前川みく「……あ」 (24)
――駅
P「ん」
みく「……どうしてまた会うの?」
P「たまたまだ」
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みく「ふーん……そんなこと言って、本当はみくに会いたかったんじゃないのー?」
P「……」
みく「……そこで黙られるとちょっと困るんだけど」
P「……だって、みくのそういう姿を見られるの、この時くらいだろ」
みく「できれば見て欲しくないにゃ……あ、です」
P「だから、偶然だ」
みく「……これで仕事なんてしないからね」
P「わかってる」
みく「もう……」
P「でも、メガネくらいなら」
みく「……まあ、それくらいならべつにいいけど」
P「春菜がよろこぶな」
みく「Pチャンは?」
P「よろこぶ」
みく「素直でよろしい」
――電車内
みく「Pチャンはどこで降りるんだっけ」
P「みくと同じところかな」
みく「え? なんで? 絶対違うよね?」
P「みくが痴漢されたりしないか気が気でなくてな」
みく「大丈夫だよ。案外、痴漢なんてされないものだよ」
P「そうか? でも、心配だからな」
みく「そう……ありがと、Pチャン」
P「どういたしまして」
みく「それで、本当はどこで降りるの?」
P「今の、信じてなかったのか」
みく「信じてるよ。でも、それならみくと同じ駅で降りる必要はないでしょ?」
P「まあな。みくと一緒に高校まで行ってもいいが」
みく「絶対やめてよ?」
P「考えとく。みくの高校にもスカウトしたいような子が居るかもしれないしな」
みく「それはやめてほしいにゃ……です」
Pなんでだ?」
みく「乙女ゴコロの問題、かな」
P「なんだそりゃ」
みく「Pチャンにはみくだけを見てほしいの」
P「今も他のアイドルは見てるぞ? アーニャとか」
みく「そういう意味じゃないよ」
P「そうか」
みく「というか、女の子と二人きりの時に他の女の子の話をするかなあ……」
P「二人きりじゃないだろ。電車だし」
みく「Pチャン、デリカシーって知ってる?」
P「知らない。あと、他の女の子と言うが、アーニャは天使だからみくの言う『女の子』には当てはまらないぞ」
みく「……Pチャン、ホントにあーにゃんのこと好きだよね」
P「みくのことも好きだぞ」
みく「そう? ありがと」
P「どういたしまして」
――
みく「そういえば」
P「ん?」
みく「電車の中でこんなに話しちゃってるけど、大丈夫なの?」
P「あそこの男子高校生や女子高生に比べれば」
みく「そういう意味じゃなくて、みく、アイドルなのに……バレたら大変なことになっちゃうよ。猫語を封印してるとは言っても、ね」
P「大丈夫だろ」
みく「それ、どういう意味なのかによっては、みく、怒るよ?」
P「今は俺が居る」
みく「おおっ、カッコイイ。ちょっとキュンとしちゃった。うん、合格」
P「へへっ、やーりぃ!」
みく「……なんで真チャンの真似なの? 怒られるよ?」
P「まこりんのファンだからだな」
みく「担当アイドルの前で他事務所のアイドルのファン発言をされるとは思わなかったにゃあ……あ、です」
P「もちろんみくのファンでもあるぞ? 世界でいちばんみくのことを好きなのは俺だろうな」
みく「今言われてもフクザツなんだけど……」
P「本心だぞ?」
みく「それならなおさらもっといい雰囲気の時に言って欲しかったよ」
P「夜景の見えるレストランとか? 予約しとくか?」
みく「断っておくよ。……それ、他の子には言わないでよね」
P「俺がこんなことを言うのはみくだけだよ」
みく「……Pチャンはたまに自分の職業を忘れてるよね」
P「忘れてないぞ? プロデューサーだ」
みく「プロデューサーなら自分のところのアイドルにそんなこと言わないと思うけど」
P「いや、結構言ってるかもしれないぞ? 『俺と寝なきゃ仕事をやらんぞぐへへへへ』みたいな」
みく「居るの?」
P「さあ?」
みく「Pチャンが知ってるプロデューサーさんでは?」
P「俺の知る限りでは一人も居ないな」
みく「なら、そういうことだよ」
P「でも、俺はプロデューサーとしては有能だと思うぞ? なんたってアーニャに目を付けてスカウトしたからな」
みく「Pチャン、あーにゃん好き過ぎでしょ……」
P「天使だからな」
みく「否定はしないけど、ここは『みくを育てたから~』みたいなことを言うところじゃない?」
P「じゃあそれで」
みく「まったくうれしくないにゃあ……」
P「マジか」
みく「マジにゃ」
P「じゃあどうしろって言うんだよ」
みく「真チャンの好きな少女漫画でも読めば?」
P「ラジオや雑誌でオススメしてた少女漫画はもうぜんぶ読んだぞ?」
みく「……『まこりん』って呼び方から薄々気付いてたけど、Pチャン、真チャンのファンの中でも結構深い方のファンなの?」
P「まあな」
みく「でも、今まで仕事で一緒になったことあったけど、その時は特に何もなかったよね?」
P「仕事に私情を持ち込むわけないだろ」
みく「いきなり正論を出されたにゃ」
P「正論の何が悪いんだ?」
みく「その正論を言ってる本人が実行できてないことかな」
P「俺は実行できてると思うが」
みく「みくは思わないにゃあ」
P「なんでだ……」
みく「というか、みくとこうして一緒に電車に乗ってる時点でダメじゃない?」
P「これは仕事じゃないからセーフだ」
みく「そういうことなのかにゃあ……」
P「そういうことだ。あと、みく、結構前から猫語出てるぞ」
みく「……べ、べつに忘れてたってわけじゃないよ?」
P「そうか。うろたえてるみくもかわいいぞ」
みく「……Pチャン、本当にいい性格してるよね」
P「お褒めいただき光栄だ」
みく「褒めてないもん」
P「わかってる」
――
みく「ん」
P「次の駅か?」
みく「うん。そろそろ降りるね」
P「ああ。付いて行きたいところだが、また夕方、か」
みく「夕方までみくが居ないのが寂しい?」
P「まあな」
みく「ふっふーん♪ そんな素直なPチャンは大好きにゃ」
P「まあちひろさんが居るからちひろさんといちゃいちゃしてるよ」
みく「……素直過ぎるPチャンは嫌いにゃ」
P「じゃあ美優さんに甘えとく」
みく「仕事して」
P「アイドルとのコミュニケーションもプロデューサーの仕事だと思うぞ?」
みく「そうかもしれないけどにゃあ……」
P「まあ、みくのことを思いながら猫コスしたのあさんとにゃんにゃんしとくよ」
みく「それみくにものあにゃんにも失礼だから絶対しないでよね……」
P「いや、俺ものあさんもみくのことを思いながら二人でみくトークをするんだ。これは譲れない」
みく「あ、そういうこと……いや、安心してる場合じゃないにゃ。仕事して。あんまりちひろチャンを困らせたらダメだよ?」
P「善処する」
みく「本当、してよね? ……ん、もう着くね。じゃあ、Pチャン」
P「ああ。また夕方」
みく「うん、また夕方、にゃ」
終
特にストーリーもないSSを読みたいということで書きました。前川さんもみくにゃんもかわいい。
読んで下さりありがとうございました。
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