八幡「……ふう」カツカツ (163)

八幡「……で、一体こんなとこまで連れてきて何があるんですか」コッ

平塚「何も煮て食おうって訳じゃない」

平塚「ただ君の捻くれた性格を少しでも良い方向に向けられたら、と願ってここまでね」

八幡「……俺はこの性格気に入ってるんですがね」

平塚「まあ何だ、教師として少しばかりのお節介ってとこだ」

八幡「……はぁ」

平塚「失礼」ガラッ

雪ノ下「……先生、ノックくらいして下さい」

平塚「おっと、ついうっかり」

雪ノ下「それで一体なんの用…………!」

雪ノ下「ひ、比企谷君?」

八幡「……よう」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1431546093

平塚「おっと、そういえば用事があったんだ」

平塚「雪ノ下、こいつはこの部の新入部員だ」

八雪「えっ」

平塚「15分程で戻る、談笑でもしててくれ」ガラッ




シーン




八幡「えっ、と……」

雪ノ下「と、とりあえず椅子を用意するわ」ガタガタ

八幡「……すまんな」

雪ノ下「……どうぞ」ガタ

八幡「……ありがとな」

雪ノ下「いいのよ、これくらい……」

八幡「……」ガタ

雪ノ下「……あなた、この部に入りたくて先生に?」

八幡「いや、訳もわからず連行されてここまで来たんだ」

雪ノ下「そ、そうなの」

八幡「授業で『高校生活を振り返って』というテーマの作文があってな、それについて呼び出しをくらって何故かここに連れてこられた」

雪ノ下「あなたの事だから大層捻くれた作文だったのでしょうね」

八幡「……会心の出来だったんだがな、犯行声明扱いされたよ」

雪ノ下「平塚先生も読むのが辛かったでしょうに……」

八幡「そんな事よりこの部、って言ってたがお前部活なんてやってたのか」

雪ノ下「あら、言ってなかったかしら」

八幡「まあそんな話はしたことは無かったな」

八幡「んで、何部なんだここは、文芸部?恥じらいながら入部届け差し出される感じ?」

雪ノ下「何を言っているのあなたは……」

雪ノ下「ここは奉仕部よ」

八幡「奉仕部?」

雪ノ下「ええ、ただ奉仕と言ってもボランティアでは無いわ」

雪ノ下「この学校の生徒の問題を解決する手助けをする、そういった部活よ」

八幡「なるほど……」

八幡「で、何で俺はここに連れてこられたんだ……」

雪ノ下「さ、さあ……それは先生に聞くしか……」

八幡「俺はどっちかっつーと奉仕される側じゃないのか、主に身体的な理由で……」

雪ノ下「!!」

雪ノ下「……」シュン

八幡「え、あ、いや、特に深い意味はないんだがなんと言うか事実というか俺が色々と悪いというかなんと言うか……」アセアセ



雪ノ下「……」

八幡(やべー……やっちまった……)




ガラッ



平塚「すまん、待たせたな」

八幡(先生良いタイミングで来てくれたな……行き遅れなのに)

平塚「……おい」

八幡「えっ?」

平塚「ふん!」

ドゴォ

八幡「あばぁ!!」

平塚「今とても失礼な事を考えていたろ」

八幡「な、んで……」

雪ノ下「……目を見れば分かるわ」

平塚「そうだ」

八幡「す、すいませんでした……」ピクピク

平塚「まあいい、本題に入ろう」

平塚「雪ノ下、私からの依頼だ。この比企谷の捻くれた性格からくる孤独体質を改善してやってくれ」

雪ノ下「……私が、ですか」

平塚「そうだ」

雪ノ下「でも」

平塚「もちろん私は君達の関係も知っている」

平塚「だからこそ雪ノ下に頼んでいるんだ」

雪ノ下「……分かりました、お受けいたします」

八幡(俺の事なのに俺の意見無しで事が進んでってワロタ、いや笑えねー)

平塚「と、言うわけだ。比企谷!君はこの奉仕部に入部が決定したぞ!喜べ!」

八幡「え、嫌です入りたくないです」

ドゴォ

八幡「はうぁ!」

平塚「拒否権など、ない」

八幡「……や、やった…ねんがんのほうしぶへ、にゅ、にゅうぶできる……」ピクピク

平塚「よろしい」

平塚「ここで一つ顧問として提案がある」

雪ノ下「何ですか?」

平塚「より多くの問題を解決した者を勝者とし、敗者となった方は何でも一つ言うことを聞かなければならない」

平塚「いわば勝負だな」

雪ノ下「……」

八幡「……」

平塚「どうだ比企谷~?思春期の君には願ってもないチャンスじゃないか~?」

八幡「……」






八幡「そうですね、とてもいい案です。俺は賛成します」

雪ノ下「……」

雪ノ下「なら私も賛成です、彼の下卑た考えなど阻止しないといけないので」

平塚「そ、そうか、なら決まりだな。勝敗は私のの独断で決める、と言っても贔屓など無いぞ。公平な独断だ」

雪ノ下「分かりました」

八幡「異議なし」

平塚「……よし、決定だな。」

平塚「比企谷、特に何もない限り放課後はここへ来るんだぞ、それも条件だ、いいな?」

八幡「……分かりました」

校門前


ガチャ  バタン



ブロロロロロロロ…



雪乃「……」

八幡「……」




八幡「……いつも帰りにお前が乗ってない理由が分かったわ」

雪乃「あら、あなたにも他人の動向が気になる事があるのね」

八幡「毎朝一緒だからな、帰りにいないのは気になるだろ」

雪乃「なら朝一緒なのだから理由くらい聞いてみてもいいんじゃないかしら」

八幡「俺は自分の意志より他人のプライバシーを尊重するからな、尊重しすぎて自分の存在すら消すまである」

雪乃「あなたって人は……」

比企谷宅前

ブロロロロロロロ……


ガチャ


八幡「んじゃまた明日」

雪乃「ええ、また明日」


バタン




八幡「……」カツカツ

八幡「……っ!」カツカツ

八幡(薬が切れたか……痛みがでてきたな……)

八幡「……」ジャラジャラ

ゴク

八幡「……ふう」カツカツ

ガチャ

八幡「たでーまー」

小町「お兄ちゃんおかえりー」

小町「今日は遅かったね?何してたの?」

八幡「ふふふ、聞いて驚け我が妹よ」

小町「あ、その前に杖の先っぽ拭いてね」

八幡「分かってるって」ゴシゴシ

ハウスみたいにバイコディン中毒になるの期待

八幡の部屋

八幡「と、言うわけで俺は部活に入ったのだ」

小町「ああ……今日をもって全人類は滅びてしまうんだね……さようなら、お兄ちゃん……」

八幡「待て、俺が部活に所属したところでカタストロフィなど起きん、起きてたまるか」

小町「まあ冗談はさておき、お兄ちゃんが部活かぁ……ましてや雪乃さんと一緒……」

八幡「どうせ暇だしな、この脚じゃ外に出歩くのも辛いし」

八幡「暇が潰せてよカッタワ、なんっつって」

小町「……お兄ちゃん雪乃さんの前でその障害者ネタやんのやめてよー?シャレにならないから……」

八幡「大丈夫だ、俺ほど分別をわきまえている高校生などいない」

小町「何はともあれあのお兄ちゃんが部活かぁ~。屁理屈こねて絶対入らないお兄ちゃんから一歩成長したんだね……ぅう小町涙が……」ウルウル

八幡(脅迫というか暴力による服従もあったがな……)



八幡(ただ、それ以上に)

八幡(絶対に勝ちたい勝負、受けたしな)

八幡(勝負の事は小町には黙っておこう)

八幡(俺が雪ノ下に何をさせるか、こいつにはすぐに分かるはずだ)

八幡(……当の雪ノ下も感付いてそうだがな)

>>19
脚の設定はモロにハウス先生です

同じひねくれ者同士なのでちょっとやってみたくなりました

藻前ら、モティツケ

   /\ ⌒ヽ ペタン
  / /⌒)ノ ペタン
  ∧∧\ (( ∧_∧
 (´Д)^) ))(・∀・;)

 / ⌒ノ(⌒ヽ⊂⌒ヽ
(  ノ ) ̄ ̄(0_ )
 ))_) (___) (_(


   /\ ⌒ヽ ペタン
  / /⌒)ノ ペタン
  ∧∧\ ((
 (´Д)^)∧_∧

 / ⌒ノ(・∀・⊂⌒ヽ
(  ノ ) ̄ ̄(0_ )
 ))_) (___) (_(

次の日

小町「お兄ちゃん車きたよー」

八幡「おう」





小町「雪乃さんおはよーございます!」

八幡「おはーす」

雪乃「二人共おはよう、では行きましょう」



車内


小町「お兄ちゃんから聞きましたよ~!部活の話!」

小町「どうせお兄ちゃんこんなだから迷惑かけますけどどうか面倒みてやって下さいね!」

八幡「迷惑かけんの確定かよ」

雪乃「心配しなくても大丈夫よ小町さん。これの扱いなら少しは慣れているつもりだから」

八幡「こんなとかこれ呼ばわり酷くないすか」

雪乃「何か言ったかしら?this谷君」

八幡「動詞がないぞ動詞が、つーかあってもガヤ君じゃねーから俺」

小町「今日の夫婦漫才は英文法か……」

八雪「『夫婦じゃ』ないわ」ねーよ」

小町「おお!息ピッタリ!」

八幡「……」

雪乃「……」

小町 ニヤニヤ



ブロロロロロロロ……  キッ


小町「あ、着いたみたいなんで行ってきまーす!お兄ちゃん!迷惑は程々に!じゃ!」

バタン



八幡「……」

八幡「騒がしい妹だ、全く」

雪乃「明るくていいじゃない、それに小町さんはとても素直よ?あなたとはまるで正反対で」

八幡「……」

八幡「全くだな」

昇降口

雪乃「……じゃあ」

八幡「ああ、また放課後だな」

雪乃「……ええ、また後で」





八幡「……」カツカツ

タタタタタタ

戸部「オッスー!比企谷くーん!」

八幡「……おう、戸部」

ガシッ グイッ

八幡「うっ」

戸部「んじゃ今日も行きますかー!階段登頂!」

八幡「だから俺は一人で大丈夫だって何度……」


三浦「ヒキオも諦め悪いね~!」

八幡「……三浦か」

三浦「もうあーしらの日課だから、ヒキオの朝の運搬は」

八幡「俺は荷物か…………いや、一理あるな、社会のお荷物」

三浦「うっわ何それ笑えな」

八幡「……障害者ギャグだ、笑え」

葉山「結衣の前では決して言えないギャグだな、つまり俺たちに対して少しは心を開いた証拠かな?」

八幡「葉山……てめ」

戸部「なんかよく分かんないけどとりあえず行くっしょー!」グイグイ

八幡「ぅお……おい!もっとゆっくり……!」

海老名「とべはち!強引なとべ×はち!朝からなんてもん見せるんじゃい!」ブシャー

三浦「おい海老名……」





教室




戸部「はーい到着ぅー!」

八幡「お前……無理矢理引っぱりすぎ……」ハァハァ

海老名「とべはち事後!!!!無理矢理のとべはち事後!!!!!!!!」ブブシャー

三浦「だから擬態しろし……」





結衣「ヒッキー!!」

八幡「おー……」

結衣「ご、ごめんね?今日は日直で行けなくて……」

八幡「分かってるよ、昨日さんざん聞かされたからな」

八幡「明日日直だし!明日日直だし!ヒッキーごめん明日朝無理!ごめんだし!」

八幡「って」

結衣「何それ私のマネ!?似てないし!!!」

八幡「……つーか、んな事より」

八幡「……何度も言ってるが俺は一人でもちゃんと教室に来られるんだ、無理に俺に構うことなんてない、放っておいて構わん」

結衣「……」

結衣「……うぅ」グスッ

八幡「えっ」

結衣「そ、そんなのできるわけないじゃん!!それこそ私だって何度も言うよ!!」ウワーン

八幡「ちょ、落ち着け由比ヶ浜……」

結衣「ヒ、ヒッキーは私のせいで、私のせいで……!」ウワーン

八幡「わ、悪かったよ、失言だった撤回する……」アセアセ

結衣「ヒッキーのバカぁ!」ウワーン

八幡「な、泣くなよ、お前に泣かれると俺が大変な……」











三浦「ヒキオ」

八幡「ホイ来た」

三浦「だから結衣を泣かすなとあれだけ……!」ガミガミ

八幡「はい……すいませんでした……はい……」ゲンナリ

八幡(このオカン説教なげーんだよ勘弁してくれ)



三浦「ヒキオはひねくれてばっかでもっと素直に他人の好意を……」ガミガミ

八幡(それが僕の個性です、十人十色、みんな違ってみんな良い)

八幡(ま、俺の良いところなんて俺にしか分からないがな)デュフフ

三浦「説教されてんのにニヤニヤすんな!!」バシン

八幡「いてえ!」



結衣「ゆ、優美子……!」

三浦「ん、どした結衣」

結衣「あ、あのさ!私は別に大丈夫だからさ!ヒッキー……許してあげてくれないかな……?」

三浦「結衣……」





三浦「ヒキオ」ギロッ

八幡「ヒェッ……な、何だよ」

三浦「結衣にちゃんと謝んだよ」

三浦「バカヒキオ」スタスタ

結衣「ご、ごめんね大丈夫?」

八幡「……いや、謝るのは俺の方だ……すまん」

結衣「い、いーよ……むしろヒッキーのひねくれに耐えられない私が悪い!」

八幡「……えっ?」

結衣「隼人君が言ってたんだけどね、ヒッキーがイジワル言うのはホントの事を知られたくないからだっ、て」

八幡「……」

結衣「でも私バカだから!……バカだからいつもヒッキーの言う事真に受けちゃってさ」

結衣「冗談なのか照れ隠しなのか……私には分かんないから」

結衣「……それに」

結衣「私のせいで」

八幡「由比ヶ浜」

結衣「え?」

八幡「これだけは冗談でもない、確実な本心で言う」






八幡「お前のせいじゃない」

戸部(ちょ、朝からなんか空気がヘビーじゃん……?)ヒソヒソ

葉山(あ、ああ……でも比企谷にはいい薬じゃないか、なあ優美子?)ヒソヒソ

三浦「ったくヒキオはいつもいつも……少しは素直に……」ブツブツ

葉山(……)

戸部(これ早く授業はじまってほしいっしょ)

葉山(だな)

授業中


八幡(全く……朝から疲れる……)

八幡(…………)ハァ

八幡(……万年ぼっちのはずなんだがな、俺は)

八幡(なんでこんな構ってちゃんの理想形になっちまったんだ……)

八幡(…………)

八幡(……この脚のせい、いや)

八幡(おかげ、かな)




八幡(事の始まりは由比ヶ浜だ)

八幡(あの事故は私のせいだなんだと、さらに俺のこの脚の責任を取るだかで何かにつけて世話を焼いてきやがった)

八幡(それを突っぱねる俺に対して見るに見かねたアイツらが関わってきて……)

八幡(気付いたらこのザマだ)

八幡(……正直、悪い気はしない)

八幡(…………)

八幡(最初は俺に対する哀れみだと思った)

八幡(気になる異性に良いところを見せるために、かとも)

八幡(だが何を言っても違うらしい)

八幡(あのバカ共は口を揃えてこういう)

八幡(『友達だから』)









八幡(……なにが、友達だ)

八幡(あいつらはおそらく何の他意もなく俺に接してくれているのだろう)

八幡(だが俺には分かる)

八幡(この脚あってこその関係だ、ってな)








八幡(あの事故が無かったら)

八幡(いや、事故があろうがとにかく五体満足でいられたら………いてしまっていたら)

八幡(こうはいかない)

八幡(皆には俺は見えず、関係せず、関係されず、俺はただ一人)





八幡(……それでよかったんだがな)

八幡(…………)







八幡(…………なにが、友達だ)

放課後

八幡「……」カツカツ

結衣「ヒッキー!」

八幡「……今日は大丈夫だ、用があってまだ帰れないからな」

結衣「え、あ、そ、そうなんだ」

八幡「……」

八幡「……由比ヶ浜」

結衣「……なに?」

八幡「その………なんだ」

八幡「……あの」

八幡「……いつも、ありがとな」





結衣「えっ?」





結衣「ヒ、ヒヒッ、ヒ、ヒッキーが」

結衣「ヒ、ヒッヒッキーが!!!」

結衣「壊れた!!」

三浦「落ち着け結衣」

八幡(やっぱこうなるよな………)

ダッテ!ヒッキーガ!  トリアエズオチツケシ!

ダッテ!!!!!   オチツケシ!!!!!


八幡(まあいい、この混乱に乗じて……)ソソクサ







葉山「意外だな、君があんなことを言うなんて」

八幡「葉山……」

葉山「どういう風のふきまわしなんだ?」

八幡「……昼休みに三浦にきつくしぼられたんでな」

葉山「おや、優美子は君に少しは素直になれ、と言ったんだがな」

葉山「つまり今のは本心から結衣に……」

八幡「やめろやめろ黙れやめろ」

八幡「俺は用事があるんだ、じゃあな」カツカツ

葉山「フフッ、また明日な」

八幡「……ああ」カツカツ

部室

ガラッ

八幡「うす」

雪乃「こんにちは」




八幡「……ふう」ガタ

雪乃「お疲れのようね」

八幡「まあ少しな」

雪乃「……教室から距離があるものね、迎えに行ったほうが」

八幡「いやそれは大丈夫だクラスでちょっとした事があっただけだ気にする事はない大丈夫だ気にするな大丈夫だ」

雪乃「そ、そう、ならいいのだけれど」

八幡「……ああ」

八幡「……」

雪乃「……」




八幡「なあ」

雪乃「なにかしら」

八幡「俺は一体何をすればいいんだ?」

雪乃「今はこれといってする事はないわ」

八幡「あら」

雪乃「基本的に依頼がなければやる事は無いわ」

八幡「……ほう」

雪乃「私達にやる事が無い、という事は生徒達に悩みが無いという事」

雪乃「……悩みなんて、無いに越したことはないわ」

八幡「……そうだな」

雪乃「ええ、だから私達が暇なのは平和な証拠、と言ったところかしら」

八幡「なるほどな……」




コンコン





八幡「……」

雪乃「……」







八幡「……なんつータイミング」

雪乃「……どうぞ」

ガラ

結衣「し、失礼しま」



八幡「……げ」

雪乃「……あら」






結衣「……ヒ」



結衣「ヒキノ下さん!!!???」





雪乃「……誰なのそれは、酷く不快な響きなのだけれど」

八幡(混ざってる混ざってる、つーかよりによって由比ヶ浜かよ)

結衣「え、えと、あの」

八幡「由比ヶ浜、色々言いたいのは分かるがまず落ち着け」

結衣「え、あ、うん……」

雪乃「まあ驚くのも無理はないわね、何しろ私達二人がいるんだもの」

八幡「だな」

結衣「ご!ごめんね!何か変な空気になっちゃて!」

八幡「気にすんな、んじゃ早速だがここに来た要件を聞こうか」

結衣「……え、えと」チラ

八幡「ん?」

結衣「んと、その……」チラチラ

八幡「何だよ、俺の顔に何か」





雪乃「比企谷君」

八幡「え、なに」

雪乃「喉が乾いたわ飲み物を買ってきてくれないかしら」

八幡「は?」

雪乃「買ってきてくれないかしら」

結衣「……」モジモジ

雪乃「あなたのペースでゆっくりでいいのだけれど」



八幡(……なるほど、ガールズトーク(笑)か)

自販機

八幡(うーん)

八幡(あいつら何が飲みたいのか聞いときゃよかったな……)

八幡(ま、みんな大好きMAXコーヒーなら大丈夫か)

ピッ ゴトン

八幡(流石に今戻れば話は終わってるよな……)

ブー ブー

八幡(メール?小町か?)

八幡(って、雪ノ下か……えっと……)

八幡(家庭科室?)

家庭科室

八幡「手作りクッキー?」

雪乃「ええ、手作りクッキーを食べてほしい人がいるそうよ」

結衣「……」

雪乃「でも自信がないから手伝ってほしい、というのが彼女のお願いよ」

八幡「……ふーん」

結衣「な、なにジロジロみてんのさ」

八幡「いや、なんつーか」

八幡「いつも俺に構ってばっかだけどお前もちゃんとそーゆー相手見つけてんのな」

結衣「え」

八幡「良いことなんじゃねーの、そーやってるほうがよっぽど高校生らしいぞ」



結衣「……」




雪乃「あなたって人は本当に……」

八幡「え、何この空気」

結衣「ヒッキーほんとキモイ……」

八幡「なんでよ」

雪乃「……とりあえずクッキー、作りましょうか」

結衣「う、うんそうだね」

八幡「俺は何すればいいんすかね」

雪乃「味見をして感想をくれればいいわ」




数十分後



雪乃「何故あれだけミスを重ねることが出来るのかしら……」

結衣「あ、えと……」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


八幡(なにこのダークマター……こんなの食べるとか無理無理かたつむり)

八幡「さすがにこれは味見しなくて……いいよね?」

結衣「……うぅ」

雪乃「……そうね、死んでしまうわ」

雪乃「……とりあえずどうすれば良くなるのか、考えましょう」

八幡「まぁ、これが初めて作ったもんなんだろ?」

八幡「最初は誰だって失敗するんだ、上手くいくまでやってみればいい」

結衣「ヒッキー……」

結衣「でも私、料理には向いてないみたいだし……才能っていうの?そういうの無いし……」

雪乃「解決方法は努力あるのみよ」

結衣「え?」

雪乃「最低限の努力もしない人間には、才能のある人を羨む資格なんて無いわ」

結衣「……」

雪乃「成功出来ない人間は、成功した人間の努力を想像できないから成功出来ないの」

結衣「……で、でもさ!最近みんなやんないって言うし……!」

結衣「……こういうの、合ってないんだよ」

八幡「だったらやめちまえ」

結衣「!」

雪乃「……」

八幡「お前はそうやって自分の出来ない事の遠因を他人で誤魔化すような人間なんだ」

八幡「そんな気持ちで他人に贈り物をするなんざ愚かにも程がある」

結衣「……」

雪乃「比企谷君の言う通りよ」

雪乃「あなたは軽い気持ちで依頼に来たと思うのだけれど、生憎この部活は飢えた人に魚を与えるのではなく、獲り方を教え自立を促す、そういった所なの」

雪乃「由比ヶ浜さん、悪いけどあなたのような」







結衣「かっこいい……」


八雪「は?」

結衣「建前とか全然言わないんだ!」

結衣「何ていうか!そーゆーのかっこいい!本音って感じがする!」

雪乃「結構キツイ事を言ったつもりなのだけれど……」

八幡「まあこいつバカだからな……」

八幡「んで由比ヶ浜……どーすんだ、まだやんのか」

結衣「ヒッキーの言うとおりさ、私考えが甘かったよ……ごめんね?」

結衣「でももう心を入れ替えたからさ!雪ノ下さん!」

雪乃「え?は、はい」

結衣「さっきはごめんなさい!私頑張るからもう一度教えて!」

雪乃「由比ヶ浜さん……」

八幡「……正しいやり方、教えてやれよ」

後日


雪乃「先週の由比ヶ浜さんの依頼、あれでよかったのかしら」

八幡「なんだよ急に」

雪乃「いえ……少し気になったものだから」

八幡「……多少強引だったかもしれんが男相手に渡すんならあれでよかったはずだ、男なんて単純だからな」

雪乃「……」



八幡「だが、より上を目指すってんなら話は別だがな」

雪乃「……私はより上を目指すべきだと」

八幡「だが得手不得手ってのもあるしな」

八幡「あいつにとって料理は明らかに不得手なものだ」

雪乃「……ええ、そうね」

八幡「お前にとっての他人とのコミュニケーションのようにな」

雪乃「!」

八幡「まあなんだ……あいつは自分が料理は不得手と知っても頑張ってみると言ったんだ」

八幡「その姿勢だけでも一つ成長したと思うんだがな、俺は……」

雪乃「そう、ね……」

八幡「だろ」

雪乃「ただ」

八幡「ん?」

雪乃「まさかあなたにコミュニケーション能力について貶められるなんてね、あなたも同じ穴の狢じゃない」

八幡「あ、バレた?」テヘ

雪乃「不得手なのは認めるけど私だけそうみたいに……」ムスッ

八幡「まあそこは言葉のあやってヤツで……」



コンコン

結衣「やっはろー!」

八幡(うるせぇ、だが良いタイミングだ、でもうるせぇ)

雪乃「……何か?」

結衣「え、あまり歓迎されてない……」

結衣「雪ノ下さん私のこと……嫌い?」

雪乃「別に嫌いじゃないわ、ちょっと苦手かしら」

結衣「それって女子言葉じゃ同じことだからね!?」

雪乃「それで、何か用かしら?」

結衣「こないだのお礼!クッキー作ってきたんだ!」ズイッ

雪乃「私あまり食欲が……」

結衣「ヒッキーも!はい!……って、いない!?」


ユキノン!ヒッキーハ!?  シラナイケド……ユキノン?

アーダコーダウンヌンカンヌン


八幡(くっ……!急げ俺!俺の尊い命のためにもアイツの毒物を食すわけには……)


結衣「ヒッキー!!!」タタタタ



八幡「\(^o^)/オワタ」

結衣「なんで逃げるのヒッキー!!!」

    ____
   /三ミ三ミ\
  /ミミヾミ三ヾ\
 /ノ/^゙⌒゙⌒ヾミ ヘ

 レ|     \ヾ|
 レイ ⌒\ /⌒ |||
 V(●ヽ ィ●)|ヘ/
 (Y  |    レ|
 O|  (_   Oノ

  ヽ〈―――〉 从
  /\  ̄ / ∧
 /  )`―-′ /||

 \ /8   / | \
 /|| ゚∞∞/ ノ

車内


ブロロロロロロロロ……





雪乃「せーの、でいくわよ……!」



八幡「……おう」ゴクリ





雪乃「せーの!」





八雪 ムシャムシャバリバリゴクン








八幡「ヴォえええぇぇぇあぁァァ!!!」ゲロマズ


雪乃「……っ!!!!ぅっ…ぐ!!!!!」ゲロマズ







都筑(なんだ……!?あんな得体の知れない物を口にするなんて……!!)



八幡「あ……、…が………」ピクピク


雪乃「う………ん…、……ぅう………」グッタリ






都筑(………)


都筑(とりあえずこのまま病院へ……)  ブロロロロ…

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年05月19日 (火) 20:26:49   ID: kSlNvHc_

これは続きが気になります♪
期待してます!

2 :  SS好きの774さん   2015年05月21日 (木) 13:31:16   ID: 3ZmpY8S_

アラサー身体障害者に暴力振るうとか最低だな。

3 :  SS好きの774さん   2015年05月31日 (日) 07:54:55   ID: lZP4reX4

障害者パシるゆきのんもないわー

4 :  SS好きの774さん   2015年05月31日 (日) 14:15:06   ID: pf7Tyo2Z

足の不自由な奴にジュース買いに行かせる鬼

5 :  SS好きの774さん   2015年06月07日 (日) 23:19:44   ID: 0TAbQkQQ

杖ついて歩くヒッキーとか完全に一方通行だな

6 :  SS好きの774さん   2015年06月08日 (月) 22:00:43   ID: DlkQ31CY

事故の責任を取って、雪の下家の車で送迎ということか。

7 :  SS好きの774さん   2015年06月13日 (土) 08:48:46   ID: Ou0hA42z

由比ヶ浜いらね

8 :  SS好きの774さん   2015年06月13日 (土) 23:28:17   ID: 2ZGpxNMm

本当に続き気になります

お願いします

9 :  SS好きの774さん   2015年06月14日 (日) 21:44:13   ID: vGPYce7h

パシリはそういう気の使われ方を八幡が求めてないって分かってるんでしょ

10 :  SS好きの774さん   2015年07月08日 (水) 00:38:06   ID: 8PAlrwCD

あ~あ静ちゃんやっちゃったね
身体障害者に暴力振るうとかあの〈組織〉が黙ってないよ?
とりあえず愛車のアストンマーティンにお別れしなきゃね

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