右京「呪怨?」 (580)
相棒×呪怨のクロスSSです。
需要が無いかもしれませんが興味を持たれた方はよろしければ読んでやってください。
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呪怨
強い恨みを抱いて死んだモノの呪い。
それは、死んだモノが生前に接していた場所に蓄積され、『業』となる。
その呪いに触れたモノは命を失い、新たな呪いが生まれる。
第1話 剛雄
2008年
東京都練馬区某所にあるアパートで惨殺死体が発見された。
パシャッ パシャッ
米沢たち鑑識が現場検証を行っている中、
現場に駆け付けた捜査一課の伊丹たちもこの光景に思わず吐き気を催すくらいであった。
芹沢「ウゲェ…酷い状態ですね、思わず吐きたくなりますよ。」
三浦「こんなところで吐くんじゃないぞ…刑事のゲロで現場荒らされたなんて話にも
ならないんだからな!」
伊丹「たくっ!何年刑事やってんだ!新米じゃねえだろ!」
三浦「だが確かにこいつぁ酷過ぎるな…なんだってんだ…」
芹沢「米沢さん…こんな状態の死体相手でも黙々と仕事してるんですね…」
米沢「まあプロですから、駅のホームで引かれた死体とかの方がもっと酷いですからな…」
期待
もしかして相棒×リングの作者か?
ベテランの刑事でさえ目を覆いたくなる光景、それほどまでにこの殺害現場は凄惨な
光景に包まれていた。
伊丹「まぁ…俺もこんな惨殺死体の殺人現場は仕事でなけりゃ絶対に来たくはないがな。」
米沢「同感ですな、ですがその惨殺死体の殺人現場に好き好んで来る方もいらっしゃる
ようですよ。」
伊丹「そんなヤツいるわけ…あぁ!?」
亀山「ここが殺害現場ですか。」
右京「失礼しますよ。」
三浦「呼んでもいないのにまた来たか…」
伊丹「コラー!亀山係の特命!!いつもいつも勝手に来るんじゃねえ!お呼びじゃねえんだよ!」
亀山「誰が亀山係だ!ちゃんとなぁ…特命係の亀山さまと呼べ!」
伊丹「何気にさま付してんじゃねえよ!?」
芹沢「先輩もう特命係である事に違和感を感じなくなっちゃいましたね。」
三浦「たしかお宅ら先日瀬戸内米蔵先生を検挙して今日はその裏付けの調書を
取ってたんじゃないんですか?」
右京「えぇ、その調書の作業も終わって戻る最中にこちらで事件だと聞いたもので。」
亀山「大至急こっちに来てやったんだよ、感謝しろよこの野郎♪」
伊丹「うっせえ!早く帰れ!」
亀山と伊丹の毎度の漫才もようやく終わり右京は現場の状況について尋ねてみた。
右京「それで被害者の身元は?」
芹沢「殺されたのはこの家に住む『小林真奈美』さんですね、発見したのは近所の隣人です。
何か妙な音がしたのでこちらに来たら玄関から血だまりが溢れてたので通報したとの事です。
殺害方法は刃物による刺殺です、ちなみに妊娠中だったそうですよ…だからお腹の子も…」
伊丹「まったく胸糞悪くなる話だぜ!妊婦殺しただけじゃ飽き足らずお腹にいる
赤ん坊まで殺しやがって!!」
右京「お腹の中にいる赤ん坊まで?それは一体どういう意味ですか?」
米沢「それは…こういう事ですよ…」
米沢は右京の疑問を解決させるべく『あるモノ』が入ったビニール袋に指を指した。
しかし中に入っているモノが何かとはあまり告げたくはなかったからだ。
亀山「あの…中に何が入っているんですか?」
米沢「私も鑑識の仕事やってそこそこ経ちますが…あんなモノを見るのは初めてでした…」
右京「どうやら中身はトンデモないモノのようですね、ちょっと我々も拝見してみましょうか。」
だが中身を見た瞬間右京たちは驚愕する、なんとそこに入っていたのは…
亀山「ウゲッ!なんですかこれは!?」
伊丹「おい吐くんじゃねえぞ!こんあところで吐いたら現場からしょっ引くぞ!」
亀山「わかってらぁ!けどこいつは…」
右京「これは…胎児の死体ですね!しかもこの身体だとまだ出産時期ではありません。
まさか…」
米沢「ハイ、杉下警部のお察しの通り犯人は被害者のお腹の中にいる赤ん坊を
刃物で無理矢理切り開き取り出したのでしょうな…」
亀山「なんて酷い事を…犯人絶対に許せねえ!」
伊丹「お前に言われなくたってなぁ!俺たちが絶対に犯人捕まえてやらぁ!」
右京「ところで被害者は妊娠していたという事はご主人はどちらに?」
三浦「ご主人は小林俊介、小学校の教師です。
さっきから連絡してるんですが音沙汰無しなんですよ。
まったく女房と子供がこんな目に合ったってのにどこで何やってんだか…」
伊丹「もしかしたら旦那が犯人かもしれねえな、よし!旦那を探すぞ!」
三浦、芹沢「「了解!」」
伊丹たち捜査一課が犯人を旦那であると決めつけていたが、そんな伊丹たちは無視して
右京と亀山は現場検証を行っていた。
右京「おや、受話器が外れていますね。」
米沢「恐らく犯人と揉み合ってる最中に外れたのでは…」
右京「とりあえず通話記録を割り出してもらえますか。」
米沢「細かい事がなんとやらですな、わかりました!」
亀山「しかし被害者の女性を殺しただけじゃ飽き足らず、お腹の子供までこんな
惨たらしい目に合わすなんて…これは怨恨の線が濃いですね!」
右京「確かに僕も動機は怨恨だと思いますが…しかし問題は何故ここまで惨たらしく
殺したかですが…」
亀山「やはり伊丹たちが言うように旦那が殺したんでしょうか?」
右京「もしそうならわざわざ自宅に死体を残すと思いますか?
こんな家の中で殺せば一発で自分が犯人だと疑われてしまいますよ。」
亀山「それじゃあこれは他の第三者の犯行だと?けど誰が…」
右京「確かご主人は小学校の教師をなさってるとか、ちょっと職場に行ってみましょうか。」
~小学校~
さっそく右京たちは小林俊介が勤める小学校へと向かった。
校長「さっきも刑事さんたちにお話ししましたけど…あの強面の刑事さんに。」
亀山「すいませんねぇ、ヤツらとは部署が違うんで…」
右京「申し訳ありませんがもう一度お話を聞かせてもらえますか。」
校長「わかりました、けど小林先生の勤務態度に問題なんてなかったですよ。
まあ問題があったといえば児童の方なんですけど…」
右京「児童の方?」
校長「これはさっきの刑事さんたちには関係ないと思って話さなかった事なんですけど、
実は小林先生が受け持ったクラスにはひとりだけ不登校児がいましてね。
名前が『佐伯俊雄』という子なんですが…」
右京「佐伯俊雄くんですか、何故その少年は不登校を?」
校長「クラス内ではイジメの問題はなかったそうです、何か問題があったとするなら
恐らく…家庭の問題でしょうな。」
亀山「家庭の問題?」
校長「こんな事大きな声では言えませんがね…俊雄くん…虐待に合ってる可能性が
あるんですわ…」
右京「児童虐待…ですか。」
亀山「そんな…大変じゃないですか!児童相談所には連絡したんですか!?」
校長「あんなところ…確たる証拠がなきゃろくに動いちゃくれませんよ…
それで先日小林先生が自宅訪問に行ったらしいんですが…」
右京「それでどうなりましたか?」
校長「実は…それ以来音沙汰が無いんですよ、まさか佐伯さんと何かトラブルがあったんじゃ…」
右京「なるほど、ところで…ひとつよろしいでしょうか?」
校長「何でしょうか?」
帰り道、車の中で右京と亀山は先ほどの話について検証をしてみた。
右京「…」
亀山「右京さん、さっきの話気になっているようですね。」
右京「佐伯俊雄という少年の自宅を訪問した後に小林俊介は行方不明になった。
もし彼が母子を殺害したのであればその直前にわざわざ自宅訪問すると思いますか?」
亀山「けど教え子の親が担任の教師に虐待を注意されたからってあんな惨殺をしますかね?
そんな事で怒り狂っていたとなればそいつは常軌を逸してますよ。」
右京「とりあえず佐伯俊雄少年の自宅に行ってみましょうか。」
亀山「うっす!」
~佐伯家~
右京と亀山は一応話を聞くために佐伯家にやって来ていたが…
亀山「佐伯さ~ん、いますか!警察ですよ!」
ドンドン ドンドン
亀山は力強くドアをノックしたが誰も出る気配が無かった。
右京「亀山くん。」
亀山「何すか?今ドアをノックしてる最中なんですけど!」
右京「庭が荒れ放題ですねぇ…」
亀山「庭?…うわっ!雑草だらけッスね…」
そう…右京が指摘した通り佐伯家の庭は手付かずの状態であり、
木が一本生えている以外は雑草などが無造作に生い茂っていた。
亀山「勿体ないッスね、都内の庭付き一軒持ちなのにこんな荒れ放題にしちゃって…」
右京「そうですねぇ、おや?あれは…」
亀山「どうかしたんですか?」
右京「庭にある木の根元…何か掘られた跡がありますね。」
亀山「あ…本当だ、何でしょうね?」
右京「確かめてみましょうか。」
亀山「ちょっ!?右京さん…ここ私有地なんですよ!」
右京「細かい事が気になるもので…僕の悪い癖♪」
亀山「いいのかなぁ…」
亀山の心配を余所に右京はさっそくその木の根元を掘り返してみると…
そこには一冊のノートが埋められていた。
ノートには『川又伽椰子』という名前が書かれていてさっそくノートの中身を見たが
そこに書かれていたのは…
右京「この文章は…」
亀山「何が書かれていたんですか?」
右京「おやおや、キミも気になりますか?」
亀山「やっぱりこういうのはどうしてもねぇ、気になっちゃうじゃないですか!
それでなんて…」
右京「…これはどうやらその川又伽椰子さんの日記なんですけどねぇ…
彼女は我々が捜索中の小林俊介氏を愛していたようですよ。」
亀山「愛していた?どういう事ですか!」
右京は亀山にもその日記を見せるとそこには川又伽椰子の熱烈的な愛が綴られた
文章が載っていた。
『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』
『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』
『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』
『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』
『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』
『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』
『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』
『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』
『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』
『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』
『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』
『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』
『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』
『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』
『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』
『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』
『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』
『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』
『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』
『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』
『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』
『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』
『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』
『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』
亀山「な…なんじゃこりゃ!?」
右京「どうやらこの川又伽椰子なる女性は小林俊介氏の事を熱愛していたようですよ。
これが相思相愛だったのか…それとも彼女の一方的な愛だったのかはわかりませんが…」
亀山「いや…こんな気持ち悪い文章書いてるんだから絶対後者に決まってますよ!」
右京と亀山が日記について言い合ってる直後であった、ある人物が二人に声を掛けてきた。
―「おいアンタら!ウチで何をしている!?」
亀山「へ?ウチ?」
―「そうだ!ここは俺のウチだ!お前ら何をしている!?」
右京「ひょっとして佐伯さんですか?失礼しました、我々は警察の者です。」
剛雄「警察だと?」
右京「ハイ、警視庁特命係の杉下と言います。」
亀山「同じく亀山です。」
剛雄「警察が何しに来た?」
右京は家主であるこの男に先日俊雄のクラスの担任である小林俊介が行方不明で
何か心当たりがないかと尋ねたが返ってきた返事はというと…
剛雄「フンッ!人さまの女房に手を出したヤツの事なんぞ知らん!」
亀山「手を出したってどういう事ですか?」
剛雄「アンタらもその日記を見たんだろ、ならわかるだろ!」
右京「ところで…ひとつお願いがあるのですが…俊雄くんと会わせてもらえますか?」
剛雄「俊雄は………病気だ!会う事は出来ない!」
亀山「あなたが虐待を行っているという話があるんですけどねぇ…」
剛雄「うるさい!アンタらは殺人事件の捜査で来たんだろ、早く帰れ!!」
バタンッ
亀山「あの…まだ話は終わってないんですよ!開けてください!」
ドンドンドン ドンドンドン
亀山は再び力強くドアをノックするもののそれ以降佐伯剛雄が出て来る事は無かった。
右京「どの道我々は令状を得ているわけではありません、今日のところは帰りましょう。」
亀山「け…けど、あの親父絶対子供を虐待してますよ!このままにしておいていいんですか?」
右京「だからですよ、このまま僕たちが彼にストレスを与え続けていればその矛先は
誰に向かうと思いますか?」
亀山「はい…」
結局その日は大人しく引き下がるしかなかったが帰り際、
亀山は再度佐伯家を覗くと窓の外で白いワンピースを着た髪の長い女性が自分たちを見送っていた。
~花の里~
結局ろくな手掛かりも無しで二人はいつもの花の里で一息ついていた。
美和子「じゃあ何かね?虐待の可能性がありながらノコノコ帰ってきちゃったわけ?
情けないわねぇ…」
亀山「俺だってさぁ…踏み込みたいよ、けど無理なんだよしょうがねえだろ…」
右京「えぇ、令状もありませんからどうしようもありません。」
亀山「ところで話は戻しますけど小林俊介は何処へ行っちゃったんですかね?」
右京「そうですねぇ、妻と子供が殺されたという事は彼の身にも何か異変があったとみて
間違いないと思います、もしかしたら彼も既に…」
たまき「それにしてもお腹の中の子供まで恨むだなんて…まるで嫉妬のような感じがしますね。」
右京「嫉妬…ですか?」
たまき「ほら、推理小説とかでもあるじゃないですか。
無理矢理別れさせられた女性が嫉妬に悩んで相手の子供を殺しちゃうとか。
そういう時って憎んでる相手本人じゃなく本人の親しい人を殺した方が
余計苦しむんじゃないかって。」
亀山「……なぁ…たまきさんってたまに凄く恐い事言うよな…」
美和子「そうだよ、だから絶対たまきさんを怒らせちゃダメなんだからね!」
右京「なるほど、本人ではなくその親しい相手ですか…」
翌日…
~特命係~
翌日、亀山が特命係に出勤すると右京はある一冊のノートを読んでいた。
亀山「おはようございま~す!あれ?右京さん、今読んでるノートってもしかして…」
右京「えぇ、昨日佐伯家の木の根元に埋めてあったノートを持ってきたのですが。」
亀山「あのノート持ってきちゃったんですか!警察官がそんな事しちゃダメでしょ!」
右京「それはともかくこのノートを読んでみましたがとても興味深い事がわかりました。」
亀山「一体何がわかったんですか?」
右京「昨日、佐伯俊雄くんの小学校へ行った時に校長先生にお願いして
俊雄くんの家族構成の資料をお借りしたのですが
そのノートの持ち主である川又伽椰子なる女性は旧姓で現在は『佐伯伽椰子』という
名前だそうですよ。」
亀山「佐伯?…まさか昨日俺がベランダ越しで見た女性が…」
右京「そう、昨日お会いした佐伯剛雄の奥さんですよ。」
亀山「あの強面の…ていうかあの人薄幸そうな美人だったよな…
あんなおっさんに美人の奥さんは羨ましいわ…
ってそんな事じゃないですよね、その佐伯伽椰子がどうしたというんですか?」
右京「実は彼女、大学時代に小林俊介と同期だったようですよ。」
亀山「動機ってそれじゃあ二人は知り合いだったんですか!?」
右京「いえ、知っているのは佐伯伽椰子だけだったみたいですよ。
どうやら昨日キミの言った通り彼女の一方的な愛情のようみたいですねぇ。」
亀山「随分と二人の間柄に詳しいですけどそれってまさか全部ノートに載っている事
なんですか?」
右京「えぇ、このノートに事細かく載っています。
例えば見てください、ここです。」
亀山「え~と何々?」
98年 10月3日。
今日、小林クンと目があった♥♥♥♥
小林クンは又、いつもの本屋にきて、その時の事。私の予想した通りだ。 いつもの.…
亀山「何だこれ?書いてある事がほとんどストーキング行為じゃないですか!?
あんな美人な奥さんなのに性格がこんな残念だなんて…」
右京「彼女は引っ込み思案な性格だったようで学生時代は彼と一度も喋れなかったようですよ。」
亀山「ちょっと貸してみてもらえますか?うわっ!なんじゃこりゃ!?
小林俊介の詳細なプロフィール…ホクロの数…しかも数える時に天井裏に忍び込んでいた!?
…これは…なるほどこの事件全部謎が解けましたよ!」
右京「では参考がてらキミの推理を聞かせてもらえますか?」
それから亀山は珍しく自分の推理を右京に語り始めた。
亀山「つまりこういう事ですよ!
当時の川又伽椰子はずっと小林俊介に一目惚れしていた!!
しかし想いは果たせず伽椰子は佐伯剛雄となし崩し的に結婚…
だが伽椰子はそんな小林俊介への想いは忘れられなかった!
そして伽椰子は小林俊介への想いを果たそうとした、けどそれにはある障害があった!
それこそが小林俊介の妻真奈美!伽椰子は真奈美とお腹の子を惨殺した!
どうですかね?」
右京「そうですねぇ、今の推理は…50点てところでしょうか。」
亀山「ご…50点!?今の推理ダメなんですか?」
右京「いえ、案外いいところまで突き詰めていると思いますよ。
まあそれはともかくとして僕は少し出かけます。」
亀山「どこへ行くんですか?」
右京「俊雄くんが生まれた産婦人科の病院です、僕の勘が正しければ恐らく…」
亀山「すいません、俺もちょっと…いいですか?」
右京「おや?キミはどちらへ?」
亀山「あぁ…パスポートを取りに…」
右京「そういえば亡くなった兼高公一さんの報告をしに行くために申請していたのですよね。」
亀山「すんません、仕事中なのに…」
右京「いえ、構いませんよ。」
それから数時間後…
亀山「すいません、待たせちゃって!そっちは何か収穫掴めましたか?」
右京「えぇ、恐らく確信に近付けたと思うのですが…」
亀山「へぇ…そうですか、しかし佐伯剛雄は女房の浮気を知ったから
子供を虐待してるんすかね?
まったく自分の子供をなんだと思っているんだか…生まれた時とか名前をちゃんと考えて
あげた時の事を忘れちゃうもんなのかな?」
右京「子供…名前…?『俊雄』、『俊介』『剛雄』…亀山くん!それですよ!!」
亀山「え…何がですか?」
右京「しかし困りましたね、現時点では証拠が何も無い…どうしたものだか…」
犯人が分かっても証拠が無い、悩んでいた右京と亀山の前にいつものあの男がやってくる。
角田「よっ、暇か?コーヒー貰いにきたよん♥
プハァーッ!やっぱりここで飲むコーヒーが一番だねぇ♪」
亀山「いや…コーヒーなんてどこで飲んでも一緒でしょ…」
角田「何言ってんの!ここで飲むのがいい…うん…これは…」
亀山「どうかしたんですか?」
角田「いや…この名前…こいつって確か……」
課長の思わぬ発見により事件はこの後急展開を迎える事になる。
~佐伯家~
ピンポ~ン
―「佐伯さん、業者の者ですけど開けてもらえますか?」
剛雄「業者だと?そんなモノは頼んでいないぞ!」
―「でもねぇ、ここだと言われてきたものでして…ちょっと玄関開けてもらえますか?」
佐伯剛雄は覚えのない業者の来訪に困惑したが、玄関越しでその連中が業者である事に
確認を取り玄関を開けようとした、だが…
大木「ハイ警察!」
小松「佐伯剛雄!匿名のタレコミがあったので捜査させてもらうぞ!」
剛雄「なっ!警察だと?お前ら騙しやがったな!?」
そう、先ほど剛雄が玄関越しで見た業者とは組対5課の大木と小松が変装した姿だった。
右京「騙すような真似をしてすみませんねぇ、しかしこちらも人の命が掛かってますので…
亀山くん!急いで家の中を調べてください、俊雄くんの保護を最優先で!」
亀山「了解!!」ダッ
剛雄「ま…待て!令状も無しで家の中入っていいと思ってんのか!?」
角田「匿名のタレコミがあるって言ったろ!
まあ匿名というよりも特命からのタレコミなんだけどな…
佐伯剛雄!城南金融の幹部で麻薬密売の噂のあるお前さんだ、簡単に捜査の令状が
降りたぞ!
おい、大木!小松!お前たちも亀ちゃんの手伝いに行ってやれ!」
大木、小松「「ウィーッス!!」」
剛雄「いい加減にしろ!こんなの不当捜査だ!何故俺がこんな目に合わなきゃ…」
自分は無罪だ、そう主張する剛雄だがそんな彼の主張に対し右京は怒りを露わにする。
右京「いい加減になさい!あなたは既にいくつもの罪を犯している!!
佐伯剛雄さん、率直に言います。
小林真奈美さんとそして体内にいる赤ん坊を殺害したのは…あなたですね!」
剛雄「な…何を下らん事を…何故俺がそんな女を殺さなければならない…」
右京「最初に僕がここに来た時あなたはこう仰った。
『アンタらは殺人事件の捜査で来たんだろ』と、しかしあの段階ではまだ事件の報道は
伏せられていたんですよ!」
剛雄「そ…そんなの偶然だ!そんな事で俺を犯人と決め付ける気か!?」
角田「そうだ…確かに確たる証拠は…」
角田がそう言った時だった、2階を探している大木と小松が玄関口の右京と角田にあることを告げた。
大木「課長!2階の部屋なんですけど一室だけ鍵の掛かっている部屋があるんですけど…」
角田「鍵の掛かっている部屋だと?」
右京「恐らくその部屋です、構いません!ドアを壊してもいいからその部屋に入ってください!」
小松「わかりました、行くぞ!」
大木「せーの!」
ドンッ! ドンッ!
2階から力強い物音が聞こえてきた、最早2階の鍵の掛かった部屋が破れるのも時間の問題であった。
剛雄はこの行為は違法だと主張し始めた。
剛雄「やめろ!これ以上やるなら弁護士を呼ぶぞ!」
右京「呼ぶならどうぞご自由に、しかしあなたが弁護士を呼んでいる間に彼らがドアを
こじ開ける方が早いと思いますがね!」
剛雄「クソッ!」
角田「なぁ…警部殿…一体2階に何があるんだい?」
右京「課長、このおウチですが車がありませんね。」
角田「車だと?」
右京「殺人が行われた場合、まず処置をしなければならないのは死体の始末です。
一人の人間の身体を処分するにしても安易に捨てるわけにもいかない…
まあこの場合一番無難なのは山奥の深くか、それとも海の中に捨てるのが一番でしょうが
それらを行えない場合どうするのでしょうかね?」
角田「そりゃ…自分の見える範囲に死体を…そうか!じゃあ2階には!?」
右京「えぇ、僕の考えが正しければ…」
そう右京が剛雄の前で推理を語っている最中に、2階で調べていた大木と小松が
あるモノを発見した。
大木「ありましたー!死体です!」
小松「男の死体と…それと女性のバラバラ死体ですよ!?」
角田「バラバラ死体だと!」
右京「それでは2階に行ってみましょうか、勿論佐伯剛雄さん…あなたも一緒に!」
そして右京と角田は剛雄を連れ2階の鍵の掛かった部屋に入った。
そこにあったのは小林俊介の死体と女性のバラバラ死体…
それに黒猫の死体までが放置されていた。
角田「うっぷ!酷い臭いだ…こりゃ恐らく死後数日は放置してやがったな…
一課の連中に連絡しておけ、さすがに俺たちだけじゃ手に負えん!」
大木「わかりました!」
右京「こちらの男性の死体は恐らく小林俊介で間違いないでしょう。
さて…問題なのはこちらの女性の死体です。
この女性は…あなたの奥さんである佐伯伽椰子さん…そうですね!」
剛雄は暫く沈黙した後にこう答えた。
剛雄「そうだ!俺が殺した!」
角田「な…何でだ!こんな美人な奥さんを殺す動機が何処にあるってんだ!?」
右京「それは…奥さんである伽椰子さんが愛した人がご主人である剛雄さんではなく、
こちらの小林俊介氏だからですよ!」
角田「じゃあ動機は…浮気か?」
右京「いえ、実際に小林氏と伽椰子さんはそんな関係ではなかったはずですよ。
それに浮気と言っても彼女の一方的なモノだったはずでしょうし。」
角田「それじゃ…何でこいつは殺したりなんか…」
右京「実は病院に行ってきましてね、俊雄くんが生まれた産婦人科の病院です。
そこである事が判明しました。」
角田「一体何がわかったんだ?」
右京「佐伯剛雄は…精子欠乏症なのですよ!」
角田「精子欠乏症って確か男が子供作れないってヤツだろ?
けどこいつには子供が…まさか!?」
右京「そう、佐伯剛雄が小林真奈美を惨殺した理由は…あなたは自分の息子である
俊雄くんが自分と血縁関係にないと疑ったからですね!」
剛雄「そうだ…俊雄が生まれてからその後も子供を作ろうとしたが…
ダメだったんだ…それで病院に行って検査してもらったら…俺は精子欠乏症だと診断された…
そしてアンタが昨日見つけた日記…アレを見て…俺は気付いたんだ!
小林って男と伽椰子が浮気をして出来たのが俊雄だってな!!」
角田「なるほど、自分の子供じゃないのに腹が立って相手の女房とその子供を殺したって訳か…」
剛雄「それに伽椰子は子供に『俊雄』なんてふざけた名前を付けやがって…」
角田「何で『俊雄』って名前がふざけた名前なんだよ?普通の名前じゃねえか!」
右京「なるほど、あなたもその事に気付いたようですね。
そうです、伽椰子さんは愛する人の名前を子供に付けたのですよ。
だからこそ小林俊介の『俊』の字を『俊雄』くんの『俊』の字として名付けたのでしょう。」
剛雄「そうさ…俺はそんな事も知らずに9年も俊雄を育てた…許せなかった!
あの女!俺がこんなにも愛していたのに!!」
右京「なるほど、伽椰子さんが異常なまでに小林俊介を愛していたようにあなたもまた、
伽椰子さんを異常なまでに愛していた…あなた方夫婦はある意味で似た者夫婦だったのですね。」
そして剛雄は泣き崩れる。
右京たち周囲の目も気にせず…それはまるで悔し涙を浮かべるように…
角田「そういえば亀山は何処にいったんだ?」
大木「確か1階の方を探してるはずですけど…」
右京「佐伯さん、まだあなたに聞かなければならない事があります!
俊雄くんはどうしましたか?僕の考えが正しければ恐らく俊雄くんは…」
剛雄「俊雄…俊雄は…いなくなった…」
角田「ハァ!?ふざけた事言ってんじゃねえぞ!小学生の子供がいなくなるわけねえだろ!
もしかして…お前もう殺しちまったんじゃねえのか?」
剛雄「本当なんだ…俺は伽椰子を殺した後に俊雄も殺そうとした。
その前に飼い猫のマーが邪魔で殺しちまったが…あいつは1階の押し入れにいると思って
開けてみた…だが…姿は見えなかった…
それから俺は家の中を隈なく探したが俊雄の姿は見つからなかった…
何処へ行ったのかなんて俺が訊きたいくらいだ!」
角田「まさか家から脱出したってのか?」
右京「しかし近隣の警察には家出少年の通報はありませんでした。
まだどこかに隠れているかもしれませんね、急いで手配をしま…」
ガタゴト ガタゴト
右京が俊雄の捜索手配をしようとした時2階の屋根裏が騒がしくなってきた。
気になって屋根裏を覗いて調べるとそこにいたのは…
右京「亀山くん!何故1階の屋根裏を調べていたキミが2階の屋根裏にいるのですか?」
亀山「右京さん!よかった…まだ無事だったんですね!急いでここから逃げましょう!」
角田「な…何言ってんだよ?まだ現場検証とかちゃんとやらなきゃいけないんだぜ!」
亀山「そんな事してる暇は…あれ?その袋に入ってるのはもしかして佐伯伽椰子ですか?」
右京「えぇ、そうですがよくわかりましたねこちらの人物が佐伯伽椰子だと…」
亀山「なんてこった…じゃあ…クソッタレ!佐伯剛雄!お前の所為でなぁ…
大変な事になっちまったんだぞ!!」
角田「おいおい亀ちゃんなんだってんだよ?ちゃんとわかるように説明してくれよ!」
亀山「説明してる暇がありません!とにかく今すぐここから出るんです!
右京さん、俺の事信じてください!お願いします!!」
亀山はまるで切迫した事態かの如く右京たちに詰め寄り、右京は亀山の態度に只ならぬ
予感を感じていた。
右京「わかりました、キミの言う事を信じましょう。
課長、申し訳ありませんが亀山くんの言う通りここからすぐに出ましょう!」
角田「なんだかよくわからんが…わ…わかったよ!」
こうして全員亀山の言う事を信じて佐伯家を後にした。
何故かこの時亀山は佐伯伽椰子、それに小林俊介の死体をそのままにしろと言い、
その時点では遺体の回収は行われなかった。
それから本庁に戻った特命係は本部長に烈火の如く怒られ散々な目に合った。
彼らが怒られるのはいつもの事であるが、その理由が実は連絡を受けた捜査一課が改めて佐伯家を
現場検証に訪れた際に、小林俊介の死体しか見つからず佐伯伽椰子の死体は何処にも見当たらなかった。
それに捜索中の佐伯俊雄も…
その後捜査一課が血眼で家中を捜索したが結局俊雄少年と伽椰子の死体は発見する事が出来なかった…
~特命係~
二人は内村部長に散々絞られ部屋に戻ってきた、右京は再度亀山に佐伯家で何があったのか
尋ねたが亀山は何故かその事を言わなかった。
亀山「すみません…どうしても言えないんです…」
右京「そうですか、わかりました。どうしても言えない、つまり言えない事情があるなら
僕はこれ以上キミを言及する気はありません。」
亀山「…」
右京「ですが俊雄くんと伽椰子さんの死体行方以外にもひとつ不可解な事があります。
それは電話です。」
亀山「電話?」
右京「捕まった佐伯剛雄は小林真奈美を殺害直後に小林家の電話から
小林俊介の携帯に連絡をしていたそうですよ。
しかしここでひとつ疑問があります、小林俊介の死亡推定時刻はどうやら
その佐伯剛雄の連絡があった直後だそうです。
つまり佐伯剛雄が小林俊介を殺害するのは不可能、誰か他の人間に殺された
可能性があるのですが…」
亀山「たぶん…いや間違いなく佐伯伽椰子でしょうね。」
右京「なるほど佐伯伽椰子ですか。
確かに彼女には動機があるかもしれませんがそれもおかしい。
何故なら彼女は……佐伯剛雄が小林真奈美を殺す前に既に惨殺してたんですよ!」
亀山「…」
この時亀山は驚かなかった、それどころか『ああ、やっぱり』という表情を浮かべていた。
そんな亀山に対して右京は再度尋ねる。
右京「つまりキミが昨日見た佐伯伽椰子は既に死んでいたはず…なのですが…
本当に彼女は佐伯伽椰子だったのですか?」
亀山「それは…間違いないはずですよ…恐らくね…右京さんまた佐伯家に行く気ですよね…
行くのやめてもらえますか…」
右京「はぃ?」
―「あら、なんだか亀山さんにしては随分と消極的な発言ですね。」
亀山「あなたは…小野田官房長!」
右京「どうしてこちらへ?」
小野田「お前たちのためにわざわざ来たんですよ、まったく犯人逮捕出来たとはいえ
死体の消失、おまけに少年の行方不明、内村さんがクビだと言っても仕方ありませんね。」
亀山「迷惑かけてすんません…」
小野田「そう思うなら事情くらい聞きたいのですがね、亀山さん。」
亀山「本当に言えないんです、けど右京さん…あの家に行くのは本当にやめてください。
恐らく何年か後でまたあの家で何か事件が起こるはずです、それまで絶対にあの家には
近付かないでください!」
亀山は何故か佐伯家に近付くなという警告を右京に伝える。
しかしさすがの右京もいくら亀山の言う事とはいえその理由もわからず仕舞いでは
安易に従う事が出来なかった。
右京「キミの話はどうも肝心な部分が抜けています、それでは従う事は出来ませんね。」
小野田「せめて理由を言ってほしいですね。まだ佐伯俊雄少年が生存している可能性も
ありますから捜索を止めるわけにはいかないんですよ。」
亀山「危険…だからです、これから先あの家は恐らく近付いただけでやばい事が起こるはずです!
俺も詳しい事は言えないんです!いえ…言っちゃいけないんです。
それに俊雄くんはもう『この世にはいません、あの子はあの世の住人になったんですから!』」
亀山の話はどうも支離滅裂な話でさすがの右京と小野田も付いていけなかった。
しかしあの亀山がここまで言うのなら何かあると思い右京はそれ以上の事を聞かなかった。
右京「わかりました、キミがそこまで言うのなら僕はもう何も言いません。
僕はもう帰ります。」
亀山「本当にすいません!けど右京さん、これだけは絶対に覚えててください。
今、佐伯家に行ってもどうしようもありません…
けど数年後…事件が起きた時…その時は…必ずなんとかなるはずですから!」
小野田「なんとも的を得ない話ですね、お偉方は納得出来ませんよ…」
亀山「あ、小野田さん。ちょっとお話があるんですけど…」
小野田「?」
その夜、とある回転寿司屋で…
右京「亀山くんと何を話していたのですか?」
小野田「実は亀山くんから口止めされてるんですけど…まあいいでしょう。
なんかね…僕あと少ししたら死ぬかもって話らしいの、さすがに何の話だか
わからないから本気に出来ないんだけどね。」
右京「死んでしまうとはまた物騒な話ですね、どういう訳で死ぬのですか?」
小野田「さてね、それ以上の事は教えてくれませんでしたから。
それと亀山さん…近々ねぇ…いや僕から言うのはやめておきます、この事は亀山さんが
直接言った方が良いのでしょうね。」
右京「そうですか、ところで…お皿は戻さないでください。」
その夜、警視庁の拘置所にて…
剛雄は身柄を拘束されてこの拘置所の独房に入っていた、そんな時であった。
ガサガサ ガサガサ
ゴソゴソ ゴソゴソ
剛雄「何だ?この物音は?」
気になった剛雄は音のした方を見るとそこには白いビニール袋があった。
鉄格子の隙間からそのビニールを取ろうとした剛雄だったが…
剛雄「「ギャァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!」」
その後駆けつけた係の者たちが剛雄の独房を見るとそこにあったのは…
ポタッ
ポタッ
ポタッ
血だまりと化した佐伯剛雄の死体があった、状況から察するにこの死は事故死として警察は判断。
結局この事件は犯人の佐伯剛雄の死亡という形で幕を閉じた。
この事件から暫くして都内で小菅彬によるウイルス騒動の事件が発生し、
その事件を解決した直後亀山薫は警視庁を辞職、亡き友人の志を受け継ぐためにサルウィンへと渡った。
2年後、亀山の言う通り小野田公顕は警視庁の幹部職員に逆恨みの形で刺されて死亡。
尚、現在でも佐伯俊雄の捜索は続けられているが………未だに発見されてはいない。
それから時は流れる…
とりあえずここまで
1話だけで結構時間かかりましたわ…
>>4
そうです、以前スレで右京さんと伽椰子が戦ったらどうなるって
いうレスをヒントに書いてみました。
ちなみに今のところ右京さんが伽椰子に勝てる展開が想像できません…
どうしたらいいんだろうか?
これの次は着信アリか?でもあれは面白くないからいいや
乙
右京さんがいくら正論吐いて怒っても、
説得とか理屈とかそんなものが通じる段階はとっくに通り過ぎてる相手だからなあ
しかも亀山くんいないとか無理ゲーすぎる
まあホームズだって解決できない事件あったし…
呪いの源の家を放火して倒す
幽霊かした小野田率いるSATが急襲
エクソシストや霊媒師を連れてくる
乙
次は亀ちゃんじゃなくなる?
>>1がホラー映画とクロスさせるのは何故かな?
ホラーならゲームもクロスさせたりする?
乙
タイミング的には相棒はカイトか。
そういえばこの右京さんはリングの事件には関わってない設定?
>>60
着信アリか、正直あんまり見てないのでわからんのです…
たぶんそれのSSはやりません。
>>61
前作の貞子相手にすらギリギリだったし「あ…あ…」しか言えない
伽椰子とか意思疎通できないです…
>>62
>呪いの源の家を放火して倒す
映画1作目でそれやろうとした刑事がいたけど実行する前に伽椰子が襲ってきたから…
>幽霊かした小野田率いるSATが急襲
さすがに前作と同じネタはやるのはどうかと…
>エクソシストや霊媒師を連れてくる
それだと右京さんたちがいる必要なくね?
>>65
時代が流れますので、これからの展開に期待してください
>>66
正直なところなんとなくです
深い意味なんてありません、別にホラーモノが好きってわけでもないです。
>>67
そうですね、今作では前作はなかったという事で理解して頂ければ助かります。
>>69
こういうのはさすがに右京さんでも厳しすぎるだろ……
すげー個人的な意見だけど金田一少年×相棒あたりがみたい
>>68
亀山さんがサルウィン行くのはオリジナルなんかじゃなく原作の設定通りなんですけど…
詳しくはこちらを見てください↓
http://www.tv-asahi.co.jp/aibou_07/contents/story/0009/index.html
>>70
そういえば金田一少年のSSって見た事ないような気が…
・呪いの家+旧小林宅に入った人物は死亡確定(全作)
・呪いの家に入った人に関わった人物も死ぬ(Vシネ前編、劇場版2他)
・行動範囲は呪いの家(旧小林宅)に関わった人物に依存(リメイク版2では呪いの家に入った後に海外へ帰国した少女の住むアパートにまで呪いが蔓延)
・自分だけではなく他の人も瞬間移動させる事が可能(劇場版1、劇場版2)
・瞬間移動先の制限はなし(例:劇場版1の布団の中・リメイク版2の着ているパーカーの中)
・幻覚や過去の出来事を追体験させる事もできる(劇場版1、リメイク版)
・増殖もできる(Vシネ後編)
・髪の毛が伸縮自在(劇場版2)
・物理攻撃も得意(リメイク版3)
・霊能力者相手でも完封(Vシネ後編)
・電子機器に自由に干渉できる(Vシネ前編、劇場版)
・変身もできる(リメイク版2)
・呪いの家が無くなっても行動可能(リメイク版2)
・殺した相手の操作もできる(劇場版1)
・憑依もできる(劇場版1、リメイク版)
・意思疎通が出来たのは俊雄と小林俊介のみ(Vシネ前編)
第2話 呪怨
2011年 8月
~とある墓地~
右京と神戸は仮釈放された元国会議員の瀬戸内米蔵と共に小野田公顕の墓参りに来ていた。
瀬戸内「小野田くんが亡くなって早一年か、俺よりも若いくせに先におっ死んじまうとは…」
神戸「人間の生き死に年齢は関係ないのでしょうね、こればかりは運命としか
言いようがありませんよ。」
右京「運命…ですか、もしかしたらそうだったのかもしれませんね…」
瀬戸内「どうしたんだい杉下くん?何か知っているような顔をしてるが。」
右京「実は…亀山くんが警察を辞める前に妙な事を言ってたのを思い出しまして…」
瀬戸内「妙な事?」
それから右京は神戸と瀬戸内の二人に以前佐伯家で起きた事件の事を説明した。
その直後、亀山が言っていた奇妙な事と小野田の死の予言についても…
神戸「佐伯…確か練馬区で起きた惨殺事件の犯人ですよね。
犯人は捕まったけどその日の夜に警視庁の拘留所で死んだっていう…」
右京「そうです、それに佐伯俊雄…事件当時9歳の少年も未だ行方不明…
当時警察は少年の行きそうな場所を徹底的に調べたのですがねぇ…」
瀬戸内「なるほど、亀山くんはその俊雄少年の事について、
『この世にはいません、あの子はあの世の住人になったんですから!』と言ったのかい。」
右京「えぇ、僕には皆目見当も付かないので。
よろしければ仏法に御詳しい瀬戸内先生ならご存知ではないかと思うのですが…」
瀬戸内「そりゃアレだな、『亡者』の事じゃねえのかな。」
右京「亡者?」
瀬戸内「生臭坊主の説法になるがね、亡者ってのは何らかの理由で死んでしまい
成仏できずに彷徨う魂のこった。そんな連中が何を思っていると思う?」
右京「さぁ、何でしょうかね。」
瀬戸内「恨みだよ、連中は生前何か強い想いを現世に残しちまった哀れな連中なわけだ。
そしてそれが…やがて呪いを生む。」
神戸「呪い…ですか?この近代科学が発達した21世紀の時代に呪いだなんて…
前時代的過ぎますよ!」
瀬戸内「呪いに時代なんて関係ねえさ、ただ深い業があればそれでいい。
だからこそ殺人事件なんて血生臭い行為が未だに行われているわけじゃねえか!」
右京「仰る通りです、しかしそうなると俊雄くんは…」
瀬戸内「仏法ではな、親より早く死んだ子供は三途の川へ連れて行かれて、
石を積まなきゃならんと言われている。だが…もしも…もしもだ。
俊雄くんが生きて亡者となっていたとしたらだ…
恐らくそいつは現世に留まり…より強力な呪い、つまり『呪怨』を生むんじゃねえのかな。」
右京、神戸「「呪怨?」」
右京「初めて聞く言葉ですねぇ。」
神戸「どういった意味なんですか?」
瀬戸内「こりゃ俺が作った造語だからな、辞典になんか載ってねえんだがね。
意味は…強い恨みを抱いて死んだモノの呪い。
死んだモノが生前に接していた場所に蓄積され、『業』となる。
その呪いに触れたモノは命を失い、新たな呪いが生まれる。
つまりだ、呪いの連鎖ってモンは簡単に断ち切れないって事さ。」
神戸「ハハ、もし瀬戸内先生の仰る通りなら殺人現場が呪いの呪いだらけになっちゃいますよ。」
瀬戸内「まぁ…そうかもしれんがね、年寄りの戯言だと思って聞き流してくれや。」
瀬戸内の参考になるのか微妙な説法も終わり、右京と神戸は警視庁に戻ってきた。
しかし戻って来て早々、何故か内村部長に呼び出された、その訳は…
~警視庁~
神戸「引き篭り少年の更生!?」
中園「そうだ。」
内村「先日練馬署の少年課が奇妙な行動をする少年を補導してな。
親御さんに聞いたところ少年は引き篭りがちらしい、そこで…お前らも一応大人だ。
いいか!その少年を学校に通わせるようにしておけ!!」
神戸「これも僕らの仕事なんですかね…」
右京「頼まれたら何でもするのが特命係ですからね。それでその少年の名前は何と言うのですか?」
中園「確か……鈴木…鈴木信之という中学生の少年だ。」
それから右京と神戸はその少年の父親が経営する不動産屋に来ていた。
鈴木信之は母親を亡くしており、現在は父親の達也と二人暮らしという事情があったからだ。
達也「いやぁ、すみませんねえ。わざわざ職場の方に来て頂いて…
母親がいればこんな事にはならなかったんですがね。
しかしまさか警視庁の刑事さんが来てくれるとは思いませんでしたよ。」
右京「いえいえ、警察は市民の味方ですから。」
神戸「単に面倒事を押し付けられたとも言いますが…」
右京「それでですが、息子さんの奇行というのはどういった感じに行われているのでしょうか?」
達也「それが…」
達也は右京たちに息子の信之の家出の奇行について説明した。
信之はここ最近誰とも喋らず、毎日部屋に閉じ籠って何も映らないTVをジッと眺めている、
その光景はまるで何かこの世のモノではないモノを眺めているかのようだと達也は語った。
達也「…という訳なんですが…」
神戸「そう言われましても…僕たちはその手の専門家じゃないので…」
右京「まぁ…まずは信之くんと会ってみましょう、話はそれからという事で…
ところでひとつ聞きたい事が、これは僕の個人的な興味なのですが、
確かこの近所に三年前に佐伯という一軒家で殺人事件がありましたね。
あの物件…売れたのですか?」
達也「えぇ、おかげさまで。しかし何でそんな事を?」
右京「先ほど表に貼られている中古物件の一覧を見ましたら佐伯家の物件が
売買済になってましたので、どなたが購入されたのか気になりましてね。
ちなみにあの事件に僕も関わっていましたのでその後の状況を聞いてみたくて…」
神戸「すみませんね、細かい事が気になる人でして。
けどそれって事故物件ですよね、中古とはいえよく売れましたね?」
達也「まぁ…そこはどうにかしてといった感じで…けどその後が問題でして。
実は…あまり大きな声では言えませんが…あの物件ですが…あの後入った
家族が…自殺しましてね…
それで売る前に霊能力のある妹の響子にその物件を見てもらったんですよ。」
神戸「妹さん…霊能力者なんですか?」
達也「妹は昔から変なモノが見えるって言ってましたので、それで見てもらったんですけど…
その時妹が変な事を言ったんですよ。
『購入する人間に清酒を飲ませろ、もし吐いたりしたら絶対に売るな!』と…」
神戸「清酒ってどうしてそんな事を?」
右京「なるほど、清酒には古来から霊的な作用があると伝えられています。
その清酒に霊を移り、その清酒が一瞬にして腐る作用があるとか。」
達也「まぁ……そんな心配はありませんでした!無事に物件も売れましたし♪
それじゃちょっとウチの方へ行きましょうか!」
右京「…」
こうして達也の案内で彼の自宅に案内されたが、右京は彼が案内した場所を見て
驚きを隠せなかった。
何故ならそこは…かつて小林真奈美とお腹の赤ん坊が惨殺されたアパートだったのだから…
とりあえずここまで
相棒役がカイトくんかと期待してた方、ごめんなさい。神戸さんでした!
右京さんの伽椰子策が思い浮かばないからどうにも筆が
リングクロス書いてた頃よりも遅くてすんません…
>>1よはっきり言うぞ、
伽也子には勝てん、いや勝つとか負けるとかじゃなく理屈が通用しない。
呪怨のクロスSSが全く無いのは問答無用でキャラがぶっ殺されるからだ。
>>110
右京『問答無用ということですか。いいでしょう。
それでは最後にひとつだけ。あなたは○○に聞き覚えがあるのではないですか?』
伽也子『あ゛あ゛あ゛、、ピクリ』
右京『やはりそうでしたか』
神戸『さすがです。杉下警部!』
・・・とかなんねーかな、と思ったけど、
そのまま『・・・あ゛あ゛あ゛』と続いて二人とも殺されるイメージしかできないw
>>112
パンデミック観ると理由がわかるんよ
設定としては存在してたけど作中で明示するのは監督も乗り気じゃなかったみたいだけど
神戸「それじゃここって…あの小林一家の元住居なんですか!?」
右京「えぇ、間違いありません。
それにしてもまさか…同じ部屋に住まわれていたとは…」
右京は神戸にこのアパートがかつて小林真奈美の殺害現場である事を知らせた。
その事について達也に尋ねてみたところ返事はというと…
達也「いやぁ、こんな事故物件…誰も入りたがる人間なんかいませんからね…
それなら自分で使おうかなっと思って!まぁ私は幽霊とか信じてませんから大丈夫ですって!」
神戸「そんなモンなんですかね…」
右京「普通の人はこの手の事には敏感なのですが…」
達也「ちなみにウチ引っ越したばかりでしてね、そういえば信之が変になったのも
その頃からだったかな?」
その時だった。
ドンドン ドンドン
おばさん「ちょっと!いるんだろ!開けとくれよ!!」
達也「あれはお隣さんだ、ウチに何の用事だ?」
中年の女性が鈴木宅の玄関をノックしていた、気になり尋ねてみると…
達也「ちょっとちょっと!何してんですか?」
おばさん「あら鈴木さん!実はねえ今お宅で若い女の悲鳴と赤ん坊の泣き声がしたのがしたのよ!!」
右京「それは本当ですか!神戸くん行きますよ!」
神戸「ハイ!鈴木さんすぐにドアを開けて!」
達也「わ…わかりました!」
達也は神戸の指示通りにドアを開けて家の中に入るが家の中は引っ越し作業の途中なのか、
段ボールやビール缶があちこちに散乱していた。
右京と神戸は急ぎ居間の方に行くが…そこには…
達也「響子!?おい!どうしたんだ!しっかりしろ!?」
達也の妹である響子が白目を向いて気絶していた、その気絶している響子の隣には件の人物である、
達也の息子信之の姿があった。
右京は彼にここで何があったのか尋ねてみた。
右京「キミが鈴木信之くんですね、ここで一体何があったのですか?」
信之「男…男の人が…隣の部屋で…女の人を…包丁で刺し殺していた…」
神戸「なんだって!?」
信之の言葉を聞いた右京と神戸は隣の部屋を確認するが…
神戸「え…何もないですよ?」
右京「そうですね、死体どころか血痕の跡すらありません。とてもじゃありませんが
殺人の現場では…おや、そういえば…」
神戸「どうしました?」
右京「この部屋、小林真奈美が殺害されたのも確かこの部屋でしたね。
まさか二人が見た光景は…」
神戸「ねぇ信之くん、他に何を見たんだい?」
信之「その男の人…女の人のお腹から…赤ちゃんを取り出していた…」
右京「佐伯剛雄も小林真奈美を殺害後に…お腹の中の赤ん坊を取り出していました。
信之くん…まさかキミが見た光景は…」
神戸「とりあえず響子さんを寝かしておきましょう、話はその後で!」
神戸と達也が響子を寝かしつけている間、右京は家の中をいくつか物色してみたがその中で
幾つか気になるモノを発見した。
それは玄関に捨てられていたお札、それに台所に置いてあった一本の清酒であった。
神戸「お札に清酒?こんな物がなんだというんですか?」
右京「このお札…僕は専門家ではないのでわかりませんがこれ…恐らく悪霊退散の
お札じゃないのでしょうかね。
考えてみればこの物件は事故物件です、このようなお札が一枚貼られていてもおかしくはないでしょう。」
神戸「それじゃその清酒は…」
右京「そう!問題はこの清酒ですよ、神戸くんちょっと飲んでみてください。」
神戸「あの…今一応勤務中なんですけどね…まぁ上司の命令って事ならいいですよね。」
達也「ていうかこれウチの酒なんですけど…」
神戸「ゴクゴク………ブッ!!!!オゲェ!ゲホッ!ゲホッ!何ですかこのお酒!?
まるで腐ってるじゃないですか!!」
達也「腐ってるってバカな!?数日前に買った酒ですよ!
その証拠に賞味期限だってまだ日数があるんですから!」
神戸「けどこれ…とてもじゃありませんが…飲めたモンじゃないですよ…
しかしこの腐った清酒がどうしたというんですか?」
右京「この家にはビール缶が散乱していました、少し変だと思いませんか?
ビール派の人間が清酒を飲もうとするのは少し引っかかりますよね。」
神戸「お言葉ですが…ビール派の人間だって清酒くらいは飲みますから!」
右京「勿論その可能性はあります、しかし問題は何故この清酒が数日前から台所に
放置されているのかです!
ビール缶の散乱っぷりからして達也さんは酒豪だと思います。
では何故、数日前に買った清酒を飲みもせずに台所に放置したのか…
もしかしたらこの清酒は本来飲むために買った物では無いのではありませんか!」
神戸「しかし…飲むためじゃないとしたら…そうか!さっき不動産屋で言ってた…」
右京「えぇ、妹の響子さんから言われていた…
『購入する人間に清酒を飲ませろ、もし吐いたりしたら絶対に売るな!』の言葉通り
達也さんは清酒を用意したんですよ!」
神戸「でも…それだと…やっぱりおかしいですよ!
何でその清酒が使われないでこの家にあるんですか?
確かその佐伯家はとっくに売買済にされたって言われてたじゃないですか!」
右京「それは恐らく…達也さん、あなた…響子さんの忠告を無視してあの物件を
売ってしまったのでしょう。」
達也「ハイ…幽霊なんて迷信だと思って…けどこっちだって商売なんですよ!
いくら事故物件だからって都内にある物件を遊ばせとくなんて出来るわけがないでしょ!
それに…一応先方の方には前もって事故物件だと知らせてありますし…」
神戸「そうですね、確かにあなたの行為に違法性はありませんが…」
神戸が言い掛けたその時、先ほど寝かしつけていた響子が起き上がってきた。
だが響子は意識を取り戻したと同時に未だかつてないほどの叫び声を上げた…
響子「「ギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!??」」
達也「おい響子!どうしたんだ!?落ち着いてくれ!」
響子「う゛がぁぁぁぁぁ!もうダメ!みんな…みんな殺される!?」
神戸「落ち着いて!どうしますか杉下さん?」
右京「響子さん!僕たちの事がわかりますか?この家で何があったのか教えてください!」
右京は錯乱する響子を抑えつけながら尋ねてみるが彼女の口からそれ以上の言葉は出なかった…
達也「刑事さん…俺どうしたら…」
右京「とりあえずこの家を出る事をお勧めします、息子の信之くんと妹の響子さんを連れて
暫くご実家の方へ預けておいた方が良いと思います。
神戸くん、僕らは明日旧佐伯家に行きましょう。」
神戸「まさか杉下さんは旧佐伯家にも何かあると疑っているんですか?」
右京「そう考えるべきだと思いますよ、この状態の響子さんを見ればね…」
神戸「わかりました、それで現在佐伯家に入居している方は何というお名前ですか?」
達也「き…北田…北田さんという夫婦が住んでます!けど刑事さん…私は今朝お伺いしましたが
その時の北田さんは至って普通でしたよ?」
右京「一応念のためにですよ、まあ何事も無ければ良いのですが…」
こうして右京と神戸に見送られながら達也は急ぎ車で家から響子と信之を連れ出したが…
先ほど発狂した響子はコクリ…コクリ…と頷き続け、まるで何かに憑りつかれたかのように
奇怪な行動を取っていた…
翌日、右京はさっそく旧佐伯家に現在住んでいる北田夫妻を尋ねるため家の前にいた。
それから少し遅れて神戸もGT-Rに乗って到着した。
神戸「すみません、お待たせしちゃって!」
右京「大丈夫ですよ、ところで何で遅れたんですか?」
神戸「実は免許書の更新に行ってましてね、ゴールド免許ですよ♪」
右京「はて?キミは以前スピード違反になったのでは?」
神戸「あれは顔認識システムの誤作動だと蒙抗議しましてね…
その甲斐あってゴールドになった訳ですよ!!
ちなみにパンチ穴の開いた前の免許証も記念に貰ったんですけど見ます?」
右京「ドヤ顔は結構、行きますよ。」
~旧佐伯家~
ピンポ~ン
―「はーい!あら?どちらさまで?」
右京「失礼、警視庁特命係の杉下という者です。奥様の良美さんですね。」
神戸「同じく神戸です。実はちょっとお話があるのですが…」
良美「わかりました、どうぞ中へ入ってください。」
右京と神戸は良美に招かれるまま家に入ろうとしたが、右京は家に入る前に庭である物を発見する。
右京「おや、これは?」
神戸「どうしたんですか?先に入っちゃいますよ。」
右京「お先にどうぞ、僕はちょっと気になる事があるので…」
神戸「ハイハイ、わかりました。」
こうして神戸だけが先に家の中に入っていった。
残った右京は先ほど発見した物を調べていた、それは小包の入っていた紙袋であった。
当然ながら中身は入っていなかった、しかし宛先の名前蘭には気になる名前が記入されていた…
そう…名前には……佐伯伽椰子という名前が記入されていたのだから…
右京「佐伯伽椰子!まさか…神戸くん!?」
右京は急いで先ほど家の中に入った神戸の後を追おうとしたが後ろから近付いてきた
人間に肩を叩かれた。
振り返ってみるとその人物は…
神戸「ハァ…ハァ…なんとか間に合ったようですね!」
右京「神戸くん…先ほど家の中に入ったキミがどうしてここに?」
神戸「杉下さん!ここはもう危険です!早く逃げましょう!」
右京「はぃ?」
家の中に入って行った神戸が急に背後から現れた、それだけでも奇妙なのにそれだけでなく
家から逃げろという発言、いつもの右京ならそんな言葉には従えなかったろうが
この時何故かかつて亀山が言ったこの家に絶対に入るなという忠告を思い出し、そのまま立ち去った。
そんな右京と神戸が立ち去る姿を窓越しから良美は不気味な目つきでジッと見つめていた。
神戸「あの…奥さん、どうかなされたんですか?」
良美「いいえ、それよりもお連れの刑事さん遅いですね。」
なんとそこには奇妙な事に、先ほど右京と一緒に出て行ったはずの神戸が、何故か良美と一緒に
居間で彼女に勧められるままお茶を飲んでいた。
神戸「まああの人の事ですから、きっと気になる事でもあるんじゃないのですかね。
あれ?この画用紙…子供の絵ですね?
けどおかしいな?お宅はお子さんいないんじゃ…それにこの絵に描かれている名前…
佐伯俊雄?この名前確か…行方不明になっている少年の名前じゃ!?」
良美「…」
神戸はこの絵について良美に尋ねるが良美は顔を俯かせたまま一言も喋らずにいた。
仕方なく右京を呼びに行こうとしたその時だった。
神戸「台所で…誰か倒れている?」
駆けつけてみるとそこに倒れていたのは一人の男性、上着のポケットから身分証を確認すると
名前は北田洋、この家に住む良美の旦那であった。
神戸「ご主人!しっかりしてください!…ダメだ…もう死んでる…けど何で?」
良美「鬱陶しかったんです…コーヒーの豆がブルーマウンテンじゃないとダメだとか、
卵の黄身を半熟にしろとか…誰と勘違いしたのやら…私はもう良美じゃないのに…」
その時神戸の背後に先ほどまで居間で顔を俯いていた良美が急にやって来ていた。
神戸「そ…そんな事で殺したっていうんですか!?奥さんあなた正気じゃない!」
良美「えぇ…殺しました…このフライパンで頭を叩いて…」
ブンッ
神戸「ぐはっ!?」
ドサッ
神戸は頭を殴られてそのまま床に倒れた。
その良美の背後には白塗りのゾンビのような姿をした少年が現れ、
良美は手を繋ぎ先ほどの居間の方へと戻っていった。
倒れた神戸の手には先ほど居間で見つけた俊雄の絵が固く握りしめられていた…
その頃、先ほどGT-Rに乗り急いで佐伯家を後にした右京と神戸だが
右京は何故あの家から立ち去らなければいけないのかを神戸に尋ねたが返答は…
神戸「すみません…今は言えません…」
右京「やはりキミも同じ事を言うのですね、かつての亀山くんもそうでした。
1階の屋根裏を調べていたと思ったらいきなり2階の屋根裏から現れて、
何の説明もなくあの家から避難しろとの一点張り、一体キミたちは何を見た…
いえ、何を知ったのですか?」
神戸「本当にすみません…今は言えないんです!」
右京「そうですか、ところでキミ…頭から血が出てますが怪我しているのですね。
どこでそんな怪我を負ったのですか?」
神戸「そうか…さっき思い切り殴られたからな…痛たた…」
神戸は手で血を拭おうとした時だった、拭おうとした手には自分があの家で見つけた絵を
握り締めていた事にようやく気付いたのだ。
右京「この絵…佐伯俊雄…あの事件で未だ行方不明の少年が描いた絵ですね。
……恐らく僕がまた北田さんのところに戻ると言ってもキミは反対するのでしょうね。」
神戸「えぇ、断固として阻止させていただきます!」
右京「…では鈴木さんの実家に行ってもらえますか。僕の考えが正しければ恐らく…」
神戸「わかりました、けど期待はしないでください。誰か一人でも生き残ってれば御の字なんですから…」
右京「…」
こうして右京と神戸は鈴木達也の実家に急行した、だが既に手遅れだった…
~鈴木達也の実家~
コンコン コンコン
右京「夜分にすみません、警視庁の杉下という者ですが…」
神戸「ノックしても誰も出ない、かといって車や自転車があるから遠出したとは思えないし…」
右京「止むをえませんね、ベランダから様子を見ましょうか。」
神戸「わかりました!」
しかしその必要はなかった、急に玄関が開いたのだ。
玄関からその出てきた人物は…
右京「信之くん!」
神戸「キミ…まだ無事だったんだね!この家の人はどうなったの!?」
信之「みんな…みんな…死んだ…あの女の人と…子供が…」
神戸「女の人と子供…やっぱりか!」
右京「神戸くん!僕は中に入ります!キミは周辺の警察と達也さんに連絡を!」
神戸「ちょ…ちょっと待ってください!あぁもう!」
神戸の制止も聞かずに家の中に入った右京がそこで見たモノは…
それは…この家の主である鈴木泰二とその妻ふみの死体であった。
二人のの死に顔はまるで何か得体の知れないモノに恐怖し…それから逃げようとした態勢で死んでいた。
右京「鈴木さん!…死んでいる…おや?…そこにいるのは誰ですか!?」
右京は部屋の奥で誰かが動いている気配を感じた、部屋を覗いてみるとそこにいたのは…
響子「…フフフ…ハハハ…」
右京「あなたは…響子さん!大丈夫ですか!響子さん!?」
そう、部屋の奥にいた人物は響子であった。
達也のアパートで発狂した彼女は最早正気ではなく赤ん坊の人形を抱えて狂ったように
あやしていた…
その後、神戸の通報を受けた地元警察が到着。
二人の死因は心臓麻痺によるショック死と診断され事件性は無いと判断された。
生き残った響子と信之だが響子は精神病院に入院させられ、信之も…
父親である達也は何故か行方不明になったために遠縁の親戚に預けられる事になった。
こうしてこの事件は一応の幕が閉じられようとした。
だが…
~特命係~
右京「納得いきません、どうもあの家では佐伯家の事件以来奇妙な事ばかりが起きています。
これは最早事件性があると僕は判断します!」
神戸「杉下さん…いくら僕らが叫んでも上は鈴木一家の事件を事故死と判断して
捜査を打ち切ってますから。
それに…いくら探したって証拠なんか出やしませんよ…」
右京「そして僕が最も気になるのはキミの捜査に対する態度です。
以前の亀山くんもそうでした!あの家で何かがあった直後、キミと同じく
この事件に消極的になってしまった。
彼は警察を辞めるまであの事件について何も語ろうとしなかった、恐らくキミと
動揺の何かを体験したのではないのですか?」
亀山も死んでるのか
神戸「やっぱり…何か気付いちゃいましたか…」
右京「僕はあの家に入る直前ある小包が入っていた紙袋を発見しました。
そこに書いてあった宛名は佐伯伽椰子、かつてあの家で死んだ女性の名前です。
何故彼女の名前が書かれていたのかはこの際置いておきましょう。
問題は何が入っていたかです、この紙袋…キミが持っていた俊雄くんが画用紙で描いた
絵を入れられるくらいの大きさじゃありませんかね。」
神戸「杉下さん…何が言いたいんですか?」
右京「かつて僕もあの家で彼女の佐伯伽椰子の日記を手に入れました。
その日記は今でも僕の手元にあります、内容は小林俊介へのストーキング行為に
関する記載でした。
佐伯伽椰子、それに彼女の息子俊雄、僕にはまるでこの二人があの家に近付く者たちを
拒んでいるように思えてなりません!」
神戸「杉下さん…あの家に行く気ですね!」
右京「行きます!恐らく…北田さん夫婦にも何か危険が迫っている…いえ…もう何か
起きてしまっていると考えるべきではないでしょうかね。
キミのその頭の怪我…それ、北田さんの奥さんにやられたモノですね。」
神戸「そこまでわかりますか!」
右京「あの家には妻の良美さんしかいませんでしたからね、その怪我の具合からして
彼女はキミを殺す気で襲ったのでしょう。
しかしキミは運よく生き延びた、違いますか?」
神戸「フフ、そこまでわかってしまうとは…けどそれでもあの家に近づけさせませんよ!
それにもう…北田さんたちは手遅れでしょうね。
あの夫婦もきっと…今頃は…」
右京「手遅れ…ですか?」
神戸「えぇ、間違いなく。だからあの家には絶対に近付かないでください!
それとこれから僕の言う事を絶対に守ってください!
もしこれから先に白塗りの少年や女性が現れても絶対に近付いたり話しかけたりしないで!
あと数年…いや2年以内に今よりももっと悲惨な事態が起きます!
それまで絶対にあの家には近付かないで…ください!
そして…これはあまり関係ないかもしれませんがその頃には僕は特命係を辞めているかもしれません…」
右京「いきなり話が変わりましたね、それは何故ですか?」
神戸「実はその辺の事情が僕にもわからないんですよ、おかしいですよね…自分事なのに…
とにかく…絶対にあの家には近付かないで!特にこの2年以内は必ず…」
右京「わかりました、キミの…いえ、キミや亀山くんが言った言葉を信じましょう。」
こうして右京はこの時点での佐伯家の捜査を断念した。
いつもの右京なら構わず捜査をするだろうが、以前亀山が鬼気迫る表情で右京に対して
同様の警告がそうさせたからだ。
それから数か月後…
神戸「大河内さんが僕を呼び出すなんて珍しいですね、どういった風の吹き回しですか?」
大河内「実は先週、城戸充という男が自殺してな…
その男がこんな遺書を残していたんだ。
内容は自分が無実である事、そして神戸…お前の事を絶対に許せないというモノだった。」
神戸「僕を許さないって…まさか…」
大河内「それともうひとつ、これは関係ない話だが遺体があった現場には…奇妙な少年がいたらしい。
その少年は肌に生気が無く…尋ねると妙な奇声を上げていったそうだ。
まるで猫が鳴くような声をしてな…」
神戸「…」
その後特命係が捜査した結果、城戸充の冤罪が判明。
当時その裁判で神戸は嘘の証言をしてしまった事を悔やみ、この事が後々尾を引く結果となった。
その後元警視庁副総監の長谷川宗男により神戸は否応無しに特命係を去る形となった。
更に時は流れ…2年後…
とりあえずここまで
流れ的にわかると思いますが次回からの相棒はカイトくんになります。
それにしてもみなさんの伽椰子倒すの無理じゃね?のコメントがスゴい…
こんなスレ立ててアレですが確かに無理だよなと思いますわ…
>>122-123
実は伽椰子の母親はイタコで伽椰子は子供の頃から他人から取り払った
悪霊を含んだ血を飲まされてあんな異能な力を手に入れたとか…
ちなみにこの設定は清水監督がパンデミックの制作陣からどういった経緯で
悪魔化したのかって設定を作ってくれって嫌々やらされたって話です。
>>151
まだ生きてますよ!…まだね…
第3話 伽椰子と俊雄
2013年3月
その日、右京の指名により新しく特命係に配属された甲斐亨は恋人の悦子から
ある相談事を受けていた。
カイト「介護士の友達と連絡が付かない?」
悦子「そうなのよ!その子仁科理佳っていうんだけど仕事先に連絡したらもう三日も
無断欠勤しててこっちが行方を知りたいくらいだって言われて…」
カイト「わかったよ、それじゃ俺もちょっと探してみるから!」
悦子「お願いね、私仕事あるから行けなくてゴメン!」
~特命係~
カイト「…という訳でこれから悦子の友達を探しに行きますんで。」
右京「悦子さんの友達ですか、どういう状況で行方不明になったのか詳細は聞きましたか?」
カイト「なんでもその介護士の友達はホームヘルパーやっているそうで、
仕事先の同僚が言うにはその家に行った直後に連絡が付かなくなったとか…」
右京「なるほど、恐らくその訪問先の家で何かあった可能性が高いですね。
そのお宅とは連絡をしたのですか?」
カイト「それが…彼女の職場の人が訪問先に連絡してみたんですけどその家の人が
言うには『何も知らない』の一点張りで…」
右京「気になりますね、僕も一緒に行きます。
とりあえずその御友人の訪問先に行ってみましょう、その訪問先はわかりますか?」
カイト「確か仁科さんの訪問先が徳永さんという家で住所が東京都練馬区寿町4-8-5です。」
右京「東京都練馬区寿町4-8-5…カイトくん、急ぎますよ!」
カイト「ちょ…杉下さん!いきなりどうしたんですか?」
右京はもしやと思いカイトを連れその住所にやって来た、そこは…
~旧佐伯家~
右京「やはりこの家でしたか…」
カイト「杉下さんから聞いたけどまさか仁科さんの訪問先が…あの旧佐伯家だなんて…」
右京「それで仁科さんは本当にこちらでホームヘルパーをしていたのですか?」
カイト「え~と表札にも徳永って書いてあるからたぶんそうですね。
ごめんくださ~い、警察です、誰かいませんか?」
『………』
返答は無かった、留守かと思いカイトは諦めて帰ろうと促すが右京は構わずドアノブを回してみた。
ギィー
するとどうだろうか、鍵が掛かっているかと思ったドアは開き右京とカイトは家の中に入った。
ちなみにこっちでも伽耶子、イタコの娘って設定ですか?
カイト「ちょっと杉下さん!いくらなんでもダメですよ!
他人の家に無断で入ろうとするなんて!!」
右京「嫌なら結構、キミは帰ってもいいですよ。」
カイト「…ったく、それにしても気味の悪い家だな、しかもこの荒れ様は一体…」
カイトが指摘するように家の中は何故かゴミが散乱していた。
右京とカイトは一1階の部屋に人気を感じ行ってみるとそこには布団が敷いてあり誰かが寝ているようだった。
カイト「なんだ、人がいたんだ。お婆ちゃん起きてください!お婆ちゃん?」
右京「カイトくん…無駄です、既に死んでいます。」
カイト「死んでるって…何だこの顔!?」
そう、部屋にいた老婆の死に顔は恐怖に引きつった顔をしていた。
しかし誰かと争った形跡は無く
カイト「これってつまり病死なんですかね?」
右京「…さぁ、検死しないとなんともわかりませんが目立った外傷はありませんね。」
カイト「とにかく俺本部に連絡を…うん?…ギャァァァァァ!?」
右京「どうしましたか!」
カイト「へ…部屋の隅で何か動いたような…あれ?よく見ると…この人は…」
この部屋にいたもう一人の人物、それはカイトが悦子に頼まれて探しに来た仁科理佳であった。
右京「あなたが仁科理佳さんですね!この部屋で…いえ…この家で何があったのですか!?」
理佳「…」
理佳からこの状況を聞き出そうと彼女は放心状態でまともに喋れなかった。
仕方なく彼女を近隣の病院に運び右京とカイトは警視庁本部にこの事を連絡した。
それから1時間後、通報を受け駆けつけた伊丹たち捜査一課が現場検証を行っていた。
伊丹「ここが現場か…待てよ?確かここって…」
芹沢「以前旦那が奥さん殺した家ですよ、それで子供も未だに見つかってないとか…」
三浦「その後もこの家の入居者は立て続けに行方不明になってるっていう曰く付きの家だ。」
伊丹「まったく…よくもまあこんな家に住みたがるモンだ、それで仏の身元は?」
芹沢「徳永幸枝、この家の住人です。ただ数年前から高齢の所為で痴呆症が酷いようで
週に何度かホームヘルパーが訪問しに来る事になってるそうですよ。」
三浦「それで仏の状態は?」
米沢「心臓麻痺ですな、まあ仏さんも高齢でしたし死因は大して問題ではないのですが…」
芹沢「どうかしたんですか?」
米沢「…仏さんの死に顔ですな、何を見たらあんな顔になるのやら…おっと失敬。
これはただの私の私見ですので…」
伊丹「それで同じくこの部屋に居たっていうホームヘルパーは?」
三浦「現在病院で見てもらっている、医者の話だと軽いショック状態に陥っていて暫く
話は聞けそうにないぞ。」
伊丹「…つまりこういう事か、被害者の婆さんがショック死しちまって
それにショックを受けたホームヘルパーがそのまま放心状態になってたという訳か?」
米沢「ショック死でショック状態…お後がよろしいようで…すみません、不謹慎でしたな。」
芹沢「けどひとつ問題があるんですよ、どうも被害者はこの家で息子夫婦と同居しているんですが
その息子夫婦の徳永勝也さんと妻の和美さんに現在連絡が取れないんですよ。」
伊丹「なんだと?」
右京「…となると息子さん夫婦の身にも何か起きているかもしれませんね。」
カイト「いや…いくらなんでもそれは飛躍し過ぎじゃ…」
伊丹「また出たよ…相変わらず神出鬼没ですなぁ警部殿!」
芹沢「あ、今回二人が第一発見者なんで…」
三浦「まったくお宅らの行くところ死体の山じゃないんですか?」
右京「皮肉は結構、ところで芹沢さん。
息子の勝也さんの携帯番号がわかるなら家の中に掛けてもらえますか。」
芹沢「家の中で…ですか?わかりました、掛けますよ。」
トゥルルルルル トゥルルルルル
右京の指示通り芹沢は家の中で電話を掛けてみた、するとどうだろうか。
何処からかコール音が鳴り響いた、その音の鳴る方へ向かうとそこは2階の屋根裏であった。
しかしこの屋根裏に続く押し入れは何故かガムテープで周りを巻かれていて、
誰も近づけさせないようにしている感じであった。
右京「屋根裏を覗いてみましょう、僕の予想が正しければ恐らく…」
伊丹「ちょっと警部!我々を差し置いて何をやって…うわぁぁぁっ!?」
カイト「伊丹さんどうしたんですか?…なっ!?」
芹沢「ちょっとちょっとみんなどうしたんですか?俺にも見せて…あ…あぁ…
し…死体だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
彼らが2階の屋根裏で発見したのはコール音の鳴る携帯を持った男とその隣に寄り添う
女の死体であった。
後に身元確認を行ったところこの家に住む徳永勝也と妻の和美である事が判明した。
捜査一課は事件性があると判断、さっそく捜査を行うが…
伊丹「とりあえず怨恨の線から調べる、旦那の職場に行くぞ!」
芹沢「ちょっとちょっと…待ってください先輩!」
三浦「それじゃ我々はこれで失礼しますので。」
伊丹たち捜査一課はまず怨恨から調べる事になり事件現場を後にする。
残った右京とカイトは現場を捜索するが…
右京「つまり彼らが亡くなったのは三日前という訳ですか?」
米沢「えぇ、間違いありませんな。
屋根裏で見つかった息子夫婦の死体は検死の結果からして死後四日以上は経過していると思います。」
カイト「ちょっと待ってください、それっておかしくないですか?」
右京「そうですね、息子さん夫婦が既に四日以上前に死亡しているとなると、
仁科さんの職場の方がこの家に連絡した時一体誰が電話に出たのかという事になるわけですが…」
カイト「つまりその時代わりで出た誰かが犯人である可能性が高いって事ですね。
けど問題はそれが誰かって事なんですけど…」
米沢「ちなみにこの家の固定電話に留守番メッセージが入っていました。
これがその内容です。」
カチッ
―『もしもーし!仁美です、誰かいませんか?もしもーし、和美さんいませんか?
母さんの具合どうなんでしょうか?心配しているのでとりあえず一度連絡をください。』
米沢「メッセージは以上です、ちなみにこのメッセージは三日前に入れられてます。」
カイト「この仁美さんっていうのは誰なんですかね?」
右京「先ほど発見された徳永勝也さんの妹さんの事でしょうね、彼女はどうやら
他の家で暮らしているようですよ。」
カイト「なるほど、妹さんからか。けど何でそんな事わかるんですか?」
右京「実は亡くなった勝也さんの携帯を調べたのですが…おやおやこれは…
日時を見ると仁美さんは家の固定電話に掛けた直後に勝也さんの携帯にも掛けて
いるようですね。」
カイト「それがどうかしたんですか?」
右京「三日前といえば平日です、休日でもない日に二度も掛け直すというのは
ひょっとしたらこの妹さんは恐らく以前からこの家で何らかの事態が起きる事を予感して
いたのではないでしょうかね。」
カイト「けどそれなら三日以降も頻繁に掛かるはずじゃないんですかね?
三日前を最後に妹さんの電話は携帯も固定電話の方にも全然ありませんよ。
これっておかしいですよね…あれ?何だこれ?」
右京「どうしましたか?」
カイト「いや…写真を見つけたんですけど…何だこれボロボロだな…けどこれって…
親子の写真…」
カイトが見つけた写真は所々ボロボロで、特に母親の顔は穴が開いていて
判別する事すら出来なかった。
カイトはその写真を右京に見せてみるが右京はその写真に写っている男に見覚えがあった。
右京「これは…佐伯剛雄!?」
カイト「まさかそれって…」
右京「えぇ、5年前この家で事件を起こした男とその家族の写真ですよ!」
カイト「何でこんな物が…」
警官「あ、本庁の方々よろしいですか。実は先ほど病院から連絡があって
仁科理佳さんの意識が戻ったそうなんですけど…」
カイト「本当ですか!けど伊丹さんたちいなくなっちゃったしな…」
右京「彼らも忙しい身ですからね、仕方ないので我々がお手伝いしておきましょうか。」
カイト「うわぁ…また伊丹さんや内村部長に怒られそう…」
こうして右京とカイトは伊丹たち捜査一課に代わり仁科理佳の事情聴取を行うために病院に向かった。
とりあえずここまで、またすぐに投下します。
>>179
どうしましょうか
元々監督がしょうがなく追加した設定だし正直このSSでは使いたくないんですが…
~病院~
病室では既に意識を取り戻した理佳と駆けつけた悦子がいた。
右京「仁科理佳さんですね、もうお身体は大丈夫ですか?」
理佳「ハイ、おかげさまで…」
悦子「亨から連絡もらってすぐに病院に来たけど理佳…あれからすぐに意識が
回復して良かったわ。」
カイト「悦子…仕事大丈夫なの?」
悦子「親友が大変な時に呑気に仕事してられないでしょ!」
右京「さっそくですがお話聞かせてもらえますか?」
理佳「ハイ…わかりました。
三日前、私はホームヘルパーとして徳永さんの家に派遣されました。
そこは何故かゴミが散らかって荒れ放題で…鍵が掛かってなかったので家の中に入ったんですけど
そしたら…幸枝さんが倒れていて…その時はまだ生きていたんです。
それから私は幸枝さんの介護をしたり散らかった部屋を片付けたりして、2階の部屋も掃除
しようとしたら…
変な鳴き声が聞こえてきたんです!」
右京「その鳴き声とは?」
理佳「猫の鳴き声でした、『ミャー』って声が聞こえて…それで2階の部屋の押し入れを開けたら
黒い猫を見つけて…私…その猫を抱こうとしたんです…そしたら…そしたら…」
カイト「何があったんですか?」
理佳「その猫の居た場所に急に男の子が現れたんです!
私ビックリして…センターからもそんな連絡を受けてなかったものだから…
それでその子の名前が確か…」
右京「俊雄…その少年はそう名乗ってませんでしたか?」
理佳「そうです!そんな名前の年齢が小学生くらいの男の子です!
けどその後…幸枝さんが急にブツブツ独り言を始めて…アレ?なんでだろ…
その後の事が全然思い出せない…確か大事な事があったはずなのに…」
右京「どうかご無理をなさらないでください、とても参考になるお話でした。」
カイト「けど杉下さん、よく子供の名前がわかりましたね。
ていうか…あれ?あの家に子供なんかいないはずじゃ…」
理佳「そんな…確かに私はあの家で子供を見ました!」
カイト「けど徳永さんの家は全部で三人家族ですよ、幸枝さんに勝也さんに和美さん…
子供なんかいませんけど?」
理佳「それじゃ私が見た子供は…」
右京「あなたが見た子供というのはこの少年の事ではありませんか?」
右京は先ほど事件現場でカイトが発見したボロボロの写真を理佳に見せた。
理佳は自分が見た少年は確かにこの少年だと答えた、だが…
右京「それはあり得ません。」
理佳「な…何故ですか?」
右京「この写真に写っている少年の名前は佐伯俊雄、5年前父親である佐伯剛雄が起こした
殺人事件以来行方不明になっています。
それにこの写真が撮られたのも5年前、既に5年も月日が流れているのに俊雄くんが
成長せずにこの姿のままというのは少々辻褄が合わないと思いませんか。」
理佳「じゃあ私が見たのって…イヤァァァァァァ!?」
悦子「理佳!落ち着いて!?」
カイト「ちょっと杉下さん!何驚かしているんですか!!?」
右京「すみませんねぇ、どうも僕はこう言った配慮に欠けてしまいがちで…」
カイト「本当デリカシー無いんだから…
けど今の話が本当なら佐伯俊雄くんは生きていたって事になるんじゃ?」
右京「それはどうでしょうかね、ところでここは悦子さんにお任せして僕らは他を当りましょう。」
カイト「他って誰を当たる気ですか?」
右京「勿論、徳永家のもう一人の家族である徳永仁美さんですよ。
少々気になる事もありましてね、それと仁科さん。何か思い出した事があったらすぐに
我々に連絡ください。」
理佳「ハ…ハイ…」
こうして心身衰弱気味な理佳を悦子に託し右京とカイトは徳永仁美の住むマンションへと向かった。
~仁美のマンション~
さっそく仁美の部屋を訪ねてみたが何故か彼女は来客者が来たというのにシーツに顔を包み
窓には新聞紙を敷いてまるで何かに見つからないようにしているようであった。
カイト「あの…徳永仁美さんですよね?」
仁美「そうですけど…どちらさまですか?」
右京「警察の者です、少しお話があるのですがよろしいですか?」
仁美「ハ…ハイ。」
カイト「ところで部屋の中真っ暗ですけど窓開けなくて大丈夫ですか?」
カイトは昼間だというのに薄暗い部屋を明るくしようと窓を開けようとしたその時だった。
仁美「「やめてぇぇぇぇぇ!絶対に窓を開けないで!あいつが…あいつが来る!?」」
突然仁美が血相を変えてカイトの行動を妨げた、これにはさすがに驚く右京とカイトであったが
平静を取り戻した仁美に再度尋ねてみた。
カイト「あ…あいつ?」
仁美「あいつが…あいつが…」
カイト「あの…会社の方に問い合わせたらもう三日近く無断欠勤してると聞いたんですけど…」
仁美「そ…そんな事より…お話って何ですか?」
右京「実はあなたのお母さんと兄夫婦が亡くなられました。
電話の最後の着信があなたの番号でしたので何かご存じなことがあればお伺いしたいのですが…」
仁美「…」
仁美は暫く沈黙をした後何かに怯えながら話を始める、それは今から5日前の話であった。
仁美「四日前の事でした、私はいつものように兄の家に行ったら…
和美さんはいなくてお母さんだけしか見当たらなくて…それで私はお夕飯を作ってたら…
お兄ちゃんが現れて…和美さんはどうしたのか聞いたら買い物に行っただとか…
都合が悪いとか言って…それから突然変な事をブツブツ言い始めたんです…」
右京「一体何を言っていたのかわかりますか?」
仁美「確か…『俺はあの女に騙されていた』とか『俺の子じゃない』とか…
それで私はすぐに追い出されてしまったんです…
その事が気になった私は翌日家に電話してみたんです、けど誰も出なくて…
次に兄の携帯にも掛けみたんですけどそしたら…変な声が聞こえたんです…」
右京「変な声?」
仁美「そうです…確か…」
『ア゛…アアアア…ア゛アアアアア…』
仁美「こんな声が…え?嘘…何で聞こえてくるのよ…イヤァァァァァァ!?」
カイト「ちょっと仁美さん!落ち着いて!」
右京「とりあえずこの部屋を出ましょう、どうにもこの部屋はあなたに悪影響を
与えているようですよ。」
仁美「あ…あぁ…」
それからカイトは仁美を連れてマンションから出て行った。
残った右京は見えざる相手に敢えて挑発とも…宣戦布告とも取れる言葉を送った。
右京「聞こえますか!あなた方の正体は見当がついています。
5年前から続くこの事件の因縁を今度こそ断ち切らせてもらいます!!!!」
そう言い残し右京は仁美のマンションを立ち去った、その時窓に貼られてあった新聞紙の
一部が剥がれ落ちそこから不気味な目が部屋から出て行った右京をジッと見つめていた。
とりあえず今日はここまで
ところで今日の相棒シーズン7の正月SPの再放送見ましたが田畑智子が相棒役って
ありえんだろと思いましたわ…
~鑑識係~
右京とカイトは仁美を警視庁で保護してもらい、そのついでに鑑識の米沢のところへ来ていた。
米沢「固定電話の指紋の検出ですか?」
右京「えぇ、仁科さんの勤めていたセンターの方が徳永家に連絡した際必ず出た人間がいるはずです。
その指紋の採取は出来たのでしょうか?」
米沢「一応出来たのですが…前科者のいない正体不明の指紋が検出されただけですね。
この指紋の主が誰なのかが問題ですが…」
カイト「そっか、指紋が検出できてもそれが誰なのか特定しないとダメだもんな…」
右京「でしたらこのノートを使ってください。」
米沢「そのノートは?」
右京が取り出したノートはかつて佐伯剛雄が起こした事件の際に、右京が佐伯家から持ち出した
佐伯伽椰子の日記であった。
米沢「こりゃまた随分とまあ…エキセントリックな文章が並べられていますなぁ…
わかりました、このノートの指紋と徳永家の固定電話機の指紋を照合しましょう。
それまでノートはこちらでお借りしますのでよろしいですか?」
右京「えぇ、どうぞお願いします。」
~内村部長の部屋~
その頃伊丹、三浦、芹沢の三人は内村部長に呼び出されていた、その理由は…
内村「どうだ、この新しく作った歴代刑事部長の写真立ては!見事なモノだろう!」
中園「全くその通りですなぁ!ほら!お前たちも早く感想を言え!」
伊丹「ハ…ハァ…えぇ…見事ですよ…」(棒読み)
伊丹(大至急来いと呼び出されて来てみりゃ自慢話かよ…)(本音)
三浦「本当に圧巻ですなぁ…」(棒読み)
三浦(まさに税金の無駄遣いだ…)(本音)
芹沢「いやー、凄いなぁ…」(棒読み)
芹沢(落書きしてやりたい…)(本音)
内村「うむ、いずれこの中に私の写真もデカデカと立てる予定だからな!
フフフ、将来は警視総監となる私だ!歴代の先輩方よりももっと派手に…
おっと、まだ自慢をしてやりたいところだがお前らを呼んだのはそれだけではない。」
中園「例の徳永家の事件だがその後何か進展はあったのか?」
伊丹「現在我々は被害者たちへの怨恨の線で調べています、ですが…」
三浦「被害者全員がショック死のような症状ですので犯人を特定出来る物証が中々発見出来なくて…」
芹沢「あの家…以前にも事件があったり転居してきた人間が失踪したりと曰くつきですからね…
もしかしたら犯人は幽霊じゃないかと…」
内村「馬鹿者!犯人を見つけるのがお前たちの仕事だろ!
いいか、マスコミの馬鹿どもがこの事件を幽霊だオカルトの仕業だなんぞと騒ぎ始めている!
我々警察がそのような戯言を真に受けてみろ!警察の威信丸潰れだぞ!!」
中園「内村部長の仰る通りだ、いいか絶対に犯人を挙げるんだぞ!
人間の犯人をだぞ、間違っても幽霊の犯人なんぞを挙げるな!」
伊丹、三浦、芹沢「「ハッ!」」
三人は理不尽だとも思う命令を聞き部屋から去って行った、しかし内村部長はこの時一瞬
奇妙モノを目撃してしまった。
内村「おい…」
中園「ハッ!何でしょうか?」
内村「さっきあいつらがこの部屋を出て行く時白い肌をした小学生くらいの子供がいなかったか?」
中園「ハハハ、何を仰いますか。ここは警視庁ですよ!何故子供がいるのですか?」
内村「あぁ…そうだな…」
この時誰も想像していなかった、佐伯家に出向いた者たちがあの忌まわしき呪いを
警視庁内にも降り撒いていた事に、そしてこれが後に大惨事を招くとも知らず…
~特命係~
鑑識から戻ってきた右京は旧佐伯家の見取り図を何度も見直していた、そしてもうひとつ
以前神戸があの家で見つけた佐伯俊雄の描いた絵も手元に持っていた。
カイト「へぇー、これが行方不明になった俊雄くんが描いたっていう絵ですか。
それで杉下さんは…まだあの家の見取り図と睨めっこですか?」
右京「えぇ、何故徳永夫妻は2階の屋根裏にいたのか。僕には何かヒントがあるように
思えてならないのですが…」
カイト「俺が見た感じだとあの夫婦の遺体は…何かに逃げてたって感じがするんですよね。
ほらあの2階の屋根裏に続く襖にガムテープが貼られてたじゃないですか。
あれって自分たちで閉じ籠ってたんじゃないですかね?」
右京「それとも…或いは…何かを閉じ込めようとしたのかも…」
カイト「何かって?」
右京「思い出してください、仁科さんの言葉を。
彼女はあの襖で黒猫と少年を目撃したと言っていました、もしもそれが本当なら
勝也さんが閉じ込めようとしてたのは…」
カイト「その少年と黒猫…けど俺たちが行った時そんなのがいた痕跡すらなかったですよ。」
右京「それを仁科さんが解いてしまったとしたら…どうでしょうか。」
カイト「まさか杉下さんはその黒猫と少年が徳永一家を皆殺しにしたとでも言う気ですか?
そんな事あり得ないでしょ!」
右京「あの家ではそんなあり得ない事が頻繁に起こっているのですがねぇ…」
カイト「ハァ…そうなんですか、ところでこの絵なんですけど…
子供って正直な部分があるじゃないですか、それで思ったんですけどこの親の絵はなんだか
親の残虐性を表しているように思えるんですよね、まぁ俺の気の所為かもしれませんけど。」
右京「なるほど、その解釈もあながち間違いでもないかもしれませんよ。」
カイト「まったく…事件が全然進展しないですね…」
捜査に四苦八苦しているそんな中いつもの如くあの男が…
角田「よ、暇か?」
カイト「暇じゃないですよ、見りゃわかるでしょ!」
角田「いや暇だろ…そんな子供の絵とにらめっこしてんだからよ。」
右京「課長いいところへ来てくれましたね、実はお聞きしたい事があるのですが…」
角田「え?何よ?」
右京「5年前に逮捕した佐伯剛雄の事です、実は僕は彼の事を良く知りませんでしたので。
課長は彼について何かご存じな事はありませんか?」
角田「佐伯剛雄か、ヤツは結婚する前までは結構無茶な事ばかりする男だったよ。
それが…たぶん結婚して子供が生まれてからかな、ヤツは麻薬関連からは手を引いたんだ。
それなのに…佐伯剛雄は死ぬ直前になり再び麻薬に手を出した。
現にヤツを逮捕した際薬物検査したらしっかり反応が出たんだぜ。」
右京「なるほど、つまり俊雄くんの出生の秘密が彼の…いえ佐伯家の人生全てを狂わせてしまったのですね。」
角田「まぁ…当時アンタの推理を聞いて俺も思ったがさ…自分が汗水流して働いてたのに
実は他人の子供を育ててましたなんて知ったら…そりゃ麻薬に手を出したくもなるわな…
そういう面じゃ男として個人的に奴さんへ同情出来なくもないんだけどさ。」
カイト「なるほど、だからあんな殺人をしでかしたって訳ですか。」
右京「つまり事件当時佐伯剛雄は、麻薬を常用して事件を起こしていた可能性があった訳ですか。」
カイト「まぁまともな神経じゃあんな事件は起こせませんよ。」
右京「…」
角田「それであの家でも麻薬の品を押収してな、そういえばあの家で捜査した所轄の刑事たちが
退職したり失踪したりしたな。」
カイト「そりゃますます曰くつきですね。」
右京「…」
カイト「どうしました?」
右京「刑事の失踪に退職者続出…少し気になりますね。行ってみましょうか。
課長、その退職者の方の現在の所在をお聞きしたいのですが。」
課長「あぁ、わかった。ちょっと待ってろ。」
~老人養護センター~
翌日、右京とカイトは角田課長から教えてもらい、ある退職した刑事の下へやって来ていた。
カイト「ここですか。」
右京「えぇ、課長が言うにはこちらに元練馬署勤務の吉川さんという人物が入居している
そうなのですが…」
理佳「あれ?杉下さんと甲斐さんじゃないですか!」
カイト「あぁ!理佳さん!もう仕事に復帰してるんですか?」
理佳「ハイ、家で寝込んでるより外で働いてる方が気が休まるので。
ところで今日は何の御用ですか?事件の事ならまだ思い出せないのですが…」
右京「いえ、今日我々が伺いに来たのはあなたではなく…」
カイト「ここに入居している吉川さんって人とお会いしたいんですけど。」
理佳「吉川さん?それならこの人がそうですけど。」
カイト「え!この人が!?」
右京「おやおや…」
右京とカイトが驚くのも無理はなかった、何故なら吉川は痴呆の気があるようで先ほどから
なにやら奇妙な行動を取っていた。
しかしこのまま何も聞かないという訳にはいかないのでとりあえず尋ねてみるが…
右京「吉川さんですね?我々は警察の者ですが…」
吉川「いないいない…バァ~!」
カイト「あの!警察です!わかりますか?」
吉川「いないいない…バァ~!」
カイト「ダメだこりゃ、全然話にならない。」
右京「失礼ですが吉川さんはずっとこの状態なのですか?」
理佳「ハイ、けどこれでも落ち着いている方なんですよ。
ここに入居した当時はいつも何かに怯えていたらしくて表に出ようともせずに部屋に籠りっきりで…
奥さんもいらっしゃるんですけど匙を投げたというか…それでウチに入居してるんです。」
カイト「まぁ…この状態じゃ無理もないか。」
吉川「いないいない…バァ~!」
右京「ひとつお聞きしたいのですが…吉川さんの身内に幼いお子様はいますか?」
理佳「いえ…私が知る限りじゃいないと思いますけどそれが何か?」
右京「先ほどから吉川さんを見ているとまるで子供をあやしているように思えましてね。
もしかして身内にお子様でもいるのかと思ったのですがねぇ…」
理佳「子供…そういえば…」
カイト「どうしましたか?」
理佳「そうだ…思い出した…私は…あの時…」
右京「思い出したというのはまさか…事件の事ですか!」
理佳「私は…あの目…忘れられない…影が動いたんです…」
右京「影?」
理佳「私の影です…それが不気味な形に変化して髪の長い女になって…それが幸枝さんを
襲ったんです!」
カイト「そんなバカな…」
理佳「その後私はショックで気絶して…その気絶する前に私の事を見ていたんです!
そう…あの俊雄っていう男の子が…」
右京「髪の長い女…それに俊雄と名乗る少年…」
理佳「うぅ…イヤだ…気持ち悪い…ウゲェ…」
カイト「ちょ…ちょっと大丈夫ですか理佳さん!?」
理佳は事件の事を思い出したが、それと同時に嘔吐してしまいその場で倒れてしまった。
その頃警視庁では…
~鑑識係~
角田課長は城南金融の事件で鑑識係に頼んだ結果を受け取りに来ていた。
角田「よ、暇…な訳ないよな。」
米沢「これはこれは角田課長が直々にこちらにいらっしゃるとは、どういったご用件で?」
角田「ちょっと城南金融の事件についてな、ところでお前さんは何してんだい?」
米沢「実は…杉下警部から頼まれた作業がようやく終わったところでして。
しかし何なんでしょうかねこの日記は…」
角田「日記?うわっ!何じゃこの内容は?」
米沢「どうもこの日記の主である佐伯伽椰子なる女性は、ストーカーの気があったらしく
小林俊介なる人物を必要以上にストーキングしていたらしいですな。
そしてその事柄を全てその日記に記入していたようです。」
角田「女のストーカーねぇ、男なら理解出来るが女のストーカーってのは俺にはどうにも
理解出来んわな…」
米沢「私もですよ、しかしこの日記で一番不気味なページがあるのですが…ここです。」
日記をペラペラと捲り米沢はあるページに指を指す、そのページはまるで黒魔術のような
目を催して描いたページ、恐らく伽椰子は自分の目を描いたのであろう。
米沢は好奇心で角田課長にそのページを見せた。
米沢「これなんてオカルトマニアに見せたらたまらないでしょうな、不謹慎ながら
私が警察官でなければネットに公開したいところですよ!」
角田「コラコラ、警察官が何を言ってんだか…しかし俺にもよく見せてくれねーか。」
米沢「ハハハ、好奇心には忠実ですな。ではご一緒に!」
二人は改めて目が描かれたページを見た、すると…
ギロリッ!!
米沢「なっ!?」
角田「ひぃっ!?」
描かれた目から本物の人間の目が出てきてそして…二人の姿は消えた…
~内村部長の部屋~
内村「フフフ、やはりこの位置に私の写真を貼ってだな…」
中園「えぇ、そうですな!あれ?写真が何かおかしくないですか?」
内村「何を言って…う゛わ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
そう、歴任の刑事部長たちの写真が全て髪の長い不気味な女の写真に変わっていた。
そしてその写真から髪の毛が溢れ出てきた。
内村「な…何なんだこれは!?」
中園「誰か来てくれー!!」
『ア゛…アアアア…ア゛アアアアア…』
それから数分後…
芹沢「あれ?今さっき刑事部長の部屋から声がしたんだけど?」
気になった芹沢が部屋を確かめに来たがそこには誰の姿も無かった…
~捜査一課~
伊丹「おいさっきはどうしたんだ?」
芹沢「いえね、さっき部長の部屋に行ったんですけど誰もいなかったんですよ。
おっかしいよな、絶対声がしたはずなのに…」
三浦「それよりも事件だがどうする、怨恨の線は薄いんじゃないか?」
伊丹「あぁ…被害者家族に殺すほど恨みのあった人間はいないしおまけにアリバイまである…
だからと言って金銭を盗まれた訳でもないから物取りの犯行って訳でもねえ。
まったく捜査線上に犯人が浮かび上がらないってのも珍しいな。」
芹沢「ここはひとつ、杉下警部に聞いてみるってのはどうですかね?
何かのヒントになるかもしれませんよ!」
伊丹「いつもいつも言うが捜査一課としてプライドを…!」
三浦「だが芹沢の言う通りだ、このまま何の進展も無いままという方が不味いだろ。」
伊丹「しょうがねえな…ここは恥を忍んで…」
伊丹たちがそう思い立った時である、彼らの下へトラブルメーカーのあの男がやって来た。
陣川「お~い!みなさん!大発見!大発見ですよ~!」
芹沢「あれ…陣川さん、どうしたんですか?」
伊丹「またどっかの一般人を指名手配犯と間違えて誤認逮捕しましたか?」
陣川「ムッ!そういう意地悪な事を言う人たちには教えてあげられないな!」
伊丹「じゃあ結構です、それじゃ行くか。」
三浦「あぁ、油売ってる暇は無いしな。」
陣川「ちょ…ちょっと待ってください!しょうがないなぁ…教えちゃおうかな!」
伊丹「おい…芹沢、お前聞いてやれ!」
芹沢「えっ!俺が!?しょうがないな…え~と陣川さんは何を発見したんですか?」
陣川「フフフ!実は!例の徳永家の事件について気になる情報を持っている参考人の
女性を連れて来ました!!」
伊丹「なんだと!?」
三浦「そんな人間がいたのか!」
芹沢「その人何処に?何て名前なんですか?」
陣川「何処って…すぐそこの部屋の前にお連れしてますよ。」
伊丹「よっしゃ!さっそく聞き込みだ!」
三浦「これで事件が進展するぞ!」
芹沢「もしかしたら今回は俺たちだけで解決出来ちゃいますねぇ♪」
そう言って伊丹たちは急ぎその女性が待つ捜査一課の部屋の前まで行った。
しかし彼らは最後まで陣川の話を聞くべきであった、何故ならその女性の名前は…
陣川「まったく…みんな話も聞かずに行くんだから、そちらの参考人の女性の名前は
佐伯伽椰子さんという名前ですから!」
『ア゛…アアアア…ア゛アアアアア…』
陣川「いやぁこんな事言うのもアレなんですけど初対面でちょっと美人かなと思ったり
もしかしたら伽椰子さんが僕の運命の人なんじゃないかと思ったり…あれ?誰もいない?」
そう、陣川が駆けつけた時には誰もいなかった。
伽椰子も…それに先ほど急いで伽椰子の下へと駆けつけた伊丹、三浦、芹沢、三人の姿も…
それから暫くして右京とカイトは警視庁に戻ってきたが…
カイト「あぁ、悪かったって!あとで悦子の方からもフォロー入れといてくれよ、それじゃ!」
ガチャッ
右京「今の連絡は悦子さんからですか?」
カイト「ハイ、悦子に理佳さんが倒れた事伝えたら怒られちゃって。
なんでも悦子さんは少し前に恋人に別れ話を告げられて傷ついているから少しは労われって…
まぁ女ってそういう面がありますからね、恋愛事には男は敏感ですから。」
右京「ところでカイトくん…気になりませんか?」
カイト「気になるって…さっきからこの不気味なまでに静かな警視庁がですか?」
右京「えぇ、ここは東京都の治安の要とも言える場所ですよ。
それなのに僕たちは先ほどから誰とも遭遇していない、門番にいるはずの制服警官すら
いないのはどう考えてもおかしい事じゃありませんか!」
カイト「まさか俺たちに内緒でみんなで避難訓練をしているわけじゃ…ないですよね。
さすがにそこまで特命係ハブられてませんし…」
右京「とにかくキミは特命係の部屋に戻っていてください、僕は鑑識の方へ行きます。
米沢さんからの結果を聞かなければいけませんからね。」
カイト「わかりました、杉下さん気を付けて!」
~特命係~
カイトは特命係の部屋まで戻って来れたがここにも誰もいなかった。
カイト「まぁ…ここは俺と杉下さんしかいないから当然だけどさ…隣の組対5課の人たちまで
いないとかおかしいだろ…」
ガタッ ガタガタ
その時部屋の隅っこから物音がした、気になったカイトが覗いて見るとそこにいたのは…
カイト「あの…陣川さん?こんなとこで何してんですか?」
陣川「おぉ!甲斐くん!よかったぁ~、ようやく人に会えた!」
カイト「それよりも何でこんなに人がいないんですか?」
陣川「知らないよぉ!気付いたらみんないなくなってたんだよ!?」
カイト「えぇ!?」
ガサッ
陣川「あれ?誰か部屋に入って来たぞ!」
カイト「あれは…角田課長!それに大木さん、小松さんも!」
角田『…』
大木『…』
小松『…』
部屋に入ってきた人物、それは確かに角田たち組対5課の刑事たちだった。
しかし明らかに様子がおかしい、まるで生気を取られた抜け殻のようであった。
~鑑識係~
一方右京は米山に鑑識の結果を聞きにきていたがこちらも無人であった。
米沢の机にあるのは右京が依頼した調査結果の報告書、それにその際に右京が貸した
伽椰子の日記のみであった。
右京「米沢さんの報告書…やはり採取された指紋は佐伯伽椰子のモノでしたか。
しかし既に死亡した彼女が何故徳永家の固定電話に指紋を残したのか…」
その時であった。
ヴィー、ヴィー、ヴィー、
右京の携帯が鳴った、右京に連絡してきた相手は…
右京「もしもし、神戸くんですか、お久しぶりですね。約一年ぶりでしょうか?」
神戸『お言葉ですが…挨拶は省きます、杉下さん…今すぐ警視庁から逃げてください!』
右京「それは…どういう事なのですか?」
神戸の不気味な連絡を受けたと同時に右京の周りには…
伊丹『…』
三浦『…』
芹沢『…』
米沢『…』
内村『…』
中園『…』
大河内『…』
普段右京と接する警察官全てが伽椰子に呪われてしまい亡者と化していた姿で溢れていた。
神戸『警視庁は佐伯伽椰子によって呪われてしまいました!すぐに逃げてください!!』
とりあえずここまで
お待たせしてすみません
ジェットコースターみたいな展開になりました。
え~みなさんに誤解の無いように言っておきますが伊丹さんたち全員死にました。
横島「警視庁っすか、なんでそんなとこに。まさか脱税がばれて・・」フゴ
美神「警察庁の神戸って人からの依頼で警視庁を乗っ取った悪霊退治にいくのよ。」
おキヌ「悪霊なら任せてください。」
~特命係~
亡者と化した角田、大木、小松は部屋に居るカイトと陣川に襲い掛かろうとしていた。
カイト「あの…角田課長?その…大丈夫ですか?」
陣川「か…甲斐くん…その人たち…おかしくないか…」
角田『あ゛…ああああ…あ゛…あああ…』
角田はカイトの首を絞め殺そうとしてきた、その時…
ドガッ
右京「どうやら間に合いましたね!」
カイト、陣川「「杉下さん!?」」
角田たちを押しのけ右京がカイトと陣川のピンチを救いに来た。
右京「カイトくん!大丈夫でしたか?おや…陣川くん…キミまでいるとは…ここはもう危険です!
脱出しますよ!」
カイト「けど杉下さん!これはどういう事なんですか!?」
右京「わかりやすく説明すると特命係が本当に警視庁の陸の孤島になってしまったのですよ!」
カイト、陣川「「えぇ!?」」
特命係の部屋を抜け出し地下の駐車場まで向かうがその道中…
岩月『あ゛…あああ…』
小田切『あ゛ああああ…』
カイト「嘘だろ…サイバー犯罪対策課の岩月さんと小田切さんまで…」
右京「どうやら彼らだけではありませんよ、あちらを見てください。」
陣川「別方向にも人が…けどあれって!?」
カイト「そんな…いや…まさか…冗談じゃないぞ…」
カイトが目にしたのは警視庁警視総監である田丸寿三郎、それに警察庁長官である金子文郎。
そして…
甲斐『あ゛あ゛ああああ…』
カイト「アレは…親父…俺の親父が…」
カイトの父であり警察庁次長でもある甲斐峯秋、警察を代表する官僚が亡者と化した姿がそこにあった。
陣川「バカな!警察の幹部が何でこんな…」
右京「そういえば今日は警視庁で幹部職員の定例会議がありましたね、それに警察庁の
金子長官や甲斐次長までが参加してたとは予想外でしたが…」
カイト「なんなんだよクソ親父が!アンタこんなとこで何をしてんだよ!?」
右京「彼らに何を言っても無駄です、既に彼らはこの世のモノではないのですからね。」
カイト「チックショー!!」
カイトの叫びも虚しく亡者と化した幹部職員たちが襲ってきようとした。
甲斐『あ゛…あああ…』
田丸『あ゛あああ…』
金子『あ゛ああああ…』
そんな時だった…
ブロロロロロロンッ!
駐車場に黒のGT-Rが現れ右京たちを襲ってきた甲斐次長たちを跳ね除けた。
神戸「杉下さん!乗って!」
右京「神戸くん!?」
陣川「ソンくん!グッドタイミングだよ!」
カイト「え?誰?」
右京たちは神戸のGT-Rに乗り込み亡者の巣と化した警視庁を後にした。
カイト「親父…チクショウ…何でこんな事に…」
陣川「甲斐くん!今は堪えるんだ!」
右京「神戸くん、先ほどは助かりました。どうもありがとう。」
神戸「本当はもっと早く駆けつけたかったんですけど…警察庁に移動になってしまったので
旧佐伯家で起きた事件を知ったのが今日の報道で知ったばかりだから…」
右京「既に伊丹さんたちもヤラれてしまいました、そちらの警察庁はどうですか?」
神戸「駄目ですね、既に警視庁と同じで無人の状態ですよ…」
陣川「そんな…警視庁と警察庁が壊滅の被害を受けたらこの東京はお終いですよ…
犯罪者たちによる無法地帯になってしまうじゃないですか!?」
神戸「その心配はないと思いますよ。」
カイト「それってどういう事ですか?」
神戸「こういう事だよ!」
神戸は車に搭載されているカーTV、それにラジオを付けた。
だがどのチャンネルを回しても放送中止になっているという異例の事態であった。
それどころかまともに車を走らせているのは神戸の運転している車のみで、
他の車はガードレールにぶつけていたりあるいは無人のまま放置されていたりと、
まるで右京たち以外の東京都民はみんないなくなってしまったかのようであった。
神戸「実は杉下さんたちと合流する前に…鈴木響子さんと信之くんの消息を探ったんですけど…」
右京「どうでしたか?」
神戸「響子さんは精神病院を抜け出し行方不明で、信之くんは…とりあえず保護者の親戚の方に
携帯番号を聞き出したんですけど通じなくて…」
右京「わかりました、僕が掛けてみましょう。」
トゥルルルル トゥルルルル
右京「おや、繋がりましたね。もしもし、鈴木信之くんですか?お久しぶりです。
警視庁の杉下ですが…」
信之『『助けて!!!!』』
右京「信之くん!?」
信之『あの女の人が…襲ってきた…それも一人なんかじゃない!たくさん…あぁ…そんな…
うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?』
右京「信之くん!信之くん!?」
それっきり信之からの連絡は途絶えた、だがすぐに返事が返ってきた、しかしそれは信之からの返答ではなかった。
『あ゛…あ゛…ああああああ…』
ガチャッ
右京「ダメです!信之くんも手遅れでしょうね…」
神戸「クッ!それともうひとつ杉下さんに知らせたい事が…ですがこれは後でお伝えします。」
右京「?」
カイト「杉下さん!この事態は一体何なんですか!?」
陣川「そうですよ!説明してください!」
右京「そうですね、この事件の犯人は…佐伯伽椰子!」
神戸「佐伯伽椰子は5年前から人々を呪い殺し…それを糧に力を付けてきた、そういう事でしょうね。」
カイト「ちょ…ちょっと待ってください!佐伯伽椰子って5年前に殺された女性の事でしょ!
一体どういう事なんですか!?」
右京「全ては…旧佐伯家に行けば判明する事ですよ!」
神戸「…」
こうして右京たちは一路旧佐伯家へと向かったがその道中で…
陣川「なるほど、伽椰子さんは失恋してしまいおまけに旦那さんにも暴力を振るわれていた訳か…」
カイト「いや…暴力というか殺されてますから…」
陣川「キミにはわからないのか!彼女はずっと苦しんでいたんだよ…だから僕は…
彼女の事を理解できるんだよ!」
陣川に事件の詳細を説明していた矢先の事であった、後ろから猛スピードでやってくる車が現れた。
その車に右京は見覚えがあった。
カイト「何だあの車?」
陣川「きっと僕たち以外にも生存者がいたんですよ!」
右京「待ってください!あの車は…捜査一課の…伊丹さんたちの車ですよ!?」
伊丹『あ゛ああああ…』
芹沢『あ゛あ゛ああああ…』
ドンッ!!
神戸「うわっ!追突させてきたなんて!?」
カイト「ちょっ!伊丹さんやめてください!」
カイトは伊丹にやめるよう訴えるが既に亡者と化した伊丹にその言葉は届かない。
それどころか…
ドンッ! ドンッ!!
神戸「まずい…あっちは加減無しですよ…」
カイト「なんとか振り払えないんですか!」
神戸「わかった…うん?」
神戸はアクセルを踏もうとしたが足に何か違和感を感じてしまい踏めなかった。
それどころか伊丹の車がまたもや追突してきて神戸のGT-Rは横転してしまった。
ドン!ガラ ガッシャーン!!
カイト「痛てて…」
右京「全員大丈夫ですか?」
陣川「ぼ…僕は大丈夫です!」
カイト「は…早く車から降りましょう…ここまで来ればあの家は目と鼻の先ですよ!」
陣川「それじゃあ早く降りましょう!」
右京、カイト、陣川の三人はすぐに横転したGT-Rから降りたが神戸だけが降りれなかった。
右京「神戸くん!キミも早く降りてください!」
神戸「いえ…僕は後から行きます…杉下さんたちは一足先に旧佐伯家に向かってください!」
カイト「けど…こんなとこに置いていけないですよ!」
神戸「いや…僕は足を捻ってしまったらしくてね、いいから急いで!早く!」
神戸の言う通りここでグズグズしている暇は無かった、既に先ほど車をぶつけてきた伊丹たちが
車から降りてきて右京たちのところへ向かってきたのだから。
右京「わかりました、絶対に来てくださいよ。」
カイト「ちょ…杉下さん!?」
右京「伊丹さん!僕たちはこっちです!こっちに来なさい!!」
陣川「そうか!僕たちに注意を向けさせるために…!」
カイト「ほら!伊丹さん!こっち来てくださいよ!ほらほら!」
こうして右京、カイト、陣川の三人は伊丹たちの注意を引くために敢えて目立つように
行動した。
しかし…
神戸「杉下さん、行ってくれたか…実は言いそびれてしまいましたがさっき話そうと
したのは亀山さんの事なんですよ。
以前杉下さんから亀山さんもあの家に入った事を聞いたので調べたら昨日亀山さんは…
サルウィンで…変死体で発見されたって…すみません…言えなくて…」
それから神戸は先ほど踏めなかったアクセルペダルに視線を送る、そこにいたのは…
『ア゛…アアアア…ア゛アアアアア…』
亡者と化した男がずっと神戸の足を掴んでいた、その男の正体は…
神戸「あなたは城戸充…まさかこんな形で再会するなんて…
これも因果応報ってヤツかな…杉下さん…この未来を絶対に変えてください…」
城戸『ア゛…アアアア…ア゛アアアアア…』
亡者の城戸が神戸に奇声を発する、悍ましい声が上げられた次の瞬間、GT-Rの運転席に神戸の姿は無かった…
とりあえずここまで
説明します、現在右京さん、カイトくん、陣川さん以外の相棒レギュラーは全員死にました。
そしてネタバレ
※このSSはハッピーエンドで終わらせます。
~旧佐伯家~
伊丹たちの追っ手を撒き無事に旧佐伯家に辿り着いた右京、カイト、陣川の三人。
家の中に入るがやはりそこに人の気配はなかった。
カイト「やっぱり誰もいませんね…」
陣川「ソンくんは大丈夫でしょうかね?一応我々が囮になって引き付けといたはずなんですけど…」
右京「さぁ…無事だといいのですが…おや?今に誰かが倒れていますね。」
カイト「アレは…理佳さん!?理佳さん大丈夫ですか!」
理佳「う…うぅ…ん…」
右京が発見した人物は理佳だった、倒れていた理佳を介抱し事情を聞いた。
理佳「あれ?私どうしてこんなところに…」
カイト「聞きたいのはこっちの方ですよ、何で理佳さんがここに?
俺たちと別れた後どうしたんですか?」
理佳「あなたたちと別れた後にこの家の事が気になって来てみたんですけど…
それから…何で倒れたんだろ?」
戸惑う理佳であったが右京はそんな彼女の手の中にあるモノを発見する。
右京「あなた…何か掴んでいますけど何を持っているのですか?」
理佳「え?掴んでいるって…本当だ!けどこれって…」
彼女が掴んでいたモノ…それは…
―尋ね人―
警視庁特命係:杉下右京警部
同所属:甲斐亨巡査部長
特命係の右京とカイトの尋ね人の手配書であった。
カイト「なんだこりゃ!?」
右京「おやおや、これは手の込んだ事をしますね…」
陣川「なんだか気味悪いですね、とりあえず居間の灯りを付けますね。」
パチッ
陣川「うわっ!?」
右京「これは…」
驚くのも無理はなかった、居間には理佳が持っていた右京とカイトの手配書がそこら中に
貼り付けられていたのだから…
カイト「これってどういう事なんですか…」
右京「恐らく警告でしょう、我々に逃げ場は無いとそう伝えたいのでしょうね。」
カイト「クソッ!隠れてないで出て来いよ!」
右京「そうですね、隠れてないで出てきてもらいましょうか。ではみなさん、2階に移動しましょう。」
こうして右京の指示する通り全員2階の…あのガムテープが貼られていた押し入れのところまで上がった。
右京「さて、それではこの事件の真相を僕なりに推理してみました。
いくつか超常現象的な面も含まれますがそこは予め了承してください。」
カイト「さっき車の中でこの事件の犯人は佐伯伽椰子だって言いましたけどアレって本当なんですか?」
陣川「バカな…大体伽椰子さんは5年前に亡くなっているはずじゃ!」
右京「恨み…怨念…彼女は非業の死を遂げた人物です、恐らくこの世の全ての人間を
恨まずにはいられない、だからこそ彼女は死んでもなお人を…いえ…この世を恨み続け…
このような恐慌に及んだのでしょう。」
カイト「そ…そんな悪霊みたいなのが犯人じゃ居場所なんて特定出来ないじゃないですか!?」
右京「いえ、居場所なら特定は出来ます。ところで話は変わりますが…
仁科さん、あなた先日恋人に別れ話を持ちかけられたそうですね。」
理佳「え…えぇ…けどそれが何か?今のこの事態と関係があるんですか!」
理佳はそう力強く訴えるが右京の視線は押し入れの方に視線を送った。
右京「この押し入れの奥で…つまり屋根裏で徳永夫妻の遺体は発見されました。
彼らはどうしてあんな場所で死んでいたのでしょうかねぇ、僕はその事についてずっと
引っ掛かっていました。」
理佳「な…何が仰りたいんですか?」
その時…
ドテッ!
―「うわっ!?」
―「痛っ!?」
二人の男の声が1階から聞こえてきた、
右京「おや?誰かこの家に入ったのでしょうか?」
カイト「俺…確認してきますよ!」
陣川「あ、僕も一緒に行くから。」
2階に右京と理佳を残し、カイトと陣川は1階の声がした方へと向かった。
そんな二人を見送った後に理佳の前で右京の推理は続けた。
右京「さて、思わぬ邪魔が入りましたが僕の推理を続けましょうか。
理佳さん、僕はこう思っています。屋根裏で死亡した徳永勝也さんは誰かに操られていたのではないかと。」
理佳「操られていたってどういう事ですか?」
右京「いえ、操られていたというよりも正確には憑りつかれていたと言うべきでしょうね。
何故ならいくら悪霊でも成人男性や女性を2階に持ち上げるのは困難でしょう。
ですが…勝也さんが自分から入ったとなれば話は別です、それならば何の困難にもなりませんからね。」
理佳「そんな…馬鹿げている…証拠はあるんですか?」
右京「勝也さんは亡くなる前日に妹の仁美さんと会っていたそうです。
彼女の証言によると彼は亡くなる前に、
『俺はあの女に騙されていた』『俺の子じゃない』と言っていたそうです。
しかしこの言葉は勝也さんに当てはまりません。
何故ならば徳永夫妻にお子さんはいませんからねぇ。」
理佳「ハイ…私も徳永夫妻に子供はいないって甲斐さんから聞きましたから…
きっと錯乱状態だったんじゃないんですか?死ぬ前だった訳だし…」
右京「なるほど、錯乱状態ですか、確かに考えられなくもない…
しかし僕はこの言葉に当てはまるある人物を存じています。」
理佳「だ…誰なんですか?」
右京「その人物は…佐伯剛雄…5年前この家で妻を惨殺した男です。
彼は精子欠乏症で息子の俊雄くんが自分の子ではないと疑っていました。
つまり彼にならこの『俺はあの女に騙されていた』『俺の子じゃない』という言葉が
見事に当てはまるんですよ!」
理佳「つまり杉下さんは何が言いたいんですか…」
右京「徳永勝也は死ぬ直前…佐伯剛雄に憑りつかれていた、僕はそう思っているんですよ!」
理佳「ハァ!?」
理佳が驚くのも無理はなかった、幽霊に憑りつかれたなんて到底警察官の言葉とは思えなかったからだ。
理佳「あの…杉下さん…この状況でふざけるのはやめてもらえますか?」
右京「僕はふざけてなんていませんよ、現にこの事態を引き起こしているのが悪霊なら
色々と辻褄が合うじゃないですか!
亡者となった人を従わせてこの都内を地獄絵図の如く支配しているのですからね。」
理佳「仮に勝也さんが憑りつかれていたとしてそれがどうしたというんですか?
勝也さんが亡くなった今じゃそんな事言っても無意味でしょう!」
右京「いいえ、無意味などではありませんよ、大事なのはここからなのですから…
仁科さん、あなたは三日もこの呪われた家に居てよく助かりましたね。
警視庁なんて既に亡者の巣と化していますよ、佐伯伽椰子にはあなたを殺す機会がいくらでも
あったはず、それなのにあなたは未だに生かされている…何故でしょうかね。」
理佳「そんなのわかりませんよ!偶然じゃないんですか!?」
右京「いいえ、偶然ではありません。あなたと佐伯伽椰子にはある共通点があったのですよ!」
理佳「共通点?」
右京「それは…あなたは恋人に別れ話を切り出されたように佐伯伽椰子自身も…
かつて想い人であった小林俊介という男性を愛していました。
しかし自身の家庭の都合で彼と離れ離れになる事になり…本来なら好きでもない男性と
結婚する羽目になった…だからこそあなたは…」
右京「佐伯伽椰子に憑りつかれてしまったのですよ!」
理佳「わ…私が佐伯伽椰子に?何を言ってるんですか!?」
右京「あなたが佐伯伽椰子に憑りつかれているなら話は簡単なのですよ。
徳永夫妻が屋根裏で死んだ後に佐伯伽椰子に憑りつかれたあなたがこの押し入れの
ガムテープを貼ればいい、至って単純な事だったのですよ!」
理佳「ちょっと待ってください!私が憑りつかれているという証拠があるんですか!?
まさかそんな…失恋した程度で決めつけたわけじゃないでしょうね!!」
右京「あなたが介護センターで担当している吉川さん、彼の行動がヒントになりました。
僕たちが会いに行った時、彼はずっと『いないいない…バァ~!』とまるで子供を
あやしている真似事をしていましたね。」
理佳「それは…あの人は認知症気味だから…」
右京「確かにそうでしょうね、しかし彼には見えていたとしたらどうでしょうか。
実はあの場にもう一人人間がいて…その人間が子供で…さらにその子供が…
佐伯俊雄くんだとしたら!」
理佳「そんなのあり得る訳が…」
右京「いいえ、あり得ます!あなたが俊雄くんの母親である佐伯伽椰子に憑りつかれていたとしたら
俊雄くんがあなたの周りに居た事が充分納得がいくのですよ!
俊雄くんは父親である佐伯剛雄に虐待されていました!そんな彼の唯一の味方が恐らく…
母親である佐伯伽椰子だったはず!
そんな頼れる母親の霊に憑りつかれたあなたの周りに俊雄くんが居た、なんら不思議ではないはずですよ!」
理佳「アハハハハハハ!杉下さんって本当面白い方ですね!私が…憑りつかれたとか…
そんな…馬鹿げた事…真顔で言うんだもの…」
右京「では…もうひとつ言っておきましょうか、この僕たちの尋ね人の手配書…
幽霊がそんな物作りますかね。
あなたが作ったのではありませんか?いえ…正確に言えば佐伯伽椰子によって作らされた
のでしょうが…」
理佳「アハッ!アハハ…アハハ…ハハ………」
理佳は右京の推理を聞き馬鹿笑いするがその笑いがピタリと止む、代わりにある声が
聴こえてきた。
あの悍ましい声が…
理佳『あ゛…あ゛あああああ…』
右京「姿を現したようですね、仁科さん…いえ佐伯伽椰子!」
右京の言った通り仁科理佳は佐伯伽椰子に憑りつかれていた、右京の推理を聞いた後
彼女は伽椰子の使役する亡者に豹変した…
理佳『あ゛…あ゛あああああ…』
亡者と化した理佳は右京に襲い掛かろうとするが…
右京「悪いですが…ここでやられる訳にはいかないんですよ!」
ガチャッ!!
右京は2階の部屋を閉めて憑りつかれた理佳を閉じ込める、その間に先ほど
1階に確認に行ったカイトと陣川と合流しようとする。
その頃カイトと陣川は…
カイト「さっきの声は誰だったんだ?」
陣川「まったくあっちもこっちもおかしな事態が続いてこの家は一体どうなっているんだ?」
陣川「そういえばさっき居間の灯り消しちゃったな、薄暗くて誰だかわからないぞ」
カイト「あ、さっきの居間から声が聞こえますよ!大丈夫ですか?」
―「あぁ、大丈夫…大丈夫…」
―「痛たた…急にこの人と頭ぶつけちゃって…あなた大丈夫でしたか?」
―「えぇ…大丈夫ですよ、すいませんねぇ頭ぶつけて…」
カイト「無事な人たちがいてよかった、もう大丈夫ですよ、俺たち警察ですから!」
―「え?警察?俺も警察だよ!」
―「お言葉ですが…僕も警察官です。」
カイトが見つけた男たちは二人組のようでお互い初対面らしい、おまけに身分は
双方同じく警察官だと告げた。
カイト「けどあなたたち徳永さんの家に上り込んで何をしてたんですか?」
―「徳永さん?何言ってんだ?ここは佐伯さんの家だろ?」
―「ちょっと待ってください!ここは北田さんのお宅でしょう?」
「「え?」」
カイト「佐伯と北田って確か…昔この家で事件に合った家族の名字じゃ…」
―「お言葉ですが…佐伯って確か…夫が妻を惨殺した家庭の事じゃ…」
―「ちょっと待て…あんたら何でそんな事知ってんだ?俺たちはその捜査に来たってのに…」
陣川「なんだか会話が噛み合わないですね…」
陣川の言う通り、突然この家に現れた二人の話はまったく噛み合っていなかった。
一人はここは北田の家だと言い、もう一人はここは佐伯の家だと言い…
まるで古い情報を持ってやってきたような感じがした。
カイト「と…とりあえず…あなた方はこの家に何の用があって来たか教えてもらえますか。」
―「俺は…ここの主人の佐伯剛雄が殺人を犯した可能性があるから令状取って捜査しに来たんだよ!
俺は1階を探してたんだがそしたら居間で『ミャー』っていう猫の鳴き声がして…
行ってみたらこの人とぶつかったんだ。」
―「あなた…一体何年前の話をしてるんですか?それ3年も前の話でしょう!
ちなみに僕はこの家に住む北田夫妻にお話を聞きに来たんですけど…
そうだ…台所で旦那さんの死体を見つけたんですよ!
けどその後…奥さんにフライパンで殴られて…それでもなんとか立ち上がって
奥さんが向かった居間に行こうとしたらこの人とぶつかったんですけど…」
カイト「な…なんだかアンタたちの話どっかおかしいんだけど…
特にアンタ…佐伯さんの事件が3年前じゃないだろ!あの事件はもう5年も前に起きたんだぞ!?」
―「そんな馬鹿な事を言わないでくれよ、佐伯家の事件は杉下さんから聞いた話なんだからね!」
―「おいアンタ!右京さんと面識があるのか!?」
―「えぇ、当然ですよ。なんせ僕は杉下さんの相棒ですからね!」
―「なにぃ!?」
カイト「あ…アンタが杉下さんの相棒!?」
―「バカ言ってんじゃねえ!右京さんの相棒は俺だろ!」
カイト「いや…杉下さんの相棒は俺だから!」
この二人の男はそれぞれ別の事情でこの家にやって来ているようだがどういう訳だか
二人とも自分が右京の相棒だと言い張っていた。
陣川はその光景を傍から見ていたがその二人に見覚えがある気がした。
そこで陣川はある提案をした。
陣川「このままじゃ埒が明かないな…そうだ!所属と名前を教え合うってのはどうだろうか。
それなら何かわかるかも!」
カイト「なるほど、それはいい考えですね。」
―「まぁそれなら!」
―「いいでしょう、これでスッキリするはずですからね。」
陣川は部屋の明かりを点け、彼らは各々の所属を明かした。
カイト「警視庁特命係の甲斐亨!」
神戸「警視庁特命係の神戸尊です!」
亀山「警視庁特命係の亀山薫だ!」
………
「「なにぃ!?」」
陣川「亀山さんにソンくん!?ていうかソンくん生きてたんだね…よかった!」
ギュムッ
神戸「ちょっと陣川さん!急に抱きつかないでくださいよ…ていうか生きてたってどういう意味ですか?」
カイト「亀山さんって確かサルウィンに旅立ったていう人でしょね、どうしてあなたがここに?」
亀山「ちょ…ちょっと待ってくれ!特命係って俺と右京さんしかいないんだぞ!
何でアンタらが特命係なんだよ!?」
突然現れた亀山と神戸、だが彼らの言動は明らかに現状とは不一致な点が見られた。
これはどういう訳なのか、彼らが戸惑う中その答えを知る人間が現れた。
右京「なるほど、そういう事でしたか。これで長年の謎がようやく解けました。」
亀山「右京さん!」
カイト、神戸、陣川「「杉下さん!」」
カイト「長年の謎って何の事ですか?」
右京「それをこれから確認します、亀山くん、キミはパスポートを出してください。
そして神戸くんはパンチ穴の付いた免許証を出してください。」
右京は亀山と神戸が出したパスポートと免許証を見てある確信に至った。
右京「やはり僕の思った通りです、それでは説明しましょう。
亀山くん、神戸くん、キミたちはこの時代に…過去の世界からこの未来に
タイムスリップしてしまったのですよ!」
亀山、神戸「「えぇー!?」」
カイト「それってどういう事なんですか?」
陣川「説明してください!」
右京「ではまずこの亀山くんのパスポートを見てください、入国スタンプが押されるところ
何も無い…真っ新な状態じゃないですか。」
亀山「そ…それがどうかしたんですか?」
カイト「なるほど、もしここにいる亀山さんがこの時代の亀山さんならサルウィンの
入国スタンプが押されているはずですからね!」
右京「そう、その通りです!それなのにこのパスポートには入国スタンプが無い…
つまりここにいる亀山くんはサルウィンには旅立つ前だという何よりの証なんですよ!
次に神戸くん…キミです、キミのこの免許証…パンチ穴が空けられたのは2011年ですね。」
神戸「えぇ、杉下さんもご存じのはずですよ。」
亀山「2011年?今は2008年でしょ!何で3年も月日が流れているんですか!?」
神戸「2008年って…今は2011年でしょ、あなたこそ何を言って…」
カイト「いや…今は2013年ですよ…」
亀山、神戸「「…」」
右京「2011年に僕が神戸くんと一緒にこの家に来た際にキミはこのパンチ穴の付いた免許証を
必要以上に見せつけてましたからね。
こんなパンチ穴のついた免許証をいつまでも持ち歩く必要がありませんからね。
以上が亀山くんと神戸くんが過去の世界からタイムスリップした証拠ですよ。」
亀山「…という事は…右京さん…あなたは…」
神戸「僕たちの知っている杉下さんではなくて…」
右京「僕はキミたちの知る杉下右京ではなく未来の杉下右京なんですよ。」
亀山「いや…それにしても右京さんや陣川さんは全然変わんないから実感ないですね…
しかし…この二人が俺の後任なら…俺は2013年にはもう特命を辞めちゃっている訳なんですね…」
神戸「僕も…2013年には特命を辞めているか移動になっていると…
そういう解釈になるんでしょうか?」
右京「えぇ、二人とも特命係を去って今はこちらのカイトくんとやっています。」
カイト「あの…その…こんな形で先輩方にお会いするとは思いませんでした…」
亀山「いや…俺も…まさか未来にタイムスリップして後輩に会う事になるとは思わなかったよ…」
神戸「なんというか貴重な体験ですね…」
亀山、神戸、カイトの三人の歴代相棒が挨拶を交わす中陣川がこの事態について右京に問い質した。
右京「恐らくこの現象は…この家が原因でしょう、この家に溜めこまれた呪いの力が
増大してしまい時空が歪められた、結果過去の世界から亀山くんと神戸くんがやって来てしまった。
恐らくこういう事だと思われます。」
亀山「ここが未来の世界…教えてください右京さん!一体未来で何が起こったというんですか!?」
右京「それは…こういう事が起きたのですよ!」
右京が居間の窓を指差すとそこには…
伊丹『あ゛…ああああ…』
三浦『あ゛あ゛…ああああ…』
芹沢『あ゛あ゛あ…あああ…』
亀山「伊丹!三浦さん!芹沢!?」
角田『あ゛ああああ…』
米沢『あ゛…ああ…』
大河内「あ゛…あああああ…」
神戸「角田課長に米沢さんも…それに大河内さんまで…これはどういう事なんですか!」
亡者と化した伊丹たちが居間の窓に這い蹲り、すぐにでも中に入ってきそうな勢いで
迫ってきていた。
陣川「僕たちが気付いた時には…この世界はこんな地獄に…」
カイト「俺たち以外の人間はもう…無事じゃないでしょうね…」
亀山「何なんだよこれは…」
神戸「一体何でこんな事に…」
右京「佐伯伽椰子…そしてその息子である俊雄くんの仕業に間違いないでしょうね。
思えば事の発端は彼らに合ったのですから。
佐伯伽椰子は夫の剛雄の手により無残な死に方をした。
そしてその恨みを晴らすために剛雄を殺害するもののそれだけでは恨みは収まらず、
この家に関わる者を次々と殺害していった。
この家で事件が起こるたびに警察関係者、報道、更には興味本位でこの家に
肝試し気分で訪れる者たちが現れる。
佐伯伽椰子はそうした人々を次々と呪い、その呪われた人々がさらに呪いを増やし…
それが広まって…このような事態にまで発展してしまったのでしょう。」
亀山「なんてこった…じゃあ美和子やたまきさん…それに官房長までこんな風に
なっているって事ですか!?」
右京「…」
神戸「お言葉ですが…官房長は既に亡くなっています。
2010年に刺されてしまい…だから今回の件とは関係ないと思いますよ。」
亀山「か…官房長が亡くなってる!?マジかよ…」
右京「神戸くん、それ以上は…亀山くん…今僕らに出来るのは彼女たちの
安否を気遣う事ではありません、一刻もこの事態を収拾する事ですよ!」
カイト「けどこの事態を収拾するってどうすればいいんですか!俺ら霊能力者でもないし…」
陣川「そうですよ!いくら僕たちが警察官だからってこんな超常現象を解決させる方法は…」
右京「ひとつ方法があります、しかしこの方法を行うにはある人物の協力が不可欠です!」
神戸「ある人物?」
亀山「右京さん…その人物って誰なんですか?」
右京「神戸くん、やはりキミ…持っていましたね、その絵…」
神戸「絵?あぁ…この子供が描いた絵の事ですか、そういえばずっと握り締めたままだったな。」
右京は神戸が持っていた俊雄の描いた絵とそれに自分が所持している伽椰子の日記を持ち出した。
カイト「そんなモンを一体どうする気ですか?」
右京「この二つの品はこの家の呪いの集合体、謂わばこの家の呪いの象徴とも言えます。
そして…佐伯伽椰子と同じくもう一人この呪いを生み出す元凶である…そう…」
ギシギシッ ギシギシッ
右京が推理を語っている時であった、居間のソファーを揺らしている音がした。
全員が気になりその音の方を見るとそこにはいたのは…
陣川「うわっ!?」
亀山「なっ!子供!?」
神戸「まさかこの子供は…」
カイト「杉下さん…この子供ってもしかして!」
右京「やはり…この家で二つの品が揃えばキミが現れると思っていましたよ。
母親である佐伯伽椰子と共に幾多の人間を呪い続け…そしてこの大惨事を引き起こした
もう一人の張本人…佐伯俊雄くん!!」
俊雄『ミャー!!』
そう、現れた少年の名は佐伯俊雄。
5年前行方不明となり現在も捜索が続けられている佐伯伽椰子の一人息子であった。
とりあえずここまで
続きは深夜にでもできたらいいなと…
たぶんですが読んでる方は状況がこんがらがっていると思いますが
後でわかりやすく解説しますので…今はご勘弁ください
乙。
最初の方で亀山や神戸が右京に言ってた内容がここで回収された。
是非、>>1の作ったプロットが見てみたい。
―――
――――
――――――
そこは薄暗い場所…
―『ハァ…ハァ…』
ガリッ ガリッ
中年の男がいた、その男はとても苛立っていて自分の爪を噛みストレスを和らげている。
―『あぁ…やめて…お願い…』
もう一人…女もいた、命乞いをしている、何故彼女は命乞いをしているのだろうか…
―『お前は俺を裏切った!あの子は俺の子じゃなかったんだ!』
―『ちがう…ちがうの!?』
―『黙れぇぇぇぇ!!』
男は持っていたナイフを振り降ろし、女を殺そうとした!
だが…
「「待ちなさい!!」」
ガシッ
―『な…なんだ!?』
男の強行は突然現れた5人の男たちにより防がれた、その男たちの正体は…
右京「どうやら間に合ったようですね。」
カイト「杉下さん、女性の方も大丈夫ですよ。怪我はしてるけど軽症です!」
―『に…2階に子供がいるんです…』
右京「わかりました、陣川くん!至急2階に行って子供の保護をお願いします!」
陣川「ハイ!」
陣川は右京の指示により2階にいるであろう子供の安全を確認しに行った。
その間に右京たちは先ほど女性を襲おうとした男に対して尋問を行っていた。
―『アンタら一体何者なんだ!?』
右京「申し遅れました、警視庁特命係の杉下と言います。」
カイト「同じく特命係の甲斐です。」
神戸「同じく神戸です。」
亀山「同じく亀山!また…会ったな、佐伯剛雄!」
剛雄「ハァ!?俺はアンタらと会った覚えなんて…」
亀山「あ゛ぁ!何言ってんだ?昨日会ったばかりだろ!」
剛雄「?」
右京「亀山くん、無茶を言ってはいけません。こちらの佐伯剛雄は僕やキミと
面識は無いのですからね。」
亀山「あ、そうか…」
カイト「え~と…あなたが佐伯伽椰子さんですよね、もう大丈夫ですから。」
伽椰子「ハ…ハイ…」
陣川「杉下さん、2階にいた俊雄くんは無事です!」
俊雄「…」
右京「どうもありがとう。」
剛雄「チクショウ…警察だと!令状も無しで勝手に他人の家に上がっていいのか!?」
亀山「うっせえ!自分の女房殺そうとしたくせに令状だとか一丁前な事言ってんじゃねえ!」
神戸「それに令状なんか無くてもこの状況下ならあなたを緊急逮捕できますのでどうぞご安心ください。」
剛雄「クッ!アンタら一体何で…」
剛雄は右京たちに何故この事態に駆けつける事が出来たのか問い質そうとしたが…
右京「あなたが疑問を持つのはもっともでしょうが…それはあなたが気にするべき問題ではありません。
それよりも…佐伯剛雄さん、あなたが妻である伽椰子さんを殺そうとした理由は…
この伽椰子さんの日記を読んだから…そうですね!」
剛雄「そうだ、その日記に書かれていた小林って男が俊雄の本当の父親なんだろ!」
亀山「だからってなぁ…奥さん殺すだなんて許されやしないんだよ!」
神戸「そうですよ!離婚でもして別れればいいんじゃ…」
剛雄「そ…それは…」
この時何故か剛雄は狼狽え始めたが右京は剛雄の顔をジッと見てある事を指摘する。
右京「眼球の充血具合、それに目の周りの隈や顔色、剛雄さん…あなた間違いなく麻薬常用者ですね。」
亀山「麻薬!?そういえば角田課長が佐伯剛雄を麻薬の容疑で令状取ってましたけど
まさか本当に麻薬をやってたなんて…」
右京「そして伽椰子さん…あなたもその麻薬のお零れを授かっていましたね!」
神戸「伽椰子さんまで!?」
右京「そうです、麻薬を所持しているヤクザ、暴力団の家庭ならその家族や身内まで
麻薬常用者になるケースが多いですからね。
妻である伽椰子さんも麻薬常用者であってもおかしくと思いませんか。」
亀山「なるほど…確かに…こんな日記を読んだら麻薬をやってて当然って感じがするな…」
カイト「両親が揃って…麻薬常用者って…アンタら何考えてんだよ!」
剛雄「俺だって子供が生まれてからは麻薬とは縁を切ろうとしたさ…
けど俊雄が俺の子じゃないとわかったら…目の前が真っ暗になって…
もう何を信じたらいいかわからなく…だから麻薬に手を出したんだ!」
伽椰子「…」
俊雄「…」
陣川「お前!?子供の前でなんて事を!」
落ち込む剛雄を見かねた右京は、かつて言えなかったもうひとつの真実を剛雄に告げようとした。
右京「剛雄さん、実はあの時…いえ…失礼しました、この時間軸のあなたに言うのは
初めてでしたか。とにかくお伝えしたい事があるのです。
あなたは恐らくこの日記に書かれている名前…つまり伽椰子さんの想い人である
小林俊介の名前、俊介の『俊』が俊雄の『俊』に使われていた事を知り伽椰子さんや
俊雄くんに虐待した、そうですね。」
剛雄「ああそうだ!それに俺は医者を問い質したら精子欠乏症だと言われて…
俺の身体じゃ子供が生まれるはずなんてないんだよ!」
亀山「そんなのは子供を殺していい理由にはなんねえんだよ!」
右京「亀山くんの言う通りですよ、それにあなたは危うく実の息子を殺すところだったのですからね!」
剛雄「俊雄が…俺の実の息子!?」
神戸「お言葉ですが…彼は精子欠乏症じゃないのですか?」
右京「確かに佐伯剛雄は精子欠乏症なのは間違いありません。
しかし、俊雄くんがあなたの息子なのは確かなのですよ!
この伽椰子さんの日記にはこう記されていました。
『自分はいつも臆病で小林君の目すらまともに合わせられない…』と!
つまり伽椰子さんと小林俊介さんはあなたが思うような関係ではなかったのです!
それと伽椰子さん、僕が思うに恐らく小林俊介さんはあなたが大学の同期だとすら
気づいてはいなかったと思いますよ。」
伽椰子「そ…そんな…」
右京の言葉にショックを受ける伽椰子、しかし右京の推理はさらに続く。
右京「僕は俊雄くんが生まれた産婦人科の病院に行ってきました。
そこで伽椰子さんの担当をした医師から話を聞いたのですが俊雄くんはとても低い確率で
生まれた…あなたの実の息子さんなのですよ!
もし僕が言っている事が間違っているというのならお望みならDNA検査でも
なされてはどうですか、間違いなくあなたの子であると判明しますからね!」
剛雄「じゃあ…俊雄は本当に俺の…」
右京「それにもうひとつ証拠があります、それは…名前です。
俊雄くんの『雄』の字、恐らくこの字はあなたの『剛雄』という名の『雄』から
取られたものではないのでしょうかね。
伽椰子さんもその事を承知で名前を付けたのではないのでしょうかね。」
剛雄「おい伽椰子!この刑事が言っている事は本当なのか?」
伽椰子「…」
伽椰子は暫く押し黙った後、剛雄に本当の事を告げた、それは先ほど右京が言った通り
俊雄が剛雄の子である事を…
伽椰子「そうよ…俊雄は紛れもなく…あなたの子よ…」
剛雄「よかった…俊雄が俺の子で…本当によかった…」
剛雄は安堵した表情になった、俊雄が本当に自分の子であった事に…
だがそんな剛雄とは違い伽椰子の表情は見る見る曇っていった、その訳は…
伽椰子「私は…本当は…小林くんとの子供が欲しかった…
アンタなんかこれっぽっちも愛しちゃいない…俊雄もただ生んだだけ…
せめて子供の名前に好きな人の名前を入れておきたかった…けど私にはそれすら許さなかった…」
俊雄「お母さん?」
神戸「ちょっと…どうしたんですか?」
彼女はそうブツブツと恨み言ばかりを呟き始め、そしてその矛先は息子の俊雄へと向かった。
伽椰子「俊雄…何故あなたはこんな男の子供として生まれてきたの?
私はこんなにも小林くんの事を愛しているのに何であなたはこんな男の子供として生まれてきたの?
あの女は…真奈美は…小林くんの子をちゃんと産めるのに…何で私は…
私は…私だって…小林くんの子供が欲しかったのにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!?」
俊雄「お…お母さん…」
カイト「お…おい!子供の前で何言ってるんだ!」
亀山「真奈美ってまさか…あの惨殺された小林真奈美さんの事か…」
右京「そのようですね、彼女は小林俊介さんの事をストーキングしてましたから、
その程度の事は把握してたのでしょう。」
伽椰子はその場で力強く叫んだ、その場にいた誰もが彼女の無念を直に感じたのだから…
しかしそんな中唯一人…伽椰子を一喝する人物がいた。
右京「「いい加減にしなさい!!」」
伽椰子(ビクッ!?)
亀山「右京さん!」
右京「あなたは俊雄くんの母親でしょう、そんなあなたが子供の存在を否定して
どうするというのですか!
そして剛雄さん、あなたは血の繋がりを疑い妻である伽椰子さんと実の子の俊雄くんを
殺そうとした!
これが……こんな事が……実の親のやる事ですか!!?」
伽椰子「あなたなんかに何が…」
伽椰子は右京の説教に対し反論しようとするが…
右京「「一人の大人として…いえ…親として恥を知りなさい!!」」
…と右京に激昂されてしまい、最早伽椰子に反論の余地は無かった。
右京「既にあなた方は良い大人なのです、恋や快楽に夢を見る時間は…終わったのですよ!」
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それから暫くして通報を受けて駆け付けた警察がやって来た。
その通報を受けて駆け付けた刑事たちとは…
伊丹「通報があって駆け付けてみれば…」
角田「まさかお前らだったとは…しかももう俺たちの出番殆ど無いじゃねーか…」
亀山「お二人ともご苦労様、事件は終わってるから。
犯人はこの佐伯剛雄!殺人未遂、麻薬所持でしょっ引いてくれよ!」
剛雄「…」
伊丹「匿名係の亀山ぁ!捜査一課を顎でこき使いやがって…窓際部署は大人しくしてろって
いつも言ってるだろ!」
亀山「誰が匿名係だ!?漢字間違えてんぞバカヤロウ!!」
三浦「それで犯人はこの佐伯剛雄という男に間違いないんですね。」
右京「えぇ、妻である伽椰子さんへの殺人未遂、息子である俊雄くんへの児童虐待、
さらには麻薬所持、とりあえずこれで立件出来るはずですよ。
ちなみに麻薬の方は2階の屋根裏にあると思われますので急いで確認お願いします。」
剛雄「な…何でその事を!?」
角田「よしわかった!大木、小松、行って来い!」
大木、小松「「了解!」」
角田「それにしても相変わらず行動が早いというか…俺らがやる事もう犯人連行する事しか
残ってないじゃんかよ、俺らにも少しは活躍させろよ亀ちゃん!」
亀山「いやぁ、それ程でもないんですけどね!でもいいじゃないですか。
手柄はそっちに渡してるんですから!」
伊丹「殺人未遂じゃなぁ!大した手柄にもならねえんだよ!」
芹沢「先輩…そんな不謹慎な事言っちゃ駄目ですよ!」
三浦「そうだぞ、こうして子供の命が助かったんだ。幸いだと思えよ!」
伊丹「まぁ…たまには亀でも役に立ったって訳か…」
亀山「うっせー!バーカ!」
右京「それと妻の伽椰子さん、彼女も麻薬常用している疑いがあります。
彼女も一緒に連行させてください。」
伽椰子「…」
角田「なんてこった、女房まで麻薬漬けかよ…子供がいるのに恥ずかしくないのか?」
伽椰子「あの…刑事さん…俊雄はどうしましたか?」
右京「先ほど近所の方があの子を預かってくれましたよ。」
亀山「こんな親が逮捕された光景なんて子供に見せるわけにはいきませんからね!
近所に住む鷲尾さんって家庭が俊雄くんを預かってくれてますよ。
落ち着いたら迎えに行ってあげてください。」
三浦「ああ、わかった!」
伽椰子「あぁ…ご主人が財務省の役人の…確かあそこの子と俊雄が昔から仲良かったっけ…
娘さんは何年か前に死んじゃったみたいだけどどうでもいいわ…」
右京「旦那さんはこれから長い刑期を…そして伽椰子さん、あなたも麻薬常用で暫くは
俊雄くんとは会えないでしょうね、今のあなたたちに俊雄くんを任せられませんからね。」
伽椰子「もうあの子の事なんてどうでも…」
既に伽椰子には希望なんて残ってはいなかった。
例え命が助かったとしても愛する小林俊介は自分とは違う他の女と家庭を持ち、
さらにはその女との間に子供まで出来た。
自分はというと…意中でもない男と結婚し子供を生み…さらには危うく殺されそうになり…
そしてこの苦しい現実を避けるために夫が所持する麻薬のお零れにありつく始末…
もう伽椰子に生きる望みは残っていなかった…
右京「果たしてそうでしょうかね、それではこの絵を見てもらえますか。」
伽椰子「この絵は…」
右京「えぇ、先ほど2階にいた俊雄君はあなたたち夫婦の似顔絵を描いていたのですよ。
そこにいるあなた方…恐ろしいような感じで描かれていると思いませんか。」
伽椰子「私たちが憎たらしいのでしょう…だからこんな絵を…」
右京「ですがこの絵には…他に誰もいないのですよ…
俊雄くんにはあなたたち両親しか…頼れる人がいないのです!」
亀山「そうですよ!アンタにはまだ息子がいるんだ!血の通った実の息子が!
アンタ母親なんだぞ!ちゃんと立ち直って…俊雄くんと人生やり直すんだよ!」
伽椰子「う…うぅ…うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
大勢の警察関係者の見守る中、伽椰子は号泣した。
今の彼女には後悔と…そして子供への申し訳なさでいっぱいだったのだから…
右京「それではあとはお任せします、我々はこの家でまだやる事があるので。」
亀山「じゃあな、ヘマすんじゃねえぞ。」
伊丹「うるせえ!後は調書取って送検するだけだ、ヘマしたくても出来ねえっての!」
そう減らず口を叩きながら右京と亀山は佐伯家へと入って行った。
三浦「それじゃ俺たちはさっさとこの二人を本庁に連れて行くか。」
伊丹「だな、角田課長まずはウチで殺人未遂の調書取るんで麻薬絡みはその後で…」
角田「おいおい…ちょっと待てよ!まずはこっちで調書を…」
伊丹と角田たちが口論しているその時だった。
ブロンッ
一台の車が現場に到着した。
その車から降りてきた二人の男たちにその場にいた誰もが驚きを隠せなかった。
右京「失礼、事件だと聞いてやって来たのですが…」
角田「へ?け…警部殿!?」
亀山「あれ?何かもう犯人逮捕されちゃってるみたいなんですけど…」
伊丹「か…亀山!?」
右京「どうやらそのようでしたね、僕たちの出る幕は無いようですよ。」
亀山「伊丹くん、たまには自分たちで犯人逮捕できるなんてスゴいねぇ♪
キミもやれば出来る子だったんだねぇ…ていうかお前なんで口開けてポカーンとしてんだ?
バカみてえだぞ!それより右京さん、これからどうしますか?」
右京「そうですねぇ、もう夜になりますのでこの後は花の里にでも行きましょうか。」
亀山「了解っす!じゃあな伊丹~♪」
ブロロロン
事件が早期解決したと聞くと右京と亀山はさっさとその場から立ち去ってしまった。
残った伊丹たちはというと…
伊丹「な…なぁ…今あいつら…家の中に入って行ったよな…」
芹沢「間違いないッスよ…俺ちゃんと見ましたから…」
三浦「じゃあ何で…車に乗って別方向から現れたんだ…」
角田「これってもしかして…ドッペルゲンガー?」
伊丹たちはさすがに混乱しさっさとその場を後にした。
そしてその光景を佐伯家の2階から見下ろすもう一人の右京と亀山がいた。
右京「どうやら…鉢合わせせずにすんだようですね。」
亀山「いやぁ、危なかったですね。
あと一歩遅かったら過去の俺たちと鉢合わせしてたかもしれませんでしたから。」
右京と亀山が話をしているとそこにカイトたちが現れる。
カイト「すみません、遅くなりました。」
陣川「警察車輌が引き上げてますけどもうみんな引き上げちゃうんですか?」
右京「まあそうでしょうね、犯人は逮捕しましたし証拠も押さえた。
これ以上この家に居る必要はありませんからね。
それよりも頼んでおいた事はやってもらえましたか?」
神戸「バッチリです、先ほど不動産屋の鈴木達也さんを訪ねてこの物件には関わらないようにと
念を指しておきましたから。
まあ警察の捜査が入っておまけに麻薬まで所持していたと因縁めいた事言っておきましたから
これで佐伯一家がこの家を手放す事になっても誰もこの家を購入しようとは思わないでしょう。」
亀山「じゃあ俺たちがこの時代でやるべき事は終わったわけですね。」
右京「そうですね、これでキミの未来は変わりますよ、佐伯俊雄くん。」
俊雄『…』
右京が名指しした少年、それは佐伯俊雄であった。
しかしその姿は先ほどとは違い生気を感じさせない白い肌で半裸の状態であった。
神戸「まさか…亡者の俊雄くんに頼んで僕たちを過去の…まだ犯行が行われていない世界に送ってもらうなんて…
通常じゃあり得ませんよ。」
カイト「こんな方法…裏技でしょ…」
右京「あの家で…時空が歪むほど呪いが満ち溢れていた状態だったからこそ出来た方法ですよ。
正直僕も成功するとは思ってもみませんでしたがね…
さて、俊雄くん。キミの人生はこれで再び生を受けられます。
ですからどうか…あの地獄の世界を…救ってくれませんか。」
カイト「頼む!」
神戸「キミも…この世界で僕たちを一緒に生きて行こう!」
亀山「そうだ!あんな真っ暗闇な世界…何も無いんだぞ!」
俊雄『…』
俊雄は暫く俯いたがすぐに顔を上げて、叫んだ。
俊雄『ミャー!』
するとどうだろうか、この家が真っ白な光に包まれ始めた…
カイト「何だコレ?」
陣川「ど…どうなってんですか!?」
右京「どうやら…それぞれの元の時代に戻る時が来たようですね。」
神戸「お別れ…ですね。」
亀山「そうみたいッスね…といってもまたすぐに右京さんとは会えるけど…」
右京「そうですね、ところで亀山くんに神戸くん…僕はキミたちにお願いがあります。」
亀山、神戸「「お願い?」」
右京の言うお願い、それは…
右京「元の時代に戻ったらここでの出来事を出来れば誰にも明かさずに…そして誰もこの家に入るなと
警告してもらえますか。」
亀山「誰にも…ですか?それって俺たちの時代の右京さんにもですか?」
右京「そうです。」
神戸「お言葉ですが何故その様な回りくどい事を?過去の自分に知らせればスムーズに
事が運ぶんじゃないのでしょうか?」
右京「僕の性格からして…理由を話せば否応なくこの家に関わってしまうでしょうね。
そうなれば悪戯に被害が増えるだけですよ…
ならば必要最低限の情報だけを教えた方が良いと思ったまでです。」
亀山「なるほど、右京さんなら確実にこの家に入っちゃいますからね。」
神戸「確かに…ただの警察官である僕らに悪霊退治や過去を行き来する能力なんてありませんからね…」
右京「二人とも、頼みましたよ!必ず成功させてください…」
亀山「ウッス!わかりました!」
神戸「えぇ、任せてください!」
彼らがそう言った直後、光が消えて…全員その場から姿を消した…
最後に彼らは目撃する、俊雄の肌に生気が戻り黒い猫と共に光の先へ旅立つ姿を…
2008年
亀山「う…うぅ…ここはどこだ?やけに狭い場所だけど…もしかしてここは…屋根裏か?」
元の時代に帰ってきた亀山は何故か屋根裏で気絶をしていた。
亀山「な…何で俺こんなとこにいるんだろ?」
亀山が疑問に思った時、誰かがこの屋根裏の様子を覗いていた、その人物は…
右京「亀山くん!何故1階の屋根裏を調べていたキミが2階の屋根裏にいるのですか?」
亀山「右京さん!?」
そう、この屋根裏を確認したのは右京であった、亀山はさっそく先ほどの出来事を話そうとするが…
亀山(あ、ダメだ…理由を話しちゃいけないんだった!)
亀山「右京さん!よかった…まだ無事だったんですね!急いでここから逃げましょう!」
2011年
神戸は気付くと旧佐伯家の庭に倒れていた。
神戸「う…ん…ここは…確かさっきの佐伯家の庭か…居間が見えるな…
あそこで呑気でお茶を飲んでいるのは…」
神戸「ゴクゴク…ふぅ…」
神戸「俺だ!?
すると…間違いない!杉下さんが玄関にいる!この家に入ろうとしてるんだ止めなきゃ!」
戻ってきた神戸が指摘する通り右京はこの家に入ろうとしていた、神戸は急ぎ駆けつけ
そんな右京を必死に止めた。
神戸「ハァ…ハァ…なんとか間に合ったようですね!」
右京「神戸くん…先ほど家の中に入ったキミがどうしてここに?」
―――――
―――
――
そして2013年
特命係の部屋に右京、カイト、陣川の姿がそこにあった。
右京「どうやら…ここは…特命係の部屋ですが…」
カイト「俺たち戻ってこれたんですかね?」
陣川「でも…隣の組対5課は誰もいないみたいですけど…」
カイト「まさか…ダメだったのか?」
自分たち以外誰もいない状況、さすがに誰もがも疑念を抱いた。
そんな時足音が近づいてきた、誰かと思ったら…
右京「角田課長!」
角田「…」
カイト「あの…角田課長?」
カイトは恐る恐る角田課長を尋ねてみる、先ほどみたく亡者ではないかとい疑っているからだ。
しかし…
角田「よ、暇か?」
右京「はぃ?」
カイト「あの…角田課長ですよね?」
角田「何言ってんだお前?俺が他に誰に見えるってんだよ。
ていうか何で陣川までいるんだ?そういえば警部殿…さっき警察庁に行くって言ってなかったっけ?」
課長がそう言うと次第にぞろぞろと組対5課の人間が部屋に戻ってきた。
角田「さっきまでウチ会議しててさ、明日の明朝…城南金融の摘発だよ。おかげで今夜は泊まり込みだ…」
大木「じゃあ課長、俺たち今日ここで寝ますから。」
小松「それじゃお休みなさい…zzz」
角田「おいお前ら!まだ夕方だぞ!寝るには早過ぎだろ!?」
カイト「これってつまり…事件は無事解決したって事ですかね?やったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
陣川「あぁ!世界は救われたんだ!!」
右京「…」
全ては元通りになった、あの禍々しい亡者は消え去り悪夢は終わった。
誰もがそう思った。
とりあえずここまで
本当なら昨夜の深夜にageる予定でしたが遅くなってすんませんでした。
とりあえず、乙!
台詞や性格の再現などがホントによく出来てるから、読んでて違和感なく作品に引き込まれる。
読んでると>>1がどれだけ相棒ファンかよくわかるなw
>>350
マジか……。
長編ものを分割投稿してるのに前後で辻褄合うとか羨ましい。
何か、コツとかあったら教えて。
昔まどマギと相棒のクロスを見たのを思い出した
>>394
コツと言われても我流で書いてるので正直参考にならないと思いますが
まずわざと話の流れに謎を入れるスペースを作る。そうする事によってとりあえず話の軸を作り
あとで面白いネタを思いついてもそこに自由にそのネタを入れる事ができたりとか…
こんな話あまり参考にならないと思いますので…あまり充てにはしないでください
>>395
まどかと相棒のコラボ…あれは面白かったですね
右京さんが魔法少女になってフリフリのロリータ服着なくてよかったと思ってましたが
まさか現実で中の人がメイド服着てるとか…世の中あり得ない事だらけですわ…
>>396
え?水谷豊ってメイド服着たの?
>>398
相棒じゃありませんが水谷さん主演の西村京太郎サスペンス探偵佐文字進16で
メイド服着用しているシーンがありましたので…
最終話 少女
~警視庁~
過去の世界より戻ってきた右京たちであったが、何故か世界が救われたという実感がまだなかった。
そんな時…
伊丹「これはこれは警部殿、相変わらず暇ですなぁ。」
右京「そちらは相変わらずお忙しいようですね、何か事件ですか?」
芹沢「2年前強盗殺人容疑で指名手配されている大場三郎を匿っていたヤツの女から
通報があったんですよ!」
三浦「それでこれからその女のところに向かう途中なんですけど…」
伊丹「付いてこないでくださいよ!」
右京「えぇ、わかりました。どうか犯人確保頑張ってください。」
伊丹「アレ?」
芹沢「何か今日の警部…おかしいですね、いつもなら否応無しに付いてきそうなのに…」
三浦「とにかくさっさと行くぞ!」
伊丹たち捜査一課がその場から立ち去った後カイトは右京に尋ねた。
カイト「どうやら伊丹さんたちも元通りのようですね。
けど珍しいですね、杉下さん…いつもなら真っ先に事件に関わるのに…」
右京「えぇ、僕も出来る事なら事件に関わりたいのですが…
まぁそれはともかくとして…これから行きたい場所があります、付いてきてもらえますか。」
~旧佐伯家~
右京、カイト、それに陣川の三人は再びこの家にやって来ていた。
カイト「杉下さん!近所の人に確認しました、佐伯一家はこの家を既に手離しているようですよ!
夫婦は既に離婚していて旦那の剛雄は未だに刑務所で服役してるそうです。」
右京「なるほど、どうもありがとう。」
カイト「それともうひとつ、これはたぶん別件だと思うんですが気になる話を聞いたんですけど…」
右京「?」
陣川「けど杉下さん、何でまたこの家に来たんですか?事件はもう終わったはずでは…」
右京「いえ…終わってはいませんよ、さあ家の中に入りますよ。」
右京たちが家の中に入ろうとする直前だった、旧佐伯家の玄関に一人の小学生くらいの
少女がぽつんと座っていた。
少女「ハァ…どうしよう…」
カイト「子供?」
陣川「お嬢ちゃんこんなところで何しているんだい?」
少女「見てわからないですか?考え事しているんですよ!
大体あなた方こそ何者なんですか?まずは自分から名乗ってください!」
カイト「かぁ~っ!生意気なヤツだな…」
右京「確かにあなたの言う事ももっともですね、失礼しました、我々は警察の者です。
なるほど、考え事の最中でしたか。しかし何故わざわざこの空き家で悩み事なのでしょうかね。
ご自宅では駄目な理由でもあるのですか?」
少女「そ…それは…」
陣川「せめて名前くらい教えてくれないかな?」
少女「…家出少女…」
カイト「他人に名乗らせておいて自分は思いっ切り偽名じゃんかよ!」
少女はどこか訳ありな感じがした、少女はその理由を暈して他の話題に切り替える。
少女「そ…そういえば…この家って前に事件があったんですよね!
確か一家殺人事件があったって…」
右京「…」
カイト「そうだよ、だからこの家に近付いたら危険だからさっさと自分の家に帰りな!」
少女「…」
少女は何故か家に帰りたがろうとはしなかった、明らかに不審だとだと思うカイトであったが
何故か右京は…
右京「まぁいいじゃないですか、あとで僕たちがこの少女を家まで送って行けばいい事ですから。
それよりも家の中に入りましょう、急いで確認したい事がありますから。」
カイト「まあ杉下さんがそういうならいいですけど…」
陣川「この家鍵は掛かってないようだから中に入れるみたいですよ!」
右京「では中に入りましょう。」
少女「ホッ…助かった…」
右京「家出少女さん、あとであなたの素性も詳しく聞かせてもらいますよ」
少女「…」
こうして右京、カイト、陣川、そして先ほど家の玄関前で知り合った少女は旧佐伯家の中に入った。
陣川「中に入ったはいいけど…なんだこりゃ…」
少女「ゴホッ、ゴホッ、そこら中埃だらけですね…身体に悪いです…」
少女の指摘する通り家の中は埃だらけで長年人の入った形跡は無かった。
それからカイトは先ほど近所の住人から聞き込みをした情報を右京たちに話す。
カイト「近所の住人の話だと佐伯家は5年前に佐伯剛雄の親族が家を売り払ってしまったそうです。
その後…神戸さんの手筈通り変な噂が立ってこの家の買い手は現れないのでご覧の通り
荒れ放題になった訳です。」
右京「なるほど、確かにカイトくんの言う通りこの5年間誰も家に入った痕跡は見当たりませんね。」
陣川「ではもう佐伯伽椰子の呪いは無くなったのではないでしょうか?」
少女「伽椰子おばさんの呪い?」
右京「おや、あなたは佐伯伽椰子さんとお知り合いなのですか?」
少女「い…いえ…そうでもないです…」
右京「…」
カイト「どうやら杉下さんの心配は不要だったみたいですね。
佐伯伽椰子はいなくなり…亡者たちも消滅した、まったく杉下さんは心配性なんだから…」
確かに亡者たちはいなくなりこの世界に平和が戻った、しかし右京の顔はまるで
事件は終わってないと訴えているように表情を強張らせた。
右京「カイトくん、キミはこの世界が本当に元の世界だと思えるのですか?」
カイト「へ?」
家出少女「元の世界?」
カイト「だ…だってそうじゃないですか!あの時俊雄くんが俺たちをこの世界に導いてくれたはずじゃ!?」
右京「僕が思うにこの世界は確かに僕たちがいた世界とほぼ同一であると思います。
しかしそれだけです、あの時僕たちは過去の世界に行きあの未来を修正したと思った…
ですが今の僕たちは恐らくあの時の俊雄くんの影響でしょうか元の世界に戻った訳ではなく
実際は新たに生まれた他の時間軸へ移動した…つまり佐伯伽椰子の呪いが発生しない時間軸へ!
謂わばパラレルワールドが発生したのですよ!!」
カイト、陣川「「パラレルワールド!?」」
右京「その証拠にあの地獄の世界での出来事が何も無かった事にされて痕跡すら
碌に残ってはいない、そうだとは思いませんか?」
少女「話に付いていけません…」
カイト「じゃあまさか…まだどこかの世界じゃあの亡者だらけの地獄の世界が存在してるって事ですか!?」
右京「恐らく…間違いないでしょうね。」
陣川「しかし何でそんな事がわかるんですか?何か証拠でもあるんですか?」
右京「証拠は亀山くんと神戸くんです、彼らが戻った世界は元の修正される以前の世界のはず!
だからこそ彼らは僕の願い通りにこの家に立ち入るなという警告を発してくれたのですよ!」
カイト「確かにそうですよね、亀山さんと神戸さんが元の世界に戻らなかったら
誰もこの家が危険だって訴える事が出来ないですからね。」
陣川「しかしですよ、それが今更何の関係があるんですか?
もうこの世界は平和だ、何も問題が無いじゃないですか!」
右京「果たしてそうでしょうかねぇ…」
カイト「それってどういう意味ですか?」
右京「先ほども言った通り僕はこの世界は違う時間軸だと申し上げました。
この世界の佐伯伽椰子は僕たちが過去の世界に行き、あの悲惨な事件を止める事に成功できた。
しかし…元の世界の佐伯伽椰子はどうでしょうかね?彼女はどうなったと思いますか?」
陣川「元の世界の佐伯伽椰子?」
カイト「そりゃ…成仏したんじゃないですか?あの時の俊雄くんみたいに…」
右京「いいえ!そんなはずはありません!」
陣川「え?何でですか?だって俊雄くんは成仏したはずでは!」
右京「確かに俊雄くんは成仏したのでしょう、しかし成仏したのは俊雄くんだけなのです!
佐伯伽椰子は成仏などしておらず今もあの亡者のままである可能性が高いでしょう!」
少女「成仏とか亡者とかあなたたち何を言って…」
少女は右京たちが何を言ってるのかわからなかったがその会話の内容に何か不気味な気配を
ヒシヒシと感じてはいた。
カイト「でもここは違う世界なんでしょ!
もうこの世界には呪われた亡者たちやあの佐伯伽椰子はいないんじゃ…」
カイトの言う通りだった、確かにこの世界には亡者もいなければあの全ての元凶である
佐伯伽椰子すらいないのだから…
しかし右京の見解は違った。
右京「ではその佐伯伽椰子が僕たちと共にこの世界に来ていたとしたらどうでしょうか?」
カイト「なっ!そんなバカな!?あり得ないですよそんな事!」
陣川「そうですよ!大体彼女がどこにいるというんですか!?」
カイト「でもここは違う世界なんでしょ!
もうこの世界には呪われた亡者たちやあの佐伯伽椰子はいないんじゃ…」
カイトの言う通りだった、確かにこの世界には亡者もいなければあの全ての元凶である
佐伯伽椰子すらいないのだから…
しかし右京の見解は違った。
右京「ではその佐伯伽椰子が僕たちと共にこの世界に来ていたとしたらどうでしょうか?」
カイト「なっ!そんなバカな!?あり得ないですよそんな事!」
陣川「そうですよ!大体彼女がどこにいるというんですか!?」
右京「僕たちがあの亡者で溢れた警視庁から脱出してこの佐伯家に来た時…
仁科理佳さんとお会いしましたよね。」
カイト「そういえば…そうだ!理佳さんどうなりましたか?」
右京「残念ながら彼女は憑りつかれていました、あの佐伯伽椰子の怨念に憑りつかれ
そのまま亡者と化して僕に襲い掛かってきました。
ですが襲い掛かる前に部屋に閉じ込めておきましたから問題ありません。」
カイト「なんてこった…彼女は手遅れだったのかよ!?
けどさっきの話で杉下さんは伽椰子に憑りつかれた理佳さんを部屋に閉じ込めたから
そもそも追ってこれる訳が…」
右京「ここで注目すべき点があります、徳永家に置いてあった固定電話です。
そこに佐伯伽椰子の指紋が残されていました、何故憑りつかれた仁科理佳さんではなく
佐伯伽椰子の指紋が残されていたのか…それは彼女は呪いの力で彼女自身が増殖したからではないでしょうか!」
カイト「伽椰子が増殖!?そんなバカな事が…」
右京「そんなバカな事があり得たんですよ、あの鈴木信之くんの最後の連絡の内容、
『あの女の人が…襲ってきた…それも一人なんかじゃない!たくさん』と言い残してました。
彼の最期の言葉が正しければ佐伯伽椰子は呪いの力を使い増殖をしたとみて間違いないでしょう。」
カイト「まさかそんな事が…」
右京「そしてその彼女は今も僕たちと一緒に居ますよ。」
カイト「今も一緒!そんな!?」
陣川「そうなると一番怪しいのは…」
少女「?」
カイトと陣川は少女に視線を送った、この中にいる者で一番怪しいのはこの少女しかいないのだから…
陣川「キミはいつの間にかこの家の前に居て僕たちが来るのを待っていた!
しかもキミは自分の名前すら教えようとしない!キミこそが佐伯伽椰子じゃないのか!」
少女「ち…ちがいます!私…本当に何も知りません!?」
陣川「言うんだ!キミが佐伯伽椰子なんだろ!」
少女「い…イヤー!?」
右京「待ちなさい陣川くん!彼女は本当に何も知りませんよ。」
カイト「え?」
右京「確かにこの少女は不審な点が多いです、しかしこの少女は間違いなく事件とは無関係ですよ!」
カイト「けどそんなのわからないんじゃ…」
少女「…」
陣川が焦るのも無理は無かった、相手はあの佐伯伽椰子である。
警視庁を亡者の巣に変貌させた彼女に恐怖を感じるなという方が無理な話であった。
右京「まあとにかく、みなさん落ち着いてください」
そう言うと右京はコートの胸元からある物を取り出した。
陣川「それは…一升瓶?」
少女「中身は何ですか?」
カイト「ていうか何でそんなモンをコートの中に入れてるんですか?」
右京「…お水です、とりあえずこれでも飲みながら落ち着いて僕の推理を聞いてもらえますか。」
カイト「推理って何ですか?」
右京「おかしいと思いませんか、あれだけの犠牲者を出しながら何故彼女だけ憑りつかれた
状態であったのか…」
カイト「そういえば…何か理由があるんですか?」
少女「あの…そもそもその人が憑りつかれているってどうしてわかったんですか?」
右京「それは…境遇です。」
カイト、少女「「境遇?」」
陣川「ゴクゴクッ♥」
右京「そう、佐伯伽椰子にはかつて小林俊介という想い人が居ました。
しかし彼は他の女性と恋をしてしまい、彼女の初恋は失恋という形で幕を閉じた。
そして仁科理佳さんも同じく付き合っていた男性と別れ話を持ち出されてしまい破局…
こんな境遇が佐伯伽椰子の共感を誘ってしまい、仁科理佳さんは憑りつかれてしまったと
僕はそう考えています。」
カイト「なんかスゴく無茶苦茶な推理ですけど…それがどうしたというんですか?」
右京「この中で一人だけ…先ほど述べた仁科理佳さんと同じく…いえ…
彼女以上に恋愛面において決して報われない人物がいます。」
少女「わ…私は違いますよ!恋なんかした事ないし…」
カイト「俺だって!悦子とはたまに喧嘩もするけど現在進行形でちゃんと付き合ってますから!!」
右京「まぁ…あなた方を疑っている訳ではありませんよ、それよりもそのお水飲んでみてください。」
カイト「わ…わかりました…」
少女「いただきます…」
ゴクゴク………ブハッ!?
カイトと少女はその水を口にした、しかし口に含んだ瞬間二人は違和感を感じてしまい
吐き出してしまった。
カイト「ゲホッ!ゲホッ!何だよこれ!腐ってるのか!?」
少女「それよりも…ゲホッ…これ…ゴホッ…お酒じゃないですか!」
右京「えぇ、あなた方に飲んでもらったのは清酒です。
未成年の方にお酒を飲ませるのはどうかと思いましたがどうしてもこれである事を試しかったのですよ。」
カイト「ある事を?」
少女「試す?」
右京「古来より清酒には霊的な作用がありましてね、その試験を行ったのです。」
カイト「試験ってどういう事ですか?」
右京「以前にもこの家で同様の事が試されました…
鈴木響子さんという霊能力を持つ女性がこの家を購入する際に…
『購入する人間に清酒を飲ませろ、もし吐いたりしたら絶対に売るな!』と警告してたそうです。
つまりあなた方が飲んだ清酒には霊が宿っていた、だからその様に口に含んだ瞬間に
拒絶してしまったのでしょうね。」
カイト「けど…だからってこれが何だっていうんですか?」
右京「カイトくん、それに家出少女さん、あなた方の反応は正解でした。
もしこんな…ゴクゴク…ゴホッ…霊の影響で満ちたお酒を飲んだりしたら大変ですからね。」
カイト「それじゃあ佐伯伽椰子に憑りつかれた人間は…」
少女「この不味いお酒を何の苦も無く飲める人間という事じゃ…」
その時カイトと少女、そして右京の視線はある人物に一斉に向けられた。
右京「そうです!このお酒を平然と飲んでいる陣川くん!キミこそが佐伯伽椰子に憑りつかれているのですよ!」
陣川「ゴクゴク…ってえぇ!?」
カイト「確かに陣川さんの恋愛面での報われなさは警視庁一と言っても過言じゃないな!
この前もあずみさんと一方的な片思いに走ってたし…」
陣川「ちょっと待ってくれ!あれは職務を忠実に行ったまでで…
だ…大体僕が憑りつかれているという証拠はあるんですか!?」
右京「証拠ならあります、こちらを見てください!」
右京がカイトたちの前に一枚の紙を出した、その紙とは…
陣川「これって確か…」
カイト「理佳さんが持っていた俺と杉下さんの手配書じゃないですか!
けどこれが何の証拠になるっていうんですか?」
右京「この手配書ですが何故このような手配書が作られと思いますか?
それはあの時点で佐伯伽椰子の魔の手から生き残っていた人間が僕とカイトくんだけ
だったからですよ。」
少女「だけどその手配書には…」
カイト「そうだ!その手配書には陣川さんの名前が無いですよ!?」
右京「そう!そこなのです!
何故陣川くんの名前が無いのか?それは既に陣川くんが佐伯伽椰子に憑りつかれているからこそ
この手配書に表記をする必要が無かったからですよ!」
カイト「なるほど、だから警視庁で陣川さんが唯一人だけ生きていた訳ですね!」
右京「それにもうひとつ証拠があります、この清酒です。
恐らくこの清酒が腐った原因は佐伯伽椰子の怨念に憑りつかれたキミの影響だからでしょうね。
この家自体は僕たちが過去の世界に行ったから怨念は関係ないはず、あるとすれば
僕たちの周りに悪霊に憑りつかれたキミがいたからでしょう!」
陣川「待ってください…そんな…お酒を飲んだり手配書に…名前が載ってなかったくらいで…」
陣川『……』
カイト「あの…陣川さん?」
少女「急に黙り始めた…」
右京「…」
陣川は急に俯き…そのまま沈黙した。
右京はこの反応を見て少女とカイトを陣川から遠ざけようとする、だがしかし…既に遅かった。
陣川の身体から何か得体の知れないモノが浮かび上がり彼の身体から抜け落ちてしまったのだ。
そして陣川はその場に倒れ伏してしまった。
陣川「うぅ…ん…アレ?僕は今まで何をしてたんだ?
確か…警視庁に入ろうとする佐伯伽椰子という女性を案内して…それから…
おかしいな…それ以降の記憶が無いぞ?」
カイト「陣川さん大丈夫ですか!それに…今のは何だ!?」
右京「恐らくあれこそ…」
右京が言おうとしたその時だった。
ベチッ
ベチッ
2階の階段から奇妙な音がした、その音はまるで足音ではなく…手で床を這う物音だった。
そしてその正体が姿を現す、その者の正体は…
右京「ようやく姿を現しましたね、佐伯伽椰子!」
佐伯伽椰子、本来の時間軸なら5年前に夫に惨殺され、その身を亡者に堕とし
その後夫を呪い殺したが…
しかしそれでも彼女の心は満たされず…息子である俊雄と共にこの家に侵入する者を
次々と呪い殺した張本人がついに姿を現した。
その姿は亡者となった人々と同様に生気の無い白い肌、そして惨殺された当時の傷、
その所為なのか…彼女は四つん這いとなり階段を移動してくる。
少女「あ…あぁ…化け物…」
カイト「化け物…確かにそうだな…こんなの人間じゃねえよ!」
だが…姿を現したのは伽椰子だけではなかった。
伽椰子の影から二人の人物が現れる、その正体は…
亀山『あ゛…ああああ…』
神戸『あ゛あああああ…』
右京「亀山くん!?」
カイト「神戸さん!?」
陣川「なっ何だ!どうなってんだ!?」
現れた亡者の正体は亀山と神戸であった、何故この二人が亡者となって現れたのか、
右京にはある心当たりがあった…
右京「恐らく彼らは修正前の時間軸の亀山くんと神戸くんでしょう。
亡者となった彼らは佐伯伽椰子に使役される謂わば運命共同体ですからね…」
カイト「けど何で二人が!?」
右京「それは…彼らが前の時間軸で佐伯伽椰子の手により亡者とされてしまったからでしょう…
彼らが元の世界に戻ったという事はこの事態を想定すべきだったのに…
僕とした事が…迂闊でした!!」
そう…亀山と神戸は佐伯伽椰子の手に掛かり亡者となってしまった。
最早彼らに右京たちの声など届きはしない、そして彼らの魔の手が右京たちに襲い掛かった。
ガシッ ガシッ
亡者と化した亀山と神戸はそれぞれ右京とカイトの身体を掴み身動きを取れないように拘束する。
カイト「ちょっ!亀山さん!神戸さん離してください!?」
亀山『……』
神戸『……』
右京「陣川くん!キミはその少女に危険が及ばないように守っていてください!」
陣川「ハ…ハイ!わかりました!」
少女「あ…あぁ…」
亀山たちにより身体を拘束された右京とカイトの前に伽椰子が一歩二歩と詰め寄ってくる。
そしてとうとう顔の近くまで近づき始めてきた、目的は間違いなく右京たちの殺害…
しかし右京は何故かこの時口元に不敵な笑みを浮かべていた。
右京「フフ、どうやらここまで僕の思った通りの行動をしてくれたようですね。」
カイト「ちょっと!杉下さん!こんな時につまらない強がりは止めてください!」
右京「いえ、強がりなどではありません。
佐伯伽椰子、あなたは僕たちを過去の時間軸から追って来てしまった時点で
既に勝負はついていたのですよ!」
伽椰子『?』
伽椰子は右京の言葉に意味が見い出せずにいたが、まもなくその言葉の意味を知る事になる。
その言葉の意味に真っ先に一人だけ気付いた者がいた。
少女「あれ?みんなの身体が薄く…まるで消えかかっているみたいです!」
少女の言う通り、この場で少女以外の全員の身体がまるで靄のように消えかかっていたのだ。
伽椰子『!?』
亀山『??』
神戸『??』
カイト「なんだって!本当だ、俺たちの身体が消えかかっている!どういう事なんだ?」
陣川「ぼ…僕の身体もだよ!?」
右京「どうやら僕の思惑通りですね。」
少女「どういう事なんですか?」
右京「先ほど申し上げたように、僕たちは別の時間軸からやって来た謂わば異物の存在です。
そんな時系列に悪影響を及ぼす僕たちがいつまでもこの時間軸に存在できると思いますか?」
カイト「それじゃ…これは一体!?」
右京「事象というべきでしょうかね、僕たちは歴史の修正作用によりまもなくこの時間軸から
消え去るのですよ!」
伽椰子『!?』
伽椰子は玄関に飾られている鏡を見ると、間違いなく自分の身体が消滅しかかっている
のがわかった。
右京の口から出た事実に気付いた伽椰子はその言葉に怒りを感じ、右京に襲い掛かった。
しかし既にその行為は手遅れであった。
ブワッ
伽椰子『!!?』
カイト「なっ!すり抜けた!?」
少女「もう…触れる事も出来ないんですね…」
伽椰子は間違いなく右京を襲おうとしたが既に右京を掴むことが出来ない程にその存在が
薄れていった。
恐らく無理に行動した所為なのだろうか、伽椰子の存在が急激な速さでかき消されていく…
伽椰子『あ゛あああああああ…』
伽椰子の奇声が発せられる、しかしそれはあの恐怖に満ちた忌まわしいモノではなく…
まるで…助けを乞うような…憐みさえ感じるような声であった。
右京「そうやってあなたは助けを乞うのですね、ですが…僕はあなたを助けません!
あなたの犯した罪はたとえ過去が修正されようとしても…決して消える罪ではないのです!
あなたはその罪を抱え未来永劫苦しみ…罪を償いなさい!!」
伽椰子『あ゛あああ…あ゛ああああ…』
右京の言葉と共に伽椰子の身体は消滅していった。
消滅する瞬間…伽椰子は見る事になる…それは夢か幻か…
伽椰子は暗く…何も無い空間にただ一人だけいた…
そこには誰もいなかった…自分が使役する亡者も…血を分けた実の息子である俊雄も…
しかし彼女は気付いた…背後から押し寄せる不気味な気配に…
それは…
『『あ゛あああああああああああああ…』』
無数の亡者たちが伽椰子を闇に連れて来たのだ、その中には…
剛雄『あ゛あああああああああ…』
達也『あ゛ああああああ…』
信之『あ゛ああああ…』
響子『あ゛ああああああ…』
洋『あ゛ああああああ…』
良美『あ゛あ…ああああああ…』
勝也『あ゛ああああ…あああ…』
和美『あ゛あああああ…』
幸枝『あ゛ああああああああ…』
理佳『あ゛あああああああ…』
吉川『あ゛あああ…ああ…』
剛雄を先頭にかつて佐伯家に転居したり関わった者たちが亡者となり伽椰子に襲い掛かってきた。
そんな伽椰子の前にさらに亡者が近付いてくる、それは…
俊介『あ゛あああああああ…』
真奈美『あ゛あああ…あああ…ああ…』
小林俊介に真奈美、かつての想い人と恋敵の女が伽椰子に迫ってきた。
だがそれではなかった…
ベチャッ
伽椰子の背中に濡れてベトベトな異物が張り付いたような感触がした、恐る恐るその背中に
張りつかれた異物の正体を確認すると…その正体は…
赤ん坊『あ゛ああああああああ…』
伽椰子『!?』
かつて剛雄の手によって生まれる前に惨殺された小林俊介と真奈美の胎児が亡者と化した姿でそこにいた。
亡者と化したこの場にいる者たちの想いは唯一つ…
『『伽椰子を未来永劫呪い続ける!!』』
そして彼らは伽椰子を引きずるように、深い…深い…闇へと落ちていった…
佐伯伽椰子は完全に消滅した。
それと同じく亡者となった亀山と神戸も消えた、彼らの顔はまるで満足したような
穏やかな表情を見せていた…
右京「亀山くん、神戸くん、どうも…ありがとう…」
カイト「き…消えた…佐伯伽椰子が消滅したんだ!」
右京「どうやらその様ですね、法律で裁けない彼女がこの先どうなるのか…
誰にもわからない事ですが…」
少女「きっとあの人は未来永劫苦しむと思います、たぶんそれでしか罪を償えないから…」
右京「なるほど、確かに…そうかもしれませんね…」
誰もが佐伯伽椰子の消滅を見守る中一人だけ状況を把握できない男がいい加減叫び始めた。
陣川「杉下さん!これは一体どういう事なんですか!?説明…あれ?僕の身体が…!?」
シュンッ
陣川もその場から消えてしまった。
カイト「じ…陣川さん…でも何で消えたんだ?」
右京「どうやら我々もそろそろこの時間軸から消えなければいけないようですね。」
カイト「つまりタイムリミットって訳ですか、まぁあの佐伯伽椰子は消滅できた訳だし
良しとするか!」
右京「さて…それでは家出少女さん、そろそろあなたの事を尋ねたいのですが…
あなたは…すでにこの世の人間ではありませんね、幽霊なのでしょう。」
少女「!?」
カイト「ゆ…幽霊!この子がですか!?」
右京「そうです、玄関前で僕たちとお会いした時に彼女は…
『確か一家殺人事件があったって…』と言いました、おかしいと思いませんか?」
カイト「そうか、この世界はあの惨殺事件が起きなかった世界なんだ!
そんな事が覚えているはずがないんだ!」
右京「その通り、恐らく彼女はこの世の存在ではないから修正された時間軸に影響されなかった
のではないでしょうか。
それに彼女は幽霊だからこそ自分の素性を知られたら他人に動揺されてしまいますからね。
だからこそ名前を明かせなかったのでしょうねぇ。
そして鏡を見てください、透けて見える僕たちはともかく…彼女の姿は映っていません。
これが彼女が幽霊であるという確かな証拠ですよ。」
少女「…」
カイト「けど何で幽霊のこの子がここにいるんですか?
まさか…佐伯伽椰子みたく誰かを呪おうってわけじゃ!?」
少女「ち…ちがいます!そういうわけじゃ…」
右京「恐らく…誰か身内に不幸が起きたのではないでしょうか?」
少女「!?」
右京「昔から亡くなった方が現れるのは現世に残された身内を心配してとの迷信が多いですからね。
ご両親か…もしくは…兄か…姉か…それとも妹か…弟でしょうか。」
そんな右京の質問に対して少女は自身なさげに答えようとした。
少女「弟…弟が…大変なんです…」
カイト「弟?」
少女「弟が…行方不明なんです…」
カイト「行方不明!?
待てよ…その弟さんの名前ってもしかして『鷲尾隼人』って名前じゃないか?」
少女「そうですけどどうしてその事を?」
カイト「やっぱり、実はさっき聞き込みしに行った時に鷲尾って家にパトカーが来てて
何があったのか聞いてみたらその家の息子さんが行方不明になったって話ですよ!」
右京「待ってください、この近隣で鷲尾という家となると確か…」
カイト「俺たちが過去の世界に行った時に俊雄くんを預かってくれた家の人たちですよ!」
右京「おやおや、なんという偶然でしょうか!
なるほど、この近隣に住んでたからこそあなたは佐伯伽椰子の事をご存じだった訳ですね。」
少女「今日は弟の12歳の誕生日なんです…
弟は私と同じ先天性の病気で12歳までに発症したら命は無いと言われてて…」
右京「なるほど、12歳の誕生日の今日、弟さんは無事発症せずにすんだという訳ですね。」
少女「お父さんとお母さん…今日まで頑張ったんです…それなのに…弟が死んだら…
私だけじゃなく弟までいなくなったらきっと悲しみます!だから…だから…」
少女は今にも泣きそうな感情を堪えて必死に右京たちに説明した。
しかし右京たちも既にその存在が消えかかっていて彼らではどうする事も出来なかった。
だがそれでも右京は…
右京「では、その弟さんがどういう状況でいなくなったか説明してもらえますか。」
少女「え?ハ…ハイ!」
カイト「杉下さん…助けたいのは俺も同じですけど…俺たちじゃ…」
右京「とにかく黙って聞いてみましょう。弟さんの状況を説明できますか?」
少女「私も詳しい事は分からないんです…ただ弟は卓球クラブに所属しているようで
そこのコーチを務めている江美子さんというお婆さんと仲が良いって聞いてます。
弟はそのお婆さんの家に遊びに行ったようなんです。」
右京「なるほど、カイトくん。鷲尾家に身代金の要求はありましたか?」
カイト「いえ、ありませんでした。というか犯人からの連絡自体なかったんですけどね。」
右京は暫く考えた後にこう答える、それは少女にとってはあまり快くない返答だった。
右京「これは間違いなく事態は切迫してますよ、犯人の正体は不明ですが
目的が営利目的でないのなら犯人の狙いは金銭ではなく…相手の命…
つまり最初から殺人が目的なのかもしれません!!」
少女「そ…そんな…」
カイト「それじゃ隼人くんは既に殺されている可能性が…」
右京「まだわかりません、キミはすぐにこの事を両親に伝える事が出来ますか?」
少女「無理です…私と会ったらお父さんとお母さんきっと卒倒しちゃうだろうから…」
少女の言う事はもっともであった、一度死んだ人間が再び姿を現せば混乱を招くのは
間違いないはずだから、しかし既に時間は刻一刻と迫っている。
急がなければ鷲尾隼人という少年の命が危ない、そう思った右京はある事を思いついた。
右京「それならばあなたはこれから花の里という飲み屋に行ってくれませんか。」
少女「花の里?」
カイト「こんな時に何で…あ、そうか!?」
右京「えぇ、そういう事ですよ!
花の里に着いたらある人間が必ず現れます、それはあなたの知る人間です。
その人間に今の事情は説明しなくてもいいのであなたはそのコーチのお婆さんの家まで案内してください。
急いでください、全てはあなたに掛かっているのですからね。」
そう言うと右京とカイトの身体は徐々に消滅しかかっていた、いよいよ右京たちも
この時間軸から消え去る時が来たのだ。
右京「どうやら僕たちもそろそろ時間のようですね…」
カイト「まったく…もう少し延長してくれりゃ俺たちで隼人くんを探しに行ったのに…
神様もケチ臭えな!じゃあな家出少女!絶対に隼人くんを助けるんだぞ!」
まもなく消える右京たちに対して少女は…
少女「あの…ありがとうございます…そういえばあなたたちのお名前をまだ聞いていませんでした!
お名前は何と言うんですか?」
右京「おやおや、僕とした事が自己紹介もまだだったとは…
これは失礼しました、僕は警視庁特命係の杉下右京です。」
カイト「同じく特命係の甲斐亨、それじゃあな家出少女!」
右京「それでは健闘を祈ります。」
シュンッ
少女「警視庁特命係の杉下さんと甲斐さん…」
こうして少女の見守る中、右京とカイトはこの時間軸から消え去った。
唯一人その場に残った少女は急いで先ほど教えられた花の里まで来たが疲れて
店の入り口付近に座り込んでいると一人の男が現れ少女に声を掛けてきた、その男は…
右京「お一人ですか?」
少女「!?」
そう、少女の前に現れたのはこの時間軸の右京であった。
つまり先ほどの右京の真意はこの時間軸の右京自身に事件を解決させる事だったのだ。
右京の真意を悟った少女は自らの素性を明かさずに右京にこう答える。
右京「お名前は?」
少女「家出少女…」
ガラガラ
幸子「いらっしゃいませ、あ、杉下さん。あら?同伴なんて珍しいですね。」
右京「店の前でナンパしまして、幸子さんにはすみませんが今夜はこれで。」
幸子「そうなんですか、意外と浮気性なんですね。」
右京「ついてはおにぎりでも持たせてもらえますか?」
幸子「あ、いいですよ。」
少女「あ…結構です!」
幸子「お腹空いてるでしょ。」
少女「空いてません、それよりも私早く家に帰らなければいけないので!
両親も心配するし…」
右京「わかりました、それではすぐに…」
幸子「どうしたんですか?」
右京「いえ、若い女性と二人きりの状況は現職警察官として些か問題になるかと思いまして…
少しお待ち頂けますか、僕の相棒を呼びますので。」
それから数分後、この時間軸のカイトが現れて少女は右京の言われた通りに
少女は自分の自宅だと偽り、江美子という老婆が住む自宅付近まで案内をする。
少女を送り届けた後、右京はその老婆の家で不審な動きがあった事を察知して事件の捜査を開始し、
少女の弟である鷲尾隼人少年を助け出す事になる…
ここまでです。
説明するとこの家出少女というのは相棒シーズン11、18話に出てくる少女の事です。
ここまでの一連の話がすべてシーズン11の18話の冒頭に繋がります。
それでは近いうちにエピローグを書きたいのでもう暫くお付き合いください。
乙。少女の画像希望
>>466
http://www.tv-asahi.co.jp/aibou_11/story/18.html
画像上から2番目の女の子です。
伽倻子に勝った…?!
乙!右京さんすげーなー
かわいい
バースディの子か。
弟クンはたしか子供店長だったな。
ジョジョみたいに鮮やかな逆転だった、やはり相手の行動パターンが読みやすかったから勝てたのかも
修正前の世界は消滅して修正後の世界に統合されたってことかな?
右京「裁いてもらうが良いわ!伽椰子!」
伽椰子「うわぁああぁぁああぁ!!」
乙。
やっぱり、ホラー+SFは面白い名作になる。
未だに三作目のループが映画化しないのは映画製作者に実力が無いからだろうな……。
これからエピローグをageますが事前にひとつだけ注意事項があります。
http://www.youtube.com/watch?v=Myy8g79EUHI
是非ともこちらの曲を聴きながら読んでください。
エピローグ 特命
2008年
~小学校~
特命係の右京と亀山はいつもの如く雑用を押し付けられてしまい小学生たちへの
犯罪撲滅週間のために赴いていた。
右京「小学生のみなさん、今日はピー○ーくんと一緒に学びましょう。」
ピー○ーくん(亀山)『いいかいキミたち、悪い事なんかしちゃダメだぞ!
伊丹っていう人相の悪~い刑事がキミたちの家まで押しかけて逮捕されちゃうからね!』
右京「何かご質問はありますか?」
小学生「ハイ!中の人そんな着ぐるみ着て恥ずかしくないんですか?」
右京「…」
○ーポーくん(亀山)『……中の人なんていないよ…』
………
子供たちへの説明も終わり職員室で休んでいた右京と亀山のところに担任の教師がやってきた。
俊介「先ほどは失礼しました、申し遅れましたが私は担任の小林という者です。
しかしまさか警視庁の刑事さんがお越しくださるとは思ってもみませんでしたよ。
それだけ警察が児童に対して親身だという事ですかね?」
右京「えぇ、そう思ってもらって結構ですよ。」
亀山(本当は内村部長に雑用押し付けられただけなんだけど…)
『………』
俊介「失礼ですが…以前どこかでお会いしませんでしたか?」
右京「いえ、あなたとは初対面のはずですが…」
亀山「何か…初対面って気がしませんね…」
俊介「けど来てくれて本当に助かりましたよ、あんな事件があった後じゃ
児童も不安がりますからね。」
亀山「事件?」
俊介「佐伯って家で殺人未遂の事件があったじゃないですか!
それから麻薬まで出てきて、犯人はその家の旦那でしょう。この近所じゃその話で
持ちきりですよ!」
亀山「あぁ!思い出した!」
右京「僕たちはその事件を担当していなかったので詳細は存じませんが
夫が妻を殺害しようとしたのですよね、ですが駆けつけた警察官に取り押さえられて
それも未遂に終わったとか…」
亀山「その事件俺たちも知らせを受けて駆け付けたのに伊丹たちや角田課長がすぐに現場で
犯人逮捕してましたからね。
結局俺たちはすぐに帰っちゃいましたけど…
そういえば…それから暫く…みんなが俺たちの事をまるで幽霊を見るような変な目で見てましたよね。」
右京「そういえば角田課長も変な事を言ってましたね。
僕たちを見るたびに『ドッペルゲンガー』だとか『一卵性の双子の兄弟はいるのか』と…」
俊介「まぁそんな訳でして…ただ…厄介な問題がありましてね…
その事件を起こした犯人がウチの生徒の親でして…」
亀山「え!けどあの事件って確か…」
右京「その殺害されそうになった奥さんも麻薬常用者であったため、
同じく逮捕されたと聞いています、失礼ですがその生徒さんは…」
俊介「実は私の家で引き取る事にしたんですよ。
…といっても母親が施設から出てくるまでの間なんですけどね。」
亀山「本当ですか!その子の親戚とかどうしたんですか?」
俊介「それが…誰もあの子を引き取ろうとしなくて…」
右京「無理もないでしょうね、逮捕された夫の佐伯剛雄は城南金融で麻薬を流していた
そうですし関わりになりたくないのでしょう。」
亀山「けどイジメとか大丈夫なんですか?」
俊介「大丈夫ですよ!ウチのクラスじゃそういう事はさせませんから!
それに…あの子の母親とはちょっと縁がありましてね…」
右京「縁…と仰いますと?」
俊介「実はあの子の母親である佐伯伽倻子さんとは大学が同期だったらしくて
これも何かの縁だと思いましてね…」
右京「『だったらしく』…ですか、随分と曖昧な表現を使われるのですね。」
俊介「えぇ、お恥ずかしながら大学時代は彼女の存在をまったく知らなかったので…
それに私ももうすぐ親になるので…子供を見捨てたくなかったんですよ。」
亀山「子供ってまさか…」
俊介「ハイ!今度子供が生まれるんですよ!検査したら女の子だって♪
だから親になる人間として困っている子供を絶対に見捨てたくないんですよ!」
帰り道、二人は歩きながら先ほどの俊介が教え子を引き取った話を聞き何か想うところがあった。
亀山「あの先生…立派ですよね、いくら教え子だからって余所の子を引き取ろうとするなんて…」
右京「恐らく子供が生まれる事が彼に一人の人間としての責任を果たさせようとしたのでしょうね。
それこそ打算や同情などではない別の…そうですね…慈しみ…慈愛というモノかもしれません。」
亀山「慈愛か…」
右京「それにしても亀山くん…よく今回の仕事を引き受けましたね。
てっきりキミの事ですから着ぐるみを着た仕事なんて嫌がるものかと思ってましたが…」
亀山「いやぁ…今までの俺ならそうだったかもしれませんが…
なんというか…その上手く説明できないんですけど…子供たちに正義を教えるっていうのに
使命感を感じたっていう気ががして…こんな俺にも何か出来る事があるんじゃないかと思いましてね!」
右京「おやおや、先日サルウィンへ行った時に何か影響を受けたのですか?」
亀山「ハイ!充分影響を受けましたよ!」
右京「そうですか…」
この後、亀山薫はサルウィンへと旅立つ。
それは亡き友人の志を継ぐため…そしてサルウィンの子供たちに本当の正義を教えるために…
2011年
~とある墓地~
その日、右京と神戸は冤罪を被り無念の死を遂げた城戸充の墓参りにやって来ていた。
城戸の墓には彼の母も同行している。
母親「刑事さん、充のために墓参りまで来てくださってありがとうございます。」
神戸「いえ…今の僕にはせめてこれくらいの事しか出来ませんから…」
右京「…」
城戸の母親と別れた右京と神戸はある一組の親子と出会う、その親子とは…
達也「コラ!信之!ちゃんと母さんの墓参りをしないか!」
信之「…」
響子「兄さん、そんなに怒鳴らないの!」
右京「失礼、そちらもお墓参りでしたか。」
達也「あぁ…すみません…お恥ずかしいところを見せてしまって…
実は先日家内を亡くしてしまって、それで息子と妹を連れて墓参りに来たのですが…」
信之「…」
達也「この通り母親が死んで以来口を聞いてくれなくて…」
響子「兄さんがガサツ過ぎるのが悪いのよ、この年齢の子は繊細なんだから!
この前だって一見のお客さんに事故物件を売りつけようとしたりして…」
達也「いや…それはだな…」
神戸「事故物件?するとあなたは不動産屋さんですか?」
達也「えぇ、そうですけど…うん?」
神戸「ど…どうしましたか?」
神戸の顔を凝視する達也、すると彼は何かを思い出したように大声を上げた。
達也「「あぁーーーーーー!?」」
神戸「な…何ですか!?」
達也「確かアンタ3年くらい前に私にあの家を売るなって言った刑事さんじゃないですか!」
神戸「えぇ!?」
右京「神戸くん、キミこの人と面識があったのですか?」
神戸「お言葉ですが…あなたとは会った事が…アレ…待てよ?そういえばどこかで会ったような気が…」
右京「はて?何故でしょうかね、僕もあなたと会ったことがある気がするのですが…」
面識は無いはずなのにそれぞれ見覚えがあるという不可解な三人、まさか想像もつかないだろう。
それが他の時間軸であった出来事だとは…
響子「ちょっと兄さん、そんな事よりも!」
達也「あぁ、すまんすまん…おい信之!いい加減にしなさい!」
信之「…」
達也「まったく、母さんの墓の前でくらいちゃんと手を合わせなさい!」
信之は何故か頑なに母親の墓を見ようとはしなかった、何故なのだろうか…
右京はその事情を聞いてみた。
右京「信之くん、何故お母さまのお墓を直視しないのですか?」
信之「お母さんが死んだって事…信じたくないから…」
達也「お前まだそんな事を…」
神戸「なるほど、母親の死を受け入れられないって事ですか。」
信之「だって人がこんなにあっけなく死ぬなんて…」
神戸「そうさ、人間なんて案外あっさり死んじゃうもんだよ。
残された人間がいくら後悔したって何もならないんだ…」
達也「ちょっと…アンタ何を言って…」
神戸「だからせめて…供養してやる事が残された人間の役割だと俺は思うよ…」
信之「残された人間の役割…」
その言葉を聞いた信之は母親の墓に手を合わせる、それが残された者の役割だと…
神戸「すみません、変な説教染みた事を言っちゃって…」
響子「いえ、そんな事ありませんよ、亡くなった義姉さんもきっと満足してますから。」
右京「おや、その様な事がわかるのですか?」
神戸「ちょっと杉下さん!?すみませんね、この人こんな性格なモノで…」
達也「実はウチの妹には霊能力がありましてね、昔から何でも見えちゃうんですよ!」
右京「おや!それは素晴らしい!それでは僕たちにも何か見えるのでしょうか?」
響子「そうですね、そちらの神戸さんでしたっけ?
あなたの方には…男の人が見えますね、なんだか満足した表情でいますけど…」
神戸「男の人?もしかしてその人って城戸充って名前じゃないですか?」
響子「さぁ、そこまではわからないけど…あなたに『ありがとう』って伝えてくれと
言ってましたよ。」
神戸「『ありがとう』…ですか…まさかお礼を言われるなんて…」
右京「失礼ですが僕には何か見えますか?」
響子「あなたには…初老の男性が見えますね…高そうなスーツを着て…官僚っぽい感じの男性が…」
右京「高そうなスーツを着た官僚の男性…はて?心当たりが無いですねぇ…」
神戸(それ間違いなく官房長じゃ…)
???(幽霊になっても無視とか酷くないかしら…)
右京「おや?今誰か僕に話しかけた気が?」
神戸「それよりもそろそろ仕事に戻りましょう、また内村部長に怒られちゃいますよ!」
右京「そうでしたね、それでは失礼。」
こうして鈴木一家と別れた右京と神戸は帰り道、今の事を話そうとするがその前に
ある夫婦とぶつかってしまう。
洋「痛っ!」
神戸「すみません!大丈夫ですか?」
良美「あなた大丈夫?ウチの主人がすみません、あら?どこかでお会いしませんでしたか?」
神戸「い…いえ?会った事はありませんね。」
洋「うぅ…これというのも今朝のコーヒーの豆がブルーマウンテンじゃなかったからだ。
いや…卵の黄身が半熟じゃなかったからかな?とにかく今度から気を付けてくれよ!」
右京「おやおや、随分と注文の多い旦那様ですね。」
神戸「お言葉ですが…そんな無茶な要望ばかりしていると頭をフライパンで殴られちゃいますよ。」
洋、良美「「?」」
右京「それでは失礼します。」
神戸「…」
右京「キミ、何故先ほどあのご主人にフライパンで頭を殴られるなどと言ったのですか?
普通フライパンは殴る物ではありませんよ。」
神戸「お言葉ですが……僕にもよくわからないんです…
ただ…あの奥さんの顔を見たら何故かそう思ってしまって…」
右京「そうですか、それよりもよかったですね。」
神戸「よかったって何がですか?」
右京「城戸充の事ですよ、彼からお礼を言われたのでしょう。」
神戸「そんな…いくら本人からお礼を言われても…僕が犯した罪は一生消える事はありません。
僕はこれからもこの罪を背負って生きていきますよ!」
右京「そうですか、キミの潔癖なまでの正義感は…不器用ですね。」
神戸「お言葉ですが、杉下さんほどではありませんよ。」
そして彼らは墓地を照らす日の光を見上げた、それはまるで天国へ昇る城戸充を見送るようであった。
2013年
ある女子高生の4人組が旧佐伯家に肝試しに入ろうとしていた。
いずみ「ねぇ、やっぱまずいんじゃないの?」
沙織「大丈夫だって、ここの家はもう何年も前から空き家だから!」
千晶「確か5年くらい前にここんちの旦那がクスリやって捕まったんだって!」
綾乃「しかも奥さんを殺そうとしたんだって!これってやばくね?」
いずみ「で…でも…」
沙織「心配ないって、こんな空家入っても誰も文句言わないし!」
いずみという少女以外は既に入る気でいた、だが何故かいずみはこの家に不気味な気配を
感じてしまい入る事に躊躇していた。
そんな時であった。
右京「おやおや、いけませんねぇ、無人とはいえ無許可で侵入するとは。」
カイト「そうそう、法律でも3年以下の懲役または10万円以下の罰金が科せられちゃうよ。」
沙織「ちょっと!アンタたち何よ!?」
右京「我々は警察の者です、ここを通りかかったらあなた方がこの家に入ろうとしたのを
見かけたものでして。」
千晶「やばい!警察だよ!」
綾乃「早く逃げよ!」
いずみ「う…うん!」
ダダダッ
カイト「まったく…近頃のガキは逃げ足だけは速いんだから…」
右京「そういう口調は自分が既に子供ではないという風に聞こえますが?」
カイト「そりゃそうでしょ、俺は刑事ですからね!いつまでもガキじゃありませんって!」
右京「大人の刑事なら事件の犯人を相手に喧嘩同然で殴りかかったりしませんよ。」
カイト「ムッ!まぁそれはともかく早く行きますよ。」
右京「そうですね、お待たせるわけにはいきません。」
彼らがここに来た理由、それはある人の誕生パーティーに呼ばれたからだ。
~鷲尾家~
武弘「刑事さんたち、息子の誕生パーティーによく来てくださいました!」
美鈴「本当にあなた方には感謝しきれません!」
右京「いえいえ、僕たちは職務を行ったまでですよ。」
カイト(まさか変な家出少女を送り届けたついでに助けましたなんて口が裂けても言えないよな…)
内村「フンッ!まさかお前たちまで呼ばれていたとはな!」
中園「まったく…暇な窓際部署め!」
カイト「内村部長に中園参事官!?何でここにいるんですか!?」
内村「こちらの鷲尾氏は財務省の官僚だ、こういう機会に仲良くしようと思ってな。」
中園「決して下心があっての事ではないぞ!」
カイト(下心丸見えじゃねーか!?)
右京「そういえば隼人くんはどちらに?」
美鈴「隼人は学校です、そういえば今日は友達を連れて来ると行ってましたね。」
右京「お友達ですか?」
隼人「ただいまお母さん!」
美鈴「あら、お帰りなさい。」
隼人「うん、友達を連れて来たよ。さあ中に入って!」
隼人が連れて来た友達、その友達は…
俊雄「おばさん、お邪魔します。」
義妹「こんにちは。」
美鈴「あら!俊雄くんに義妹ちゃんも、いらっしゃい!どうぞ上がって♪」
右京「おや、小さなお嬢さんまで一緒ですか。」
俊雄「妹です、といっても義理の…ですけど。」
義妹「はじめまして!」
俊雄「ところで…僕…お二人とどこかでお会いした事がある気がするんですけど…」
右京「さて?僕は初対面だと思いますが…」
カイト「俺も…キミとは会った事ないな、けどなんだろ…初めて会った気はしないな。」
右京「同感です、確かに前にも会った事があるような気がするのですが…
不思議なものですねぇ…」
内村「おいお前たち!何をしている!」
中園「さっさとテーブルに付かないとパーティーが始まらんだろ!」
カイト「おっと、いけねえ!」
そして全員が席について隼人少年の誕生パーティーが行われた。
本来なら既に隼人少年の誕生日は過ぎているが両親はどうしても誕生日を祝いたといい、
それなら事件を解決してくれた右京たちも呼んで改めて執り行われたのだ。
武弘「隼人!12歳の誕生日おめでとう!」
美鈴「本当に喜ばしい日だわ!」
隼人「ありがとう、お父さん!お母さん!それとこれ…お母さんにプレゼントなんだけど…」
美鈴「何かしらコレ?ヨーグルト?」
隼人「いや…手作りのハンドクリームだよ、警察の人に押収されちゃったけど
杉下さんに頼んで返してもらったんだ。」
美鈴「まぁ!ありがとう!けど…随分と量が減ってるわね?」
右京「鑑識で調べるために中身を少し拝借しましたからね、その所為でしょう。」
カイト(俺が食べたからだなんて絶対に言えない…)
右京「ところで俊雄くんと隼人くん、お友達だそうですが俊雄くんの方は中学生ですね。
普通キミたちくらいの年齢なら同世代の人間を友達にすると思うのですが…」
俊雄「それは…」
武弘「俊雄くんは昔この辺りに住んでて、その時にウチの子とよく遊んでくれてそれで
知り合ったんですよ。」
右京「なるほど、そういう事でしたか。」
カイト「でも待てよ、この辺りで引っ越したなんてさっきの空き家くらいじゃ…」
内村「空き家といえばあの家で確か以前にも事件があったな。」
中園「そういえばありましたな、事件が早急に解決したため捜査本部も作らずに終わりましたが…
確かあの事件は夫が妻を殺害しようとしたとか…それにその夫は麻薬も所持してたと…」
俊雄「ハイ…僕はそこの家の子供です。」
内村「まったく子供がいるのに麻薬に手を出すとは!」
中園「親の風上にも置けませんな!」
カイト(子供の誕生パーティー利用して官僚に胡麻擦りしてるアンタらも刑事の風上にも置けねえよ…)
右京「これはせっかくの場で失礼しました、その様な経緯があったとは知らなかったもので…」
俊雄「いえ、いいんです。親がやった事は事実ですし…僕も危うく殺されそうでしたから。
あの時刑事さんたちが乗り込んでこなかったら僕はきっと…死んでいたかもしれませんし…
それにあの後周りの人たちが本当によくしてくれて!」
右京「そうですか、それはなによりです。」
カイト「まあ子供なんていざとなれば親がいなくたって生きていけるもんですよ!」
右京「キミが言うと妙に説得力ありますね、おや?」
カイト「どうしたんですか?」
右京はテーブルにある写真立てが飾られている事に気付く、その写真立てに写っていた
人物に右京とカイトは間違いなく見覚えがあった。
カイト「この写真ってあの子ですよね!」
右京「えぇ、間違いありません!僕たちの前に現れた家出少女ですよ!」
中園「写真立てといえば今度歴代刑事部長の写真立てを制作する予定でしたよね!」
内村「うむ!そうだ、私を中心に歴代刑事部長の写真立てをズラッと…」
フッ
内村「!?何だ…今のは!妙に背筋が凍るようなこの感覚は…」
中園「どうかなさいましたか部長?それで写真立ての方は如何なさいますか?」
内村「やはりやめておこう…国民の血税をそんな無駄な事に使っちゃいかんよキミ!」
中園「ハァ…」
カイト「それで…話が脱線しましたけど何であの家出少女の写真が飾られているんですかね?」
右京「失礼ですが、こちらには隼人くん以外にもう一人お子さんがいらっしゃるのではないですか?」
武弘「えぇ、実は娘がいたんですよ。」
美鈴「けど…その子は先天性の病気で…思えば何もしてやれなかったわ…」
俊雄「近所のお姉さんで…僕もよく遊んでもらいました。」
右京「なるほど、そういう事でしたか。」
隼人「どういう事ですか?」
右京「実は僕たちが隼人くんの危険を察知出来たのはこのお姉さんのおかげなのですよ。
きっとお姉さんはあの世でキミの危機を知って僕たちにその事を伝えに来たのでしょう。
恐らくこれはご両親の祈りが神に通じた、これこそまさに奇跡と言えるでしょうね。」
武弘「そんな事が…」
美鈴「ありがとう…本当に…ありがとう!」
隼人「お姉ちゃん…」
鷲尾親子は天国にいるであろう家出少女に感謝と…そして祝福を祈った。
この奇跡に感謝すると共に今度こそ安らかに眠ってほしいという祈りを込めて…
そして隼人少年の誕生パーティーも終わり、右京とカイトは俊雄とその義妹を家まで
送り届けるその道中の事であった。
右京「一つ気になる事があります。」
カイト「ハァ?一体何が気になるんですか?」
右京「何故あの家出少女は僕たちを選んだのでしょうか?
警察官なら都内だけでも4万人近くいます、それだけの警察官の中で何故あの少女と
面識も無い僕たちであったのか疑問に思いませんか?」
カイト「いや…そういうところはファンタジーだと思ってくださいよ。」
右京「まだ疑問はあります、あの少女は花の里で待っていたのです!
普通なら困り事があれば最寄りの交番なり所轄に駆け込めばいい、なのに少女に場違いな
飲み屋にあの少女は居た!
つまりあの少女は最初から知っていたのですよ、あの店に警察官である僕たちが立ち寄る事を!」
カイト「つまり何が言いたんですか?」
カイト「つまり何が言いたんですか?」
右京「僕が言いたいのはあの少女に僕たちの事を教えた存在…恐らく僕たちの事を
知っている幽霊かもしくはそれと同等の存在がいるという事ですよ!
しかし残念ながら僕にはそのような知り合いは見当も付かなくて…
カイトくんは誰か心当たりがありますか?」
カイト「杉下さんって…なんというかその…夢が無いですよね…
遊園地のマスコットキャラとか見たら絶対に中の人がどうなっているのか気になるタイプでしょ。」
右京「はぃ?」
まさか夢にも思わないだろう、その人物こそが別の時間軸からやってきた自分たち自身だとは…
結局さすがの右京の推理力もそこまでの考えには至らなかった。
そんな時だった、前方から歩いてくる人物がこちらに手を振ってきた。
その人物に俊雄や義妹も同じく手を振った。
俊雄「お義父さん!」
義妹「パパ!」
俊介「二人とも、ちゃんといい子にしてたかい?」
右京「おや!あなたは…確か以前小学校でお会いした…」
俊介「あの時の刑事さんじゃないですか、その節はどうもお世話になりました!」
右京「そうでしたか、それでは俊雄くんを引き取られたのはあなただったのですね。」
俊介「えぇ!」
俊雄「ところでお義父さん、どうしてわざわざこんなところまで迎えに来たの?」
俊介「実は大事な話があってな、お前の母さんである伽椰子さんが近々施設から出てくるそうなんだ。
それで話というのは…」
俊雄「僕…もう母さんとは…会いたくない…」
俊介「俊雄!」
カイト「俊雄くんのお母さんって…確か…」
右京「えぇ、夫と一緒に麻薬を常用してた母親ですね。」
カイト「無理も無いな、子供をそっちのけで麻薬に溺れてた母親じゃ会いたくもないだろうし…」
右京「そうですねぇ、確かに俊雄くんに母親を許せと言うのは酷な話です…しかし…」
俊雄「…」
右京「俊雄くん、お母さんと一度だけ会ってあげてください。」
俊雄「で…でも…」
右京「まず会って、それから話をしてみてください。
キミがお母さんを許せないという気持ちはわかります、しかしそれにはまずお母さんが
どういう人間なのか…施設に入りどう変わったのか…キミは知るべきだと僕は思いますよ。」
俊雄「…」
俊雄は暫く黙った後こう答えた。
俊雄「僕…お母さんに会ってみるよ。」
俊介「そうか…俊雄!わかったよ!」
それから俊雄たちと別れた右京とカイトは警視庁への帰り道、旧佐伯家の近所にある
老人養護センターである親子の光景を目にしていた。
勝也「母さん、ここでの生活はどうだい?」
幸枝「快適だよ、家の中で寝たきりよりもずっとマシさ。」
和美「もう…お義母さんたら自分でここに入る事さっさと決めるんだから!」
幸枝「アンタたちは早く孫の顔でも見せて私を落ち着かせてくれりゃいいんだよ。」
仁美「お母さん!和美さんだって心配して言ってくれてるんだからね!」
理佳「あの…幸枝さん、外はそろそろ寒くなるから部屋の中に帰りましょう。」
理佳はある老人を車椅子に乗せながらやってきた、その老人とは…
吉川「幸枝さん、アンタはまったく…せっかく子供さんが来てくれたのに
そんな蔑にして!それじゃ碌な死に方をしないぞ!」
幸枝「余計なお世話さ、私はもう病室へ戻るよ。」
理佳「フフ、皆さん仲が良いんですから。」
そんな普通の家族たちの光景がそこにあった。
カイト「いいですね、俺も子供に囲まれたあんな老後を迎えたいや。」
右京「まだ若いのに随分と先の事を仰いますね。」
カイト「ハハ…」
右京「ところで今日の事で思ったのですが…いえ…今日の事だけでなく実は…
数年前から僕は何か奇妙な違和感を感じるのですよ。」
カイト「奇妙な違和感?それってどういう意味なんですか?」
右京「その正体がわからないのですよ、思い出そうとするとまるで
その事を思い出してはいけないと思ってしまい思い出せなくなる…奇妙だと思いませんか?」
カイト「よくわかんないけど確かに…」
右京「まるで記憶の中に鍵が掛かっている…そんな感じがするのですよ…」
カイト「その話…なんとなくわかる気がします。
俺も最近何か違和感を感じるんですけど…その正体がわからなくて…
けど心のどこかで何故かその事を思い出しちゃいけないって…感じて…」
右京「まるでパンドラの箱ですね、神に託された箱をパンドラという女が開けてしまい
中からこの世の災厄が解き放たれてしまった伝承かもしれません。」
カイト「けどパンドラの箱って最後は希望が残っているんじゃないですか?」
右京「希望ですか、そうですね…希望が…この世界に溢れてくれるといいのですが…」
カイト「ありますよ!この世には希望なんてそこら中にあるんですからね!」
そんなカイトの言葉通りなのかかつての佐伯家に太陽の光が差そうとしていた。
その光景はまるでかつての不気味な雰囲気とは違い、元の人が生きる場を取り戻しつつある…
そんな生気溢れる場所であるかのように…
完
以上、これで終わります。
長々とお付き合い頂きありがとうございます。
あと時系列がわからない方々のために年表作りますんで…
無事ハッピーエンドで良かった
とりあえず時系列をまとめてみました、こちらが修正前に時間軸です
相棒シーズン8
2008年
1.小林真奈美とその胎児の死体を発見
2.右京たちが佐伯家に立ち寄り伽椰子の日記を入手
3.捜査を進めていくうちに俊雄の出生やその事情を知る。
4.右京たち佐伯宅に強制捜査、犯人を暴く。
※この時亀山のみ別の時間軸へ移動
5.逮捕された佐伯剛雄は警視庁の独房で死亡
6.亀山サルウィンへ旅立つ
劇場版相棒Ⅱ
2010年
亀山の予言通り小野田官房長死亡
相棒シーズン10
2011年
1.右京、神戸、瀬戸内が小野田官房長の墓参りに赴く
2.内村部長により鈴木信之の更生を命じられる
3.鈴木宅に行くと鈴木響子発狂
4.鈴木達也から事情を聞き、旧佐伯家に住む北田夫妻を訪ねる
※この時神戸は良美にフライパンで殴られた直後、過去の世界に移動
なおそれまでの事前の行動を過去の世界から帰還したもうひとりの神戸が
目撃している
5.鈴木達也の実家に赴くが響子と信之以外は死亡or行方不明で事件は幕を閉じる
6.大河内は神戸に城戸充の死を知らせる
7.その後、長谷川元副総監の陰謀により神戸は特命係を去る事になる
相棒ⅹDAY
〇伊丹はサイバー犯罪対策課の岩月と仲良くなる
相棒シーズン11
2013年
1.カイトは恋人の悦子に友人である理佳の捜索を依頼される
2.カイトは右京と一緒に旧佐伯家に赴くがそこで徳永家全員の死体を発見
3.事件現場に居た理佳、それと徳永家の唯一の生き残りである仁美に事情聴取する
4.呪怨の家に赴いた所為で警視庁に伽椰子の呪いをばら撒かれ警視庁は全滅
5.警視庁どころか都内全体に伽椰子の呪いが散らばり街に生者はいなくなる
6.旧佐伯家に急行した右京たちはそこで伽椰子の核心に迫る
※過去の世界から亀山と神戸が合流、ついに俊雄が姿を現す
こちらが修正された時間軸での出来事です
相棒シーズン8
2008年
1.剛雄は伽椰子が小林俊介を愛している事と自身が精子欠乏症である事に気づき伽椰子を
殺そうとする
2.そこへ過去からやって来た右京たちが剛雄の犯行を止めにやってくる
3.事件を解決するがその際伊丹たちの前で過去の自分たちと鉢合わせしそうになり現場が混乱する
4.亡者である俊雄の霊が成仏してそれぞれが元の世界に還って行く
5.事件が終わり右京と亀山は小学校で子供たちに犯罪撲滅週間に小学校に赴く
6.担任である小林俊介から事件のその後を聞く
7.亀山は友野志を継ぎ、そして現地の子供たちに正義を教えるためにサルウィンへ旅立つ
劇場版相棒Ⅱ
2010年
小野田官房長死亡(こちらの世界では亀山は小野田官房長の死を予言していない)
相棒シーズン10
2011年
1.城戸充の事件を解決した右京と神戸は城戸充の墓参りに赴く
2.その帰り道鈴木親子と北田夫妻と遭遇、彼らから城戸充が感謝を述べていたと告げられる
3.城戸充の霊から感謝をされたとしてもそれでも一生その罪と向き合うと決めた神戸
4.その後、長谷川元副総監の陰謀により神戸は特命係を去る事になる(結局これは変わらない)
相棒ⅹDAY
〇伊丹はサイバー犯罪対策課の岩月と仲良くなる
相棒シーズン11
2013年
1.右京、カイト、陣川、の三人は過去から帰還
2.同時刻、2年前強盗殺人容疑で指名手配されている大場三郎が、
鷲尾隼人と老婆である江美子を山中に埋めようとする
3.そんな隼人の危機を知った家出少女だが幽霊であるため何も出来なかった
そんな時旧佐伯家に右京たち特命係がやってくる
4.家出少女と共に家に入った右京たちはそこで事件の真相を知る
5.伽椰子の正体が暴かれ、危うく伽椰子に殺されそうになるが時間軸の修正作用で
伽椰子の撃退に成功
6.家出少女は右京の助言を聞き、花の里へ急行
ちなみに右京たちも伽椰子同様にその存在が消滅する
7.修正後の時間軸での右京が隼人の救出に成功、無事一命を取り留める
8.改めて隼人の誕生日パーティーが執り行われる
そのパーティーに俊雄と小林俊介の一子も参加し彼らの近況を聞く
7.帰り道徳永夫妻と理佳の近況を知る、世界が無事平和になった事を確認する
相棒シーズン12
2013年10月16日8時より放送開始初回2時間SP!!
以上です
GJ!
よくここまでかけたと思う
乙 すげぇ…すげぇよ… 次回作あるなら楽しみに待ってます
感想ありがとうございます、ちょっと返信しますね
>>468
勝った…わけではありませんね
結局右京さんたち存在が消滅してしまったのでよくて相打ちというべきでしょう
ただ…消滅してしまっても前の時間軸の記憶は朧げながら覚えていますが…
>>469
ロリコンめ
>>470
子供店長もそろそろ中学生になるんですよね、時が流れるのは早い…
>>472
行動パターンを読めたというよりも主人公補正があったから勝てたというべきかも…
伽椰子はいざとなったら布団の中や椅子の股下から現れますからね。
そうなったら右京さんでもアウトですわ…
>>473
そうですね、ボス人格の伽椰子が陣川さんに憑りついていたので
修正前の時間軸にいた亡者たちも消滅したと解釈してもらえれば…
>>475
右京さんのキャラじゃないですね…
>>476
3作目ですか、予算が下りれば監督がやってくれるんじゃないですかね?
>>524
ちゃんと上のレスに書いておいたじゃないですか。
このスレはハッピーエンドで終わらせると…
>>527-528
感想ありがとうございます。
プロットとか他の人はちゃんと作ってから書いてるんですかね?
偉いなぁ、私はズボラだから思いついた事書くだけですよ…
>>529-530
次回作はどうしましょうかね…
着信アリや仄暗い水の底…確かに書いてはみたいですが…この手のホラー物で
何が大変かというと…基本霊能力を持たない右京さんにどう悪霊退治をさせるのかが重要でして…
今上げた2作品は結局原作でも退治されてませんからどうしたらいいんだよと…
そしてこれは個人的な話ですがリング、呪怨とホラーSS書いてた影響で夜中トイレ行けなくなりました。
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