渋谷凛「ふーん、あんた達がまゆのファン?」 (26)

凛「いい顔してるね」 ワアアア!

凛「改めまして、佐久間まゆバースデートークショーへようこそ!」

凛「このイベントの進行は私、渋谷凛でお送りします」

凛「あ、分かってますよ? 今日は9月6日でまゆの誕生日は本当は明日だって」

凛「明日ねー……色々事情があるので察してください」

凛「まあ、話はあとにして早速登場してもらいましょう」

凛「みんないくよ、せーの!」

『まゆちゃーん!!』

佐久間まゆ「はぁーい!」

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まゆ「お兄ちゃん、こんにちはぁ。佐久間まゆでぇす♪」キャピッ

まゆ「今日はぁ、まゆのお誕生日のためにこぉーんなに集まってくれて、とっても嬉しい♪」キャピキャピッ

まゆ「みんなと楽しいバースデーパーティーを過ごせるように、頑張りままゆ~♪」キャピピピピッ

まゆ「……っ!」ダッ

凛「あーっ、まゆ逃げないで! 可愛かったよ! 可愛かったから!!」

凛「み、みんなも可愛かったよね!?」

『可愛かった~!!』

凛「ほら、ね! だからステージに戻ってきて!」

まゆ「うう……」トボトボ

まゆ「こんなこと言いたくないけど、誕生日イベントですよ? しかも私の」

まゆ「なんで公開処刑されないといけないんですか……」

凛「えーと、今日が妹の日だからって台本に」

まゆ「誰がこんな台本書いたんですかねぇ……」

凛「たしか構成作家の道玄坂さん」

まゆ「覚えておきます……」

凛「あ、そうそう。さっき『お兄ちゃん』って言ったけど、女性ファンもいるみたい」 イルヨー

まゆ「わあ、同性のファンもいるって、本当に嬉しいです。ありがとうございます」

凛「じゃ、お姉ちゃんにも挨拶しないとね」

まゆ「はうっ」 ワハハハ ガンバッテー

まゆ「え、えっと……」

まゆ「貴重なお姉ちゃんのためにも、頑張りままゆ♪」キャピッ

凛「その頑張りままゆって流行らせたいの?」

まゆ「いえ、特にそういうわけでは……そもそも今日の台本で初めて見た言葉ですし」

凛「でも応用で色々使えそう。いただきままゆとか、ただいままゆとか」

まゆ「うーん、そういう強烈なキャラ付けはちょっと……」

凛「そう? じゃあまずは誕生日なので……」

凛「愛梨特製ミックスベリーケーキ!」

まゆ「わあ、すご~い! 後で愛梨さんにお礼言わないと」

まゆ「ブルーベリーと……これはラズベリー? 赤と青が綺麗ですね」

凛「えっ、私とまゆみたい?」

まゆ「ああ……凛ちゃんのイメージカラーといえば蒼ですし、私は赤系統が多いですよね」

凛「なるほど。さすが愛梨だね」

まゆ「愛梨さんは……計算じゃなくて『なんとなく』で最適解を選ぶ気がしますねぇ」

まゆ「特にケーキ作りについては知識も経験も豊富でしょうから」

凛「言われてみれば確かに」

まゆ「いただきます……ん~、美味しい!」

凛(良い笑顔)

まゆ「凛ちゃんもどうぞ。はい、あーん」 イイナー

凛「あ、あーん……うん、甘酸っぱくて後味も爽やか。お店で売れるレベルだね」

まゆ「でもこの大きさは、私1人じゃ食べきれないですねぇ」

凛「残りは持って帰って食べれば?」

まゆ「いえ、出来れば会場の皆さんにも食べてもらおうかなって」

凛「まゆのために作られたケーキなんだから、まゆが全部食べて良いんだよ?」

まゆ「もちろんそれでも良いんですけど、嬉しい事はなるべく大勢で共有したいんですよ」

凛(まゆは本当に良い子だなぁ)

まゆ「さっき『いいなー』って声も出たじゃないですか」

まゆ「さすがに全員で分けるには小さいですけど、せめて何人か……」

凛「あっ、スタッフさんから提案が」

凛「ケーキを8等分して、私、まゆ、お客さん6人で分けるのはどうでしょうか?」 オオー

まゆ「それ良いですね」

凛「私もまゆと同格に扱われていいのかな……」

まゆ「良いんじゃないですか? 私の大切なお友達ですから」

凛「あらたまって言われると照れる……」

まゆ「お客さん6人はどうやって決めます?」

凛「えーと、まゆとジャンケンして勝った人ということで」






凛「――それでは、勝ち残った6人の皆さん、私達と一緒にケーキを食べましょう」

凛「ステージに上ってください」 イイナー ウラヤマシイー

まゆ「はい、どうぞ……あっ、ごめんなさい。それ私の食べかけです」

まゆ「いえ、良くないです! ちゃんと手を付けてないのがありますから!」

凛「直接口を付けてるわけじゃないんだし気にしなくても……」

まゆ「それでも、食べかけなんて失礼じゃないですか」

凛「むしろファンにとっては、まゆの食べかけのほうが嬉しいんじゃない?」

まゆ「ええぇー……」

凛「まゆがどうしてもって言うなら交換してもいいけど、その代わり……」

まゆ「その代わり?」

凛「『お兄ちゃん、あーん』ってしてあげる」

まゆ「!?」

凛「この場の6人全員に」

まゆ「しかも全員!?」

凛「それくらい良いでしょ? 6/1000の確率で勝ち残った方達なんだから」

ナイス ハンダン!! サイコウカヨ!

まゆ(『じゃあ私の食べかけ食べて良いです』って言ったら、それはそれで文句が出そう……)

まゆ「うーん、分かりました。でも時間の都合もあるから最初の一口だけですよ」 ヤッター






まゆ「お兄ちゃん、あーん。うふ、あとは自分で食べてくださいね」 アリガトー

まゆ(次で最後ですね)

まゆ「お姉ちゃん、あーん。……どうしたの、凛ちゃん」

凛「いや、私は最初にやってもらったから……」

凛「お客さん達6人に、って言ったと思うんだけど」

まゆ「あっ! うっかりしてました……」 ワハハハ






凛「――さて、ケーキも食べ終わったことだし次にいこうか」

まゆ「何するんですか?」

凛「会場の皆さんにあらかじめ、誕生日に関する質問を書いてもらってるので」

凛「それをボックスから引いて答えてもらいます」

凛「もしどうしても答えられない質問だった場合は」

凛「罰ゲームボックスから1枚引いて指示されたことをしてもらいます」

凛「というわけで、『みんなの質問に答えままゆ♪ 罰ゲームもあるよ』のコーナー!」 ワアアア!

まゆ「あっ、はい。ボックスが2つ出てきましたね」

まゆ「じゃあ早速引きます」

まゆ「良かった、これは答えられますね」

まゆ「『今までもらったプレゼントで一番高価だったものは?』です」

まゆ「でも急に言われると……えーと」

凛「物品に限らなければこのイベントじゃない? たぶん何十万ってお金が動いてるだろうし」

まゆ「生々しいです」 ワハハハ

まゆ「一番高価だったものは、パパに買ってもらったピアスです」

凛「今つけてるやつ?」

まゆ「いえ、これは初めてのお給料で買ったもので」

まゆ「パパに買ってもらったのは、誕生石のサファイアのものなんですよ」

凛「サファイア……あの深い蒼が良いよね」

まゆ「私のはピンクサファイアなんですけど」

凛「う、裏切り者……っ」

まゆ「ええっ、それだけで!?」 ワハハハ

まゆ「次の質問を……」

まゆ『346プロのアイドルで誕生日を覚えてる人は何人いますか?』

まゆ「さすがに全員は覚えてないですね」

まゆ「実際にパーティーなどでお祝いしたり、特徴的な日付の人は覚えてると思いますけど」

凛「具体的に誰が何日か言える?」

まゆ「えっと、1/1茄子さんと歌鈴ちゃん、2/22みくちゃん、7/31ありすちゃん……」

まゆ「12/16美穂ちゃん、12/24イヴさん、2/19こずえちゃん……」

凛「私の誕生日は?」

まゆ「いつでしたっけ……」

凛「つい先月だよ!?」

まゆ「うふふ、冗談。ちゃんと覚えてますよ」

まゆ「8/10でしょう? 忘れるわけないじゃないですか」

凛「そ、そう。なら良いけど」

まゆ(ホッとしてる凛ちゃんかわいい)

まゆ「では次の質問です」

まゆ「あっ、これは……」

凛「どうしたの? 答えられない内容?」

まゆ「ではないですけど、斜め上の質問です……」

まゆ『子供が生まれたらどんな名前をつけますか?』

まゆ「誕生日っていうか誕生そのものですよ」 ワハハハ

凛「でもゲームの主人公の名前決める感覚でさ、子供の名前妄想すること無い?」

まゆ「妄想ではないですけど、素敵な名前見かけると参考にしたいなぁって思いますね」

まゆ「例えば……桃華ちゃんとか。華やかで可愛らしいお名前ですよね」

凛「実際どんな名前を付けるか、今から考えてるわけではないんだ?」

まゆ「そうですねぇ、旦那様とよく相談して考えると思います」

まゆ「次は……えっ」

――――――――――――――――――――――
明日(誕生日当日)は誰と過ごしますか?
――――――――――――――――――――――

まゆ「これは……」

まゆ(プロデューサーさん……なんですけど)

まゆ「答えられないです……」

凛「どんな質問だったの?」

凛「どれどれ……あーそうだね、これは答えられないね……」

凛「じゃあ罰ゲーム引いて」

まゆ「はい……」

まゆ『凛ちゃんにくすぐられる(5分間)』

凛「あー……罰ゲームだからね、うん、仕方ない。覚悟決めてもらおうか」

凛「ちなみにくすぐりには強い方?」

まゆ「弱いと思います……お手柔らかにお願いしますねぇ?」

凛(つまり思いっきりやれという意味だね)

凛「うん、分かった」コチョコチョ

まゆ「ンンッ……あ、はんっ……! くふぅっ……ん、うぅ」

まゆ「り、凛ちゃんっ……お手柔らかにって……あひっ! い、言いましたよねぇ……!?」

まゆ「あはっ、あはぁ……や、やめてぇ……あ、あんっ!」

まゆ「そこぉ、よ、弱いのぉ……! 本当に、んふっ……くううっ」

まゆ「らめぇぇ……っ!!」






まゆ「はあっ……はあっ……」グッタリ

凛「まゆ、大丈夫?」

まゆ「全然……大丈夫じゃないですっ……」

凛(喘ぎ声が大変けしからんえろさだった)





凛「残念ながら、そろそろお別れの時間です」

まゆ「あっという間でしたね。でもとっても楽しかったです」

まゆ「では最後に少しお知らせです。私の出演するライブが――」

凛「あ、それ言わなくて良いから」

まゆ「えっ? でも……」

凛「今日初出しの情報は無いし、わざわざまゆの誕生日をお祝いに来てくれる人達なんだから」

凛「出演情報なんてとっくの昔に知ってるよ。そうでしょ?」 ソウダー

凛「だからその浮いた時間で、私達皆からHappy Birthday to Youを贈ります」

まゆ「この反応は……もしかして会場の皆さん、最初から知ってたんですか?」

凛「うん。まゆに気付かれないよう、こっそりと周知しておいたんだ」

凛「まゆ、誕生日おめでとう。私が今日まで走ってこれたのは、まゆっていう大切な……」

凛「ちょ、ちょっと。まだ歌ってないのに、泣くの早いよっ」

まゆ「だって……本当に嬉しくて」

まゆ「こんなに多くの人達に支えられてアイドルやってるんだって、改めて感じて……」

まゆ「ふええ、ぐすっ」

凛「ああ、もう……よしよし」ナデナデ

凛「さっきどこまで言ったっけ……まあいいか」

凛「気持ちは歌に込めるから、受け取ってくれる?」

まゆ「……はいっ!」





神谷奈緒「もしもし、凛。まゆのイベント終わった?」

凛「うん、今会場出たところ」

奈緒「そっか。……加蓮と話してたんだけどさ」

凛「なに?」

奈緒「まゆと凛は、同じ人を好きなのにどうしてそんなに仲良いんだ?」

凛「……最初はギクシャクしてたよ?」

凛「でも、同じ人を好きだからこそ共感できる苦労とかあって、いつの間にか打ち解けたんだと思う」

奈緒「ああ……2人の担当プロデューサー鈍感そうだよな」

凛「本当に……苦労するんだよ」

凛「私の誕生日のときも、せっかくまゆが2人きりにしてくれたのに……」

奈緒「あー、分かった分かった。何回も聞いてるから」

奈緒「ケーキまだ残ってるから早く加蓮の家に来いよ」

凛「え……こっちでも食べたんだけど」

北条加蓮「凛ひどーい! 私よりまゆの方が良いっていうのー!?」

加蓮「昨日のパーティーも来てくれなかったしー!」

凛「だって仕事だったから……!」

奈緒「分かったろ? 結構荒れてるんだよ、早く来てくれ」

凛「ふふ、分かった。加蓮をなだめておいて」

凛「……ところで奈緒、今日がなんの日か知ってる?」

奈緒「今日? いや、特に知らないけど」

凛「妹の日なんだって。それに絡めて、イベントでまゆが妹キャラをやったんだけど……」

奈緒「へぇ~、まゆなら似合いそうだな」

凛「そりゃあもう……キュート属性の本領発揮だったよ」

凛「ケーキをあーんってしてくれてさ。天使かと思った。いや、紛れも無く天使だった」

奈緒「お、おう」

凛「来年は加蓮とまゆの合同イベントにして、2人に妹キャラやらせようと思ってるんだ」

奈緒「気が早いなオイ」





まゆ「プロデューサーさん、お待たせしました」

まゆ「はい、今までで一番楽しいイベントでした」

まゆ「ふふっ、もしかしてやきもちですか?」

まゆ「もちろん……プロデューサーさんと過ごす時間は何より楽しくて幸せですけど」

まゆ「でもファンの方達とプロデューサーさんは、色んな意味で全然違いますから」

まゆ「比べることは出来ないですよ。どっちも一番です」

まゆ「それはそうと、今からまゆだけのプロデューサーさん……」

まゆ「プロデューサーさんだけのまゆ、ですよ?」

まゆ「覚悟してくださいね?」

まゆ「お兄ちゃんにたぁ~っぷり甘えままゆ♪ うふふっ、な~んて」

終わり

Pとイチャイチャする誕生日SSはよく見るので、ファンとの交流を描いてみました

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