女「…じゃありんご」

男「りんご？」

女「うん」

男「…」

女「…」

女「…食べたくない？」

男「そこまで」

女「…」

男「…」

女「梨とかブドウとか」

男「…」

女「バナナとかイチゴとか」

女「……食べたくない？」

男「別に…」

女「…そっか」

女「何なら食べたい？」

女「なんでもいいよ」

男「…」

女「…」

男「…特にない…かな」

女「…」

男「…………あ」

女「何？」

男「……女」

女「」

女「」

男「…」

女「…」

男「…冗談」

女「びっくりした」

男「ほんとに何もいらないから」

女「…うん」

男「心配かけてごめんね」

女「いいよ」

翌日

男「こんにちは」

女「こんにちは」

女「今日は何食べる？」

男「…」

女「あ、いや、食べれたら、ね」

男「…リンゴ、ちょっと貰おうかな」

女「！」

女「…じゃあ剥くね」

男「うん」

女「はいどうぞ」ｺﾄｯ

男「…ありがと」

男「…」

女「…」

女「……食べないの？」

男「……いや、食べる、食べるよ」

男「…いただきます」

男「おえ"っ……げぼっ」

女「大丈夫？」ｻｽｻｽ

男「うん"…っ………おええ"っ"」

女「…ゆっくりでいいからね」

男「……うう"っ"」

女「…」ｻｽｻｽ

男「はぁ……はぁ…」

男「…」

女「…」

男「……ごめんね」

女「いいよ、ゆっくり慣らしていけば」

男「……やっぱり無理だよ」

女「…」

男「……体、おかしくなってるのかな」

女「…私のせいでね」

男「…」

女「ごめんね」

男「女は悪くないよ」

女「…」

男「…」

女「…リンゴ、もういい？」

男「………」

女「…」

四日前

男「晩御飯何食べたい？」

女「うーん……」

男「手軽に作れるものね」

女「……なんでもいいや」

男「…とりあえず買い物行こっか」

女「うん」

今

男「…スーパーで死んだんだっけ」

女「行く途中の道、だね」

男「…なんで、死んだんだっけ」

女「本人に聞かないでよ」

男「…」

女「……殺されて、だよ」

男「…」

女「通り魔？だっけ」

男「……」

女「仕方ないよ」

女「突然だったもんね」

女「突然後ろから首切られて」

女「あれ直後は意識あるもんなんだねー」

女「私の体が見えてさ」

女「切った人？なのかな？」

女「私を無理矢理犯しててさ」

女「首無くてもいいの？とか思った気がする」

女「男は震えてたね」

男「…………」

女「どっちの私を見ていいのかわからない、って感じだった」

男「……………」

女「まあその辺で私死んだんだけど」

男「………………」ｶﾀｶﾀ

女「怖い？」

男「…」ｶﾀｶﾀ

男「…」ｶﾀｶﾀ

男「…みかん、食べるよ」

女「…うん」

男「…」

女「…」

女「…」

精神病棟

男「明日には退院できるよ」

男「…そうかな」

男「ご飯も食べられるようになる」

男「…嫌だよ」

男「嫌なの？」

男「………」

男「……」

男「…」