真「ダブルデートっていうのかなこういうの」(19)

ちはまこ、ひびたか

「ん?」
「お?」
「あ?」
「え?」

響「な、何で真と千早がここにいるんだ?」

真「そっちこそ、何で貴音さんと一緒に?」

響「い、いや、自分たちは…その……」

貴音「私達は響の御誘いにより、この遊園地で『でぇと』と呼ばれる娯楽の一時を過ごす予
定で御座います」

響「えっ、ちょ、貴音?!何言ってるの!」

真「……ほほう。『でぇと』……ねえ?」ニヤリ

響「う、うるさいうるさい!もう、貴音!そんなこと言わないでよー!」

貴音「響がそう仰ったのではありませんか」

響「うぐっ……そ、そういう真達はどうなのさ!」

真「ぼ、ボク達は、その」

千早「わ、私たちも『デート』よ!」

真「千早?!」

響「……ほほう?」ニヤリ

真「(何でそんなこと言うのさ!そんな赤面して言うことでもないだろ?!)」

千早「(いや、その、四条さんが言ってたからつい……)」

貴音・響「2828」

真「あーもう2828しないでよっ!」


二人と別れた後

千早「真、さっき変なこと言ったのは謝るわ」

真「……」

千早「本当にゴメンナサイ」

真「……」

千早「だから、せめて後ろに抱きつきながら歩くのはやめて?歩きづらいから」

真「やだ」

千早「…」

真「仕返し」

千早「…もう」ドバドバ

小鳥「キマシタワー」ドバドバ

真「ちょっと向こうで焼き鳥買ってくるね」

千早「?ええ、わかったわ」

真「昇竜拳」ドッコーン

小鳥「ふべしゅっ」

千早「今の遊園地って焼き鳥もあるのね…すごいわ」

一方…

響「あーもう!貴音、二人に向かってなんて事いうのさ!自分凄く恥ずかしかったんだぞ!」

貴音「良いではないですか。あちらのお二方も『でぇと』のようでしたし」

響「そういうんじゃなくって……はぁ。貴音はホント怖いものしらずっていうか何ていうか」

貴音「私、触覚のある焦げ茶の生命体は苦手ですが。人間、誰だって怖いものの一つは身に持っているはずです」

響「あれ、なんか段々話それてない?」

貴音「ところで響、一つ質問なのですが」

響「……ん?何?」

貴音「『でぇと』とは、如何なるものなのでしょうか?」

響「……」

千早「あそこの焼き鳥屋さん、美味しかったわね」

真「ホント、小鳥さん倒してきてよかったよ」

千早「え、なんでそこで音無さんが出てくるの?」

真「気づかなかった?あのお店、小鳥さんがオーナーのお店なんだよ」

千早「えっ?!そうだったの?あとでお礼を言っておかなくちゃ」

真「(何で事務員なのにここで働いてるの?とかそういう質問されるかと思ったけど……)」

真「(千早が存外お馬鹿さんで助かったな)」ホッ

真「(……後で口裏合わせとかなきゃ)」

千早「最初はどこにいく?」

真「うーん、そうだねえ。やっぱり最初から飛ばすのはどうかと思うし、メリーゴーラウンドにでも乗る?」

千早「ええ、いいわ。じゃあ早速行きましょう」

メリーゴーラウンド前
真「……」

響「……」

千早「また会ったわね、我那覇さん、四条さん」

貴音「千早と真こそ。『でぇと』は順調ですか?」

千早「えっ?え、ええ、まあ……」

貴音「ふふっ、それはなによりです」

真「なんで響たちがここにいるんだよ」

響「いやそっちこそなんでいるんだよ」

真「最初はやっぱ落ち着いたもの乗ろうと思ってたらここが思い浮かんだ」

響「真はすぐにジェットコースターに飛びつくと思ってたのに」

真「響こそそうだと思ってたのに」

響「自分はほら、ぶらぶらしてたら貴音がこれに釘付けになっちゃって」

真「ああ……なるほどね」

千早「あ、真、もうそろそろ順番回ってきたみたいよ」

貴音「私達の方もです」

響「よし、じゃあ自分たちはあのでかい馬車に乗るぞ!」

真「えっ、それはボクたちが乗るんだよ」

響「えっ」

真・響「「……」」ゴゴゴゴゴ

千早「あ、あの、二人とも喧嘩は……」

真・響「「千早は黙ってて!」」

千早「」アオイートリー

貴音「戻ってきなさい、如月千早」

千早「はっ」

真「こうなったらじゃんけんで決めるぞ!」

響「ああ、受けてたつ!」

真・響「「さいしょはぐー!じゃーんけーん!」」

響「」ズーン

貴音「響、落ち込むことはありませんよ。また別の機会に乗ればいいことです」

響「うっ……でも…で、も……貴音が楽しみ…にしてたのに」

貴音「ではもう一度、私と一緒に此処へ参りましょう。そうすればほら、この乗り物にも乗ることが出来ます」

響「貴音ええぇぇぇ」ビャー

貴音「よしよし」ナデナデ

真「よっしゃ!勝った!!」

千早「おめでとう、真!」

真「じゃあ、はい。この中に乗って?ボクは前の馬に乗るから」

千早「……」

千早「いえ、ここには真が乗って」

真「え?」

千早「いつも真に王子様させるにはいかないわ。たまには……私が王子になって」グイ

真「え、ちょっ?!」

千早「……エスコートします、姫」キリッ

真「えっ、は、はふぃ……(ふぼああああああああああっ?!?!ち、千早が超絶かっこいいいいいいいいいいっ?!?!?!?!)」ズキュウウウウイイイイィィィィン

千早「ふふっ、真ったら、耳まで真っ赤」

真「あ、いや、これは、その」

千早「可愛い」ニコ

真「(あああああああああああああああもう千早やっぶええええぇぇぇぇぇ)」ドバババババババ

千早「もうそろそろね。行くわよ、真!」

真「う、うん!」

真「(ああ、後ろ姿の千早かっこいいなあ)」

真「(姫、か……)」

真「(……)」ポッ

真「(……これが惚れた極みってやつかなあ。もうボク千早にメロメロだよ)」

真「(……ん?あっちでいちゃいちゃと何かやってる二人組みは……)」

響「……」

貴音「響?」

響「……」

貴音「どうかしましたか?」

響「た、貴音……」

貴音「はい?」

響「こ、この体勢、ものすっごく恥ずかしいんだけど……」

※1頭の馬の上に貴音がまたがり、そのさらに上に響がいる感じ

貴音「良いではないですか。響はとっても暖かいですよ。寒さも和らぎます」

響「いやそういうことじゃなくってね…?」

貴音「ふふっ、響は外に来ると照れ屋ですね。普段こういうことは日常茶飯事でしょうに」

響「ばっ、ちちち違うぞ!それとこれとじゃ別次元すぎるよ!」

貴音「そうやって慌てる響もまた愛らしいですよ」

響「うっ……///」

貴音「今晩は私が抱く方ですね♪」

響「た、貴音ぇ……」



真「」ザーーーーー

千早「真?どうかした?」

真「いや、甘すぎて砂糖吐いてただけだから大丈夫……」

千早「?そう?」

真「いやあ、メリーゴーラウンドも案外楽しかったよねえ」

千早「ええ、そうね」

響「……」シュウウウウウゥゥゥゥ

真「うわっ、響?!どうしたんだよ一体!頭から湯気なんて出して」

貴音「響は少しばかりあのめりぃごうらうんどの余韻に浸っているようですので、そっとしておいてやるのがいいかと」

千早「(絶対四条さん何かしたわね……おそるべし古の力!)」クワッ

響が普通にもどって分かれた後
響「ああもう、酷い目にあったぞ…」

貴音「ふふっ、可愛かったですよ、響」

響「うっ……つ、次はどこにいきたいんだ?」

貴音「そうですねぇ……では、あのぐるぐる回る乗り物にのっては見ませんか?」

響「ん?ジェットコースターか。いいぞ!じゃあさっそくいくか!」

真「……」

響「……」

千早「あら」

貴音「はや」

真「……なんでまた会うの?」

響「それはこっちの台詞だって……」

千早「ふふっ、偶然ってあるものなんですね」

貴音「そうですねえ」

響「まあ、いいさ。自分たちがはやくきたんだから、席は自分たちが決めるさ!今度は絶対に譲らないぞ!」

真「そんなの関係ないじゃんか!人目気にせずいちゃこらできる後ろの席は、ボクたちのものだ!」

響「そんなこといったって無駄だモンね!自分たちのほうが先に並んでたんだから、選ぶ権利は自分たちにあるさ!」

真「ぐっ……」

響「がなははははは!」

響「……」

千早「……」

真「…えっと、何ていうかその…なんかごめん」

響「びゃあああああああ!係員に誘導されて一番前になっちゃったあああああああああ」ビエーン

貴音「おお、よしよし」ナデナデ

千早「一番前は一番前でいいことあるわよ!……きっと」

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