園城寺怜「変なんに憑かれた」傀「御無礼」 (114)

麻雀の描写は少なめ

○とある雀荘

怜(……はぁ。やっぱりウチは弱いな)

怜(せめて二軍には上がりたいんやけど)

オヤジ「嬢ちゃん。それだ。満貫」

怜「……」

怜(こんな簡単な待ちに振り込むなんて――)

黒服「……」チュボ


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怜(……しっかりせんと)

怜(せめて二着にはならんと――)

黒服「……」フゥー

東四局 3巡目

黒服「――リーチ」

怜(三ゲーム目で初めて黒服の兄さんが鳴いたな)

怜(――二連続振り込むワケにはいかんな。安全牌を切る)

黒服「フッ。ツモりました。ドラが乗ってハネ満です」

怜「――!!」

オヤジ「な! 兄ちゃん! 嬢ちゃんの牌で上がれたんじゃないのか」

黒服「御無礼。ツモレる流れでしたので――」

怜(ウチの牌を見逃して上がった? 偶然やろか)

怜(学校の一軍の人たちでも――)

怜「――ぁ。ヤバッ」

ガタッ バタッ

目眩を覚えた怜はふらつき床へと倒れた

オヤジ「お、おい。嬢ちゃん! 大丈夫か?」

怜(……意識、が。この兄さんともっと――)

そこで怜の意識は途切れた。

オヤジ「? 黒服がいない。嬢ちゃんが倒れたのに薄情な奴だ」

怜「……ここどこや」

一面真っ黒な世界

怜「たしか雀荘で麻雀を打って――」

怜「あれ? そこからの記憶がない」

怜「まさかウチ死んだん?」

ブンブン

怜「そんなはずない! 取り敢えず歩こ」

…………

怜「あれは雀卓?」

黒い空間にポツリとある雀卓。

怜「歩き疲れたし、座って休も」

??「打ちますか?」

ビクッ

怜「誰や」

??「……」

??「……」

??「……」

怜(気配は3人いる。誰も名乗らんし)

怜(ここがどこかもわからんし、取り敢えず打つかな)

怜「ええで」

??「では、打ちましょうか」

怜「ハァハァ――ハァ」

怜(な、何者や)

怜(どんなに交わしても上がられ、安全牌と思ったのが当たり牌)

怜(まるで勝てる気がせえへん)

???「リーチ」

???「リーチ」

???「リーチ」

怜(三家がリーチ? 手配に安パイはない!)

ソロリソロリ タン

???×三「「「御無礼。国士無双です。貴女のトビで終了ですね」」」

怜(あ、ありえへん。三家が国士無双って。そんなバカな!!)

怜「 」

怜(身体が、闇に浸食されて――)

怜(あ、ああああ)

怜「はぁ!! ハァハァ――。ここは、病院……?」

怜「そう言えば、対局中に倒れたんやった」

怜「なら、あれは夢かぁ。」

怜「妙にリアルな夢やったな。三家が国士で上がる所以外は」

怜「……倒れたって事は竜華にまた心配させたかな」

怜「――!! 誰や!」

シーーーーン

怜「気のせいか。あんな悪夢を見た後やと寝にくいけど、無理にでも寝んとな」

怜「――」スゥスゥ

黒服「……」

黒服は椅子に座り英字で書かれた新聞を読んでいた

翌日。千里山女子高校麻雀部

竜華「怜ー! 大丈夫やった?」

怜「うん。いつものヤツやから」

竜華「無理したらあかんよ?」

怜「わかってる」

部活中

竜華「卓空いたけど、怜、打てる?」

怜「問題ない」

竜華「なら、打とうか」

部員A「よろしくお願いします」

部員B「全力で行く」

怜「……?」

黒服「……」

怜(だ、誰やのん。ここ女子高なのに、なんで男の人がいるんや)

怜(誰も気にとめてないし――)

竜華「怜? どないしたん?」

怜「……なんでもない」

怜(気になるけど、今は麻雀に集中せな)

ゾクッ

怜(な、夢と同じように……闇に身体が、浸食されて――)

怜(――あんたの仕業か! いったい何者や!!)

黒服(傀、と呼ばれています。あるいはむこうぶちとも、あるいは麻雀破壊神とも)

怜(カイ……? ヤバッ。意識、が、薄れ、て。リュー……カ)

竜華「怜?」

傀「それでははじめましょう」

※傀は標準語で話しますが、他の面々には関西弁に聞こえてます

南一局

竜華「……」

竜華(怜。さっきの局は一回も鳴かなかったな)

竜華(調子……悪いんかな)

傀「――」フッ

傀、ドラ切り

部員A「あ。ポン」

竜華(これで部員Aは、満貫以上確定やな)

タンタンタンタン――

部員Aの手に警戒をして慎重に一人を除いて打つ

後一巡で流局といった所で

傀「ツモ。チートイのみです」

南二局

部員A「今度こそ上がってみせます」

部員B「点数は僅差。まだ誰もがTOPの可能性がある」

竜華「……」

竜華(なんか変な感じやな。なんか怜じゃないような)

傀「――」

竜華(いや。そんな違うなんてことないはずや)

傀「……」フッ

南二局は竜華が満貫であがる

南三局は部員Bが食いタンとドラであがる

南四局。

竜華(怜が動いたのは南一局だけやったな)

竜華(もし動くとしたらこの局や――)

傀「……」

傀「足りないですね」ボソッ

竜華(足りない? 確かに点数は足りてへんけど)

傀「……」

…………
……………………

傀「ロン。タンヤオ、平和、ドラ1です」

部員Bから上がって、順位が三着から二着になった

傀「……ここまでですね」ボソッ

竜華「――?」

怜「あ――ぅ…………」

バタン

竜華「と、怜ぃぃぃ――!!」




怜「――ぁ。ここ、は」

竜華「気がついたんか!?」

抱き付く竜華。

怜「り、リュ、竜華。苦しいっ」

竜華「あ、ごめんごめん」

竜華「もう!心配したんよ。対局が終わっていきなり倒れて」

怜「……心配かけてごめんな」

竜華「ええよ」

怜「なぁ、竜華。あそこに何かある?」

傀「……」

竜華「? 何もないよ」

怜「さよか」

怜(取り敢えずあの黒服――傀って言ったか。が、見えるのはウチだけみたいやな)

竜華「保険の先生を呼んで来るから待っててな」

怜「……うん」

竜華は保健室から出て行った

怜「――で。何者や、あんた」

傀「……」

手に持つ新聞から顔を離さない

怜「無視かい!!」

怜(はぁはぁ。病弱なのにツッコミさせんといて……)

怜(まあ、普通に考えたら幽霊やな。しかも悪霊レベルの)

怜(ただウチは病弱なだけの女子高生や。悪霊を祓うことはできん)

怜(餅は餅屋や。専門家に頼んでみよ)

怜「困った時はGoogle先生やな」

~検索中~

怜「インチキそうな所ばかりや」

怜「うん?」

〖永水女子高校〗

怜「確か竜華が要注意な所って言ってた所や」

怜「おっ、除霊もお請けします?」

怜「料金は……高ッ。ウチの四ヶ月分のお小遣いやし」

怜「でも、インチキな所よりもきちんとしてるコッチがマシか」

怜「取り敢えずバイトせんと。ウチ、病弱なのに――」

傀「……」フッ

数日後。とある雀荘。

店長「――これぐらいかな。ここは高校生とかも良く打ちに来るから、面子が足りない時は入ってもらう時もあるけど、ノーレートだから、気にせず打ってな」

怜「はい。わかりました」

怜(取り敢えず終末だけ雀荘でバイトすることにした)

怜(基本、おしぼりや飲み物の提供。たまに打つ程度や)

怜(制服がメイド服なのは気になるけど)

傀「……」

怜(アイツはあれからあのままやし)

怜(……乗っ取られはアレからないけど)

~仕事中~

怜(ふぅ、後一時間やな)

店長「あ、園城寺さん。待ってるお客様の相手をお願いするわ。満員で少し待たせてるんやわ」

怜「相手、ですか?」

店長「ああ。ナインって知ってる?」

怜「学校でしたことあるんで」

店長「もう少ししたら卓が空くさかいお願いするわ」

怜「わかりました」

怜「待ってるお客様は……あの二人ずれやな」

??「……」

??「読者ばかりしてないで、相手してよー。テルー」

テルー「今、面白い所だから一時間は待って」

??「長いよ!?」

怜(……サングラスに帽子をしてるな。片方はどこかで見たことあるような?)

怜(気のせいやろ。今は接客や)

怜「お客様。お待たせしております」

??「本当だよ!」

怜「もう少しで空きますので、それまでウチとナインで遊びませんか?」

??「――うーん。いいよ。テルーも相手してくれないし」

怜「わかりました。お客様の名前をお伺いしても構いませんか?」

??「あわ」

テルー「あわいたそ」ボソッ

あわいたそ「そうそれ!」

怜(……変な客やな)

怜「では、相手――!!」

ゾッゾゾゾゾ

怜(大人しいと思ってたら! クッ、意識、が……――)

傀「では、はじめましょうか」

あわいたそ「私に挑んだこと後悔しても知らないから!」

傀「――それは楽しみですね」

【ナイン:ルール】
萬子、筒子、索子。

どれでも良いので1~9までを用意する。

先攻、後攻を決めて互いに一牌ずつ出し、数字が高い方が勝ち。

基本は先に五勝した方の勝ちとなります。

引き分けがあった場合などは勝ち数の多い方が勝ち。

今回は萬子を使用します


……………………


傀「先攻をどうぞ」

あわいたそ「まずはコレ!」

タン

傀「……」

タン

互いに出した牌を表向ける

あわいたそ『八』 傀『八』

あわいたそ「引き分けだね」

傀「……そうですね」


傀『五』 あわいたそ『五』

あわいたそ『九』 傀『九』

傀『七』 あわいたそ『七』

あわいたそ『六』 傀『六』


あわいたそ「……ッ」

傀「……」フッ

あわいたそ(一・二回なら偶然って事もあるけど、五回連続引き分け)

あわいたそ(気弱そうなな雰囲気で、する事はナマイキ!!)

傀『一』 あわいたそ『一』

あわいたそ(……これで六回連続引き分け!)

あわいたそ(次で引き分けだと、後はどっちにしろ引き分けになる)

あわいたそ「ねえ、もう次は残りの牌を全て使ってしない?」

傀「構いません」

あわいたそ「先に伏せてくれる」

傀「……」

トン トン トン

あわいたそ(残りは『二』『三』『四』……)

あわいたそ(九牌全部引き分けは断固阻止!!)

あわいたそ(妙に考えるから相手に牌を読まれる)

あわいたそ(なら!!)

両手で牌を握り締めて振り、牌を見ずに伏せる

タン タン タン

あわいたそ「どうだ!」

傀「……」フッ

傀「 御 無 礼」

あわいたそ「は? ごぶれい?」

傀はそのまま席を立つ

あわいたそ「ちょ! テルー! そっちの牌を捲って!!」

テルー「わかった」

『三』 『三』

『四』 『四』

『二』 『二』

テルー「――九連続引き分けだね」

あわいたそ「……!!」

あわいたそ「待て!」

傀「……」

あわいたそ「そろそろ空くなら、卓に付きなさいよ! この屈辱は100倍にして返してあげる!」

店長「あ、園城寺さん。時間だから上がってや」

傀「……」

あわいたそ「――!」

あわいたそ「ああ、もう! 名前! 名前ぐらい教えなさいよ!」

傀「――怜」

傀「園城寺怜」

あわいたそ「エンジョウジ トキ……」

あわいたそ「高校生だよね。全国まできなさいよ! その時に、100倍にして借りを返してあげるから!」

傀「……」フッ

女子更衣室

怜「……ハァ! ハァハアハァ」

気絶は免れたが体力はほぼ使い果たしていた

怜「つ、つらいわ」

怜(このままだと、命を持っていかれるかもしれん)

怜(早めに祓ってもらお)

怜(……分割に対応してるやろか)

菫『で。週末の部活を無断で休んだ理由を聞こうか』

照「……有名作家の絶版本があるんだよ? 読書家としていかない訳にはいかない」

菫『淡と一緒にか?』

照「淡は勝手に付いて来ただけだから」

照「そんな事よりも、菫は園城寺怜って名前を聞いたことはある?」

菫『いや、ないが』

照「確実に全国まで上がってくる実力者。現時点で淡よりも上」

菫『……本気で言ってるのか?』

照「うん。潜在雀力なら私よりも上かも」

菫『大阪にも怪物がいた、か』

照「――新幹線が来たから切るね」

照(あの潜在力の強さ。前に一度、プロで感じたことがある)

照(永世正七冠。元世界ランキング2位。小鍛治健夜プロ)

おんじょうじやで(小声)

>>44
ごめんなさい。
素で読みを間違ってました


怜「…………」グダ-

竜華「だ、大丈夫」

怜「――ウチ、もうダメかもしれへん」

竜華「そんなに、病状が悪いんか!」

怜「……そっちは変わりないんけどな」ボソッ

竜華「アルバイトも始めたみたいやし、疲れてるんと違う」

怜「そうかもしれんなぁ」

怜(たまに傀がウチの身体を乗っ取るのが原因やけどな)

怜(コイツに憑かれてから約一週間が経った)

怜(分かったのは、麻雀がべらぼうに強いことと、性格はドSってことだけや)

怜(ウチに取り憑いた理由は、まるでわからん)

怜(――まさかとは思うが、病弱なウチに取り憑いて縛りプレイしてるつもりやないやろな)

壁に持たれて新聞を読む傀をジト目で睨む

竜華「どないしたん?」

怜「……なんでもあらへん」

竜華(怜、どないしたんやろ。なんか隠し事してる気はするんやけど――)

竜華(本人が言わん以上は無料には聞けんし)

今更ですが、用事の合間合間の投稿になるので、一回が単発や2~4レスぐらいになります

宜しくお願いします

>>49の誤字
竜華(本人が言わん以上は無理には聞けんし)
が、正しいです。



………………



怜「つ、疲れた……」

怜「なんでウチが新幹線と特急を乗り継いで、長野くんだりまで来んと行かんねん」

怜「店長に特別手当てと高い日給に釣られそうになったウチも悪いんやけどな」

怜「……いや、ウチは断ろうとしたんや。病弱やし。それなのに……」

傀「……」

怜「コイツが、一瞬乗っ取って返事をしたんや!!」

傀「――あまり声を出さない方がいいですよ」

怜「はぁ?」

ヒソヒソ
ヒソヒソ

傀は周りの人には見えないため、怜が大声で叫んでいるだけに見えた

怜「――」

顔を赤らめ怜は、そそくさと逃げるように去った。

怜(うぅぅ。なんでウチがこんな目にあわんとあかんのや)

傀「――」フッ

怜「」イラ

怜「まぁええ。取り敢えず、指定された雀荘にいこか」

怜「えっと、確か『Roof-top』って雀荘やな」

怜「ここやな」

怜「店長が言うには、適当に打てばいいって事やけど……」

まこ「いらっしゃい」

まこ「お一人ですか?」

怜「そうや」

怜(後ろのは数には入らんしな)

まこ「同じぐらいの子と打てる卓が空いてるので、そっちに案内しますね」

まこ「咲。和。新規のお客様じゃ」

怜(案内された卓には、メイド服を着た女子高生二人と中年男がおった)

怜(……乗っ取られる感じはせぇへんな)

怜(そんなに強くないんやろか)

咲「……」

和「宮永さん?」

咲「あ、ううん。なんでもない」

咲(……一瞬、凄い威圧感を感じたけど、気のせいかな)

傀「――」フッ

特に目立った動きはなく半荘が終わる。

怜(……なんか久し振りに半荘を打った気がするわ)

怜(この子たち、千里山だと一軍に近い実力がある)

怜(……それに比べてウチはまだまだや)

怜(半荘打って上がれたのは三回。しかも最高が満貫)

怜(順位は三位やけど……)

怜(ウチは三年。全国に行けるチャンスは今年限り)

怜(……アイツに身体を預けたら、竜華たちと一緒に全国へ行って戦える――ッ)

ズズズズ

怜(ま、た。……、ウチ、は――)

傀「――」

咲「……!!?」ゾクッ

咲(な、なに! この感じ……お姉ちゃんと同じ――、ううん、それ以上!)

和(宮永さんが震えている?)

傀「それでは次の半荘をはじめましょう」

怜(……あ、れ。ウチは――)

怜(今までは、気絶するだけやったのに、今回は傀と入れ替わっとる)

怜(自分の身体が勝手に打ってる常を見るなんて、不思議な感覚や)

咲「カン!」

咲「嶺上開花!ツモ。ドラ2!」

怜(ウチと打ってた時もそうやったけど、嶺上で上がることが多いな)

傀「……」ニヤリ



傀「ロン。3900ー2000」

中年男「お、そっちの嬢ちゃんだったか」

和「……」

和(――。一巡、間に合いませんでした。でも、次こそは上がってみせます)

傀「――」フッ

怜(この感じは、次の局から動く気なんか)

怜(……四巡で国士をテンパイ)

怜(十三面待ちやなくて単騎待ちか)

怜(……これ上がれるんか? 国士はただでさえ読まれやすい役なんやし)

傀「リーチ」

怜(はぁ! 役満なのにリーチって意味分からん)

咲(来た!)

咲「カン!」

咲(これで――)

傀「御無礼。槍槓です」

咲「……え」

咲(あ、でも、リーチしてるし、国士じゃないよね)

傀「フッ)国士無双です。宮永さんの飛びで終了ですね」

和「何故、役満なのにリーチしたんですか?」

怜(そうや)

傀「そうする流れでしたので」

和「流れ? そんなオカルトで……」

傀「……」フッ

次巡。

咲(あ。カン……できるけど)

傀『御無礼。槍槓です』

咲(ううう。もし2連続槍槓されてら……。ここは見送ろう)

傀「――」ニヤリ



傀「カン」

咲「……!」

傀「御無礼。嶺上開花ツモ。ドラ4です」

咲(私と同じ待ちで、新ドラをカンした牌に乗せてくるなんて……)ガタガタ

>>62誤字
次巡じゃなく、東一局です

>>59
2000/3900はツモあがりの点数でっせ

>>59
訂正。
正しくは〖ロン。11600〗です
>>64
ありがとうございます

和(宮永さん!)

この時点で咲のココロは折られた。

和(――このまま独走はさせません)

傀「……」



和(よし。裏が乗れば、倍満ですが、乗らなくても跳満です)

和「リーチ!」

怜(……良い手なんかな。でもなぁ)

傀「ポン」

和(一発消しですか)

傀「……」フッ

怜(――たぶん、あの子のアガリ牌やな。なんとなく分かるわ)

和(……)

タン

傀「御無礼。9600です」

和「……!」

怜(相手のアガリ牌を喰いとってテンパイ。自分のアガリ牌を相手に掴ませるなんて……)

まこ「お客様、閉店の時間です」

傀「――では、四連続トップで終了、ですね」

咲「……」

和「……」

まこ「お客様、強いですね。どこの高校生じゃ」

傀「千里山女子高校。園城寺怜」

バタン

まこ「――千里山と言えば、全国常連の西日本最強と言われる所じゃ」

和(……これが全国区の力。まるで歯が立ちませでしたッ)

咲(お姉ちゃんに会うには、あの人と戦う事になる可能性があるんだ)

和・咲(強くなろう)

怜「……奈良?」

車掌「そうだよ、お嬢さん」

怜「いやいや、ウチは確か大阪行きのバスに……」

怜(いや、傀の憑依から解放されて、意識が朦朧としていたなぁ)

車掌「取り敢えず、買った券の差額分ね」

怜「どうも」

怜(もう夜やし、今夜はどこかに泊まらんといかんか――)

車掌「お嬢さん、これからどうするの?」

怜「取り敢えず、宿を探そうかと思います」

車掌「なら、知ってる所に案内しよう」

車掌「なにかあったら目初めが悪いからね」

怜「おおきに」

■松実館

玄「大変だったね。今日はゆっくり休んでね」

怜「どうも」

怜(あれから車掌さんに、案内されて、特別料金で泊まらせもらう事ができた)

玄「怜さんは、麻雀を打てる?」

怜「まぁまぁやな」

玄「明日、麻雀部で打たない?」

怜(急いで帰っても、その日は家で寝るだけやし、少しはええか)

怜「一泊の恩もあるし、構わんよ」

玄「なら、明日、阿知賀女子学院でね」

■阿知賀女子学院 麻雀部

怜(……この子ら、割と強いなぁ)

怜(ただ穏乃って子が気になって、麻雀に集中できん)

怜(ジャージの下。スパッツは穿いてるんよな)

穏乃「? どうかしましたか?」

怜「ううん。なんでもあらへん」

怜(――まぁ、趣味は人それぞれやからな)

怜「……そう言えば、この卓は赤無しなん?」

玄「ううん。入ってるよ」

怜「ほんまか? 一度もみいへんけど」

憧「そうでしょうね。ドラは全て玄の所に行くからね」

怜「はあ~。それはすごいなぁ」

怜(……ウチにもそんな力があれば、竜華たちと一緒に闘えるんけどな)

玄「あっ、そろそろ時間だね」

怜「もうそんな時間か……。後、半荘一回で終わりやな」

穏乃「なら、全力で行きますね!」

怜「シズは元気やなぁ」

ズズズズゥゥ

怜(……まぁ、こうなる予想はしてたけどな)

怜「なら、ウチも本気でやらせてもらおか」

ズッン

穏乃「……!」ピリピリ

憧「……!」ピリピリ

玄「……!」ピリピリ

穏乃(気配が変わった!)

憧(今まで本気じゃなかった訳ね。上等じゃない!!)

玄「あわわわわ」

傀「それでは、始めましょうか――」

東三局

怜(相変わらずドラがこんなぁ。やっぱり玄の手の内か)

怜(今の手やとリーチ三暗刻か)

傀「カン」

怜(は? ウチが打ってる間、見てたのにカンするんか? ただでさえ来んドラを増やしてどうするつもりや)

傀「カン」

傀「カン」

三連続カン

怜(――ドラが乗った?)

怜(玄の力はもしかして本人が認識してるのしか効かんのか)

傀「御無礼。リーチ、ツモ、三槓子、表ドラ8、裏ドラ4。数え役満です」

晴絵「……」

ゾクゾクツ

灼「? どうしたの」

晴絵「……」

晴絵(この独特の威圧感(プレッシャー)――忘れられる訳がない)

晴絵(あの時……9年前のインターハイで感じたモノと、同質……)

晴絵(ど、どうしてあの人が、阿知賀に!)

ゴックン

覚悟を決めて部室の扉を開ける

怜「御無礼。皆さんの飛びで終了ですね」

晴絵(……え。小鍛治健夜プロじゃない?)

今更だけど>>60の槍槓は暗槓だろうが加槓だろうが国士確定だよ

>>80
誤字。正しくは、
傀「御無礼。皆さんの飛びで終了ですね」

>>83
これから気をつけます

傀「……」

傀は振り返り晴絵を見た

傀「……」フッ―

晴絵「――」ビクッ

晴絵(……姿は違うけど、間違いなく、あの時の小鍛治プロだ)

晴絵(私は――まだ)

傀「ここまで、ですね」

傀は立ち上がり部室を後にした。

穏乃「はぁぁ。怜さん、強かった」

憧「悔しいけど、手も足も出なかった」

玄「でも、次は勝って見せます」

晴絵(……メンタルでは同時期の私を越えてるな。この子らは)

翌日。

千里山女子高校。麻雀部。

怜「」スゥスウ

竜華(怜は可愛ええなぁ)

竜華(なんか疲れてるようやし、ほんま、無理せんとって欲しい)

怜「ん……んぅ」


…………………

健夜『あの人が憑いているのに、この程度?』

怜『……』

健夜『あの人が憑くほどだから、かなり期待してたんだけどな』

健夜『ああ。あの人と変わらなくていいよ』

健夜『麻雀は心技体で打つもの。全てにおいて弱い以上、例えあの人と変わっても高々知れているからね』

健夜『弱い傀は、姿が違っても見たくない』

怜(ま、まだや。ウチは未来を見る事が出来る!! この局は、ウチの……!)

タン

健夜『御無礼、だね。九連宝燈だよ』

………………………………

怜「あああああ!」

竜華「!! どうしたんや! 怜ッ」

怜「リュ……カ? はぁ、夢かぁ」

同時刻。

新幹線車内。

健夜「ん――」

恒子「お、起きたか。あはよう、すこやん」

健夜「――あ、私、寝てたんだ」

恒子「それはもうがっつりと」

健夜「……こーこちゃん。前みたいにカメラに撮ってないよね」ゴゴゴ

恒子「してないしてない」

健夜「なら、いいけど……」

恒子「撮るなら、大阪で食いまくる方を撮った方が面白ろそうだし」

健夜「そんなに面白くないと思うよ……」

健夜「――でも、大阪では楽しみがあるよ。久しぶりに逢えそうな気がするんだ」

恒子「すこやんが女の顔をしてる!」

健夜「こーこちゃん。大声で変な事言わないで」

健夜「その人とは、そう言うんじゃないから」

健夜「相棒で、宿敵で、師匠で、ライバルみたいな関係なんだから」

恒子「へぇ。名前なんて言うの?」

健夜「本名は知らないけど、あの人は『傀』って呼ばれてる」

千里山女子高校。麻雀部


竜華「……怜。なんか隠し事してへん?」

怜「――いきなりどうしたん」

竜華「だっておかしいもん。最近の怜は、バイトを突然始めたり、1人で県外まで行ったり。今までそんなこと、せぇへんかったのに」

怜「色々と事情があんねん」

竜華「その事情ってのを教えてもらえへん?」

怜「……」

怜(言ったら竜華はめちゃくちゃ心配するやろうなぁ)

怜(ただでさえ、ウチは病弱で心配をかけとるのに……)

竜華「――分かった。言いたくないんなら、心を鬼にして言わせたる」

竜華「麻雀で勝負や!」

怜「竜華はいつから某カードゲーム世界の住人になったんや」

怜「なんでも麻雀で決めるのは、よくないで」

竜華「……じゃ、隠し事を言ってくれる?」

怜「――それは、やな……」

口を濁す怜

竜華「だから麻雀で勝負や。もしウチが負けたらもう二度と詮索しせぇへん。ただし勝ったら隠し事を教えてもらうで」

怜(――はぁ。竜華、卑怯や。そんな顔で言われたら、断ることはできへんやん)

怜(ええで。ただし、東風戦5回、完全順位制での勝負や)

竜華「分かった。それでええ」

部員D「あの、大事な試合なんですよね。それなのに入って大丈夫なんですか?」

部員C「プレッシャーが凄い」

竜華「あくまでウチと怜の勝負やからな。普通に打ってくれるだけで構わんよ」

怜(セーラ、泉、フナQが入ると竜華の肩、持ちそうやし、ウチとしては歓迎やな)

竜華「……怜。なんか2人でこうして打つのは久しぶりやな」

怜「そう言えば……そうやな」

怜(最後に竜華と打ったのは……傀に初めて乗っ取られた日やから、もう二週間も前の事か)

竜華「なんか久しぶりに怜と打ててうれしいわ。――ま、手加減はせぇへんけどな」

怜「あたりまえや」

ズズズズズッ

怜(――。まぁ、いつもの通り、来るやろうな)

傀『……』

ズズ……

闇の侵食が止まる

傀『――!』

怜(今回はウチが良いと言うまで手ぇ出すな。――これは、ウチと竜華との勝負や!)

闇の浸食から怜は解放される。

傀「……」フッー

竜華「怜? どうかしたん?」

怜「なんでもあらへん。――始めようか」


東風戦一戦目、勝者 清水谷竜華

怜(……調子ええなぁ、竜華)

怜(傀に憑かれてウチの基礎雀力も上がってはいるんやけど、……まだ竜華には届かへんな)

怜(西日本最強と言われる千里山の麻雀部の部長やしな。今のウチと互角なハズないか)

傀『……』

怜(だからって、アンタに代わる気はないで)

竜華「さ、二回戦目、始めようか」


東風戦二戦目、勝者 清水谷竜華

怜(……正に手も足もでぇへんとはこの事やな)

怜(ここで負けたら終わりか)

怜(元々はウチが竜華に心配させたんが悪いんやし……)

傀『……』

怜(確かに啖呵は切ったけどな。所詮、ウチはここまでの――)

傀『――この局は、貴女の勝ちで終わりですね』ボソッ

怜『はぁ、何を言って――』

竜華「三戦目、始めるで」

怜「あ、ああ」

東風戦三戦目

怜(ウチの勝ちで終わり? 怨霊も洒落を言うんやな)

キィィィィィン

10巡目

竜華『ツモ。6000オールや』

怜(……なんや、この映像)

怜(……)

――――

10巡目

怜(……もし先に見たものが、本当やとしたら)

怜「ポン」

竜華「……」

怜(――これが竜華の当たり牌)

キィィィィィィン

怜(……)


12巡目

怜「ツモ。4000-2000や」


この局。

能力に目覚めた怜の進撃により、竜華を抑え、勝つことに成功した

東風戦三戦目 勝者 園城寺怜

ザワザワザワ

ザワザワザワ

東風戦四戦目 勝者 園城寺怜

泉「園城寺先輩が、部長を二連続下した!」

セーラ「三戦目とそれ以前とでは、まるで別人や」

フナQ「たまに、人が変わったような打ち方をしますけど、それとも今回は該当せぇへん」

竜華(……怜。強くなったなぁ)

竜華(なんか自分のことのように嬉しいわ――)

竜華(でも、負けへん!)

怜(キッツイわぁ。もう未来を見通せる体力も精神力も残ってへん)

怜(慣れへん能力を乱発して使用するもんやないな)

怜(すぐにバテてしまう……)

怜(ただ、あの竜華と互角に戦えたんや。今回は、それだけで満足や)

怜「……なぁ、竜華」

竜華「どうかしたん?」

怜「ウチが隠してる秘密を教えようと思ってな」

竜華「……今はイーブンや。勝負は分からへんで」

怜「最後の一局は証明のためにおいとこうと思ってな」

竜華「証明? なんのや」

怜「あんなぁ、ウチには麻雀が鬼のように強い怨霊が取り憑いてるんねん」

竜華「……」

怜「もう二週間ぐらい前やな。その時も竜華との対局中に乗っ取られて大変やった」

フナQ「なら、たまに理解不能な打ち方をして勝つんは」

怜「その怨霊の仕業や。――精神が入れ替わると、精気をごっそりもってかれるから、たいてい倒れたりして、良いときでも意識朦朧としてたりするんやけど」

竜華「――怜、ごめんなぁ」グスッ

怜「なんで竜華が謝るん。何も悪くないやろ」

竜華「そんな状態やのに、全然気づいてあげられへんかった」

怜「ああ……。ただでさえ病弱で心配をかけとるのに、これ以上、心配かけたくなかったや。こっちこそゴメンな、竜華」

ズッズズズ

怜(――これ以上は抑えられへんな)

怜「竜華。これから打つのは、ウチじゃない。怨霊や。――二週間前とき比べものにならへんから、気を、つけ――」

ズンッッン

竜華(――これが入れ替わった状態か)

セーラ(ピリピリとする威圧感。確かに怜のやないな)

竜華・セーラ((間違いなく上位プロ級の腕前や))

傀「……」

竜華「名前、なんて言うんや」

傀「傀、と呼ばれています」

竜華「――傀、やな。もしウチがこの東風戦で勝ったら怜から出て行ってもらうでッ」

傀「……フッ。ええ、構いません」

セーラ「おい。部員D、代われや。そいつの相手はちょっときびしいやろ。オレが打つ」

部員D「は、はい。お願いします」

傀「では、始めましょう……」

傀「御無礼。ロンです。18000」

竜華(よりにもよって、傀が親の時に上がられたッ)

傀「では、1本場ですね」


傀「御無礼。ロンです。12000」

セーラ「――!」

セーラ(安パイじゃなくて当たり牌かよ)



傀「御無礼。ツモりました。8000オールです」



東風戦五戦目 勝者 傀

闇に包まれた場所

ポツリとある雀卓

怜「……こうして卓越し遭うのも二週間ぶりやな」

怜「あの未来が見える能力な。アンタの仕業か」

傀「――それは元々から、貴女の裡にあったもの」

傀「それが引き出されたに過ぎません。ただ少し変異はしたようですが……」

怜「変異? どんな風にや」

傀「……」

怜「答える気はないって訳か。まぁええ。変異する前の知ってもどうしようもないしな」

怜「ただ人の身体を借りて、好き放題に打ってるんや。少しは力を貸してもらうで」

傀「祓うのは止めたんですか」

怜「全国大会が終わるまでお預けや。今は強うなるために、鬼の手も借りたいぐらいやし」

傀「――」フッ

怜「能力を制御するためにも、アンタには協力してもらう。どうせココなら存分に打てるやろ」

傀「ええ。好きなだけ――」

上家と下家にも何かしらの気配を感じる

怜(今回のことで一軍のメンバーに昇格させてもらったんや。全国までに、かならず能力と傀を使いこなしてみせるわ!)


その後、地区予選で無名だったにも関わらず圧倒的な強さで相手校を打ち倒した怜の名前は、すぐに全国に広がることになる

また地区予選で、仕事に来ていた古鍛治健夜と怜はエキシビジョンマッチとして対局することになる

かつて人鬼に取り憑かれていた古鍛治健夜 vs. 現在取り憑かれている園城寺怜

このエキシビジョンマッチで古鍛治プロは少し本気を出し、更に怜の名前は広がり、怪物や化物として他校から徹底的に要注意人物としてマークされることになる


-カン-

とりあえず、これにて終了です

全国編は少し間を置いてから書こうと思います

役とかがめちゃくちゃだったので、もう少し勉強してから書こうと思います

レスをくれた方々ありがとうございました。

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