男「クラスの隅にいる」女「クラスの上にいる」(17)

男「夏休みも終わったな」

男友「夏休み明けちゃったね」

男「久しぶりだ。この夏に何かしたか?」

男友「うーん、何もしてないかなー」

男「なるほど。彼女と花火を見た訳だな。おい、お前ら!! 男友の自慢が入荷したぜ!!」

男友「ちょ…、そんなこと言ってな」

モブ「うおおおっ!! 美女ちゃんとの自慢かよ!! 死んじまえー!! 頼む、死んでくれー!!」カマエ

男友「マッドマックスで出てきたポーズやめてよ」

ワイワイガヤガヤ

女「…、うるさい」

シーン

モブ「なんだよ。感じ悪い奴だな」

男「ふーん」

担任「ほら、席につけ。…よし、お前ら、席についたな。これから集会がある云々~」ペラペラ

男(女さんは本を読んでるな)

男「すいませーん。女さんの顔色が優れていないので、俺が保健室に連れていって良いですか?」

女「なっ?! そんなこと…」

担任「何、そうなのか。大丈夫なのか?」ドシドシ

女「(近寄られたら携帯がバレる…)あ、あー。うん、体調悪いかもー」

男「なら、俺が連れていきます。いいですよね」

担任「いや、女子が連れていけよ。保健委員、仕事だ」

保健委員「ええ…」

担任「何だその態度、舐めてるんじゃないのか」

男「そう言う事なんで連れていきます」グイッ

女「わっ」

担任「あ、おい!!」

男「あぶねーっ」ガララ

女「手を握られちゃった」

女「全く、私を連れ出して何するの」トコトコ

男「いやー、女さんの読んでる小説ってさ、俺の好きな作家さんだったから、不器用ながら声をかけた」

女「あ、そうなの。意外ね、あなた乙女趣味があるの」

男「ああ。恥ずかしい限りだけどな。…『答えを聞かせてくれるまで、話さない』だっけ」

女「凄い!! 声が似てるわ、本当に好きなのね」

男「うん。そうなんだよ、後で話さない? 別に、放課後でもいいからさ」

女「そうね。放課後だと助かるわ」

放課後

女「~で、~が」ペラペラ

男「あ、文庫本に触っていい?」

女「あ、いいよー」

男「ふむ…。あ、貸してくれてありがとう」

女「そんな、お礼なんていらないわ。私、あまり話さないから」

男「女さんって、皆と触れ合うのが嫌なの?」

女「そういうわけじゃないの。ただ、自分の感想を優先してしまうの。辞めようって思うのに、何も変えられなくて」ヘラ

男「あー、なんかわかる。変わるのって難しいよね」

女「男君って、優しんだね。こうやって私でも話しかけてくれた」

男「呼び捨てでいいよ」

女「あら、なら私も呼び捨てでお願い」

男「そう来たかー」ケラケラ

男「それと」

女「それと?」

男「放課後だと素直になるんだねー」ニヤニヤ

女「や、やめてよ」

男「ははは。…あっ」

女「どうしたの?」

男「いや、太陽が沈んでいくからさ」ユビサシ

女「本当だ。綺麗…」

男「お疲れ様って言ってるな」

女「なにそれ」ケラケラ

男「…なあ、連絡先交換しない?」

女「あ、いいならいいけど」

男友「最近、女ちゃんと仲いいよね」

男「そんなわけ無いだろ」

男友「いやいや、言い逃れ出来ないよ。よく話してるじゃん」

女「男ーっ 最新作読んだ?」トタトタ

男「あー、読んだ読んだ。本当に担任が許せないよね」

女「あ、わかるー」

男友「ほら、すぐイチャイチャするー」

男「だから違うって」

女「あ、お邪魔だった?」

男友「いや、そういうわけじゃないんだけどー」

男友「本当、微笑ましいよー。僕なんて美女ちゃんと」

男「あーっ、引っ越すんだったか」

男友「そうなんだよー。ゆとり教育の最後だからかな」

男「意味わからん」

女「あ、それから送迎会しようよ」

男友「へ?」

女「別れるわけじゃないんでしょ? それなら、皆とワイワイして別れようよ」

男友「女ちゃんって、男に触発されて変わったよねー」

男「本来がこの状態だから」

女「それじゃ…」トタトタトタ

男友「それにしても、性格変わったよねー」

男「まあ、それなりの経緯はあるんだけどな」

男友「聞きたい。聞かせてよー」

男「プライバシーもあるからなあ」
ーーー
ーー

男『ライン交換してから暫く経つね』

女『そうね。本当にありがとう、好きな作家が同じなんて奇跡だわ』

男『買い被りだよ』

女『そうじゃない。私は自分から話せないから』

男『話せないってことは、失敗したあとが怖いってことだろ?』

女『た、確かに』

男『大丈夫、俺がいるんだから自分から行動してみなよ』

女『う、うん』

翌日。

男「おはよう! 女!」

女「?!」

モブ「えっ」ザワザワ

ーー
ーーー
男友「そんなこともあったねー」

男「う、いや、うん。そうだな」

男友「あれ、でも男って恋愛小説嫌いだったんじゃ…」

男「は? 何の話?」

男友(すっとぼけるんだね)

女「ということで、美女さんのお別れ会ー」

男友「・・・」

男「無言で泣くなよ。キモいな」

美女「・・・」

男「何だよ。睨み付けるなよ」

女「まあまあ。みんな仲良く」

男「おい、駅まで見送っただろ。諦めろ」

男友「だってー」

男「遠距離とか素敵だろ。な、女。新刊でもそんな内容だったよな」

女「私も密かに思ってた」

女「今日は楽しかったなー」

男「うん」ゾクッ

男(あれ、何だこの感じ)

女「どうしたの?」

男「何でもねえ」

男友「美人を連れ回して、やりますねえ男くん」

男「うるせえよ!」

序章 完

男「文化祭が始まる」

男友「美女ちゃーん」

男「まだ言ってるのかよ女々しいな」

担任「あー、はいはい。うるさいぞ。委員を早急に決めないといけないのに」

男友「そんなこと言われても」

ざわざわ

女「・・・」チラッ

男「俺は別にやってもいいけど」

男友「なんだよ嘘つけ」

女「・・・先生」スッ

担任「どうしたんだ」

女「…あの、やります」

モブ「え、どういう」

女「私、委員をやります」

男「女…」

担任「それじゃ、そう言う事だから、今日は解散!」

男「え、ちょ…」

女「男くん。心配してる?」

男「そりゃ、そうだろ。大丈夫なのか?」

女「うん。ちょっと頑張ってみることにしたんだ」

男「無理はするなよ」

女「大丈夫だって」

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