ささやかな誕生日 (9)
超短編
すぐ終わります
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10月10日、自分の誕生日。
とは言え、普段通りの平日だ。
仲間たちは忙しい時間を縫ってプレゼントを渡してくれた。今日会えない子からは昨日受け取った。
だけど、それだけ。
こんな言い方をしたら心を込めて贈り物を選んでくれた皆に失礼かも知れないのだけれど、それだけだ。
いつも通り仕事をして、いつも通り帰宅する。最近は事務所に皆が揃うこともなくなった。自分も夕飯時まで続いた撮影から直帰しているしね。
このまま帰って家族の世話をして寝てしまうのもいいけれど、まがりなりにも年に一度の誕生日。それだけじゃ寂しいな、なんて思ったりして。
で、気がついたら駅ビルの洋菓子フロアに立っていた。
閉店間際だからか、店員のお姉さんたちの触れ声も控えめなものだ。
お店はたくさん、ケーキも沢山……というほど売れ残ってはいないか。
自分の買いたいものは決まっていた。
純白のショートケーキ。苺がのってるの。
小さかった頃、家族で食べたのを思い出した。
中学生になって誕生日パーティをすることも無くなって、そのまま1人で出てきちゃったから何年かぶりの誕生日ケーキ。
外にでるとすっかり肌寒くなった夜気が首筋を撫ぜた。
今日はしっかりお湯をためてお風呂に入ろう。そうしよう。
紙の小箱を片手に自分は歩く。
いつでも食べられるから、いつも食べないショートケーキ。誕生日なんて、このくらいでちょうどいい。
明日も、いつも通りお仕事だ。
おわり
我那覇響さん、お誕生日おめでとうございます
遅刻しましたが許してつかあさい
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