――事務所――
相葉夕美「~~~♪」←花の水やりをしている
北条加蓮「…………」パラッ ←雑誌を読んでいる
モバP(以下「P」)「うーむ…………」カタカタ ←お仕事中
道明寺歌鈴「…………!」プルプル ←ぷるぷるしている
加蓮「…………? どうしたの歌鈴? トイレなら行ってくれば?」
P「お前にはデリカシーってもんがないのか……」
加蓮「Pさん相手に期待するだけ無駄だし」
P「ヒデェ」
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――注意事項――
キャラ同士の一部の呼称を意図的に変更しています。
歌鈴「ちっ、違います! あのっ…………夕美ちゃん!」
夕美「~~~♪ ……えっ、私? どうしたの、歌鈴ちゃん?」
歌鈴「そ、その、前からずっと思ってたことなんですがっ」
加蓮「おお……?」
歌鈴「最近の夕美ちゃんは……藍子ちゃんとユニットを組みすぎな気がします!」
夕美「ええ!?」
歌鈴「私だってっ。私だって、たまには藍子ちゃんと一緒に、らら、LIVEがしたいです!」
P「んー……言われてみれば、最近の藍子はよく夕美とユニットを組んでもらっているな」
夕美「そういえばそうだね。藍子ちゃんとのLIVE、すっごく楽しいんだ♪ ほら、藍子ちゃんの誕生日の時は特に――」
歌鈴「それです! 誕生日の時だって……ううっ、夕美ちゃん、ズルいっ」
夕美「いや、ズルいって言われても」アハハ
加蓮「……確かにね。私もそれは気になっていたんだ」パタン
夕美「加蓮ちゃんまで!」
加蓮「歌鈴の気持ちも分かるよ私。藍子を独占するなんて、ズルいんじゃないかな、夕美」
歌鈴「…………」ジトー
加蓮「…………え? 何? なんで歌鈴は私を睨んでるの? 夕美じゃなくて」
歌鈴「だって加蓮ちゃんも……いっつも藍子ちゃんを取ってますしっ。藍子ちゃん、一昨日に加蓮ちゃんとのお買い物のこと、すっごく楽しそうに話していました!」
歌鈴「私だって、藍子ちゃんと服を選んだり、お茶を飲んだり、神社の掃除をしたり、いろいろやりたいのに!」
加蓮「いや、じゃあ誘えばいいじゃん……。って、今は歌鈴の話じゃなくて」
歌鈴「はわっ!?」
加蓮「ねー、夕美。確かに藍子とのLIVEは楽しいしやりやすいかもしれないけどさー、ちょっと最近、独占しすぎじゃない?」
夕美「ふふっ、藍子ちゃんとのLIVEはホントに楽しいよねっ。衣装にいろんな花飾りを試してみるんだけど、藍子ちゃんが付けるとどれでも似合っちゃって」
夕美「それなのに藍子ちゃんは何をつけても藍子ちゃんって感じで、選ぶ私もすっごく楽しくなっちゃうんだ♪」
夕美「藍子ちゃん、いつもファンの皆に笑顔をあげたいって言ってて、私もそうしたいって思ってるから、すぐに気が合って」
夕美「最近は藍子ちゃんにつられて、写真を撮るのが趣味になっちゃって。見て見て、これうちの花の写――」
加蓮「誰も惚気話をしろって言ってない!」
夕美「わひゃ。えへへ、つい。でも、それだけ楽しいってことだよ! だから加蓮ちゃんや歌鈴ちゃんの頼みでも、これは断っちゃうかな?」
歌鈴「むー……!」
加蓮「……言いたいことがあるなら言えば? 歌鈴」
歌鈴「むむー……! でも、その、私っ……!」
P「あー…………夕美、加蓮、歌鈴。本人不在で熱くなっているところに大変申し訳ないんだが」
夕美「え?」
歌鈴「ふぇっ」
加蓮「……嫌な予感」
加蓮「そうだ、肝心の藍子は? またLIVEの予定が入ってるんでしょ。次は誰とのユニットになってるの?」
P「うん、それが言いたくてな。次は愛梨との「AI's」を久々に出そうと思っ」
加蓮「おのれおっぱいお化け! そんなに藍子をいじめたいか!」
夕美「ええぇ…………」
歌鈴「どういう意味ですか?」
加蓮「それは…………ほら、愛梨と藍子が並んだら、ほら、……じゃない?」
夕美「そ、それあんまり藍子ちゃんに言わない方がいいよっ。気にしてないように見えるけどけっこう気にしてるみたいだから」
加蓮「知ってるって」
歌鈴「……???」
P「いや、その辺の話は加蓮も大して変わらないっていうかむしろお前は藍子と身長が同じなんだからお前の方がダメージに」
加蓮「わーPさんセクハラー」
P「じゃあ俺の前で胸がどうとかって話をするなよ!」
歌鈴「胸……? …………あ、そういうことですかっ。そうでしゅ……そうですよっ加蓮ちゃん。それは藍子ちゃんに失礼です!」
加蓮「ほら敵が増えたじゃん!」
P「俺に言うな!」
歌鈴「藍子ちゃんは、今の藍子ちゃんだからいいんです!」
夕美「あ、それ分かる! ひかえめなのが良いって藍子ちゃんも言ってるけど、私もそういうのが好きかな。それでもアイドルって感じだから、藍子ちゃんってスゴイよね!」
歌鈴「ですよね! ですよね!」
加蓮「ああもう、夕美も歌鈴も藍子のことが大好きなのは分かったからっ」
夕美「加蓮ちゃんには言われたくないかな!?」
歌鈴「そうですよ! 加蓮ちゃんだってこの前っ、藍子ちゃんとカフェに行く約束して、まだかなまだかなってそわそわしてたの、私見ましたっ!」
加蓮「あっ……あれはっ別にっ! 最近ちょっと遊びに行くことが減ってきたからっ別に藍子だからって話じゃないし!」
夕美「素直になろっ♪」
加蓮「やめてよそのお姉さんがあやすみたいなの! あ、こら、頭撫でないで!」
P「はいはい、楽しそうにじゃれついてるところ悪いが、」
歌鈴「こっ、これでも真面目に考えてるつもりですっ……!」
P「お、おう、悪い歌鈴。とにかく、次の藍子は愛梨とユニットを組む。これはもう決定事項だからな。エントリーもしているし、変えようがない」
夕美「そんなぁ」
P「だけどな、その、次の次ならまだ枠はあるし完全に未定だから、そこを決めるってことでどうだ」
夕美「…………」
加蓮「…………」
歌鈴「…………」
P「き、急に大人しくなったな。こっちとしても藍子が誰かしらとユニットを組むのは賛成だし、誰と組んでも藍子の別の魅力を伝えられると思うし」
P「本人がこの場にいないのは考えモンだけど……藍子もきっと喜ぶだろう。とにかく、次の次の予約くらいなら、まあできるからな」
P「っと、悪い、急ぎのメールだ……俺は出てくる。また決まったら教えてくれ。じゃ」バタン
夕美「…………」
加蓮「…………」
歌鈴「…………」
加蓮「…………とりあえず、さ。全員で押しかけると藍子が困るだろうし、それはナシってことにしない?」
夕美「……そうだね。私も、藍子ちゃんを困らせたくないもん」
歌鈴「……藍子ちゃん、みんなに優しいから、きっと困っちゃいます」
加蓮「オッケー。ありがと。…………で、さ」
加蓮「誰が藍子にお願いするのか、どうやって決めるの?」
夕美「…………」
歌鈴「…………」
加蓮「…………」
夕美「…………」
歌鈴「…………」
加蓮「…………」
夕美「……やっぱり、ここは譲って欲しいな?」
加蓮「む」
夕美「ほら、さっきは歌鈴ちゃんが私ばっかり組みすぎって言ったけど、まだそんなに何回もって訳じゃなくて……試していない花飾りだって、まだいっぱいあるもんっ」
夕美「最近は植物園に行っても、このお花は藍子ちゃんに似合うかな? っていうお花が、たくさん見つかったんだ!」
夕美「藍子ちゃんとのLIVEはホントに楽しくて、藍子ちゃんとならますますやる気が出るっていうか……だから、ねっ?」
加蓮「えー…………」
歌鈴「確かに……夕美ちゃんと一緒の藍子ちゃんは、すごく魅力的ですっ。いえ、いっつも魅力的で綺麗でカッコイイんですけど……」
歌鈴「……そ、それでもっ、やっぱり夕美ちゃんはズルですっ」
夕美「ぅー」
歌鈴「私だって、その、ボイスデビューはできましたし、Pさんにはいっぱい褒めてもらいました」
歌鈴「ドジだって、プラスにするんだって考えたら、前よりずっと楽になれた気がします」
歌鈴「でも、それでもっ、……ううん、だからこそ! 私、もっと藍子ちゃんに、いっぱい教えてもらいたいことがあるんです!」
歌鈴「私にとって藍子ちゃんは、先生みたいな人だからっ。……あ、藍子ちゃんは、そんなの変だって言いますけど……あはは…………」
夕美「ぅぅ……歌鈴ちゃんの言ってることもすごくそう思うって思っちゃうから、反論しづらいよ……」
加蓮「藍子と一緒にLIVEしてた時の歌鈴は、安定感が半端ないっていうか、安心して見られたよね」
夕美「それに、藍子ちゃんといる時の歌鈴ちゃんも、すっごく楽しそうだって分かってて……も、もしかして私って悪者!?」
加蓮「うん」
夕美「即答しないでよ!?」
歌鈴「べ、別に夕美ちゃんが悪いって訳じゃ……悪者って言うならむしろ、」チラッ
加蓮「はいはいどーせ私は悪者ですよーだ」
夕美「そんなことないよ! 加蓮ちゃんだって、すっごくいい子だよ。藍子ちゃんもよく言ってるもん、加蓮ちゃんには元気付けられるって」
加蓮「ありがと……。それはいいんだけど、夕美、アンタは誰の味方なの?」
夕美「あ。……そ、それとこれとは別の話っ」
歌鈴「私とお話している時は、藍子ちゃん、よく夕美ちゃんのことを言うんです。一緒に落ち着いてできるって、ゆっくりできて楽で、楽しいって……」
歌鈴「わ、私、転んでばっかりで迷惑をかけちゃってるから、……あうぅ…………」
歌鈴「藍子ちゃんとユニットは組みたいけど、でも、あんまり強く言えないんです……」
加蓮「大丈夫大丈夫、私なんて意識して振り回してるから遠慮なんていらないでしょ」
歌鈴「やっぱり加蓮ちゃんは敵です!」
夕美「加蓮ちゃんこそどうしたいの?」
歌鈴「それでも私……いつか、いつか、藍子ちゃんに、気を遣わなくていいって言えるように、私は大丈夫だって言えるように……」
歌鈴「ううんっ、今なら、もっともっと練習すれば、言える気がするんです!」
歌鈴「もう、藍子ちゃんの困った笑顔を見ることも、きっとない筈なんです!」
歌鈴「だっ……だから、私も藍子ちゃんとまたLIVEがしたくて……お願いします夕美ちゃん! 夕美ちゃんのLIVEがスゴイってことも、私、知ってますけど! 私だって……!」
夕美「ぅぅぅ……!」
夕美「……か、加蓮ちゃんは何かないのかなっ? ほら、藍子ちゃんとLIVEしたい理由っていうか、藍子ちゃんのこういうところが好きなんだーっていうの!」
加蓮「私? 言ったじゃん。意識して振り回せる」
夕美「そんなこと言うなら藍子ちゃんを任せたくないんだけどなぁ!?」
加蓮「いや、だからこそなんだって。藍子といると、良い意味で好き勝手できるって言うかさ」
加蓮「クリスマスの時は菜々も加えて3人でLIVEをやったんだけど、なんかもう遠慮する必要がなかったっていうか、どれだけやってもついてきてくれるっていうかさ」
加蓮「まるでずっとユニットを組んでたみたいで、すごく心地よかったんだよ。Pさんも言ってたもん。思ったよりずっと安心して見られたって」
夕美「息がピッタリって感じなんだねっ」
歌鈴「わ、私だって、私だって……ぅう、でもまだ藍子ちゃんに頼っちゃうことが多くて…………」グスッ
加蓮「……さっきの元気はどこ行ったの?」
夕美「さっきの歌鈴ちゃん、すっごくカッコよかったよっ。きっとPさんも喜んでくれるんじゃないかな?」
歌鈴「ほ、ホントですか!」
加蓮「やる前からできないって言ってたらなんだってできないよね。アイドルだって、転ばないことだって」
夕美「私も! 最近はLIVEの規模が大きくなって、不安に思っちゃうこともあるけど、でも、自分なら大丈夫だって思ったら大丈夫っ。だから歌鈴ちゃんも、大丈夫!」
歌鈴「ぐすっ……は、はいっ。今の私なら、大丈夫!」
加蓮「…………って、敵に塩を送ってどーすんの夕美!」
夕美「最初に言い出したの加蓮ちゃんだよね!」
加蓮「それはっ……か、歌鈴がめそめそしてるから悪いの!」
歌鈴「ええっ!?」
加蓮「そーいうの鬱陶しいっていうか、やる前からあーだこーだ言うの大っ嫌いなのよね私!」
歌鈴「だっ、誰でも加蓮ちゃんみたいにずーずーしくできるんじゃないですからっ!」
夕美「わっ。ふ、ふたりとも喧嘩しないで! ほら、ね? 今は藍子ちゃんの話でしょ。喧嘩は……また後で!」
加蓮「……そうだったね」
歌鈴「……そうでしたっ」
加蓮「ま、藍子のことだけど……もちろん相性の良さだけで説得するつもりはないよ。でもさ、逆に考えて欲しいんだ」
加蓮「私がやりたいようにやれるってことは、藍子だってきっとそう。別に……歌鈴や夕美といる時に藍子が無理してるって言うつもりはないけどさ」
加蓮「藍子だって、たまにはやりたい放題できるユニットでLIVEするのもいいと思うんだ」
加蓮「だから、たまには私に譲ってよ。藍子のストレス解消って意味でもさ」
夕美「……藍子ちゃん、言ってたなぁ。加蓮ちゃんといると弾けられる、とか、加蓮ちゃんならワガママも言いやすい、って」
夕美「でも、私のお話だって面白いって笑ってくれたよっ」
歌鈴「わた、私も! 一緒にお茶を飲むのも落ち着いていいねって言ってくれました!」
加蓮「むぅ」
歌鈴「あのぅ……」スッ
加蓮「ん?」
夕美「なにかなっ、歌鈴ちゃん」
歌鈴「今、ちょっと思い出したことがあってっ。あの、加蓮ちゃん!」
加蓮「私?」
歌鈴「私と夕美ちゃんは、藍子ちゃんと2人のユニットがありますけど……加蓮ちゃんって、ユニットありましたっけ?」
加蓮「うぐ」
夕美「えーっと…………あ! ホントだ! 菜々ちゃんとのはあるけど、加蓮ちゃんと藍子ちゃん2人がLIVEしてるの見たことないよ!」
加蓮「や、あることにはあるんだけどさ……ユニットじゃないっていうか…………」
加蓮「…………ゆ、ユニットなんて今から作るの! 作ればいいんでしょ!」
夕美「ユニット名は?」
加蓮「ユニット名? ん~~~~~うん! 『プラス・ラブ』! ほら、私と藍子、加蓮と藍子で"恋愛"だから"ラブ"! あとはテキトー!」
夕美「…………」
歌鈴「…………」
加蓮「……そんなに変!?」
歌鈴「変ってわけじゃ、ないんですけど……」
夕美「……なんだか、どこかで聞いたことあるような……?」
加蓮「気のせい!」
歌鈴「でっ、でも、愛を伝える藍子ちゃんっていうのもステキでいいと思います!」
加蓮「愛(藍)だけに?」
夕美「最初に言ったの加蓮ちゃんだからね?」
加蓮「ごめん」
歌鈴「って、違います~~~っ! 加蓮ちゃんにユニット作らせちゃ駄目なんですっ! そうしたら、また藍子ちゃんが!」
夕美「そ、そうだよ! もうっ、加蓮ちゃんってホントに抜け目ないよね!」
加蓮「最初に言ったの歌鈴じゃん!」
歌鈴「そういうつもりじゃなかったんです!」
夕美「Pさんなら大賛成しちゃうよね……加蓮ちゃんと藍子ちゃんのユニット」
加蓮「でしょー?」
加蓮「それに、よく考えてみて。ほら、今回さ、夕美が大きめの仕事をもらって、それに奏が同伴することになってるじゃん」
夕美「そうだねっ。奏ちゃんとはあまりお話したことないけど、どんな人なのかな?」
加蓮「ミステリアス。でも話を聞いてるとすごく面白いよ。面白い価値観っていうかな……って、奏の話はまた後っ」
加蓮「悔しいけど、今の夕美っていえば藍子とのユニットだよね。で、奏は私とユニットを組んでいる」
歌鈴「ウェディングドレスのですよね! 最初に見た時はすごくびっくりして、腰が抜けそうになっちゃいました」アハハ
加蓮「大げさな……」
夕美「それで、私と奏ちゃんがどうかしたのかな?」
加蓮「うん。藍子とユニットを組んでる夕美と、私とユニットを組んでる奏。一緒に仕事をしたってことは、これはもう次の仕事は私と藍子のセットで決まりだよね!」
歌鈴「ええ~~~っ!」
加蓮「ほら、偶然にも私と藍子はクリスマス以来、それほど大きな仕事もしていないし」
夕美「でも、クリスマスの時に一緒にお仕事をしたってことは、次は別々になるんじゃない? ほら、新しい組み合わせを探すんだーってPさんも張り切ってたから」
加蓮「甘い、甘いよ夕美。私はCDデビューした時に菜々と仕事をして、クリスマスの時にも菜々と仕事をしたんだよ」
加蓮「じゃあクリスマスの時に藍子と仕事をした私は、次の仕事も藍子と一緒だよね」
夕美「わ、わぁ…………なんだか頷いちゃいそう」
夕美「あ、でも! それを言うなら、私、ドキュメンタリーアニメ(アニメ版シンデレラガールズのこと)のオマケラジオで藍子ちゃんと一緒だったよ!」
夕美「Pさんもその時のこと、すっごく褒めてくれたんだ♪」
夕美「その時に、次は藍子ちゃんと一緒に売り出すのもいいかも、って言ってたから、私にだってチャンスはあるんじゃないかな!?」
加蓮「む……確かに、その時のことをPさんが覚えてたらユニットも優先しそうだね。私なんて半年も前のことだし」
歌鈴「……………………私、もうずっと藍子ちゃんと一緒に、目立つようなお仕事やってません」
加蓮「あ」
夕美「あ」
歌鈴「……………………ちっちゃいお仕事なら、ちょっとずつ……」グスッ
加蓮「…………こ、この方面はナシにしよっか」
夕美「そ、そうだね! ほら、定例LIVEとかでも歌鈴ちゃんは藍子ちゃんとよくやってるから、きっと次にチャンスがあるよ!」
歌鈴「……で、ですよね! ……ですよね?」
加蓮「でもユニットの相手は譲らないけどね」
夕美「そ、そういえばそうだったねっ」
歌鈴「私だって、譲りたくないです!」
夕美「ほら、私だってまだCDデビューが内定しただけだし、藍子ちゃんからいっぱい教えてもらいたいのは私も同じだよ!」
歌鈴「ゆ、夕美ちゃんは1人でも大丈夫じゃないですか! そのっ、今回のお仕事だって、ほとんどNGなしだったってPさんがっ」
夕美「歌鈴ちゃんだって、ちょっと前のLIVE、すごかったよ♪ もう独り立ちしてもいい頃じゃない?」
歌鈴「あれは……その、うまくいったことが、自分でもマグレの偶然だったからっ……」
歌鈴「だってあの後、別のレッスンで、また思いっきり転んじゃって……まだまだ私には、藍子ちゃんが、いえ、藍子ちゃん先生が必要なんです!」
夕美「むーっ。歌鈴ちゃんってちょっと自己評価が低すぎない!? ねえ加蓮ちゃん!」
加蓮「…………え? あ、歌鈴? うん、そうかもね。それはちょっと後にしてさ……」
加蓮「あのさ。なんかもう話し合ってもどうせ結論なんか出ないんだし、いっそ藍子に聞いてみた方がよくない?」
歌鈴「えっ、で、でもさっき、みんなで詰め寄ったら藍子ちゃんが困っちゃうからって」
加蓮「詰め寄るんじゃなくて……うーん、例えば、みんなでステージをやって見せてさ。それで、藍子にユニットを組みたい相手を選んでもらうとか」
夕美「それ面白そうっ♪ せっかくだから事務所でやろうよ。Pさんにも見てもらいたいなっ」
歌鈴「私も賛成ですっ! ……で、でも、加蓮ちゃんと夕美ちゃんと勝負……いえ! 私、負けません! 藍子ちゃんから選ばれるくらいに頑張りますっ」
加蓮「決まりだね。せっかくだから3人で即席ユニットでも組んでさ」
夕美「藍子ちゃんにお披露目するんだね!」
歌鈴「ゆ、ユニットを、この3人で……!?」
加蓮「どしたの歌鈴。私とじゃ嫌?」
歌鈴「ぜんぜんっ。む、むしろワクワクしてきたっていうか、あのっ、今からでもレッスンスタジオ空いていないでしょうか!?」
加蓮「ちょっとトレーナーさんに連絡してみる」
夕美「加蓮ちゃんと歌鈴ちゃんかー、何の花が似合うかな? やっぱりアオイと……ううんっ、もっと明るい花がいいかな!?」
歌鈴「大丈夫……大丈夫……歌鈴はやれますっ。相手が手ごわすぎても、きっと頑張れる……っ!」
加蓮「オッケーみたい。じゃあ行こっか」
夕美「はーい♪」
歌鈴「はいっ!」
――数日後 事務所――
セット <マッテタヨ
高森藍子「あ、あの、これはいったい……?」
P「いや、なんかな……夕美と加蓮と歌鈴が、事務所でやりたいって。で、それを是非とも藍子に見せたいって言ってな……?」
藍子「はあ……。夕美さんと、加蓮ちゃんと、歌鈴ちゃんが、ですか?」
P「俺にも訳分からんけど、拒否しようとしたら加蓮がパソコンに手をかけてきてな……弱っちいプロデューサーですまんな…………」
藍子「い、いえっ、それはそのっ、後で加蓮ちゃんに言っておきますからっ」
藍子「でも……私に見せたいステージ、って……」
扉 <ガチャ
P「お、来たみたいだ……ぞ…………」
加蓮「お待たせ、Pさん、藍子」
歌鈴「あっ、あのっ、えと、き、今日はありがとうございばっ! ……すぅ、あ、ありがとうございます!」
夕美「急のお願いでゴメンね♪ 今から私たちのステージをお披露目するから、Pさんと藍子ちゃんには見ててほしいんだ」
P「…………それはいいんだが、3人とも……」
藍子「衣装もすごく凝っていて……今すぐにでもLIVEに出るみたいな……」
加蓮「当たり前でしょ? 衣装だけは譲れないって、ずっと言ってるじゃん」
夕美「どんなLIVEだって気を抜いたら失礼だし、楽しくないからね!」
歌鈴「わ、私たち、いっぱい練習しましたからっ……あのっ、しっかり見守ってください!」
藍子「は、はあ……」
夕美「じゃ、始めよっか♪」
加蓮「うん。行こっか、夕美、歌鈴」
歌鈴「はいっ! えと、ユニット名、『藍子ちゃんに選ばれ隊』です!」
藍子「……はい!?」
夕美「ステージが終わったら、誰か1人を選んでね、藍子ちゃん」
歌鈴「わっ、私たちみんなっ、……すぅ……ヨシっ! 私たちみんな、藍子ちゃんとユニットを組みたいんです!」
加蓮「あ、ついでにPさんも。Pさんが選んでくれた人が、次のお休みを独占できるって話になったから」
藍子「え、ちょっと待ってください!? ユニットって――」
P「オイ待て俺の休みを賭けに使うな! つうかそれだと俺が投票する意味なくねえか!?」
加蓮「じゃあ藍子が選んだ人がそのままPさんの休日を――」
P「そういうことじゃねえよ!」
夕美「音源、準備オッケー!」
歌鈴「簡単なライトも、大丈夫でふ……大丈夫です! はい、床も抜ける心配ナシです!」
加蓮「うん。……じゃあ行くよ、Pさん、藍子。私たちのステージ、しっかり見ててね♪」
P「いやだからちょっと待――」
――ステージが終わって――
加蓮「ぷはっ! ……つ、つっかれたぁ……」
夕美「はー、はー、た、楽しかったぁ……!」
歌鈴「私、ミスなくやることができました! それで……その……ぴ、Pさんと藍子ちゃんはっ!」
加蓮「そうだった。ねえ、どうだった!?」
P「いや…………ええとさ………………」
P「この話って出たのいつだ?」
夕美「話って?」
P「藍子に見せるとか、俺に見せるとか……」
加蓮「いつだっけ……?」
歌鈴「えっと、いち、にー……3日前、ですね」
P「3日で!? え、3日でこのクオリティ!?」
歌鈴「あわわっ、そ、そんなにひどかったってことですか……?」
P「逆だ! しかも加蓮と夕美は仕事があったろ!」
加蓮「終わってから練習しましたー」
夕美「2日目は加蓮ちゃんのおうちにお世話になりました♪」
P「こ、恐ぇ……こいつら恐ぇ…………」
加蓮「何が何でも藍子とユニットを組みたいってことだよ。あとPさんの休日」
夕美「それだけ藍子ちゃんとユニットを組みたいってことだね♪ それとPさんとデートっ」
P「デート言うなや!」
歌鈴「わ、私も、一緒に、ご、ご、ご飯を……」
加蓮「さて――藍子は、誰を選ぶのかな?」ニコッ
夕美「!」ドキドキ
歌鈴「……っ」ビクビク
藍子「……………………」
藍子「…………あの、ちょっといいですか?」
加蓮「何? 決める時にはスパット決めてよ。選ばれなかった人のことは、今は考えなくていいからさ」
藍子「いえ、そうではなくて……あっ、その前に……3人とも、お疲れさまですっ」
藍子「Pさんじゃないですけれど、すごいステージで……私、ドキドキしちゃいましたっ」
夕美「やった♪」
歌鈴「よ、よかった……」ヘタッ
加蓮「……ま、夕美と歌鈴なら余裕だね」
藍子「それで……その、これって、私が誰とユニットを組むかってお話、なんですよね?」
加蓮「うん。ほら、最近の藍子は夕美とよくユニットを組んでるし、私と歌鈴が不満を言ったら……ね? こうなったの」
藍子「はぁ。それなら……あの、Pさん」
P「ん?」
藍子「私――」
藍子「私、この3人と一緒に、私も含めて4人で、ユニットを組んでみたいです。それじゃだめですか、Pさん」
加蓮「!?」
夕美「……あっ」
歌鈴「え!?」
藍子「よかった……♪ 私、夕美さんや歌鈴ちゃんと一緒にLIVEしてて、加蓮ちゃんともよくお仕事をしていて」
藍子「それもとっても楽しいですし、助けてもらっていますけれど、でも」
藍子「たまには、みんなで一緒にお仕事できたら……もっと、幸せになるかな、って」
藍子「もっと、ファンの皆さんも幸せにできるかなって、思うんです」
藍子「加蓮ちゃんのエネルギーは、いつも元気づけられます」
藍子「夕美さんの華やかな舞台は、いつもどんな風になるか楽しみにしているみたいです」
藍子「歌鈴ちゃんの一生懸命さは、見ていて頑張ろうって気持ちになれます」
藍子「だから、みんなでお仕事や、LIVEをしたら……きっと、すごいことになるだろう、なんて」
藍子「……でっ、でもっ、これって勝負なんですよね。やっぱり、それじゃ、駄目なのかな……?」
加蓮「あー……いや……」
夕美「い、いいんじゃないかな……うん、すっごくいいと思うよ、それ!」
歌鈴「どうして最初にそれを思いつかなかったのでしょうか……」
加蓮「え? 夕美が藍子を独占するからでしょ」
夕美「私のせい!?」
加蓮「もしくは歌鈴が夕美にイチャモンをつけたから」
夕美「話をおおごとにしたのって加蓮ちゃんじゃなかった!?」
歌鈴「でもっ……藍子ちゃんと、それに、加蓮ちゃんと夕美ちゃんのユニット……って」
夕美「面白そうだね! きっとたくさんのファンの人が来てくれるよ!」
藍子「ほっ……じゃあ、その、Pさんっ」
P「よし。さっそく上に掛け合ってから、次のスケジュールを確認してくる。いやもうユニット結成記念ってことで特別LIVEしてもいいんじゃないかこれ」
P「この4人だったらあらゆる方面に営業をかけても効果がありそうだし……おおお?」
P「なんかすげえことになるんじゃねえか? これ、すごいことになるんじゃねえの!?」
加蓮「ふふっ。気付くのが遅いよ、Pさん」
P「そうと決まれば早速! ちょっと営業行ってくる!」バタン!
藍子「あっ」
夕美「あ、あれ? 部長さんや社長さんに言わなくてもいいの……?」
加蓮「……まあ、私たちが心配することでもないでしょ」
藍子「あはっ、そうですね! 私たちは、みんなでレッスンして、リハーサルして、Pさんの期待に応えられるようにしましょう!」
歌鈴「お、おーっ!」
夕美「おーっ♪」
加蓮「おー!」
加蓮「でさ」
夕美「?」
加蓮「4人でのレッスンって、2人2人でやることもけっこう多いよね」
夕美「うん、そうだねっ。……あ!」
歌鈴「?」
加蓮「で、誰が藍子と一緒にやるの?」
藍子「え」
歌鈴「わっ、私! あの、藍子ちゃんにはまだまだ見てほしいことがいっぱいあって!」
加蓮「私でいいじゃん。ボーカルとビジュアルなら藍子に教えられる自信あるし、トレーナーさんの手間も省けるよ」
夕美「衣装と演出のお話なら負けないよっ。最初に決めても損はないんじゃない?」
藍子「え、あ、あの、みなさん……?」
歌鈴「……やっぱりこうなるんですね……! 今度は、藍子ちゃんとのレッスンを賭けて勝負です!」
夕美「うんうんっ。何がいいかな。そうだ、ビジュアルとボーカルとダンスそれぞれの課題をそれぞれトレーナーさんに見せてからっていうのは?」
加蓮「それなら文句もないよね。ふふっ、実力差を見せつける時が来たかな?」チラッ
歌鈴「むーっ……私、加蓮ちゃんだけにはぜーったいに負けませんからね!」
夕美「えーっ。私だって、やる時にはやるんだよっ♪」
<ヤイノヤイノ
<ヤイノヤイノ
<ヤイノヤイノ
藍子「み、みなさん!? もうっ、だからレッスンもみんなでやればいいじゃないですか~~~~~!」
おしまい。
「インディゴ・ベル」
道明寺歌鈴・高森藍子
「クリスマスメモリーズ」
安部菜々・高森藍子・北条加蓮
「Flowery」
相葉夕美・高森藍子
きっとみんな藍子が大好き。
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