幼馴染「画期的な幼馴染」男「は?」(58)

幼「だから、画期的な幼馴染だよ」

男「何が画期的なんだ?」

幼「いくつか考えたから、ちょっと聞いててね」

男「うん」

幼「もしも幼馴染が肉じゅばんを着ていたら」

男「は?」

幼「どう?画期的でしょ?」

男「なんで肉じゅばんなんだ?」

幼「家のしきたりで!」

男「どんなしきたり?」

幼「18歳になるまで、肉じゅばんを着て生活するってしきたり」

男「誰にどんな得があるのか、さっぱりわかんないんだけど?」

幼「しきたりだから、仕方ないよ」

男「…てか、日常生活に支障ありまくりだろ!」

幼「その支障を、男の幼馴染と乗り越えるんだよ」

幼「クラスの皆にバレそうになるのを何とかやり過ごしたり」

幼「肉じゅばんのせいでぽっちゃり体型な幼馴染を」

幼「男が必死でかばったりするんだよ!」

男「うーん?」

男「そんで、18歳になって、肉じゅばんを脱いだらどうなるの?」

幼「中からはナイスバディの美女が出てきて」

幼「男はびっくり!」

幼「2人は試練を乗り越えたって事で、晴れて結婚するのでした!」

男「何その展開。結婚しちゃうの?」

幼「結婚する為の試練だったんだよ!」

男「何か、今考えた後付け設定みたいに聞こえるんだが?」

幼「どう?この設定!画期的じゃない?」

男「…そうかなぁ」

幼「ご納得頂けていないご様子」

男「まあね」

幼「それじゃ、次ね」

男「どうぞ」

幼「もしも幼馴染が鉄仮面をつけていたら」

男「は?」

幼「だから、普段から鉄仮面をつけているのよ」

男「なんで?」

幼「家のしきたりだから!」

幼「18歳になるまで、決して外してはいけないという、厳しい掟なのよ!」

男「本当に厳しいなぁ」

幼「でも、掟を乗り越え、18歳の誕生日に鉄仮面を外すと…」

男「絶世の美女が出てくるの?」

幼「その通り!わかってるじゃないの、男」

男「ねぇ、ちょっと疑問なんだけどさ」

幼「なに?」

男「鉄仮面の幼馴染は食事や散髪はどうしてたの?」

幼「それは…」

幼「髪は伸ばし放題で、黒髪ロングに!」

幼「食事はストローで流動食を食べてたのよ」

男「うーん?無理があるんじゃない?」

幼「おやおや、またまたご納得頂けないご様子」

男「まあね」

幼「それじゃ次行くね?」

男「どうぞ」

幼「もしも、女の幼馴染が男で、男の幼馴染が女だったら」

男「えっ?」

幼「えっ?」

男「…ややこしいなぁ」

幼「ほら、幼い頃、男の子として接していた幼馴染が」

幼「数年ぶりに会ったら、実は女の子でしたって話し」

幼「よくあるでしょ?」

男「それ、よくある話し?」

幼「よく聞く話しだよ」

男「そうかなぁ」

幼「でもね、実は女の子だと思っていた子も」

幼「本当は女の子の格好をさせられていた男の子だったのよ!」

男「なんでどっちも違う性別の格好?」

幼「お互いの家のしきたり?」

男「またしきたり?。決まり事多い家だなあ!」

幼「まぁそんな訳で、お互い幼い頃の性別を勘違いしててね」

幼「大きくなって再会しても、解らないのよ、最初は」

幼「でも、話しているうちに、徐々に明らかになっていく、共通の思い出!」

幼「そして、ある日、お互いに気付くのよ」

幼「お、お前、あの時の!的な!」

男「それでどうなるの?」

幼「お互い性別を偽ってたから、最初はギクシャクするけど」

幼「やがてお互いの存在を特別に感じてしまうって訳よ」

男「…特別な存在…ね」

幼「あらあら、まだまだご納得頂けていませんね?」

男「そうだね」

幼「それじゃ、次ね!」

幼「もしも幼馴染がロボットだったら」

男「sfになっちゃった?」

幼「最近、幼から変な音がする…って男が気付くわけ」

男「ふんふん?」

幼「ある日、交通事故にあいそうな子供を助ける為に」

幼「幼馴染は車の前に飛び出す訳よ」

幼「で、子供をかばって、車に轢かれちゃう!」

男「大変だな?」

幼「でも、幼馴染は無事なの」

男「ロボットだから?」

幼「そう、ロボットだから。マシーンだから」

男「なんでそんな高性能なロボットが男の幼馴染なん?」

男「そもそも小さな頃からずっと付き合いあるのが幼馴染だよな?」

男「小さな頃からずっとロボットなん?」

幼「それには深い事情があるんだよ!」

男「ほう、深い理由ね?」

幼「実は幼馴染は生まれた時からロボットなんじゃなくて」

幼「半年前に事故にあってしまったんだよ」

幼「本物の体は、治療中で、一時的にロボットの体に」

幼「精神だけを移しているんだよ!」

男「精神だけ…ね?」

男「すごい科学力だな」

男「に、しては変な音が漏れちゃうんだよな?」

幼「数年間、酷使してきたボディが悲鳴を上げていたんだよ」

幼「そして、2度目の事故で完全に壊れちゃうんだけど」

男「さっき無事って言ってたような?」

幼「細かい事はいいから!」

男「…」

幼「男の腕の中で息絶えてしまったかのように思えた…」

幼「ところが、間一髪、本当の体の治療が終わって」

幼「再び、元の体に戻って、男の前に現れるの」

幼「どう?画期的じゃない?」

男「本当にもの凄い科学力が前提だけどね」

幼「うーん。まだご納得頂けない…と」

男「sfはちょっと…ね」

幼「それならこう言うのはいかがかしら?」

男「どういうの?」

幼「もしも幼馴染が実はアイドルだったら」

男「…」

幼「これって、すごくない?」

男「言っちゃなんだけど、それ普通だよね」

幼「そう?」

男「アイドルにだって、普通に男の幼馴染、居るじゃん」

幼「うーん。なら…その男の方の幼馴染が実は女の子だったとか?」

男「さっきのと混ぜちゃった?」

幼「しかもロボットとか?」

男「…」

男「総合すると、幼馴染は鉄仮面と肉じゅばんを着てて」

幼「ごく最近、交通事故に合ってて、今はロボットの体になってて」

幼「アイドルで、男の幼馴染は実は女で、ロボットだった」

幼「って事で?」

男「全然ダメだね」

幼「はぁ…全部ダメかぁ」

男「そうそう奇抜な事は起こらないのが世の中だよ」



幼「ところがそうでもないのよね」

男「え?」

幼「さっきの話しの中にいくつか本当の事が混ざってるよ」

男「えぇー?」

男「どれも非現実的なんですけど?」

幼「…男、最近、体型が変わってきたよね?」

男「…成長期だからかなぁ?」

幼「ちょっと体に丸みが…ね?」

男「えー。太ったかなぁ…自分では気付かないなー」

幼「男って顔も女顔だよね?」

男「失礼だな。精悍な顔つきのこの俺を捕まえて…」

幼「とぼけても無駄だよ!」

男「!」

幼「男、実は女の子なんでしょ?」

男「な、何言ってるの、幼?」

幼「フフフ。調べたんだよ、男」

男「な、何を?」

幼「男の実家のしきたりを!」

男「!!!!」

幼「おじさんに聞いたら、案外あっさり教えてくれたよ」

男「…」

幼「そう言う訳で、もうバレているんですよ、男くん」

幼「いや、男さん…かな?」

幼「男の名前って、男女どっちともとれる名前だもんね」

男「…そうだよ、俺は性別的には女だよ」

幼「家のしきたりで、小さい頃から男の子の格好ですごしてたんだよね?」

男「まぁ、しきたりって言うかなぁ…」

男「俺、4人兄貴が居るの知ってるだろ?」

幼「うん、お兄さん、みんなカッコイイよね」

男「洋服とか全部おさがりだったんだ」

幼「え?マジ?」

男「だから、無理やり着させられてたんだよ」

幼「そうだったんだ…似合ってたよ!」

男「うわー。言わないでくれー!」

幼「今も男の格好してるけど、抵抗ないの?」

男「もう慣れたよ…」

幼「それにしても、よく今ままでバレなかったね」

男「まあね。幼稚園から高校までエスカレーター方式の学校だし」

男「親父が理事長権限で、色々もみ消したりしてたからね」

幼「ふーん。案外あっさりしてるんだね」

男「まぁ、約束があるからね」

幼「約束?誰と、何の?」

男「来月の誕生日には発表出来るかもね」

幼「えー。もったいぶっちゃって!言いなよ!」

男「内緒の約束だから、言わないっ」




男「…幼、さあ」

幼「なに?」カリカリカリ

男「最近、幼から変な音が聞こえるんだけど」

幼「え?そう?携帯かな?」ギリギリギリ

男「違うと思う…」

幼「き、気にしないでいいよ!空耳だよ、きっと!」カシャシャッ

男「そう?」

幼「そんな事より、今日男の誕生日だよね?」ガリガリッ

男「うん。18歳になったよ」

幼「先月言ってた、約束って何?」

男「あぁ。あれね」

男「実はね…」

男「!」

男「あ、あの子、道路に飛び出してる!」

幼「危ないっ!」
ドガッ!

男「幼っ!」

幼「…」ウィウィーン

幼「…子供は無事?」

男「あぁ、全くの無傷だ…気絶してるけど」

男「車の方が凹んでる…」

男「ていうか、幼…」

男「お前…ロボットだったのか?」

幼「えへへ、バレちゃっタ…カ」

男「でもお前、小さい頃は確かに…生身の人間だったろ?」

幼「…正解はこのアト、スグ…」ガクッ

男「幼!幼~っ!」




幼父「久しぶりだね、男君」

男「お久しぶりです、おじさん」

幼父「まぁ、ここに来た理由は解っているよ」

男「幼は一体…どうなったんですか?ていうかどうなっているんですか?」

幼父「実はあの子はね」

幼父「半年前に交通事故に遭ってね」

幼父「一時的に、精神だけを機械の体に移していたんだ」

男「え?マジで?」

幼父「マジマジ!」

男「そんな事が出来るなんて…」

幼父「ワシ、天才じゃからね?」

男「おじさん、何で急にマッドサイエンティストみたいな話し方に?」

幼父「まぁ、いいじゃん。細かい事は」

男「細かくないですよ!大事な事です!」

幼父「まぁ、とりあえず、幼に会っていく?」

男「幼、生きてるんですか?」

幼父「奥の部屋に居るから」

男「なんか、軽いなぁ」

幼父「はよ、行け!」




男「…お邪魔しまーす」

幼「いらっしゃい、男。待ってたよ」

男「誰ですか?」

幼「私だよ!幼だよ!」

男「え?その姿、どう見ても男にしか見えないんですけど」

男「しかも超イケメン」

幼「え?私イケメン?」

幼「えっへっへ。いやぁまいっちゃうなぁ」

男「幼、ドユコト?説明して?」




男「えーっとつまり、話しをまとめると?」

幼「はい」

男「幼は小さい頃から、女の格好の全身肉じゅばんを着て育って」

男「半年前に交通事故に遭い」

男「肉じゅばんが壊れて、中身の肉体も損傷」

男「幼の父であるおじさんは、精神だけを機械の身体に移して」

男「本物の幼の身体をクローン技術で再生させていた」

男「おじさん、マジ天才か!」

男「…で、再度交通事故で、機械の身体が壊れるのと」

男「肉体の再生が終わるのがほぼ同時で」

男「本物の肉体に精神が戻った…と」

幼「はーい。大正解です!」

男「もう突っ込む所しか無いんだけどさ、幼」

男「一個だけ、聞かせて」

幼「何?」

男「なんで女の格好で過ごしてたの?」

幼「えーっとね」

男「…」

幼「男と同じ理由なんだよ」

男「じゃあ…」

幼「親の悪ふざけ!」

男「…あのアホども…」

幼「ウチの両親と、男の両親が結託して、やった悪ふざけだってさ」

幼「…まあね」

幼「お互いの子供が18歳になったら、結婚させようって、決めてたらしいよ」

男「は?」

幼「私達、生れつき許嫁だったんだよ」

男「はぁ?」

幼「一応、お互いの家に古くから伝わるしきたりなんだって」

男「はあぁ?」

幼「だからね、男」

幼「私の嫁に来い!」

男「えー…俺が嫁?」

幼「何?不満?」

男「…正直、男性として過ごしてきた期間が長すぎて」

男「幼の事も女の子としてしか見れなくて…」

男「何か違和感しか感じない…」

幼「あ!じゃあ性別交換する?」

男「は?」

幼「うちのお父さんに言えば、簡単に交換してくれるよ?」

男「マジで?」

幼「マジマジ!」

男「…」




男「…ホントにあっけなかったな」

幼「一瞬だったね」

男「おじさん、マジヤバイな」

幼「いいじゃん。これで普通の男女として、お付き合い出来るよ!」

男「俺、自分の事、同性愛者だと思ってたよ」

幼「私もだよ。男子なのに、男の事好きになっちゃって」

男「…まぁ、何ていうか、画期的な幼馴染、ほとんど事実になっちゃったな」

幼「あ、私ネットアイドルやってるから」

幼「鉄仮面以外、全部事実だよ!」

男「…画期的でもなかったな」





幼「っていう夢を見たんだけど、どう?」

男「…呆れて物も言えねぇよ」

幼「男、実は女の子なんじゃない?」

男「ア、アホか!お前は!」

男「お、俺のどこをどう見たら、女の子なんだよっ!」

幼「えー。それくらい画期的な幼馴染になってよ、男」

男「…」

幼「さ、おしゃべりはこれくらいにして、帰ろっか!」
コロン

男「ん?」

男「…幼の背中から、ネジが落ちてきたんだが?」

幼「!」

幼「な、なんでもない!それは何でもないからっ!」


男・幼(…まさか?)


おわり

これで終わりです。
読んでくれた人がいたらうれしいです

次スレは
幼馴染「アナタに付き合うなんて、冗談じゃないわ」男「そう言うなよ」
ってタイトルで立てると思います

では。

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