男「いつの間にか消えていた俺の夢」 (13)

友「うーっす。男、相変わらずこの講義かったるいな」

男「同感。まあ取り合えず単位だけ取れればいいかなあ」

友「単位だけ取れればこんな講義ともおさらばだ」

教授「で、あるからして」

友「あっ、そういえば就活どうする?」

教授「私たち人間は日々の煩雑さに生活を独占され」

男「んー?就活か。ってか俺らもうそんな時期か。はえーなあ」

教授「幼少期に体験した記憶などは段々と忘れ去られるのである」

友「俺は金ほしいから大企業を片っ端から受けるつもりかな」

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教授「否、忘れるという表現は相応しくなかった」

男「大企業をって…この大学そんなに有名でもないし資格とかないときびしいんじゃないか?」

教授「正しくは思い出すことができないのである」

友「俺を誰だと思ってんだよ?資格とかは有利な物は全部とってるっつーの!」

教授「そこ。さっきから騒がしい。学籍番号と名前を教えろ」

友男「!」

友「すいませーん」ヤッバ

男「すいませんしたー」

教授「…続ける」





男「あー、ビビった。この単位落としたらシャにならん」

友「まあ、上手く躱せたからよかったじゃん」

男「まーな。これからどうする?もう講義ないけど」

友「んー勉強してくるわ!お前は?」

男「バイト。今月忙しくてさ」

友「じゃまた明日な」

男「お疲れー」

友「お疲れ」



男 (就活か…俺ってどこに就職するんだろうか)

男 (どこに就きたいってのは無いんだよな…)

男 (接客業とか営業職…サラリーマン)

男 (ダメだ。イメージが漠然としてて何がやりたいのか自分でも分からん)

男 (俺の夢って何だ?)

今日はここまで

書き溜めはあるけど正直どこが終着点になるのか分からない



男「お疲れ様です」

同僚「おう、お疲れ。今日も忙しいぞー?」

男「マジっすか?まあここが忙しくない時なんてないっすよね」

同僚「今日はクローズまでだろ?頑張れよ」

男「その分の稼ぎますから」ハハハ…

同僚「もう休憩終わるから先行くわ」

男「着替えたら直ぐに行きますねー」

同僚「おう」

バタン

男 (今日は七時間か…辛いな)




男「ありがとうございましたー!」

客「ごっそさん」

店長「お疲れ様、男君。なにか食べていくかい?」

男「いえ今日はコンビニ弁当を買ってるので家で済まします」

店長「そうかい。じゃあまた明日」

男「はい!お疲れ様でした!」

男「…」

男 (疲れた…)



男 (ただいま)

男 (…)チラッ

AM 1:26

男 (腹減りすぎて逆に腹減らなくなってる)

男「…」

ゴソゴソ

男「…いただきます」

男 (テレビでも見ようかな)

男「…何もねえ。当たり前か」

男「…」モソモソ



男「ご馳走さま」

男「…寝仕度して寝るか」

男 (喋ってないと何か寂しいな…)

男「あー!今日も疲れた!今日の俺お疲れ!」

男「…」

男「」zzz...


教授「私は常々こう考えている」

教授「私の行動は全て規則に沿った動きをしており、そこには何物も、私の意思さえも介在していない、と」

男「これって何勉強していいかわかんなくね?」

教授「ある実験では個人に左か右にある玉を無造作に複数回選んでもらい、どちらを選んだかを記録する実験が開催された」

友「確かに。教科書もなくただ一方通行的に話してるだけだしな」

教授「この実験を隔週で繰り返し行った結果、右を選ぶ人間が圧倒的に多かった」

男「でも、この講義内容は難しいけどテストは簡単だってきくぜ?」

教授「この実験結果は、何かを選択するときには自身の意思は介在していないという説を補強するものとなったのである」

友「じゃあ、なんとかいけるな」

男「…ふーん。意思は無い…か」

キーンコーンカーンコーン

教授「今日はここまでとする」

友「もしかしたら俺の大企業に行きたいっていう希望も俺の意思は存在してないのかもな」

男「教授の話?」

友「ああ。大企業に行きたいっていう希望も詰まるところ親の期待とか、金が沢山貰えるとか、世間体とか」

友「結局そんなことに囚われてるから、さ選んだわけで…」

友「教授の話も分からなくもないんだよな」

男「…なるほどな」

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