八幡「自分がラノベの主人公であると気づいた」 (34)


 久しぶりにつき、粗が目立つ場合蟻。

 ただ、八幡が女の子と仲良くするだけです。

 お願いします。

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家、自分の部屋。

八幡「あれ……俺ってもしかして…」

八幡(これだけトラブルにトラブルが続き、女の子とフラグが立ち、クラスのトップカーストと関われるって言うのは……)

八幡「……俺は…この世界の……主人公だったのか?」

小町「なぁに言ってんのごみぃちゃん……」

八幡「ひぃ!? 小町さん!?」

小町「まーた中学の時のおにぃちゃんに戻ったの?」ジトーッ

八幡「ば、バカな事を言ってはいけない。あれはもう二度と取り戻す事のできない過去であり、決して色あせない思い出……」

小町「夜な夜な枕に向かって叫んでるのに?」

八幡「………」グスッ

小町「……ふふっ」

八幡「?」

小町「小さい時からずっとずーーーっと、お兄ちゃんを知ってるのって小町だけなんだよね」ナデナデ

八幡「なんかオカンくさいな」

小町「こんな手のかかる子、小町嫌だなぁ」ギューッ

八幡「!?」ムニムニ

八幡(小町のささやかな胸が!!)///

小町「………///」グイグイ

八幡「な、なぁ小町、急にどうしたんだ?」

小町「さ、さぁ……? 小町はいつも通りだけど?」グイグイ///

八幡「そ、そうか……」

翌日、教室。

八幡(あの後、お風呂も一緒に入ってしまった……。小町の様子は異常という訳ではなかったが、明らかに違和感があった)

八幡「……一体何が…」

結衣「ヒッキー」トントン

八幡「ん?」クルッ

結衣「おはよ♪」ナデナデ

八幡「お、おまっ!?」ガタッ

結衣「ん? どうしたの?」

八幡「い、いや、ここ教室だぞ」

結衣「うん、そうだね? それがどうかした?」

八幡「い、いきなり撫でてくるとか……」

彩加「そうだよ! 由比ヶ浜さん!」

結衣「さ、彩ちゃん……」

八幡「彩加もバシッと言ってくれ」


彩加「八幡の頭を独り占めとかずるいよ!」


八幡「」

八幡「な、何言ってるのかしらん?」

彩加「僕だって八幡の頭撫でたいよね?」

八幡「い、いや、同意求められても……」

結衣「そ、そうだよね。ヒッキーの頭は皆のモノだもんね」アハハ///

八幡「いや、俺のモノだが……」

彩加「分かったら僕にも触らせて?」

結衣「う、うん!」ササッ

八幡「え、お前に許可求めるの?」

彩加「あぁ……八幡…///」ギューッ



八幡「それを撫でるとは言わない」



八幡(ベタベタする小町、スキンシップの激しい由比ヶ浜、ベタベタする彩加。やはり何かがおかしい……)

沙希「………」ゴゴゴ

屋上

八幡「何かがおかしい。言葉に表せば、やたらベタベタしてくるの一言に収まるが、それ以上の何かが……」


<バァンッ!!


八幡「ひぐっ!?」ビクッ

沙希「………」

八幡「か、かわ……」

沙希「殺す」

八幡「え?」

沙希「死ねーーーーっ!」

八幡「嘘だろ!?」

沙希「……あっ!」ツルッ

八幡「危ない!」ギュッ

沙希「……ぁ///」ドキッ

八幡「学校にナイフとか持ってくるなよな」ハイ

沙希「う、うん……」

八幡「怪我はないか?」

沙希「こ、殺そうとしてきた相手に情けをかけるの?」

八幡「いや、冗談だろ?」

沙希「じょ、冗談じゃないし!」

八幡「まぁ、何でも良いけど、俺を殺す価値なんてないと思うけどな」ハハッ

沙希「……か、勝てない…」ガクッ

八幡「は?」

沙希「……し、師匠と呼んでも良いかい?」

八幡「」

教室

<ざわざわ

八幡「………」

沙希「………」

<なんで川崎さん、ヒキタニ君の前で片ひざ付いてるの?

八幡「………」

沙希「………」

<ヒキタニ君、川崎さんに何したんだろう

八幡「か、川崎さん?」

沙希「師匠、愛情をこめて沙希とお呼びください」

八幡「」

<あ、愛情!?
<師匠!?
<ヒッキー!?

八幡(これはまずい。とてもまずい)アセアセ

三浦「何あれキモっ」

葉山「演劇の練習かな?」

戸部「罰ゲームじゃね?」

沙希「………」スクッ


三人「?」


沙希「とぉ!」

戸部「ぐはっ!」ドゴォッ

沙希「たぁ!」

葉山「ぐえっ」ベシンッ

沙希「や――」ブンッ

三浦「ひっ!?」

八幡「ちょっ! 沙希!?」グイッ

沙希「師匠! 止めないでください! こいつらは師匠を見て笑った!」グググッ

八幡(いや、主にお前にだろ!)

説得の末。

沙希「頭を冷やしてきます」タタタッ

八幡「………」ホッ

戸部「悪かったよ」

葉山「俺も」

三浦「………」

八幡「いや、とんだ災難だったな」

三浦「ほんとよ!」

葉山「優美子?」

八幡「そりゃ悪かったよ」

三浦「謝って済む問題じゃない!」

八幡「ど、どうすればいいんだよ」

三浦「あんな風にあーしを助けて、


この胸の高鳴りの責任をあんたがとってよ!」


八幡「」

葉山「」

戸部「」

放課後 奉仕部

八幡「……そう言うことか」

結衣「ヒッキー?」

沙希「師匠?」

雪乃「なぜ川崎さんがいるのかしら?」

八幡「俺は昨日、自分がラノベの主人公である事に気がついた」

結衣「どういう事?」

八幡「たび重なるトラブル、めまぐるしく変化する人間関係、そして乱立するフラグ。


これはどう考えてもラノベの主人公にされたからとしか思えない!」


雪乃「あり得ない事じゃないわね」

結衣「ゆきのん?」

雪乃「考えたら、愚図で独りよがりで無計画な比企谷君が私達と何カ月も共に過ごせてる事自体が奇跡なのよ」

八幡「お……おう…」

結衣「よしよし」ナデナデ

沙希「師匠、あ、あたしがついてるからっ///」カァ

雪乃「………」イラッ

雪乃「それで、それがどうしたのかしら?」

八幡「ああ、恐らくこれは調整がかかったんだ」

結衣「調整?」

八幡「今までの俺は世界に自分が必要となどされていないスタンスの下、真正面から卑屈に戦ってきた」

雪乃「誇れることじゃないわね」

八幡「だが、ラノベの主人公と気づいてしまった以上、卑屈にやるわけにはいかない」

結衣「何で?」

八幡「自分がラノベの主人公だと気づいてるラノベの主人公なんて、今までで一番の俺TUEEE!系主人公じゃねぇか!」

雪乃「自分が何をしたって許される立ち場にあるのだからね」

八幡「だから、調整だ」

結衣「どう調整したの?」

八幡「……ハーレムラノベだ」

三人「!」

八幡「ハーレムラノベはハーレムである事がメインだ。主人公の立場や能力、世界観なんておまけに過ぎない」

結衣「だからヒッキーは、この世界で数人しかいない魔法使いなの?」

八幡「初耳すぎる」

雪乃「神に近い存在になった比企谷君を、主人公でありながらおまけの立ち場にする事でバランスを保とうとしてるのね」

八幡「ああ、だから由比ヶ浜がやたらベタベタしてくるのも、川崎が刺客キャラなのも、小町がお兄ちゃん大好き妹キャラなのも、三浦がツンデレキャラなのも、戸部と葉山が空気レベルのモブなのも……全部……」



八幡「俺のせいだ……」



三人「………」

八幡「……皆、すまん」

雪乃「………」

結衣「……それってさ…」ボソッ

八幡「?」

結衣「証拠……ないよね?」

八幡「……ああ、証明はできない」

八幡(あくまで俺達のいる世界の外の話だからな)

結衣「だったらそれ、思いこみだよ」

八幡「!!」

結衣「あたしは前からヒッキーとこんな感じだし、サキサキは急に目覚めたんだよ」

沙希「あ、ああ、うん」コクコク

八幡「……そ、それが俺のせいだったら……」

結衣「ううん」ギュッ

八幡「……ゆい…がはま?」

結衣「あたしはずっとずっとずーっと前からヒッキーの事が好きだったから、そんな訳ないんだよ」ギューッ

八幡「………」カァ///

沙希「あ、あたしだってこの気持ちは本物だから!」ギュッ///

八幡「沙希……」

雪乃「シュレディンガーの箱の誤用みたいなものと考えれば良いんじゃないかしら?」

八幡「?」

雪乃「あなたは現実とラノベが同時に存在する箱を開いてしまった。そこはラノベの世界だった。


一度開けてしまったらもう二度と戻す事はできないし、それが現実となる」


八幡「………」

結衣「そうだよヒッキー!」

沙希「あの時の師匠はもっと男らしかった!」

八幡「そう……だな。うん、そうに違いない!」

 
 こうして俺は、ラノベの主人公である事を自覚しながら毎日を生きる事となった。

 正直、精神的には辛い事の方が多い。

 なぜなら、身の回り……いや、世界中で起きる事が“俺を引きたてる為だけ”に存在しているのだから。

 ヨーロッパで始まった魔法宗教戦争や、アフリカで起きたゾンビパニック。

 アメリカで見つかった宇宙人のメッセージなど、その全てが俺の為だけに起きたのだ。

 俺が小説の主人公だったら、屑みたいな性格のまま、女に溺れ、戦争の記憶と折り合いをつけながら毎日堕落の階段を一歩また一歩と降りて行くだけの小さな生き方で済んだかもしれない。

 だが、そんな事は今更悔やんでももう遅いし、俺がラノベの主人公である事実は変わらないのだ。


八幡「待てよ……じゃあ雪ノ下は?」



雪乃の部屋


雪乃「ふふふ……八幡の写真をおかずに食べるご飯は美味しいわぁ」パクパク///

雪乃(どんな世界になろうと八幡の事を一番理解し愛してるのは私、私なのよ)

雪乃「だから八幡、これからもよろしくね」フフフ///



第一部 完



ここからは、1人1人を掘り下げて逝きたいと思います。

地の分アリが良いかどうかと、

誰から逝って欲しいかレス貰えると嬉しいです。


ちょっと離れます。

ラノベっていうより安手のエロゲやろこれ

虚人たちみたいなの期待した俺が悪かった

>>19
三流以下の設定になってしまった状態からの、少しでもラノベとして機能させたいーという設定なのでその感想が普通です。

>>22
それは自分が小説の主人公と気づいてしまったというスレをお読みください(あるとは言っていない)

では、続きー


 なんだかんだで夏だなーなんて思っている矢先、軽快に扉を開けた小町の前に立っていたのは由比ヶ浜だった。

「小町ちゃん! ヒッキー! おはよ♪」

 幼馴染(設定)の由比ヶ浜結衣だ。家は決して近所などではなく、むしろ遠い。一度学校を経由できるんじゃないかと思うほどに。

「師匠、あたしも忘れないで欲しい」

 と、塀の横から頭を出したのは弟子入り忍者(設定)の川崎沙希だ。こいつもまた、遠いはずなのにご苦労なことだ。

 朝から濃いメンバーと登校しなければならない事は、思春期真っ盛りの少年にとって幸か不幸か判定に困る。

 だが一つ言える事は、目の前にいる三人は決して俺の事を嫌いではないと言う事。

 むしろ慕っているからこそ、改変の起きた世界だと知っても俺に付きまとってくれるのだから、俺は幸せ者なのだろう。

「忘れてねーよ。おはようさん」

 沙希の頭をポンと叩く。嬉しそうに笑う沙希の普段とのギャップに胸がときめきレボリューションしそうだったが、結衣のふくれっ面を見て思いなおす。

「あーあー、朝から幸せなお兄さんだこと。小町は妬いちゃいますねー」

 と、嫌味っぽく言うが、小町の頬はひくひくと引きつっている。

 正直可愛すぎて食べちゃいたいが、この世界においても小町は妹。

 もしかしたら義理の妹の可能性もあるが、今の所両親からの暴露はない。


 登校中、刺客からの視線(刺客って何の刺客だ?)に気付きつつも、殺気は伴っていなかったので追いかける事はしない。

 沙希も途中でようやく気付いたのか、目線で俺にどうするか訴えてきたが、俺自身あいつらが何の組織で何のために俺を狙っていて、そもそも俺が世界にとってどういった役割を担っているのも分からないのだから指示の出しようもない。

 世界改変が起きてからまだ数日しか経っていないのだ。色々と調整が終わるまでは手出ししない方が良いだろう。

「んー、幸せだねー」

 さすが幼馴染キャラ結衣、刺客の事は一切気づかない天然ぶり。

 おそらくラスボスを目の前にしても、その呑気さを忘れない系ヒロインなのだろう。

「小町は中学校に行くので!」

 それでは、と走り去る小町。

 小町が陣取っていた俺の横に急いで移動する沙希。お前、クールキャラかと思ってたよ……。

 とにもかくにも、ラノベ主人公である以上まともな生活を送れないであろう八幡さんに一体どういった試練が下されるのか、少し楽しみではある。

「あ、今のラノベっぽい」

 そう言葉にすると結衣と沙希が同時に首を傾げた。

 材木座が隣にいれば興奮してくれていたのに……いややっぱいらん。



 我、学校に着くなり。


「「比企谷八幡! 待ちわびわよ!!」」

 と、グラウンドのど真ん中でメガホンをこちらに向けていたのは雪ノ下陽乃だ。

 その姿は何故かウェディングドレスで、校門から彼女の所まで赤い絨毯が伸びていた。

「さぁ! 私を貰いなさい!」

 いや、確かに強引キャラだったけども。

 結婚押し売りキャラってラノベにいるか? ……いるか。

「ひ、ヒッキーどうするの?」

 と、結衣が不安そうに俺の袖を引っ張る。逆側の沙希も不安そうだ。

 その不安は恐らく俺が結婚するかどうかであって、目の前の変質者をどうするかということではないだろう。

「そう言えば、俺って魔法使えるんだよな」

 ラノベの主人公と気づいた者が何の力も持たなかったら、ジャンルとして迫力に欠けるし気づいた理由に整合性がなくなる。

 世界が出した結論は、俺を世界に数人しかいない魔法使いにする事で世界の外側を見る事ができた……という設定にする事だった。

 つまり、俺はかなり強力な魔法を使えるということだ。

 しかも、昨今のラノベは小難しい設定は嫌われる傾向にある為、主人公は前置きの割に縦横無尽に力を行使する事ができる。

 恐らく俺も――、

「 空間転移魔法 」

 どこでもドアと名付けたかったが、それは世界が許さないだろう。

「……え?」

 すーっと、ウェディングドレスが消えていく。

「……ちょっと、ヒッキー?」

「あれ……服だけ消えてるけど?」


 ウェディングドレスが消えていく。


「くそっ!」

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年12月16日 (水) 14:48:30   ID: pJBO0ztp

おもろいやん。

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