女天使「勇者・・・いまこそ!」(135)

rpgのイメージっす

>>1
全然違う物になるがすまん。

木こり「………」

天使「だからね?」

木こり「……普通の斧でいいけど」

天使「そう言うのじゃ無いからッ!」

木こり「金とか銀とかの人じゃないの?」

天使「あれは妖精?精霊?だから!私は天使よ!」

木こり「へぇ……」

天使「……こいつ失礼だわ」

木こり「そんな事言われても普通の人間だから違いなんてわからないよ」

天使「ほら!羽根生えてるの!これが天使!わかった!」

木こり「へぇ……」

天使「………」

木こり「勇者とか言ってたけどなんの事?」

天使「……貴方が勇者なんだって」

木こり「誰がそんな事を……」

天使「女神様よ」

木こり「迷惑だな……」

天使「迷惑って……罰当たりな……」

木こり「だってそうだろ?俺は普通木こりだし、そんな大層な血筋でも無いしさ」

天使「………」

木こり「そう言う事は偉いさん達でやればいいんだ」

天使「……知らないわよ私が決めたんじゃ無いもの」

木こり「じゃあ帰って勇者やらないって言ってくれ」

天使「……いいの?」

木こり「構わないよ。興味も無いしなりたくもないし」

天使「そう……」

木こり「俺は静かにここで暮らしたいんだよ」

天使「………」

木こり「……もう仕事に戻っていいかな?」

天使「わかった……」

木こり「じゃあな」

天使「………」

タタタッ

天使「……私も戻ろ」



木こり「どう考えても俺が勇者だなんておかしいだろ」

カコーンッ

木こり「こんな斧とか鉈しか使えない俺が勇者になれる訳が無い」

カコーンッ

木こり「はぁ……後一息かな」

精霊「………」

木こり「……誰?」

精霊「さぁ誰でしょう」

木こり「……人間じゃ無いね」

精霊「わかるの?」

木こり「人間らしい匂いがしない。ちょっと酒臭いけど」

精霊「凄いね君。じゃあ用件もわかるよね」

木こり「………」

木こり「やらないって言ったんだけど」

精霊「そう言わないでちょっとだけでもやってみない?」

木こり「お断りだ」

精霊「そっか……ごめんね、突然押し掛けて」

木こり「………」

精霊「天使の奴に泣き付かれちゃてね、何とかしてくれって」

木こり「貴方が来ても同じだよ」

精霊「いやいや、僕は勇者になれだなんて言わないよ」

木こり「……あの天使に頼まれたんじゃないの?」

精霊「頼まれたけど……あいつ嫌いだから、フリをしてあげただけだよ」

木こり「へぇ……」

精霊「まぁ……僕の用事もちょっとあったんだけどね」

木こり「……その用事は俺に?」

精霊「そうだよ」

木こり「……迷惑な事はお断りだよ」

精霊「……ちょっと迷惑かも」

木こり「なら嫌だね」

精霊「そう言わないで。話だけでも聞いてよ」

木こり「………」

精霊「えっとね……喋る剣と斧、どちらが欲しい?」

木こり「なにそれ?」

精霊「そのままの意味だよ」

木こり「……いらない」

精霊「タダだよ?お金なんていらないからさ貰ってよ」

木こり「……どっかのお城にでも持って行けばいいだろ」

精霊「ああ……駄目駄目。ああ言う所の人間ってさ大事に使ってくれないんだよね」

木こり「………」

精霊「その点……君なら大事に使ってくれそうだし、何より話し相手にピッタリだし」

木こり「大事には使うと思うけど……話し相手にピッタリって?」

精霊「……一人で寂しそうだからかな」

木こり「そんな事無いよ……寂しいだなんて……」

精霊「そう?」

木こり「………」

精霊「ごめんね、虐めてる訳じゃ無いんだ」

木こり「………」

精霊「だからさ……貰ってよ」

木こり「………」

精霊「今の生活にちょっと変化があってもいいと思うよ?」

木こり「変化なんて……」

精霊「うーん……ならこうしようか」

木こり「……?」

精霊「君がどうしてもいらないなら引き取りに来るよ。それでいいだろ?」

木こり「……わかった」

精霊「そう言うと思ったよ!ならさ剣と斧どっちにする?」

木こり「……斧を貰うよ」

精霊「オッケー!」



精霊「ふふふ……駄目だね天使は」


精霊「ちゃんと相手を見て頼まないと」


精霊「……でもね、僕ならあの人間を勇者になんてさせないよ」


精霊「それが女神様の命令でもね」


精霊「……まぁもう勇者はいるから無理なんだけど」


精霊「横取りしたようで悪いけど……天使だからいいか……」


精霊「木こり……君ならって選んだんだからね」


精霊「頼んだよ」



木こり「……結構立派な斧だ」

斧「………」

木こり「こんなに装飾されていたら仕事に使えないな……」

斧「………」

木こり「綺麗だなこの宝石……」

斧「………」

木こり「……そう言えば喋るんだっけ」

斧「………」

木こり「おい、喋れ」

斧「………」

木こり「……?」

斧「………」

木こり「嘘だったのかな……」

斧「………」

木こり「……喋らないなら売ってしまうぞ!」

斧「ふえ……?売る?」

木こり「………」

斧「……おじさん……だあれ?」

木こり「なんだ……喋るじゃないか」

斧「……ここは?……そうだ!私、精霊様に新しい持ち主の所へって……」

木こり「………」

斧「……おじさんが新しい持ち主?」

木こり「そうなるのかな……」

斧「そうなんだぁ!よろしくねおじさん!」

木こり「あのな……あんまりおじさんって言うのはやめてくれるか」

斧「なんで?」

木こり「……そこまで歳じゃ無いんだよ」

斧「そうなんだぁ!わかったよおじさん!」

木こり「………」

斧「おじさん、私が喋っても驚かないんだね」

木こり「……驚いてるよ。女の子の声がする事とか色々……」

斧「そうなの?」

木こり「ああ。……最初声をかけた時、何故喋らなかった?」

斧「寝てた!」

木こり「へぇ……こう言う物でも寝るのか……」

斧「寝る寝るぅ!」

木こり「………」

斧「ところでおじさん、ここはどこ?」

木こり「……俺の家だ。森の中にある池のほとりに建ってる」

斧「へぇ……一人でいるの?」

木こり「そうだ」

斧「寂しくない?」

木こり「……別に」

斧「ふぅん……」

木こり「……なぁ」

斧「なぁに?」

木こり「お前……何て呼べばいい?」

斧「えっとね、精霊様に言われたんだけど」

木こり「………」

斧「私はシュッツハイリガーアクスト (守護聖者の斧) なんだって」

木こり「………」

斧「どうしたの?」

木こり「長過ぎだ……」

斧「だよねぇ……」

木こり「……斧子でいいだろ」

斧「………」

木こり「どうだ?」

斧「やだ……」

木こり「駄目だ。今日からお前は斧子だ」

斧「えぇぇぇ……」



木こり「俺は仕事へ行ってくる」

斧「なら私も!」

木こり「……駄目に決まってるだろ」

斧「えぇぇぇ……つまらないもん!」

木こり「大人しく待っていてくれ」

斧「やだ!連れてってよ!」

木こり「……遊びに行くんじゃないんだ」

斧「……どうしても駄目?」

木こり「そうだな」

斧「……わかった」

木こり「………」

斧「………」

木こり「帰りに何か捕ってきてやるから……」

斧「……いい」

木こり「……はぁ」

斧「………」

木こり「……行くぞ俺は」

斧「いってらっしゃい……」

木こり「……ああ」

バタンッ

斧「………」

斧「なんちゃって!着いて行くに決まってるでしょ!」

斧「ただの喋る斧じゃ無いところ見せてあげなきゃね!シシシッ」



カコーンッ!

木こり「はぁ……どうしたらいいんだアレは……」

カコーンッ!

木こり「はぁ……子供の扱いなんて……」

斧「………」

木こり「……いや子供じゃ無い?子供?……どっちでもいいか」

斧「………」

木こり「なんだこの匂い……」

斧「………」

木こり「………」

斧「……来ちゃった」

木こり「………」

斧「おじさん!よく私がいるってわかったね!」

木こり「いつもしない匂いが……じゃ無くて何故いる?」

斧「なぁいーしょっ!」

木こり「………」

斧「ふふふ……驚いた?」

木こり「そうだな。斧子……お前は自分で動けるのか?」

斧「動けないよ?」

木こり「ならどうやって来た……」

斧「知りたい?」

木こり「……別にいい」

斧「えぇぇ!本当は知りたい癖に!」

木こり「………」

斧「しょうがないなぁ……教えてあげるよ?」

木こり「……本当にいいから」

斧「凄いんだよ?ビックリしちゃうよ?」

木こり「………」

斧「もう!何で興味持ってくれないの!おじさんは私の持ち主なんだよ!」

木こり「……どすればいいんだ?」

斧「斧さん教えてくださいって言えばいいの!」

木こり「………」

斧「………」

木こり「……斧子……教えてくれ」

斧「仕方無いなぁ!」

木こり「………」



斧「見ててね!」

木こり「ああ……」

斧「キキーモラちゃんおいで!」

バシュンッ!

キキーモラ「………」

斧「どお?凄いでしょ!ふふん」

木こり「なるほど……そいつに持ってきて貰ったのか……」

斧「……驚いてよ」

木こり「驚いてるよ」

斧「……全然表情が変わらないんだもん」

木こり「悪かったな。こう言う顔なんだ」

斧「何か張り合い無いなぁ……」

木こり「斧子、そいつは……魔物か?」

斧「わからない?」

木こり「………」

斧「ふふふ……何て言うんだっけ?」

木こり「斧子、教えてくれ……」

斧「はい、良く出来ました!では教えましょう!」

木こり「………」

斧「キキーモラちゃんは私の召喚獣なんだよ」

木こり「召喚獣……?」

斧「おじさん、召喚術ってわかる?」

木こり「いや……わからない」

斧「あのね、難しく説明すると」

木こり「簡単に説明してくれ……」

斧「簡単にかぁ……えっとねぇ……」

木こり「………」

斧「私のお友達を魔法みたいな物で呼び寄せてるの」

木こり「そんな事出来るのか……」

斧「で、召喚獣って言うのは、お友達になった魔物とかだよ」

木こり「へぇ……人を襲ったりしないのか……?」

斧「する訳無いでしょ!私とお友達にならったらみんな良い子になるんだから!」

木こり「……そうなのか」

斧「そうだよぉ!ねぇキキーモラちゃん」

キキーモラ「……!」

木こり「………」

キキーモラ「……?」

斧「え?新しい持ち主だよ!」

木こり「?」

キキーモラ「……!」

斧「おじさんって言うの」

木こり「……何を話してるんだ」

キキーモラ「……!?」

斧「そんな事無い……と思うよ?」

キキーモラ「……!」

斧「ええ!本当に?」

キキーモラ「……?」

斧「へぇ……」

木こり「本当に何を話してるんだ……」



木こり「はぁ……」

斧「ため息なんてついてどうしたの?」

木こり「何か疲れた……」

斧「お仕事し過ぎ?」

木こり「違うと思う……」

斧「ふぅん。……ねぇおじさん」

木こり「何だ?」

斧「森で私を見つけたのって……匂いでわかったの?」

木こり「そうだな……」

斧「凄いんだね!」

木こり「………」

斧「?」

木こり「わかり過ぎるって言うのも困るんだよ……」

斧「そうなの?」

木こり「ああ……」

斧「犬さんみたいで凄いと思うけど?」

木こり「犬ならな。でも俺は人間だ」

斧「そうだけど……」

木こり「それに……時々だが匂いで色々わかってしまうんだ」

斧「色々って?」

木こり「……例えば人の感情とか弱い所とか」

斧「………」

木こり「これを聞いて俺が一人でいる理由……わかるだろ?」

斧「うん……」

木こり「………」

斧「………」

木こり「……ッ!」

斧「おじさんどうかしたの?」

木こり「マズイ匂いがするッ!」

斧「……?」

木こり「斧子!少しの間だけでいいから絶対喋るな!いいな?」

斧「わかったけど……なんで?」

木こり「いいから!絶対だぞ!絶対だからな!?」

斧 (あれは喋っていいって事かな……)

木こり「なんでこんな時に!」

斧「おじさんがこんなに取り乱すなんて……」

木こり「あぁあ!斧子!この布被せるからな!」

斧「え?ち、ちょっとおじさん!」



木こり「………」

娼婦「やっほぉ来たよ!」

木こり「帰ってくれ……」

娼婦「酷ッ!いきなりそれは無いんじゃない?」 

木こり「………」

斧 (なんだ……おじさんずっと一人って訳じゃ無いんだ……)

木こり「もう来ないでくれって言ったじゃないか……」

娼婦「そうだったっけ?」

木こり「………」

娼婦「来たっていいじゃない。心配してきてあげてるんだから」

木こり「それも……」

娼婦「それも……何?」

木こり「いや……」

娼婦「あのね……惚れた男の所へ来て何がいけないの!」

木こり「その……俺は嫌われてるだろ?だからお前が村で変な噂立てられたりとか……」

娼婦「はぁ……そんな事で……」

木こり「そんな事って……」

娼婦「私は娼婦よ?変な噂の1つや2つどうって事無いの!わかった?」

木こり「………」

娼婦「返事ッ!」

木こり「はい……」

娼婦「よし」

斧 (何か……でも俺は人間だ(キリッって言ってた人とは思えないよ……)

娼婦「………」

木こり「……どうかしたのか?」

娼婦「女?」

木こり「……ッ!」

娼婦「あんた……」

木こり「な、何故わかるんだ……」

娼婦「………」

木こり「俺みたいに……」

娼婦「違うわよバカ!私ってものがありながら……他の女連れ込むなんて……」

木こり「そうじゃ無いんだ!」

娼婦「……どこ?」

木こり「………」

娼婦「ふぅん……」

木こり「………」

娼婦「そこ……」

木こり「本当に何故わかるんだ!」



娼婦「………」

木こり「何も無いから……」

娼婦「………」

バザッ!

斧「………」

娼婦「……?」

木こり「な?何も無い」

娼婦「そうね……私の勘違いだったのかな……」

木こり「そうだな……」

娼婦「ねぇ?あんた、この斧どうしたの?」

木こり「………」

娼婦「なんで黙るの……?」

木こり「……何でも無いよ」

娼婦「教えて」

木こり「……ある人に貰った」

娼婦「こんな高そうな斧を?」

木こり「そう……だな……」

斧「………」

娼婦「へぇ……ねぇ?」

木こり「……何?」

娼婦「売ったら幾らになるかしらね……」

斧「売らないでッ!」

娼婦、木こり「………」

斧「お願いだから……売ったりしないで……」

娼婦「……変な声出さないでよ」

木こり「俺じゃ無い……」

娼婦「じゃあ……」

木こり「そうだな……この斧は喋べるんだ」



斧「………」

娼婦「………」

木こり「まぁ……精霊って奴がくれたんだ」

娼婦「そうなの……」

斧「………」

木こり「斧子、売ったりしないから大丈夫だ」

斧「本当に?」

木こり「ああ、本当だ」

娼婦「あ、あの……」

斧「………」

娼婦「ごめんね……」

斧「……いいよ」

娼婦「………」

斧「お姉さんは私の声が聴こえてるから……悪い人じゃ無いし」

木こり「聴こえない奴もいるのか?」

斧「うん……悪い人には聴こえないの」

娼婦「………」

木こり「どうかしたのか?」

娼婦「いや……驚いてるだけよ……」

木こり「そうか……」

斧「………」

娼婦「でも、凄いわね……こう言うのっておとぎ話の中だけだと思ってた……」

斧「凄い?」

娼婦「うん、凄い」

斧「おじさん!私凄いんだって!」

娼婦「おじさん?」

木こり「………」

娼婦「……ぷっ」

木こり「笑うな……」

娼婦「ねぇ……何て呼べばいいの?」

木こり「斧子だ」

斧「その呼び方やめて欲しいんだけど……」

娼婦「木こり……あんたが付けたんでしょ……センス無いわね……」

木こり「いいじゃないか……」



娼婦「じゃあね、また来るから」

木こり「来なくていいよ……」

娼婦「……もう一回言ってごらん。噛み切ってあげるから」

木こり「…………」

斧「何を噛み切るの?」

木こり「何でも無い……気にしないでくれ」

斧「?」

娼婦「またねぇ」

斧「お姉さんまたね!」

木こり「気を付けて帰れよ」

木こり、斧「………」

木こり「なぁ、斧子」

斧「なぁに?」

木こり「お前……売られた事があるのか?」

斧「うん……」

木こり「そうか……」

斧「………」

木こり「ごめんな……」

斧「あのお姉さんも悪気があって言ったんじゃ無いからいいよ……」

木こり「………」

斧「おじさん……好い人いたんじゃん」

木こり「……そう言うのじゃ無い」

斧「でもあのお姉さん惚れた男って言ってたよ?」

木こり「あれは勝手にあいつが……」

斧「へぇぇぇぇえ」

木こり「やめろよ……」

斧「詳しく!」

木こり「何を……?」

斧「あのお姉さんとの関係!」

木こり「子供に話すような事じゃ無い……」

斧「子供じゃ無いもん!」

木こり「あっそ……」

斧「………」

木こり「はぁ……少しだけ話してやる」

斧「少しじゃ嫌!肉体関係とかも!」

木こり「そんな言葉使うんじゃ無い……」



木こり「俺は匂いで人の感情とかがわかるって言ったろ?」

斧「うん」

木こり「あいつ、感情をそのまま言葉に出来るんだよ」

斧「どういう事?」

木こり「ん……裏表が無いって言うのかな。あいつの匂いと言っている言葉が一緒なんだ」

斧「………」

木こり「だからあいつといても平気なんだ……そんな関係だ」

斧「全然わからない……」

木こり「わからなくて結構。少しだけって言ったろ」

斧「じゃ惚れたって言うのは?」

木こり「聞かない方がいい……」

斧「……?」



木こり「今日は来ないでくれよ?」

斧「了解です!」

木こり「……絶対だぞ」

斧「わかったから!」

木こり「………」

バタンッ

斧「……ん」

斧「暇だよねぇ……」

斧「こんな時こそキキーモラちゃん!」

バシュンッ!

キキーモラ「……?」

斧「いや、特に何も無いんだけどね……」

キキーモラ「……!!」

斧「怒らないでよ……」

バタンッ

娼婦「さっそく来たよ!……え?」

キキーモラ「……?」

娼婦「まままも魔物ッ!」

斧「お姉さん!いらっしゃい!」

キキーモラ「……!」

娼婦「え!……うん……どうも……」

キキーモラ「……!?」

娼婦「そんな事無いわよ……」

斧「おおお?」

キキーモラ「……?」

娼婦「……ありがとう。何か照れちゃうな……」

斧「お姉さん!」

娼婦「何?」

斧「キキーモラちゃんの言ってる事わかるの?」

娼婦「……わかるけど?」

斧「へぇ!凄いね!普通の人だとわからないんだよ」

娼婦「……本当?」

斧「うん」

娼婦「………」

斧「お姉さんも変人だったんだね!」

娼婦「せめて変わった人って言って頂戴……」

キキーモラ「……!」

娼婦「そうね……ねぇ斧子」

斧「なぁに?」

娼婦「私が……この子の言っている事がわかるのって……何で?」

斧「お姉さんが真言を使えるからだよ」

娼婦「……真言?」

斧「説明いる?」

娼婦「お願い……」

斧「オッケー!」

娼婦「………」

斧「えっとね、簡単に言うと音だけの言葉なんだよ」

娼婦「………」

斧「音で使える魔法って言った方がいいのかな。例えば『炎』って言葉で魔法や呪文を使うとする」

娼婦「うん……」

斧「この『炎』って言葉を声に出してそのまま炎が出るのが言霊」

娼婦「………」

斧「反対に『炎』って言葉で氷が出たりするのが真言」

娼婦「???」

斧「『炎』って言葉事態には意味が無くて『炎』って音で魔法や呪文を使えるからなんだよ」

娼婦「??????」

斧「わかった?」

娼婦「全然……」

斧「ぇぇぇ……」

キキーモラ「……!」

娼婦「なるほど!」

斧「………」

娼婦「私……そんな凄いの?」

斧「おじさんと同じくらい!」

娼婦「………」

斧「どうしたの?」

娼婦「ううん……ちょっと」

キキーモラ「……?」

娼婦「ッ!」

斧「ぇぇぇえ!」



天使「あの……精霊め……」

天使「折角……私が下げたく無い頭を下げて頼んだのに……」

天使「あの人間を横取りして自分の物になんてッ!」

天使「もう!最低!最悪!」

天使「………」

天使「何か仕返ししないと……ん?」

天使「何かしらあれ?」

天使「……閃いちゃった」

天使「もうあの人間は要らないしね……ふふふ」

天使「見てなさいよ!馬鹿精霊ッ!」



木こり「……ただいま」

娼婦「それでね!」

斧「お姉さんやだぁ!」

キキーモラ「……!」

木こり「あの……ただいま……」

娼婦「あれだったのよ!」

斧「ええ!本当ぉ!」

キキーモラ「……!?」

木こり「………」

娼婦「もうそれだったんだから!」

斧「凄いね!ねぇキキーモラちゃん」

キキーモラ「……!」

木こり「うん……俺は一人が慣れてるから大丈夫……大丈……うぅ」



木こり「………」

娼婦「悪かったわよ……」

斧「おじさんちゃんとただいまって言わないんだもん……」

木こり「……二回言った」

娼婦、斧「……」

斧「ほ、ほら!おじさんそんな小さい事言ってないで元気出して!」

木こり「………」

娼婦「小さくないわよ?」

斧「……?」

娼婦「何て言うかな……本当丁度良い感じなのよ」

斧「なんの事?」

木こり「うわぁぁぁあ!お前!」

娼婦「何よ大声出して……」

斧「?」

木こり「帰ってくれ……」

娼婦「嫌よ」

木こり「もう暗くなるし危ないから……な?」

娼婦「だから帰らないって」

木こり「何で?」

娼婦「今日からここに住むから」

木こり「……は?」

娼婦「仕事も辞めてきたし!住居も払ってきたしぃ!」

木こり「………」

娼婦「だからね?」

木こり「そんな事いきなり決められても困る……」

娼婦「それに私が居ればあんたが他の女連れ込む事も無いじゃない?」

木こり「それが一番の理由か……」

娼婦「しょうが無いじゃない……前の斧子が来た時のやつで危機感覚えちゃったんだから……」

木こり「俺はそんな事しない……」

娼婦「わからないわよ。あんたの味……」

木こり「……待て。斧子」

斧「なぁに?」

木こり「ちょっと向こうへ持って行くからな」

斧「ええ!私も聞きたい!」

木こり「……駄目だ」

斧「大丈夫!例えおじさんとお姉さんのドロドログチャグチャな肉体関係の話を聞いても平気だから!」

木こり「俺が平気じゃ無いし……ドロドログチャグチャでも無い……」

斧「私を仲間はずれにしないでよ!」

娼婦「そうよ、可哀想じゃない」

木こり「ど阿呆!子供に聞かせる話じゃ無いだろ!」



木こり「はぁ……」

娼婦「そんなにため息つく事無いじゃない……」

木こり「お前の事だけじゃ無い……斧子の事も含めてのため息だ」

娼婦「良い子だと思うけど?まぁ……斧だけど」

木こり「……そうだけどな」

娼婦「何?何かあるの?」

木こり「いや、今更なんだけどな……何で俺の所に斧子が来たのかって」

娼婦「あんた貰ったって言ったじゃない」

木こり「そういう意味じゃ無いんだ」

娼婦「どういう事よ?」

木こり「……斧子は俺には過ぎた力を持ってるだろ?」

娼婦「あの……魔物の子を出せる事?」

木こり「そうだ」

娼婦「………」

木こり「俺に必要あると思うか?」

娼婦「無いわね……」

木こり「だろ?……精霊に聞くべきだった」

娼婦「………」

木こり「確かに生活は変化したが……」

娼婦「深く考えなくていいんじゃない?」

木こり「……どうして?」

娼婦「なるようにしかならないんだから」

木こり「………」



娼婦「………」ボォ……

斧「お姉さんおはよう!」

娼婦「………」ボォ……

木こり「おい……どうした?」

娼婦「……え?あ、ああ!おはよう!」

斧「ボォっとして何かあったの?」

娼婦「ううん、昨日の夜が

木こり「わぁー!わぁー!」

斧「………」

娼婦「……あんたのせいじゃないの」

木こり「一々言わなくていい!」

斧「おじさんも一々隠さなくていいよ!」

木こり「子供にはまだ早い!」

木こり「じゃあ……行ってくるから……」

娼婦「お土産よろしく!」

斧「よろしく!」

木こり「………」

娼婦、斧「?」

木こり「斧子……お前は付いてこい」

斧「ええ!お姉さんとお話してたい!」

木こり「何か嫌な匂いがするんだよ」

斧「………」

娼婦「……バレた?」

木こり「本当やめてくれ……」

斧「?」



斧「ねぇおじさん、お姉さん何しようとしてたの?」

木こり「………」

斧「ねぇたら!」

木こり「……色々とお前に話そうとしてた」

斧「色々?」

木こり「………」

斧「聴きたかった!」

木こり「お前を連れてきて本当良かったよ……」

斧「凄い戻りたい……」

木こり「………」

斧「………」

もしかして槍の人か?

?( ・ω・)?

>>57
イエス。



木こり「なぁ斧子」

斧「戻る!?」

木こり「戻らない……お前は何故俺の所に来た?」

斧「……精霊様に言われたから」

木こり「理由は?」

斧「私とお話ししてくれるからだよ」

木こり「それだけか?」

斧「うん……」

木こり「………」

斧「……おじさん?」

木こり「お前……前にも持ち主いたんだよな?」

斧「………」

木こり「……ごめん……そいつだったのか」

斧「………」

木こり「……そいつの事話してくれるか?」

斧「どうしても……?」

木こり「出来たらでいい」

斧「………」

木こり「………」

斧「……あのね錬金術師って偉い人だったの」

木こり「うん……」

斧「最初は凄い優しかったんだけど……私の召喚獣達を見たらね」

木こり「………」

斧「怖い人になっちゃって……」

木こり「………」

斧「……私の力を使って魔物とか悪魔とか色々自分で呼び出し始めたの……」

斧「………」

木こり「………」

斧「私にも良くわからない魔法で……呼び出した魔物とかをね……」

木こり「………」

斧「……混ぜて新しい魔物を造り始めたの……」

木こり「………」

斧「私がどんなに止めてって言っても……声が届かなくて……」

木こり「……斧子」

斧「………」

木こり「辛い事思い出させて……ごめん……」

斧「………」

木こり「………」



木こり (前の持ち主がどんな奴かわかれば理由がわかると思ったんだが……)

斧「………」

木こり (錬金術師って奴と俺の接点なんて無さそうだしなぁ……)

斧「………」

木こり「斧子、俺と錬金術師って奴は似てるのか?」

斧「全然違うよ……おじさんのが優しいし……」

木こり「そうか……」

斧「何で……そんな事聞くの?」

木こり「あのな……お前が俺の所に来た理由が納得いかないんだよ」

斧「………」

木こり「話をするだけなんて事は無いと思ったんだ」

斧「……精霊様に聞いてみたら?」

木こり「………」

斧「………」

木こり「……呼べるのか?」

斧「呼べない……」

木こり「駄目じゃ無いか……」

斧「おじさんが知ってると思ってた……」

木こり「……知ってはいるが無理だな」

斧「何で無理なの?」

木こり「斧子をいらないなんて言えそうにない」

斧「………」

木こり「………」

斧「お姉さんにいいお土産話出来たよ!」

木こり「やめてくれ……」



娼婦「もう殺されるんじゃないかってくらいにね!」

キキーモラ「……!」

娼婦「家事しろって?……もう少しだけ」

キキーモラ「……!!」

娼婦「わかったから……怒る事無いじゃない……」

キキーモラ「………」

娼婦「………」

キキーモラ「………」

娼婦「……休憩しよ?」

キキーモラ「……!!!!」

バシッ!バシッ!

娼婦「わ、わかったから!やるから!箒で叩かないで!」

キキーモラ「……!!」

娼婦「……食べないでください」



木こり「ただいま……?」

娼婦「………」

木こり「そんなボロボロでどうしたんだ?」

娼婦「……叩かれた」

斧「キキーモラちゃん……?」

娼婦「そう!酷かったの!」

斧「お姉さん……」

娼婦「何……?」

斧「キキーモラちゃんは怠け者の主婦が大嫌いなんだよ……」

木こり「……サボってたのか?」

娼婦「………はい」

木こり「自業自得じゃないか……」

娼婦「………?」

斧「どうかしたの?」

娼婦「……今、主婦って言った?」

斧「そうだけど?」

娼婦「………」

木こり、斧「?」

娼婦「ふふふ……ふふ……ふふふ……」

木こり「……大丈夫か?」

娼婦「あんたッ!私は主婦だってッ!」

木こり「………」

娼婦「そうか……もう主婦かぁ……ふふふ」

木こり「………」

娼婦「なら完璧な主婦になる為にしないとね!」

木こり「あまり聞きたくないが……何を?」

娼婦「子作りよッ!」

木こり「………」

娼婦「斧子ッ!」

斧「な、なぁに?」

娼婦「向こうへ行ってなさい」

斧「自分じゃ動けないよ?」

娼婦「………」

ガシッ

斧「え?」

娼婦「はぁっ!」

ヒュンヒュン……

……「投げないでぇ……」

娼婦「あんた……やろうか……」

木こり (こ、殺されるかもしれん……)



木こり「………」ゲッソリ

娼婦「いってらっしゃい……あ、な、た!」

木こり「……ぁぁ」

斧「おじさん大丈夫……?」

木こり「駄目……かもしれん……」

斧「お姉さん……超ご機嫌だね……」

木こり「………」

娼婦「♪」

斧「しばらく続きそうだね」

木こり「そんな事になったら死んでしまう……」

斧「?」



異獣「……?」

……「何?どうかしたの?」

異獣「……!」

……「え?ち、ちょっと!」

ダダダダッ……

……「行っちゃった……何かあるのかな?」

……「変な魔物だなぁ……」

……「焼き飯あげただけで何かなつかれちゃって……」

……「律儀って言うか何て言うか……」

……「追い掛けてなきゃ……」

タタタッ



木こり「………」

斧「どうかしたの?」

木こり「何か……嫌な匂いがする……」

斧「またお姉さん?」

木こり「そうじゃ無い。……戻るか」

斧「うん……」

木こり「………」

斧「おじさん……もし何かあったら私の力使ってね」

木こり「……あの魔物強いのか?」

斧「キキーモラちゃんは家事専門だから駄目だけど……他にもお友達いるから」

木こり「わかった……」



木こり「囲まれてる……」

斧「え?」

木こり「………」

斧「おじさん……」

木こり「しかも……動物の匂いじゃ無い……」

斧「……力を使うよ?」

木こり「斧子……すまない……」

斧「謝らないで。……来て!クーシー、ヒポグリフ、アルミラージ!」

バシュンッ!バシュンッ!バシュンッ!

クーシー「ウゥゥ……」

ヒポグリフ「キャシャァ!」

アルミラージ「………」

木こり「犬……馬みたいな鳥……ウサギ……?」

斧「みんな強いんだよ?」

木こり「へぇ……」

アルミラージ「………」

木こり「このウサギなんか……」

斧「おじさん駄目!」

木こり「え?」

アルミラージ「……!」

プスップスッ!

木こり「いてえっ!突っつくな!」

斧「そのアルミラージが一番短気だから近付いちゃ駄目だよ……」

木こり「早く言え……」

木こり「……前から来るぞ!」

斧「うん!」

魔物「グウゥゥゥ……」

木こり「………」

斧「おじさん……グーロだよ」

木こり「この魔物か?」

斧「そう。あんまり人前には出てこないんだけど……」

木こり「……後ろも二匹だ」

魔物「……グァァゥ」

斧「………」

木こり「斧子、前をウサギと俺でやる!後ろは犬と馬鳥でいいな!」

斧「うん!わかった!」

木こり「行くぞ!」

木こり「さぁ来い……」

魔物「グウゥゥアアッ!」

アルミラージ「……!」

ダダダダッ!

木こり「お、おい!」

ザシュンッ!

魔物「グゥァゥ……」

ズダンッ……

アルミラージ「………」フンフン

木こり「一撃かよ……」

アルミラージ「………」

木こり「俺……ウサギ食うのやめるわ……」



木こり「………」

斧「おじさん終わったよ!」

木こり「あ、ああ……」

斧「みんなお疲れ様!」

アルミラージ「………」フン

クーシー「クウゥン……」

ヒポグリフ「キャシャァ!」

木こり「……なぁ斧子」

斧「なぁに?」

木こり「お前……凄いんだな……」

斧「おじさん……今更過ぎだよ……」

木こり「単なる面白斧だと思ってた……」

斧「………」



木こり「……何で気が付かなかった」

斧「……まだ何かいるの?」

木こり「……凄い不快な……今まで嗅いだ事無い匂いがする……」

斧「………」

木こり「悪いが……馬鳥で周りを見て貰えるか……」

斧「うん……ヒポグリフお願い」

ヒポグリフ「キャシャァ!」

バサッハザッ!

木こり「………」

斧「………」

ヒポグリフ「キャシャァァァアッ!」

斧「えッ!」

木こり「……やはりヤバいのか?」

斧「………」

木こり「なぁ斧子ッ!」

斧「ネメアのライオン……」

木こり「そいつなのか?」

斧「うん……あのね」

木こり「………」

斧「……神様の世界にいる怪物なの」

木こり「何でそんなもんが……」

斧「わからない……」

木こり「さっきの魔物はそいつから逃げて来たのか……」

斧「………」

木こり「……逃げるぞ」

斧「………」

木こり「斧子?」

斧「おじさん……お願いがあるんだけど……」

木こり「何だ?お前は俺が持って行くから安心しろ」

斧「違うの……」

木こり「……?」

斧「私はここに残るからおじさんだけ逃げて」

木こり「……そんな事出来るか!」

斧「お願い……」

木こり「………」

斧「私は大丈夫だから!本当大丈夫だから……」

木こり「………」

斧「………」 

木こり「わかった……」

斧「………」

木こり「あいつを逃がしたら必ず戻って来るからなッ!」

斧「うん!」

木こり「………」

タタタッ……

斧「………」

斧「おじさんごめんね……もう会えなくなっちゃうかも……」

斧「……ごめんね」



斧「………」

斧「セーレ……私の願いを聞いて!」

シュンッ……ババババッ!バシュンッ!

斧「………」

セーレ「………」

斧「………」

セーレ「久しぶりですね、斧」

斧「うん……」

セーレ「君が契約者になって以来ですか……」

斧「………」

セーレ「僕が呼び出されたという事は……叶えて欲しい願いがあるのですね?」

斧「そうなの……」

セーレ「いいですよ。どのような願いでも叶えましょう」

斧「………」

セーレ「二度目の願いを叶える時……君がした約束覚えていますか?」

斧「覚えるから……大丈夫……」

セーレ「そうですか……」

斧「………」

セーレ「斧、君の願いを聞かせてください」

斧「おじさんやお姉さんを助けたいの……ネメアのライオンを倒して!」

セーレ「………」

斧「今の私じゃ……二人を助けられないし……」

セーレ「そのようですね」

斧「……だからお願い」

セーレ「………」

斧「………」

セーレ「斧、君は錬金術師にされた事を忘れてしまったのですか?」

斧「ううん……」

セーレ「なら何故……人間を助けたいのですか?」

斧「………」

セーレ「またあのような事に……」

斧「セーレ……いいの」

セーレ「………」

斧「同じ事になったら……それは私のせいだから……」

セーレ「………」

斧「私ね……嬉しかったの。おじさん達がね私を人間のように扱ってくれるのが……」

セーレ「………」

斧「おじさんが私を子供扱いする事とか……お姉さんがいっぱいお話してくれる事も……」

セーレ「……わかりました」

斧「………」

セーレ「叶えましょう。君の願いを」

斧「お願い……」

セーレ「はい。これで……君は私の物になりますね」

斧「………」

セーレ「駆けよ愛馬!流星の如く!」

シュンッ!

斧「………」

斧「セーレありがとう……おじさんごめんね……」



異獣「……!」

……「はぁはぁ……早いよ……」

異獣「……!!」

……「……この小屋に何かあるの?」

異獣「………」コクコク

……「そう……ごめんください!」

……「………」

……「ごめんくださぁい ッ!」

……「はぁい!」

ガチャ

娼婦「どなたですか?」

番人「あの……俺、番人と言うんですが……」

娼婦「はぁ……?」

番人 (どうしよう……何て言おうか……)

娼婦「……私の客だった人?」

番人「……?」

娼婦「あのね……私、もう仕事やめたの。こんな所まで来てもらっても困るんだけど……」

番人「いや、そうでは無く……」

娼婦「え?違うの?」

番人「はい……」

娼婦「……じゃあ誰?」

番人「えっとですね……」

娼婦「わかった!……最低ね貴方」

番人「は?」

娼婦「私の噂を聞き付けて……私の体を……くっ」

番人「………」

キキーモラ「……!!」

娼婦「サボって無いって!誰かきたから」

番人「魔物ッ!」バッ!

娼婦「あぁ、大丈夫だから。そんな物騒な物しまって」

番人「え?」

キキーモラ「……?」

娼婦「そうね。奥に行っててもらえる?」

キキーモラ「……!」

番人「………」

娼婦「ごめんなさいね。……えっと……貴方最低ねッ!」

番人「それはいいですから……何故魔物が……それに魔物と話が出来るんですか?」

娼婦「何故かは内緒。話せるのは私にはそんな力があるんだって」

番人「……なら、アイツのと話せますか?」

娼婦「ん……あの魔物?」

番人「そうです」

娼婦「おい!毛玉!」

異獣「……!!」

娼婦「毛玉じゃ無いって。大丈夫みたい」

番人「そうですか……何故俺をここに連れてきたか聞いて貰えますか?」

娼婦「いいわよ。お前は何故この人を連れてきたの?」

異獣「……!」

娼婦「……え!」

番人「何か?」

娼婦「貴方……勇者なの?」

番人「一応……ですね……」

娼婦「モテなさそうな身なりなのに……」

番人「失礼ですね……」



娼婦「………」

番人「何と言ってましたか?」

娼婦「……貴方の味方がここにいるって」

番人「味方ですか?」

娼婦「………」

番人「?」

異獣「……!」

娼婦「……ここでお別れです?」

異獣「……!!」

娼婦「……我の役目は……終わりました。焼き飯……美味しゅうございました……」

異獣「……!?」

娼婦「勇者様……どうかお元気で……」

異獣「………」ペコッ

ダダダッ

番人「あいつ……どうして勇者だとわかったのかわからないけど……ありがとう……」

娼婦「………」

番人「味方……」

娼婦「……私じゃ無いわよ」

番人「じゃあここには他にどなたかいるんですか?」

娼婦「……私の旦那」

番人「………」

娼婦「………」

木こり「ハァハァ……おい!逃げるんだ!」

娼婦「どうしたのよ慌てて……それに斧子は?」

木こり「とんでもない怪物がこっちへ来てるんだ!……斧子はそれを止めるのに残ってる……」

娼婦「………」

木こり「どうした!早く!」

娼婦「嫌よ」

木こり「……お前いい加減に」

娼婦「どうせあんたは戻るんでしょ?」

木こり「………」

娼婦「なら私は残るから」

木こり「……頼むお前だけでも逃げてくれ」

娼婦「だから嫌よ!なんで私だけ……」

木こり「………」

娼婦「………」

木こり「……なんだ?……不快な匂いが増えて……1つ消えた?」

娼婦「……?」

番人「……あの」

木こり「誰だあんた?……早く逃げた方がいいぞ」

娼婦「この人勇者なんだって」

番人「………」

木こり「へぇ……」

番人「さっき言っていた怪物って……」

木こり「………」

番人「力になれる事があればお手伝いを……」

木こり「……なら、こいつを守ってやってくれ」

番人「……わかりました」

木こり「斧子の所に行ってくる……」



セーレ「ネメアのライオン……片付けてきましたよ」

斧「……うん、ありがとう」

セーレ「………」

斧「………」

セーレ「これで約束……果たして貰えますね?」

斧「うん……今から私はセーレの物になります……」

セーレ「………」

斧「……どうしたの?」

セーレ「いえ、別に」

斧「………」

セーレ「行きましょうか」

……「斧子ぉッ!」

斧「おじさん!」

セーレ「………」

木こり「……お前そいつをどうするんだ」

セーレ「僕の物ですから連れて行きますよ」

木こり「ふざけるなッ!」

セーレ「ふざけてなどいない」

斧「セーレ……おじさんと少しお話させて……」

セーレ「………」

木こり「………」

セーレ「……わかりました。お別れを語ってきなさい」

斧「ありがとう……」

木こり「………」



斧「おじさん……ごめんね……」

木こり「何がどうなってる……斧子、あの野郎は誰だ!」

斧「……彼はセーレって言うの。契約して呼び出せる……悪魔なの」

木こり「あの若いのが悪魔?」

斧「うん……」

木こり「………」

斧「錬金術師から解放してくれたのも彼でね……」

木こり「売られたんじゃ無いのか?」

斧「それはその後、知らない人にだよ……」

木こり「………」

斧「あのね……セーレと約束したの」

木こり「約束?」

斧「………」

木こり「………」

斧「私が二回目の願いを叶えて貰ったら……セーレの物になるって……」

木こり「………」

斧「だから……セーレと行かなきゃいけないの……」

木こり「………」

斧「………」

木こり「斧子はあいつと行きたいのか?」

斧「………」

木こり「どうなんだ……?」

斧「約束だから……」

木こり「約束とかじゃ無くて!……斧子自信はどうなんだ!」

斧「……おじさん達といたいよ」

木こり「………」



セーレ「もう宜しいですか?」

斧「セーレ……」

セーレ「何か?」

斧「私……貴方と行きたくない……」

セーレ「………」

木こり「………」

セーレ「そこの人間に何か吹き込まれましたか?」

斧「違う!……私……おじさん達といたいの!」

セーレ「………」

斧「………」

セーレ「それも君の願いですか?」

斧「うん……」

セーレ「なら、こうしましょう」

斧「……?」

セーレ「そこの人間!……斧を渡して欲しいか?」

木こり「……ああ」

セーレ「なら……お前の魂と交換だ」

木こり「……魂?」

斧「駄目!」

セーレ「斧、黙っててください。……どうする?」

木こり「その魂とやらを渡せば斧を渡すのか?」

セーレ「そうだ」

斧「………」

セーレ「………」

木こり「わかった……渡そう」

斧「おじさん……駄目だよ……」

セーレ「迷いも無く決めましたね」

木こり「当然だ」

セーレ「その理由……聞かせて貰えますか?」

木こり「それが正しいと思っただけだ」

セーレ「………」

木こり「………」

セーレ「……ふふふ」

木こり、斧「……?」

セーレ「冗談ですよ」

木こり、斧「………は?」

セーレ「人間の魂など今更いりません。それと斧はお返ししましょう」

木こり、斧「………」

セーレ「少し冗談が過ぎましたか……ふふふ」

斧「何で……」

セーレ「……実はネメアのライオンは倒せていないのですよ」

木こり「……じゃあまだッ!」

セーレ「それは大丈夫。もうこの世界にはいませんから」

斧「………」

セーレ「斧、君の願い……叶えられず申し訳ありません」

斧「怪物がいなくなったからいいけど……」

セーレ「……後、そこの人間にも謝らなければいけませんね」

木こり「………」

セーレ「貴方が斧の持ち主ですね?」

木こり「ああ……」

セーレ「斧が以前、どのような人間と関わってきたか……知ってますか?」

木こり「……錬金術師って奴の事なら聞いた」

セーレ「そうですか……」

木こり「………」

セーレ「僕は……斧がまた人間の欲望の為に使われるのではないかと思っていました」

木こり「………」

セーレ「もしそうであるなら……僕の物にしてしまった方が斧には幸せだろうとも……」

木こり「………」

セーレ「でも、貴方は違うみたいですね。迷う事無く斧を救う選択をした……」

木こり「………」

セーレ「貴方を試すような事をして申し訳ありませんでした」

木こり「いや……それはいいんだけどな……」

木こり「あんた……斧子に呼ばれる事がわかっていたのか?」

セーレ「ええ、わかっていました」

木こり「何故?」

セーレ「秘密です」

木こり「……後、怪物はこの世界にはいないって言ってたがどうしたんだ?」

セーレ「それも秘密で……ふふふ。逢う事も無いでしょうから安心してください」

木こり「………」

セーレ「斧、君との契約はこれで終わりでいいで

斧「うん」

セーレ「………」

斧「……?」

セーレ「……そうですか。ではお別れですね」

斧「セーレ…ありがとう」

セーレ「人間、斧を大切にお願いしますね」

木こり「わかってる」

セーレ「……斧、又お逢いしまし

斧「もういいよ」

セーレ「………」

斧「……?」

セーレ「……では。愛馬よ駆けよ……」

シュウゥン……

木こり、斧「………」

木こり「……あいつ、何か元気無かったが大丈夫か」

斧「セーレだから大丈夫だよ」

木こり「……まぁ、帰るか」

斧「うん!」



斧「おじさん……ありがとう」

木こり「……急に何だ?」

斧「嬉しかったよ!……私を取り戻そうとしてくれた事……」

木こり「………」

斧「本当に嬉しかったよ……」

木こり「別にいいよ」

斧「あのねおじさん……もしセーレが魂を持って行ったらどうしたの?」

木こり「あれな……正直、後先考えず言ってしまったんだ」

斧「………」

木こり「……本当に魂取られたとしても娼婦がいるだろ。あいつと仲良くやればいい」

斧「………」

木こり「まぁ……こうして生きてるんだ。良かったよ」

斧「うん」



娼婦「………」イライラ

番人「少し落ち着かれては……」

娼婦「……うるさい」

番人「………」

娼婦「……あのバカ……今日は赤玉出るまで搾り採ってやるんだから!」

番人 (……赤玉ってなんだ?)

娼婦「………」

番人「……遅いですね」

娼婦「………」

番人 (何かこの人怖いよ……森の中に住んでるし……)

娼婦「………」

番人 (魔物と話せるし……謎の赤玉って言葉……魔女かッ!)

木こり「ただいま……?」

娼婦「………」

斧「お姉さんただいま……」

娼婦「斧子お帰り」

木こり「……何をそんなに怒ってるんだ?」

娼婦「……怒って無いわよ」

木こり「いや、匂いで

パーンッ!

娼婦「……ッ!」

木こり「いっ……何をするんだ」

娼婦「バカッ!」

木こり「……?」

娼婦「あんたに何かあったら私どうしたらいいの!」

木こり「………」

娼婦「逃げろなんて勝手に決めて……残された方の気持ち考えた事あるの?」

木こり「………」

娼婦「……どうせ何も考えて無いんでしょ」

木こり「………」

娼婦「………」

斧「おじさん……私も同じ事思ったんだよ?」

木こり「……何で?」

斧「おじさんがいなくなっても……お姉さんと暮らせばいいって言ってたでしょ……」

木こり「………」

斧「私も同じ気持ちだったんだよ……」

木こり「そうか……」

娼婦、斧「………」

木こり「……二人供……ごめん」

娼婦、斧「………」

木こり「………」

番人「……あの」

斧「………」

木こり、娼婦 (忘れてたッ!)

番人「その斧……喋るんですか?」

木こり、娼婦「………」

番人「………」

木こり「……なんの事だ?」

娼婦「そ、そうよ!……斧が喋る訳無いじゃない!」

番人「思いっきり喋ってましたが……」

斧「………」

木こり、娼婦「気のせいだよ!」

番人「……隠さなくても大丈夫ですよ。斧さん、はじめまして」

斧「……はじめまして」

番人「うぅぐぅ……うぅぅっ……」ポロポロ

娼婦「ち、ちょっと突然泣き出してどうしたの?」



番人「……すいません」

木こり「いや、いいけど……大丈夫か?」

番人「はい……少し昔の事を思い出してしまって……」

木こり「………」

番人「……斧さん、あなたは精霊様の斧ですよね?」

斧「うん、そうだけど……精霊様を知ってるの?」

番人「はい。……実は俺……槍さんの持ち主なんですよ」

斧「……本当?」

番人「本当です……今は槍さん……いませんが……」

斧「……どうして?」

番人「………」

斧「……?」

番人「俺……一回死んでるんです……」

斧「………」

番人「………」

斧「そうなんだ……それで大体わかったよ……」

番人「すいません……」

斧「謝らないで。それは槍さんが選んだ事だから……」

木こり、娼婦「……?」

番人「………」

斧「槍さん……」

番人「俺なんかの為に……。今、槍さんは魂の牢獄という所にいるらしいんです」

斧「……知ってる。もしかしていくの?」

番人「もちろん!」

斧「………」

木こり「………」

斧「そうなんだ……」

木こり「……斧子」

斧「なぁにおじさん?」

木こり「お前……その槍って奴を助けに行きたいのか?」

斧「………」

木こり「……どうなんだ?」

斧「匂いでわかったの……?」

木こり「違う……そのぐらいわかる」

斧「……うん」

木こり「………」

番人「一人で行きますから……大丈夫ですよ」

斧「お兄さん……無理だよ……」

番人「無理でもやらなければならないんです……」

木こり「………」

斧「………」

木こり「なぁ、あんた」

番人「なんでしょうか?」

木こり「さっき一人でって言ってたが……仲間欲しくないか?」

番人「………」

木こり「欲しいなら今のうちだぞ」

番人「………」

木こり「俺は少ししか役に立てないが……こいつの力なら大いに役に立つ筈だ」

斧「おじさん……いいの?」

木こり「構わない」

番人「……その申し出はありがたいですが……危険な旅になりますよ?」

木こり「勇者に付いていこうって言うんだ……それぐらいは覚悟してる」

番人「………」

木こり「どうだ?」

番人「……理由聞かせて貰えますか?」

木こり「そんなの……斧子が行きたいならそれに付いて行くべきだと思っただけだ」

番人「………」

木こり「それにな……ずっと気になっていた事がお前に付いて行けばわかるかもしれん」

番人「何です?」

木こり「斧子が俺の所へ来た理由だ」

番人「………」

木こり「こんな理由じゃ駄目か?」

番人「いえ……わかりました」

木こり「………」

番人「宜しくお願いします!」

木こり「ああ!こちらこそ!」

娼婦「………」



木こり、番人、斧「………」

娼婦「いやぁいい天気ね!絶好の旅日和よ!」

木こり「なぁ……」

娼婦「ほら!あそこ山羊がいるわよ!」

木こり「あれは羊だ」

娼婦「………」

木こり「帰れよ……」

娼婦「いーやーでーすッ!」

木こり「頼むよ……な?」

娼婦「あのね……危険とかそういうのは承知で付いて来てるの。もう何言っても無駄よ」

木こり「………」

番人「……まぁいいじゃないですか」

木こり「よく無いだろ……あんたからも言ってくれよ!」

娼婦「………」

番人「……無理です」

木こり「何でだよ……」

番人「……(恐いからなんて言えない……)」

木こり「はぁぁ……」

斧「おじさん!大丈夫だよ。お姉さんはちゃんと私が守るから!」

娼婦「斧子いい子!ナデナデしてあげる!」

斧「い、いいよそれは……」

娼婦「斧子だけだわ!私の味方は!」ナデナデ

斧「やめて……」

木こり「なぁ、あんた……何でこいつを連れて行くの反対しなかったんだ?」

番人「それは……木こりさんに斧さんがいて、魔女の方がいれば心強いかなと……」

木こり「……魔女?」

番人「はい」

木こり「……違うぞ?」

番人「え?」

木こり「あれでも一応……普通の人間だ……」

番人「………」

木こり「……聞かれなくて良かったな」

番人「はい……」

娼婦「二人供ぉ!先行っちゃうわよぉ!」

木こり「……今行く!」

番人「………」

木こり「……行くか」

番人「はい……」

木こり「俺含めて……宜しく頼むな」

番人「はい!」

ーーー

精霊「と言うお話だったのさ」

酔っ払い「………」

精霊「これが喋る斧の話だよ」

酔っ払い「う……」

精霊「……ッ!」ガタッサササッ!

酔っ払い「うをおおおおおッ!娼婦可愛いよ娼婦ぅッ!」

精霊「そこかよッ!」

酔っ払い「……うぅ。それで娼婦はどうなったんだ?」

精霊「………」

酔っ払い「……木こり達はどうなったんだ?」

精霊「……さぁ……どうなったんだろうね」

酔っ払い「またかよ……」

精霊「ごめんね」

酔っ払い「あんちゃん……使えないにも程があるぜ!」

精霊「………」

酔っ払い「なんだよ……ひっく……」

精霊 (もうこいつには話さない……)

酔っ払い「最後は……喋る剣の話だな!」

精霊「……嫌だね!」

酔っ払い「なんでぇぇぇ?」

精霊「何ででもッ!お酒奢って貰っても嫌だからね!」

酔っ払い「……ほう」

精霊「……?」

酔っ払い「……最近、いい酒を手に入れたんだ」

精霊「………」

酔っ払い「あんちゃんの話を酒の肴にして飲もうと思ったんだか……」

精霊「……あっそ」

酔っ払い「残念だ……『妖精王の雫』一人で楽しむか……」

精霊「ッ!!!……ま、まさか……」

酔っ払い「ふふふ……どうした?」

精霊「幻の酒と言われる『妖精王の雫』を持っているのかい!?」

酔っ払い「……ふふふ」ドンッ

精霊「す、凄い……初めて見るよ……」

酔っ払い「………」

精霊「………」

酔っ払い「……話す?」

精霊「話すッ!」

酔っ払い「じゃあ頼むわ」

精霊「オッケー!」

カランカラン……

精霊「さぁさぁさぁ!」

酔っ払い「……すまねえ。連れが来ちまったみてえだ……」

精霊「そんなぁぁぁ……」

酔っ払い「悪いな。今度はもっといい酒を持って来てやるから」

精霊「……しょうがないね」

酔っ払い「また話聞かせてくれよ。じゃあな!」

精霊「………」

カランカラン……

精霊「……ん?」


精霊「……何でいるの?」


精霊「僕に何か用?」


精霊「地獄の君主がこんな所にいるとマズイんじゃないの?」

セーレ「………」

セーレ「貴方もマズイのでは?」

精霊「僕はいいの!」

セーレ「そうですか……」

精霊「で、何かあるの?」

セーレ「ちょっとした報告を少々……ですね」

精霊「ふぅん……」

セーレ「………」

精霊「あの馬鹿天使が放ったネメアのライオンってどうしたの?」

セーレ「……返してあげましたよ」

精霊「どこに?」

セーレ「天国の門に」

精霊「……凄い事するね」

セーレ「ふふふ……本当は天国の真ん中にでもと思いましたけどね……僕はそこまで入れませんから仕方無くですよ」

精霊「へぇ……まぁ、これで天使への仕返しはいいかな」

セーレ「そうですね。向こうでは今頃大慌てでしょうから」

精霊「うん……まだある?」

セーレ「はい、後は……斧に振られてしまいました……」

精霊「……それって本気だったの?」

セーレ「はい、本気でした……」

精霊「そうなんだ……」

セーレ「………」

精霊「あの錬金術師に君が召喚された時、斧を助けたんだからそのまま持って行けば良かったのに……」

セーレ「それは駄目です!騎士道精神に反します!」

精霊「……なんで?」

セーレ「心が弱っている時に我が物にしようなどと……」

精霊「へぇ……」

セーレ「………」

精霊「でも、助かったよ。ありがとうセーレ」

セーレ「いえ……」

精霊「さて……木こりと斧はうまくいったし……残りは剣か……」

セーレ「………」

精霊「……剣いる?」

セーレ「いりません……」

精霊「そう言わずに!」

セーレ「僕の用意した器には入りませんので!」

精霊「……器?」

セーレ「………」

精霊「まさか……斧を欲しがってた理由って……」

セーレ「………」

精霊「……斧の本体と意思を分離させて……器に意思を移すなんて考えてないよね?」

セーレ「………」

精霊「それはそれで構わないけど……中身は子供だよ?」

セーレ「………」

精霊「………」

セーレ「………」

精霊「……後でその器の容姿を詳しく聞くから」

セーレ「……やめてください」

精霊「………」

精霊「剣は誰に渡そうかな……」

精霊「困ったね……」

精霊「………」






おわり

ー捕捉的な何か

番人「東方にて……念願の薙刀さんを手に入れたぞ!」

番人「………」

番人「……お腹空いたな」

番人「………」

ガサガサッ

番人「これ貰ったけど……食べられるのかな……」

番人「焼き飯って言ったっけ。……煎ってある米にしか見えないんだけど……」

番人「大丈夫……かな。ええい!」

ポイッバリバリッ

番人「……香ばしいだけだな。お腹は膨れそうだ」

異獣「………」ジー

番人「まも……の?」

異獣「………」ジー

番人「……?」

異獣「………」

番人「な、なんだ?……これ欲しいの?」

異獣「………」コクコク

番人「……はい」

異獣「………!」

バリバリッ

番人「東方って変な魔物いるんだな……」

番人「……なあ、俺もう行くから」

異獣「………」

番人「………」

異獣「………」

番人「……付いて来なくていいから」

異獣「……!」フルフル

番人「……?」

番人「……困ったなぁ」

異獣「………」

番人「………」

ダダダダッ!

番人「はぁはぁ……」

異獣「……?」

番人「お前……足早いね……」

異獣「……!」

番人「……害は無いし……ほっとけばいいかな」

異獣「……!」

番人「……はぁ」

ーあれ的な何か

精霊「………」

セーレ「………」

器「………」

精霊「君……ちょっとこれは笑えないよ……」

セーレ「笑わせるつもりはありませんが……」

精霊「……見た目子供だよね?」

セーレ「とんでもない!2万11歳ですよ!」

精霊「………」

セーレ「いやぁ、もう少し若く造っても良かったかと思ったのですがねぇ」

精霊「………」

セーレ「いかがなさいました?」

精霊「……最低だよ……君」

セーレ「………」

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