まどか「ババ抜き!」 (34)
まどマギSSです
本編、翻逆のネタバレはありません
何か間違いとかあったらごめんなさい
書き溜め有りです
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─まどほーむ─
ほむら「あぁ、私のピカチュウが……」
さやか「私のファルコに勝てるもんか!」
まどか「プリンの強さは空中戦にあるんだよ!」
ほむら「……ふたりとも強いわね」
ガチャッ
詢子「あれ? お友達が来てたのか。ちょうどよかったな。おーい、まどかー」
まどか「何ー?」
詢子「ケーキ買ってきたからさ、3人で食べな」
まどか「わー、ありがとうママー」
さやか「ありがとおばさん!」
ほむら「ありがとうございます」
まどか「んーと……あれ? 三種類あるんだ。ショートケーキにチョコレートケーキにモンブラン……ふたりは、どれがいい?」
さやか「あたしはモンブランかなー」
ほむら「私はショートケーキ……いえ、やはりモンブランがいいわ」
まどか「私は……私もモンブランかな。完全に被っちゃったね。どうやって決めよっか?」
ほむら「普通にじゃんけんでいいんじゃない?」
さやか「待って、スマブラにも飽きてきたとこだったし……何かゲームで決めようよ」
まどか「そうだね。それに、少し冷蔵庫で冷やした方がおいしいし」
ほむら「となると……」
さやか「トランプとか?でも、大富豪はローカルルールとか面倒だしなあ」
まどか「じゃあ、ババ抜きにしようよ! 最近やってなかったんだ」
ほむら「……そうね、ゲーム性は低いけれど、公平に勝ち負けを決める案としては悪くないわね」
さやか「じゃ、ババ抜きで決まりってことで……トランプはどこだったっけ?」
まどか「あ、私持ってくるよ」
まどか「じゃあ配るね」
さやか「まどかー、イカサマなんてしないでよー?」
まどか「し、しないよー」
ほむら「あら、私としてはまどかよりあなたの方が怪しいのだけど?」
さやか「むっ、失礼な!」
まどか「アハハハッ」
ほむら「さてと……」
まどか「えーと、これとこれと……」パサッ
さやか「3人だと、結構減っちゃうもんだね」パサッ
ほむら「ひとりに配られるカードの枚数が17枚か18枚だから、そこから減らないというのはあり得ない…とは言え、運が悪ければ14枚にはなってしまうのよね」パサッ
さやか「へー、さすがほむら」パサッ
まどか「でも、実際にそんなことになっちゃったらよっぽど運が悪いよね。ジョーカー持ってるってバレちゃうし」パサッ
ほむら「そうね」クスッ
さやか「ふたりとも終わった?じゃあ、じゃんけんで順番決めよっか」
サイショハグー、ジャンケンポン!
ほむら「……じゃあ、順番はこうね」
さやか→ほむら→まどか
さやか「くうっ、じゃんけんにしときゃよかった……」
まどか「アハハ、残念だったね」
ほむら「さて、始めましょうか」
ほむら(とりあえず、ジョーカーはきていない……確率的にいいのか悪いのかは知らないけど、やはり、なんとなく安心してしまうわね)
ほむら(さて、ふたりの様子は……)
まどか「……」
さやか「……」
ほむら(カードの枚数は同じくらいね。ジョーカーの位置は……)
ほむら(……表情からは読めないわね。どちらが持っているのかしら)
ほむら(ふたりとも、演技が得意な方ではないと思っていたのだけど……ふたりのうちどちらかは、ジョーカーを持っていながらすました顔をしているのね。少しは楽しめそうじゃない)
さやか「ほむら、引いていい?」
ほむら「ああ、最初はあなただったわね……どうぞ」
さやか「ん~、これっ!」スッ
さやか「やりい!」パサッ
ほむら(く、いきなり……)
ほむら「まどか、引くわよ」
まどか「あ、どうぞ」
ほむら「」スッ
ほむら「……揃ったわ」パサッ
ほむら(……3人でやっているのだから、終盤はあっという間でしょう。なるべく序盤でカードを減らしておかなければ……)
まどか「あ~ん、ふたりとも早いよ~……よーし、私だって……」スッ
まどか「……………」
ほむら「……まどか、どうしたの?」
まどか「エ?ナンデモナイヨ、ホムラチャン」
さやか「ぶふっ、まどか、わかりやす過ぎだよ~」アハハ
まどか「ちょ、ちょっとさやかちゃん、言わないでよ~」
さやか「いや、バレバレだってば」クスクス
まどか「そんな~」
ほむら(……ということは、ジョーカーは美樹さやかが持っていたわけね。彼女にそんな演技ができるとは……意外だわ)
さやか「さーて、次々ー」
ほむら(……一応、注意しておきましょう)
─数巡後─
ほむら(マズいわね……ジョーカーこそ引いていないものの、なかなか揃わない。始めはよかったのに……)
ほむら(いつの間にか、カードの枚数は私が一番多くなってしまっている。この状況でジョーカーを引いてしまって、貴重な一巡を無駄にすることは避けたいわね……)
ほむら(確実にジョーカーだけは引かないよう……少し、卑怯な手を使いましょうか)
まどか「えーと……これかな?」スッ
まどか「うーん、ダメかぁ」
ほむら(今まどかが美樹さやかから引いたカード……あれね)
ほむら「……どうぞ」
さやか「ん~、おりゃっ!」スッ
さやか「あちゃあ、残念」
ほむら(目は離してないわ……さあ、そのカードをよこしなさい!)スッ
ほむら「……揃ったわ」パサッ
さやか「なかなかいい勝負になってきたなぁ」
ほむら(このやり方なら、まどかがカードを揃えない限り私がジョーカーを引くことはない……さあ、勝負はここからよ!)
─さらに数巡後─
まどか「……」スッ
ほむら(……あのカードね)
さやか「さっきは右だったから……今度は左で!」スッ
さやか「あ、おしい!」
ほむら(ババ抜きにおしいも何もないわよ……)スッ
ほむら(さて、私が引いたカードは……)
ほむら(……!?)
まどか「」ニヤ
ほむら(そんな、ありえないわ……なぜ……)
ほむら(なぜ、私はジョーカーを引いて……!?)
ほむら(まさか、見間違えた……? いや、そういうミスだけはしないように気をつけていたはず……)
ほむら(……そうよ、目を離していないのだから、すり替える隙だってなかったはずだわ。となると、残る可能性は……)
ほむら(……!)
ほむら(そう、そういうことだったのね……)
ほむら(私が今引いたカードは、間違いなく先ほどまどかが美樹さやかから引いたカード……これを踏まえて考えれば、答えはひとつしかない)
ほむら(……このふたりは、組んでいる……!!)
ほむら(そう、つまり一巡目、まどかはジョーカーを引いてなんかいなかった……)
ほむら(私がジョーカーを引かないわけだわ……ジョーカーは、ずっと美樹さやかの手にあったのだから……)
ほむら(そしてあのときの会話を考えれば、美樹さやかがまどかと組んでいたことは間違いない……)
ほむら(……まさか、あれが全て演技だったというの……? このふたり、普通じゃないわ。そうよ、まさに……)
ほむら(悪魔……!!)
ほむら(……私の行動は完全に予測……いや、操作されていたんだわ)
ほむら(おそらく、ふたりはサインか何かで意志疎通ができるのでしょう。互いのカードを把握して、そこから私のカードも完全に把握することができる……)
ほむら(まどかは美樹さやかから好きなカードを引くことができるし、私には必要がなく、美樹さやかには必要なカードを私に流すこともできる……)
ほむら(これは、序盤に私がカードを減らせたことからもわかる。おそらく、カードを配る段階では何も仕込んでなかったのでしょう。たぶん、私に見破られることを恐れて……)
ほむら(だから、序盤は私もカードを揃えることができた。しかし、今はもう私とまどかの持つ手札に共通するカードはほとんどないのでしょう。始めに持っていたカードはもう全て揃ったか引かれてしまった……)
ほむら(そして、なかなかカードを揃えられない私が次にとる行動を、このふたりは読んでいた……!)
ほむら(あとは、それを確認してから美樹さやかがまどかにジョーカーを流すだけ……全ては、終盤私に確実にジョーカーを渡すために……)
ほむら(……しかし、そもそもなぜふたりは協力を……? ふたりの狙いは同じモンブランなのだから、利害は一致しないはず……)
ほむら(!……待って、モンブラン……? そういえば、この間まどかとケーキを食べに行ったとき……)
~回想~
ほむら『おいしそうに食べるわね、まどか』
まどか『だっておいしいんだもん……あぁん、太っちゃうよ~』
ほむら『……まどかは、どんなケーキが好きなの?』
まどか『そうだなあ、もちろんどのケーキも好きだけど、一番好きなのはチーズケーキかな?』
ほむら『チーズケーキ、ね(今度作ってあげよう)』
まどか『あとは……ショートケーキが二番目に好きかな』
ほむら『ふうん……』
ほむら(あのときのまどかはかわいかったわ……じゃなくて!)
ほむら(そうよ、確かにそう言っていたわ。今回の選択肢に当てはめると、まどかはショートケーキを選ぶはず……!)
ほむら(では、なぜ嘘を……? ひとりだけ違う希望を言えば、私と美樹さやか、それぞれから協力を求められる可能性は高くなる……それを避けたのかしら?)
ほむら(確かに、3人とも同じ希望だったことから、私の中から協力という選択肢は消えていた……当然、他のふたりが協力しているなどとは考えもしなかった……)
ほむら(……美樹さやかは気づいたのかしら、まどかならショートケーキを選ぶはず、と。あるいは、あのときまどかが美樹さやかにサインでも出していて、それで気づいた、とか……いや、しかし、やはりまどかとしては、美樹さやかに協力する理由は……)
ほむら(……!!)
ほむら『私はショートケーキ……いえ、やはりモンブランがいいわ』
ほむら(しまった……迂闊だったわ。あんな迷いを口に出してしまったせいで、まどかは私を明確に敵と認識してしまったのね)
ほむら(『暁美ほむらは、モンブランが手に入らなければショートケーキを選ぶ』いや、さらに言えば『暁美ほむらはモンブランではなくショートケーキを選ぶかもしれない』……そう思わせてしまったということね)
ほむら(あの場で口にした希望を変えてはならないというルールはない。実際、まどかも一位になったときは『気が変わった』などと言ってショートケーキを選ぶでしょうし……だからこそ、まどかは私を確実に蹴落とす必要があった)
ほむら(私が最下位になれば、ふたりはそれぞれ希望のケーキを手にすることができる。しかもそのとき、ふたりの順位にこだわる必要はない……)
ほむら(逆に言えば、私が最下位にならなければ、モンブランかショートケーキのどちらかは私の手に渡ってしまう……くっ、完全にふたりの利害が一致してしまっている……)
ほむら(……どうする……?)
ほむら(……いや、まだ勝機はあるわ。確かにふたりがここまで協力してしまっている以上、私が一位をとることは難しい。しかし……)
ほむら(二位なら狙えるわ。ババ抜きというゲームの性質上、最後のふたりの持つ手札の枚数差は、必ず一枚になる……! 状況次第では、一位と二位がほぼ同時にあがることもあり得るけど、向こうだって、全てを完全にコントロールできるわけではないでしょう)
ほむら(そう、本当の勝負は、ふたりのうちどちらかがあがったあと……!)
ほむら(まだよ、暁美ほむら……最後まで諦めてはダメ……!!)
ここまでが前半
ちょっと休憩
すみません遅れました
続き貼っていきます
─そして数巡後─
ほむら(……とは言ったものの、どちらかがあがる前に、ジョーカーを引いておいてほしいところではあるわね……)
ほむら(今、それぞれの持つカードの枚数はこう……)
まどか:2
さやか:3
ほむら:4
ほむら(そして、今はまどかの番……)
まどか「」スッ
まどか「……ダメかあ」
まどか:3
さやか:2
ほむら:4
さやか「さあて、どれにしようかな……」
さやか「……これっ!」スッ
ほむら「!」
さやか「……残念」
まどか:3
さやか:3
ほむら:3
ほむら(やったわ、ジョーカーを引いてくれた……!)
ほむら(これでかなり楽になった……あとは、カードを揃えられれば……!)
ほむら「……」スッ
ほむら「! きたっ、揃った……!」パサッ
まどか:2
さやか:3
ほむら:2
さやか「うわ、これでほむらに追い抜かれた……」
まどか「でも、私はここで揃えられれば……」スッ
まどか「……! やったあ!!」
まどか:1
さやか:2
ほむら:2
ほむら「! ここでまどかが揃えたということは……」
さやか「次のほむらの番であがり確定だね……あたしはまだ二枚持ってるし、これはまどかが一位で決まりかぁ……」
ほむら「……そう、ね」
まどか「えーと、これとこれ……と」パサッ
さやか「ま、一位は諦めたとしても、二位は譲らないよ……これっ!」スッ
さやか「よっし、揃ったあ!」パサッ
まどか:1
さやか:1
ほむら:1
ほむら「………」
まどか「じゃあ……はい、ほむらちゃん」
ほむら(……待って……ここで美樹さやかが揃えたということは、もしかして……?)
ほむら(そうよ、もう勝負は決まりだわ……!)
ほむら(先ほど美樹さやかが私からジョーカーを引いて、その後まどかが美樹さやかのカードを引いたのは一回……しかし……)
ほむら(まどかはその一回でカードを揃えた。つまり、そのときまどかが引いたカードはジョーカーではない……!)
ほむら(そう、ジョーカーは未だ美樹さやかの手にある……そして今、3人の持つカードの合計は3枚……これは次の一回で、私とまどかが同時にあがることを意味する……!)
ほむら(厳密には、まどかが先にあがる扱いになるのでしょうけど、もはやそんなことはどうでもいいわ。これで、モンブランは私のものよ……!!)
まどか「……ほむらちゃん?」
ほむら「ええ、今引くわ……」
ほむら(サインの伝達ミスか、あるいは裏切りか……)
ほむら(私にそれを知る術はないけれど……とにかく、これで決着よ!!)スッ
まどか「………」
ほむら(……これで終わり……そのはずだったのに……)
まどか「」ニヤ
ほむら(なぜ……またしてもこのカードが……!?)
『ジョーカー』ドン
ほむら(そんなバカな……一体、どうして……)
さやか「で、次はあたしの番っと」スッ
ほむら「っ!? しまっ……」
さやか「……はいあがり」ニヤ
ほむら(……やられた……!!)
まどか・さやか「イエーイ!」パーン
ほむら(想定外のカードを引いて、混乱した隙を狙われた……! 普段の私なら、確実に手札をシャッフルしていたはずなのに……)
ほむら(これが、ふたりの作戦……! 最終的にこの形にもっていくことが、狙いだったのね……)
ほむら(ひとりがあがってしまえば協力はなくなり、確実に勝つことは難しくなる……そう思った私が、甘かったということか……)
ほむら(しかし、なぜ私の推理は間違っていたの……? 前回とは違い、ふたりの会話を推理に組み込んだわけでもない。論理的に、ジョーカーの位置を割り出したはずなのに……)
ほむら(……美樹さやかが私からジョーカーを引いたのは間違いない。私自身が見ていたのだから、そこは確実なはず……)
ほむら(となると、次にまどかが引いたカードはジョーカーだった、ということかしら……? いや、しかしまどかは、あのときカードを揃えて……)
ほむら(……!!)
ほむら(そうか……そういうことだったのね……!)
ほむら(まどかは、あのとき既にカードを揃えていた……! そして、美樹さやかからジョーカーを引き、あたかもそのときカードが揃ったかのように、二枚のカードを捨てた……これで、全てのつじつまは合う……)
ほむら(……やられたわ。ここまで完全に思考をコントロールされてしまうとは……)
ほむら(今思えば、一度私にジョーカーを渡し、ふたりのつながりを私に確認させたのは、わざとだったのかもしれないわね……そうすることで、私にこのゲーム中深く考えさせるように仕向けたのかも……)
ほむら(……最初から最後まで、私は掌の上で踊らされていたのね……完敗だわ……)
エピローグ
ほむら「………」
まどか「ショートケーキ、ショートケーキ~っと」
さやか「ほらほむら、ケーキ食べよ? モンブランはあたしのものだけど」
ほむら「」グスッ
まどか「ほむらちゃん、元気出して? こんなやり方、ほむらちゃんくらいの相手じゃないとできなかったんだよ?」
さやか「ていうか、ほむらじゃなかったらもっと簡単に終わってたんだけどね。その場で指摘されるようなイカサマは、ほむらにはバレそうだったから使えなかったし」
まどか「あと、癖なんかもなかったしね。さすがほむらちゃんだよ~」モグモグ
ほむら(ほめられてる気がしないわ……)
ほむら「だいたい、冷静に考えてみるとひどいじゃない……いくら利害が一致したからと言って、2対1だなんて……」
まどか「もう、しょうがないなぁ。じゃあ、ほむらちゃんにもサインとか教えといてあげる。それでさ……」
ほむら「……?」
まどか「今度は、3人でマミさんをハメにいこうよ!」
さやか「おっ、いいねえ!」
ほむら「」
まどか「ウェヒヒヒッ!」
終わり
以上です
読んでくれた方ありがとうございました
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