あかり「私の家、今ラムレーズンあるよ。今から行こっか」

京子「ほんと！？ あかり大好き！」

あかり「えへへ」

結衣「いつも悪いな、あかり。みんなで家押しかけちゃって」

あかり「ううん。誘ってるのはあかりだしみんな来てくれるとあかりも嬉しいよぉ～」

ちなつ「じゃあ行きましょうか」

あかり「うん！みんな行こう」

－赤座家?

あかり「ようこそぉ～」

結衣「あれ、あかり。何持ってるの？」

あかり「あ、これ？部屋に置いてあったんだよ。なんだろ」

ちなつ「なんか…未来的な機械ですね…ヘッドホンですか？これ」

京子「なんか紙が貼ってあるじゃん。どれどれ……え、」

京子「タイムリープマシン……」

結衣「な、何かのイタズラだろ。そんなものあるわけないじゃないか」

ちなつ「そ、そうですよね。きっと何かおもちゃですよ」

あかり「ちょっと、調べてみよっか…」

結衣「よせよ、あかり。危険な物かもしれないだろ」

あかり「うーんでも…」

プルルルル プルルルル

あかり「電話だ。ちょっと待ってて」

タッタッタッ

ちなつ「ま、まあこのことは置いときましょう」

結衣「そうだな…」

京子「でも本物だったら凄いよね。宝くじとかで一攫千金…」

結衣「くだらないこと考えるなよ」

あかり「ごめんみんな。お母さんに財布届けてくるね。ちょっとだけ待ってて」

結衣「分かった。気をつけろよ」

あかり「うん！みんなはお菓子でも食べてて」

京子「行ってらっしゃーい」

~2時間後~

結衣「…さすがに遅くないか？」

ちなつ「一緒に買い物でもしてるんでしょうか」

京子「私を置いてそんなことするとは、あかり…なんて度胸だ…」

プルルルル プルルルル

プルルルル プルルルル

ちなつ「出た方がいいですかね？」

京子「私出てくるよ」

京子「はい、赤座の家です」

警察「もしもし。そちら赤座さんのお宅でしょうか？こちらは⚪︎⚪︎県警です」

京子「あ、私はこの家の者の友達で今はこの家の人はいないんです」

警察「そうですか、ありがとうございます」

京子「あの…何かあったんですか？」

警察「……君は、赤座あかりさんの友達かい？」

京子「はい。もしかして、あかりに何か……」

警察「…交通事故に遭ってね……5時ごろ、亡くなった」

京子「え？」

警察「母親と一緒に歩いていたようだが、母親はショックで今放心状態でね。迎えに来てもらおうと思ったんだ」

京子「あの、いや、ちょっと待ってください。あかりが…死んだんですか……？」

警察「そうだよ。居眠り運転でね。つらいだろうけど、あかりさんのお母さんを迎えに来てもらえないかな」

京子「…はい…分かりました……」

ガチャ

結衣「京子、長かっ……どうした？」

京子「あかりが………死んだ」

結衣「……は？」

ちなつ「え…嘘ですよね？」

京子「………」

–葬儀場–

京子「………」

結衣「………」

ちなつ「………」

京子「あのさ…」

京子「あの日、あかりが持ってきたもの…覚えてる？」

ちなつ「えっと…」

結衣「……タイムリープマシン…！」

京子「試す価値は…あるんじゃないかな」

ちなつ「で、でも…」

ちなつ「過去を変えてしまったら、何か良くないことが起きそうな気が…」

結衣「でも……あかりのためだ。いつもみんなの中心に立って…誰もが頼りにして、誰もが信頼してついていった……あかりのためだ…」

京子「行こう。あかりの家へ」

~数日後~

京子「これだ……」

ちなつ「で、でも誰がやるんですか？」

京子「………」

結衣「…わ、私が…」

京子「私が！」

京子「私が…行く……」

結衣「京子……」

ちなつ「やっぱり、やめませんか…？ あかりちゃんは助けてあげたいけど……どうなるか分からないんですよ！？ 」

京子「だけど！」

京子「だけど…あかりが死んで何もかもが変わった……。今まで中心になって動いてたあかりがいなくなって、みんなどうすればいいのか分からなくなってる……」

結衣「……じゃあ私が！」

京子「駄目だよ。結衣が危ない」

結衣「そんなこと言ったら京子だって！」

ちなつ「そうですよ！それに運命は変えるべきではないです！」

京子「でも、行くよ。あかりを助けに」

カチャ

結衣「京子！」

ちなつ「京子先輩！」

京子「うっ！」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

京子（……ここは…部室？）

あかり「ねえねえ、みんな。今日は何して遊ぶ？」

京子「え…あ、あかり……」

あかり「？ なに？京子ちゃん」

京子「あ……あ…あかり……」

京子「あかりいいいい！！！！」

あかり「え、なっなに！？」

京子「あかり……あかり！」

結衣「おいどうした」

ちなつ「どうしたんですか。京子先輩」

京子「だって…あかりが………え？」

京子「結衣たちは…覚えてないの……？」

結衣「は？ 何をだ」

ちなつ「大丈夫ですか京子先輩。元からおかしいのは知ってましたけど」

京子（もしかして、私しか覚えてないのか？）

京子（それなら…私一人で）

あかり「あ、あの、みんな今日あかりの家に来ない？」

結衣「え？ いいのか？ お姉さんは？」

あかり「今日はいないからいいよ。あかりも来てくれると嬉しいし」

京子「じゃあ…行こっか……」

－赤座家－

あかり「ようこそぉ～」

ちなつ「おじゃまします」

結衣「あかりの家久しぶりだな。小学校以来だ」

ちなつ「そうなんですか。私はじめてです」

京子「何言ってんだよ二人ともー。そんな冗談言ってー」

結衣「え？ いや、お前は最近来たかもしれないけど私たちは来てないぞ？」

京子「え」

ちなつ「まったく。京子先輩はいつも自分のことばかりですね」

京子（どういうことだ？）

ちなつ「あれ？ あかりちゃん何持ってるの？」

あかり「あ、これ？ なんか机の上に置いてあったんだよぉ」

結衣「なんか怖いな」

ちなつ「ヘッドホンですかね」

あかり「何か紙が貼ってあるよ」

結衣「どれどれ……タイムリープマシン……」

京子「………」

ちなつ「なんか…今日の京子先輩静かですね……」

結衣「いつもはあかりと同じくらい目立ってるのにな」

京子「いや……あかりの方が目立ってるだろ……」

結衣「？ まあいいや。とりあえずその機械は置いとこう」

あかり「そうだね」

プルルルル プルルルル

あかり「ちょっと待ってて」

京子「あっあかり！」

あかり「なに？ 京子ちゃん」

京子「あの…電話、今は無視してもらっていいかな……」

結衣「はあ？ お前何言っ…」

京子「お願い！」

あかり「わ、分かったよ……」

プルルルル プルルッ…

京子（切れた……これであかりは助かるはずだ……）

あかり「それでね、」

プルルルル プルルルル

あかり「また電話だ」

京子「！！！」

京子「あかり！ 待って」

結衣「おい、いい加減にしろよ」

ちなつ「そうですよ。大事な用かもしれないんですよ」

あかり「ごめん、京子ちゃん。すぐ戻ってくるから」

タッタッタッ

京子「あ、あかり…」

京子（だ、大丈夫……あかりを外出させなければ…あかりは助かるんだ……）

京子（私が、守る……！）


京子（結局、その日あかりは死ななかった）

京子（私は勝ったんだ）

~翌日~

あかり「今日は何しよっか」

結衣「2日続けて来ちゃって…悪いな」

あかり「いいんだよぉ～。みんなが来てくれて嬉しいよぉ～」

京子「毎日来てやるぞ」

あかり「あはは。ありがとぉ～」

プルルルル プルルルル

あかり「みんなちょっと待っててね」

京子「ほーい」

タッタッタッ

ゴトゴトゴトゴトゴトゴトッ

ガンッ！！！

京子「え？」

結衣「あかり！」

ちなつ「あかりちゃん！」

ドタドタ

京子「嘘だ……」

結衣「あかり！ ちなつちゃん、救急車呼んで！」

京子「どうして…… ！」

京子「！」

京子「5時だ……」

京子「もしかして……」

京子「あかり！！！」

カチャ

京子「私が……絶対に助けるから！」

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京子（何度試しても、1日伸びていくだけで午後5時にあかりは死んだ）

京子（頭を打って死んだ。クレーン車が倒れて潰れて死んだ。海で溺れて死んだ。崖から落ちて死んだ。自分が死ねば何かが変わると思って死のうとした。だけどあかりが助けてくれて代わりにあかりが死んだ））

京子（どこに連れて行っても、何をしてもあかりは死んだ）

京子（そして何故か、繰り返すうちにいつもみんなの中心だったあかりは存在感が薄くなっていった）

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結衣「さて、今日は何するか」

ちなつ「あ、私お茶淹れてきます。3つですね」

あかり「もぉ～私もいるよぉ～」

ちなつ「え！？ 本当に気づかなかった…」

あかり「もぉ～酷いよぉ～」

京子（今日はあかりの死ぬ日だ）

京子（あの日から一ヶ月経った。だけど私の過ごした時間は実質一年以上だ）

京子（いつまで続くのかな……これから私は成長していく。20歳になっても、50歳になっても、80歳になっても、私はまた中学二年生からやり直すのだろうか）

京子（それもいいかもしれない。本当にあかりが死ぬ日、それはあかりの存在感が限界まで薄くなり、消えて無くなってしまう時だ）

京子（その時まで、頑張ろう）




終