無世界の中であらがう者達の物語。(5)

 俺はどうやら普通の人間と違う所があるらしい。そう言われた事が何度かある。
 俺は世界をみた。確かにいつもみる世界なのに、皆が死んでいる様に歩いている世界を。黒い何かが俺を襲う世界を。
 けど、いつも男の人が救ってくれる。誰か分からない男の人が。

 そこで目が覚める。

 男「おはよう」
 友「よぅ」
 いつもと変わらない朝。眩しくてたまらないいつも。ただ、気分が優れないだけであとはいつも通りの朝。
 友「また見たのか」
 半ば分かっているつもりで聞いているんだろう。 
 男「あぁ」
 少し気分が晴れた。人に分かってもらえるのが嬉しいんだ。
 友「しかし良く見るよなーおんなじ夢を何度も」
 少し早く歩きながら答える。
 男「本当にな」
 たわいも無い会話をしていると、隅に何か見えた。
 友「どった?」
 男「いや」
 何か見たことがあるような、そんな気がした。

女「おっはよー!」
 ・・・あぁ、いつも通りだ。何故か安心を覚えた。
友「おぅ!」
男「おはよう」
 いつもと同じ。うん。良い事だ。
不良「はよ」
男「おはよう」
 相変わらず迫力を持つ不良。寝癖が直っているのは彼女が出来たからか。
女「はよー!」
友「・・・はよ」
 裏切り者とは仲良く無い友。以前まではいけない線を越えそうになるほど仲がよかったのに、今やライバルだ。
女「そういえば、男」
男「なんだ?」
女「モテる男はツライねぇ」
 友人の一言は俺を裏切り者にまで追いやる物だった。

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