vipスレで落としてしまったのでこちらやり直します。
投げっぱは無責任なので何とか投下してきますね。
不良女「ざけんじゃねぇぞアノ野郎!人にガンつけといて何も言わずに行っちまいやがってぇ!」
ドガァ
a子「お、落ち着いてください姐さん!」
b子「ね、姐さんがこんなにブチ切れるなんて…どんな奴だったんですか?」
不良女「………ッ」ドゴォ
ズズーン
a子「あぁー…校長の銅像が……」
不良女「………だ」ボソ
a・b子「へ?」
不良女「…………んだよ…」ボソ
a子「や、姐さんもうちょっと声が大きくないと…」
b子「うちらでも流石に聞き取れないです」
不良女「………ッ」ギラッ
a・b子「ヒィッ」
不良女「メンチの切り合いで負けたっつってんだよ!」
a子「ええええぇぇぇぇ!?」
b子「睨みつけられたら不動明王でさえちびって股を隠すと言われる姐さんのメンチ切りが…」
a・b子「負けた!?」
不良女「…ちくしょう!」
バキャァ
不良女「ちくしょぉ!!!」
ドガァ
不良女「ふしゅー…ふしゅー……」
不良女「…ふー……」
a子「しっかし姐さん以上の眼力ある野郎って…」
b子「一体どんな気合の入った不良なんだろねぇ…」
不良女「………あぁ…悔しいが認める。…アノ野郎の力はすげぇ。それは間違いねぇ」
不良女「俺が……俺が視線を逸らしちまったんだ……底が知れないぜ…」
b子「ほえー」
a子「あ!姐さんそいつの名前は分かるんですか?」
b子「そうだそうだ!それだけ気合入った野郎ならココらでも有名な奴のはずですし!」
不良女「…男って奴だ」
a子「え…それって…あの…うちのガッコの?」
b子「あの左頬に絆創膏貼ってて…」
a子「イケメンは当たり前、更に細マッチョ」ババッ
b子「ひと睨みしただけで女子が鼻血吹いて保健室にテイクオフ」キラーン
a子「座席に付くだけでも隣のdqnが泣いて謝った、心臓発作を起こすdqnも」スッ
b子「グッとガッツポーズしただけで女子が5人くらい鼻血吹いた」グッ
a・b子「…って噂の…あの“男”ですか!?」
不良女「…ああ」コクッ
a子「やー、姐さんそりゃ人違いじゃ…」
b子「どう見てもあの男はメンチ切り合うような柄じゃないし、どちらかというと見つめ合う専用というか…」
不良女「間違いねぇよ。今でも思い出すと腹が立つ反面…ゾッとするぜ…」
a子(姐さん語りモード入ったね)ボソボソ
b子(でもこれで謎が解けるねー)ボソボソ
不良女「ついさっきだ。ココアシガレットが尽きたから角のババアの店に行こうとしたらよ」
不良女「下校時間だったらしくてうじゃうじゃうちのガッコの生徒が出てきたんだ」
不良女「したらそん中で立ち止まって、こっちを真っ直ぐガンつけてる奴がいるじゃねーか」
不良女「最近見ねぇ肝の座った野郎だと思ってガンをつけ返した…その時だった」
a子(そもそも姐さん授業フケてるから見ないのも当然だと思うけど…)
b子(…ゴクリ)
不良女「急に心臓が鷲掴みされたみてぇになって、胸が苦しくてまともに呼吸できなくなっちまった」
a子「…」
不良女「おまけに体中の血液が沸騰してるかと思うくらい熱くてよ。顔なんか火傷しちまうんじゃねーかと思ったぜ」
b子「…」
不良女「足元も地面がふわふわした感じで覚束なくなっちまうし、睨みつけようとしても頬が緩んで言うこと聞いてくれねーし」
a子「…」ドキドキ
不良女「正直今でも胸がこう…キュッ、キュッって締め付けられるような痛みがあるし…」
b子「…」ドキドキ
不良女「まだ体がぽかぽかしてやがるんだ…」
a子「ぽかぽか…」ドキドキ
b子「ぽかぽか…」ドキドキ
不良女「だから俺は確信したのよ…俺の体が一瞬でこんな風に変になっちまったのは…」
a・b子「なっちまったのは?」ワクワク
不良女「あいつが…」
a・b子「あ、あいつが?」ワクワク
不良女「男が…」
a・b子「お、おお男が!」フンス!
不良女「男が……“覇気”って奴を使ったに違ぇねぇってなァ!!」
a・b子「」 ズシャァァァァァァァァ
不良女「まず間違いねぇ!触れずに相手を行動不能にする!ジャンプで見たぜ!」ドン
a子「あいたたた…いや姐さんそれはですね」
b子(待ってa子)ボソ
a子(?どしたb子)
b子(よく考えて…まず間違いなく姐さんの今の感情は“アレ”だけど)
a子(あぁ一目惚r)
b子(しーっ!姐さんにそれを伝えたらどうなると思う?)
a子(えっと……)
モワモワ
―――――――――
a子『姐サンソレハ…一目惚レッテヤツダヨー!』アハハー
不良少女『俺ガソンナ軟派ナ女ダッテノカ』パキポキ
ガンザンリョウザンハー
a子『ウワラバッ!』ドブシャァ
―――――――――
a子(…)ガクガクブルブル
b子(…ね。ここはおとなしく姐さんに付き合うのが吉よ)
a子(…)コクコクコクコク
b子「…それで姐さんはどうするおつもりなんです?」
不良女「もう一度会ってタイマンだ。一発ぶん殴ってやんないと気がすまねぇ!」
b子「…ですよねー」
不良女「男に“覇気”なんぞ使わせる暇もなくボコボコにすりゃぁ俺の勝ちだ!」
b子(ああ…ごめんなさい今どっかにいる男さん…うちらじゃもうどうしようもないみたいです…)ヨヨヨ
不良女「そうと決まったらもう男んちへ行くしかねぇ。おいa子、聞き込みでもなんでもして住所手に入れてきな」
a子「は、はいィ!」ダッ
―5分後
a子「姐さーん!クラスに残ってた連中に聞いたら一発でした!」ゼェハァ
不良女「……a子…おめぇ…尾けられたな」
a子「へ?」
?「……」ザッ
不良女「誰だてめぇは」
a子「!」
b子「あ!こいつあれです!例の男の妹さんですよ!」
a子「きょ、兄妹揃ってなんつー美形…」
b子「艶やかな黒髪のポニーテールに知的な無表情フェイス」
b子「女子にしては高めの身長にややスレンダーなボディ」
b子「間違いないです。男の妹さんです」
妹「…」
不良女「おい妹さんとやら、こんな所に何の用だ」アァン
妹「…廊下でさっきそこの方の話が聞こえてしまったものですから」
不良女「立ち聞きたぁ、いい趣味じゃねぇなぁ」
妹「…失礼したわ」
妹「…それで。私の家の場所を聞き出していたようですけれど」
不良女「おう。ちと男に用があってな」
妹「!…兄さんに…用…ですって…」
妹「…それで、どうするつもりですか?」
不良女「あぁ?男の家に行くに決まってんだろぉ、何か文句あるか?」
妹「…」ゴゴゴゴゴ
a・b子「ひっ」ビクッ
妹「あなた達みたいに品のない人達に来られるのは迷惑です」
妹「…第一、あなたなんか兄さんの眼中にないですし」ヘッ
不良女「んだとコラァ!?」ビキッ
a・b子「ヒィィ」ビクッ
不良女(そうかぃそうかぃ…俺はそこまで見下されてたってわけかい…)
妹(ただでさえ兄さんの周りは倍率高いのだから…ライバルは潰しておくに限ります)
a子(あぁ…何か…二人の思惑が…)
b子(まったく違うのが透けて見える…)
妹「兄さんにとってあなた達は害以外の何者でもないです」
妹(不良が花壇に水をやって好感度アップ効果なんて度し難いもの)
不良女「…そうかぃ」
不良女(雑魚を相手にすると腕が鈍るってか、お高く止まってんじゃねぇか)
妹「あなたの出る幕じゃないでしょう。おとなしくここで傾いてるのがお似合いというものです」
不良女「そうはいかねぇ!それを聞いて尚更男の家に行きたくなったぜ!」
不良女「どけ妹っ!どかなきゃ力尽くでいくぞ!」
妹「その言葉…そっくりお返ししますよ」
プチッ
不良女「……俺ぁ男女平等主義者なんだぜ…後悔すんなよ!」ダッ
b子「ハッ!…いけない姐さん!」
不良女「でぇぇぇぇぇぇ…おりゃあ”あ”ぁぁぁぁぁ!」
パシッ
不良女「何!?」
妹「シッ」
ドゴッ
不良女「ぐあぁぁぁぁぁ!」
a・b子「姐さん!」
b子「姐さんあいつただの妹じゃないんですよ!」
b子「普段は成績優秀、眉目秀麗、才色兼備のパーフェクト生徒なんですが」
b子「兄貴の事となると途端に見境なく行動する真正のブラコン変態女なんですよ!」
不良女「…流石あの男の妹ってところか…ってかそう言うこたぁ早く言え…」ペッ
b子「す、すいません!」
b子「それと相当腕は立ちますよ」
b子「何でも本当の武器はあのポニーテールだとか…」
a子「へっ?ポニーテール?」
b子「ええ…何でも全身の関節を順に稼働させて加速させ…」
b子「最後その加速をポニーテールの先端に乗せて突くとか…」
b子「先端の速度はマッハを超えてるとか…」
a子「マッハ!?」
b子「ポニーテールの突き…“ポ突”とか呼ばれてるみたいで…」
a子「いやそれも驚くけどあんたの解説の多さにも驚きだよ…」
妹「…そんなに人前で見せたことはないつもりでしたが…」
妹「知っているなら実力のなさを思い知って身を引いてください」
妹「あなた達の出る幕じゃありません。おとなしく不良しててください。…“分かりました”?」
a子「…くっ」
b子「姐さんをよくも!」
不良女「…お前達は…手ぇ出すんじゃねぇ……」
a子「でも姐さんさっきの一撃が…」
不良女「こんな傷もう痛かねぇ…全ッ然痛かねぇんだよぉ…」
不良女「こんな傷…こんな傷より…」
不良女「男に雑魚扱いされた事のほうが!万倍痛ぇんだよぉ!」
不良女「どけ妹!俺は男の家へ行く!」
不良女「男の家に行って奴に相応しい女だって事を!この拳で証明してやるぜ!」
a子(ッ…また姐さんややこしい発言をー!)ボソ
b子(ライバルって意味合いなんだろうけどこれは…)チラッ
妹「…」ゴゴゴゴゴ
a・b子(やっぱりー!)ガクッ
妹(相応しい女ですって…)ギリッ
妹(相応しいのは妹である私以外にありえません…)コウコツ
妹(女の子+家族の絆…サイキョーです…)フフ
妹(それにしても拳で証明って一体どういう…)ハッ
妹(まさか力尽くでってこと…!?)
妹(兄さんは女の子に手をあげるなんて真似しないから…)
妹(抵抗もできない…まさかそれも見越して…)
妹(許せません…何て卑劣な女なんでしょうか…!)ゴゴゴゴゴ
妹「…拳で証明してみせる…ですって…?」
不良女「おうよ!」
妹「よく言えますね。今あっさり殴り飛ばされた癖して」
不良女「何ぃ!?」
妹「…いいでしょう。今回は不良女さんに合わせて拳で勝負してあげます」
b子「騙されちゃダメですよ姐さん!こいつ真正ブラコンのキチガイ女だってこと忘れないでください!」
a子「あぁ…そう言っておいてきっとポニーテールでグサッと…」
妹「あなたたちと違って卑怯な手は使いませんから。本当に、拳だけですよ」
妹「いくら鳥頭の不良女さんでも自分の戦い方に合わされてなおボロ負けすれば…」
妹「否が応でも思い知りますから…」
妹「…“身の程”って奴を」キッ
不良女「へっ…面白ぇ!」ザッ
不良女「ずぁりゃぁぁぁぁぁ!」ゴォッ
オラオラオラオラオラオラオラオラ
a子「あれは姐さんの得意技!」
b子「なんか見開き2ページくらいたくさん殴るパンチ!」
不良女「さっきの身のこなしで分かったぜ…」
不良女「てめぇの拳は俺みてぇに先の先を取る攻撃的な戦術とは裏腹に!」
不良女「必ず相手が仕掛けた攻撃を受け流してから始まる!」
不良女「要するに後の後を取る返し技!返す隙さえなけりゃぁこっちのもんだァ!」
オラオラオラオラオラオラオラオラ、オラーッ!
不良女「…下手な鉄砲数撃ちゃ当たるみてぇでちとカッコ悪いがな」
妹「…」フゥ
不良女「何っ!?」
a子「そんな…」
b子「無傷…全部防がれていた…」
妹「私の拳が後の後の返しですか…笑わせてくれますね」
不良女「一発も決まってねぇってことかよ…」クッ
妹「数撃っても当たらないんじゃぁ意味がありませんよ」
不良女「くっ…野郎ォォォ!」オラオラオラオラオラ
パシッパシッパシッ
妹「シッ」
ボコボコボコボコボコ
不良女(ちくしょう…拳の重さも早さも大した差はねぇはずなのに…)
不良女(俺の拳は当たらねぇで妹の拳は当たりやがるんだっ 何でェ!)
バキャァ
不良女「ぐあああぁぁぁぁぁ!」
不良女(…強い…)
不良女(悔しいけど…やっぱ強ぇ…妹でこんなに強ぇんだ…)
不良女(男は…こいつよりも…上だってのか…)
妹「分かりましたか?不良女さんは私や兄さんとは実力も乙女力も、ありとあらゆる面で遠く及ばないんです」
妹「私からすれば…あなたなんか口うるさいだけのひよっ娘に過ぎません」
不良女「うるせぇ!」ムクッ
妹(…!!まだ動けるんですか…)
不良女「だから何でぇ!!」
フラフラ
不良女「俺は男の家へ行く!誰が何と言おうとなぁ!」
フラフラ
妹「あなたは…私達の家には行けません」スッ
a子(! 構えた!)
b子(この勝負の中で…初めて!)
不良女「…ぐっ」クラッ
妹「無理ですね。顎への一撃が足に来ています。今は立っているのやっとのはず」
不良女「…ッ」ザッ
妹「どんなに粋がろうと、足掻こうと、あなたはただの…」
妹「ひよっ娘に過ぎません!!」ヒュォッ
メシャァッ
a子「あぁ!?姐さん!」
b子「顔面にモロ…!」
ギラッ
不良女「だから…何だってんだぁぁぁ!」
妹「な……」
メキャッ
完璧にるろうに剣心じゃねぇかw
a子「パンチを顔面で受け止めて…」
b子「その腕を左右からハサミ潰すなんて…」
a・b子「姐さんパねぇ…」
不良女「どうでぇ、ひよっ娘にだって、てめぇの腕を潰すぐらいはできるんだぜぇ」
不良女「ちったぁ驚いたか」
妹「くっ…」
不良女「てめぇも、男も鼻から今の強さだったわけじゃねぇだろう」
不良女「ひよっ娘だからって甘く見てんじゃねぇぞ」
vipのやつ見てた
支援だ
フゥ
妹「…やめです」
不良女「…あ”ぁ”!?」
妹「これ以上不良女さんのように野蛮な人を相手にしたところで、時間と労力の無駄です」
妹「そんなに行きたければ勝手に行ってください」
妹「そしてさっさと見限られてしまえばいいんです」
不良女「何ィ!?」
フイッ
妹「……天性の喧嘩強さに自惚れた上、乙女力のいろはも知らないなら…どの道可能性もありませんし」
スタスタスタスタ
不良女「…ふぅ…」パタッ
a子「姐さん!」
b子「ケガは!?」
不良女「そんなに心配しねぇでも少し休めば治るさ」
不良女(多少痺れた程度で…致命傷はねぇ…)
不良女(あの妹…あれだけ拳を繰り出しておきながら動けなくなる急所には一発も当ててねぇ…)
不良女(最初の一撃も手を抜いてたってわけか…)
不良女(本当に妹は…俺に合わせて戦っていやがった…)
不良女(これがあの男の妹の実力ってわけかい…)
不良女「…ちくしょう!こんなところでちんたらしてらんねぇ!」ガバッ
不良女(それに妹の言ってた“乙女力”ってのも気になる…)
不良女(そいつを手に入れれば俺は今より強くなれるのか…?)
不良女「a子、b子、俺はもう行くぜ」
a子「ええっ姐さん手当てとかは!?」
不良女「必要ねぇ。その代わりb子、ありったけの駄菓子を買ってこい!」
b子「は、はい!」
―3分後
不良女「ココアシガレットにヨーグルに…おぉビッグカツじゃねぇか気が利いてるなb子」
b子「腹持ちいいですからね」
不良女「これだけあればパワー全快だ。傷も2秒位で治るぜ」
a・b子(いつも思うけど何食ったらそんな体になれるんだろう…)
a・b子(………あぁ駄菓子か…)
不良女「それじゃぁ男の家に行ってくる」
a子「その地図通り行けば10分もすれば着くはずです」
b子「…ご無事で!」
スタスタスタ
不良女(強くなる…!)
不良女(強くなってやる…!)
不良女(男の家に行くまでの道のりで修行して…)
不良女(家に辿り着く前に…絶対強くなってやる…!)
不良女「う”お”おおおおぉりゃぁ!!」
メキメキメキィ
不良女「どぅお”おおおぉぉぉりゃぁ!!」
ボキャァ
不良女「い”やああああぁぁぁぁぁ!!」
メシィ ズズーン
不良女「これで街路樹20本目…」ゼェハァ
不良女「強くなってやるぜぇ…!!」
不良女「妹が俺にトドメを刺さなかった事を後悔する位ぇなぁ!」
不良女「俺は弱くなんかねぇ!」
不良女「それを証明してやるぜ!待ってろよ!男ぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
メキョァ ズシーン
不良女「…何か違ぇ…これじゃぁただの自然破壊で、何の修行にもなっちゃいねぇ…」
キョロキョロ
不良女「それにもう3時間も歩いてるのに一向に着く気配がねぇ…」
不良女「えぇと地図のこっちが上だから北で…」ブツブツ
不良女「…」
不良女「男の家はぁぁぁぁぁぁぁ!!どっちだああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!」
不良女「んぅぅぅぅぅぢぎしょぉぉぉぉ!!」
不良女「俺は確か商店街を歩いていたはずなのに…山ん中ったぁどーいうこったぁ!」
不良女「木が増えちまったから進むの遅くなっちまったし…」
不良女「そうだ!確かb子から受け取った駄菓子の中に…」
不良女「あった!棒磁石だ!」バァン
不良女「これにひも付き飴のひもを巻いて吊るせば…」
クルクル ピタァ
不良女「お!北はこっちか…するってぇと男の家は西だから…大体あっちかなぁ」
不良女「よおぉぉし!行くぜ!男の家ぇぇぇぇぇぇぇ!」
ホォー ホォー
不良女「やべぇな…こりゃマジで道に迷っちまったようだぜ…」ゲッソリ
不良女「男の家はどっちだぁ?ちくしょー!」
不良女「…いやその前に…ここは一体どこなんだ!」
…ぁ……
不良女「ん?」
…ねぇ…さぁ……
不良女「いやに聞き覚えのある声が…」
a・b子「姐さぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」
不良女「a子にb子じゃねぇか!」
a子「や、やっと追い着いた…」ゼェハァ
b子「み…水……」ゼェハァ
不良女「よく俺の場所が分かったな」
a子「いや姐さんの通った後は必ず木が倒れてたんで…」
b子「上空から見たら綺麗なミステリーサークルになってますよコレ」
不良女「…いやそれより前に何で追ってきた?俺ァ一人で…」
a子「いや、タイマンってのは分かってますよ!」
b子「ただうちらは姐さんの戦いを最後まで見届けたいんですよ!」
不良女「…お前ら……」ジーン
a子(このとばっちりを男くんに発生させた責任もちょっとあるから寝覚め悪いし…)
b子(そして何より…)
a・b子(万に一つの確率でも、姐さんの恋が見れるならごちです!)
a子「それと地図に書くの忘れてたんですが…」
b子「男の家の隣にはさる財閥のお嬢様が住んでるみたいで…」
a子「その屋敷の敷地がとてつもなく広いんですよ」
b子「だからうちらも何とか案内しようと思って…」
不良女「あぁだからワケワカンねぇ山の中に突然入っちまったのか」
不良女「てっきり俺が方向音痴だから迷っちまったのかと思ったぜ」ハッハッハ
a・b子(いや姐さん方向音痴だからもしやと思って追っかけてきたんですけどね…)
a子「さ、行きましょう、こっちです」
不良女「悪ぃな、助かるぜ」
スタスタスタ
a子「へへっ水臭いこと言わないでくださいよ…何しろうちらは」
ズゥゥゥゥゥン
不良女「!何だ…地面からすげぇ振動が…」
a子「…」
不良女「…おぃa子?どうした?」
a子「んひっ!」ビクビクン
不良女「a子!どうした!大丈夫か!」ダッ
a子「あっ、ひっ、ね、姐さん…」
不良女「何があった!闇討ちか!」
a子「んっ…ぅ…何か…足元からビリビリッて来たと思ったら…なんか気持ち良く…なっちゃって…んっ」ビクン
不良女「?気持ち良く?」
b子「…うちも…その…ちょっぴり…」モゾモゾ
ズゥゥゥゥゥン
a子「あひぃぃぃぃっ!」ノケゾリッ
不良女「a子ぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
不良女「くそぁっ!方向からするとこっちか!」
不良女「どこのどいつだぁ!人様の可愛い子分いじめやがってぇ!」
?「近親相姦相思相愛嗜虐自虐自縛母子相性抜群背徳俺特…」ブツブツ
不良女(何だぁ…?三角巾にエプロンに…手に…包丁?)
b子(うわ、なんて綺麗な黒髪…ツヤッツヤ…。見た目はどう見てもテンプレな感じの主婦ですけど…どことなくエロス…)
不良女「…まさか…さっきのa子がくらったのは…」
バッ
b子「あ!包丁を振りかぶりましたよ!」
?「…淫!!」ガッ
不良女(包丁を地面に突き立てた!?)
ズゥゥゥゥゥン
b子「ひぅっ」ビクン
不良女「くっ」ビリビリ
―アヒィィッー!
b子「うぅ…」ピクンピクン
a子「」ビクッビクッ
不良女「…すげぇなぁ…今の…」ポケェ
?「…あら?」
不良女「!…そうか!今のが修行を積んだ女が使える“乙女力”ってやつだろ!」
不良女「初めて見たぜ…」
謎女「あらあら、こんなところで迷子かしら」
不良女「あぁ。認めるのは癪だがそうだ。悪いが道を教えてくれ。それと…」
ビシッ
不良女「あいつら介抱すんの手伝え」
謎女「あらあら、人に物を頼む態度がなってないわね」ウフフ
―30分後
パチパチ…
謎女「…そう。私の修行のせいであなた達が…」
謎女「それは申し訳ないことをしたわ」
a子「い、いえ!ケガした訳じゃないですし…」ブンブン
b子「むしろ…その…ねぇ…」モジモジ
不良女「まぁこいつらもこう言ってることだし、いいってことよ」
不良女「おかげでこうやってあったかい飯にもありつけたし、“乙女力”なんて珍しいもんも見れたしなぁ」
a子(そう言えばさっきの…)
b子(一体何だったんだろ…)
a・b子(断じて“乙女力”ではないと思うけど…)
謎女「あれは“乙女力”などではないわ」
a・b子(ですよねー)
不良女「ん?」
謎女「“乙女力”なんてそもそも男の萌心を煽るための吹聴」
謎女「…女として歩んで長いけど私自身一度も見たこともないわ」
不良女「へぇ…年はいくt」
ゾワッ
謎女「あらあら、うふふ」ゴゴゴゴゴ
不良女「…な、なんでもねぇ」
a・b(こ、恐ぇ…)
謎女「もし仮にあるとしても…今の私には使えない代物ね」フフッ
不良女「なぁ…あんた一体何者なんだ…?」
謎女「私は…“主婦”よ」
不良女「あぁ!“シェフ”か!通りでこんなにうまい飯が」
主婦「あらあら、違うわよ」ウフフ
主婦「“主婦”。一人の男を愛し、結婚し、日々を幸せに過ごす女のことよ」
不良女「なぁるほどぉ。どーりで俺たちと違って胸がすげぇでけぇのか」
a子(…くっ)
b子(f、g…いやh…くっ)
主婦「そういうあなた達は制服からすると…明治学園の生徒かしら?」
不良女「おうよ。んでこいつらは俺の子分だ」
不良女「…けどよぉ主婦だってんなら何でこんなとこで修行してんだ?」
a子(oh…聞きにくい事をあっさりと…)
b子(流石姐さん…そこにシビれる憧れry)
主婦「…主婦になったとしても、女として自分を磨くことをやめてはいけないわ」
主婦「女として更なる上を目指すには努力以外に方法はないの」
主婦「それはサプリメントや道具の中にはないもの。私の修行は自分の魅力を引き出す為のもの」
主婦「そしてそれには神仏や二次元でさえも凌駕する力がいるの」
主婦「例えそれが…世の理に反することであっても、ね」
不良女「あんた…ただの主婦じゃぁねぇなぁ」
主婦「…」
パチパチ…
不良女「ま、どんな訳があんのか知らねぇが、それより…」
不良女「さっきの力が“乙女力”じゃねぇってのなら…“乙女力”がわかんねぇこの俺にだってできるってことだよなぁ?」
a・b子「!…姐さん!」
不良女「悪いようには使わねぇ。一つ俺に教えてくれねぇか!」
主婦「…あなたは何故、力を欲するの?」
不良女「…まぁ色々あるけどよ、一言で言やぁ今よりもっと強くなりてぇってとこかな」
不良女「学園出る時、一戦を交えた奴がいてなぁ…」
不良女「そいつから“乙女力”がなってねぇって言われてチラッと考えちゃみたんだが…」
不良女「やっぱどうもそりゃぁ俺の主義にあうとは思えねぇ。…そもそも“乙女力”がわかんねぇしよ」
不良女「俺は俺なりの方法で強くなりてぇんだ!頼む!な!教えてくれ!修行でもなんでもやるからよ!」
主婦「…やめておきなさい」
不良女「なんでだよっ」
主婦「あなたのようにやたらと女の力を求める輩は五万といる」
主婦「だけど所詮うわべだけ。誰一人として、私の修行に耐え切れる人なんていないわ」
不良女「やってみなきゃわかんねぇだろう」
主婦「命を落とすのオチね。ひよっ娘はひよっ娘らしくおとなしくしておいたほうが身の為よ」ウフフ
不良女「この俺がそのひよっ娘てのかどうか、試してみちゃどうだぃ?」ザッ
主婦(…綺麗で真っ直ぐな瞳ね…本当に)
不良女「俺には力がいる!力が必要な理由があるんだ!」
不良女「あんたの理由に比べればもっと個人的な理由だけどよ」
不良女「けど、俺にとっちゃ…命をかけるに値する理由さ」
主婦「…ニつ質問に答えて。一つ目、あなた…恋したことある?」
a・b子「ブホッ」
不良女「うわっお前ら汚ねぇな。恋ぃ?」
主婦「いいから答えて」
不良女「したことねぇな。大体男なんて口だけの奴ばっかりで弱ぇしよ」
不良女「大体恋ってのが何なのかすらわかんねぇよ」
a・b子(姐さん…)
不良女「そうだな、倒したい男なら今一人いる。尊敬する男は…昔、一人いたけどな」
不良女「でもそれが何の関係があんだよ」
主婦「ニつ目、あなたオナニーしたことある?」
a・b子「ブーーーーーーーーーーーーッ!!」
不良女「お前らさっきから何なんだよ!」
a子「ゲホッゲホッ、いやあの、質問があまりにもアレすぎて」
主婦「…その様子だと知らないみたいね」
主婦(ウブで恋も自慰さえ知らない生娘…。もしかしたら…)
主婦「…いいわ。教えてあげる」ウフフ
不良女「ほ、本当か!ありがてぇな!」キラキラ
主婦「不良女さんこっちに来てくれるかしら」
不良女「おう!」
a・b子(何が始まるんだろう…)
主婦「いい?確かに殴ったり蹴ったりして痛みを与えることは確かに強いわ」
主婦「でもね。世の中にはそれを快感に変えてしまってまったく通用しない、そんな人達がいるの」
a・b子「」ドキッ
不良女「そんな恐ろしい奴らがいるのか…世界は広いな」ウヌゥ
主婦「痛みで死んでしまう例もあるそうだけど、彼らにはまるで効かないはずよ」
主婦「だから痛みは万能じゃない…けれど」
不良女「けれど?」
主婦「“快感”は違うの。快感は全てに置いて通用する究極の武器…」
主婦「適度な量ならまだしも、過度に与えれば簡単に行動不能に陥るわ」
主婦「あなたはさっきあの“振動”を感じた時、何か体に感じなかった?」
不良女「そう言えば…なんだか股の間がぽかぽかしたような…」
a・b子(姐さんに芽生えが!)
主婦「こんな風に」スッ
不良女「わわっ、な、何」
主婦「胸の先端や…」サワサワ
不良女「あっ……ん」
主婦「太ももの境目から…ココとか」ウフフ
不良女「ひっ、たんま!そこは、んぅ」ピクン
主婦「もちろん耳や脇でもいいし」フゥ
不良女「ん、うっ、あっ、あっ」ピクピク
主婦「こんな風に体中のどこからでも快感を与えることができるの。一般的には愛撫ってやつね」
a・b子(うわぁ……)ドキドキ
不良女「すげぇな…愛撫って…」フラフラ
主婦「男性も女性も差異はあるけれど修練次第でどちらにでも応用できるようになるわ」
主婦「いいかしら?ここからが本題よ」
主婦「今からあなたがa子さんに快感を与えるために、指先で愛撫するとしましょう」
a子「えぇっ!?」ビクッ
主婦「だけど男女に関わらず全ての人には快感に対する抵抗が存在する為、この快感は完全には伝わりきらないの」
主婦「精神的な抵抗ももちろんあるし、そして開発されてない躰はそもそも快感を得にくいもの」
主婦「つまり伝わりきらなかった快感は無駄になってしまう」
不良女「そ、それで!」
主婦「その無駄をなくすにはどうすればいいと思う?」ウフフ
主婦「まず指を真っ直ぐ立てて任意の箇所に愛撫の第一撃を与えて」
主婦「そして一撃目の快感が人の抵抗とぶつかった瞬間、指を折って第二撃を入れる」
主婦「すると第二撃目の快感は抵抗を受けることなく完全に伝わり、相手を骨砕けにしてしまうの」
主婦「これが私が10年の修行で会得した快感の極意…“二重の愛撫”よ」ウフフ
不良女「ふたえの…あいぶ…」
主婦「これを応用すればさっき私が試していた遠当ても可能になるわ」
不良女「あ、ああ。すげぇ簡単じゃねぇか!」
不良女「いいのかこんな極意をあっさり教えちまって」
主婦「あらあら、まずはやってみて」ウフフ
a子「ね、姐さん、待」
不良女「ええっとまず指で触れて」
a子「んっ」
不良女「指を折ってまた触れる」
a子「あっ」
不良女「…あれ?腰砕けにならねぇ…」
主婦「それじゃぁただの2回に分けた愛撫よ」ウフフ
主婦「いい?快感っていうのはとっっても早いの」
主婦「それは一瞬、まさに刹那の瞬間。その瞬間に第二撃を打ち込む」スッ
フッ
a子「え」
ッパァン
a子「んほぉぉぉぉぉっ!」プシャー
主婦「私がこの極意に到達してから、我が家の旦那様を腰砕けにするまでにかかった時間はひと月」
a子「」ビクッビクンッ
主婦「あなたもひと月でこれを成し遂げなさい。命を賭けると言った以上…」
主婦「できなければ…ここで死んでもらうわ」
b子(理解不能ッ!理解不能ッ!!)
a子「」ビクッ ビクッ
主婦「“二重の愛撫”は私が自分自身の為に編み出した秘伝よ」
主婦「本来は人に伝えるものでも、まして教え広めるものでもない…不服はないわよ、ね?」ウフフ
不良女「流石はこんな山ん中で修行している主婦、死んでもらうとは言うことがちげぇぜ」
不良女「いいぜ!命賭けてやらァ!」
不良女「どの道ちんたら修行する暇はねぇんだ。ひと月なんざいらねぇ!」
不良女「7日間でこの“二重の愛撫”を極めてやらァ!!」
b子(アイエエエ!?ナンデウチココニイルノ!?ナンデ!?)
a子「」
―3日後
不良女「うおおおらぁあああ!!」フッ
b子「んっ」サワワ
不良女「ちくしょう!うまくいかねぇ…ふにふにっと2回素早く愛撫を叩きこむ!」
b子「うぅ、a子バトンタッチ…何かジンジンしてきた…」ヨロヨロ
a子「あんたギブアップ早いよ…さっき交代したばっかりじゃん…」ヨロヨロ
不良女「簡単なはずなのに…何でできねぇ…」
ガサガサ
主婦「“二重の愛撫”を体現するのがいかに難しいかよく分かったでしょう」ウフフ
主婦「一週間では絶対不可能。考えを改めてみたら?」
不良女「へっ…やなこった!」
a子「姐さんにできないことはないんだよ!」
b子「そうだそうだー!」
主婦「…強情な人たちねぇ」
不良女「まだ3日目だぜ。7日間にはあと4日!できるかできねぇかを判断するのは!」フッ
a子「あっ」サワッフルッ
不良女「4日後のお楽しみってことさ」
主婦「馬の耳に念仏ね」ウフフ
不良女「誰が馬だゴルァ!」
主婦「じゃぁひよっ娘」
不良女「…うるさいよ」
主婦「いいでしょう。期限は一週間。残りはあと四日ね」
主婦「それまでに“二重の愛撫”を会得できないなら…」
スタスタスタ
a子「え!?嫌ァァァァ!こっち来ないで!あっち!b子!」
フッ
ッパァン
a子「おほぉぉぉぉぉぉっ!」ブシャー
主婦「約束通り…死んでもらうわ」
不良女「上等…だぜ!」
a子「」ビクッビクン
b子「うはぁ…ナームー」
不良女「うおおおぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
b子「んぅっ」フルフルッ
不良女「命もかけねぇで得られるものなら!最初っからいらねぇんだ!」
不良女「俺が欲しいのはァ!俺が望んでいるのはァ!」
不良女「でやあああァァァ!うおぉあらぁぁぁぁぁ!!」
b子「あっ」サワワッ
主婦「無駄…無駄な努力ね。“二重の愛撫”は私の10年による修行の結晶」
スゥ
主婦「気迫一つで会得できるほど、安くはないわよ」
―5日後
不良女「でやあああぁぁぁぁぁぁぁ!」
不良女「でやぁぁぁるあぁぁぁぁぁぁぁ!」
不良女「ちぇぇぇぇい!」
a子「ん”ぅっ」フルルン
不良女「“二重の愛撫”にゃ…ほど遠いぜ…」
不良女「こうだろ…こうきてこう…」ギュッ
a子「痛だだだだ」
不良女「ん?間違ったかな?」
―6日後
不良女「うおおおおおおあああああああああああ!」
アンッ
不良女「明日が約束の日だってのに…」
不良女「まだだ!まだ一晩ある!」
――――
ンァッ
不良女「まだだ!夜明けまでまだ間があるぅ!」
――――
ンヒンッ
不良女「ハァ…ハァ……ゼハァ、ハァ…まだ、だ…まだ…時間…が……」
ドサァ
不良女「くそぉ…時間があっても…体力はもう…ねぇ…」
a子(う、うちらも…)
b子(流石にもう…限界です…)
不良女「ぢっぎしょ……ぢぎしょう…」
不良女「…こんな…人んちの山ん中で……俺ァもう…終わりかよ……」
不良女「…師匠……師匠だったら…きっと…こんなの簡単に…できるんだろう…」
a子「師匠って…」
b子「姐さんが小さい時に戦い方を教えてくれたっていう…」
―――――
―――
―
―10年前
ガキ「へへーこいつのかみまっかっかー」グルグル
ガキ2「あたまでもわれてるのーしぬのー?」グルグル
チビ女「うっ…ひっ…ぐすっ…」
ガキ「まーたないてやんのーよわむしー」グルグル
ガキ2「ば~~~~っかじゃねえの!?」グルグル
チビ女「すきで…あかくなったわけじゃ…ないもん…ぐすっ」
ガキ2「わたしにめいあんがある」
ガキ「なになにー?」
ガキ2「かみをぜんぶきってしまおう」チョキチョキ
ガキ「めいあんだー!それならチビ女もあかくなくてすむしなー!」
ガキ2「うごくな。じっとしていろ」チョキチョキ
ガキ「けがしちゃうもんねーおれたちってやーさしー」ガシッ
チビ女「いや…やめっやめて……」ヒッ
?「きさまらー!」
ガキ「ん?」
ガキ2「げえっ!チビ男!」ジャーンジャーンジャーン
チビ男「おんなのこをいじめるな!」
チビ男「いじめていいのはあいてがよろこぶときだけだ!ってかあさんがいってた!」
ガキ「くそークラスのおんなのこににんきあるからってー!」ムキー
ガキ2「そのきれいなかおをふっとばしてやる」チャキッ
チビ男「わかった。やってみろ」
ガキ2「え?」
スタスタ スッ ピタッ
チビ男「ほら、おまえのはさみをかおにあてたぞ」
ガキ2「え?え?」
チビ男「あとはつくだけできれるぞ」
ガキ2「こんなの、ぜったいおかしいよ」
グッ
チビ男「ほら、どうしたんだよ。てつだってやろうか」
グッ ピッ ツツー
ガキ「わわっ。ちだ~!!」
ガキ2「くるってやがる…」ゾゾォ
ガキ共『うわぁぁぁぁぁぁぁ』ダダーッ
チビ男「いえへかえるんだな。おまえにもかぞくがいるだろう」グシグシ
チビ男「だいじょうぶか?たてるか?」
チビ女「う、うん」
チビ男「けがは、なさそうだな」
チビ女「あ、ありがとう。た、たすかった…」
チビ男「なんのこれしき」
チビ男「みかけないかおだな」
チビ女「さ、さいきんひっこしてきたの…」
チビ男「ふぅんおれはチビ男っていうんだ。あっちにすんでる」
チビ女「わ、わたしは…不良女って…いうの…」
チビ男「不良女?」ジロジロ
不良女「…」モジモジ
チビ男「なまえのわりによわそうだな」
不良女「…」ジワッ
チビ男「でもいいなまえだ」
不良女「えっ…」ドキッ
チビ男「かみもまっかできれいだし」
不良女「ええっ!」ドキドキッ
チビ男「よしともだちになろう」
不良女「ふえぇっ!?」ドキン
チビ男「でも不良女。おまえだめだぞ」
不良女「な、何が?」
チビ男「おまえよわい」
不良女「うぅっ…しかたがないもん…」グスッ
チビ男「ちがう。よわいのはわるくない」
チビ男「よわいのに、なにもしないのがだめだ」
不良女「…」
チビ男「よわいとふりだ」
チビ男「だからつよいやつよりがんばらないと、だめだ」
不良女「…そ、そんなこといったって…」
チビ男「さっきおれがきてなかったら」
不良女「…っ」ビクッ
チビ男「おまえのきれいなかみ、なくなってた」
不良女「…」
チビ男「おまえをたすけられたのはぐうぜん」
不良女「…」
不良女「…て…」ボソッ
チビ男「ん?」
不良女「おしえてよ!」ウルッ
チビ男「?なにを?」
不良女「つ、つよくなるほうほう!」
チビ男「…」
不良女「チビ男くんみたいに、つ、つよくなりたい」
チビ男「…うん、いいぞ」
不良女「!」
チビ男「おまえかみきれいだし」
不良女「うっ」ボッ
チビ男「なまえみたいにつよくしてやるよ」
不良女「ほ、ほんと!?」
チビ男「…」
チビ男「…わるかった」
不良女「え」
チビ男「おまえだめじゃない」
不良女「…」
チビ男「がんばろうとしてるから、だめじゃない。だからわるかった。ごめん」
―――――
―――
―
チビ男「ちがう!ししょうとよべ!」
不良女「は、はい。ししょう」
チビ男「あとじぶんのことは“わたし”じゃなくて“おれ”っていえ」
不良女「お、おれ?」
チビ男「“わたし”はよわそうだ。はったりをかませ。ってかあさんがいってた」
―――――
チビ男「ちがう!さくれつだんはこうなげろ!」バッ
不良女「こ、こう?」バッ
チビ男「いいぞ!よりとおくに強く叩きつけるんだ!」
―――――
チビ男「ばんてーじをこぶしにまけ!」
チビ男「おまえをけがからまもってくれる!」
不良女「はい!ししょう!」
チビ男「まきかたしだいでこぶしのいりょくもあがる!」
不良女「はい!ししょう!」
―――――
―――
―
チビ男「おしえられることはおしえた」
不良女「ししょうおれがんばりました!」
チビ男「よくがんばったな」ナデナデ
不良女「えへへへ…」テレテレ
チビ男「このへんじゃおれのつぎにサイキョーだな」
不良女「もういじめられたりしないです!」エイヤァ
チビ男「ここもへいわがたもたれるな」
チビ男「そしてあすからおまえがサイキョーだ」
不良女「……………………え?」キョトン
チビ男「おれもおまえみたいに、ひっこしってやつをするらしい」
不良女「」
チビ男「きたえるのにひっしで、いうのわすれてた」
不良女「え、あし、た…?」
チビ男「うん」
不良女「でもでもっ!まだおれはんにんまえで!ししょうからもっといろいろ!」
チビ男「おまえはもう、じゅうにぶんにつよい」
チビ男「それに、さっきいったぞ」
チビ男「おしえられることはおしえた、って」
あっちでも見てたぞ保守出来なくてすまん
支援
チビ男「あとはおまえしだいだな」
不良女「…」グスッ
チビ男「なくな。それにもうあえないわけじゃない。ほら」
不良女「ほっぺのきず…」
チビ男「これけせるらしいけどけさないぞ」
不良女「ししょう…?」
チビ男「これがあれば、すぐおれだってわかるだろ」ニカッ
不良女「ししょう…」ウルッ
―――――
チビ男「じゃあな」
不良女「ししょう!おれもっとつよくなります!いつかししょうよりもっと!」
チビ男「でしはひとりしかとらないしゅぎだ。いつでもちょうせんはうけてたつ」
チビ男「だけどおまえがきたえてるあいだ、おれもきたえている」
チビ男「それにおまえよりおれのほうがつよい」
チビ男「よわいやつはつよいやつより」
不良女「がんばらないと、だめだ」
チビ男「…うん、そうだ」ニカッ
?「おにぃちゃーん。もういくよー」
?「あらあら、おともだち?」
チビ男「またあおう。さらだばー!」ブンブン
不良女「さらだばー!」グシッ
―――――
―――
―
a子「うっ…ぐすっ」ヒック
b子「イイハナシダナー」グスッ
不良女「俺が唯一尊敬している…たった一人の男さ…」ワシワシ
a子「姐さんの髪って染めてたんじゃなくて」
b子「地毛だったんですねぇ…」
a子「!…だから生活指導の先公に言われても髪を…」
不良女「……………さて…うっ」ヨロッ
b子「あぁ姐さんまだ休んでたほうが…」
不良女「いや…川に行って水を飲んでくる…お前ぇらも準備しとけよ」
b子「う”っ…りょ、了解です…」
不良女「とは言ったものの…やべぇな…」フラフラ
不良女「足腰が言うことを…聞かねぇ…」ガクッ
不良女「とりあえず…み…水…」ガブガブ
?「………」
不良女「んぁ?」クルッ
?「………」
不良女「おわぁ!誰だてめぇは!俺の背後に立つんじゃねぇ!」
ボワァ…
?「………」
不良女「……その頬の傷…そんな…まさか…」
不良女「…し…ししょう……?」
師匠?「………?」
不良女「いやよく見たらチビじゃなくてデカいし…」
不良娘「ッ!?違う違う違う違うッ!」
不良女「その前によく見たらお前ぇ俺の討伐対象の男じゃねぇか!?」ワタワタ
不良女「いやでも師匠に目付きもそっくりだしよく見たら目鼻立ちも…」
ハッ
不良女「…いかん…疲れすぎて俺ァ幻覚でも見ちまってるのか……」
不良女「倒そうとしている男とダブって見えちまうなんて…」ブンブン
師匠?「…見たところボロボロじゃないか」
不良女「うおぁ!幻が喋ったぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
不良女(いけねぇ…何だか急に心臓がバクバクしてきやがった…)ドキドキ
師匠?「休息を取ったほうがいい。傍目から見ても体の要所要所が悲鳴をあげているし」
師匠?「これ以上無理をすれば…それこそ命の保証はないと思う」
不良女「!で、でも!」
師匠?「何もかも忘れて今はもう休んで。それ以上は、いけない」
不良女「すいやせん…師匠…そいつは…聞くわけにはいきません」
不良女「俺がまだガキだった頃にいじめられた時、心底そいつらを憎みました」
不良女「それと同じくらい…自分が憎かった…」ググッ
不良女「自分を助けてくれた師匠が傷ついたとき、何一つできずにいる非力な自分自身が悔しくてたまらなかった」
不良女「あれから10年。いつか師匠だって助けられるように自分の力を磨いてきました」
不良女「師匠より強くなると約束した以上、師匠以外の連中には負けていられねぇんです!」
不良女「俺はもう、10年前の悔しい思いを繰り返したくない!」
不良女「だから、俺は!今こそ強くならなきゃならねぇ!」
不良女「全ての理不尽な障害を打ち砕ける力を!この手にして!」
不良女「師匠…夢でも…幻でも……一目会えて、嬉しかったです……」
クルッ ヨロヨロ ヨロヨロ
―――――
男「…今のってボロボロだけど、6日前くらいに見た人だったよな…」
男「人違いか?ちょっと時間も経ってるし、向こうも俺のこと師匠って言ってたし…」フーム
男「何かすごい真剣だったし…偉そうなこと言って失敗したか…」
男「…見た時から気になってたけど…何か…すごく気になるなぁ…」
男「…とても大切なことのような……」
男「ハッ!」バッ
男「そうだ!こっちも大変だった!早く母さん探さないと!」
男「多分、いつもだとここら辺のはずなんだけど…」
男「まったく毎回毎回幼馴染の家の敷地勝手に借りるなよな…ホントに…」ハァ
―7日後
チュンチュン
不良女「」
主婦「力尽きて死んじゃったのね…少々惜しい女の子だったわ」
主婦「せめて供養だけでもしてあげようかしら」ナムナム
不良女「…勝手に殺すな奥さんよ」ムクッ
不良女「ふぁぁぁぁぁ…疲れたからちょっと寝てただけだ」ノビィ
主婦「…だけどそこの2人を見る限り、“二重の愛撫”は会得できなかったみたいね」
a子「…」
b子「…」
不良女「へっ」
フッ
ッパァン
b子「んひぃぃぃぃぃぃぃ!」プシャー
主婦「!」
不良女「できるようになったのは本当についさっきだけどなぁ」
不良女「一度コツを掴むと、これくれぇは朝飯前だな」
主婦「でもa子さんはそこに立って…」
不良女「あぁ、そいつぁ立ったまま気絶してるのさ。侠客立ちたぁホントに女の鑑だぜ」
a子「…」
主婦「…大した才能ね」
不良女「おいコラァァァ!こっちは本当に死にかけたんだぜ」クワッ
b子(うちらも…です…)
主婦「そうね。悪かったわ。じゃぁ改めて…」
主婦「“大した女ね”」ウフフ
不良女「へへっ」
―――――
不良女「さぁって随分時間くっちまった。そろそろいかねぇと…」
主婦「あらあら、ちょっぴり寂しくなるわね」ウフフ
a・b子「」ビクッ
不良女「じゃ、世話んなったな奥さんよ!俺は“不良女”!縁があったらまた会おうぜ!」ダッ
主婦「私は“母”。気をつけてね」ウフフ
a・b子「お、お世話になりましたー」タッ
母(それにしてもあの娘…たったの一晩でヒロインのように輝き始めたわね…昨日までただのひよっ娘だった癖に…うふふ)
―男家・玄関前
ヒュォォォォォォォ
不良女「いよいよ男の家に突入か…武者震いがしてきやがったぜ…」
a・b子「ここがあの男のハウスね…」ゴクリ
不良女「…ここに辿り着くまで随分かかっちまったな…」
a子「えぇ…何しろ一週間かかってますから…」
b子「連続サボタージュ記録現在なおも更新中ですし…」
不良女「お前らにも随分迷惑かけちまったな」
a子「とんでもない。うちら自分の意思でここに来たんすから」
b子「迷惑だなんて微塵も …思ってないです!」
不良女「お前ら…」ジーン
ピンポーン
プツッ
?『は~いどちら様ー?』
不良女「あのっあのっ不良女です!男にあ、あ、会いに来ましたァ!」
b子(必死な姐さんかわゆす…)
a子(…あれ?インターホンの声ってコレ…)
?『……ちょっとお待ち下さい』
不良女「よぉし!これであとは男に決闘申し込むだけだぜぇ!」
ガチャッ
不良女「ちわっす!俺不良…女…って…言………」
母「あらあら」ウフフ
a・b子『奥さんじゃないですか!?』
不良女「………あんた、男の母親だったのかぃ…」
母「そう、正真正銘この家に住んでいる男の母よ」
不良女「あんたとはもう一度会いてぇと思ってたが…」
不良女「まさかこんなカタチになるとはなぁ」
母「あらあら、それは私も同じよ。一日もしないのに再会しちゃうなんて、ね」ウフフ
母「…そして…思いもよらなかったわ…」
母「“恋なんかしたこともねぇ”と言ったあなたの言葉全てが嘘偽りだったとはね」
母「…正直言って失望したわ。自分の見る目のなさにもね」
不良女「どういう意味だそりゃぁ!」
母「そのままの意味よ。あなたが極意を得たい理由は自分が強くなりたいから、じゃなかった?」
不良女「あぁ、その通りだがよ」
母「それがいざ蓋を開けてみればこの状況、家まで来たあげく息子に会おうとしている」
母「あなたうちの子を誑かす為に来たんでしょ」ギラッ
不良女「何ィ!?違ぇぞ、俺はただタイマン勝負を」
母「違わないわ。あなた自分の顔を鏡で見たらどう?」
a子「手鏡どうぞ、姐さん」スッ
b子(身近すぎてうちらは変化に気づけなかった…)
a子(あの修行の中で姐さんは成長していたってことに…)
不良女「……これが…俺の…顔………」
不良女(頬に赤みが差して、眉間の皺もなくなってる…)
不良女(目尻のキツさも少ないし、それに口元が緩んで…)
不良女(これじゃぁ、これじゃぁまるで…)
a子(恋する…)
b子(乙女の顔…)
a子「手鏡どうぞ、姐さん」スッ
b子(身近すぎてうちらは変化に気づけなかった…)
a子(あの修行の中で姐さんは成長していたってことに…)
不良女「……これが…俺の…顔………」
不良女(頬に赤みが差して、眉間の皺もなくなってる…)
不良女(目尻のキツさも少ないし、それに口元が緩んで…)
不良女(これじゃぁ、これじゃぁまるで…)
a子(恋する…)
b子(乙女の顔…)
ふむ
不良女「…メンチの切り合いで俺が目を逸らした…自分が許せなかった…」
不良女「…妹に男の眼中にないと言われて無性に腹が立った…」
不良女「…乙女力がないと断言されて悔しかった…」
不良女「…相手を気持ちよくさせる方法を知れて嬉しかった…」
不良女「……そうか、俺は…そうだったのか…」
不良女「…今まで俺が必死だったのは…そうだったのか…」
不良女「…俺ァ、知らない内に、男に“恋”、してたんだな…」
a子(姐さんがついに…)
b子(完全に…覚醒した…)
母「どう?ようやく自覚できたかしら?」
不良女「………あぁ。すげぇ遠回りしちまったけどな」
母「そう、それは良かったわね」
不良女「今度は間違いねぇ。この俺の“極意”の正しい使い方も…今の俺なら理解できる」
母「あらあら」ウフフ
不良女「男に会わせてくれ。倒すとかじゃなくて…伝えなきゃならないことができたんでよ」
母「息子なら二階にいる…でも」
スッ
母「ここは絶対に通さないわ」ザッ
不良女「…どういうことだ奥さんよ」
母「聞きなさい。あなたはこの世の全ての男女が恋をした人と愛しあい、共に過ごすことが“幸せ”だと思っているでしょう?」
母「今のあなたなら、分かるはずよ」
不良女「…あぁ」
母「私もそうだった。心からそう思い、私も願っていた」
母「だけど現実は違う!」
母「決して全てなんかじゃない…“例外”があったの…」ギリッ
母「私は…私は……」
母「…私は、息子に恋してしまった…」
不良女「な”っ!?」
a・b子「え”ぇっ!?」
母「…地獄だったわ」
母「母としての本分と雌としての本分が激しくぶつかり合い…苦悩した」
母「最後は耐えることを選んで…自らの気持ちを心の深く深くに沈めたの」
母「でもある日。楽しげに女の子と一緒に下校する息子の姿を見た時…」
母「私の中で何かが壊れてしまった」
母「そう、母であるから苦悩する。母でなく一匹の雌としてなら…何も問題はない」
母「何も問題はないの」ニコニコ
不良女「…ッ」ゾッ
a子(狂ってる…)
b子(妹ならず…母親まで…)
母「その日から私は母であることをやめ、一匹の雌になった」
雌「そうして今日までずっと修行を続けてきたのよ」ウフフ
雌「そして今日、待ちわびたこの日がやってきた」
雌「息子が“男”として成長し、私の極意を完全とし、旦那が出張する…この日を!」
不良女「!まさかてめぇっ!」
雌「私はこの極意を使って…息子を…いえ、“男”くんを篭絡するわ」ニコニコ
雌「男くんの精神を快楽によって破壊し、無に帰す」
雌「そして私なしではいられない躰に躾けていくの。そうすればずっと私と男くんは幸せ…」
雌「分かるかしら不良女ちゃん」ウフフ
不良女「…ふん、わかんねぇよタコ。おめぇと違って元々色恋沙汰には疎ぇんだ。」
不良女「けどな、一つだけわかったぜ」
不良女「それはてめぇの愛のカタチが…納得いかねぇってことだぁ!!」ゴァッ
不良女「何が『母であることをやめた』だ。あんたの口からそんな言葉を聞きたくなかったぜ」
不良女「お隣さんちからここにくるまでにa子、b子と稽古して“二重の愛撫”は完全に極めた」
不良女「降参しろ、母。あんたに教わったこのワザであんたをイかせたくねぇ」
雌「極めた…?」クスクス
雌「自惚れないで小娘の分際で!」カッ
雌「あなたに教えたのは基礎中の基礎。極めるとは…こういう事よ!」
フッ
ッパパパァン
>>35「いぐううううぅぅぅ!」
>>93「ぬほほほほぉ!」
>>112「らめえええぇぇぇ!」
a子「あー!通りすがりの人達がー!」
b子「また満足気な表情なのが何とも…イカ臭っ!」
不良女(両手両足で“二重の愛撫”。しかも…正面はおっぱいでだと…?)
雌「あなたが私の愛に納得いかないのならそれで構わないわ」
雌「だけど邪魔立てするのなら容赦はしない!」ゴゴゴゴゴ
不良女(間違いねぇ。こいつァ、両手両足はもちろん。その気になればお尻でも“二重の愛撫”を撃つことができる)
不良女(それに引き換えこっちは右手の…しかも貫手のみ…)
妹「相手変わってあげましょうか?」
不良女「うっせぇ!ここで退くわけに…ってお前いつの間に!」
妹「ここは私の家です。そのセリフそっくりお返ししますよ」
妹「これだけ闘気と邪欲が我が家から溢れてれば何事かと思うじゃないですか」
コォォォォォ
妹「あー、うちの母親完全に暗黒面に落ちちゃってますね」
a子「妹さん!娘さんでしょう!止めてくださいよ!」
妹「いや、私もどちらかと言うと向こう側なので気持ちが分かると言いますか…」
b子(やっぱりこっちも変態だったー!)
妹「ただ母の計画は私にとって大変迷惑なものですから」
妹「不良女さんが敗けたら私が弱った母にトドメを刺します」
a子「今一緒になって戦えばいいんじゃ…」
妹「共倒れが一番ありがたいのでそれはしません」ヘッ
b子「…絶体絶命…姐さん…」
a子「姐ーさん!負けんなー!」
b子「喧嘩は度胸ですよ姐さ~ん!」
不良女(あいつらあんな遠いとこから応援しやがって…ったく)
a子「貧乳でも男が貧乳属性なら大勝利でーす!相手が魔乳だからって怯むなー!」
不良女「だっ…うるせぇ!今関係ねぇだろうがぁ!」
b子「ツインテールが2本だからって1本のポニーテールの魅力に勝る訳じゃないんですよー!」
不良女「b子は何を訳の分からないことを……」
不良女「……ハッ!」バッ
不良女「今ので勝機が見えたぜ!」
雌「勝機ですって…?愚かな」
雌「そのようなもの、あなたにあるはずがないもの」
不良女「あるかないかは一丁試してやらァ!」ダッ
不良女「うおおおおおオオォォォォォ!」
雌「ハァッ」
不良女「よっ、と!」サッ
不良女(思った通りだ。こいつは“二重の愛撫”を極めるために筋肉を鍛えすぎた)
不良女(加えて豊満な肉体のせいで愛撫の速さに体のこなしがついてこれなくなってる)
a子「そうか!“二重の愛撫”は一触昇天!」
b子「いくら全身から撃てても、当たらなければどうということはない!」
雌「くっ、ちょこまかと…!」ブンッ
スカッ
妹「!…懐に入りましたね」
クンッ
不良女「例え!右一つだけでも!先に叩きこんだほうが!勝利ぃ!!」
ッパァン
不良女「へへっ」
a・b子「やったー!姐さんの勝ちだー!」
妹「…いえ、やってないわ」
不良女「なん…だと…」
雌「効いてないのが理解できないって顔ね」ウフフ
妹「自らの体に真裏から衝撃を同時に加え、快感の伝導の拍子を崩し、威力を緩和している…」
雌「もう一度敢えて言うわ。極めるというのはこういうことよッ!」ブンッ
ブルンッ
不良女「っとぉ!危ねぇ危ねぇ。まさか“二重の愛撫”にハズし方があるたぁ…」
ガクガクッ
不良女「…んぅぅぅ!」ピクピク
不良女(おっぱいがカスっただけなのにこの衝撃。同じ“二重の愛撫”なのにこれほど違うのか…)
雌「退きなさい。今回はこれで見逃してあげる」
雌「あなたと私の圧倒的な力の差、思い知ったでしょう?
雌「今の私には生殺与奪の自由があると言っても過言ではないわ」
不良女「つまり、イかすもお預けもてめぇ次第ってことかぁ?」ヨロッ
不良女「雌になるだの、生殺与奪の自由だの、女王様気取りでいい気なもんだなてめぇはよぉ」
不良女「大体てめぇの理想の性活の中に男の意思はどこにあるんだよ!」
雌「男くんは私を母として愛してくれたわ…だからきっと今の私も愛してくれる」
雌「それに所詮は男と女よ。行き着くところに行き着けば問題はないの」
雌「それにもし、男くんが私の理想通りにならなければ、再び精神を破壊してやり直せばいいことよ」ウフフ
不良女「…わかっちゃいねぇ…何ひとつわかっちゃいねぇ…」プルプル
不良女「俺だってこれからどうなるかわからねぇし、初恋だからもちろん怖ぇ!」
不良女「おめぇみてぇに力でどうにかしようって気にもなる!」
不良女「けどな、皆そんな不安の中で懸命に勇気を振り絞って告白する奴がいて!」
不良女「そいつら皆未来を信じて前に突き進んでる奴だっているんだよ!」
不良女「自分の可能性に絶望するのは勝手だが母!男の意思があって、男を好いてる奴らがいる限り…」
不良女「生殺与奪だなんて思い上がりはこの俺が許さねぇ…」
不良女「俺は負けねぇ!絶対に!!」
雌「…そろそろ気は済んだかしら?」
雌「右手だけとはいえわずか一週間で“二重の愛撫”を会得したあなたを壊すのは惜しいけど…致し方ないわ」スッ
雌「せめて私の理想の正しさを身をもって味わい、そしてイきなさい!」ググッ
雌「快感の地獄から…私の性活を見届けるといいわ!」フッ
ッパァン
不良女「」
a子「ね…姐さん…」
b子「姐さぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」
妹「…」
雌「母子相姦是至高也…」ナム
不良女「…………ちょっと待てよ……」スゥ
不良女「念仏唱えるにゃぁまだ早ぇぜ」
雌「!?」
雌「まさか…まさかこれは!“極み外し”!」
グンッ
不良女「うおおおぉぉぉあぁぁぁぁりゃぁ!」フッ
ッパァン
雌「いぐぅううううううううううううううううぅぅぅ!!!」ブシャァァァァ
ドサァ
雌「」ビクッ ビクンッ
不良女「はぁ…はぁ…」ヨロヨロ
a子「いやったぁぁぁぁ!姐さんの勝ちだぁぁぁ!」
b子「流石うちらの姐さん!禁断の愛も何のそのだぁぁぁ!」
妹「…一か八かのまぐれ勝ちですけど、よくうちの母を倒せましたね」
不良女「…拳の速さじゃかなわねぇと“極み外し”に切り替えたのは…」
不良女「一か八かでも、ましてやまぐれなんかじゃねぇさ」
グッ パッ
不良女「命がけで“二重の愛撫”を会得したこの拳なら、絶対できると確信してた…」
ズズッ
雌「」ズリズリッ
不良女「そんな…“二重の愛撫”が完全に入ったのに…」
ポタッ ポタタッ
雌「」ムクリ
雌「っぐ…ふぅ、ふぅ、ふぅ」グラッ
ポロッ
ヒラヒラ
a子「あれは…写真…?」
b子「何で胸の谷間なんか挟んでるの…うわっ、すごい可愛い男の子だ」
妹「…あれは恐らく兄さんの生後6年3ヶ月と28日ぐらいに撮ったものですね」
不良女「!」
不良女(忘れようもないあの強い眼差し、そして左頬に十字傷。間違いない!俺の師匠だ!)
不良女(やっぱりあの夜出会った男は師匠だったんだ!)
b子「ラメ加工して完全に防水対策してある…」
スッ
a子「あぁまた胸の谷間に…挟めるのか…」orz
雌「…これは私の魂であり、決意」
雌「全ては10年前…息子が男性の魅力の片鱗を見せ始めたその年に始まった…」
――――――
チビ男『かあさんのこと、だいすきだから』
――――――
雌「…」ギリッ
雌「分かる!?優しさや我慢などでは何一つ報われない!何一つ…」
雌「私と男くんが輪廻の輪をくぐり転生し、来世でも結ばれる強い絆を手に入れられるまで…!私は負ける訳にはいかないッッッッ!!!」
雌「全ては!この余りにも過ごしにくい規制の世界で結ばれる絆のため!そして!次も!その次の次もッッッ!」
雌「アアアアァァァァァァァァァァァァァ!!!」フッ
ッパァン
不良女「ひぐっ…う”う”う…ちくしょう……」フツ
ッパァン
雌「いぎっ!…ッハァァァァァァァッ!」フッ
ッパァン
不良女「ちくしょおおおおおおぉぉぉぉぉ!何でそうなんだよぉぉぉぉ!うおおおああああああああああ!!」
ッパパァン
不良女「ちくしょう!同じだ!同じなんだよ!てめぇはあの時の俺なんだぁ!」
雌「ぐっ、一体何を…」
不良女「恨んで、恨んで、恨みぬいた。何も成せず、ただ周りを、俺を救ってくれない世界を憎んだっ!」
不良女「師匠に会わなけりゃ気付かなかった!」
不良女「恨んで呪って醜いだけの女になっていたとぉ!」
不良女「今のてめぇは同じだぁ!ただのどすぐろい怨念の塊だ!」
雌「黙れっ!あなたに何が…んぎぃ!?」プシャー
a子「お互い泣きながら…戦ってる…」
ピシャッ
b子「飛んできてるのが涙なのか…愛液なのか…あるいは両方の混合物…」
a子「どういうことなの… 一触昇天の“二重の愛撫”を打ち合っているのに…どちらも倒れないなんて…」
妹「既にどちらかが倒れてもおかしくないでしょう。…お互い負けられぬと言う思いが…愛撫を突き出させている…」
妹「共に精神が肉体を凌駕しています。“二重の愛撫”が決め手にならない以上、勝負はほぼ互角…」
妹「…いや、互角ではないですね」
a子「え?」
b子「!a子あれ見て!母さんが包丁を手にしたよ!」
a子「あれは出会った時にうちらが受けた…」
a・b子『“遠当て”!!』
雌「ハァッ!!」ブンッ
ズゥゥゥゥゥン
不良女「やばっ…ん”っ、ふあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」プシュッ
妹「なるほどね。あの包丁は地面に“二重の愛撫”を入れて伝導させる間接攻撃のためのもの」
妹「コレで詰みですか。間合いの届かない不良女さんじゃ攻撃の手はないし」
b子「そ、そんな…」
雌「ハァッ」ブンッ
ズゥゥゥゥゥン
不良女「!そう何度もくらってたまるかぁ!」バンッ
a子「宙に飛んで避けた!そうだ姐さんそのまま攻勢に転ずれば!」
雌「―」ギラッ
b子「!姐さん駄目だぁ!読まれている!」
不良女「っらああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」ブンッ
雌「アアアアアァァァァァァァァァァァァ!」ブンッ
カッ―――
―――
――――――
―――――――――
不良女『もういいだろ母よ…もうおめぇは充分すぎるほど我慢して生きてきたんだ』
不良女『ここいらで傷だらけの人生に終止符を打ってもいいころだぜ』
雌『傷だらけで結構。既に良心の呵責など感じない。私は一匹の雌となって抗い続けるの』
雌『母であることなんていらないわ!私がただの女であること…きっと男くんだってそれを望んでいるはず!』
不良女「―― こ の バ カ ヤ ロ ゥ ッ !!」パッ
ッパァァァァァァァン
不良女『男はお前がただの女であることなんか望んじゃいねぇ!男が愛してくれたのは母の優しさがあってのことだ!』
不良女『第一母であることを捨てる必要なんかねぇ!母で好きで、女としても好きならその好きは二倍だろ!』
不良女『見ろ!お前の流した愛液に濡れて…写真の男は泣いてるじゃねぇか!!!』
―――
――――――
―――――――――
チビ男『もういい。こんなのすぐなおる』
母『だーめ。傷口からバイキンが入ったら大変なことになるのよ?』
チビ男『ちょっときれただけだ』
母『はいはい。じっとしてなさい』
チビ男『…きょうひとりおんなのこをたすけた』
母『あらあら、男くんは本当に偉いわね』
母「男くんに対する数多の恋愛フラグを折った…!奪った…!たくさんの乙女の…!」
男(4)『かあさん』
男(6)『母さん』
男(8)『いつか教えてくれたよな』
男(10)『悲しみも憎しみも人は許すことができる生き物だって』
男(12)『そう、教えてくれた』
男(14)『だからもし悩んでるなら』
男(16)『―父さんや妹や、俺に…話してくれないか?家族なんだしさ』
男『俺はいつも、いつでも――――――』
意識が朦朧として>>140ミスった
>>139のあとコレで
チビ男『…でもほかにたすけられなかったやつも、きっといる』
母『…男くん、それは…』
チビ男『たぶん、どんなにつよくなっても、ぜんぶはたすけられない』
母『…』
チビ男『かあさんのこと、だいすきだから』
チビ男『とうさんもともだちもみんなだいすきだから』
チビ男『てのとどくはんいのひとは、ぜったいにまもってみせる』
チビ男『おおきくなっても、どんなことがあっても、おれそばにいるよ』
―――――――――
母「男くん…私に…私にその資格はない…」
母「男くんに対する数多の恋愛フラグを折った…!奪った…!たくさんの乙女の…!」
男(4)『かあさん』
男(6)『母さん』
男(8)『いつか教えてくれたよな』
男(10)『悲しみも憎しみも人は許すことができる生き物だって』
男(12)『そう、教えてくれた』
男(14)『だからもし悩んでるなら』
男(16)『―父さんや妹や、俺に…話してくれないか?家族なんだしさ』
男『俺はいつも、いつでも――――――』
―――――――――――――
―――――――――
―――――
――
母「―――――ッ」
不良女「…さっきまでと目が違う」
不良女「そりゃもう狂った女の目じゃねぇ…それでいいんだ…」
不良女「もう一度優しい母親に戻って人生をやり直すんだ」
母「…優しさでどうにかなるほど、私の歪みは小さくないわ」
不良女「歪みも一つの個性だろうよ。後はそいつをどう周りと折り合いをつけてくかってだけだ」
不良女「それによ、男や妹や旦那は…あんたの優しさに救われてたはずだぜ」
不良女「家族の為にも…お前はこんなところで終わるんじゃねぇ」
ガクッ
母「…私が……間違っていた」
ダダッ
a子「姐さぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」
不良女「へへっ…どうでぇ」
b子「姐さんの勝ちですよ!流石ですよ!」
不良女「あぁ、勝つには勝ったが…ちと堪えたぜ…指先一つ動かせねぇ…」
不良女「悪いが…ちぃとだけ休ましてもらうぜ……と…だけ…な…」
―――――――――――――
―――――――――
―――――
――
不良女「ん…」
母「気がついた?あの娘たちが置いていった薬、よく効いたみたいね」
不良女「薬…?あぁ、あわコーラか。これさえ食えば体力は回復するしな」ガリガリッ
不良女「っ痛ぅ…全身ボロボロだ…」ムクリ
不良女「だがよ、気持ちのいい痛みだぜ。こんなのは生まれて初めてだ」ゾクゾクッ
母(本当に才能の塊ね…この娘)
不良女「a子とb子は?」
母「私たちの脱水症状が酷いからゲータレードを買いに行ったわ」
不良女「…妹は?」
母「男くん連れて手当てに必要なもの買いに出掛けたわ。妹ちゃんの抜け目のなさには呆れるばかりよ」
不良女「…」///
母「?どうした?」
不良女「いや、爆睡してる寝顔を見られたかと思ったらよ……なんだ、その」///
母「…男くんすごい心配してたわよ。妬けるわね、ホント」ウフフ
母「そうそう、皆が帰ってこない内に調べちゃいなさい」
不良女「?何をだ?」
母「階段を上がって突き当りの左の部屋が男くんの部屋」
不良女「…だから何を」
母「そして机の一番下の引き出しを外した真下にエロ本が隠されているわ」
不良女「エロっ……!!」///
母「あなたは女として目覚めたばかりで、乙女レベルが全然足りないの」
母「男くんのエロ本を読むことで、あの子の好みを探りなさい」
母「周りはライバルだらけなんだから、ちんたらしてたらあっという間に置いていかれるわよ?」
不良女「…分かった。恩に着るぜ」
母「行きなさい、突き当りの左、ね」
不良女「…あぁ、それと礼を言うぜ。あんたと二度会わしてくれた運命の神…いや男にな」
母「あなたとはまた…拳を交えるときもあるかもしれないわ」
不良女「ああ!そん時まで腕あげとくぜ。こんだぁこの拳であんたをイかせるようにな!」グッ
不良女「へへっ、じゃあな!」
不良女「こ、これが男が読んでるエロ本…」ゴクリ
不良女「表紙はわりとコミカルな感じだな…えぇと、題名は…」
不良女「“年刊中年チャンプ”…で作者は“中年”…色々と紛らわしいったらないな」
不良女「…」ペラペラ
不良女「…」ニヤニヤ
不良女「っと…いかん顔が…。しっかしこれは甘々でいいじゃねぇか!甘々!」
不良女「もし男とあんな甘々なアレをアレできちまったら…あ”ぁ鼻血がァァァ!」タリー
妹「ただいまです」ガチャッ
男「ただいま」
a・b子「ただい、姐さん鼻血がァァァ!!」
母「あらあら、初々しいわね」ウフフ
不良女「こ、これは違ぇ!鼻血じゃなくて…その、生理の血が逆噴射しただけだァ!畜生め!」
ワイワイガヤガヤ
男「…」
男「…“年刊中年チャンプ”好評発売中。合併号と初期作品集との買い間違いに要注意だ」
~完~
見てくれた人ありでした。
vipからこっちにわざわざ見に来てくれた人ありがと。
おかげで最後まで書けました。じゃ、おやすみ。
おまけ
―数日後 寂れた喫茶店
不良女「…………」ブスー
男「悪い!この通りだ!許してくれ!」
不良女「…………」プクー
男「頬に十字傷ついてると、やたらと変なのに絡まれるっつーか…」
不良女「…………」
男「だから絆創膏貼って隠してたんだよ」
不良女「…………」
男「風紀委員にも睨まれるし、その…」
不良女「…………」
男「…やっぱどう説明しても言い訳になるなぁ…」
スッ
男「ごめん」バッ
不良女「……もう怒ってねぇよ」ハァ
男「え」
不良女「今時傷なんてどうにでもなるのによ」
不良女「消さねぇで10年も後生大事に約束守ってたんだ」
不良女「むしろ…その、なんだ。…ありがてぇさ」ポリポリ
男「?…じゃぁ何で不良女は不機嫌なんだ?」キョトン
不良女「ッ!!そっちじゃねぇよ!」グァッ
不良女「何で同じガッコに行ってんのに気付かねぇんだこのタコ!」
a子「ちょっ、姐さん!普段授業フケる上に」
b子「常時遅刻で常時早退なら会える訳ないじゃないですか!」
不良女「…ッ、だっ、ん…まぁ、そりゃそうか」シュン
不良女「ッ!違ぇ!男!お前ぇ一回俺を見ただろうが!」バッ
不良女「こんな赤髪滅多にいるもんじゃねぇだろうがよ!」ビッ
不良女「俺がどれだけこいつを維持するのに大変だったと思ってんだ!」
不良女「地毛だっつっても誰も信用しねぇしよ…」ワシワシ
男「…いやさ、子供の頃と雰囲気違うってて…」
不良女「…」
男「もっと、こう、不良女ってか弱い感じだったろ?守ってあげたい感じの…」
不良女「……へぇへぇ、どうせ俺ぁガサツに育っちまいましたよ。悪ぅござんした」ヘッ
男「…最初見た時にもしかしてって思ったけど。別人だと思ったんだ」
不良女「…」プイッ
男「すげぇ美人だったから」
不良女「」
不良女「バッ!」ボッ
男「ば?」
不良女「―― こ の バ カ ヤ ロ ゥ ッ !!」カァァァ
男「おわ!声デカいデカい!」キィィン
不良女「あぁ、わ、悪い…じゃねぇよタコ!ッ…この…ん”ぅぅぅ、タコ!」
不良女「俺みてぇな蓮っ葉みてぇな女を、びっびびび、びびびびじっびじ」プシュー
男「や、嘘じゃないよ。ホントに」フルフル
不良女「…ブッ」タリー
a子「姐さん鼻血ィ!」
b子「ティ、ティッシュティッシュ!」
男「視線がさ、昔みたいに下向いてなくて」
不良女「…ふわ」
a子(姐さんがかつてないほどに可愛い)
b子(うちらの姐さんがこんなに可愛い訳がない)
男「真っ直ぐで力強い瞳になってさ。あと立ち姿も自信に溢れてたしね」
男「見違えたよ、ホント」
不良女「…し、ししょう…」ポワワ
男「あ!その呼び方懐かしいなぁ」ニコニコ
不良女「…………ハァッ!ちょ、調子に乗んなよ!てめぇはもう師匠なんかじゃねぇ!」ブンブン
男「そうだね。なにしろ同い年だし、第一偉そうだもんなぁ」
不良女「…や、なんだ、その別に嫌って意味で言ったんじゃなくてだな」イジイジ
不良女「…………いつこっちに戻ってきたんだよ」
男「中学の時かな。やっぱり地元がいいって言ったらわりとあっさり」
男「会って知らせようかとも思ったけど、考えてみたら家知らなかったし」
男「それに遊んでた公園が…」
不良女「…だな。再開発でなくなっちまったもんな…」
不良女(男に会えるかもって毎日修行しに通ってたからあん時は目の前真っ暗になったな…)ブツブツ
男「ん?何?」
不良女「ッ!お前にゃぁ関係ねぇよ!ってか不用意に顔近づけるんじゃねぇ!」ワタワタ
男「もう機嫌直ったよね?んじゃまぁ仲直りの握手と」スッ
不良女「………………………いやまだ納得がいかねぇ」ビキビキ
男「へ?」キョトン
不良女「ッッッッ何でッ!“こいつら”がここにいるんだあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」ビシィッ
妹「こいつら呼ばわりとは…相変わらず言葉遣いが悪いですね不良女さんは」ヤレヤレ
母「あらあら、妹ちゃん。ただでさえテンパってるのに追い打ちをかけるのよくないわ」ウフフ
幼馴染「空気を読んで話に割り込まないあたし達に感謝は分かるけどねぇ」フゥ
不良女「まぁa子にb子はどうしても来たいっつーから同席は許可したけどよ…」
a・b子(ええええぇぇぇ!?どうしてもついてきて欲しいって言ったの姐さんでしょ!!)
不良女「ていうか本当に誰だてめぇ!!知らねーぞこの女ァ!!」ビシッ
幼馴染「あたし?」
不良女「さも『ここにいるのが当然です』みたいな顔してここにいるけどよぉ!」
幼馴染「あたしは男くんの“幼・馴・染”よ。以後よろしく」ファサァ
不良女「大体お前らも!自分は関係ないって顔して男の脇がっちり固めてんじゃねぇ!」ビシッ
妹「私は兄さんの妹ですからいつも一緒にいる事はおかしくないでしょう」
母「私は娘と息子の保護者だもの。非行に走らないか心配で心配で」ウフフ
幼馴染「あたしは幼馴染だからね」フフン
不良女「…いやアホ母子も大概だけど、てめぇの言い分が一番意味不明だわ…」
男「まぁまぁ、皆悪気はないみたいだし、ね?」
不良女「ま、まぁ男がそう言うならいいけどよ…」カァッ
妹(…どう考えても理不尽な場をあっさり収めるこの空間中和能力…)
母(我が子ながら本当に末恐ろしいわ…)
幼馴染(男くんの使用済みストロー何とか手に入らないかな…)
不良女「…これだけギャラリーがいると…クソッ…」
不良女(いや…怖じ気づくんじゃねぇ俺!俺は…俺は男に伝えるって決めたんだ!)
不良女「…男。俺ァ、おめぇに伝えなきゃならねぇことがある」キリッ
男「?」
妹「!?」
母「!!」
幼馴染「…くっ、あとちょっとでストローに…手が…」クッ
男「…真剣な話みたいだね。分かった、ちゃんと聞くよ」キリッ
妹(ッ!?呆気に取られて割り込む気を逸してしまった…)
妹(できる妹を語る以上、真剣になった兄さんを止めるのは最悪な行為…!)
妹(あぁでも放っておくとこの空気っ…雰囲気っ……なんて…なんていう…二律背反ッ!!)ギリッ
母(こんなに早く不良女さんが仕掛けてくるなんて…完全に予想外だったわ…)
母(この前は負けた手前先輩風吹かしてアドバイスしてあげたけども…)
母(生まれ変わったネオ母として、これ以上のアドバンテージを与える訳にいかないわっ…!)ミキミキィ
幼馴染(ねんがんの おとこのストローをてにいれたぞ!)グッ
a子(姐さん!頑張れ!)
b子(姐さんのありったけの思い、男さんにぶつけてください!)
不良女「……俺ぁ、野蛮で、粗野で、短気でよ」
不良女「化粧っ気もねぇし、女らしくもねぇし、面白ぇことも言えねぇし」
不良女「それに考えるよりも先に手が出ちまう性分なんだ」
不良女「もちろん弱い奴に手ぇ出したことはねぇが…」
不良女「多分この辺の連中は皆俺のことを…危険な暴力女だって思ってるはずだ」
不良女「正直、学園でも疎まれてる奴だと…自分でも思う」
不良女「…だから、だからよ」
不良女「こんなこと言ったらお前ぇに迷惑かけるかもしれないんだけどよ…」
不良女「…」
不良女「どうか、俺と……その…俺と…」グッ
男「…」
妹(!止むを得ません!フラグが立ってしまっては元も子もないですから!)ググッ
母(芽生えたばかりのその感情、まだあなたには扱いきれるものではないわ!)ミキィ
不良女「俺と……“ともだち”になっちゃくれねぇか?」
妹「え」
母「…」
a・b子「な」
男「…」
幼馴染(んはぁ…男の…ちゅぷっ、ストロー…美味しいよぉ)レロレロ
不良女「ハハッ、こんなこと言っちゃ、アレだけどな…」
不良女「俺ァ、全身凶器みてぇな女だから…」
不良女「友だちって言えるような奴はこいつらぐらいでさ」
不良女「…アゴでこき使ってるようなもんだから、それ以前かもしれねぇが…」
a子「ね、姐さんそりゃ違いますよ!」
b子「そうです!うちらはホントに悪にしか喧嘩を売らない姐さんに憧れて…」
不良女「…おう。ありがとな、a子、b子…」
不良女「で、どうでぇ?俺と、その…」
男「…断る」
妹「…え」
母「…」
a・b子「な…」
不良女「……そう、か」
不良女「アハハッ、そうだよな、うん、まぁわかってた!」
不良女「片や学園の人気者で、片や札付きの不良じゃ仕方ねぇやな!」
不良女「悪いな、何だか無理なお願いしちまってよ!今日の事はさっっぱり忘れてくれ!」
不良女「これからなるべくお前の側には近づかねぇ用にすっからよ!」
不良女「お、そうだ!もし面倒事があったら俺に」
男「―― こ の バ カ ヤ ロ ゥ ッ !!」
不良女「」ビクッ
妹「ひっ」
母「…ッ」
a・b子「ヒィッ」
幼馴染「ひっ!違うの!これは魔が差しただけで」
男「…俺の目を見ろ」
不良女「…ッ」
男「目を見て話せ」
不良女「…」ジッ
男「…“ともだち”ってのはお願いしてなるもんじゃない」
不良女「…」
男「…気付いた時は既になってるもんだろ?」
不良女「…」
男「…第一、忘れたのかよ」
不良女「…え?」
男「あの時は、俺から言ったんだぜ」
不良女「……あっ」
男「悲しいこと言うなよ…」
スッ
男「俺たちは、10年も前から」
ギュッ
男「とっくに“ともだち”じゃねぇか」
不良女「―――――ッふぐっ」ウルッ
不良女「ふわああああぁぁぁぁぁん!!」
不良女「う”ぅぅぅ、ぐすっ、ふぐっ、う”ぅぅぅ」
不良女「ごべん”!へん”な”いじはっでごべんっ!」
不良女「おどごがっ!お”れの”ごどめ”いわ”ぐじゃないがっでおもっだら…」
不良女「ふ、ふあ”ん”になっでぎでっ!まっずぐぎもぢいえながっだっ」
不良女「だがらごめ”ん!お”れっ…お”れ…」
不良女「お”ま”え”とっ いづもっ いっじょに”っいたい”っ!」
―30分後
男「どうだ?落ち着いたか?」
不良女「…悪い、ぐすっ、手間ぁ、かけさせた、ぐずっ」
男「いいって…その分だと相当苦労してたみたいだな」
不良女「…フンッ、悪かったな、ズズッ、めんどくせぇ女でよ」プイッ
男「…フフッ」ナデナデ
不良女「…あっ」///
男「…よく、頑張った。偉い偉い」ナデナデ
不良女「ふ、ふにゃ…えへへ…」テレテレ
妹(不可視のパワーに押し出されてしまった…)
母(思い出固有結界…付け入る隙がまるでないわ…)
a・b子(うちら姐さんはこんなにも可愛い訳があった…)
幼馴染(何々!?一体何なの!?怒鳴られたと思ったら何で席を弾き出されたのあたし!?)
――――
カァ カァ
テクテク
男「そういや、不良女の家どこなんだ?」
不良女「どこってあっちの…聞いてどうすんだよそんなの」
男「だって万年遅刻娘なんだろ?明日から迎えに行ってやるよ」
不良女「だっ、バっ、ふざけんな!余計なお世話だそんなんっ」プイッ
男「その分だと出席日数とか足りてないだろ」
不良女「う”っ…まぁ、うん、そうだけどよ…」シュン
男「今からだって遅くはない。一緒に学校行こう、な?」ジッ
不良女「…ッ!ま、まぁ男が、そこまで言うなら…し、仕方ねぇな!」フンッ
妹「」ムスー
母「」ブスー
幼馴染「」プクー
a・b子(oh…)
不良女「じゃあな」
男「おう。また明日」バイバイ
不良女「お、おう」カァッ
妹「…月のない夜道には気をつけることです」
母「…目が覚めたら処女を失う事故が近々起こる気がするわ」
幼馴染「…あたしより出会ったのが早いからって調子乗ってんじゃないわよ」
a子「…ア!アアー!!その男さん喫茶店ごちそうさまでした!」
b子「すいませんうちらまで奢ってもらっちゃって…」
男「どういたしまして。気をつけて帰ってね、二人共」ニカッ
a・b子(…wao)ドキッ
不良女「」ムカッ
不良女「オラァッ!帰るぞお前らッ!」
a・b子「は、はいィ!」
不良女「それにエロ漫画できっちり勉強もしたしなッ!」キリッ
a・b子「ブーーーーーーーーーーーーーッ!!!」
不良女「段階を踏んで恋人になったほうが、もっとこう、甘い感じになるだろうがよ!」
a子(姐さんったらもう…)
b子(乙女なんだから…)
不良女「そして足りなかった10年分のイベントをありったけ総動員してっ!」
不良女「“乙女力”全開の日々を送ったらよぉっ!!」グアッ
a子「日々を」
b子「送ったら…?」
不良女『 俺 は 男 の 家 へ 嫁 ぐ ! 誰 が 何 と 言 お う と な ぁ !』
~完~
以上、後日談でした。
読んでくれ方、ありでした。
あっはっはっは!
読み直したらおかしいじゃんかよ!抜けてるの足しておきます!
>>181の後
――――
テクテク
a子「姐さん…」
不良女「ん?」
b子「良かったんですか…?」
不良女「…何がよ?」
a子「いえ、うちらてっきり…」
b子「告白するもんだと…」
不良女「…ッ。まぁ最初はそう思ってたんだけどよ」
不良女「少なくとも10年は離れてたから…その距離を少し埋めてからでも…」
不良女「遅くはねぇかなって…ちぃとばかし思ったからよ」
a子「…なるほど」
不良女「それにエロ漫画できっちり勉強もしたしなッ!」キリッ
a・b子「ブーーーーーーーーーーーーーッ!!!」
不良女「段階を踏んで恋人になったほうが、もっとこう、甘い感じになるだろうがよ!」
a子(姐さんったらもう…)
b子(乙女なんだから…)
不良女「そして足りなかった10年分のイベントをありったけ総動員してっ!」
不良女「“乙女力”全開の日々を送ったらよぉっ!!」グアッ
a子「日々を」
b子「送ったら…?」
不良女『 俺 は 男 の 家 へ 嫁 ぐ ! 誰 が 何 と 言 お う と な ぁ !』
~完~
ミスってすいませんでした…。おやすみ…。
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