GACKT「アイドルマスター」 (294)

このスレは
GACKT「モバマス?」の続きです
GACKTアイマスシリーズはこれで終わりにします

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朝8時。

僕にとっては、遅すぎる朝。

「…」

おまけに暑い。

梅雨の時期も遅れたことから、何だか身体も変な感じ。

まあ、ジメジメしてるのは好きだから良いんだけどさ。

『今日はニューヨークから常務が帰国するんだよ。…まあ、よろしく頼むよ』

前日、部長から知らされていたけど。

ニューヨーク…ね。

…。

……。

「…はあ?」

…よく分かった。

この会社、結構ヤバイ。

ヤバイってレベルじゃない。

ガチヤバイ。

…そりゃ平社員がおしゃれな小料理屋を行きつけにするんだもんなあ。

ああ、ガチヤバイ。

「…っていうか…」

あれからいまだ元の世界に帰る手段が見つからない。

今もこうしてスーツを着て、鞄を持って「出社」なんて言葉を使ってる。

でも、何だろう。

最近、この世界が本当に面白いと心から思えてくるようになった。

色んな奴と関わって、接して。

元の世界では味わえない新鮮さを僕にくれた。

…この世界も、この世界で悪くはない。

…。

「…いや、流石に帰れないと困るよ」

城のデザインが施された正門を見上げ、一般人ライフを満喫する自分は正直嫌だ、と思う。

いつまでも舞台袖から見てるのはつまらないしな。

…まあ、とりあえず。

今日も、頑張ろう。

「楽斗さん、おはようございます」

「…おはよう」

…もう警備員の顔も全部覚えちゃったよ。

「おはよう」

「ああ、おはよう。…おや?今日は眼鏡かな?」

「一応サングラスだよ」

相変わらずのっそりとした動作で立ち上がり、こちらに歩み寄ってくる部長。

…一体彼はいつ仕事をしてるんだろう。

「アイドルの子達は…まだ来てないみたいだねぇ。時間もまだ早いから、もう少しかな?」

時計を確認しながら玄関口を見る。

孫を待つ爺さんか。

…ん?

「…」

「?GACKT君、どうかしたかね?」

その時だった。
ふと、後ろから感じる視線。

「…」

振り返ってみたが、いない。

いや、人はいるけど、それらしき奴はいない。

「…なんでもないよ。行こうか」

「…?ああ、そうだね」

…一度視線を感じたくらいで何を考えているんだ。

たまたまだよ。たまたま。

「…!」

「?」

…そうそう、たまたまなんだよ。

…勘弁してくれ。

僕は怖いのは苦手なんだ。

「しかし、あのアイドルフェスからもう一ヶ月か。時が経つのは早いものだねぇ」

「…そうだね」

一ヶ月。

思い返すと、色々あった。

まず、LIVE翌日の一面。

僕を中心としたシンデレラガールズ達の写真。

見出しは『アイドルLIVEにまさかの乱入!?』。

失敬な奴だ。

乱入者があんな堂々としてるもんか。

『シンデレラガールズプロジェクト 「行くぞお前ら!」』

…そうそう。これだよこれ。

これくらいの感じでやってほしいもんだ、どの新聞も。

こういうこともあってか、シンデレラガールズ達は無事、有名アイドル達の仲間入りを果たした。

「…」

今では、全員休みだなんて事はほとんどない。

スケジュール表はそれなりに埋まっており、それなりに活動出来ている。

…まあ、それなりだけど。

何にせよ、まだスタート地点に立っただけなんだから。

こんなんで満足させる気はないよ、僕は。

いつも通り、自分のデスクに身を置く。

周囲を見ると、アイドル達が持ち寄ったグッズが並べられている。

…毎日思うけど、まさか僕があんな子供達の世話をしているなんてな。

毎日のように子供達にちょっかいをかけられ、抱きつかれ。

昔の僕なら怒っていただろう事だけど、何故だろう。

もう彼女達が可愛く見えてきていた。

きっと親心なんだろう。
…じゃなかったらマズイ。

「…」

未央のクッションを手に取る。

ハンバーガーの形をしたクッション。

女の子らしい物とは思えないけど、これを抱えて座っている未央は可愛らしく見える。

「…」

本田未央。

あの子には随分苦労させられた。

ムードメーカーのように見えて、実は一番繊細な子だった。

だけど、何とかそれを乗り越えた。

紆余曲折あったけど、彼女はニュージェネレーションズのリーダーとして輝いた。

「…」

他の私物にも目を向ける。

ヘッドホンに、ブランケットに、花に…。

「…」

はじめは貧乏くじを引いたと思っていた。

でも、そうじゃなかった。

僕にとってかけがえのないものとなっていたんだ。

この、出逢いは。

「GACKTさん!おはようございます!」

「おはよう、ちひろ」

いつもの緑スーツに、三つ編みにした栗色の髪。

変わったスーツだと思っていたけど、今ではもう見慣れてしまった。

…この当たり前のように差し出してくるわけのわからないジュースも。

いや、だからいらないって…。

「…そういえば、もうシンデレラガールズプロジェクトが出来て半年以上経つんですよね」

「そうだね」

「どうでしたか?アイドルのみんなは成長しましたか?」

「…んー…」

どうだろう。

基本は出来るようになったけど。

まだまだ発展途上というところだろうか。

「…正直、あれくらいのレベルならいくらでもいるよ」

「…ふふっ。ならまだ伸び代があるという事ですよね?」

「そうだね。これからだよ」

僕の返答は予測出来ていたようで、ちひろは笑みの表情を変えることなく答えた。

僕の事なら大体知っているとでも言いたげな感じだ。

…僕はお前の事は半年分しか知らないけどさ。

「…そういえばGACKTさん」

「何?」

「…さっき未央ちゃんのクッション見てましたけど、何かあったんですか?」

「…」

純粋な疑問だろうか。
それとも何かしらの下心があってのものだろうか。

「…別に、変な事を考えてたわけじゃないよ」

「じゃ、何ですか?」

身を乗り出し、見つめてくる。
思春期真っ盛りの中学生か、お前は。

「…一番成長したのは、未央だからかな」

「…色んなことが、ありましたからね」

半年。

その間に色んなことがあった。

アイドルとの出逢いや、仲違い。

…面白いといえば、面白いよな。

「GACKTさんなら、トップアイドルにしてくれるって信じてますから」

「…ありがとな」

何気ない応援だけど、孤独な中年男にはありがたい。

ルイズ!ルイズ!ルイズ!ルイズぅぅうううわぁああああああああああああああああああああああん!!!
あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!ルイズルイズルイズぅううぁわぁああああ!!!
あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん
んはぁっ!ルイズ・フランソワーズたんの桃色ブロンドの髪をクンカクンカしたいお!クンカクンカ!あぁあ!!
間違えた!モフモフしたいお!モフモフ!モフモフ!髪髪モフモフ!カリカリモフモフ…きゅんきゅんきゅい!!
小説12巻のルイズたんかわいかったよぅ!!あぁぁああ…あああ…あっあぁああああ!!ふぁぁあああんんっ!!
アニメ2期放送されて良かったねルイズたん!あぁあああああ!かわいい!ルイズたん!かわいい!あっああぁああ!
コミック2巻も発売されて嬉し…いやぁああああああ!!!にゃああああああああん!!ぎゃああああああああ!!
ぐあああああああああああ!!!コミックなんて現実じゃない!!!!あ…小説もアニメもよく考えたら…
ル イ ズ ち ゃ ん は 現実 じ ゃ な い?にゃあああああああああああああん!!うぁああああああああああ!!
そんなぁああああああ!!いやぁぁぁあああああああああ!!はぁああああああん!!ハルケギニアぁああああ!!
この!ちきしょー!やめてやる!!現実なんかやめ…て…え!?見…てる?表紙絵のルイズちゃんが僕を見てる?
表紙絵のルイズちゃんが僕を見てるぞ!ルイズちゃんが僕を見てるぞ!挿絵のルイズちゃんが僕を見てるぞ!!
アニメのルイズちゃんが僕に話しかけてるぞ!!!よかった…世の中まだまだ捨てたモンじゃないんだねっ!
いやっほぉおおおおおおお!!!僕にはルイズちゃんがいる!!やったよケティ!!ひとりでできるもん!!!
あ、コミックのルイズちゃああああああああああああああん!!いやぁあああああああああああああああ!!!!
あっあんああっああんあアン様ぁあ!!シ、シエスター!!アンリエッタぁああああああ!!!タバサァぁあああ!!
ううっうぅうう!!俺の想いよルイズへ届け!!ハルゲニアのルイズへ届け!

「…?誰かいる?」

「え?」

まただ。

誰かの視線を感じた。

何だろうと思って振り向くと、扉の向こうに人影。

アイドルの子かな?

「…どうかされましたか?」

ちひろも気になったようで、扉の方を振り向く。

しかしその人影はちひろが振り向くと同時に消えてしまった。

「…何でもないよ」

その人影が何かは分からないけれど。

用があるなら、話しかければいいんじゃないだろうか。

…それとも、本当に…。

「…」

ちょっと、怖いぞ。

「…」

時計に目をやると、もう昼過ぎだ。

最近、時間の流れが早く感じる。

…よっぽど楽しいんだな、今が。

それに、そろそろアイドル達が来る時間だ。

今日は少しだけ久しぶりの、全員集合の日だからな。

尚更、楽しみだよ。

「あ、GACKTさん。お昼ご飯食べまし…あ、食べないんでしたね…」

「どうしたの?」

「今日はカフェで食べようかなって思ってたんですよ」

「ふーん」

「ふーんって…あ、いいですよ。もう一人で食べますから」

頬を膨らませ顔を背ける彼女。

いつもは弁当を持って事務所で食べてるもんな。

…うーん。

僕は食べないからなあ。

「もう行っちゃいますよ!」

ドアノブを握り、ゆっくりゆっくりと開けようとしている。

いや、これは開けるフリ…だよな。

…素直じゃないなあ。

「じゃあ、紅茶だけ飲みに行こうかな」

「えへへ…」

特に急ぎの用があるわけでもない為、とりあえずちひろについていくことにした。

…大方、僕に払わせるつもりなんだろうな。

「…」

…。

「あれ?どーしたの?」

「あ!これって346プロのアイドルのCDなの!」

「へー!これ聴いてるんだー!確かにカッコいい感じだもんなー!」

「あら、他所のプロダクションのCD持ってくるなんてあんまりよろしくないんじゃないかしら?」

「でも、良い歌は良い歌よ。プロダクションが違うからというのは関係無いわ」

「ろっく、なるものなのでしょうか…」

…。

誰も、この歌の作詞作曲者の所に反応しない。

そうだろうな、と思う。

あれだけ一緒にいたのに。

みんなにとっては、無かった事になってる。

…。

忘れるわけない。

もう、6年も前になってるけど、忘れない。

…。

6年。

明確に言えば、3年と3年。

GACKTさんと、プロデューサーさん。

…。

「春香?どうしたんだ?」

「!い、いえ!ちょっとお気に入りの曲なんです、これ!」

「そうか…春香はこういうのがいいか…よし!こういう路線でもいってみるか!」

…あはは。

…私は、どっちが良いんだろ…。

「…あ」

…そろそろ、皆が来る頃かな。

「そろそろイくよ。せっかく来たのに僕達がいなかったら気分が悪い、だろ?」

元々僕は事務所にいるつもりだったんだけどね。

ちひろに連れてこられたせいでまた移動しないといけないじゃない。

「サングラス越しでも分かるくらい嫌そうな顔してますよ…」

「嫌だもん」

「えええ…せっかく二人っきりの食事なのに…」

昼は食べないんだって。
…夜なら良かったけど。

「っていうかさ、嫌なのはそれじゃなくて…」

「…?…あ、例の視線ですか?」

「うん。それ」

「…ちなみに、そう言うということは…」

…今も、現在進行形で見られてる。

何なんだろうな、全く。

恨まれる覚えは…。

…無い…よな?

その後事務所に戻ると、やはりというかなんというか。

「…遅いよ、GACKTさん」

「…GACKTさん」

「がくちーん…」

「台無しだにゃ…」

全員集合、と。

…カッコつかないな、これ。

「…あはは」

僕とちひろは、苦笑いして肩を竦めるしかなかった。

「えー!?がくちんにストーカー!?」

未央が声を大にして叫ぶ。

件の話をした所、彼女達の頭の中で自動的にストーカーの仕業だと判断されたようだ。

まあ、そりゃそうだよな。

でも、ストーカー、か。

…。

あ。

「GACKTさんストーカーにあってるんだー!」

「それってガッくんの事が大好きって事だよね!」

「つ、つまりそれって…」

みりあと莉嘉、二人の軽口に皆が興味津々なようだ。

面白おかしくからかってくる者もいれば、微妙な顔をする者もいる。

当事者からすれば、はっきりいってどうでも良いことだ。

…だって、犯人なんてあいつしかいないじゃないか。

「がくちん、それでどうするの?」

「何が?」

「うーん、がくちんの周りをパトロールしようかなって」

「いらないよ…」

…若い奴らってのは、どうしてこうもおせっかいなんだろうな。

おせっかいっていうか、楽しんでるだろ、お前ら。

「…というわけで、元婦人警官の、片桐早苗さんに来ていただきましたー!」

「静かに!みんないい?こういう時こそ慎重に、徹底した管理が必要なの」

…。

「というわけで、話は聞いたわ。これでもう安心ね!」

「…」

「えー17時00分、容疑者確h」

「違いますよ!GACKTさんがストーカーされてるんですよ!」

「え?そうなの?」

…。

何故か、このアホは僕に手錠をかけている。

現実の警察は、ドラマみたいに有能じゃないんだな。

あ、現実じゃなかった。

「んー…しかし容疑者は…ここに入れて、尚且つ彼の行動を把握している者という事になるわね…」

「あのー…というかそれ、取ってあげて下さい…」

「あら失礼」

…。

「凛」

「何?」

「こいつ訴えていいの?」

「…やめてあげなよ」

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↑ああ~^^これは教育開始だろなあ^^(指圧)
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あの早苗とかいう元警官に平謝りされ、一先ずこの件は置いておく事にした。

…何にせよ、今はそれどころじゃないんだよ。

『GACKT君、美城常務がシンデレラガールズプロジェクトの事務所を見たいそうだ。もうすぐそちらに行くと思うから準備しておいてくれ』

やけにヒソヒソ声で電話してきた部長。

…つまり部長の近くにいる、と。

何でもかんでも急なんだよ、あのおっさんは。

こっちからすれば、たまったもんじゃない。

こっちには一般的な観点とかけ離れた奴が何人もいるんだぞ。

万が一機嫌でも損ねられたら面倒な事になる。

…ああ、何だか胃が痛い。

『あ!おはようございまー………』

…噂をすれば、だな。

「…島村卯月、渋谷凛、本田未央。貴方達がニュージェネレーションズ?」

「は、はい…」

「…頑張りなさい」

「は、はい!」

ドアを少し開けると、見知らぬ女性。

宝塚にでもいそうな感じだな。

キャリアウーマンというのは、恐らくああいうのをいうんだろう。

…行きたくないなあ。

そう思っていると。

「…あ!GACKTさん!」

一番若い奴が、一番大きな声で僕を呼んだ。

悪気の無い、理由の無い悪意が僕を襲う。

美城常務とやらはこちらに振り向くと、黙って僕を見据え始めた。

まるで下から上まで品定めでもするかのような、その目つき。

…気に入らないなあ。

「ちょっと貴方、こっちへいらっしゃい」

「…?」

歩いていくと、彼女がまずしたこと。

「…」

美城常務は僕のスーツの皺を直し、シャツのボタンを上までかけ、ネクタイの緩みを直すと。

「それは何だ?…こんなものをつけるんじゃない」

僕の顔に手をやり、サングラスを手に取った。

そしてそれをどこからか取り出したハンカチで拭くと、僕の胸ポケットに入れた。

つけるな、ということだろう。

そしてもう一度僕の体を隅々まで見定める。

やがて一息つくと、淡々と語り出した。

「君の話は聞いている。優秀な人材は貴重だ」

「…」

「しかし、クライアントが初めに目にするのはアイドルではなく君だ。身だしなみはきちんとしてもらわねば困る」

…あ、そう…。

「…それと、レッスン会場も見ておきたい」

「…」

案内しろって事?

「…こっちですので…」

…僕より歳上か、歳下か。

分からないけど、気に入らないなあ。

「…」

…サングラスから、お香の匂い。

「…ここが、レッスン会場です」

「ふむ…」

「ここが、エステルームです」

「ふむ…」

「これ、自動販売機です」

「それは知っている」

…。

困ったなあ。

話す事が無いや。

媚を売るつもりはないけど、落ち着かない。

怒ることもなく、笑うこともない。

こんな奴は初めてだ。

そしてこの人を商品として見るような目。

…ニューヨークで、何を学んだんだか。

そう考えていると、不意に後ろから足の止まる音が聴こえた。

「神威 楽斗。君にいくつか質問したい事がある」

「…何ですか?」

誰もいない休憩所で急に足を止めて何だろうと思ったら、質問責めにする腹づもりか。

「まず君は、どうしてプロデューサーになった?」

「…」

面接でもされている気分だ。

…とはいえ。

…何でだろう。

それは、1年くらい前の僕に聞いてくれと言いたいが、無理だよな。

「…こういうのも、悪くないかなと思ったからです」

「ふむ…」

我ながら訳のわからない回答だ。

咄嗟に出たとはいえ、これじゃやる気のない奴と思われるかもしれない。

「…」

「…」

美城常務は、僕の目を真っ直ぐ見つめたまま喋らない。

僕も、何を話したらいいか分からない。

そして、少しの沈黙の後彼女は一つ咳をして話し出した。

「…君は裏方よりも、表に出る方が力を出せるのではないか?」

「は?」

「君については調べ上げたつもりだ。アイドル達へのボーカルレッスン、LIVEへの勝手な参加。どれもこれもプロデューサーのやる仕事ではない」

「…あー…」

…まあ、そうだよなあ。

僕がプロデューサーっていわれても、イメージが湧かないし。

「…そこで君に、少し提案をしたい」

「…何ですか?」

「君は、346プロ専属の歌手になる気はないか?」

「…」

…。

……。

「は?」

「LIVE映像は見せてもらった。君には歌手として素晴らしい力がある」

「…ふーん…」

「で、どうかな?」

…どうかなって、言われても。

「…」

魅力的ではある。

まさに、棚から牡丹餅だ。

それなら、僕の力は120%発揮できる。

…だけど。

『GACKTさん!』

『ガクちん!』

『ガッくん!』

『ガクちゃん!』

…。

今僕がここで歌手になったとしたら。

…彼女達はどうなる?

新しいプロデューサーがつくのかもしれないけど。

「…」

でも、この半年。

半年とはいえ、絆は出来た。
出来たはずだ。

だとしたら僕は…。

僕は、自分の力を最大限に生かす為に、彼女達を捨てるのか?

僕は、逃げるのか?

…。

「…愚問だよね」

「?」

「嫌なんだよね。一度任せられた事を辞めるのって」

「…シンデレラガールズプロジェクトのことか?」

「そうだよ」

「ふむ…」

思わずタメ口になっちゃったけど、気にしてない様子だ。

いや、それなりに評価してくれているということなのだろうか。

「…分かった。だが気が変わったらいつでも来るといい」

「…気が変わったら、ね」

生憎、見捨てる気はないよ。

それをやるくらいなら、この事務所を辞めるだけだ。

誰一人捨てやしない。

彼女達は、もう僕の娘なんだから。

視線を感じながらも、僕は彼女に背を向け事務所に戻っていった。

…というか。

優秀な人材「は」貴重、か…。

これは、一波乱起こしそうな予感がするな。

「ただいま」

「おかえりなさい!何だかかっこよかったですね!美城常務って!」

卯月はああいうのに憧れるのか。

「何だか大人の女の人って感じがして!えへへ…」

…お前には無理だよ、なれっこない。

お前とあれでは、生まれた星が違う。

自分のデスクに戻ると、凛が後をついてくるように僕の部屋に入ってきた。

「GACKTさん、何か言われたの?」

「…何も?」

そう答えると、彼女の顔が暗くなる。

隠し事が苦手だからか、つい顔に出てしまったようだ。

話してやりたいけど、今はまだその時じゃない。

それに、見捨てる気もないからな。

だから、安心してくれ。

「…そういえば、あれどうなったの?」

「あれ?」

「ほら、ストーカーって…」

「…あー…」

あれかあ。

「どうせまゆだよ。気にする事ないから」

「…まゆって、佐久間さん?」

「うん」

どう考えても、あいつくらいしか思い浮かばない。

「…大丈夫なの?」

「一般常識はあるみたいだから、ほっといてもいいんじゃないかなあ」

…しかし、まゆだとしたら一つ疑問だ。

彼女はどうしても伝えたい事ははっきりと伝える人間だ。

まどろっこしいストーキングなど、いつまでもするとは思えない。

…いや、やりそうだけど。

「…まあ、お前はお前のやる事を精一杯やればいいよ」

「…うん」

「ガークちん!」

仕事を終えた未央が携帯片手に僕の元へと走ってきた。

アドレスや番号、LINEまで教えたのに何だと言うのだろう。

「もしかしたらさ、…お化けかもしれないじゃん?」

「…」

「と、いうわけで記念撮影しよ!」

蘭子が聞いたら卒倒しそうだなあ。

…にしても、こいつの顔。

…随分楽しそうだ。

僕がお化け嫌いなの知ってるくせに。

「…いいよ。面倒くさい」

「いいじゃん!もしかしたらガクちんの気のせいかもしれないしさ!」

…全くこの子は。

「はーい!笑って笑って!」

事務所の扉を背に、その時事務所にいた者達で撮影を行った。

仮に写ったとしても、どうせまゆだろうし。

正直、どうでもいい。

「はい、チーズ!」

「…で、どう?」

ああは言ったけど、ちょっと気になる。

本当にこの世のものでないものが写り込んでいるのか。

それは皆も同じなようで、未央の携帯に一斉に走っていく。

「…普通の写真…ん?」

「あ」

「あ」

それを見た瞬間、皆一様に顔が青ざめる。

「…」

僕の後ろ。

少し大きめの黒い影が写り込んでいる。

扉は…開いていない。

「…」

「…こ、これって…」

「…お、お化け?」

「…」

未央が何かの加工でもしたのではないか。

そう考えたいが、そんな時間は無かった筈だ。

…だとしたら、これは。

「…」

「「きゃあああああああ!!!」」

…この世のものではない、とでも、言うのだろうか。

…これ以来、瞬く間に心霊写真の噂は広まり、怖がりな蘭子は僕に対して普段よりも近づかなくなった。

一番ビビっているのは僕だというのに、薄情な奴だ。

「…」

翌日の昼。

本来なら休憩時間だが、この日は違った。

美城常務による、臨時の会議。

何も知らされないまま呼ばれたのは皆同じなようで、僕以外のプロデューサー達も戸惑いを隠せない。

…ただ一人、部長を除いて。

「…」

これから何を報告されるのだろうか。

ニューヨークで何を学び、何をしてきたかということを話すのだろうか。

…彼女がそんな無駄な事を話すわけがないか。

「さて、まず初めに諸君の貴重な時間を割いてもらったことに感謝する」

キャリアウーマン、か。
確かに言えてるよな、これ。

大勢の職員を前にこうも堂々としていられる彼女は、ある意味僕よりも有能に見える。

「今回集まってもらったのは、我が346プロダクションを再構成する計画を知らせる為だ」

「…」

…。

……。

…え?

「346プロダクションの全プロジェクトは、今月をもって白紙に戻す」

「は?」

「以上だ」

…いや、ちょっと待って。

いきなりの発表に皆も驚きを隠せない。

こんな事は聞いていない。

なら、何の為に今までやってきたんだ?

僕は何の為に未央や凛を連れ戻したんだ?

「意見は一応聞こう。だが通らないと思ってくれ」

…一波乱、起こしてくれたな。

「…JESUS」

…参ったなあ、本当。

第一話 終

https://youtu.be/kahscNQIUhE

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なおわいはイライラの模様・・・(ニッコリニキ
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また不定期で書きます

http://ex14.vip2ch.com/i/responce.html?bbs=news4ssnip&dat=1427884232
↑の続きです

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>>32
とりあえずもうやめてね

「…」

IBOTB。

IDOL BEST OF THE BEST。

僕が企画した、シンデレラガールズプロジェクトの大舞台。

…当初は、そうだった。

そこに他のプロジェクトやら、常務やらが足を突っ込んできて。

しまいにはかなりの大所帯になっていた。

『真っ白な世界で 貴方に出逢えたから…♪』

「アーニャちゃんカッコいいです!」

「すっかり大人の女って感じだね〜」

「…」

…大所帯は、まあいいや。

「にしてもガクちんもよく引き受けたよねー」

「何が?」

「だってトライアドとアーにゃんの歌まで作ったんでしょ?」

「…」

…作った、か。

それは、語弊があるな。

今まで、僕が彼女らに、本当に僕がこの手を使って書いたと言える曲はさほどない。

ほとんど、どっかの誰かがむりくり僕のポケットにねじこんだものだ。

「…いつだって、僕は歌に対しては公正であるつもりなんだよ」

…間違っては、いないよ。

「…でさ、お前達に聞きたいんだけど…」

「ん?」

「何ですか?」

…何ですか、じゃねえよ。

「参加出来ないってなったのは知ってるよ。けど何で係員になってるわけ?」

島村卯月。
本田未央。

凛の一時的な異動により、IBOTB開催を目標としたLIVEに出演出来なくなった組。

…というか、しなかった組。

「…」

この二人は凛と和解した、らしく。

今は彼女を応援する立場になり、何と裏方を買って出た。

「だって関わりたいじゃん!なんでも良いからさ!」

「私も、裏方頑張ります!」

「出しゃばり過ぎだよ。さっきだって荷物落としそうになってただろ」

「てへへ…見られちゃってたかー…」

…。

確かに、その気持ちは大事だ。

何かの形であれ、助けに来ることは良い事だ。

けれど、こいつらのは違う。

違うと言い切れる。

「…」

この二人は、まだ凛の選んだ方を認めていない。

そう考えてないとしても、本能ではそうなっている。

「とにかく色んなことでサポートするから!」

「どっかのピンク髪みたいになってきたよな、お前」

「えー?」

こいつは確かあいつに憧れてるんだっけか?

出しゃばるのまで憧れてなくていいと思うんだけど。

「行く先行く先にストーカーしてくるんだもんなあ」

「誰がストーカーだって?」

「お前」

「そこ普通は言い切らないからね…?」

城ヶ崎美嘉。

シンデレラガールズプロジェクトを妹分のように扱う先輩アイドル。

「僕」がプロデュースしていた初期アイドル。

ほぼ必ず僕達の仕事先に出向いて文句を垂れる奴だ。

「僕のサインが欲しいなら身体の隅から隅まで描いてやろうか?」

「先輩アイドルとしてアドバイスしてんの!アンタは本当にデリカシー無いんだから!」

「デリ嬢がなんだって?」

「ああもう!いっつも都合の悪いことは聞かないんだから!」

いっつも、か。

…それは、僕じゃないんだけどな。

「…あのさ、今日は…」

「分かってるよ。常務があれもんだからね」

そうだ。

今日、僕は歌う気は無い。

というより、歌ってる暇が無い。

シンデレラガールズだけじゃなく、クローネの面倒も見てやらなくちゃならないからだ。

それは何故か。

簡単な話だ。

「…」

その常務が、高みの見物を決め込んでやがるからだ。

「…」

美嘉とともに舞台袖へアーニャを迎えに行く途中、ふと常務の言葉を思い出した。

『私のプロジェクトには完璧なトレーナーをつけた。体調管理はしっかりやらせている』

そう言って彼女は会場上のVIPルームに閉じこもった。

気遣いなんて、一つも見せずに。

これだから権力好きは嫌いなんだ。

僕らがやってるのはオート育成ゲームじゃない。

全てがマニュアルのリアルなんだ。

…いやゲームの世界だけどさ。

「…GACKTさんとは、大違いだね」

「?」

未央も卯月も控え室で他のアイドル達の準備を手伝っており、話し相手がいないのが不満なのか、ふいに美嘉が口を開いた。

「昔からさ、GACKTさんはスタッフとか、日雇いで来てくれてる人達にも握手しに回ってるでしょ?」

「普通だよ」

「何人いると思ってるの?そこまで余裕無いって」

「練習したことをそのまま出すだけ。出せないなら出せるように何倍も練習するだけ」

「簡単に言うなあ…」

プロがあれが無理これが無理言うなら辞めた方がいい。

そう言おうと思ったけど、こいつなら恐らく理解しているだろうと思い、黙っておいた。

ただの軽口にはもう慣れっこだよ。

「次は…凛達だね。トライアドの」

「そうだよ。だから舞台袖で待ってればいいじゃない」

プログラムをパラパラと捲り、自身の出番を確認しながらも妹分であるあいつらのことにも注目している。

「お前も結構余裕ぶっこいてるよな」

「そんなこと無いって…」

…夏のLIVEの打ち上げとは真逆になってるな。

それだけ、先輩肌になったってことだろうな。

…皆それぞれ、自分の道を見つけ始めている。

「…」

自分で考えて、自分で動き始めている。

「…」

僕はどうだ?

思えば僕は、サラリーマンよろしくただ決められたレールを走っているようにも見える。

決められた舞台で、決められたように動き、決められたユニットに曲を提供する。

「…」

…これは、僕のやりたかったことなのか?

こうでもしないと元の世界に帰れない、というのをただの言い訳にしているだけなんじゃないのか?

「…ん」

お前ならどうするんだ?

なあ、教えてくれよ、「僕」。

「GACKT」なら、どうするんだ?

「…さん?」

…もうなんとなくわかってるんだ。

きっと、「GACKT」は、僕の中に…。

「GACKTさん!」

「ん!?」

「ん?じゃないよ!これから凛達のの舞台でしょ?」

「あー…ごめんよ」

「しっかりしてよ…らしくないなあ」

…全く。

なんだって僕なんだ。

「僕」のままで良かったんじゃないのか?

「…GACKTさんやっぱ疲れてんじゃない?今回20人くらい見てたんでしょ?…全然寝てないんじゃないの?」

寝てない。

…そんなのは僕にとっては取るに足らないことだよ。

「大丈夫だよ。さっさと行こう」

「う、うん…」

…最近の自分が、自分でない。

それはここの「僕」のせいでもあるだろうけど。

…衰え、なのかな。

「お疲れ。中々イけてたよ」

「Спасибо!GACKTさん!」

可愛らしい笑顔で駆け寄ってくる。

ロシアの血を引く子だけあって、走り方もとても可愛らしい。

まるで子犬のようだ。

「僕の歌、どうだった?」

「ンー…とっても、…悲しい?」

「…そうだね。悲しい歌だ…けど」

「とっても、前向き…な歌だと、思います」

…そうだよ。

その通りだ。

歌を歌うって事は、そういうことだ。

歌詞を理解して、相手に伝える。

「やっぱりお前は最高にイけてるアイドルだよ」

…とっても、良かった。

溜まったストレスが和らいでいくよ。

「…」

…さて、と。

「次はお前達だよ」

…凛、奈緒、加蓮。

「…」

「…」

「…」

…これが、初舞台か。

「奈緒。加蓮」

「は、はい…」

「…」

「お前達のデビューはな、はっきり言って異常だよ」

「「…」」

「ニュージェネレーションズとは訳が違う。大勢の前で、誰かの舞台で踊るだけじゃなくて、自分達の力だけで会場を温っためるんだ」

「「…」」

「お前達には覚悟は出来てるのか?」

「「…」」

「…」

凛が心配そうに二人を見る。

今まさに、この二人は向かっているんだ。

凄まじく恐ろしい試練に。

この三人のことなど何も知らないファンの皆々の前で歌うという試練に。

「覚悟が出来てないなら、今からでも遅くない。止めたほうがいい」

酷だと思う。

けれど、やらなくちゃならない。

分かってた事だ。

「でも覚悟が出来てるなら、必ず成功する」

それだけの努力は積んできた。

「努力は裏切ったりしない。才能だって認められてる」

「「…」」

「「それ」は必ずお前達に味方する」

…必ず。

「「…」」

「…イって恋!!」

「「はいっ!!」」

「ねえ、GACKTさん」

「ん?」

「私さ、成長した?」

「少しだけ、かな」

「…あのさ、その…」

「?」

「…何だか、この感じ、凄く久しぶり」

久しぶり、か。

そうだな。
もうだいぶ前になるもんな。

「…ううん。違う。もっと、もっと前」

「もっと前?」

「…分からないけど、何だか初めてじゃない」

「…どっか打った?」

「違うよ…その、ね。…ねえ、もし私達のLIVEが成功したら、一つだけ願い事…聞いてくれる?」

「…」

「…ご、ごめん。変に気持ちが昂ぶっちゃって」

「…いいよ」

「!」

「願い事。一つだけ聞いてやるよ。その代わり最高のLIVEにして恋」

「…」

「頼んだよ」

「…」

「…」

「………そうだね。『まだ』お願い事聞いてもらってないから」

「ん?」

「じゃ、行ってくるね」

「…」

…。

何だろ。

今、ほんの少しだけ…あいつの様子がおかしかったような…。

「GACKTさん!始まるよ!」

「ん…」

ずっとついてきていた美嘉に背中を叩かれ我に返る。

そうだな。

今は、目の前の事に集中しなきゃな。

「「「………」」」

『努力はいつもお前達と共にある』

『結果はちゃんとついてくる』

「「「………」」」

『誰がお前達を鍛えたと思ってるんだ』

『だから大丈夫さ』

『お前達は、これからもイけるさ』

『永遠にな』

「「「…ッッ!!!」」」

https://youtu.be/3aBChrgoXgQ

「あー…緊張したあ…」

「緊張しない方法があるよ」

「え?何ですか?」

「眉毛をヌきまくる」

「それアタシ限定ですよね!?ってか抜きませんから!!」

「良いじゃないか。麻呂みたいにしようよ」

「や、やめてぇぇぇ」

あっはっは。

何だか奈緒はからかいがいがある。

間違いなく、この子はドMだな。

「加蓮も凛も良かったよ」

「ありがとうございます!」

「…」

「そういえば、凛は僕に何をして欲しいんだ?」

「ん…後で話す」

「気ーにーなーるー」

「後でだってば!もう…」

それは何だ。そうメンバー2人にいじられながら控え室へ引っ込んでいった。

美嘉も自分の番の為の準備をするそうだ。

「…」

しかし、ここのスタッフはよくやってくれている。

疲れなど一切見せず、とにかくあくせく動き回る。

かえって邪魔になってないか心配になるほどだ。

「…」

ふと、舞台袖にある最終チェック用の姿見鏡を見る。

…冷静になって、再び思い返す。

時たま出る、僕ではない「僕」。

それは僕であって、僕ではない。

「…遊戯王かよ」

…なんてな。

僕は僕だけだよ。

それは変わらない。変えるつもりもない。

「どうしたんですか?」

「…」

「さっきから鏡ばっかり見ちゃってますよ」

いつものようにクスクスと、可愛らしい笑顔。

ちひろはいつもこういう感じだ。

「いやあ、美しいなあって」

「えー…」

「冗談だよ」

「ふふ。…でも、GACKTさんは本当に変わりましたね」

「何が?」

「今までのGACKTさんは、もう少し………」

「?」

「…………あれ?」

「ん?」

「………あ、ちょ、ちょっとごめんなさい!」

…行っちゃった。

現れては消え現れては消えって、忙しい奴だなあ。

「…」

…あれ?

「…」

私の知ってる、GACKT…さん。

「…」

どんな人、だったっけ?

「…」

あれ…?

「…」

『おはよう、ちひろ』

『お土産?ほーら』

『その着物、似合ってるよ』

…。

「…」

…あれ…?

『GACKTさんですね!私、千川ちひろです!』

「…」

…これは、何…?

「あれ…?私は、346の…」

…違う。

違う。

「…」

私は…。

「…」

…どうして、忘れてたの?

ちひろがどこかに消えて少し時間が経つ。

…どこに行ったんだか。

『『『〜!!!!!』』』

…。

会場のボルテージがさらに高まっているのが目に見えずとも理解出来る。

先輩アイドルということもあり、美嘉も今までにない程力を入れているようだ。

…まだまだ、甘っちょろいな。

だけど、随分順調な事だ。

…。

「…そりゃあ、プロデューサーが一流だからね」

「ガクちん!!」

「何ー?」

「何ー?じゃないよ!!文香さんが…文香さんが!!」

…おいおい。

これは完全にデジャブだろ…。

第九話 終

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