東京都内。某コーヒーショップ―――ー

とある、金髪の少年が語り始める。


京太郎「それでよ、俺がそこで言ってやったんだよ」

「『おい、俺のターンを飛ばすんじゃねえ！』ってな」

竜華「なんでまたそんなことを」

京太郎「だって、アイツ俺の順番飛ばしたんだぜ？！」

竜華「偶然かもしれんやん。それに一人くらい」

純「…ぷっ」

京太郎「……なんだ？」

純「いやはや、なんでもねえよ。マスターコーヒーくれ」

「かしこまりました。サイズはいかがなさいますか」

純「ミディアムで頼む」

爽「あーアタシも同じ味でサイズ違うやつで。でっかいので」

純「おい」

爽「何？ あっ、ミルクと砂糖はおんなじ感じで」

純「その好みは言ってねえ」

爽「それでそれで、京太郎。その後どうなったのさ」

京太郎「それで、それで……それで……」

京太郎「それで、こう、ぐっとな。ぐっと」

純「一発かましたか。胸でも揉んだのか？」

竜華「……」

爽「あっ、アタシのコーヒーが先に来た！ アタシの勝ち！！」

純「いつから勝負始まってたんだよ……」

京太郎「ぐっとな、引き下がったんだよ」

爽「あちっ、ふーふー……なんで？ 怖かったの？ おっぱい小さかったから？」

京太郎「たぶんAカップだったと思うぜ。男だし」

爽「あーそりゃ引くわ」

京太郎「だろ？」

純「ドン引きだな」

京太郎「俺にかよ！！」

竜華「ウチにはカップケーキください、マスター」

純「てかさ、爽さ」

爽「ん～？ このコーヒー苦いな～～砂糖もってこよ」

純「それってミディアムじゃね」

爽「そうかも！ ごちそう様です！」

純「しかも会計はオレもちと来たよ。いいから返せ！」

爽「『おい、オレのターンを飛ばすんじゃねえ！』」

爽「こう言ったら返してあげるよ」

純「そんな恥ずいセリフいう奴がどこにいるんだよ。バーカ」

爽「だよねえ」

京太郎「………」

純「おい、俺のターンを飛ばすんじゃねえ！」

爽「ほいきた！」

京太郎「ちくしょう！」



――店の、チャイムが鳴る

若い、サイドテールの、女性が入ってきた。


「だーかーら！！ 私は婚約なんか認めないって言ってるでしょ！！」

「気が変わったの！！ は？ だから、タイプじゃないの！！」

竜華「……あれ？」

竜華「憧……？」

京太郎「え、憧って、大学友達の……？」

竜華「ほら、そこにおるで」

京太郎「本当だ……マジだった」

竜華「憧！」

「は、えっ、ちょっと電話中です……って竜華！！」

憧「お久！！ そういうわけ！ 元気にしてた？！ もうかけてこないで！！ 」ﾋﾟｯ

純「混乱してんなおい」

憧「はいおわり！」

竜華「電話切ってからでよかったんよ？」

憧「竜華、ちょーーー久しぶり！！ あれ、マジで大学以来じゃない！！」

純「女同士のハグは美しいねえ」

京太郎「ああ、全くだ」

爽「アタシも混ぜて。よろしく！ アタシ爽！」

憧「よろしくね。私は憧。憧でいいよ」

爽「あれ、ハグは？」

憧「もーちょっと仲良くなってからでいいかな？」

京太郎「よう……久しぶり」

憧「どちらさ……ああー……えーーっと……確か竜華の？」

京太郎「そうだ。俺は今はこの辺のアパートに住んでるんだ。よろしくな」

憧「改めてよろしく。みんな友達？」

爽「そだよーアタシも別のトコすんでるけどね」

純「オレは竜華の向いのアパートに住んでる。よろしくな」

憧「よろしく。それで、竜華！ ここであったが百年目！！」

竜華「ど、どうしたのん、そんな切羽詰まった顔して」

憧「じ、実は……」

竜華「？」


純（なんだ、果たし状か？ [ﾋﾟｰｰｰ]のか？）

爽（百年目って言ってた）

京太郎（混乱してるだけでは）

メール欄にsagaって入れないと、文字フィルターに引っ掛かるよー

咲でやる必要はないな

憧「………」

憧「ごめん、やっぱいいや。竜華に悪いし」

竜華「！ ウチと憧の仲やん！ 水臭いで！！」

竜華「なんでも言ってや！！」

憧「ありがとぉーー！！ 竜華ならそういってくれると思ってた！！」

竜華「おーー、なんでもきぃ！！」

爽「それじゃあ、一緒に食べられるくさ集めしよ！！」

純「オレは、そうだな。こんど竜華のいい友達紹介してくれよ。上玉で頼む」

憧「え、ちょ、ちょっとあなたたち、私の順番飛ばさないでよ！！」

京太郎「順番を飛ばされるってつらいよな。知ってる」

竜華「ああ、もう！ アンタら全員うるさいで！！」

竜華「さっさと言いや、憧！！」

憧「あ、あれ？ なんで私が怒鳴られなきゃいけないの？」

憧「……なんか、おかしい！！」

竜華「それ人にものを頼む態度ちゃうやろ！！」

憧「竜華がいいって、言ったんじゃん！」

竜華「だから、それ言うとるやろ！！」

＊10分後＊


憧「……しばらく、竜華んとこ居いてもらえないかな」

竜華「……さっきの婚約の電話の件とか、関係あんの」

憧「ちょっとね」

京太郎「……」

純「おいおい、俺のアパート、あと一人くらい入れるぜ？」

京太郎「！！ ストップ、ストップ。純、落ち着こう、な？」

竜華「そもそも、純のアパート二人部屋やん……」

純「アイツを追い出せばいいんじゃねえか」

竜華「あの子聞いたら泣くで」

憧「とにかく、できたら泊めてほしいなーーって。しばらくでいいからさ」

竜華「……分かった。しばらくな。ただし、一つ条件があるで」

憧「何？」

竜華「ウチの家やさかい、家のルールはきちんと守ってな」

憧「もち！」

純「……」

爽「……」

京太郎「……」

竜華「なんでみんな急に黙るん。あんだけ喧しかったのに」

爽「あっ」

純「なんだ」

爽「アタシのコーヒーまだ来てない」

京太郎「おう、そいつ美味かったぜ。ミルクありの方が好みだけど」

また明日書く
>>7 ありがとう、忘れてた
>>8 たぶん咲の設定使いながら書くとは思う


まあ、気楽に見てくれ
それではまた

基本sage進行で行くの？

>>12 リハビリみたいなもんなので。更新した初めの時は上げるとおもう

昨日は寝てしまった
少し書く

山手線内から、少し外れたところにある、住宅街。

舞台を移して、竜華のアパートにて。

明るめの、ブラウン色の短髪が、意気消沈した様子で入ってきた。



「ホンマありえへんやろ……」

京太郎「おっす」

爽「やー」

竜華「お疲れ」

純「ようセーラ」

セーラ「ちょーっとアレンジ入れただけやで、俺は！」

竜華「またアカンかった？」

爽「待って、何があったか想像させて！」

爽「ヒロインの名前を言う時に、早口言葉風に言った！」

爽『あなたは……まさか、このガラスの靴を落とした……』

爽『ｼﾝﾃﾞﾚｼﾝﾃﾞﾚｼﾝﾃﾞﾚﾗ！』

純「よっぽど嬉しかったんだな、王子サマ」

京太郎「そこはシャンデリアも入れて欲しかったな。シャンデリアとシンデレラをうまく使うぜ俺なら」

セーラ「ハァ……」

竜華「気にしたらあかんで、また次がんばったらええんや」

セーラ「せやな……お、おおっ？！ なんやこの花嫁衣裳を着とる子は」

憧『だーーかーーーら！！ もうパパの言いなりにはなんないって！！！！』

憧『いい、パパ。その人の顔を、もう一度よーーく見て。大阪で見たことあるから』

憧『そう、一度たこ焼きみたいな顔だなって、思ってから、ずーっとそうなの』

憧『え？ 誰に支えてきてもらったか、って？』

憧『そんなこと言うんだったら、お金なんかなくたって、たぶんやっていけるし！！』

純（勇ましい親子喧嘩だねぇ）

京太郎（たこ焼きとか親子とか聞いてたら腹減ってくるな）

竜華（今日は親子丼にしよか？）

憧『ふん、こっちが清々するわよ！ じゃあｎ……えっ？！』

憧『え、えちょ、え、それは、たぶんだって！ たぶん！！』



ﾋﾟｯ　ﾂｰｯﾂｰｯｰﾂｰｯ



憧「……」

竜華「憧……」

憧「あはは、みっともないとこ見せちゃったな」
　
純「……」

爽「……」

京太郎「……」

憧「重苦しい空気にしちゃってごめん……え、と……」

憧「その………」
















セーラ「メシにせえへん？」

爽「賛成！！」

京太郎「異議なし！！」

純「親子丼！！」

憧「ええっ？！」

＊


食事を終えた一同、片付けに勤しむ竜華。


セーラ「俺は、セーラや。よろしくな」

憧「私は、憧。憧って呼んでね」

セーラ「てっきり仲間かと思ったわ」

憧「仲間？」

純「こいつの仕事だよ。俳優やってんだ」

憧「ええっ、マジもんの？！ うわー私どっかで見たことあるかな～」

セーラ「まだ卵やけどな。一発でっかいオーディションに通りたいねんけど」

セーラ「いつか、セーラの名前を世に響かせたるで！」

爽「ドレス着てる憧の方が、なんだかホンモノの役者さんみたい！！」

セーラ「…………」

爽「……っていう視線を、京太郎が私に向けてきた！」

京太郎「向けてねえ！！」

竜華『京太郎ーー、このタオルあの棚の奥の一番右の上から二番目に閉まってきてーー』

爽「あらま助け舟」

京太郎「はいはい、今いくー」

純「おっと、そろそろオレはお暇しようかな。見たいテレビがあるんだ」

憧「向いに住んでるんだっけ」

純「そうさ。オレとこいつでな」

セーラ「おう！ もう二年かそこら経つか？」

純「お前の中では半年を二年と呼ぶのか」

セーラ「……？ そうやったかなぁ」

憧「それぐらい、楽しかったってことですよね！」

セーラ「せや、憧、エエこと言うた！ 時を短く感じるくらい楽しかったってことや！」

純「そうか、そんなにオレとの生活は楽しくないか」



＊純とセーラの共同部屋＊



純「どうだ、悪くない部屋だろ」

憧「……あ、これ野球盤ですね！」

セーラ「憧、やろうで！」

憧「いいですよ」

純「さすがに野球盤やってる花嫁は、見たことねえな、くくっ」

憧「あ……」

純「恥ずかしがるなって」

セーラ「せやで、役者やったらいっつもこんなんやらされるし」

純「そういうもんか」

憧「あの、私結婚式場から逃げてきたんですけど……」

憧が竜華と同居を始めてから、一週間。

場所はいつものみんなが集まるコーヒーショップ。



純「おい、京太郎。全知全能の神になれるとするだろ」

京太郎「藪から棒にどうした？」

純「たとえの話だよ。お前ならどうする」

純「なんでもできるんだ。なにしたっていい。世界を作り替えることもできる」

京太郎「そうだな……やっぱり空間移動ができるってのはいいよな」

京太郎「それを使って全国の秘所巡りとか？」

純「うわぁ……クソつまんねぇ。超つまんねぇ。ロマンて単語知らねえのかよ」

京太郎「分かっちゃねえな、未知のものに触れる喜びってやつをロマンと呼ぶんだぜ」

京太郎「サワは？」

爽「アタシは自分の胃とかの内臓系を取り出して丸洗いしたいなー」

爽「すっごい水が濁りそうだよね！」

純「ははっ、こういうぶっ飛んだ発想いいよな」

京太郎「確かにおもしれえ。で、実のところどうなんだ、爽」

爽「実のところ……？」

京太郎「え？」

純「……」

爽「……あ、ああ、タイムマシン！」

爽「タイムマシンがあったら乗ってみたいかなー だって、過去に行けるじゃん！」

爽「行って……行って、いろんな人に会ってみたい！」

京太郎「残念でした、タイムマシンは未来永劫存在しないんだよ」

爽「どうして？」

京太郎「もしあったとしたら、とっくに未来の人間が来てるからさ」

京太郎「いやぁ、残念だったな爽」

京太郎「こういう科学って、時に残酷な現実を突きつけるんだよなー」

爽「……………………」

爽「……私が全知全能だったら、頭がガチガチに固くて、面白味のかけらもない
　　その癖、偉そうにロマンを豪語してる、そんな人間を輪廻から徹底的に除外」

京太郎「………」

爽「しようかなーって。ははっ！」

京太郎「お、面白いこと考えるなー爽！」

爽「でしょー、はははっ！」

純（目が笑ってないぜ、爽）

純「それで、どうして竜華は黙ってるのさ」

爽「知らないけどさー」

京太郎「自分の世界に行ってるんだろ。あらかた自分の理想の世界を作り上げてるんだ」

竜華「お伽話の主人公、人生のやり直し……見つかる、理想……」

純「あー」

爽「トリップしてるねー」

京太郎「純、お前が話ふったんだぞ、何とかしろ」

純「お前の姉貴だろ、お前が何とかしろよ」

京太郎「こうなると長いんだよな……」


＊開く扉、紙袋を抱えたセーラが入ってくる


セーラ「よっ、皆しばらく」

爽「セーラ何それ」

セーラ「ワイン持ってきた！ 一本ここで開けへん？」

セーラ「めっちゃコレええやつやねん」

爽「ワイン大好き！ セーラ大好き！」

セーラ「おー。俺も爽が大好きや！」

純「ばれない様にしろよな」

セーラ「分かってるて……あっ」

京太郎「なんだ。あ、ワイン飲むには流石にコーヒーのグラスじゃダメか」

爽「それっぽいの借りよう！ マスターさんにもおすそ分けすれば大丈夫！」

京太郎「ナイスアイデア！」

爽「明日になったら、どうせ覚えてないしね！」

純「どれだけ飲ませる気だ」

セーラ「違うねん……グラスやなくて、コルク抜き……」

純「あー……」

京太郎「それは………」

爽「……………」

爽「もし私が全知全能だったら、最初に使う能力は≪ワインを開けないままに飲む≫」

竜華「ずいぶんとピンポイントな」

京太郎「あ、おかえり竜姉」