飛行場姫「ハクチカッコカリ」(艦これ・リベンジ) (268)
ちゅーいじこー
・妄想駄文注意
・不定期更新
・オリ設定多々あり
・全体的にゆるい
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※これは、以前作者が書いてエタってしまったssのリベンジverです。
とりあえず、前回分まで投稿します。
【姫さま、漂着する】
…………………青い。
目を覚まし、仰向けに空を見上げると忌々しいまでに青かった。
「………マブシイ」
ついでに眩しかった。
あと、アタマイタイ。
「アーモウ…イタイノハイヤダ、アツイノモイヤダ、サンシキダンナンテダイッキライダ!」
とりあえず悪態を吐いておく。
…………………。
………………………。
……………………………。
「………ニゲヨウカナ、ホント…」
正直、戻ったら他の姫に何されるか分かったもんじゃない。
ついでに、あの忌々しいヒキコモリは絶対あざ笑いに来る。
……それに、放置されているという事は「そういう」事だろうし。
「……アー、ウー…」
…こういう事を考えられるのも「自意識」のおかげだろうか。
………アタマイタイ。
「……………イタイ」
触ってみたら腫れてた…そういえば頭に何か当たってから意識が無くなった気がする……ヤツらバカみたいに撃ちまくりやがって。
……まあ今更それはどうでも良いや。
とりあえずの問題は…
「……ココ、ドコヨ」
…自分は、どうやらどこかに漂着したようだ。
【姫さま、廃墟に着く】
白い肌、見慣れてる。
白い髪、汚れてる。
白い服、破れてる。
紅い眼、見えてる。
艤装、丸ごと消失。
周りの景色、さっぱり。
…これは、危機感?を持った方がいいのだろうか?
……近くに何か廃墟が見える。
「……ニンゲンノハクチ、カ?」
よく見れば、あちこちに弾痕や爆発の跡がある。
何ともなしに廃墟に近づいてみると、やっぱり所々崩れてる。
そういえば……人間のこういう物は一度も詳しく見たことがなかったな。
…気になる。
凄い気になる。
とにかく気になる。
「……ダレモ、イナイヨネ」
かろうじて残った扉を押し開いてみる。
……おお、ただの廃墟だ。
歩けばコツコツ響く。
階段は……崩れてるか。
そのまま歩いていると、広い場所に出た。
「……………………ァ」
「……………………あ」
何か小さな生物が居た……ェ?
【姫さま、妖精と遭遇する】
「いやああああ深海さんだぁ!?」
「ボク達美味しくないですー!」
「命だけお助けー!?」
「アー…エ?」
こいつらあれか、艦娘が妖精とか呼んでる奴らか。
何か机の上でガタガタ震えてる…
…………………………………。
ヒョイ。
「いやああああ食い散らかされる!?」
「あばばばばばばば!?」
「もうだめだぁおしまいだぁ!」
おおー、じたばたしてる。
「……イヤ、タベナイカラ」
「しゃべったああああァ!?」
「あばばばばばばば」
「わたしたちただのよーせーですからー!?」
話聞けよ。
「イヤ、ダカラタベナイッテ」
「…………ホントですか?」
「あばばばばばばば」
「なんまんだーばーなんまんだーばー…」
…こいつら面白いな。
「ホントホント」
「…………………………ならいーや」
【姫さま、名乗る】
とりあえずおろしてやろうか。
「助かりました……おめーらなにやってんの?」
「…ハッ!」
「あ、一乃木さん生きてらっしゃる?」
「この方食べねーって」
「…なら安心です」
「生きるって素晴らしいねー」
私で助かったなこいつら。
「ところで深海さん、何でここに?」
「ナガレツイタ」
「流れ着いた…?」
「なるほど把握です」
「今ので分かるのかー」
…見てて飽きないな。
「それでは何かお探しで?」
「イヤ、キニナッテ」
「ただの興味本位でしたか」
「でもここ何も無いです」
「一年くらいほったらかしー」
ふーん…
「…ン?ナラナンデ、イルンダ?」
「こいつらがトロくて逃げれねーでした」
「面目ないです」
「おいてけぼりー」
なるほど…良く生きてたなそれで。
「あ、大事な事忘れてた……私、一乃木と言います」
「ボクは炉宮です」
「自分は花原ー」
「…ナマエカ」
「深海さんは名前有りやがります?」
名前、名前……まぁ…。
「……リコリス、カナァ」
後から考えたら、こいつらに会った事が全ての始まり、だと思った。
【姫さま、入浴する】
ちゃぷん。
「…………………………………」
何コレあったかい。
「湯加減どーです?」
「…………………………ワルクナイ」
「良かったです。リコリスさんに効くかまだ分からないですけど入って損は無いです」
うんうんと語る炉宮。
…………現在私、風呂体験中。
あの後も愉快な妖精と話していたら、私の容姿の話になり、気付いた時には地下に連れてこられてこのドラム缶風呂なる物に入れられていた。
そしてその時に解ったのだが…この建物、地上部分はひどい有様だったが地下はかなり状態が良かった。
「…本当は広い浴槽がある予定だったです……まぁ完成しなかったです」
ふむ……しかし艦娘共はこんなのに入ってた訳か。
………不思議な感覚だな。
「あ、服はどうするです?…まぁサイズ合うのが、軽空母の服と陽炎型の制服、後ありあわせの軍服しかなかったです」
「…ワタシノハ?」
「修復出来るか検討中です」
一乃木と花原がいつの間にか持って来てた服を眺める。
どうやら妖精はサイズの割に力持ちらしく、明らかに自分より大きい服を一人で持ち出してきていた。
「……ジャアソノ、シロイノ」
「なら軍服です……あ、何かちゃんと効いてるみたいです?」
「ン?……ミタイダナ」
自分の体を見てみると、傷が消えていた。
…そういえば頭も痛くなくなってるな。
………というか何かアツい。
「あ、熱いなら早く出るです。クラクラってなって倒れるです」
「…ソウスルワネ」
【姫さま、食す】
「……………………………………」
「あー……申し訳ないです」
選んだ服がブカブカだった…というか上着だけですっぽり足りてしまった。
「……イヤ、モンダイナイ」
…これでもヤツよりは高いはずだ、きっと。
「……トコロデ、コイツハナニシテルンダ?」
「お助けー、埋もれしぬー」ジタバタ
「缶詰めに埋もれてるです。花原さんは色々鈍いです」
ふむ。
ヒョイ。
「助かりましたー。妖精は重労働苦手でー」
「気をつけて下さいです、備蓄庫は危険だらけです」
「了解ー」
「…?…コレハナンダ?」
「缶詰めー、食料ー」
「缶詰め見たこと無いです?」
「………………?」
「ここをグイッと開けるです」
カポッ。
…おお。
「…そういえば深海さんって食べ物食べるです?」
「デキルケド………ヒツヨウナカッタ」
……そういえば、姫の一人に良く食べてるのが居たな。
「せっかくだから食べるー?」
「フォークならあるです」
「…………………ソウネ」
………………はむっ。
モグモグモグモグ。
…………はむっ。
モグモグモグモグモグモグ。
……はむっ。
モグモグモグモグモグモグモグモグ。
はむっ。
モグモグモグモグモグモグモグモグモグモグ。
………………何コレ止まらない。
「鯖味噌気に入りましたー?」
「…………………マァ」
「缶詰めなら腐るほど無駄にあるです」
………モグモグ。
【姫さま、話し合う】
「ところで、リコリスさんはこれからどーすんですか?」
結局、あの後もう二つ程食べていると一乃木が何処からか戻って来た。
「………ワカラナイワ…ソウビハナイシ」
戻る気は無いしな。
「なら、とりあえずここに居るといーですよ」
「…イイノカ?」
「ここ、海流がおかしいからあんまり人こねーので」
「問題無しです」
「同じくー」
……ふむ。
「…………ナラ、ソウサセテモラウ」
アテは無くは無いが……居れるならば居させてもらうか。
「…それなら、ちっとは設備を直さないといけねーかな?」
「工廠直すです、埃まみれです」
「資材だけたんまりで持ち腐れー」
「つーか、呼び出しシステムは届かねーだったからな」
「開発しか出来ないです」
「港も宿舎も直すー?」
「そっちはいいんじゃねーの?……それよりまずは電気周り直さねーとかな」
「です」
「それでおけー」
何か話してる。
「とりあえず、きたねーですが不自由は無いと思う」
「明日からお掃除です」
「掘り出し物出るー?」
……あれ、何か決められた?
「……マァ、イイカ」
退屈は、しなそうだしな。
【姫さま、探索する】
明けて翌日、現在地下。
「今日はとりあえず寝床を確保しねーとですね」
昨日は結局、備蓄庫で寝た……少し体がイタイ。
「とゆー訳で、とりあえずはテキトーに片付けましょう」
「ワタシガカ?」
「私ら妖精ゆえ、力仕事はサボリてーんですよ」
「…ダロウナ」
昨日のアレを見てしまったらな…
「まぁテキトーに部屋を周りますか、私もどこに何があるか詳しくねーので」
「スンデイルノニカ?」
「建て付けが悪くて私らの力じゃなかなか開かねー扉とか、ご丁寧に鍵かかってるのとかあんですよ…ちょうどこの部屋とか」
ふむ。
「………ム」
開かない……ぐぬぬ…
「……コノッ…!」
ぐぬぬぬぬ……!
……………………バンッ!!
「ヒッ!………………キャラじゃねーですね」
「……テコズラセテクレル」
かなり力を入れないと開かなかった。
「開いた開いたー、早速家捜ししましょうか」
どこから出したのかライトを出してトコトコ入っていく一乃木。
「えーと、あ、やっぱ仮眠室だったから。布団も有りますし最初から当たりですね」
「…?」
「これを敷いたり被ったりして寝るんですよ、寝心地バッチリになるってシロモノ」
「…ソウナノカ?」
「そーなのです、とりあえずコレ外に持ってって干しときましょーか」
「ワカッタ」
む………ふかふか……
【姫さま、続・探索する】
「さぁ次いきましょーか」
一度外に出たあと、再び地下に戻ってきた。
「…ソウイエバ、ノコリハドウシタ?」
「炉宮さんと花原さんなら発電機弄ってるんじゃねーかなと。電気ねーと不便なんで」
「ソウカ」
「んじゃ次はここ探しますか」
……………………………。
………………ぐぬぬ…
………ズズッ………ズズッ…!
「助かんねー、どれどれ」
「………フゥ…」
何とか半分ほど開いた。
…バカみたいに固いんだけど、何アレ。
「えーとここは……あ、資料室ですね」
「シリョウシツ?」
「過去の戦闘記録とか技術記録を仕舞っとく部屋ですね……そーいえばここ許可無いと入れねーんでしたっけ」
「ホウ……」
「ま、あんまりおもしれーもんはねーと思いますよ?だいぶ棚とかひっくり返ってますし」
「…ン?コレハ?」
足元に何か画付きの紙束が落ちてる。
「あ…これ彗星の開発資料じゃねーですか」
「スイセイ?」
「爆撃機ですよ」
「……ヒコウキカ」
ふむ。
「興味おありで?」
「マァ、ナ………ワタシハ、ヒコウジョウダカラナ」
「飛行場……あー、そいえばリコリスさん、気になってたんですけどもしかして姫級だったり?」
「モシカシナクテモ、ヒメダガ?」
「おー…今更ビックリ」
「………フム」
「まぁ、後でゆっくり見ればいーです、とりあえず次行きましょーか」
「…ワカッタ」
【姫さま、続々・探索する】
「次はここですね」
「ココハナンノヘヤダ?」
「何だっけここ……警備の詰め所…だったよーな…」
「…アケテミレバワカル」
……………………………。
バンッ!
「!?」
…すんなり開いたな。
「では潜入…あ、やっぱ詰め所だ」
「ナニカアリソウカ?」
「そーですねー……あ、マンガとゲーム機発見」
「ナンダソレハ?」
「おもしれーヤツですね……うわ、めちゃくちゃ持ち込んでるじゃねーですか…」
暗くてあまり見えない…
「あとめぼしー物は……お?奥にもう一つ部屋が…リコリスさんこっちこっち」
「ナニカアッタカ?」
「ロッカールームですね、どーせ持ち主なんて来ねーので漁っちゃいましょーか」
ガチャ。
「ZZz……スピー…」
バタンッ!
「私は何も見てねーです」
「イヤ…イマナンカイタゾ」
「幻想です、きっと目の錯覚に決まってらー」
いや、間違いなく何か居たんだが。
「もう一回あけましょー、きっと人形か何かですよ」
ガチャ。
「……う、うるさー…っす…」
………………………………………。
「しゃ、シャベッタアアアアア!?」
「う…ガンガン響くっす…」
…明らかに妖精が一人居た。
【姫さま、続々々・探索する 】
「どもー、二条って言うっす」
「ヨロシクダナ」
「二条さん尻尾巻いてスタコラサッサーしたんじゃねーんですか?」
少し経ち、一乃木は正気に戻った。
「それが聞いてくださいっす……アレは私がいつも通りサボろーとした時っす」
「二条さんはサボり癖がひでーです、しかも隠そーともしねーのでタチが悪いんですよ」
「ちゃんとノルマはこなしてるっす、当然の権利っす」
「…ハナシノツヅキハ?」
「あ、悪かったっす…えーと、まぁそしたらいい感じに警備のお兄さん方からお菓子を貰えたので頂戴してたっす」
「フム」
「そしたらいきなり警報なりだして、危ないからココに居ろって言われたっす」
「それでー?」
「そのまま一年間幽閉っす、お菓子が無かったら干からびてたっす、妖精で良かったと実感したっす」
「ヨクワカランガ、ヨクイキテタナ」
「私ら小食ゆえ」
不思議なやつらだ。
「それで二条さんはこれからどーします?」
「やることも無いんで此処にいるっす、恩返しにそれなりに働くっす」
「助かりますねー、じゃあ早速発電機直してきやがれ」
「あいあいさーっす」
トタトタトタトタ…
…行ってしまった。
「…二条さんが居るなら少しは楽できますねー、腕は良いんですよ」
「ソウカ」
「まあ今は漁りましょーか…あ、キャンディ発見」
「…ナンダソレハ?」
「甘ーいヤツですよ、おひとつドーゾ」
「……………………………」
パクッ。
「………………!!!」
何だ、この不思議な……何だ?
【姫さま、続々々々・探索する】
「ぎゃああおああ二条さんのユーレーです!?」
「あの世からのお迎えー!!?」
しばらく漁った後、部屋から出ると何処かから声が聞こえた。
コロコロ。
「サワガシイナ」
「ほっときましょー、とゆーかいっぱい有って重いんでどっかにまとめません?」
「ソウダナ」
見つけたカゴの中身がいっぱいだ。
……結構重い…
コロコロ。
「てゆーか案外残ってるもんですね…まー、ホントあん時は逃げねーと丸焦げになっても仕方ねー状況でしたが」
「ソンナニヒドカッタノカ」
「戦艦が10隻以上とか何とか言ってやがりましたので」
ふむ…戦艦が10以上か。
コロコロ。
「そーいえば、リコリスさんも艦隊率いてたりしたんですか?」
「マァナ」
「どれくらいの規模で?」
「…………………………………タクサン」
「何ですかそれー」
そういうのはアイツに押し付けたしな。
コロコロ。
………む。
「イチノギ、アタラシイノヲクレ」
「リコリスさん今のでキャンディ七個目なんですが」
「…ソウダッタカ」
「…気に入ったんですか?」
「マァ、ナ」
「…ではミルク味でもどーぞ」
「タスカル」
カロン、コロコロ。
…いくら食べても飽きないな、コレ。
【姫さま、探索終了する】
「おめーら良くみやがれ、これが探索結果だ」
・布団セット(ふかふかモフモフ)
・開発資料(零式艦戦21型)
・開発資料(彗星)
・戦術資料(ヤセン百景)
・マンガ(ゼツボー系魔法少女モノ)
・マンガ(パンツじゃないヤツ)
・マンガ(他、数シリーズ)
・RSR(ゲーム、ソフト多数)
・DN(ゲーム、ソフト多数)
・二条さん(妖精)
・お菓子(たくさん)
・iPod(滅茶苦茶入ってる)
・メガネ(伊達)
・トランプ(2セット)
・その他色々
「何なんです、明らかに内容がおかしいです!」
「もはやただの遊びー」
「詰め所は暇人の巣窟っす……多分まだまだあるっす…」
「資料室と詰め所はまだ調べつくしてねーですから、リコリスさんよろしくですよ」
「…ワタシカ」
コロコロ。
…まぁいいか。
「代わりに設備は任してくだせーですよ」
「発電機は明日位には直るです」
「二条さんさまさまー」
「丸投げされたっす…」
「え、聞いてねーんですけど」
「一乃木さんは工廠直してほしいです」
「お願いしまー」
「じゃーおめーら何すんですか?」
「配線直すです」
「断線しまくりー、スパークしまくりー」
「建物関係は炉宮さんと花原さんの方がいいっす」
「あー、なるほど」
………サッパリ話がわからない…
コロコロ。
「いやーしかし、働くなんていつぶりだろーか」
「完全ニートです」
「けどブラックはいやー」
「…サボれればいいっす」
「…………………………」
ヤツを思い出すな、見てると。
コロコロ……あ、無くなった
一旦区切り、再会は10時からです。
…酉がなんか違うし2レスに分割してたのをまとめて投下しちゃってるorz
そして覚えて頂いてありがたいです…ゆっくりでも完結目指して頑張ってみます!
※拠点ステータス※
▼泊地レベル改め、港レベル
張りぼて
▼宿舎レベル
廃墟
▼入渠レベル
ドラム缶風呂
▼工廠レベル
図工室
▼迎撃レベル
残骸
※設定※
@飛行場姫/リコリス
主人公、とある海域でボコられて流されてきた。
深海棲艦としての意識は薄く、好奇心旺盛。
そして背が低い、駆逐艦の平均よりちょっと高い程度。
艤装無し、艦載機無しの手ぶら姫。
@一乃木さん
泊地跡に居た妖精の一人。
少々口が悪い。
元々は主に工廠勤務してた。
他の妖精のリーダー的存在。
@炉宮さん
泊地跡にいた妖精の一人。
語尾に「です」がつく恐がりさん。
基本的になんでも出来るらしい。
@花原さん
泊地跡に居た妖精の一人。
必ず語尾が伸びるおっとり系。
意外と物知りらしい。
@二条さん
警備詰め所とロッカールームに居た妖精。
一年間お菓子だけで生きてた。
「っす」と付けるのが特徴。
腕はいいらしい。
@泊地跡
建設途中で深海棲艦の攻撃により放棄された泊地。
何もかもが中途半端、または完全に破壊され機能していない。
ただし、当時の資材は丸ごと手付かずで残っているためある程度は立て直せる。
【姫さま、片付ける】
ペラッ。
「…………フム」
二条が見つかってから、三日経った。
その間に発電機は直り、工廠は整備され、各部屋の整理は一部を除いて片付いた。
今は資料室を片づけている。
「ム…?」
眼鏡がズレたか…
ペラッ。
それにしても……人間というのは本当に良く考えている。
戦略、戦術、技術……目を見張る物ばかりだ。
基本的に私達は、数で攻める以外はあまり考えなかったからな。
戦い以外にも、文化や歴史、衣食、マンガ、娯楽……興味が尽きない。
ペラッ。
「…………ナルホドナ」
読み終わった戦術資料(30歳から始める海軍講座)を棚に並べる。
とりあえず戦術資料、開発資料、その他で分けているが…
「リコリスさん、ちょーしは……………朝から変わってねーじゃねーですか」
「……キニスルナ」
まあ、つい気になって読んでしまうから殆ど進まない。
「デ、ドウシタ?」
「いえね、どうも台風が来るようでして…雨降ると雨漏りひでーんで今のうちに準備しよーかと」
「アメカ…ワカッタ」
「とりあえず一旦外で板でも探してきましょー、細かい部分は炉宮さんと花原さんがなんとかしますんで」
「アァ」
「まったく、この時期は天気がやべーですよ…」
【姫さま、打ち付ける】・
ガンガンガンガンガンガン!・
ドガガガガガガガガガガガ!・
ドバンドバンドバンドバン!・
「コレデイイカ?」・
「大助かりです」・
「はかどりまー」・
板を取り、電動工具を持ち、押し付け、打ち付ける。・
これを繰り返す事数時間、気づけば夕方だった。・
………アタマが痛くなりそうだった…後腕がプルプルしてきたんだけど…・
「やっぱり電気は便利です」・
「工具もサイコー!」・
妖精サイズの工具を振り回す炉宮と花原。・
……私の分も含め、工具はどうも二条が午前中に全て作ったらしい。
「ツギハ?」・
「えーと、だいたい終わったです?」・
「ですねー、後は洩れないことを祈るしかー」・
「ソウカ」・
「あー…やっと終わったっす?」・
「あ、二条さんです」・
ふらりと二条が現れた。・
相変わらず眠そうだな…・
「うるさくてサボれなかったっす…」・
「そもそもサボるなです」・
「いきなり来て、工具作れって言ったのはどこの誰っす?」・
「はて何のことやらー」・
「はぁ…もういいっす…」・
「…クロウスルナ」・
「こんな事なら隠れとけば良かったっす……それとそろそろご飯にするっす」・
ん?…もうそんな時間か。・
【姫さま、晩御飯ですよ】
ズルズルズルズル。
「……………」
ズルズルズルズル。
…晩御飯はカップラーメンというやつだった。
お湯を注いで三分で完成……何コレうまい。
「あち、あち、あちーです」
「一乃木さん、これ何味です?」
「しょうゆ味ですが何か?」
「自分たちはシーフードー」
「あ、ラッキーっす」
「リコリスさんは何味でー?」
「?……アー…ミソ?」
「というか、リコリスさん字わかるっす?」
「…マァナ」
そういえば、何故か解るな……うん?
「……え、まさかカレー味無いんです?」
「文句言うなら食わせねーですよ」
「海軍にいてカレー味食べないとかケンカ売ってるです」
「てめーはしょうゆ派の私をおこらせた」
「一乃木さんやめてください冗談です!」
「不毛な争いっす……ズルズル」
「ホントはとんこつが良いけどシーフードも好きー……ズルズル」
「…ナンノハナシヲ、シテルンダ」
「仁義無き戦いなんですよ」
「終わりの無い宗教戦争です?」
「ぶっちゃけ不毛ゆえー」
「揃いも揃って意味不明っす」
未だに良くわからん奴らだ。
「………ズルズルズルズル……!!ゴホッ、ゴホッ!?」
「リコリスさんしっかりするっす!?」
ぐ……変なところに…ぐぬぬ……
【姫さま、遊ぶ】
──♪──♪♪─♪
カチッカチカチ…カチッカチッ
「………………ム…」
カチカチカチ…カチッカチッ
「……………クッ…」
カチカチカチカチカチカチカチカチカチ
デデーン
「ア……」
また失敗した…
「何やってるっす?」
「ドラムノタツジン」
花原がやり方を教えてくれたのだが……難しいな…
「音ゲーっすか、そういうのは慣れが大事っす」
「ソウイウモノカ?」
「そういうものっす、やってればいつの間にか出来てたりするっす」
ふむ……
「ま、今日は多分一日中嵐だと思うっす、ゆっくりやるっす」
「…ソウシヨウ」
…妖精達の予想通り、台風が来ていた。
外は雨で、やることもあまり無いのでこうして暇を潰していた。
「はぁー、今日はゆっくりサボれそうっす……寝るっす」
「…ソウシテオケ」
……さて、もう一度やるか…
───♪──♪♪─♪
カチカチ…カチッ
カチカチカチカチカチカチ
う…連打キツい…
カチカチカチッカチッカチ
「クッ……」
カチカチッカチッにゃーカチ
「……………ム?」
にゃー、にゃー。
【姫さま、猫る】
「にゃー」
カミカミ。
「お助けー」
「ナニヲ、シテルンダ?」
「入り口に子猫が居たのでー、ご招待ー」
カミカミ。
「花原さん、食われてるっす」
カミカミ
「ズギン゛ジッブゆ゛え゛ー」
「ああ、頭からやられてるっす!?」
ヒョイ。
「………フム」
ボテッ。
「ぐえー」
「あ、落ちたっす」
「にゃー」
…少しモフッとしていて暖かい。
「にゃーにゃー」
そしてもぞもぞ動く…この生き物は…?
「リコリスさん、そのまま持ってるっす、何か箱探して来るっす」
「…ワカッタ」
……………………………
「…なんか、エラーさんを思い出しまー」
「エラー?」
「神出鬼没のユーレーみたいな人ー」
「ナンダソレ」
「自分らにもさっぱりー」
「にゃー」
…最近気づいたのだが、どうも妖精は基本的にテキトーな所が多いようだ。
「ダンボールあったっす」
「とりあえず入れときまー?」
「アァ」
スッ。
「にゃー」
ペロペロ。
「!?」
おお…何というか……いいな。
「おめーらトランプするですよ」
「です…あれ、猫です?」
ん?
【姫さま、再び遊ぶ】
ゴロゴロ……
「にゃー」
「雷が鳴ってやがりますね…3」
ポスッ
「本格的になってきたです…5です」
ポスッ
ふむ…5か………
「…9…アマモリハ?」
ポスッ
「心配むよー、10ー」
ポスッ
「明日の昼には晴れるっす?……あ、Kっす」
ポスッ
「わかんねーですね……2」
ポスッ
む……
「何も無いです」
「ワタシモダ」
「パスー」
「続けてどうぞっす」
「じゃあ4で」
ポスッ
「なら7です」
ポスッ
7…7か…………うーん…
「…8キリ、サラニ8キリ、ツヅケテJニマイト、ジョーカー」
ポスッポスッポスポスッ
「あっ」
「どぞです」
「やばいー?」
「マジっす?」
「にゃー」
「ナラ、2ヲダシテ4ダ」
ポスッポスッ
「ぎゃーまた大富豪とられたー!?」
「最初は勝てたのにっす……」
ふふん、少し考えればこのくらいはな。
【姫さま、続・再び遊ぶ】
ザアアアアア!
時間は流れて夜、雨は激しくなっていた。
「にゃー」
「かなり激しくなってきたみてーですね…3」
ポスッ……ゴロゴロ、ピシャーン!
外の雷鳴がここまで聞こえてきた…
「カミナリもヤバいです……5です」
ポスッ
「ズルズル……7ダ」
ポスッ
「8キリー、そんで4ー」
ポスポスッ
「Jっす……眠いっす…」
ポスッ
「もういい時間ですからね…2」
「ジョーカーダ」
「あちゃー」
ポスポスッ
「ズルズル…Kヲサンマイ」
ポスッ
「お察しです?」
「アカンっす…」
「2、8キリ、5ヲニマイデアガリダ」
「鬼つえーじゃねーですか…」
「25回くらいやって19回くらい大富豪です…」
ふふん。
「…ふあぁ……眠いっす…」
「お開きにするです?」
「にゃーん……」
「おねむゆえー」
「しゃーねーですか」
「シカタナイカ」
私もそこそこ眠いし。
「んじゃあ寝るです…」
…ヤセン百景を少し読んでから寝るか。
『───────────』
「………?」
……今、何か…?
「リコリスさんおやすーです」
「…アァ」
……ふむ。
【姫さま、嵐明けて】
バサァ。
明けて翌日、昼にはしっかり晴れた。
なので日課の布団干しをしておく。
「めっちゃ晴れたです」
「港にいきまー、嵐の後は漂着物多いゆえー」
「ソウカ」
その横をいつもの二人組が港に歩いていく。
「そいえばリコリスさんも─」
「ナンカイッタカ?」
「何でもないー!」
トタトタと走り去っていった……何だったんだろうか?
「足の速い台風だったようっす……さて、ゆっくりサボるっす」
ガシッ
「二条てめー逃げんな、今日も工廠行くからなー」
「やめろーっす!?」
「にゃー」
一乃木連れ去られる二条、代わりにふらっと子猫が現れた。
「………………………フム」
ヒョイ。
「にゃー?」
じー。
「にゃー、にゃー」
もぞもぞ動く…
「…ニャー」
「にゃー?」
「ニャー」
「にゃーん」
…………………………………。
……………………………。
………………………。
…今、私は何をしていた!?
【姫さま、少し思い馳せる】
「にゃー」
地におろしたら子猫はふらりと歩いていった。
「……オソロシイ、コウゲキダッタ」
気を付けなければいけないか…何だったんだアレは…
…………………………………。
チュンチュン、チュンチュン。
「…マブシイナ」
空を見上げれば、ここに漂着した時と同じくらい空が青かった。
……この空だけは、変わらないか。
「何してるっす?」
「ニジョウカ、ツレテイカレタハズジャア?」
「ソッコー逃げてやったっす」
「…ソウカ」
「それで、空になんかあったっす?」
「イヤ…タダ、カワラナイナト」
「そっすか」
「アァ……ドコニイテモ、コレダケハカワラナイラシイナ」
「そうっすね」
「……オマエ、ネムタイダロ?」
「あ、やっぱり分かるっす?」
「マァナ」
反応薄いし。
「ぎゃああああああああ!?」
「かんべんしてくだせー!?」
もはや聞き慣れた叫びが響く。
「…平和っす」
トタトタトタトタ。
「あばばばばばばばば!」
「リコリスさーんお助けー!?」
ん?こっちにきた?
「あばばばばばばばばば!」
「かんむすさんが漂着してるー!!」
「……っす?」
かんむす……艦娘!?
【姫さま、助ける】
ちゃぷん。
「………………………う…」
「…コレデイイカ?」
「まー大丈夫かと。外傷は少ねーみてーですし」
何とか背負ってきた栗毛の艦娘をドラム缶風呂(底上げ済み)に入れ、様子を見ていた一乃木が判断する。
……………。
泣きつかれ、連れられた先には確かに一人の艦娘が倒れていた。
普通なら敵だ。
………なのだが、自分でも驚くくらいに、私は考える前に動き出していた。
気づいた時には自分より背が高いその艦娘を背負い、騒ぐ三人を正気に戻して風呂の準備をさせた。
「それにしてもなー、リコリスさんは良かったんですか?」
「ナニガダ?」
「フツー、砲火と硝煙が巻き上がる展開なんじゃーねーんですか?」
「…ベツニ、ゼンブヲゼンブ、シズメルワケジャアナイ」
というか、むしろ艦娘は捕まえるという奴らの方が多いのだがな。
「へー、そーだったんですか」
「アァ………ココハマカセル」
「どーするんで?」
「トリアエズ、コウショウニイク……ワタシガイタラ、ヤヤコシクナルダロウカラ」
「起きたらどーします?」
「マカセル……ワタシハ、アワナイホウガイイダロウシナ」
「あー……りょーかいー」
そう言って、その場をあとにする。
…少なくとも、目が覚めたら敵が居た……なんてのは私でも嫌だからな。
「サテ…ドウスルカ」
出くわすと面倒になりそうだしな…
…まぁいい、まずは工廠に行くか。
今は、残りの三人があの艦娘の艤装を見ているはずだしな。
【姫さま、聞きに来る】
「あー…こりゃあマズいっす、中まで海水が入り込んでるっす」
「銃創も幾つかあるです……でもほとんどかすり傷です」
「うー…転覆ー?」
「ナニカワカッタカ?」
せっせと艤装を運んでいた三人は、今度は集まってうーうー言っていた。
……まぁ、ほとんど艦娘が装着したままだったから運んだのはほぼ私だが。
「リコリスさんー、かんむすさんはー?」
「モンダイナイ」
「それは良かったです」
「うーん……多分なんすけど、航行中に嵐に巻き込まれて波に呑まれたんだと思うっす」
「戦闘の痕があるのでー、もしかしたらそれも関係あるかもー?」
「…ソウカ」
戦闘の痕か……ふむ。
「直せるです?」
「ブランクがキツいっすけど、出来なくはないっす……でも、出来るなら新しく作った方が安全っす」
「装備は完全にアウトー」
「まぁ何とかなるっす」
「資材なら本当にたくさんあるです」
「専門的に言えば三万くらいー?」
「ボーキだけは二万とかじゃなかったっす?」
「細かい事はいいです」
「万事かいけつー」
「…トコロデ、ドンナカンムスナノカワカッテルカ?」
「重巡だとは思うっす」
「ブランク有りすぎゆえ不安ー」
「ボク、駆逐艦しか扱った事無いです…」
重巡か。
「まー、起きたら聞けばいいです」
「それより少しお願いがありましてー」
「ナンダ?」
「設計資料欲しいです」
「資料室にあると思うっす、炉宮さんと探してきて欲しいっす」
「…ワカッタ」
【姫さま、探しだす】
場所は変わり資料室。
「欲しいのは、設計資料(主機─あなたに羽を─)です」
「ワカッタ…トコロデ、ナンノシリョウナンダ?」
「艦娘さんの、海上航行システムの一番大事な部分の資料です」
「……ツマリ?」
「要するに海の上に浮かぶのに必要な靴の資料です……頭おかしいくらいデリケートなんです」
ふむ。
とりあえず、未だに床にばらまかれている大量の資料を片っ端から掴んでみるか。
「ちなみにです、頑張れば陸上でも使えるです」
「ソウナノカ?」
「はいです、それどころかもっと頑張れば理論的に空も飛べるです」
え、何ソレすごい。
「…ツマリ、ストライカーユ「それ以上はマズいです?」…ム?」
何がマズいのだろうか?
「マンガの読みすぎです……それに、それやるとロクな武装積めなくなるです」
「…ソウカ……ン?コレジャナイカ?」
「あ、意外と早く見つかったです、これあれば百人力です」
「ナラ、モドルカ」
少し見てみたいし。
キィー…ガラガラ。
「…え」
「ン?」
目の前に、誰か……あ、しまった。
「……あちゃー」
「ついてないです…」
「し、深海せ──」
フラッ……ズルッ!
「ひ、ひゃあああああああ!?」
「エ、ア」
ゴツンッ☆
風呂に行くので一旦一区切りします
かんむすだれだったかなー(棒)
誰だったけなぁ(棒)
ダレダロナァ
…再開しまーす!
【姫さま、邂逅する】
「貴女等バカですか?なんで勝手に小破してんですか?」
「申し訳ありませんわ…」
「スマナイ…」
頭がズキズキする…一瞬気を失ったぞ…
……っ…しかも、よりによって前とまったく同じ場所を…
「てかリコリスさん、会わねー方が良いとか言っておきながらなんでウロウロしてんですか」
「…スコシ、タノマレテナ」
「ボクは悪くねぇ!!…………です」
言ってから隠れるな…
「貴女も貴女ですよ、打ち上げられた貴女を引っ張り込んで来たのはこの人なんですが」
「そ、そうですの……?」
「妖精はそこそこ嘘いわねーですよ」
そこそこってなんだそこそこって。
「はぁ…まーいいや。会っちまったのは仕方ねーですから」
…………………………………。
………………………。
………………。
………。
話が、続かないな…
「…………あーもー、しゃーねーですね」
ん?
「おい深海さん、名を名乗れですよ」
「…キュウニドウシタ」
「いいから名乗るんですよ」
「…リコリス」
「一乃木さん………とうとう、じゃくねんせいアルツハイマーになったです?」
「よし炉宮さん、歯を食いしばりやがれや」
「あばばばばばばば!?」
前から思っていたが……一乃木は怒りっぽいな。
「ったく……じゃあ艦娘さん、名を名乗りやがれですよ」
「…はぁ……何だか馬鹿らしくなりましたわ……わたくし──」
「──重巡洋艦、熊野と申しますわ」
【姫さま、話が続く】
「それでは、貴女も流されて来たの?」
「マァナ」
その後、話が続いた。
「……ホントウナラ…アノウミニシズンデイテモオカシクハナカッタ」
「話が重いんですが…」
「ム…?」
「それでここに流れ着いて以来、ずっと暮らしてるです」
「そうでしたの……ところで、ここは一体どのような場所ですの?」
「造りかけて棄てられたら泊地跡ですよ」
「もう地下しか残ってないです」
「まぁ…では妖精さん達は何故ここにいらっしゃいますの?」
「逃げ損ねたです」
「とろくせー奴らが多くて置いてけぼりですが?」
「それは…その……ご愁傷様ですわ」
「でも一乃木さん面倒見はいいです」
「タシカニナ」
「あたりめーです、じゃなきゃ付き合ってねーですよ、感謝しやがれ」
「…仲がよろしいのですね」
「ソウカ?」
「一乃木さまさまです……人使いは凄まじく荒いのが残念です」
「炉宮さん、ケンカなら買いますが?」
「ナンデモナイです」
……仲がいい、のか?
「…ふふ」
「……まーいーです。というかそろそろ工廠に行ってみましょーか」
「アッ」
そういえば資料頼まれてた…
「熊野さんも話聞いた方がいいですよね?」
「もちろんですわ」
キタ━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)人(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━!!
【姫さま、続・話が続く】
「調子はどーですか?」
「あ、一乃木さん……っと、もう起きて大丈夫っす?」
「ご心配には及びませんわ………重巡洋艦、熊野と申しますの。助けて頂いて、感謝しますの」
「気にしないーきにしないー」
「実際動いたのはリコリスさんっすからね…」
何度転けそうになったか…
「…ニジョウ」
「あ、ちゃんと有ったみたいっすね、それならマシにはなりそうっす」
「あの…そんなに酷い状態ですの?」
「海水入りまくりー、んで丸ごと検査ー」
「主機と艤装本体、どっちもバラさすないといけないっす」
「最低でも三日はかかりまー」
「万全にするなら、一週間くらいだと思うっす」
「そんなにかかりますの…」
「人手も足りないっすから……さすがに私らでも時間かかるっす」
「申し訳なく思いまー……」
「…いえ、お願い致しますわ」
「任せて欲しいです」
「その間は、自由にしてもらって構わねーですよ」
…ふむ。
「…マトマッタミタイダナ」
「何とかですが……まぁやることもねーですし久しぶりに本気だしてやらー」
「あぁ…一乃木さんが本気になってるっす…」
「とりあえず飯食ってから始めるんですよ」
「…モッテクルカ?」
「とりあえず休むです、熊野さんもまだ休んだ方がいいです」
「えぇ、そうさせて頂きますわね」
「ソウカ」
さて……これからどうなるか…
………不思議と、悪い気はしないけど。
『設定』
@熊野
泊地跡に漂着した艦娘。
リコリスと遭遇して警戒したけど、一乃木さんの機転で毒気を抜かれた。
リコリスより背が高いオシャレな重巡。
@艦娘
かつての軍艦の写し身。
一つの艦種につき一人が居る(つまりダブりはない)
沈んだ場合、しばらく後に記憶を失った状態で発見されるらしいが………?
実は深海棲艦と同じレベルで謎に包まれている。
【姫さま、見学する】
ただいま、工廠。
カチャカチャ。
「それにしても鈴谷型かぁ…ここ一年で見つかったんですね」
「ひとまとめで最上型じゃないっす?」
「そこら辺が曖昧なんですよ……まー細かく分けるかどーかってだけなんで」
「本営からは、最上型で統一されてますの」
カチャカチャ。
「そもそもどこが違うのでー?」
「艦の強度を見直して、ボイラーの数と艦の形状が変わった…だったかなぁ」
「細かい所ですと、煙突の口径も変わりましたのよ?」
「豆知識が増えるです」
カチャカチャ。
「流石一乃木さんっす、無駄に知識だけはあるっす」
「二条てめー徹夜な」
「ヤダナージョウダンッス」
「リコリスさんみたいなカタゴトー」
…あんな感じなのか?
カチャカチャ。
「まー、最上型自体触った事ねーですが何とかなるとは思うですよ、流石に長門さんに比べりゃー楽だと思いますし」
「…そういえば長門さんやった気がー?」
「ついでに一乃木さんが頭角を現したのもその頃だったです」
「戦艦長門…ですの?」
「その長門さんっす」
「いやー懐かしいですね、その時の腕を買われてここに来たんですよ」
「そして今では落ちぶれー」
「花原さん鏡見てきやがれ」
カチャカチャ。
「ところでリコリスさん、どうかしたです?」
「…イヤ、ナンデモナイ」
…まったく話に入れない……むぅ。
【姫さま、続・見学する】
カチャカチャ。
「それにしても、なんでこんな事になってるんですか?」
「それは……」
チラッ。
「ン?……キニスルナ」
何となく想像できるしな。
「……わたくしを含めた六隻で、遠征任務に就いていましたの…ですけれど、帰還の最中に深海棲艦の艦隊と遭遇してしまいましたのよ…」
「え?珍しいですね、遠征て極力深海棲艦の勢力圏外の航路を通ってくはずですよね?」
「その通りですわ……ですけれど、その航路は最近解放されたばかりでしたの」
「あー…」
カチャカチャ。
「そればかりか……少し、信じられない状況でしたわ」
「と、言いますとー?」
「…深海棲艦は、逃げる二隻とそれを追う艦隊の二組がおりましたの」
む?
「……フム」
「リコリスさん?」
「…マレニ、ジガノツヨイヤツガイル。ソウイウヤツラハ、ダッソウスルコトモアル」
「ほえー」
カチャカチャ。
「深海さんも一枚岩じゃあないっす?」
「マァナ…ムシロ、ツヨイヤツホドカッテニウゴイテルナ」
「初めて知りましたの…」
「それで、その後はどうなったんです?」
「乱戦、ですわ……そのうちに嵐に巻き込まれて気づいたときには此処に」
「なるほど……それはついてねーですね」
「まったくですわ……皆様、無事に帰っていればよろしいのですけれど…」
「元気だしてー」
「通信設備でも残ってれば良かったんですが…」
「…あいにく吹っ飛んでるっす」
【姫さま、続々・見学する】
カチャカチャ。
にゃー
「…ン?」
「にゃーん」
「あ、リコリスさんその子猫とっつかまえておいて欲しいです」
「ワカッタ」
ヒョイ。
「…ホントウニドコニデモ、アラワレルナ」
「あら、なかなか可愛いですの」
「逃がさないで下さいっす、暴れられると困るっす」
「大人しいけどいちおー捕獲ー」
…膝にでも乗せておくか。
カチャカチャ。
「…あー、今何時っす?」
「18時回ったところです」
「え、そろそろ飯にしないっす?」
「もうちょっと続けねーと半端になんですよ」
「…はぁ、仕方ないっす」
…ふむ。
「…イロイロ、ハイッテルンダナ」
「まー、本当ならデカい船の中身をこのサイズに詰め込んでますから」
「実際、私らも感覚でやってる部分は多いっす」
「理論付けると大変ゆえー」
「なんで、資料はめちゃくちゃ大事です」
「ナルホドナ」
「不思議な話ですのね」
カチャカチャ。
「…艦娘さんが不思議とか言ったらダメだと思うんですが」
「?」
「気にしたらいけないってやつー?」
「…フム」
「世の中には色々あるです」
なるほど……まぁさっぱりわからないのだけど。
【姫さま、話をする】
また明けて翌日。
ガサガサ。
「……………」
ガサガサガサガサ。
「……………」
ガサガサガサガサガサガサ。
「……………」
「何をしていますの?」
「…クマノカ。ナニカナイカトオモッテナ」
それでさっきからロッカーをガサガサ探してるんだが……めぼしい物が無い。
「ソッチハ、ドウナンダ?」
「お陰様で寝不足になりましたわ…」
「…イジヲハルカラダ」
「この熊野があのような醜態……ありえませんわ…」
寝る直前にいきなり始める事になった大富豪……一番躍起になってたのは熊野だったな。
カキタメナンテナイッテサー
…こほん、ではでは投下参ります。
【姫さま、今後について】
もぐもぐもぐもぐ………
「…ゴチソウサマ」
「お粗末様っぽい!」
晩御飯(担当、夕立。内容、缶詰の炒め物と魚の丸焼き)を完食する。
ちなみにこの場には私の他には夕立、新田、熊野、那珂、荒潮、一乃木、花原が居る。
由良と初霜は開発室に行っているらしく、残りの妖精は作業中だそうだ。
「さて、これからの話なんだけど」
「どうしますの?」
「とりあえず、通信機がどこまで進んでいるか教えて貰えないかい?」
「通信機は、この調子なら明日の昼には完成すると思いますよ」
「まぁどうなるかは実際使わないと解らないっす」
「明日の昼、か……船の方はどうだい?」
「まー今の状態でも動くには動くと思いますが?」
「まだ簡単にしか手を着けてないんで、最高速度を出したりとかは無理っす」
「いや、それで十分だよ………熊野、みんなの装備はどうなってる?」
「艤装については出来る限りの整備は終わっておりますわ。一部の不安な面については今頃由良と初霜が開発しておりますの」
「いつもと変わらない調子だったわぁ」
「小道具もバッチリでしたー!」
「そうか………それなら、明日うまく行けば明後日には出発しようか」
「あら?やっぱり急ぐのねぇー」
「うん。そのほうが色々良いだろうしさ」
「ン?」
「……まぁ、そうですわね」
「リコちゃんどうにかされるっぽい?」
「あんまりよろしくはねー気がしますよ…」
「…マァ、ナニカアレバニゲルサ」
艤装居るしな。
「何も無いのが一番なんですけどね」
「わたくしの寝覚めがまた悪くなりますの…」
【姫さま、続・今後について】
「そいえば、どこ向かうんですか?」
「そうですね…今のところは中央海域の鎮守府を頼りにしようかと思ってます」
「中央海域の方っす?」
「あれ、でもこの島の位置なら南方海域の方が近く無いですか?」
カロン。
「あー…実は、僕も最初は南方海域の他の鎮守府に逃げようとしたんですけど…」
「完全にそっちの方角から敵が来てたのよねぇー」
「それで逃げ回っていたらどんどん離れていったんです」
「悪質な追っかけはキライかなぁーって」
「まぁ、それで後はわたくしが話して……という具合ですの」
コロコロ。
「はー…確か、着任して半年でしたっけ?」
「はい」
「新田さんもついてないっす」
「あはは、よく言われます」
「……フム」
やっぱり何か引っかかる。
「どうかしたっぽい?」
「イヤ……ウーン………マァ、ハヤクウゴクノハ、セイカイダトハオモウ」
考えてもやっぱり解らないので、話を変えるか…
「どういう事ですか?」
「トウソツサレテ、オソッテキタトイウコトハ、カンリモシッカリシテル」
「てー言いますと?」
「ダシタカンタイガ、モドッテコナイナラ、キニナルダロ」
まぁ、総旗艦がどういう奴かにもかなりよるけど。
「なるほど…それなら確かに、早く出た方が良いかもしれないね」
「……そうなると、本当に貴女達は危なくありませんこと?」
「あらあら?たしかにそうねぇ…」
「テキトウナヤツナラ、スコシカクレテイレバカエルサ」
多少は暴れると思うけど。
【姫さま、続々・今後について】
「提督さん、提督さん」
「どうしたんだい夕立」
「鎮守府取り返したらリコちゃん招待するっぽい!」
「…ム?」
「あ、那珂ちゃんもサンセー!」
「うふふ、気に入られてるわねぇー」
「物珍しいだけですの」
「そうだね…基本的に僕たちしか居ないし、気をつければ大丈夫かもね」
「提督まで何を言ってますの!」
「でも、くまのんも満更じゃないんじゃないのー?」
「ぶつくさ言いながら案内とかしてそうですよ」
「目に浮かぶっす」
「うー……なんなんですの!」
「まあまあ、熊野落ち着いて。そうなれば素敵な事じゃないか」
「提督は少し甘過ぎますわ!」
「うふふ……でもそんな提督の事、嫌いじゃないんでしょ?」
「う…あーもー、お人好しばかりですの!」
「人の事は言えないっぽい?」
「那珂ちゃんは皆のアイドルだからぁ、差別はしないんだよ☆」
ふむ。
…なんか、いいな。
ガチャ。
「戻りました!」
「疲れちゃったあ」
「初霜、由良、お疲れ様」
「提督さん、ちゃんと作っておいたからね」
「ちょっと苦労しましたけどね」
「あぁ、ありがとう」
「…さぁてと、はえーですが寝て明日に備えましょーかな」
「ねみーっす」
「本当にお疲れ様です」
「いえいえー」
「…ワタシモ、ネルカ」
まったく…悪くないというか……むしろ良い、か。
翌朝
『───────────』
う……
『──────────!』
……む?
『──────警告!艦隊接近中!』
………………。
「……ハヤ…イヤ、ヨソウドオリカ?」
Next ...≪敵攻撃艦隊迎撃戦≫
※拠点ステータス※
▼港レベル
張りぼて→船着場
▼宿舎レベル
海の家
▼入渠レベル
シャワー付バスルーム
▼工廠レベル
図工室
▼迎撃レベル
残骸→仮設
≪敵攻撃艦隊迎撃戦≫
リコリス/正常/旗艦
彗星70/零式艦戦二一型34/九七式艦攻34
友軍艦隊
那珂/正常/旗艦
熊野/正常
由良/正常
夕立/正常
初霜/正常
荒潮/正常
迎撃装置
12.7cm連装砲/12.7cm連装砲
敵艦隊
戦艦タ級
重巡リ級
重巡リ級
雷巡チ級
軽巡ト級
駆逐イ級
『敵艦隊──捕捉─戦艦一重巡二─雷巡一──駆逐二』
「ム…センカンカ……」
…しかもよりによってタ級か……予想外だな。
『飛行場移行完了──指示要請』
「スイセイハッシン、アシドメスル」
熊野達は準備が終わるまで少しかかる…私と迎撃装置で時間を稼ぐしかないか。
とにかく、タ級の射程内まではまだある、その間に飛ばし続けるか。
[▽▽)/]
『各機発進開始』
すばやく、慣れた調子で発進していく彗星隊。
「…フム」
それにしても、戦艦か……早めに片付けて──
──ズドンッ!
「ッ!?」
なんだ!?
『───至近弾─予想──砲撃』
「ドコカラダ!?」
『情報精査──────予想─敵戦艦』
な…明らかにタ級の射程じゃ…
──ズドンッ!
二回目…!
「クッ…スイセイタイ二、ヒタスラバクゲキサセロ!」
これじゃあ狙い撃ちだ…
『報告───敵戦艦─砲塔差異有──予想─長射程仕様─』
長射程仕様…?
『敵戦艦一駆逐一停止─他敵艦直進──迎撃装置圏内間近』
「ッ…ヤッカイダナ」
[▽▽)!]
ボンッボンボン!
──ドン!ドン!
『彗星隊─爆撃開始──九七隊発進開始──迎撃装置砲撃開始』
「スイセイヲハンブン、タキュウニマワセ」
『了承』
──ズドンッ!
「ッ…」
さっきより近い…!
『敵駆逐─対空射撃開始──彗星隊被害軽微』
…長射程仕様……闇雲に近づいてこない思考能力…おまけに対空に駆逐を残すか…
「おまたせー!」
「状況はどうなってますの!?」
来たな。
「キヲツケロ…タキュウ……ソレモ、シャテイガオカシイヤツガイル」
「タ級…って、戦艦ってこと!?」
「射程がおかしいって…どういう事?」
「…タブンダガ、ヒメチョクゾクノヤツダロウナ…ユダンスルナ」
じゃなければ、逃げだしてるだろうからな。
……まったく…厄介だな…
「とにかく、しゅっつげきー!」
「腕が鳴るわぁー」
「ここは私が守ります!」
──ズドンッ!ガンッ!
「グッ!?」
『防御成功──盾型滑走路─五割破損』
危ない…とっさに構えて正解だったか。
二枚あるから…あと三回は凌げる、はず。
「ほ、本当にあんな遠くから…!」
[;▽▽)]
『彗星隊帰還要請─零戦隊九七隊─被害少数』
「スイセイハキカンゴホキュウ、スグ二サイハッシンダ」
『了承─艦娘艦隊─交戦開始』
ドンッドンッ!
───ズドンッ!
「きゃぁ!?」
「くまのん、当たってないよ、大丈夫!」
「タ級の相手なんてまだ二回くらいしかないんだけど…っと」
───ドンッドンッ!
『迎撃装置稼働中──軽巡一中破』
「おつりはいらないっぽい!」
シュルル……ボムッ!
夕立が魚雷でト級を沈めたか。
───ズドンッ!
『迎撃装置一──破壊』
あ。
「タキュウメ…スイセイタイ、サイハッシン!キュウナナタイヲモドセ!」
『了承』
[▽▽)!]
ドンッバンッ!
「まだ全然遅いっぽい!」
「そんな攻撃、当たらないんだから!」
「どこを見ていらっしゃるのかしら!」
ドバン、ゴッ!
「魚雷いくわよぉー!」
「由良のイイトコ、見せちゃおうかな!」
「那珂ちゃんもプレゼントしちゃお!」
ガガガガ、ドガンボンッ!
夕立と初霜が切り込んで撹乱、熊野が後方で撃ち込んで援護してる。
そしてその隙に荒潮、由良、那珂の三人が集中放火でリ級を一体沈めてた…
…なかなか上手い連携に見える。
『零戦隊彗星隊─被害多数』
「ジョウキョウハ?」
『駆逐小破─雷巡──爆撃成功中破─重巡戦艦被弾無』
───ズドンッ!
「あぐっ!?」
「由良!?」
「く…だ、大丈夫……っ」
「荒潮ちゃんが由良ちんの援護してっ!」
「了解よぉー」
「倍返しっぽい!」
[▽▽)!]
ボムッボムドン!
───ォォオン…
『重巡撃沈─残敵戦艦一駆逐一雷巡一』
よし…!
───────────!
「…ム?」
『───敵戦艦一駆逐一後退──雷巡反転』
「あ、逃げる気!?」
「逃がさないっぽ─」
───ズドンッ!
「わぷっ!?」
「夕立!?大丈夫ですの!?」
「ぺっ…大丈夫、っぽい」
「まてぇ!」
「逃がさないわぁ!」
[▽▽)!!]
ドムッギャン…ドゴッ!!
──────ォォン…
『──雷巡撃沈』
「タキュウハ?」
『────離脱中』
「逃げられますわ!」
「いったぁ……深追いは、止めた方が良いね」
「だね…追いつけないと思うし、あの砲撃じゃあ一方的に撃たれちゃうと思う」
「…スイセイタイハ?」
『要補給』
…仕方ない、か。
≪敵攻撃艦隊迎撃戦≫
リコリス/正常/旗艦
彗星39/零式艦戦二一型17/九七式艦攻16
友軍艦隊
那珂/小破/旗艦
熊野/正常
由良/中破
夕立/中破
初霜/正常
荒潮/小破
#
迎撃装置
破壊/12.7cm連装砲
≪敵攻撃艦隊迎撃戦:勝利≫
【姫さま、不穏の種】
[;・・)?]
『─────報告─敵戦艦停止』
「ナンダト?」
『駆逐一──海域離脱』
む……
「…………イヤナヨカンガ、スル」
「リコちゃんどうかしたー?」
「…タキュウガ、トマッタラシイ」
「逃げないっぽい?」
「アァ…イキュウダケ、ニゲテイッタ」
「…罠、でしょうか?」
「どうしますの?」
「ちょっと待っててねー、提督に通信してみるから」
『全機収容完了』
ふむ……一度工廠に行くべきか。
半数近くもやられたし……
「はい…わっかりましたー!」
「提督さんはなんて?」
「とりあえず、ダメージ大きい子から入渠と整備受けて、残りは警戒に当たるようにってさ」
「それならぁ、由良さんと夕立ちゃんが最初かしらぁー?」
「そうですわね、それが妥当だと思いますの」
「はー…わかりましたー」
「なら、ちょっと行ってくるね」
「ワルインダガ、ワタシモイチドモドロウトオモウ」
「そだねー、リコちゃんは今の内に戻ったほうがいいね」
「その間は私たちがしっかり守っちゃいますね!」
「アァ」
半分ほど落とされたからな…
動きがどうも気になるし、なるべく早く戻ってくるべきか。
……どうにも、嫌な予感がするし。
【姫さま、戦後のひととき】
「おらーさっさと直すですよ!」
「バケツほしいです…」
「無い物ねだりー」
「あー違うっす、そこはB板材を張り付けとけばいいっす!」
「ぇー………配線がぁ…」
「忙しいでしゅよもう!」
工廠が妖精で溢れてるな…
「…タイヘンダナ」
「壊すとちょっと申し訳なくなるっぽい」
「整備とかも全部、任せっぱなしだからね」
そして、その端っこで眺める夕立と由良と私。
……既に交代で風呂に入った後で、微妙にやることが無かったりする。
「提督さんには報告したっぽい?」
「うん。今は那珂達と話してるんじゃないかな?」
「ナニカヘンカハ、アッタカ?」
「んー…無いみたい。タ級もジッとしてるだけだって」
「……フム」
何が目的だ…?
「…何かお腹が減ったっぽい…」
「ム?……コレデモイイカ?」
「ハッカでもいいっぽい!」
地味に貴重なんだけどな、ハッカ。
「私にもちょーだい?」
「シカタナイナ」
由良にも分けた。
……あと九個…また見つかるといいんだが…
「ハッカって……なんか懐かしいっぽい?」
「そうだよね……ね?」
「ソウカ?」
「わかんないっぽい!」
おい。
【姫さま、続・戦後のひととき】
「夕立さん、由良さん」
「っぽい?」
「何かな?」
そのまま少しの間、話していると一乃木がやってきた。
「とりあえず目立つ傷とか点検とかは済ませましたんで、次の方の補給をしてーと思うんですが」
「あ、もう終わったんだ」
「それなら交代してくるっぽい!」
パタパタと自分の艤装に走って行った……あ、夕立が妖精に躓きかけてる…
「…ワタシノホウハ?」
「あっちで補充してる最中ですね」
[У;・・)У]
……装備妖精達が、艤装にボーキを運び込んでいた。
そういえば、何故か格納庫にボーキしか運んでないのに増えてるよな…
作る時には全部使ったのに…何故だ……
「それと、盾なんですが」
滑走路だ。
「ちょっと忙しいんで、わりーんですがそのまま使ってください」
「…マァ、シカタナイカ」
「あって良かったでしょう」
「アァ…イタイノハキライダ」
戦艦の砲撃とか……あぁダメだ、あの時の記憶が…
…そういえば三式弾の資料が……いや、忘れよう…
「リコちゃんお先っぽい!」
「そっちはまだかかりそうかな?」
「アァ…オワッタラスグイク」
「提督さんにも伝えておくね」
そして二人とも出て行った…まぁ、あの二人なら大丈夫だろう。
「よーし、直ぐに次が来るから準備しとけー」
「はいぃ…」
…キャンディ補充するか。
シャッシャッシャッ…ドーン!(前スレ分が終わった音)
…はい、前スレ分完了しちゃいました…続きは鋭意建造中なのでドライバーとガスバーナー持った飛行場姫を浮かべながらお待ちください。
…ではでは!
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