パワプロ「あ、そうだ。今日○○の誕生日だ」 2 (5)


 みずき「先輩!お誕生日おめでとうございます!」


 パワプロ「おめでとうございます!」


 「おめでとうございます!」


 そう言ってくれる可愛い後輩や同期の皆。特にみずきは嬉しそうにとびっきりの笑顔を見せてくれている。
 3月3日。今日は僕の誕生日。
 二日前にこの学校を卒業したばかりだけど、今日はみずきからのメールで部室に来てほしいって誘われて来てみると2月14日の進君のサプライズ誕生日と     
 同じ様に、僕にもクラッカーの雨が降り注がれた。

 
 あおい「ありがとう、皆」


 僕は嬉しさを噛みしめながらみずきが差し出してくれている花束を受け取る。鮮やかなピンク色のハナモモ、確か花言葉は・・・
 僕がハナモモの花言葉を思い出そうとしている時、苗字で僕を呼ばれた
 その声の主は猪狩君だった。その隣には、瓜二つの弟の進君も立っている。


 猪狩「おめでとう、早川。やっと僕と同い年になったね」
 

 あおい「あ、そう言えばそうだね!やったぁー」

 
 猪狩君はキザッたらしく、でもどこか優しい微笑みを浮かべながら僕に淡い水色の包装紙でラッピングされたプレゼントを差し出した。
 僕はそれを受け取って「ありがとう」と言うと猪狩君は「今年は倍で頼むよ」と言ってきた。
 それに僕は「もちろん」と頷いた。中身によりけどね


 進「あっと言う間に過ぎちゃいましたね・・・」


 そう進君が呟くと、僕はふと去年のあの日を思い出した。ドラフト、それは僕達プロ野球を目指す高校野球児にとって一大イベント
 その日は10月の少し肌寒い季節にも関わらず、僕達旧3年生の熱気と期待が込み上げている中の部室に居た。そこでまず最初に聞こえたのは猪狩君の名前だった。
 猪狩君は当然と言わんばかりの笑みを浮かべているのに、僕は悔しさのあまり壁を殴って罅が入ってしまった。
 まぁ、その次に呼ばれたから落ち着きは取り戻したけど、監督に物凄く怒られちゃった・・・


 猪狩「ああ。だが、プロ野球で生き抜くには勝ち残るしか無い事を、覚えておくようにね」


 あおい「うん・・・わかってるよ。君との勝負、いつか出来る日が来ると良いね」

 
 
 猪狩「フッ・・・期待しているよ」


 
 そう言って猪狩君は拳を作り、僕も拳を作って互いにコツンと当てた。
 これは僕達にとっての合言葉でもある。意味は・・・頑張れとか任せてとか色々な言葉が籠ってる。

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 皆とのお祝いを終えて、気づけば夜になっていた帰路の途中、僕の携帯にメールが届いた。受信したメールの送り主の名前を見て僕は受け取ったプレゼントを落とさないように持って走り出した。
 

 空に点々と輝く星々の下、僕はいつも彼と待ち合わせをする公園に着いた。でもそこに彼の姿が無い
 メールを送った本人が遅れるのはどうかと思うけど、これは仕方ないこと。彼は沢山のアルバイトをして家族を養っているんだから
 彼と初めて出会ったのは私が少年野球時代の試合だった。彼は雅君と同じ所属で最年少ながらもチームのエースだった
 その彼と付き合い始めたのは僕が中学2年生の時、正確にはその初めて出会った日の夜に僕が彼に好きと告げた日から・・・
 

 あおい「・・・懐かしいなぁ」


 僕は星空を見上げながら呟く。
 そんな時、公園の入り口から誰かが走ってくるのが見えた。背丈の高くて、何かを抱えながらこっちに向かって走ってきている


 「す、すみません!先輩、遅れました!」


 あおい「ううん、僕もさっき来たんだよ。リョー君」


 彼の名前は友沢亮君。帝国実業高校で現キャプテンのエース・・・だったけど、肘を故障してピッチャーからショートにコンバートしている。


 友沢「そ、そうですか・・・。あ、誕生日、おめでとうございます」


 あおい「うん♪ありがとう、リョー君」


 そう言うと僕はリョー君にギュッと強く抱き着く。リョー君は少しよろめきそうになったけどすぐに踏み止まる。
 さすがはプロ野球を目指しているだけあってか足腰が強い。
 リョー君は最初は戸惑っていたけど、僕に微笑みながら抱きしめてくれた。


 あおい「温かい・・・」


 彼の温もりを逃さない様に抱き返す。彼の香りや、筋肉質な体に触れて僕は幸福感に浸る


 友沢「あっ、そうだ。先輩」


 あおい「ん?」


 リョー君は不意に僕の肩に手を置いてやんわりと僕を離すと、手に持っている物を差し出した。
 それは花柄の包装紙で包まれていて、結構な大きさの物だった。

 
 
 あおい「これは・・・?・・・開けていい?」



 友沢「はい。いいですよ」


 僕は受け取ってすぐに包装紙の端に貼られているテープを爪でカリカリと引っ掻きながら剥がしてみる。僕は綺麗に剥がしたいから時間がかかるんだよね

 剥がし終えて包装紙を外してみると、藍色の箱が出てきた。その箱は僕やパワプロ君達がよく行っているスポーツショップのメーカーが付いている箱だった。 
 その箱の蓋を開けてみると・・・ 


 あおい「え・・・これってっ・・・」


 僕は驚きのあまり言葉を飲んだ。それはグローブだった、でもただのグローブじゃない。
 本体の色は水色で、ウェブの下あたりに大きく花の模様が描かれている。しかもボールをキャッチする部分には猫の肉球も描かれていた

 
 
 あおい「これ、どうしたの?」



 僕はこれはただどこかで売っている物では無いと思い、リョー君に聞いてみた。リョー君は照れ臭そうに頬を指で掻いた。
 よく見るとその指は何故かピンク色に汚れていた。


 友沢「本体の色は業者の人に頼んでもらって、花とか内側は俺が塗ったんですよ」


 あおい「え!?そうなの・・・?」


 友沢「誕生日なんですから、普通の新品のグローブじゃ何か寂しいじゃないですか。だからもうちょっと何か加えようかと思いまして」


 リョー君はそう言って僕を見つめる。僕もリョー君を少し顔を上げて見上げる様に見つめる。
 彼との身長差はいつ頃から出てきたんだっけ、確か小さい頃は僕の方が若干高かった気がする。まぁ、男の子が女の子よりも小さいのって何か変だしね
 

 友沢「その・・・先輩の為に作ったんですけど・・・受け取って貰えますか?」


 リョー君は少し不安そうな面持ちで苦笑いを見せる。僕はリョー君が僕の為に作ったと言ったグローブを見つめる
 僕はある事に気づいた。描かれている花、それはみずきから貰った花束のハナモモだった
 その瞬間、僕はふとある事を思い出した。ハナモモの花言葉、それは・・・

 
 あおい「ありがとう・・・リョー君」

 
 友沢「・・・どういたしまして。先輩」


 僕とリョー君が抱きしめ合あう。僕はプロに行ってしばらく会えないけど、リョー君がプロ入りして僕と同じチームに入れれば毎日会える。
 そう期待した。未来に向かって・・・



 ハナモモの合言葉、それは・・・「私はあなたのとりこ」


 あおいちゃん誕生日おめでとうぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!


 ちなみにハナモモの花言葉は他にも「天下無敵」「気立ての良さ」と言うそうです。天下無敵はカッコいいわぁ


 そう言えば今年で何歳になるのかな?まぁ、何歳でもあおいちゃんは女神だ!!


 これからもピッチャーとして頑張ってね!!

 
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 -完-

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