晶葉「出来たぞ、放屁無音化装置だ」 (45)

【モバマスSS】です

注意点などは、タイトルからお察しください

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1419262110


晶葉「これさえあれば、生放送も怖くない」

モバP「待てや」

晶葉「ん?」

モバP「何が出来たって?」

晶葉「放屁無音化装置」

モバP「……」

晶葉「ほ・う・ひ・む・お・ん・か・そ・う・ち」


モバP「一つ確認していいか?」

晶葉「勿論」

モバP「晶葉は、ロボットが専門だよな」

晶葉「そうだな。最高傑作はウサちゃんロボだ」

モバP「ウサミンロボは?」

晶葉「あれは、ウサミン科学によって作られたウサミニアックブレインを使っているからな」

モバP「純然たる地球製……いや、池袋科学の産物ではない、と」


晶葉「そうだ。あれを自分の最高傑作だとする厚顔さは持ち合わせていない」

モバP「その気持ちはわかる」

晶葉「なんとか、模倣は出来るんだがな。完全解析にはまだ遠い」

モバP「一個人が自力で異星科学を理解しようとしているだけで凄いと思うぞ」

晶葉「褒め言葉と受け取っておこう」

モバP「で、話を戻すが」

晶葉「放屁無音化装置がどうかしたのか」


モバP「いや、だからさ。晶葉の専門はロボットだろう?」

晶葉「うむ」

モバP「なんでそんなものが作れるんだよ」

晶葉「ロボの駆動部分の消音装置にヒントを得て作ったんだ」

モバP「ロボってそんなに五月蠅いのか?」

晶葉「試しに消音装置をカットしてみようか?」

モバP「やってみてくれ」


晶葉「よし……」
晶葉「ウサちゃんロボ、集合!」

 うさうさ うさうさ

 ガッシュンガッシュン!! バキャラゴグガキーン!! ゴスッドスッゲスッ!!

モバP「なに、この騒音」

晶葉「ウサちゃんロボ本来の駆動音だ」

モバP「マジか」


晶葉「因みにウサミンロボの場合……」
晶葉「来いっ! ウサミンロボ!」

 うさうさ うさうさ

 ブロロロロォ ブロロロロォ ブロロロロォーーーー
 ズババババーーーン ブットバースンダギュンギュギュン
 マジーンドルゲワルーロルロロ

モバP「なんか騒音がおかしいぞ!?」

晶葉「ウサミン星エンジンの駆動音は特徴的だな」

モバP「そういう問題なのか」


晶葉「とにかく、これらの駆動音の消音装置に改良を加えてみたと言うことだ」

モバP「それがその……」

晶葉「放屁無音化装置」

モバP「そのネーミングなんだが」

晶葉「わかりやすくていいと思うが」

モバP「うん。わかりやすい。それは認める。だがなぁ」
モバP「その名前だと、おならしか無音化できないような気が」

晶葉「その通りだが?」

モバP「」


晶葉「どうした」

モバP「あ、いや、待て、ちょっと待て」

晶葉「どうしたと言うんだ」

モバP「おならしか無音化できないのか」

晶葉「ああ」

モバP「なんで」

晶葉「なんでって……」
晶葉「放屁無音化装置は下半身につける必要がある。ここまではいいか?」

モバP「理解できる」


晶葉「放屁以外の音を消してみろ、どうなると思う」

モバP「うーん……」

晶葉「足音や、スカートの衣擦れの音まで消えるんだぞ」

モバP「……不気味だな」

晶葉「そうだ。本来あるべき音まで消してしまうのは不自然だろう」

モバP「おなら以外の本来あるべき音は消さないと言うことか」

晶葉「その通り」

モバP「よくわかった」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


晶葉「というわけで、実地テストを行いたいと思う」

みちる「」

みく「」

笑美「」

晶葉「この装置を腰に巻いて……」

笑美「あ、ちょっと待ったってや」

みちる「なんだか釈然としないんですね」

みく「またPチャンがみくを苛めようとしているにゃ」


モバP「三人とも落ち着け。みくはその鉤爪を引っ込めろ」

笑美「あんなぁ、下ネタの笑いも確かにあるんやけど、一応ウチらアイドルやで?」
笑美「ウチや鈴帆はんは、笑いとってナンボって気持ちも多少あるけど、みくとみちるには殺生やないの?」

モバP「笑美の言うことにも一理ある。しかしだ、お前たち三人を選んだのはちゃんとした理由があるんだ」

みちる「理由があるんですか」

みく「理由次第によっては、この輝子チャン直々に譲ってもらったカエンタケ爪を引っ込めるにゃ」

モバP「殺す気満々かよ、お前」

笑美「んー。ほな、一応その理由聞こか?」


モバP「装置のテストだからな、結構激しい放屁が必要だと思われる」

みく「ほほう」

モバP「待てみく、鉤爪を意味ありげに揺らすんじゃない。話は最後まで聞け」

みちる「みくさん、落ち着いてください。死刑囚だって、死刑前日には好きなパンを食べる権利があるんです」

モバP「ありがとうみちる。そして俺死刑前提なのか、あと、パン以外も食わせてやれ」

みちる「それは論外ですね。人はパンのみにて生きるんです」

モバP「血も涙もねえな」

笑美「ええから早よ、歌いや」


モバP「よーし、なんか俺泣きそうなんだが、とりあえずお前らよく聞けよ」
モバP「みちる、みく、笑美。お前たちには共通点がある」
モバP「この共通点を持っているのはお前たち三人以外にもいるんだが、とりあえず今集まれるのはこの三人だったんだ」

笑美「ほんで、その共通点って?」

モバP「三人とも、名前に『み』がついてるだろう」

みく「は?」

モバP「さっきも言ったように、このテストには激しい放屁が必要だ」
モバP「だから、危険なんだ」
モバP「『み』が出ないように、すでに名前に『み』が付いている被験者を選ぶことで験を担ぐ意味が……」

みく「きしゃあぁああああっっ!!!」

モバP「ぎゃああああああああっ!!!!」


みく「ちっ、避けられたにゃ」

モバP「い、今、心臓狙っただろ!!」

笑美「いてもうたれ!」

みちる「ふごっ!」

モバP「なんでパン食ってんだよ!?」

笑美「うりゃ!」

モバP「うおっ、笑美、石は投げるな!」

笑美「石速球や!」

ユッキ「ぐああああああっ!!」

みく「なんか向こうで苦しんでるにゃ」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


笑美「というわけで」

みく「Pチャンでテストするにゃ」

みちる「わくわくですねっ」

モバP「……なんで俺縛られてるのかな」

晶葉「まあ、テストさえ出来るなら誰でもいいが」

モバP「あ、裏切ったな」


晶葉「最初から、嫌がるアイドルをテスト台にする気はない」

モバP「嫌がるプロデューサーはいいのか」

晶葉「次善の策、というやつだな」

モバP「……わかった。俺もアイドルたちに放屁させるのはもしかしたら拙いんじゃないかなと思っていたところだ」

みちる「どの口で言うんですかね」

モバP「パンを食う口だ」

みちる「!! そ、それは失礼しました」

みく「納得するにゃ」


笑美「テストやから、激しい一発、頼むで」

モバP「……俺もモバPと呼ばれた男、覚悟は決めた」
モバP「お前らがスローモーションで吹っ飛んで真っ白になるくらいのをかましてやるぜ」

晶葉「そのことだが、無理に激しくする必要はないぞ」

モバP「そうなのか」

晶葉「無理に激しくしなくても、勝手に激しくなるしな」

モバP「ちょっと待て」
モバP「今、ものすごく不安なことを言われたような気がするんだが」

晶葉「それじゃあ、そろそろ……」

モバP「説明してもいいんだよ!?」


晶葉「無音化するときに、音の持っているエネルギーを散らす必要がある。無になるわけではないからな」

モバP「ふむ。なんとなく想像が付くな」

晶葉「音のエネルギーを、噴出力に転化させているというわけだ」

モバP「深くは聞かないが、凄いことは理解した」

晶葉「準備」

モバP「あ、ちょっと待て、晶葉。確認したいことが」

晶葉「なんだ」

モバP「噴出力って言うが、推進力に転化されないか?」

晶葉「かもしれないな」

モバP「今俺は縛られているわけだが、ここで尻に推進力が発生すると、地面に垂直方向に飛んでいくような気がする」

晶葉「確かに、発生した推進力によっては、飛ぶ可能性もあるな」

モバP「天井にぶつからないかな」

晶葉「……」


・・(想像開始)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 プロダクションでは新しいプロデューサーを雇うことになった。
 
 新しいプロデューサーはちひろに事務所へと案内されると、室内を見て、二つ質問していいかと早速尋ねた。

 ちひろは、忙しいのでどちらか一つしか答えませんよと言う。

 仕方ない、と言ってプロデューサーは二つ質問した。

 一つは、前のプロデューサーは何故辞めたか。
 もう一つは、部屋の天井の赤茶けた不気味な染みは何なのか、と。

 質問を聞いたちひろはニッコリ笑って言った。

「あら、それなら、答えは一つで済みますね」


・・(想像終了)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


モバP「てなことになったらどうすんだ!?」

晶葉「なんで小咄ライクなんだ」

モバP「とにかく、危険だからテストは中止するんだ」

晶葉「ロボ集合!」

 うさうさ うさうさ うさうさ

晶葉「ウサちゃんロボ皆で窓を開けて、椅子を傾けるんだ」

 うさうさ


みく「このままだとPチャンがお外に飛んで行くにゃ」

モバP「南斗人間砲弾をマスターする気はないぞ」

晶葉「予想落下地点にはウサミンロボを急行させている。きっと受け止めてくれるだろう。多分。恐らく」

モバP「不安しかねーよ」

みちる「あの、本当に?」

笑美「いや、ちょっと、ほんまにヤバない?」

晶葉「まあ、冗談だ。本当に飛んでいく程の推進力があったら、実用出来るわけないだろ」


みく「このままだとPチャンがお外に飛んで行くにゃ」

モバP「南斗人間砲弾をマスターする気はないぞ」

晶葉「予想落下地点にはウサミンロボを急行させている。きっと受け止めてくれるだろう。多分。恐らく」

モバP「不安しかねーよ」

みちる「あの、本当に?」

笑美「いや、ちょっと、ほんまにヤバない?」

晶葉「まあ、冗談だ。本当に飛んでいく程の推進力があったら、実用出来るわけないだろ」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

晶葉「まさか、本当に飛んでいくとはな……」

モバP「……ウサミンロボが空中で受け止めてくれなかったら、首都高速に飛び込んでたな」

晶葉「すぐ改良する」

モバP「音を噴出力に変えるのは危険すぎる」

晶葉「別のアプローチから試作したものがもう一つあるのだが」

モバP「別のアプローチ?」


晶葉「うむ。放屁三要素の一つである音を残りの二要素に転化するのがこの装置のコンセプトだからな」

モバP「なるほど、今のは、残り二要素の内の一つ、噴出力に転化していたのか」

晶葉「別の一つに転化するものも一応試作しているんだ」

モバP「別の一つ……まさか」

晶葉「その、まさかだ」

モバP「……匂い、か」

みく「用事を思い出したから帰るにゃ」

みちる「家の手伝いしなきゃ」

笑美「ほな、そういうことで、さいなら」


モバP「逃げるなよぉ!」

みく「さっきのPチャンの飛びっぷりから考えたら、匂いも凄いものになるにゃ!」

みちる「帰ります、帰りますよ」

笑美「流石に匂いは勘弁や、シャレになってへん」

モバP「冷たいなぁ、三人とも」

みく「……ところでPチャン」

モバP「ん?」


みく「さっきは凄い勢いだったけれど、『み』は?」

モバP「a little」

みく「にゃあああああああっ!!!」

みちる「」

笑美「」

モバP「なんて、じょうだ……あれ?」

晶葉「三人とも素晴らしいダッシュで帰って行ったな。日野茜かと思った」


モバP「せっかちな連中だな」

晶葉「テストは続けていいのか」

モバP「匂いがちょっと不安なんだが」

晶葉「ウサミンロボに換気装置を持たせて待機させている。万が一の時は悪臭を吸収してくれる」

モバP「頼むぞ、ウサミンロボ」

 うさ! うさ!

晶葉「よし、テストを開始する!」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 うさ! うさ! うさ! うさ! うさ! うさ!

 ウサミンロボは頑張る。
 換気装置を運ぼうとした。
 晶葉の元へと運ぼうとした。
 モバPの元へと運ぼうとした。

 うさっ! うさっ! うさっ! うさっ! うさっ! うさっ!

 しかし、臭いは想定の範囲を超えていた。

 うさっ! うさっ! うさっ! くさっ! くさっ! くさっ! 

 くさっ! くさっ! くさっ! くさっ! くさっ! くさっ! 

 次々と倒れるウサミンロボたち。

 薄れゆく意識の中でモバPは涙した。

モバP(すまぬ……すまぬ……)

 薄れゆく意識の中で晶葉は、ロボに嗅覚センサーを取り付けていたことを後悔していた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 数時間後、異臭に包まれた事務所の中から晶葉とモバPは救出される。

 その異臭の中に飛び込むことが出来たのは一ノ瀬志希ただ一人だった。

「にゃはは、あたしってば、変な匂いには慣れてるしぃ~♪」
「でもキミは、食生活見直さないと、ちょっと匂いが凄いよ?」

 なお、ロボたちの除臭には二週間、事務所の除臭には一ヶ月かかったという。



以上、お粗末さまでした。

>>うさっ! うさっ! うさっ! くさっ! くさっ! くさっ!

これがしたいがために書いたSS。後悔はしていない。 

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom