに老けてるように見えたんか、うちら……)
生徒3「片想いしてた友達を誘って一緒に生徒会に入って、私が副会長、その娘が生徒会長になったんです。その娘はちょっと頑固で、やらなきゃいけないことを一人で済ませようとする癖がありました。そういうカッコイイところも好きですが、やっぱり恋した相手には頼ってほしいじゃないですか」
生徒3「それじゃということで希さんを参考にして、その娘を陰ながら支えたり、その娘の軽いミスにちょっぴりイタズラなことを言ってみたりもしました」
生徒3「そうしていくうちにその娘は私を頼ってくれることが増えていきました。あるとき言ってくれたんです。私がいてくれて助かるよ、て!」
生徒3「これはもうその娘に認めてもらったんだ、て思ったら引っ込み思案な自分がどこかにすっ飛んでいったんです!その娘に抱きついて好き好き言いまくってました!そしたらその娘が私の頭を抱いて告白を受け入れてくれたんです!」
生徒3「ほんっとーに希さんにはいくらお礼を言っても足りません!ありがとうございました!」
希「…ちょっと驚いたわ…キミは本当に引っ込み思案なん?」
生徒3「え?……あっ」
生徒3「す、すいません…私、変なスイッチが入ると饒舌になっちゃうようで…その娘にときどき壊れた機械に喩えられて、おでこにチョップされるんです。驚かせてしまいましたね…」
希「ううん心地良い懐かしさを覚えたわ。ありがとなー。SSは大切に読ませてもらうよ~。せや、来週感想を伝えようかな。講義終わった後に残れる?」
生徒3「は、はい!」
生徒3「あの、もう一つだけお礼を言わせてください!」
希「なんやもう、うちを誉め殺す気?」
生徒3「じつは私、さっきのデモを題材にしたSSを書いています」
希「わおっ、びっくり」
生徒3「当時のことは新聞や報道でしか知らないので、妄想で補完するところが多いです。……ただ、そこでのことりさんと穂乃果さんの仲直りの仕方がどうしても想像できなくて…」
生徒3「そんなときに希さんと出逢えてお話を伺うチャンスを迎えました!本当にありがとうございました!」
希「……ふふっ、ここまでキミがμ'sと縁があるんなら、この出逢いは運命かもしれへんな~♪」
生徒3「スピリチュアルですか!?」
希「すべては神様だけが知ってるよ」
生徒3「おお…そうですよね!私たちには及びも着かないに違いありません!」
希(クスクス、キミにも何かスピリチュアルな予感を感じるよ?これは将来が楽しみや…)
生徒3「ではSSが完成したら真っ先に希さんのもとに送ります!これで失礼します!」
希「おー、楽しみにしてるよー」
希「そっか、喧嘩別れした友達なんて居らんかったんや。SSの資料が欲しかったのね。良い心掛けやん♪」
・数日後、西木野研究所にて
花陽「遂に来たんだね…………」
ことり「緊張するね……」
ギュッ
穂乃果「穂乃果も緊張しちゃうな。二人とも、手繋いでくれる?」
ことり「ハノケチェン…」
花陽「ありがとう♪」
希「しっかし視界が悪いなー」
絵里「ハラショー…」
雪穂「その台詞は早いですよ」
凛「今さら冗談だったとか無しだよ?」
にこ「んなわけないでしょっ」
亜里沙「うわーここが真姫さんの研究所なんだー。ほんとに真姫さんはトマトが好きですね。床も壁も照明も真っ赤で、おもしろいです」
真姫「廊下はね。さすがに研究室は真っ白にしないと精密な研究ができないし」
海未「うっ…目に悪い気がします……」
真姫「ちょっとトマトの色に悪口言わないデヨー」
海未「ですがこれは……」
凛「海未ちゃんったら堅苦しいよ!ほら笑って笑って!」
海未「……真姫?さすがにこの廊下の仕様は改善した方が良いと思います。ていうかしなさいッ」
真姫「何の権限があって言ってるのよ。イミワカンナイ」
にこ「……海未の言う通りかもしれないわ」
真姫「にこちゃん…この廊下の色が好きって言ってくれたじゃない」
にこ「にこは好きよ!だけど一般受けはしない。この研究が表沙汰になれば、取材やら偉い先生の訪問やらで研究室へ足を運ぶ人が増えるわ」
にこ「そうなったときこの真っ赤な廊下は第一印象に深くかかわってくるでしょうね…」
穂乃果「にこちゃんの言う通りかな…ごめんね?」
真姫「……わかったわよ。切り換えるわよ」
真姫「ホワイト」
ピッ
海未「まぶしっ!」
凛「目が!目がああああああああああああああああああああああ」
花陽「凛ちゃん大げさだよぉ。たしかに目が暗い赤に慣れてたからちょっとまぶしいけど」
穂乃果「ほぇー……」
真姫「床も壁も照明も白くしたわよ。これで満足?」
にこ「廊下の色って換えられたの!?」
真姫「言ってなかった?色の英語名を言えば自動的にその色に換わってくれるのよ?」
にこ「聞いてないわよ!どっからそんな仕組みを作るお金が出てくるのよ!」
真姫「え?個人資産の範疇よ?当たり前じゃない」
にこ「無駄遣いじゃないのか、て言ってるのよ!」
海未「技術の進歩は凄いですね…」
亜里沙「海未さんだったら何色が好きですか?やっぱりブルー?」
ピッ
亜里沙「ハラショッ!」
海未「はー…感度の良さも感服ものです」
花陽「真っ青なとこにいると水族館みたい」
凛「イエローだよー!」
ピッ
凛「うにゃあ!目が痛むよー」
海未「やめなさいっ!」
ことり「グレーだよー!」ピッ
海未「ことり!」
真姫「何歳児よ…まったく…」
真姫「着いたわ。この部屋の中央に研究成果があるわ。」
にこ「この技術があれば人類を救う第一歩に繋がるのよ」
穂乃果「いよいよ……」
雪穂「ごくり……」
亜里沙「♪」ワクワク
海未「…………」
ことり「海未ちゃんっ…」ギュッ
凛「は…はやく見せるにゃ…心臓がバクバクして暴れたくなるにゃ…」
花陽「凛ちゃん…だいじょうぶっ」ギュッ
絵里「この先に…私たち皆の夢が…」
希「もう人類は後戻りできないんや……ふふっ♪」
ドア「キィィ……………………」
9人「わあっ……!!!」
にこ「この子こそ!人類が夢見た技術の結晶!」
真姫「にこちゃんと真姫ちゃんの卵子から生まれた赤ちゃんよ!」
赤子「ZZZ……」
・数か月後、国会
M党「悪魔だ!おまえは科学に魂を売った悪魔だ!この悪魔め!」
C党「それ!あーくーま!あーくーま!」
S党「むしろ魔女じゃね?」
C党「それ!まーじょ!まーじょ!」
ことり「うるさいですよ!」
穂乃果「遙か過去の歴代政権の負の遺産である少子高齢化問題は、改善の兆候が見られる。それでも出生率が1.6。まだ少ないです」
穂乃果「未来の尊い人材をより多く育むためにも、出生率を2.5、いえ3.0にまで上げる必要があります」
穂乃果「どうかご理解ください!」
I党「だからって試験管ベビーを量産するんですか!」
C党「この世の理はそんなことを許すはずがない!」
S党「母親はお産みの痛みを受けて初めて母親になれるんです!あなたに母親になる権利を奪う資格があるのですか!」
穂乃果「っ……」
穂乃果「ご理解ください!子供を産みたくても産めない、持ちたくても持てない女性が世界中にどれだけ苦しんでいることか!」
穂乃果「この技術が普及すれば、養子を引き取ることでしか子供を持てなかった、女性の同性愛者が救われます!
穂乃果「そしてこの技術を武器に海外から財源を集めることできます!我が国は最先端の技術を誇り、有効に活用できます!」
I党「はあ?それが同性愛者が辿る当然の末路でしょうw」
M党「2位じゃダメなんでしょうか?」
C党「この世の理から外れようなどと…やはり科学はヒトを狂わせる!科学力なんていらなかったんだ!」
M党「そーれ!まーじょ!まーじょ!」
穂乃果「高坂政権は科学を牽引し、科学について新しい価値観を養っていきます!」
穂乃果「その第一歩として、この女性同性愛者支援法を通します!」
穂乃果「みなさん!どうかご理解を!」
ことり「議長!採決をお願いします!」
C党「おいちょっと待て!」
・
・
・
・
・
・
議長「賛成過半数、よって可決です」
ことり「やったーーーーーーーーーーーーー!!!!」
穂乃果「わあ…………っ!!」
穂乃果「みなさん!ありがとうございます!ありがとうございます!!」
雪穂『いよっしゃー!!』
亜里沙『ハラショッ!ハラショッ!』
穂乃果ママ『やったわパパ!これで穂むらの跡継ぎも望めるわ!』
穂乃果パパ『~~~!~~~~~!』
亜里沙『義父(パパ)が静かに泣いてる……これが男泣きってやつですね!』
雪穂『亜里沙だって今にも泣きそうじゃん…』
亜里沙『雪穂こそ…!』
雪穂『……よかったよおおおおおおおおおお!おねえちゃんありがとおおおおおおおおおおおおおおおお!!』
亜里沙『ほのかさんありがとおおおおおおおおおおおおお!あいしてますうううううううううううううううううう!!』
雪穂『あいしてるよおおおおおおおおおおおおおお!おねえちゃああああああああああああああああああああん!!』
海未『ようやく…ことりと私の子供を作れるのですね……』
秘書『おめでとうございます……』
海未『今のうちに未来設計図を建てませんと。まずは剣道、日舞、和弓、薙刀、服飾、製菓、漢学、ああ、いけません、SSも習熟していただいて…』
秘書『ことりさんと海未さんのスキルを全部ですか…、園田家のお子さんは代々そのようにしてたくましく育つのですね…』
海未『園田の跡取りとして当然です♪』
秘書『応援しております』
秘書『……子供…』
秘書『穂乃果さん……』
凛『かよちん!かよちーん!!』
花陽『ぐすんっ…ありがとう…穂乃果ちゃん…』
希『……よかった……』
絵里『ハラショー!ハラショー!今夜は朝まで祝賀会にするわよー!』
凛『任せるにゃ!今日は凛の奢りだよ!食べて食べて!』
花陽『ネコちゃんラーメンとフラワー炒飯!お待たせしましたー!』
絵里『はーい!』
希『はなよちゃーん!ビールと餃子の追加入れるわー!』
花陽『はーい、ただいまー!』
絵里『うぇー、ヒック!ねー凛!亜里沙ちゃんや真姫ちゃんたちも呼んでいいー?』
凛『もちろん!みんな呼んじゃって!』
花陽『えっ!そんなに奢れるほどお金無いんじゃないかな!』
凛『そうなの!?』
絵里『あーそんなムリさせないわよ!割り勘にするからね?』
希『せやから凛ちゃんと花陽ちゃんも飲もう?』
花陽『はい!』
凛『あー!餃子の材料もう無いよー!』
花陽『ピャァッ!?そうだった…ふだんお客さんの入り具合で食材を準備してるから、備蓄も少ないんだ…』
希『そんならいっそ今日はお店閉めて、てきとうなものでもコンビニで買ってくる?うちらも付き合うよ』
花陽『たすかります!』
凛『ラーメンと炒飯とビールと日本酒ならたくさんあるからねー!』
絵里『あ、いい余興を思いついたチカ!ネットに上がってるSSをランダムに選んで朗読するチカ!』
花陽『ええ!?』
凛『朗読会?おもしろそう!』
絵里『一番上手かった人は今晩の飲み代タダよー!』
希『まーた絵里ちの勝負好きが始まったやん♪』
凛『言ったね?お店の収入のためにも負けられないよー!』
絵里『最ッ高の宴になりそうね!!』
真姫『にこちゃーん!!』
にこ『真姫ちゃーん!!』
真姫『こうしちゃいられないわ!まだまだ進めなきゃいけない研究があるのよ!この流れに乗らなきゃ科学者じゃないわ!にこちゃん!ついてきてくれる?!』
にこ『当たり前よ!真姫ちゃんのためなら行き着く先が天国でも地獄でも追いかけてやるわよ!』
こころ『あのー、さっき絵里さんから祝賀会のお誘いの電話がありました』
ここあ『一緒に行こうよーお姉ちゃん!真姫さん!』
にこ『あなたたちだけで行ってらっしゃい!』
真姫『一刻も惜しいわ!お小遣いならいくらでもあげるから!』
こころ『あ、では、なにかお土産を貰って帰りますね』
ここあ『やりぃ!食べ放題飲み放題だ!』
真姫『行くわよにこちゃん!』
にこ『まかせて真姫ちゃん!』
真姫『この天才真姫ちゃんに掛かれば、人類はもうすぐ天国のチケットも地獄のチケットも買う必要がなくなるわよ!』
にこ『それは楽しみにこ~!』
穂乃果「夢はみんなを幸せにする、笑顔の魔法です!」
穂乃果「そしてSSはみんなに夢の在処を教えてくれる、夢の扉です!」
穂乃果「夢は独りでは決して叶わない!この世界を生きていく中で、SSを通じて、信頼できる仲間たちに出逢い、仲間たちの支援があったから、穂乃果はここまで来ました!」
穂乃果「だから今度は私があなたを支援する番です!大きな想いを抱えて苦しむあなたを支えたい!」
穂乃果「あなたはもう独りじゃない!」
穂乃果「叶え!私たちの夢!」
穂乃果「叶え!あなたの夢!」
穂乃果「叶え!みんなの夢!」
~ HAPPY END ~
【Last Page:これもまた良い思い出だったんだよ。ね?】
あの日、穂乃果はどん底に落ちた。
周りが見えなくて、自分が救われようとして、孤独の闇を手探りで進もうとした。
思えば私はバカだった。
救う価値もないバカだった。
けれどこんなバカを支えてくれて、愛してくれる人たちがいた。
そのことに気づく前の、穂乃果の想いがここにある。
・
・
・
・
・
私が悪いんだ。
穂乃果があんなことを願ったせいで、皆不幸になったんだ。
絵里ちゃんや花陽ちゃんが鬱病になったのも、私のせいだ。
知らなかった。願いが時には人を傷付けることを。
取り返しのつかないことを言ってしまった。
時を巻き戻せるのなら戻したい。私たち三人が一緒に居られたあの頃に。
懐かしい記憶を思い出した。
いつの頃だったっけな。
ことり『あっという間だったなあ……』
海未『あっという間です……』
穂乃果『ほんとうにμ'sは解散したんだね……』
海未『ええ…』
海未『このがらんどうな講堂で、μ'sは最後のライブを終えたのですよね…』
ことり『終わり…か』
穂乃果『そして、次のラブライブが開かれる……』
穂乃果『でもそこにはにこちゃん、希ちゃん、絵里ちゃんはいない』
穂乃果『もうあの九人でスクールアイドルをやることは無いんだ……』
海未『…そう、ですね』
ことり『でも来年度には新しい風が入ってくる』
穂乃果『うん』
穂乃果『雪穂と亜里沙ちゃんのためにも、私たち最上級生が良いとこ見せないとね』
海未『何を言ってるのですか』
穂乃果『え?』
ことり『一番頑張らなきゃいけないのは新二年生だと思うよ?』
穂乃果『あ、そっか。部長は花陽ちゃん、リーダーは凛ちゃん、サブリーダーは真姫ちゃんだもんね』
海未『そうです。私たち新三年生は一歩身を引いて見守るのです』
穂乃果『うん!…』
穂乃果『そうだ、ね……』
ことり『かよちゃんたちは部室で部活紹介の練習してるらしいよ』
海未『ああ、真姫に聞きました。花陽が心配です。テンパり気味な部活紹介も危ぶまれますが、さらに問題なのはそのことと裏腹に、アイドルの話に入ると饒舌になる癖が治らなくて苦労していると』
ことり『そこがかよちゃんの良いところなのにぃ♡』
海未『真面目な仕事ですからそれでは困りますよ…フフッ』
ことり『今部室にいるかな?』
海未『邪魔してはかわいそうですよ』
ことり『え~ちょっとだけ覗きたいな』
海未『ことり。新二年生だけでやりたいそうですから』
ことり『ちょこっと見守るだけだもん』
海未『見守るというのはそういう意味で言ったのではありません!』
ことり『ね~穂乃果ちゃんもかよちゃんたちのとこ行ってみない?』
海未『な!卑怯です!そうやってまた二対一でごり押そうと!』
穂乃果『…………そっか』
ことり『?穂乃果ちゃん?』
穂乃果『私たちはもう前に出なくていいんだ』
ことり『ガーン』
海未『穂乃果がまともなことを言っています……』
穂乃果『新しい人、曲、ダンスが生まれて、皆を楽しませて』
穂乃果『そして、過去のことは忘れられていくんだ』
海未『えっ…?』
ことり『どうしたの?』
穂乃果『考えてもみてよ?μ'sが大切にしてきたもののこと。それは新しいものを取り込み続けて変化していくこと、でしょ?』
穂乃果『それって過去のものの面影はどんどんなくなっていく、てことじゃない?風が吹いていくくらいにサラッと』
海未『それはそうでしょう。そうやって全てのものは成長していくのですよ』
ことり『私たちが音ノ木坂高校を卒業した後もね?』
穂乃果『……寂しいな』
海未『しかたありません…それとも留年しますか?』
穂乃果『そうじゃないよッ…!』
海未『ほのか…?』
ことり『け、けんかはやめよ?』
穂乃果『…ただ、私たちの歩んだ軌跡が少ししか伝わらないのが寂しいんだよ』
ことり『少ししか…?』
穂乃果『廃校騒ぎから始まってμ'sの結成、解散の危機、ラブライブ優勝、μ'sの解散宣言…』
穂乃果『それまでにあった出来事をμ'sの皆はほとんど知ってる』
穂乃果『でも他の人はそうじゃない…』
私は心の底にくすぶっていた想いをぶつけた。
私は、私の経験してきた思い出がかけがえのないものだと思っている。
みんなで叶える物語を紡いでいって、穂乃果は成長した。
その思い出は穂乃果の中だけに留めていて良いのかな?
なんでそう思うのかって?
だって、もったいないじゃん?
もしも穂乃果の進んできた道を見た誰かが勇気づけられて、その人の成功の道標になれるんだったらさ。
穂乃果は喜んで教えるよ。
ライブ映像ではきっとわからない、μ'sの絆の成り立ちを。
ラジオだけでは絶対伝わらない、普通の女子高生たちを。
そしたらさ、その人は穂乃果たちより上手に成功すると思うんだ。
もしも穂乃果の想いをぜーんぶ残せるなら残したい。
私たちの生きた全てが皆にとって意味のあるものになるから。
穂乃果『アハハ…どうしようもないことなのに、二人に心配かけちゃった。ごめん』
ことり『ほのかちゃん……』
海未『……全部は恥ずかしいので嫌ですが、たしかに伝え損ねたことが数多くあると思います』
穂乃果『伝えるの、て難しいね。その時は全部伝えきったつもりでも、後から伝えたかったことが胸の中でぷわぷわって生まれる』
ことり『うん。じゃあ来年度は上手に伝える練習をしよう?』
穂乃果『うんっ』
海未『ええっ』
穂乃果『でもどうすればいいのかなぁ…』
海未『あらかじめメモしておくのはどうでしょう?』
穂乃果『メモ見ながら話すの?却下!』
海未『違いますよ!伝えたいことを逐一メモしておけば忘れないでしょう!』
穂乃果『うーん……つまんなそう』
海未『どういう判断基準ですか……』
穂乃果『せめてSIDみたいなのなら楽しく書けそうなんだけどなー』
ことり『……それ』
海未『穂乃果!』
穂乃果『ひゃい!?』
ことり『それ!良い!』
海未『あなたは最高です!』
穂乃果『え?え?なに!?』
そうして私たちはμ'sの生きて来た軌跡を思いつくままに文章で残すことにした。
解散したμ'sの全員にも協力を得た。
皆が提出してくれる文章を見ていてやっぱりと思ったのは、穂乃果の知らないところで穂乃果の学ぶべきことがたくさんあったことだ。
それぞれのメンバーが一人教訓にしていたことを、今度はみんなで共有してみんなの教訓にできた。
みんなの思い出書きは穂乃果が管理することになった。もうμ'sは解散したのにリーダーの仕事ということになった。
その頃だ。SSと言う文章の形式を知ったのは。
μ'sの皆は文章を書くことを楽しんでいた。けれど文章を書くのに必要な時間はメンバーによってばらばらだった。
にこちゃんはやっぱりアイドルブログで書き慣れてるんだと思う。メンバーの中で一番筆が速かった。
ことりちゃんも速い方だった。花陽ちゃんと穂乃果もまあまあなスピードで書けていた。
一方、凛ちゃんは書く内容を考えることにてこずっていた。花陽ちゃんに色々記憶を補完してもらってるのを見たことがある。
意外にも海未ちゃんと真姫ちゃんは遅かった。二人は凛ちゃんと違って、書いた内容を細かく修正する癖があって、そのせいだと思う。
希ちゃんと絵里ちゃんも書くのは遅かったけど、大学生活と両立した結果だ。
みんな、自分の生きた軌跡を形にしたかった。けれどこのままでは時間が圧倒的に足りなかった。
そこでSSだ。
SSは台詞だけで書ける。それまでに書いた文章と違って、細かいとこは省略しても良い。なにより、人と人との関わり方がはっきり伝わってくる。
もちろん文章と両立して、台詞だけでは伝わらないことを書いても良い。
SSの文章形式はみんなの執筆時間を大幅に減らした。
こうして、皆の軌跡は一つの結晶になった。
すぐににこちゃんのアイドルブログにアップロードした。
ネットの反応は穂乃果の願った通りだった。一人一人が穂乃果たちの軌跡に共感して、夢を叶える勇気を受け取ってくれた。
何千、何万もの感謝のメッセージが届いていた。私たちは涙を流して喜びを分かち合った。
その後、目先の目標を失った私たちは、ifのμ'sを想像してSSにする遊びを覚えた。
SSは穂乃果たちの他にも、むしろ穂乃果たちが後追いになるんだけど、ネット上で盛り上がっていた。参考までにと読んでみたSSは、凄かったの一言に尽きた。海未ちゃんが男の子になったり、μ'sのメンバー同士で恋愛していたり、メンヘラになっちゃったり、ファンタジーな世界観で活躍したりと、とにかく凄かった。
SSにハマった私たちの中からとうとう、恋愛関係に進展したメンバーがいた。ことりちゃんと海未ちゃんだ。ことりちゃんが海未ちゃんを押し倒して、SSで学んだ知識でイロイロしてメロメロにしたらしい。初めて二人の関係を知らされたときは祝福の想いでいっぱいだった。ちょっと後に希ちゃんと絵里ちゃん、にこちゃんと真姫ちゃんもお付き合いを始めて、やっぱり祝福された。
ネットの皆もカップルに喜びの声を上げた。たまに違うカップリングを推してた人が残念がってることもあったけど、祝福のコメントも同時に載せていて笑った。
そんなこと知るかとばかりに、違う組み合わせのカップリングSSが盛り上がったりしたのも面白かったな。それをことりちゃんが読み耽って、海未ちゃんが眉間に皺を寄せていたっけ。
ことり『ひゃあ…ことりがかよちゃんと…ええ?ことりはこんなにお姉さんキャラじゃないよお……///』
ことり『このかよちゃん、ちっちゃく喘いでてかわいい…すっかり妹みたいに甘えてきて、ことり、きゅんきゅんしちゃう…///』
海未『…………』ムスッ
穂乃果『ifだよ、if』
海未『エエ…ワカッテイマストモ…』
あの頃は良かった。みんなが自由にSSを書いて、盛り上がって、きっと読むだけの誰かが想いをSSで表現する勇気を貰って、書く人が増える。
一人一人が想像の翼を広げて、ネットの海へ飛び立っていく。
穂乃果はそんなSSが大好きだった。
だから調子に乗って、ことりちゃんにこんな願望を漏らしてしまった。
穂乃果『あーあ、SSがネットだけじゃなくてこっちの世界でも盛り上がればいいのに』
ことり『それ良いね♪そしたら知らない人ともSSを手渡しすれば仲良しさんになれるかも♪』
この頃ことりちゃんは外国で服飾の学校に通っていた。電話やネットで近況を聞くだけでも、ことりちゃんは男女問わずモテモテだったらしい。女性の穂乃果から見ても美人さんだしかわいいからしかたないけど。一方海未ちゃんは心臓がしょっちゅうキリキリ痛んだ。
そうして外国慣れしてきたことりちゃんが帰国したらは、惚れてしまいそうなほど大胆なスキンシップが増えた。昔天然と希ちゃんに言われたことがある穂乃果ですら惚けてしまう。ことりちゃんにもぎゅっと抱かれて頬ずりを受けた海未ちゃんは昇天した。
それからはあっという間だった。
ことりちゃんが政界へ旅立った。本気でSSをこっちの世界に広めるつもりだった。持前の愛らしさと努力で政界の人たちに取り入って、あれよあれよと総理大臣になってしまった。
μ'sの誰もが驚きを隠せなかった。ことりちゃんはかつて服飾とスクールアイドルを天秤にかけるほど服飾に興味があったんだ。ことりちゃんが政界を選択した頃、服飾の夢はそう簡単に諦められるものなのか、てにこちゃんが凄んでいた。ことりちゃんの眼は本気だった。
ことり『SSは皆に希望をもたらし笑顔にしてあげられる。SSの素晴らしさを世に訴えたい。それが今のことりの夢です』
外国慣れしたのかな。以前のことりちゃんより堂々と主張するようになっていた。
海未ちゃんは躍進することりちゃんに振り回され続けた。海未ちゃんが静かに園田道場を継ぐつもりでいたのを知ってるから、ちょっと気の毒だけど。でも園田道場に小さく収まっているよりは、ことりちゃんの活動に付き添って全国の道場を駆け回る方が、海未ちゃんのためになると思う。だって海未ちゃんの生きる輝きを皆に見てもらいたかったから。
こうして、ことり首相と海未夫人が誕生した。当時は記録的な速さで首相に上り詰めた美人、ということで話題になってた。女性だからといってことりちゃんが男性陣から軽く見られている様子は、無かったと思う。おそらく海未ちゃんが背後で睨みを効かせてたんじゃないかな。
ことりちゃんは精一杯国を動かしてきた。事実、ことりちゃんの夢だったSSの国民への普及は大成功を収めた。今ではプレゼントにSSを送る文化が広まっている。穂乃果はことりちゃんの夢が叶ったことを心からお祝いした。ことりちゃんは目尻に涙の粒を溜めて照れていて、とても素敵な笑顔だった。そんなことりちゃんの涙を指で拭ってあげる海未ちゃんも、優しい顔をしていた。
それが幼少期からの幼馴染たちと過ごした、最後の幸せなひとときだった。
ことりちゃんがあれだけ大切にしていたSSで国民を傷つけるようになってしまった。
もう、限界だ。
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そうだね、限界だね。
だって、あなたは独りだったから。
あなたは独りじゃないんだよ。
思い出してごらん。
あなたが生まれたときからあなたを知っている人。
この世に生を受けたときからあなたを知っている人。
無垢で幼い頃からあなたを知っている人。
学生の頃に絆を築き合った人。
ラブライブで光輝くあなたを観ていた人。
SSを通してあなたを知った人。
みんな、あなたのことが大好きだよ。
穂乃果は、あなたのことが大好きだよ。
だから、あなたのことを無かったことにはしない。
これもまた良い思い出だったんだよ。ね?
END
html依頼を出してきます
このSSまとめへのコメント
久しぶりに楽しめた
おもしろい