フェイカー「帰って来たかカイト」

カイト「それは」

ハルト「ダッチワイフだよ！」

カイト「ハルトのか？」

ハルト「違うよ。兄さんのだ！」

カイト「俺の？」

フェイカー「カイトはいつまで経っても彼女の1人もできないからな。だから」

カイト「・・・そうか」

恵「・・・」

ハルト「オービタルも子供が生まれて忙しそうだしね！」

恵「よろしく」

カイト「父さん俺は」

フェイカー「案ずるな、家族が1人増えるだけだ」

ハルト「うん！」

カイト「・・・」

カイト「・・・何か喋れ」

恵「喋る事が無い」

カイト「お前の仲間も無口なのか？」

恵「そう」

カイト「・・・」

恵「・・・」

カイト「こいつが人気なのがよく理解できん。食べたりするんだったな」

恵「それが私達のエネルギー源」

カイト「人間と変わらんのだな」

恵「それは違う。私達の代わりはいくらでもいる」

カイト「代わりはいる？」

恵「それがダッチワイフの宿命」

カイト「・・・」

カイト「・・・」トンッ

恵「？」

カイト「痛いか？」

恵「？」

カイト「お前は代わりが居るとか言っていたな」

恵「私はいっぱい居る」

カイト「何号機だ」

恵「6号機」

カイト「確かにお前の数は多いが6号機は俺の家に居るお前しか居ない。違うか？」

恵「・・・」

カイト「どういう経緯で生み出されたか知らんがお前はお前だけだ。それを忘れるな」

恵「うん」

カイト「俺は人付き合いは苦手なタイプだ。まあ機械相手なら別だがな」

シャーク「邪魔するぜカイト」

カイト「何か用か」

シャーク「何だダッチワイフの恵も居るのか？いいよな、俺なんて璃緒に」

カイト「炊事洗濯ぐらい自分でやれ」

シャーク「璃緒がやってるからいらないってよ。犬の散歩やデュエルの相手までしてくれるんだってな」

カイト「うちには犬も居なければデュエルの相手にも困らない」

シャーク「うぜえ奴の家に来ちまったな。こいつってどっか暗いとこあるから注意しろよ」

恵「暗い？」

シャーク「こいつだ」

カイト「・・・」

シャーク「まあダッチワイフって言っても同じ人間みたいなものだしな。よろしく頼むぜ」

カイト「こいつは神代凌牙と言ってな・・・うるさい奴だ」

シャーク「てめえ！」

カイト「事実だ。少しは静かにしろ」

シャーク「笑わねえな。噂じゃ」

カイト「感情表現に乏しい・・・笑ったり泣いたり怒ったり」

恵「それならできる」ニコッ

シャーク「やれるじゃねえか」

カイト「心の底から笑わないと意味が無い」

恵「心？」

カイト「どんな物にでもあるんだ。それが人でも造られた者でもな」

シャーク「って言ってもこいつは笑わねえし泣きもしねえけどな」

カイト「すぐに喚く奴よりはマシだろ」

シャーク「チッ」

恵「笑顔」

カイト「そうだ。ここから先、お前も長生きするはずだ。一つずつ覚えていけばいい」

恵「一つずつ？」

カイト「・・・俺より少し年上に見えるが赤子のようなものだ」

シャーク「ちゃんと戸籍登録したのか？」

カイト「親父がやっただろ」

シャーク「ムカついて暴力くわえたらダメなんだぜ」

カイト「俺がそんな事をする人間に見えるか」

シャーク「ああ」

カイト「フッ」

シャーク「て、てめえ・・・」

恵「フッ」

シャーク「てめえまでやらなくていいんだよ」

カイト「それよりも何か用があるんじゃないのか？」

シャーク「また生き返ったって聞いてな」

カイト「俺は地獄の閻魔に嫌われているようだ。追い返された」

シャーク「ゾンビかよ・・・」

シャーク「ま、生き返って良かったぜ。またな」

カイト「お前がわざわざ来るなんてな」

シャーク「ひ、暇なんだよ！勘違いすんじゃねえぞ。それとこれは土産だ」

カイト「どら焼きか？」

シャーク「こんなんでいいだろ」

カイト「ああ」

恵「どら焼き？」

カイト「食ってみろ。くれてやる」

恵「・・・」モグモグ

カイト「どうだ」

恵「美味しい」

カイト「だろうな。もっと食ってもいいぞ」

恵「・・・」

カイト「忘れるな。それが生きていると言う事だ」

カイト「こいつが遊馬、その隣に居るのが小鳥でさっきの凌牙の妹に俺の師のクリスと友のミザエル」

恵「友達多い」

カイト「友達？そうなるかもしれんな・・・そしてこいつらは別次元の仲間だ」

恵「別次元？」

カイト「いつか合わせてやる」

恵「・・・」

カイト「そう言えば俺の名を言ってなかったな」

恵「カイト」

カイト「・・・」

恵「カイト」

カイト「そうだ。俺の名は天城カイト」

恵「地獄の鬼でも裸足で逃げ出すデュエリスト」

カイト「そこまでは言ってないだろ。何と呼ぼうが構わんが」

恵「フッ」

カイト「・・・とりあえず今日からこの家がお前の家だ。何一つとして気を使う必要はない。覚えておけ」