穂乃果「真姫ちゃん篭絡大作戦!」 (78)
ラブライブのSSです。
設定はアニメ版。
二学期が始まってから日本を発つなんてことはないと信じて、新学期以降の話を書きました。
一人で何行も喋ってて見にくいと思います。お前は誰だとかいろいろ突っ込みたくなるでしょうがお許しください。
何かを書ききったこと自体とても少ないので、とても拙いものになっていることでしょう。
しかし書き上げてしまったからには最後まで投稿したいと思います。
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0 真姫ちゃん篭絡大作戦
穂乃果「真姫ちゃん篭絡大作戦を開始します!」
絵里「なんなのそれ?」
穂乃果「そのまんまだよ」
海未「言葉の意味をわかっているのですか……」
穂乃果「ゴホン。真姫ちゃんのことなんだけどね」
穂乃果「合宿のあとみんなのことをちゃんと名前で呼べるようになって」
花陽「にこちゃんのことだけは『にこちゃん』って呼ぶけどね……」チラッ
にこ「な、何よ」
穂乃果「それから今までいろいろあったけど」
穂乃果「まだまだなかなか本心を見せてはくれません」
凛「真姫ちゃん恥ずかしがりだからにゃー」
希「なるほど、それで真姫ちゃん篭絡大作戦っていうわけな」
穂乃果「そのとーり! それでね、聞きたい言葉があるんだー。『μ'sに入ってよかった』って!」
海未「そう感じていなければここまで付き合ってはくれないと思うのですが」
ことり「ちゃんと本人の口から聞きたいんだよね?」
にこ「彼女か!」バシィ
花陽「そういうの言ってくれなさそう……」
凛「だからこそ言わせるってわけにゃ」
絵里「なるほど、面白そうね」
海未「え、絵里」
絵里「いいじゃない。次のライブも決まってないんだから、今はメンバー同士の仲を深めるときよ」
海未「それは……たしかにそうですが」
ことり「そういえば私、真姫ちゃんと二人きりってことあんまりなかったかも」
海未「正直うまく話せるかどうか……」
絵里「まあそこはなんとかね」
穂乃果「じゃあ決まり!」
希「それで時間とかやけど」
凛「はーいはいはーい。真姫ちゃんはー、昼休みになると音楽室に行くんだよ!」
花陽「よく私と凛ちゃんも行くんです」
凛「邪魔しちゃ悪いから毎日は無理だけどねー」
ことり「それなら二人っきりになるのは簡単だね」
海未「放課後だけでなく昼休みも作曲に時間を費やしているのですか。真姫は本当に熱心ですね」
にこ「で、誰から行くわけ?」
海未「……」
穂乃果「……」ゴクリ
花陽「……」
絵里「じゃあわた——」スッ
希「ウチの出番やね」
絵里「希!」パアァ
希「エリちの出番はまだやから」
穂乃果「じゃあ希ちゃん、先鋒よろしくね! なお結果報告は放課後、真姫ちゃんが音楽室にいるうちに行います。それまでは誰にも言っちゃだめだよ?」
穂乃果「それでは明日より作戦開始!」
希「ウチで終わっちゃうかもしれんけど、そのときはごめんね?」
1 東條希の場合
コンコン
真姫「はい」
希「今、平気?」
真姫「別にいいけど。なんの用?」
希「真姫ちゃんとお話がしたいなあって思って」
真姫「どうして今なのよ」
希「嫌ならそれでいいけど。ここにいるのはかまわない、そうでしょ?」
真姫「好きにすれば」
希「ねえ真姫ちゃん」
希「ウチな、μ'sに入ってよかったって思ってるんよ」
真姫「な、なによ急に」
希「合宿のときも言ったやろ、ウチはμ'sが大好きだって」
希「それは今でも変わらない。だから、μ'sが活動休止になったとき、本当に悲しかった」
希「でもそれだけじゃなかった。真姫ちゃんも感じてたんと違う? 物足りなさを」
真姫「……」
希「歌ったり踊ったりっていうのは、たぶん思っていたよりウチらの日常になってたんやね。それがなくなってからはじめて気づいて」
希「だから穂乃果ちゃんとことりちゃんが帰ってきてくれて、またみんなと一緒にがんばれるってわかって、すごく嬉しかった」
真姫「……そうね」
希「ウチは歌うのが好きで踊るのが好きで、みんなといるのが好きで、だからμ'sにいる。だからがんばれる。これまでも、これからも。そうわかったの」
希「真姫ちゃんはどう? どうしてμ'sにいてくれるの?」
真姫「そ、そんなこと別に言わなくてもいいじゃない」
希「うーんよくわからんなー。ウチは真姫ちゃんの口からはっきり聞きたい」
真姫「何よそれ、恋人じゃないんだから」
希「ふふっ」
真姫「もう。本当に面倒な人ね」
希「あ、また言われちゃった」
真姫「……決まってるじゃない」
真姫「好きだからに、決まってるじゃない」
真姫「私も同じよ」
希「うん」
真姫「はじめて穂乃果に誘われたとき、ばかみたいって思ってた。私の音楽はもう終わってるんだって」
真姫「それからいろいろあって、いろんなことして」
真姫「もともと音楽は好きだったけど、もっと好きになった。もっと楽しめるようになれた」
真姫「って、ああもう、何言ってるんだか……」
希「ううん、聞けて嬉しいよ」
真姫「もうあなたは! いいわ、この際はっきり言わせてもらうけど」ガタッ
希「ど、どうしたん?」ビクッ
真姫「私は! 私は、その……。希にはすごく感謝してるの」
希「え……?」
真姫「曲を作ろうか迷ってたとき、背中を押してくれて。その後もいろいろしてくれて。合宿のときだって」
真姫「もちろん他のみんなも希に感謝してるわ。ただ言う機会がないだけであって」
希「あの真姫ちゃん?」アワアワ
真姫「でもそうね。ちゃんと言葉で伝えないとわからないって言うのなら……の、希!」
希「は、はい」
真姫「ありがとう、私を、私たちを導いてくれて」
真姫「私も好きよ、μ's。μ'sのみんな。もちろん希も、だ、大好き」カァァ
ドギュウン
希「……」ポー
真姫「こ、これでいい?」
希「あ……」ポー
真姫「希、どうしたの?」
希「」ポー
篭 絡 完 了
1.5
ガラガラ
希「……」ポー
穂乃果「どうだった?」
希「……」
花陽「希、ちゃん?」
凛「様子がおかしいにゃー」
ことり「心ここにあらずって感じだね」
絵里「ちょっと希、しっかりして!」パチン
希「え、あ、ああどうしたん?」
絵里「こっちが聞きたいわよ」
海未「いったい何があったというのですか」
希「えーっとそれは、秘密」ウットリ
にこ「どうも返り討ちにあったようね」
凛「そそんな」ガクガク
穂乃果「あの希ちゃんが」ガクガク
絵里「は、ハラショー……」ガクガク
ことり「つ、次は誰が行くのかな」
花陽「私はちょっと……」
凛「そうだよね! 凛たちは普段から真姫ちゃんと仲がいいし、やっぱりここは先輩たちが」
海未「とはいえ凛、真姫と二人きりになったことは少ないのでは?」
ことり「そういえばいつも花陽ちゃんとの三人って感じだもんね」
にこ「ていうか仲いいほうが聞きやすいでしょ」
穂乃果「じゃあ次は」
凛「ちょっと待って! たしかにそれはそうだけど、そういう誘導の仕方はずるいよー!」
絵里「相手の手の内が読めない以上、私たちが行っても希の二の舞なのよ」
凛「じゃあにこちゃんが!」
にこ「嫌に決まってるじゃない。あんな風にはなりたくないわ」チラッ
希「うふふっ」ポー
凛「はっきり言っちゃったにゃー! それなら凛だって」
花陽「凛ちゃん……がんばって!」
凛「かよちんまでー」
穂乃果「ファイトだよっ!」
凛「うー、うー。じゃ、じゃあ……」
凛「かよちんパス!」タッチ
花陽「ええっ!? そんないきなり」
海未「たしかに花陽ならいけるかもしれませんね」
ことり「うんうん。二人ともすっごく仲いいし」
にこ「アンタたち自分じゃなければ誰でもいいのね……」ジトー
花陽「む、無理だよお」
絵里「花陽」
七人「じーっ」
花陽「誰か助けて……」
2.小泉花陽の場合
花陽「うう、なんだか緊張するなあ。いつも話してるのに」
コンコン
真姫「花陽じゃない。どうかした?」
花陽「ちょっと歌が聞きたくなって」
真姫「そう、なら適当に座って」
花陽「は、はい!」
花陽(緊張するよー)
真姫「ん?」
花陽「ななんでもないよ」
花陽(うーんどうしよ)
真姫「ねえ」
花陽(いつもどんな感じで話してたっけ)
真姫「聞いてるの?」
花陽(こんなとき凛ちゃんなら……)
真姫「ねえってば!」
花陽「えぇえ、ど、どうしたの?」
真姫「そっちこそいったいどうしたっていうのよ。さっきから呼んでるのに」
花陽「なんでもないよ気にしないで。それで」
真姫「だから一緒に歌わないかって聞いてるの」
花陽「歌う? 私が?」
真姫「他に誰もいないじゃない」
真姫「だいたいそんな黙ってじっと見られてもやりづらいわよ。歌の練習にもなるからちょうどいいでしょ?」
花陽「う、うん。でもいいのかな」
真姫「もう! 前にも言ったけど花陽はきれいな声してるんだからもっと自信もって」
真姫「私あなたの歌声好きなんだから」
花陽「えっ」
真姫「あ……」
花陽「えへへ。ありがとう」
真姫「ほ、ほらはやく準備して!」
花陽「うん!」
花陽「ふう、気持ちよかった」
真姫「いい感じね。これならいつでも大丈夫ってとこ」
花陽「……ありがとね」
真姫「別に練習なんていつでも付き合ってあげるわよ」
花陽「それも感謝してるけど、そうじゃなくて」
花陽「私に自信をくれたこと。私の背中を押してくれたこと」
花陽「私ね、μ'sに入る前から、放課後になったら聞こえてくる真姫ちゃんの歌がすごく好きだったの」
真姫「そう」
花陽「そんな人から褒められて、後押ししてもらって。すごく嬉しかったんだ」
花陽「真姫ちゃんと出会えてよかったって、ずっと思ってるよ」
真姫「よくそんなこと言えるわね」カァァ
花陽「え、えああ! あはは、なんだか恥ずかしいね」
真姫「ほんとよもう」
真姫「……私も感謝してる」
花陽「え、私に?」
真姫「私のことを一番褒めてくれるの、花陽だから。穂乃果も負けてないけど」クスッ
真姫「私はμ'sで、自分の音楽はまだ誰かを感動させることができるってわかった」
真姫「それをみんなが、花陽が教えてくれたの。だからすごく感謝してる」
真姫「花陽や凛に会えてよかった」
花陽「真姫ちゃん」キュン
真姫「これ、みんなには秘密にしておきなさいね」
花陽「うん!」
花陽「これからもがんばろうね!」
真姫「ええ」
花陽「それでね、一つお願いしていいかな」
真姫「なにかしら」
花陽「みんなに内緒で新しい曲を作りたいなって。手伝ってほしくて」
真姫「いいわよ」
花陽「歌詞はもうできてて……」
2.5
ガラガラ
凛「かよちん大丈夫かにゃ?」
花陽「楽しかったよ!」
絵里「花陽はなんともないみたいね」
凛「それで何してたの?」
花陽「一緒に歌ってその後少しお話をして」
穂乃果「どう、聞けた?」
花陽「秘密です!」
花陽「希ちゃんの気持ちがわかったよ。真姫ちゃんとの話はみんなには内緒」
花陽「ねー」
希「ねっ」
穂乃果「ぐぬぬぬぬ」
海未「それにしても希と花陽の間にいったいなんの差があったのでしょうか」
絵里「たしかに。花陽はとくに変わらないわね」
ことり「でもなんだか嬉しそう!」
希「心当たりはあるかも」
穂乃果「というと?」
希「まあまだ確定してるわけやないから、とりあえず次までは様子見って感じ?」
にこ「次……」
絵里「じゃあ今度こそ凛が」
凛「その前に!」
凛「三年生一年生ときたんだから、次は二年生の番!」
絵里「言われてみればそうね」
にこ「絵里……アンタ」ジトー
海未「すみません急に用事を思い出しました」
ことり「ずるいよ海未ちゃん!」
穂乃果「そうだよ!」
凛「おーじょーぎわが悪いにゃ!」
希「別にいいけど、次が海未ちゃんに決まっても文句はなしな?」
海未「わかりました。話し合いましょう!」
花陽「お茶でーす」
絵里「ありがとう」
花陽「にこちゃんも、どうぞ」
にこ「悪いわね」
海未「ですからまずは穂乃果が!」
穂乃果「ことりちゃんがんばって!」
ことり「海未ちゃん、お願い!」パアア
希「凛ちゃんもたまには手を引いてもらう必要があると思うんよ」
凛「どういうこと?」
希「押してだめなら引いてみろって言葉があるやん? 凛ちゃんみたいにグイグイ押していったら、それは相手もいつか折れるんやろうけど」
希「たまには弱気なところを見せてお願いするのも効果的!」
凛「弱気……。こ、こう?」ウルウル
希「そうそう、いっつも元気な子にこんな顔されたら、誰だってなんとかしてあげたくなるんとちゃうかな」
凛「ふーん。そういうものなのかなあ」
希「今度誰かで試してみるといいんやない?」
凛「考えとく!」
ことり「穂乃果ちゃんが言い出したんだから穂乃果ちゃんからいこうよー」
穂乃果「私ね、ことりちゃんはもっと真姫ちゃんと仲良くなるべきだって思ってるよ!」
海未「ああもうわかりました。話し合いで結論がでないのであればじゃんけんです」
穂乃果「わかった!」
ことり「じゃあいくよ、じゃーんけーん」
ここでいったん終了です。
できるだけ全員に出番を与えようとした割には短い出来になっています。削りまくったので……。
次からはちょっと雰囲気が変わるというか、「あ、ふーん」って感じになると思います。
3 南ことりの場合
ことり(真姫ちゃんと二人でお話かあ)
ことり(あんなことがあったばっかりだからちょっと気まずいかも)
ことり(でもじゃんけん負けちゃったし……)
ことり「うぅぅう無理だよ〜」ガタッ
ことり「あっ」
真姫「だれ?」
ことり「ひぃっ」ビクッ
真姫「……ことり?」
ことり「はい……」
真姫「穂乃果と海未は?」
ことり「今日は私一人なんだー」
真姫「そういえば最近、希と花陽も来たわね。何か関係あるの?」
ことり「う、ううん、何のこと? 偶然だねえ」
真姫「ふうん」
ことり(何話せばいいんだろ、わかんないよ〜)
ことり(『練習中でしたか。まったく、凛や穂乃果にも見習ってもらいたいものです』とか)
ことり(『真姫ちゃんやっぱり上手だね!』とか!)クスッ
真姫「どうかした?」
ことり「な、なんでもないよなんでも!」
真姫「そう、ならいいけど」
ことり(私、どういう風に思われているんだろう)
ことり(いきなり留学するなんて言って、あんなことになったのは私のせい)
ことり(きっと怒ってるよね)
真姫「元気なさそうね」
ことり「えっ。ぜんぜん、元気だよ! ……そんな風に見える?」
真姫「ならいいけど。まさかまた何か抱え込んでるんじゃないでしょうね」ジロッ
ことり「ううん、そうじゃなくて」
ことり「私嫌われてないかなって」
真姫「はあ? どうしてそうなるわけ?」
ことり「だって……私が留学するなんて言うからあんなことになっちゃって」
真姫「その話はもう終わったじゃない」
ことり「でも」
真姫「じゃあなんて言ってほしいの? ことりが嫌いだとか無責任だとか、そういう言葉を聞きたいわけ?」
ことり「違うよ! ただ、みんなが優しすぎて、怖くなるときがあるの」
真姫「……」
ことり「今と前ではμ'sの雰囲気はぜんぜん違ってて、もう元には戻せないのかなって思うとすごく怖い」
ことり「全部私のせいだから。だからみんながどう思っているのか気になって」
ことり「ごめんね。こんな話をしにきたわけじゃないのに」
真姫「それでことりは、私にどう思っていてほしいわけ? 責められたいの、許されたいの」
ことり「……真姫ちゃんの思っている通りのことが聞きたい」
真姫「じゃあ言わせてもらうけど、それって元に戻る必要はあるわけ?」
ことり「そんな、だって」
真姫「たしかに私たちは変わった。ラブライブには出られず、廃校の話はなくなって。みんなばらばらになって、そしてまた集まった」
真姫「前と違うのなんて当たり前よ。だって私たちはもう、廃校を止めるためにμ'sにいるわけじゃないんだから」
真姫「今はただやりたいからやる。楽しいからやる」
真姫「穂乃果も海未も絵里も希もにこちゃんも、凛も花陽も、私もそう」
ことり「私は……」
真姫「私たちは変わらなくちゃいけなかったの。もう誰にも、あのときのことりみたいな思いはさせたくないから」
ことり「え、だって私のせいで」
真姫「ことりがどれだけ辛かったかはわからない。でも、すごく悩んで、どうすればいいのかわからなくなって、どうしようもなくなったっていうのは想像できる」
真姫「気づいてあげるべきだったのよ、私は。私たちは」
真姫「今でも悔しくて、だから変わったの。誰かが辛そうなときに、気づいて、そばにいてあげられるようにって」
ことり「違う、悪いのは私だよ!」ポロポロ
真姫「ことりは悪くない!」ダキッ
真姫「……ううん、一人で抱え込みすぎていたっていうのは悪い」
真姫「でもそれに気づけなかった私たちも同じくらいにだめだった」
真姫「私は今のμ'sも好き。もしそこの居心地が悪いって感じてるなら、それはたぶん、ことりだけが変われていないからだと思う」ナデナデ
ことり「真姫ちゃぁん」ポロポロポロ
真姫「まだ時間はあるから、落ち着いたらもう少し話しましょ」
ことり「うん」グスッ
真姫「どう?」
ことり「うん。なんだか、ごめんね。これじゃあどっちが上級生だかわなんないね」
真姫「別に気にすることないわよ」
ことり「私はどうすればいいのかな」
真姫「さっきも言ったけど、ことりはまだあの時のまま。あそこで止まっているんだと思う」
ことり「どうなんだろう……わかんない」
真姫「こっちに残って本当によかったのかって思ってるでしょ」
ことり「えっ、そ、そんなこと。……わかるの?」
真姫「私たちはもう前に進んでいるのに、ことりはまだその問題で立ち止まってる」
真姫「置いてきたもののことを考えてる。そんな気がするの」
ことり「……そうなのかも」
ことり「私、どうすればよかったんだろ」
ことり「ずっと考えてるの。もしあの時穂乃果ちゃんを突き放して飛行機に乗っていたらって」
ことり「服飾の勉強がしたいって気持ちは本当だった。だからみんなとキッパリ別れて向こうでがんばるって道もあったの」
ことり「でもそれはできなかった……」
ことり「あの時は、こっちにいたいと思って残った。でも今は次のライブも新曲もないからそんなに忙しくなくて、時間があるとつい思っちゃうんだ」
ことり「向こうにいたら何かすごいことになっていたんじゃないかって」
ことり「本当にこれでよかったのかって」
ことり「私、だめだよね」
真姫「そんなことないわよ。それが普通」
ことり「ねえ真姫ちゃん、どうして一つしか選べないんだろう」
真姫「……私も同じことを思ったことがあるわ」
真姫「小さい頃たくさん習い事をしてて、全部それなりにできてたから、私の前にはたくさんの道があった」
真姫「一つ一つが好きで、将来どれになろうかって本気で悩んでた時期もあったくらい」
真姫「でも私が期待されてるのは水泳の選手だとかピアニストとかじゃないんだろうなって思って、みんな諦めたの」
ことり「そのときは、どうしたの?」
真姫「時間が解決してくれた。ピアニストになれないからってピアノをやめちゃったら、それが本当の終わりだって思った」
真姫「今はあの頃に比べたらピアノも水泳も字を書くのも、ずっと上手いんだから。それでいい」
真姫「続けていてよかったって思うことはいっぱいある。μ'sに入って、私は、自分が捨てたと思っていたものはまだ終わってなんてなかったって気づいたの」
真姫「ことりも私たちの衣装を作り続けてくれたらそう思えるんじゃない?」
ことり「真姫ちゃんは強いんだね」
真姫「そうかもね。私みたいに思える人はそんなに多くないかもしれない」
真姫「でもことりにはμ'sのみんながいる。だから絶対大丈夫」
真姫「今ね、次のライブの曲を作ってるの」
ことり「ほんと!?」
真姫「またみんなで一緒にがんばったら最高のライブができるから、もう大丈夫よ」
真姫「こっちに残ってよかったって思えるから。向こうに行ってたら後悔してたって、絶対思わせてみせるから」
真姫「服飾の勉強は日本でもできる。ことりなら絶対……。私、ことりが作ってくれる衣装、すごく、好きだから……」グスッ
真姫「だから……、こ、ここにいてくれて、ありがと……」ポロポロ
ことり「ま、真姫ちゃん!?」
真姫「ずっと言いたかったのよ! なのに暗い顔ばっかりで、見てられなくて、話しかけられなかった!」
真姫「ばか。もうあんな顔しないでよ」ポロポロ
ことり「う、うん、わかった、わかったから」アセアセ
真姫「ここにいなければよかったなんて思わせたくない、そのためならなんだってしてあげられるから。だから行かないで」ポロポロポロ
ことり「うん……、私、ここにいるよ。ここにいてよかったって、今思ってるよ」ナデナデ
真姫「向こうに行ったほうがことりの将来のためだってわかってる。でも、それでもいてほしかったの!」
ことり(真姫ちゃん……)グスッ
ことり「んふふー」ニコニコ
真姫「な、なによ」
ことり「かわいかったなーって。真姫ちゃんにもああいうとこあるんだね」
真姫「あなたねぇ……」
ことり「昼休みいっぱい使っちゃってごめんね、曲作ってるのに」
真姫「いいのよ。私もすっきりしたし」
ことり「今日は本当にありがとう。いろいろ吹っ切れたよ」
ことり「またお話ししようね!」
真姫「ええ、いつでもどうぞ」
篭 絡 完 了
ことり「あ、そういえばさっき、なんでもするって言ったよね?」グイッ
真姫「……え?」
3.5
ガラガラ
海未「どうでしたか?」
ことり「海未ちゃん」グスン
海未「目が真っ赤じゃないですか」
ことり「うわあぁあん」ダキッ
海未「いったい何があったというのですか!」
ことり「さっきお昼のこと思い出しちゃって。真姫ちゃんが、嬉しくって、私……」ポロポロポロ
穂乃果「これは……」
希「何も聞けそうにないみたいやね」
にこ「三戦全敗ってこと」
絵里「ハラショー……」
凛「なんだかこわくなってきたかも」
海未「花陽、助けてください」
花陽「ええっ。えっと、ことりちゃん大丈夫?」アワアワ
ことり「花陽ちゃああん!」ダキッ
花陽「えぇええ」アワアワ
海未「私のほうは離してください苦しいです!」
花陽「誰か助けてー!」
希「たぶんやけど」スッ
絵里「何かわかった?」
希「たぶん、親密度が関係あるんとちゃうかな」
穂乃果「しんみつど?」
希「真姫ちゃんはみんなの前だと素直になれないけど、二人きりになるといろいろ話してくれるんよ」
凛「普段からデレデレ真姫ちゃんを知らないとその破壊力に負けるってこと?」
希「そういうこと」
凛「じゃあ凛も大丈夫にゃ。仲良しだし!」
希「うちの勘やと、絶対安全なのは花陽ちゃんとにこっちだけ」
凛「えー。どうして凛は違うの?」
絵里「あなたたしか、真姫と二人きりになることは少ないっていうじゃない」
穂乃果「そっか」
希「まあ凛ちゃんもたぶん大丈夫やとは思うけど」
希「花陽ちゃんとにこっちは、真姫ちゃんと二人や三人で遊んだりしてたもんね」
にこ「ちょっ、な、なんでアンタがそれを知ってるのよ!」
穂乃果「へ〜そうなんだ」
凛「そうなんだ、じゃないにゃ! ちょっと二人ともどういうことか説明して!」
にこ「違うのよあれは。最初は花陽と一緒なのを見かけてにこも加わって。次はこの前、三人で歌える曲を作ってもらおうと思って呼び出して……」
にこ「少なくともにこは曲の話しかしたことないから、あれは遊んでたっていうかなんていうかその……」
にこ「花陽、アンタは二人で何してるわけ?」
花陽「えっとね、暇だったらお散歩しようってメールしたらいいよって言ってくれて」
花陽「私たち知り合ってから半年も経ってないし、休日の真姫ちゃんってどんな風なんだろうなーって」
凛「どうして凛を呼んでくれなかったの?」キッ
花陽「ちゃ、ちゃんと連絡したよ。でも用があるからって」
凛「はっ、まさかあのときのメール! 真姫ちゃんも一緒だったなんて……」ガクッ
穂乃果「よしよーし」ナデナデ
ことり「穂乃果ちゃん、海未ちゃん!」ギュウウ
海未「苦しい……」
絵里「それで次の人だけど」
凛「凛! 凛がやる! 真姫ちゃんとの仲良し度を確認して、今度二人で遊びにいくんだから!」
絵里「……いい感じね」クスッ
希「そうやね」
にこ「ちょ、何よ。こっち来ないで!」
ことり「にこちゃあああん!」ギュウウウ
にこ「いやああああ」
4 星空凛の場合
バン!
凛「やっほー、練習中にゃー」
真姫「一人でなんて珍しいじゃない。ていうかびっくりするからやめて」
凛「お話ししよう!」
真姫「別にいいけど……何を?」
凛「……なんだろう」
真姫「からかいに来たわけ?」
凛「そ、そんなんじゃないよ。ちょっと待ってて、話題考えるから」
凛(そうだ天気! こういうときは天気のことから始めるのが普通なんだよね!)
凛「今日はいい天気だにゃー」
ザアアアア
真姫「雨、降ってるけど」
ザアアアアアアア
凛「り、凛は雨も好きだけどなー」
真姫「私は嫌ね」
凛「へえ真姫ちゃんらしいにゃー」
真姫「……」
凛「……」
凛(続かない!)
真姫「はあ。いつまでもそんなんじゃあれだし、一緒に歌う?」
真姫「一昨日は花陽とも練習してたの」
凛「むう、なんでそこでかよちんの名前が出てくるわけ? 今関係ないよね?」
真姫「はあ?」
凛「そんなにかよちんがいいんだね。ふん!」
真姫「な、なに怒ってるのよ」
凛「凛知ってるからね、真姫ちゃんがかよちんやにこちゃんと遊んだこと」
真姫「えぇえ、な、なんでそんなこと」ガタッ
凛「知らなかったよ。かよちんとデートしてたなんて!」
凛「にこちゃんとだってそう!」
凛「いったいどういうことなのか、凛にもわかるように説明して!」グン!
真姫「そ、そもそも、あれは向こうが誘ってきたから行っただけで」
凛「言い訳は聞きたくないよ!」
真姫「説明しろって言われたから説明しただけよ」
真姫「じゃあ逆に聞くけど、そこまで気にしてたんならどうして今まで誘ってくれなかったわけ!?」バン!
凛「……あれ」
真姫「私が自分から遊びに誘うような人間に見えるかしら?」グン
凛「ま、真姫ちゃんこわいにゃー」ビクッ
凛(そういえば二人で遊ぼうって誘ったことなかったっけ。というか気にしてたんだ)ニヤニヤ
真姫「凛?」
凛(ここで誘おうかな。……でも待つにゃ)チラッ
凛(凛から言ったんじゃ、かよちんやにこちゃんと同じ。絶対に追いつけないよね)
凛(つまりこれはもう!)
凛「真姫ちゃん真姫ちゃん」
凛「真姫ちゃん、遊びに誘って?」
真姫「いきなりなんなのよ……」
凛「ほら恥ずかしがらずに!」
真姫「いやよそんなの」モジモジ
凛「凛は真姫ちゃんから誘われた人第一号になりたいにゃー」
真姫「でも……」
凛(あと一押しかな?)
凛(ここで必殺!)
凛「もしかして、凛じゃいやなの?」ウルウル
真姫「あ……違うの。そうじゃなくて」アセアセ
凛(いいよいいよ〜)チラッ
真姫「その……あの」
凛「うん」ウルウル
凛(うそ泣きに気づかず慌てちゃってる。かわいい、優しい!)チラッチラッ
真姫「わかったわよもう。凛」
凛「なあに?」
真姫「その、今度どこか行かない? ふ二人で」
凛「いいよ!」パアア
凛「真姫ちゃんから誘ったんだから全部任せるよ!」
凛「約束だからね!」
真姫「元気じゃないの。まったく……しょうがないわね」クスッ
凛「はっ!」ドキッ
凛(すごく優しい顔)ドキドキ
凛「そこでまたいっぱい話すにゃー!」
真姫「はいはい」
凛(二人でデート……。緊張してきたよ〜!)
4.5
バンッ!
凛「>ω</」
にこ「で、どうだっ——」
凛「にこちゃーん!」ダキッ
にこ「待ちなさ……もうやめてぇ!」ガクッ
花陽「大丈夫!?」
希「どうだったか、なんて聞くまでもないみたいやね」
絵里「嬉しそうね?」
凛「えへへ、ありがとね希ちゃん」
希「ん?」
にこ「それよりちゃんと聞けたんでしょうねえ」
凛「んーなんのこと?」ポカン
にこ「は?」
七人「えーっ!」
穂乃果「じゃあ何しに行ったの!」
凛「おはなし!」
海未「それはそうですが」
ことり「どんなことを話したのかは聞かないほうがいいよね」
凛「うん、二人だけのひーみつ!」
花陽「なんか想像つくけど」
にこ「わっかりやすいわよね〜」
海未「はあ……」
希「さ、次次」
絵里「残りのメンバーを確認するわ」
絵里「私とにこ、そして海未と穂乃果」
にこ「半分は終わったってわけ」
絵里「次は誰がいくのかしら?」ワクワク
海未「あの、楽しんでませんか、絵里」
穂乃果「楽しまなきゃだよ!」グッ
海未「はあ……」
にこ「ま、そろそろにこの出番でしょうね」フン
ことり「そういえば花陽ちゃんは真姫ちゃんと一緒に歌ったんだよね」
花陽「うん、やっぱり一対一だといろんなこと教えてくれるからありがたいよ」
ことり「私もたまには行こうかなあ」
凛「凛も!」
希「もし八人が一日ずつ音楽室で練習するとしたら、ちょっと間が開きすぎやね」
ことり「それじゃあだめだよね」
凛「昼休みを半分にして一日二人ずつにするとか!」
希「まあこれ以上増えるとは限らんわけやし、じっくり考えようか」
花陽「真姫ちゃんが付き合ってくれること前提なんだ……」
海未「なるほどたしかに、にこなら聞きだせそうですね」
絵里「待って。花陽の例もあるわ」
にこ「フン。にこは花陽と違ってあまあまじゃないの。ようはぱっと聞いてぱっと帰ってくればいいんでしょ?」
穂乃果「おお、なんか頼もしいね」
にこ「当然じゃない。にこを何年生だと思ってるのよ」
穂乃果「えーっと。三年生……だよ、ね?」
海未「そのはずですが……」
にこ「もっと自信を持って言いなさいよ!」バシッ
穂乃果「あいたっ」
絵里「でも気をつけて。そうやって油断していたら今までと変わらないわよ?」
海未「そうですよ」
にこ「とにかく期待してなさいって。上級生の意地を見せてやるわよ」
5 矢澤にこの場合
にこ「邪魔するわ。いいかしら」
真姫「どうぞ」
真姫「それで何の用なわけ? 最近昼休みになるとμ'sのメンバーがよく来るんだけど、何か関係ある?」
にこ「ぜぜぜんぜん! にこはただ……この前のお礼を言いに」
真姫「この前?」
にこ「曲作ってもらったじゃない」
にこ「μ'sが活動休止になったあとも、凛と花陽とでスクールアイドル続けるからって」
真姫「ああそんなこと」
にこ「アンタは関係なかったのに」
真姫「何言ってるのよ、同じμ'sのメンバーじゃない」
にこ「え?」
真姫「あの時は活動休止ってだけで別に解散したわけじゃなかったし」
真姫「さすがに穂乃果たちがいない状況で私もやろうとは思わなかったけど、誰かがやるっていうなら曲ぐらい作ってあげるわよ」
にこ「真姫ちゃん……」ウルウル
真姫「で、用ってのはそれだけ?」
にこ「なっ何よその言い方、にこはお邪魔ってわけ?」
真姫「そういうのじゃなくて。今曲作ってるから」
にこ「新曲? そういえばさっき弾いてたの、聞いたことないわね。どんな曲なの? 次のライブの曲にしちゃゆっくりで落ち着いた感じだけど」
真姫「あれははな……。べ、別にあなたには関係ないじゃない!」
にこ「はあ何怒ってるのよ」
にこ「ははーん、さては内緒で作って自分をセンターにしてもらおうってわけね」
真姫「違うわよ!」
にこ「しょうがないわねえ、みんなには内緒にしてあげるから感謝しなさい!」
真姫「だから違うって……もういい」
真姫「ところで今度暇かしら」
にこ「ん?」
真姫「凛と花陽を入れた四人で、その、どこか行くのも悪くないと思って」
真姫「いつもみたいに曲とかの話じゃなくて……なんていうか、遊びに」
にこ「別にいいけど。凛とは二人で遊ぶんじゃないの?」
真姫「それとは別の日。……ていうか、なんでにこちゃんがそれ知ってるわけ?」
にこ「しまっ。ま、まあ細かいことはいいじゃない。今度ね、今度。詳しく決まったら教えてちょうだい」
にこ「それじゃ」
真姫「ちょっと、逃げるの?」
にこ「逃げるー? んーにこわかんなーい」
にこ「あ、そうだ。本格的に練習がはじまる前に、まず私たちであの曲歌うから」
真姫「え?」
にこ「最近三人で集まってみんなに内緒で練習してるの。サプライズなんだけど、真姫ちゃんは特別に教えてあげる。まあ楽しみに待ってなさい!」
にこ「じゃ!」フリフリ
真姫「あ……。ていうかあれどう見ても焦ってたわよね」
真姫「あやしい」
5.5
ガラガラ
にこ「……あれ? なんか忘れ……」
にこ「って、あー!」
ことり「何があったの?」
にこ「にに、にっこにっこにー。みんなあ、お疲れ様! 今日もいい天気で練習がはかどりそうだわねえ!」
希「にこっち、教室に戻ってくるの早かったけど」
希「肝心なことを聞き忘れていて、そのことを今の今まで忘れてたんやな」
にこ「ぐぬ、なぜそれを……もしかして見てた?」
絵里「顔に書いてあるわよ」
にこ「焦ってたのよ。あれ以上話してたらいろいろばれそうだったから!」
にこ「まあいいじゃない。あと三人もいるんだし」
凛「あー開き直ったにゃー」
花陽「あと三人。残るメンバーは」
穂乃果「私と絵里ちゃんと海未ちゃん!」
海未「もういいではないですか。真姫はμ'sに入ってよかったと思っているでしょうし」
海未「今まで話した中でその言葉を聞いた人もいるはずです」
絵里「そうかもね。でもここまで来たんだし最後までやってもいいじゃない」
海未「絵里!」
希「もしかして真姫ちゃんが苦手なん?」
海未「そういうわけでは……」
ことり「真姫ちゃんはとっても優しくていい子だよ?」
凛「あととおってもかわいいんだよ!」
海未「わかっていますが……」
にこ「あー花陽、今度凛も入れて四人でどっかにって」
花陽「ほんと? うん、やっぱり凛ちゃんも一緒じゃないとね」
花陽「じゃあそのときにリハーサルも——」
穂乃果「えーなになになんの話? 私も入れてよー」
花陽「穂乃果ちゃん!?」ビクッ
にこ「悪いけどだめよ。また別の機会にね」
穂乃果「そんなあ」
花陽「ごめんね、すっごく大切なことだから……」
にこ「今は我慢しといたほうが楽しめるわよ?」
穂乃果「ふうむそこまで言われると……。じゃあ楽しみにしてるね!」
絵里「ねえ、前も言ったけど、やっぱりこの時期はメンバー間でもっと仲良くなる必要があると思うの」
海未「わかってはいるのです。ですがいざやるとなると……」
希「まあ真姫ちゃんと一対一で話す機会なんてめったにないからね」
凛「ううぅ、なんか痛いところを突かれた」シュン
ことり「よしよし」ナデナデ
凛「うわーん!」ダキッ
絵里「今回は私に任せなさい。それで次は海未。ちゃんと話す内容考えておきなさいよ?」
海未「わかりました……」
今回の分は終わりです。次で残りを全部やります。
書き溜めてやってみても、一回一回書き込むたびに心が折れそうになりますね。
自分でこういうのを書いてみると、他の方々が何かとんでもない才能の持ち主のように見えます。
このSSとは関係ない話なのですが、もっとラブライブSSは増えてほしいと思っています。
こんなこと書いておいて自分がこの一作というのもなんですので、一応はもう一つ書き終えたものがあるんですよね。
でもそれは地の文だらけでSSっていうか小説っぽいような、しかも鬱っぽい百合だし、はたして需要があるのかわかりません。
もはやラブライブのキャラの皮を被った別人です。いや、でもいいですよね、許してもらえますよねここはそういうの。
6 絢瀬絵里の場合
コンコン
真姫「絵里、どうしたの?」
絵里「んーちょっとね」
絵里「最近μ'sのメンバーがよく来るはずだけどね、それには理由があるの」
真姫「理由?」
絵里「そう。穂乃果が言い出したことなんだけど。あなたから『μ'sに入ってよかった』って聞きたいんだって」
真姫「……なるほどね。まあそんなものだろうと思っていたけど」
絵里「私はμ'sに入ってよかったって思ってるわ。昔の自分に言ってやりたいぐらいよ」
真姫「昔の、ね。今でも気にしてるわけ?」
絵里「そういうわけじゃないのよ? ただ——」
真姫「いつまでも気にしていたってしょうがないじゃない。それともみんなに気を使ってほしいわけ?」
絵里「……ふふっ」
真姫「なんで笑うのよ」
絵里「ごめんごめん。前にね、今のと同じセリフを穂乃果に言ったことがあって」
真姫「とにかく、そんなテンションで練習に来られたってみんな困るから」
絵里「そうね、ごめんなさい」クスッ
真姫「ん?」
絵里「でも、こういうの、真姫にしか話せないから」
真姫「希がいるじゃない」
絵里「希はね、どういう風に答えてくれるか想像できちゃうの。ずっと一緒にいたから」
真姫「ふうん。それであんまり親しくない私にってわけ?」
絵里「そういうつもりで言ったんじゃないわ。真姫とは十分親しいつもり」
絵里「でももっと仲良くなりたい。もっと、μ'sのメンバーと仲良くなってほしい」
絵里「だから穂乃果が今回のことを言い出してくれて本当によかった」
真姫「……何から話せばいいの?」
絵里「そうねえ、じゃあ私の印象とか」
真姫「正直、前の絵里は嫌な人って感じだった」
絵里「あはは、やっぱり?」
真姫「でもそれは私が絵里のことをよく知らなかったから」
真姫「希が言ってたわ。廃校の話が出てから焦りだしたって」
真姫「責任感が強くて、一人でいろんなもの背負い込んで。素直じゃないから助けも呼んでくれないって」
絵里「そんな話をいつ?」
真姫「いつでもいいじゃない。まったく、あれ聞いた限りじゃ絵里も私のこと言えないわよ」
絵里「私が素直じゃなくて、心配……? ふふっ」
絵里「ふっ、あははは。ああ、あれはそういう意味だったのね。なるほど、希……」
真姫「なんなのよもう」
絵里「ううん、ただ私もまだまだ希の全部をわかってるわけじゃないんだなって」フフッ
真姫「まあでも絵里がどんな気持ちでいたかとか、そういうのを聞くと納得できることは多いと思う」
真姫「ていうかたぶん私がその立場にいたとしたら同じことをしただろうし」
真姫「アイドルで学校を救うなんてそんな簡単じゃないってね」
絵里「でもμ'sはそれに貢献できたと思う。もちろんたくさんの人に支えられて」
真姫「それと、今のメンバーだったから。私たちは九人だからここまでこれた」
絵里「そう、かしら」
真姫「絵里がいなかったらなんて考えたくないわよ。海未一人でμ'sの練習を見るなんて、そんなのかわいそうだし」クスッ
真姫「それにみんなとも今みたいに接することはできてないはず」
真姫「だからμ'sのメンバーが一人でも欠けてたら、だめだと思う」
絵里「ありがとう」
真姫「別に礼なんていいわよ。むしろ私がしたいぐらい。絵里にはいろいろ手伝ってもらってるから」
真姫「なんだかんだいって一番相談しやすいし。この前も穂乃果に渡すCDのレコーディング手伝ってくれたり」
絵里「いいわよそのぐらい」
真姫「ううん、言えるときに言っておかないと。ねえ絵里」
絵里「なに?」
真姫「好きよ」
絵里「えっ」ドキッ
真姫「私はμ'sが好きで、絵里やみんなが好き。……これでいい?」
絵里「そ、そうよね」
絵里(なるほど希たちはこれに……。やるわね真姫)ドキドキ
真姫「まったく、こんなことを平気で言えるなんて、最近はおかしいわ。穂乃果たちが変なこと考えるから!」
絵里(まだ聞きたいことはあるけれど……これ以上はまずそうね)バクバク
絵里「そ、それじゃあ今日はいろいろ聞けて嬉しかったわ。ありがとう」
絵里「もし何かあったらちゃんと話しなさいよ? あとそうじゃなくても、普段からもっと、ね?」
絵里「そういえば。ねえ、穂乃果に渡したCD、あれから何も聞いてない?」
真姫「別に……それがどうかしたの?」
絵里「それならいいんだけど」
絵里(大丈夫よねあれ)
真姫「ねえ絵里、その……」
真姫「また放課後、部室で」ニコッ
絵里「っ!」ズキューン!
篭 絡 完 了
6.5
ガラガラ
絵里「ちゃんと聞いてきたわよ!」
希「で、どうだったん?」
絵里「入ってよかったって。まあみんなも聞いているだろうけど」
穂乃果「おおおやったね!」
にこ「まあ当然よね」
凛「うー。凛も直接聞きたかったにゃー」
花陽「また今度聞けばいいんじゃないかな。二人でどこか行くんでしょ?」
凛「それはそうだけど。ってあれ、なんでかよちんが知ってるの?」
花陽「あっいやこれは……。ととにかく、これで一件落着だね!」
海未「そうですね。ではそろそろ次のライブの日程でも——」
絵里「何言ってるのよ、次はあなたよ海未」
海未「うっ」
凛「海未ちゃん往生際が悪いにゃー」
穂乃果「そうだよ。それに私やっぱり真姫ちゃんから直接聞きたいの!」
ことり「ライブはその後でいいよね!」
絵里「……にこ、ちょっと」
にこ「何よ」
絵里「例のアレ、なんだけど……まだばれてないみたいよ」ボソッ
にこ「例の? あ、あーっ!」ガタッ
希「何話してるん?」
にこ「ななななななんでもないわよ。希には関係ないから」アワアワ
絵里「そうそう、これは私とにこと真姫の問題だから」アセアセ
希「そう言われると余計気になるやん?」ワシワシ
にこ「ちょっとアンタのせいなんだからなんとかしなさいよ!」
絵里「の、希? お願い話を聞いて」
希「覚悟はできた?」ワシワシ
絵里「ひっ」
にこ「あわわわわわ」
絵里「逃げるわよ!」ガシッ
にこ「ちょっ……引っ張らないで〜っ!」
希「にこっちを連れながらウチから逃げられるとでも思っとるん? エリち——」ウッヒッヒッヒ
海未「わかりました! もういいです!」
花陽「おお」
海未「これ以上駄々をこねていては、真姫のことを嫌っているととられてしまいかねません」
海未「ただ、話すことが見つからないだけだったんです。いつもは曲の話しかしませんでしたから」
海未「私と真姫の仲を証明をしてきましょう!」クワッ
花陽「かっこいい……」
ことり「がんばって!」
海未「見ていてください、花陽、ことり!」
穂乃果「はりきってるねー」
凛「いつまで続くかにゃ〜?」
7 園田海未の場合
コンコン
海未「おや真姫ではありませんか。奇遇ですね」
真姫「ここに来ておいて奇遇も何もないんじゃない?」
海未「はあ。そうですよね」
真姫「だいたいの事情は絵里から聞いたわ。私から聞きたいことがあるって。それで?」
海未「なっ! あの人は……!」
真姫「なんてね。せっかく来たんだし、何もなければ一緒に歌う? 次の曲の相談とかもあるし」
海未「歌、ですか」
真姫「どう?」
海未「……真姫は私と話したくありませんか?」
真姫「はあっ?」
海未「いえ、なんだか怒っているように見えたので」
真姫「そんなわけないじゃない!」
真姫「まったく、ことりといい海未といい、いったい私をなんだと思ってるのよ」
真姫「まあいいわ。じゃあ何か私に言いたいことはある?」
海未「真姫は私に言いたいことはありませんか?」
真姫「質問に質問で返さないで! 面倒な人ね……」
海未「すみません」
真姫「そうだ。海未はどうしてμ'sを続けているの?」
海未「どうして、ですか」
真姫「私がμ'sに入ってよかったって思ってること、どうせもう知ってるんでしょ」
海未「ええ」
真姫「だから私の話はなしで、あなたのことを教えてちょうだい」
海未「はあ……。そうですね。私の続ける理由」
海未「穂乃果やことりが放っておけないから。……いえ、それは始めたきっかけですね」
海未「楽しいから、でしょうか。みんなと一緒にがんばることが」
海未「はじめて三人でライブをしたとき、幕が上がっても誰もいなくて、私の中で何か大切なものがなくなってしまったような感覚がありました」
海未「でもそこへ花陽が来て、穂乃果が歌おうと言い出して吹っ切れたんです」
海未「終わってみるとすごく楽しい気持ちが残っていて。もっとがんばりたいって思ったんです」
海未「もっとがんばったらもっとすごいライブができて、そうしたらもっと楽しめるんじゃないかって」
海未「穂乃果やことりも同じ気持ちだったようで、とても嬉しかったのを覚えています」クスッ
海未「そういえば真姫も見にきてくれていましたね」
真姫「私が作った曲なんだから気になるのは当たり前じゃない」
海未「気になるのが当たり前……ですか。なるほど、私にもたぶん、そういう気持ちがあるのかもしれません」
海未「μ'sの曲の歌詞を書いているのはほとんど私ですから」
海未「もしあのライブが二人で行われていても、私は観客としてあの場にいたはずです。そして同じ結果になるでしょう」
海未「あの二人にお願いされては断れません。その後も歌はともかく、歌詞ぐらいなら書かされていたでしょう」
海未「それからいくつか後のライブでは、なぜだか私も舞台の上にいるんです」
海未「そうなる想像しかできませんよ」
海未「穂乃果に目をつけられた時点でこうなる運命なんだと思います。きっと真姫も」
真姫「たしかに、いつの間にかμ'sに加えられてるところは想像できるわ」クスッ
海未「真姫には感謝が尽きません。いつも曲作りをしてもらって……」
真姫「いいのよ。好きでやってるから」
海未「自分の作った詩が曲になるのはなんだか不思議な感じがしますね」
真姫「私は海未の歌詞、すごくいいと思う。他のみんなのも好きだけど海未は特別」
真姫「誰かに歌詞をつけてもらったのははじめてで、それが海未だから」
真姫「……あの曲で講堂を満員にできて本当によかった」
海未「そう思うと感慨深いものです」
真姫「次の曲の歌詞もすごくいい。だから絶対、いい曲にしてみせる」
海未「これからも一緒にがんばりましょう!」
真姫「ええ」
真姫「そういえば私、言わなきゃいけないことがあるの」
海未「はい?」
真姫「μ'sに入りたいって思った理由。あのファーストライブに心を動かされたから」
海未「こう目の前で言われるとなんだか照れくさいですね。でもどうして急に?」
真姫「海未はたぶんもう気にしてないと思うけど、私にはずっとひっかかってることがあって」
真姫「絵里が入る前、練習が厳しくなって、何度も何度もやり直しをさせられてたときがあったじゃない」
海未「……ありましたね。あのときはすみません」
真姫「謝ってほしいんじゃない。あのときの言葉を訂正してほしいの」
真姫「今のままじゃ感動できないって言ってたんだけど覚えてる?」
真姫「あれじゃあまるで、今までのμ'sが否定されてるみたいだったから」
海未「……」
真姫「たしかにね、技術的には今と比べるまでもない」
真姫「でもそれとこれとは別の問題よ。だって私、海未たち三人のライブを見て感動したから」
真姫「心を動かされたから。だからμ'sに入ったんじゃないの、花陽も凛も」
真姫「それによく考えてみなさいよ。あのとき観客としてあそこにいたのが、今のμ'sのメンバーたちよ」
真姫「それってつまり、そういうことでしょ?」
海未「真姫……」
真姫「絵里になんて言われたのかはしらない。でも私は、それはおかしいって言いたかった」
真姫「……本当はあの場でそうしたかったんだけど、言えなくて。それでずっと気になってたの」
真姫「こんなのきっとみんな覚えてないでしょうけど。はぁ、なんだかスッキリしたわ」
海未「ありがとうございます……」ウルウル
真姫「な、何も泣くことないじゃない」
海未「そうですね……。でもとっても嬉しくて」
海未「真姫がこんなにも私たちのことを想ってくれていたなんて。今日はいろいろ話せて本当によかったです」
海未「今なら穂乃果がどうしてあんなことを言い出したかわかります」
海未「やっぱりこうして話さなければわからないことがありますし、わかっていても、直接聞けるとこんなに嬉しいものなんですね」
海未「今度二人で食事に行きましょう!」グイッ
真姫「うぇええ、べ、別にいいけど……」
海未「真姫とはもっともっと話したいことがたくさんあります! 曲のこととか、それ以外のことでも!」グイッグイッ
真姫「わ、わかったからこれ以上は……」アセアセ
海未「ふう、すみませんつい」
海未「最後は穂乃果です。これが終わったら次のライブについて話し合い、それに向けての活動が始まります」
海未「最高の曲を作って最高のライブにしましょう!」
真姫「当然よ」
海未「それではごきげんよう!」
篭 絡 完 了
8 高坂穂乃果の場合
真姫「……ふぅ」
パチパチパチパチ
真姫「……入ったら?」
穂乃果「いやー、やっぱり歌、上手だね! ずっと聞いておきたいぐらいだよ!」
真姫「そう」カァァ
穂乃果「それでね」
真姫「わかってる。絵里から聞いたわ」
穂乃果「ええ〜、絵里ちゃん言っちゃったんだ。じゃあ聞かせて?」
真姫「はあ、なんだかこうなると言いにくいわね」
穂乃果「わくわくわくわく」
真姫「ちょっとやめてよ、本当に言いにくいじゃない」
穂乃果「えーずるいよ。他のみんなにはちゃあんと言ったんでしょ?」
真姫「そうだけど……あーもう! ちょっと待ってて」
穂乃果「真姫ちゃんがμ'sに入ってくれて本当によかったなあ」
真姫「い、いきなりなんなの?」
穂乃果「いつも思ってることなんだけど、直接伝えてみたらどうなるかなーって」
真姫「別になんとも思わないわよ!」カァァァ
穂乃果「真姫ちゃんがいなかったら今の私たちはないよね」
真姫「……ありえないわよ」
穂乃果「え?」
真姫「私がμ'sに入ってない状況なんて想像できないって言ってるの!」
穂乃果「そうかなあ?」
真姫「そうよ。講堂での初ライブを見てから、なんとなく、私もやってみたいって思ってたし」
真姫「どうせ穂乃果のことだから何度も諦めずに誘ってくるだろうし」
真姫「そうなったらきっと、断れないだろうし」
穂乃果「ええ〜! あのライブ見てたの!?」
真姫「そっち!? ていうか気づいてなかったのね……。海未は知ってたし、ことりも気づいてたと思うけど」
穂乃果「ショックなような嬉しいような……」
真姫「とにかく、遅かれ早かれμ'sには参加してただろうって海未と話してたの」
穂乃果「へえ」
真姫「あのときの穂乃果、すごくかっこよかった」
穂乃果「えへへ、照れちゃうね」
真姫「自分がなんて言ったか覚えてる? いつかここを満員にしてみせるって」
真姫「この前のライブでそれを実現させて、しかも曲はおんなじで。だから穂乃果は本当にすごいって思ったの」
真姫「それと私に気づかなかったんじゃ知らないだろうけど、今のμ'sのメンバーは全員あそこにいたんだからね」
穂乃果「衝撃の事実!」
穂乃果「つまり今度は前のライブのお客さん全員がμ'sに!?」
真姫「そんなわけないじゃない!」
真姫「μ'sを引っ張ってきたのはあなただし、いろいろあったけど、みんなすごく感謝してる」
穂乃果「……あのときはごめんね、いきなりμ's辞めるなんて言い出しちゃったりして」シュン
真姫「もう、落ち込まないで! そんな顔見たくないわよ」
穂乃果「この前のライブはすごく楽しかった。でもね」
穂乃果「ことりちゃんを私のわがままにつき合わせて本当によかったのかなって、ときどき思っちゃうんだ」
真姫「穂乃果一人のわがままじゃない。みんなのわがまま、よ」
真姫「みんなことりにいてほしいって思ってた。そしてことりは選んでくれた」
真姫「今のことりを見てたら、どっちがよかったかなんて一目瞭然じゃない」
穂乃果「そうかな」
真姫「私たちがしなくちゃいけないのは後悔することじゃなくて楽しむこと」
真姫「ことりの作った衣装ですごいライブをやって、向こうに行ったら絶対後悔してたって思わせること!」
真姫「こういうのが私の知ってる高坂穂乃果なんだけど?」
穂乃果「そっか……うん、そうだね!」
穂乃果「うん、私がこんなんじゃ、だめだね! 元気出さないと!」パシッ
穂乃果「ありがとう、がんばるよ!」
真姫「それでいいのよ。それで、もし疲れちゃったりしたら、どうしていいかわからなくなったら、ここに来ればいい。……私の家でもいいけど」
真姫「そしたらいろいろ、聞いてあげるから」
穂乃果「……!」ズギュウウウウ
穂乃果「ううぅう真姫ちゃーん!!」ダキッ
真姫「うぇええ、な何!?」
穂乃果「ほれほれすりすりよしよし」
穂乃果「真姫ちゃんはいい子だねえ。かわいくて優しくて」ナデナデ
真姫「ちょっ、やめてぇっ」
穂乃果「ふっふっふっふっふ」
真姫「……!!」ジタバタ
真姫「……」クター
穂乃果「ようし!」スッキリ
穂乃果「それじゃあまた放課後ね!」
真姫「そうね……」グッタリ
穂乃果「こないだのCD、ありがとねー!」
穂乃果「らーらららーららーららららららら……」
篭 絡 完 了
9 真姫ちゃん篭絡大作戦!
穂乃果「くーるくるくるくるくる〜」
絵里「元気そうね」
穂乃果「うん!」
希「これで全員終わったわけやね」
海未「つまりこれから次のライブへ向けた練習が始まるわけです」
にこ「切り替え早いわねアンタ」
凛「海未ちゃんずーっとライブライブ言ってたからにゃー」
ことり「曲はまだだけど、もういつきても大丈夫だよね」
花陽「いよいよですね……!」
穂乃果「私たちのμ'sはこれからだ!」
にこ「それじゃ打ち切りじゃないっ!」バシッ
絵里「みんな、新しい気持ちでがんばっていきましょう」
希「それで真姫ちゃんは」
花陽「もうすぐ来るかも」
八人「じーっ」
ガラガラ
八人「じーっっ」
真姫「うぇぇえっ!?」ビクッ
凛「逃がさないにゃ!」ガシッ
海未「いつの間に背後を……」
真姫「なな、なんなの?」
ことり「こんにちは、真姫ちゃん」
真姫「落ち着いてないで説明して」
穂乃果「今日がなんの日かわかるかな真姫ちゃん!」
真姫「……なんの日よ」
穂乃果「μ's再始動の日だよ!」
真姫「曲はまだできてないけど」
絵里「ほらそういうのじゃなくて、気持ち的なものよ」
希「真姫ちゃん篭絡大作戦も無事終了したわけやし」
真姫「あれそんなださい名前だったの……」
ことり「曲はどのぐらいできてるの?」
真姫「もう少しで完成。みんなと話してからいろいろ浮かんでくるようになったわ。本当に助かった」
穂乃果「うわー楽しみ!」
海未「そういえばにこと花陽は?」
絵里「さあ……あれ、凛まで。さっきまでいたわよね?」
ガラガラ
にこ「ここよ!」ジャーン!
ことり「その格好……もう練習?」
凛「違うんだなーそれが」
海未「凛!?」
花陽「これから私たち三人……歌います!」
海未「花陽まで」
ことり「え、三人が」
穂乃果「歌う!?」
希「これはサプライズってやつ?」
にこ「そうよ。ほら、μ'sが休止してたときもこの三人でいろいろやってたじゃない」
花陽「結局そのときできた曲をお披露目することはなかったけど、それじゃあもったいないなって思ってて」
凛「μ's再始動記念にどーんとやったらみんな盛り上がるかなーって、凛が提案したんだよ!」
絵里「ハラショーよ、凛!」グッ
凛「えへへ〜」
にこ「再始動パーティの始まりよ。ほら、穂乃果」
穂乃果「えぇっ、部長はにこちゃん——」
にこ「私はこれから忙しいんだから代わりにアンタ」
穂乃果「う、うん」
穂乃果「えーとみんな」
穂乃果「まずは、μ'sに入ってくれてありがとう!」
海未「今さらすぎます!」
ことり「穂乃果ちゃんらしいね〜」クスッ
穂乃果「私たち九人そろうまでいろいろあって、そろってからもいろいろあったけど」
穂乃果「今ここにこの九人がいるっていうことが、とっても嬉しいです!」
穂乃果「それはきっと海未ちゃんもことりちゃんも」
海未「はい」
ことり「うん!」
穂乃果「絵里ちゃんも希ちゃんもにこちゃんも」
絵里「ええ」
希「そうやね」
にこ「ふん!」
穂乃果「凛ちゃんも花陽ちゃんも真姫ちゃんも、みんなそうだと思います」
凛「すっごく楽しいよ!」
花陽「私もです!」
真姫「……」
穂乃果「だからね、その……本当にありがとう」
海未「穂乃果……」
穂乃果「おかしいな、言いたいこといっぱいいっぱいいーっぱいあるのに」
ことり「穂乃果ちゃん」
穂乃果「とにかく、私たちは今私たちができる精一杯でがんばらなくちゃ!」
絵里「μ'sがこの九人でいられる時間は、限られてる」
真姫「ちょっと絵里!」
希「でも、いつかは向き合わないといけないんよ」
真姫「それはそうだけど今は——」
穂乃果「そう、絵里ちゃんたちは三年生」
穂乃果「受験とかいろいろ、自分の未来に向かって進んでいかなくっちゃ」
真姫「穂乃果……」
海未「来年は私たちが」
穂乃果「でも悲しいだけの別れなんて、絶対だめ!」
ことり「うん……そうだね」
穂乃果「私、高坂穂乃果は、笑って三年生を見送ることをここに誓います!」
凛「凛も!」
花陽「私も」
穂乃果「だから卒業ライブにはサプライズを用意しています!」
絵里「それ、今言ってもいいの?」
穂乃果「あーっ!!」
希「なんというか、穂乃果ちゃんらしいね」クスッ
にこ「ま、それがいいとこなんだけど」
花陽「卒業ライブ……。μ'sはずーっと、最高のライブを続けてきたけど」
凛「いったいどれだけ盛り上がるんだろう。んう〜」
凛「考えただけでテンション上がるにゃー!」バッ
にこ「今のアンタたちにならμ'sは任せられるわね」
絵里「そうね」
希「ずっと見てきたウチも思ってるから間違いなし」
穂乃果「私たちのμ'sはまだ始まったばかり!」バン!
にこ「だからそれ打ち切りって言ってるでしょうが!」バシッ
穂乃果「とにかく、そういうわけで今日から気持ちを新たに、私たちは再スタートします」
穂乃果「そんな私たちを盛り上げるために、にこちゃん凛ちゃん花陽ちゃんが歌ってくれるそうです! それではどうぞ」
にこ「なっ、このタイミング!?」
海未「楽しみです」
ことり「一生懸命練習してたんだよね」
希「神社でこっそりやってたからね」
海未「知っていたのですか?」
希「うーん、練習してたのを見ただけ。知らないほうが楽しめるって言われたから、何をやるかまでは」
絵里「真姫は?」
真姫「曲は作ったけどまさかここでやるとは思ってなかった。この間まで」
穂乃果「この間まで?」
にこ「とにかく、ほら」
凛「歌詞は私たち三人で考えて、あとは真姫ちゃんがやってくれた曲!」
花陽「一生懸命やるから聞いてください。はい、真姫ちゃんこれ押して」
真姫「私が?」
花陽「真姫ちゃんにやってほしいな」
八人「じーっ」
真姫「しょうがないわねえ」ハァ
真姫「それじゃあ、新しいμ'sが始まることを記念して」
真姫「μ'sミュージックスタート!」ポチッ
完
以上で終わりです。ありがとうございました。
最後みたいなノリがしたくて一発ネタとあわせたのですが、やはり一発ネタは一発だからこそってものですね。反省しています。
一応後日談的なものがあるので、それまでやってからHTML化依頼をします。
ageはこのレスで最後です。次から全sage。
このSSまとめへのコメント
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