幼「だいたいアンタは何なのよ!」
男「なんなのって言われてもなぁ」
幼「幼馴染のくせに!」
男「俺から見たら、お前も幼馴染だけどな」
幼「全然鈍感じゃない!」
幼「私の気持ちにもちゃんと気付いてくれて!」
男「え、良い事じゃないの?」
幼「小6の時、私の気持ちを慮って、先に告白してくれたし!」
男「したなぁ」
男「あの頃の幼はずーっと困ったような顔してたもんなぁ」
幼「…その告白をそのまま受けちゃった私も私だけど」
男「受けてくれたなぁ」
幼「それ以来、いつも行動は一緒!」
男「まぁ、生まれた時からお隣さんだし」
男「告白する前からずっと一緒だったけどな」
幼「それはそうだけど…」
男「それになぁ…」
男「俺が、お付き合いして下さいって言って」
男「幼が、わかりましたって言ってくれたからなぁ」
男「俺達、付き合ってるんだよなぁ」
幼「高校になっても変わらない関係!」
男「なんだよ、何か変わりたいのか?」
幼「…そう言う訳じゃないけど!」
男「ならいいだろ。朝っぱらから何言ってるんだ」
幼「アンタには私の幼馴染だって言う自覚が足りないって言いたいのよ!」
幼「周りに、ヤキモキさせるような女子の姿もなし!」
男「すいませんね、冴えない人間で」
幼「クールでも熱血でもない平凡な性格!」
幼「映画で言えば、通行人aレベルの容姿!」
幼「志望する大学には、b判定という成績!」
幼「目からビームの一つも出せやしない!」
幼「どれをとっても平均・平凡!」
男「まぁ否定はできねーけどさ」
男「あと、目からビームって、人間じゃないよな?」
幼「それなのに、なぜか立ってしまうフラグ!」
男「フラグ?」
幼「それを見てヤキモキする私!」
男「ヤキモキしたいの?」
幼「そういう幼馴染としての素質が、男には足りない!」
男「幼馴染って素質が必要なの?」
幼「フラグの11個や13個くらい立てなくて、何が幼馴染か!」
男「フラグとやらの数、多すぎるだろ」
男「あとなんで12飛ばしちゃった?」
幼「うっさい!とにかく!」
幼「アンタには幼馴染分が足りない!」
男「幼馴染分って何?」
幼「ははは、男はバカだなぁ」
男「バカではねぇよ。普通だよ」
幼「幼馴染分とは、幼馴染に含まれている成分の事に決まってるじゃない」
男「え?何その謎成分。怖い」
幼「そこんところがわかってないから、アンタはバカだって言ってるのよ」
男「あー、はいはい。バカだなぁ、俺は」
幼「ちょっと!そこで引かないでよ!」
幼「もうちょっとグイグイ食いついてきてよ!」
男「えー。何か面倒くさい感じがするから、あんま絡みたくないなぁ」
幼「可愛い幼馴染の彼女に向かって、面倒くさいとは何事か!」
男「言っちゃナンだけど、幼も十分平凡だよな」
幼「私は…まぁ平凡…かな?」
男「平凡だろ。それともなにか誇れる長所がある?」
幼「成績は…中の上くらい!」
男「俺と大して変わらないから、中の中だろ」
男「同じ大学の判定、bだっただろ?」
男「なんでちょっとだけ、見栄張っちゃった?」
幼「見栄を張りたいお年頃なんだよ!」
男「同じ年だけどな」
幼「体型も全国の女子高校生の平均値」
男「別にいいじゃんか、平均」
幼「貧乳って程小さくないし、巨乳って程大きくない…」
男「そうだなぁ。服の上からしか観た事ねーけど」
幼「もっとメリハリのきいた体型だったらなぁ…」
男「メリハリねぇ」
幼「こう、ボンキュッボン!って感じでさぁ」
男「俺は別にどんな体型でも、幼の事好きだけどなー」
幼「そういう事、不意打ちで言うの止めなさいよっ」
男「はいはい、ごめんごめん」
幼「なんか、おざなりな返事!ムカつく!」
男「落ち着けよ、幼。皆見てるぞ?」
幼「…」
男「ほら、他に何か長所は?」
幼「料理の腕前は…美味かったでしょ?」
男「そうだなぁ…カントリーマアムくらい?」
幼「それは褒めすぎだよ!」
男「いや、普通って意味で言ったんだけど…」
幼「カントリーマアムは超美味しい食べ物じゃん!」
男「そうだけどさぁ」
幼「でもまぁ、そうだよね。普通だよね」
幼「レシピの通りに作ってるんだから」
幼「激辛になったり、激マズになったりはしないよねぇ」
男「別に手作り弁当を作ってきたりもしなかったもんなぁ」
幼「お互い、親がお弁当作ってくれるもんね」
幼「…」
男「…」
男「他に何かないの?」
幼「…」
幼「はっ!もしかして、私にも幼馴染分が無い?」
男「ははは、自滅したな、幼」
男「ん?下駄箱の中に…」
幼「何?」
男「手紙が入ってた…」
幼「!!!!」
男「何だよ?」
幼「フラグキタコレ!」
男「何で幼が興奮するんだよ?」
幼「ココから始まるドラマチック・マイ・ライフに」
幼「期待せざるを得ない!」
男「そんな事にはならないと思うけどなぁ」
幼「誰からなの?誰からなの?」
男「封筒には書いてないなぁ」
幼「今開けて見てよ!」
男「いくら付き合ってても、それは無い」
幼「むー」
男「この手紙の差出人に失礼だろ」
幼「そ、それもそうね」
男「ま、心当たりもあるしな」
幼「え?だ、誰よ!」
男「正解はウェブで!」
幼「ちょっと!ふざけてないで、言いなさいよ!」
男「まぁ教室についたら、話すよ」
幼「…こんな時でもやっぱり男は普通だね」
男「あぁ、はいはい、普通普通」
幼「また!おざなりな返事!」
男「いいから、教室行こうぜ」
友「おはよーっス、お二人さん」
男「おはよう」
幼「おはおう、友君」
男「…」
友「…何だよ、人の顔じろじろ見て」
友「俺に惚れたのか?」
男「気色悪い事言うな」
男「…これ、お前だろ?」
友「!」
男「…あぁ、返事は言わなくていいぞ」
男「今の顔見て、わかったから」
友「…何故バレた…」
幼「え?友君って、ゲイなの?」
男「違う違う」
友「そう、違う違う」
男「お前のイタズラだよな?」
友「そうそう、俺のイタズラです」
女「何でわかったの?」
男「俺みたいな、キング・オブ・ザ・普通の男子高校生に」
男「ラブレターなんてくるかよ」
友「キングって普通じゃなくないか?」
男「あと、この封筒な」
男「先週、文具屋で買ってるの、隣りで見てたんだが?」
友「くっ…イージーミス…か」
友「せっかく女の子っぽーい丸文字で」
友「中身もしっかり書いたのに…」
友「見もせずにバレるとはな!」
友「俺の昨夜の貴重な3時間を返せ!」
男「お前はアホだなぁ」
友「くそう!」
男「…で、何がしたかったんだ?」
友「お前と幼ちゃんの夫婦みたいな雰囲気に」
友「風雨を巻き起こしたかった」
友「あと、勉強はかどらなくて、ムシャクシャしてやった」
男「そういうわけだ、幼」
幼「…つまんないのー」
男「まぁそう言う訳でさ」
ムシャムシャ
幼「ん?何よ」
男「俺達の仲はこれからも平凡に続くって訳だ」
幼「それ、私達の仲が続かないってフラグ?」
ムシャムシャ
男「何だよ、別れたいのか?」
幼「違うよ!そんな訳ないじゃん!」
男「じゃ、一体何がしたいんだ?」
幼「付き合い始めて長いから」
ムシャムシャ
幼「単なる幼馴染って期間が短すぎだって言いたいのよ!」
幼「幼馴染に幻想抱いたっていいじゃない!」
男「はぁ…そうっすね」
ムシャムシャ
幼「人生をもっとドラマチックに!」
幼「そう思った訳よ、高校三年にして、ね」
男「ドラマチックねぇ…」
ガツガツガツ
幼「そうだよ!もっと…こう…」
幼「キュンキュンしたいんだよ!」
男「例えば?」
幼「例えば…そうね」
幼「別に意識せずに長年隣りに居た、単なる幼馴染の関係から」
幼「恋人へと変わる瞬間を、今、体験したいんだよ!」
男「…」
チュッ
幼「!」
ガリガリガリ
幼「な、何故、今、チューしたか!」
男「ドラマチックかなと思って?」
幼「…なかなかやるわね」
ガツガツムシャムシャ
男「それは良かった。勇気だした甲斐があった」
幼「…付き合い始めて、6年目にして、初めてのキスだもんね」
男「あぁあー。受験終わるまで、こう言う事しないって決めてたのになー」
幼「いいじゃない、今ので私の心は満たされたわ!」
ガツガツガツ
男「それは重畳」
幼「…ねぇ、たまにでいいからさ」
男「ん?」
幼「こう言う、普段と違った事、して欲しい」
男「…普段と違う事、ね」
幼「…うん」
男「考えておくよ、幼」
幼「ありがとう、男。大好きよ」
男「…俺も大好きだよ、幼」
幼「…じゃあそろろろ…」
・
・
・
友「…お前らさぁ」
友「ほんっと、大概にしろよ?」
友「周り見えてるか?」
友「まだ昼休みだぞ?」
友「周りが昼飯食ってる中、チューするとか!?」
友「ちょっと意味がわからん!」
男「おい、友…ちょっと」
友「それに、一緒に飯食ってる俺を空気扱いしやがって!」
友「なんだ!親友なのに、モブ扱いか!背景の一枚絵か、俺は!?」
幼「友君、声が…」
友「畜生!!!爆発しろ!!!バカップル!!!!!!!」
クラス一同「友、うるさい!」
おわり
これで終わりです
読んでくれた人、ありがとう
次スレは
幼馴染「え?ボク?」男「そうだよ!」
ってタイトルで立てたいと思います
見かけたら読んでもらえると嬉しいです
では。
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません