モバP「セクハラの定義、ですか?」早苗「そう」 (40)

――――― 事務所


響子「おっそうじ、おっそうじ~♪」

ガサガサパタパタ

P「相変わらず精が出るなぁ」

響子「ええ!久々にまとまったオフが取れましたから!しばらく事務所のお掃除にかかろうと思って!」

P「オフなんだから休めばいいのに」

響子「う~ん、それが……むしろ休んでる方がストレスがたまっちゃって。
お掃除とかお洗濯とか、家事をしている方が気分もいいんですよねっ」

P「まぁそれなら俺は止めないけどさ」カタカタ

響子「よーし!普段はサボリがちなロッカーの上のお掃除しちゃいましょう!」

P「え?大丈夫か?」

響子「大丈夫です!脚立もありますし」

P「うーん……まぁいいか、下で押さえとくわ」

響子「ありがとうございます!」


五十嵐響子(15)
http://i.imgur.com/ygFmo0m.jpg

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響子「むむ、この荷物たくさん置いてるのPさんですか?
駄目じゃないですか。ロッカーの上だって貴重なスペースなんですから、こんなにごちゃごちゃ……」

P「すまんすまん、つい置く場所がなくてな」

響子「断る、捨てる、離れる。断捨離はお掃除以前の問題ですよっ」

P「うーむ……返す言葉がない」

響子「よっと、じゃあ下におろして整理していきますので受け取ってくださいね」

P「おう、あ、大丈夫か?その荷物は重――」

ガタンッ

響子「えっ!?何コレ、重ッ……」


グラッ


P「危ない!!」


ガッシャーン!!!


P「……大丈夫か!?」

響子「大丈夫です。Pさんがかばってくれたので……それより、その」

P「え?」

響子「そ、その……Pさんの手が、胸に」

P「……」モミモミ

響子「きゃっ」

P「……はっ!?すまん!!」

響子「いえいえ、事故ですし」

P「申し訳ない。とりあえず片づけるか」

響子「ですね」


早苗「……」ジー


P「  」


片桐早苗(28)
http://i.imgur.com/jJuEMzf.jpg

P「うわあああ!?早苗さん!????!?」ビクビクーン!!

早苗「すごい物音がしたから来てみれば……事務所でイチャついてるだけだったのね」ハー

P「違うんです!これは誤解なんです!!シメないでください!!!」

早苗「……ん?」

響子「そうです!Pさんはあくまで私をかばってくれただけです!!何も悪くないんです!!」

P「僕はセクハラなんてしてません!!信じてください!!」ドゲザーッ

早苗「……Pくん、何か勘違いしてない?」

P「へ?」

早苗「まず私はもう警察じゃなくてアイドルだし……」

P「あ、そうでしたねすみません」

早苗「いやまぁ、それでも職場でのセクハラは絶対に見逃せないし、
容赦なくシメし逮捕もするんだけどさ」

P「怖ッ!!」

早苗「そもそもP君はセクハラの定義を勘違いしてるんじゃない?」

P「セクハラの定義、ですか?」

早苗「そう」

早苗「例えば響子ちゃんは、セクハラってどんなものだと思う?」

響子「え、私もよくわかんないですけど……上司の男の人が部下の女性になんかこう……その」

早苗「まぁ大体それで間違ってないわね。もっと正確に言うのであれば、『職場』において行われる、
『労働者』の意に反する『性的な言動』に対する労働者の対応により労働条件について不利益を受けたり、
『性的な言動』により就業環境が害されることを言うの」

響子「む、難しくてよくわからないです」

早苗「まぁ15歳だからわからなくて当然よね。ただ響子ちゃんももうアイドルとして立派にお仕事してるでしょ?」

響子「そうですね」

早苗「その場合、貴方もちゃんとした『労働者』なの。つまり男女雇用機会均等法などの法律にきっちり該当する立場というわけね。
もちろん、年齢を加味すると全てが同じ条件とは言わないけど……」

P「つまり、どういうことなんですか?」

早苗「ざっくり言うとセクハラっていうのはね、『性別によって不利益を受ける』『性的な言動により嫌な気分になる』
事が絶対条件としてあるってことなの」

P「なるほど。じゃあ女性だからお茶くみさせたり、仕事を回さないのもセクハラなんですね」

早苗「その通り」

響子「えっ」

早苗「大丈夫、自分が好きでやってることは当てはまらないから」

響子「よかった……」

早苗「で、大事なのがここからなんだけど、まずさっきも言ったようにセクハラにおいては、
『性的な言動により不快感を与えられる』、この『不快感』という所が重要なの」

P「不快感?」

早苗「例えばP君、私の胸、揉んでみたい?」

P「ウェェェッ!?」

響子「……」ジトー

P「……揉みたいです」キッパリ

響子「Pさん失望しました」

早苗「ごめんね響子ちゃんただの冗談だから」

響子「ならよかった!」パァァ

P「えっ」

早苗「まぁこういう場合、逆セクハラの形で成立するかもしれなかったんだけど、
P君は私の胸を触る事に対して、不快感どころか喜びの感情があったわよね?」

P「はい」キッパリ

響子「Pさん」ジト

P「すまない響子、男には恥をかいても守らねばならないものがある」

響子「Pさん……」キュン

早苗「意味わからんこいつら」

早苗「まぁそういう事、つまりセクハラに該当するような条件であったとしても、
被害者とされる側が『被害である』と感じていなければそれはセクハラに該当しないということなの」

響子「へぇ……つまり、私たちがPさんにセクハラされたとしても」

早苗「そ、それを本人が『嫌だ』『不快だ』と思ってないときはセクハラに該当しないってことなの」

響子「へぇぇ……勉強になります」

早苗「ただしP君?君の立場はプロデューサー、しいて言うならアイドルより強い立場にいるということを忘れないでね?」

P「えっ?」

早苗「アイドルの仕事に関してはプロデューサーの采配一つ。つまりその権限を利用してちょっかいを出そうものなら、
即時セクハラであるとして手錠をかけなきゃならなくなるからね♪」

P「笑顔で怖いこと言わないでください!」

早苗「あはは、冗談冗談。P君がそんな事するなんて微塵も思ってないから」

P「そうなんですか?」

早苗「うん、P君は結構鉄の意志の人間だって信じてるよ。だから警察辞めてまでアイドルになったんじゃない」

P「早苗さん……」

響子「……」ジトー

ガチャ

こずえ「ただいまー……」

P「お、こずえおかえり。レッスンはどうだった」

こずえ「よゆうのよっちゃんだったよー……」

P「早苗さん」

早苗「な、何?わ、わたしこずえちゃんに何も何も教えてないし?」ピーヒュルル

響子「早苗さん、すごい汗かいてますけど大丈夫ですか?タオルいります?」

こずえ「ぷろでゅーさー……おきがえ、させてー……?」

ヌギッ

P「おわっ、こずえ、ここで脱ぐな!もう大きいんだから」

こずえ「えぇー……」ジワッ

P「泣いても駄目!」

こずえ「じゃあおふろー……」

P「よりいけない!流石にそんな事をしたら今度こそ早苗さんに―――」


早苗「……」フルフル

P「えっ?」

早苗「お着替えとお風呂くらいやってあげたら?」

P「アッレーーー!?」


遊佐こずえ(11)
http://i.imgur.com/OAJBLwE.jpg

P「いやいやいや!でもそんな事したら、アレがアレでアレですよ!?
もうこずえだって11歳なんですし!都条例とか!」

早苗「うーんP君わかってないなぁ」

P「わかってないとかそういう問題ですか!?」

早苗「まずね、確かに青少年保護育成条例をはじめ、子どもを守る法律というものは多いわ」

早苗「えっとね、これと、これと、これと……」キュッキュ


・児童買春罪
お金を払って18歳未満の者と性交渉をした場合、5年以下の懲役または300万以下の罰金

・青少年健全育成条例違反
お金を払わずに18歳未満の者と性交渉をした場合、2年以下の懲役または100万以下の罰金(東京都)

・児童淫行罪
18歳未満の者に対し強い影響力を及ぼして性交渉した場合、10年以下の懲役または300万以下の罰金

・児童ポルノ製造罪
児童と性交渉した際その様子を撮影した場合、3年以下の懲役または300万以下の罰金

・強制わいせつ罪、強姦罪
13歳未満の児童と性交渉をした場合、わいせつなら6か月から10年の懲役、強姦罪なら3年以上の懲役。


響子「うわ、たくさんあるんですねー……」

早苗「そうよ。最近はちょっと法律が増えすぎてよくわからなくなっちゃってるんだけど」

こずえ「ふわぁー……むずかしいー……」

P「ほら、こずえは11歳なんですよ?一番下のに容赦なく該当するじゃないですか」

早苗「甘い」

P「えっ?」

早苗「これはあくまで、Pくんがこずえちゃんの無知を利用してわいせつな行為を行ったり、
性交渉に及んだ場合の懲役刑なの。つまり、本人が望んでいる脱衣や入浴に関しては、ここに該当しないの」

P「えっ」

早苗「考えてもみて?なんで他人の力を借りてお着替えしてるのに、その人を訴えなきゃいけないの?
感謝することはあっても、起訴する理由なんて一つもないはずよ?」

P「うーむ……その通りだ」

早苗「さらに言うなら、P君は今こずえちゃんを預かっている立場なのよ?
いくらこずえちゃんが立派に働く社会人としての扱いを受けると言っても、彼女はまだ11歳、甘える事くらいは許されるんじゃない?」

P「た、確かにそうですけど……」

早苗「むしろお着替えや入浴はアイドルとしてどころか生活に必須よ?
それを害される(手伝ってくれない)ようであるならそっちこそセクハラの理由になってもおかしくないのよ」

P「ええーっ!?」

こずえ「……」ニコニコーッ


ガシッ!!

P「こずえやめろ!服をつかむな!」

こずえ「おきがえするのー……」ニコニコ

P「お前さては全部わかってやってるんだろ!?なあ!?」

響子「えーい」

スポン

こずえ「ふわぁ」

P「ちょ、響子!?」

響子「さ、こずえちゃんお風呂行きましょうねー?」

こずえ「……はーい」

テクテク

P「おお……響子、ナイスアシスト」

早苗「命拾いしたわね」チッ

P「なんですかその舌打ち!?」

ガチャ

ありす「話は聞かせてもらいました!!」

バァーン!!

P「(なんかめんどくさそうなのが来たぞ)」

早苗「ありすちゃん」

ありす「実は私、日々プロデューサーからのセクハラに心を病んでいるんです」

早苗「なんですって!?」

P「アレェッ!?」


橘ありす(12)
http://i.imgur.com/zfga1k0.jpg

早苗「詳しく聞かせてもらえるかしら」

ありす「はい、私アイドルをやるようになってから私服などにも気を遣うようになり」

早苗「ふむふむ」

ありす「下着も少しおしゃれで大人っぽいものを買うようになりました」

早苗「なるほど」

P「……」ゴクリ

ありす「しかし!私が最近セクシーな下着を履いて女性らしさ、ひいてはアイドルとしての魅力を磨こうと思っているのに、
Pさんはそんな私を一切見てくれようとしません!!」

P「ええ!?そんなことないだろ!!」

ありす「本当です!少なくとも一か月の間一度もスカートをめくられてパンツを凝視されていません!!」

P「当たり前すぎた!!」

早苗「それで、ありすちゃんの気持ちは?」

ありす「私としては、パンツを見てもらえないのは私の女性としての魅力が足りないと
プロデューサーに強く言われているような気がして精神的な苦痛が」


早苗「セクハラね」


P「なんでだよ!!!」




※多分違います

早苗「P君、アイドルに手を出す時点で最悪だけど12歳ってもう……」

P「そんな憐みの目で見ないでください!」

ありす「優しかったころのPさんに戻ってください……」ウルウル

P「お前泣く演技上手くなったよな!?今度ドラマの仕事持ってくるわ!!」

早苗「P君、もう観念しなさい。セクハラは重罪よ。ましてや担当アイドルに手を出したとなったら……」

P「う、うう……」

早苗「この事をマスコミにリークされたくはないわよね?なら素直にありすちゃんの言う事を聞き……
金土は私と宅飲みしなさい」

P「うう……わかりました」

ありす「あっ早苗さんずるいです」

早苗「ふっふーん!ありすちゃんは子どもだからお酒飲んだらタイホしちゃうわよ!」

ありす「ぐぬぬ……!!」

―――――  後日


ガッチャー!


ありす「おはようございます!!」イキイキ

P「おはようありす」

ちひろ「ありすちゃん、おはよう」

ありす「Pさん、ミーティングに行きましょう、さあ早く」イキイキ

ちひろ「ありすちゃん妙にイキイキしてますね?何かいい事でもあったんでしょうか」

P「さ、さぁ……?い、行こうかありす」

ちひろ「?」


――――


P「……今日は黒のレースか、また大胆なのを」

ありす「どうですか……ハァ、大人に見えますか……?」

P「ん、ああ……もちろん、大人だよ」

ありす「そうですか……じゃ、じゃあ中の成長も確認してもらっていいですか」

P「ちょっと待ってそれは流石に!」

ありす「いいんですか、プロデューサーにセクハラされていると各社マスコミにバラまきますよ」

P「う、うう……」

ありす「ふふふ……」










まゆ「…………」スッ

凛「…………」コクリ



佐久間まゆ(16)
http://i.imgur.com/LRqV23s.jpg

渋谷凛(15)
http://i.imgur.com/DguaCAR.jpg

まゆ「ありすちゃーん♪」

ありす「あ、はい?どうかしましたか?」

凛「……」スッ

まゆ「最近プロデューサーさんと仲がいいんですねぇ」

ありす「いえいえ、当然の事ですよ、何せ先日の選挙でも一位に輝きましたしヒッ!?」

ドスッ!!!

まゆ「あらいけなぁい……バレンタインのイベントで使う包丁が……うっかり壁にささっちゃいましたねぇ」

ありす「ひっ……ひっ……!?」チョロッ……

凛「ねぇありす……『パワハラ』って知ってる?」

ありす「へっ……!?」ビクッ

まゆ「パワーハラスメント……職場の権力を利用した嫌がらせの事だそうです。
主に先輩から後輩に行われることが多いそうですよぉ……?」ニコッ

凛「大変だよね……被害者の人って、あまりに恐くて相談に行くこともできないんだってさ」


ガチャァンッ!!


ありす「ひぃぃっ!!ごめんなさい!ごめんなさい……!!もうしませんから……!許してください」

まゆ「……許す?」

凛「ごめん、ありすが何を言ってるのかわからないや」

ありす「あっ……あぁ…‥ヒッグ……ぶぇっ」ポロポロ

まゆ「別にありすちゃんに対して怒ってるわけじゃありませんよぉ?
ただ……プロデューサーさんをいじめるのはよくない事ですよねぇ」

凛「気持ちはわかるから……ほどほどに、ね?」

ありす「は、はいっ……はい!」ポロポロ

―――― 数日後


凛「ありす、まゆ、これから暇?」

まゆ「暇ですよぉ」

ありす「はい!大丈夫です!」



ちひろ「何だか最近あの三人が仲良くなりましたね」

P「ええ、前までは少し険悪な感じでしたけど、なんだか打ち解けたみたいです」


凛「じゃあいまから(プロデューサーの)家に遊びにいこっか」

まゆ「いいですねぇ」

ありす「わーい!準備しますね!」

凛「カメラとかいるかな」

まゆ「ピンセットとか便利じゃないですか?」

ありす「ペンチとドライバー持ちました!」


P「工作仲間なんですかね」

ちひろ「何にせよ、共通の趣味ができるのがいいことですね」ニコニコ





プロデューサーの家のものが、ちょこちょこ新品に変わっていたり、
家中のいたるところに盗聴器やカメラが仕掛けられていることが発覚するのは、ずいぶんあとのお話である。



おしまい。

以上です。ルールとマナーを守って、正しくセクハラしましょう!

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