真姫「キャラギャクテーン!」 (114)
・初SSです
・書き溜めてます。ガンガンいきます
・題材はアニメ公式サイトに載っているキャラ紹介の文面です
・キャラ崩壊前提の物語です
・主人公は穂乃果です
・一人称、三人称は色々ごちゃ混ぜ(悪く言えば適当)です
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穂乃果「いやー。凛ちゃんから借りた『コナンvsゴジラvsターミネーター』面白かったなー。夜更かししちゃったけど、今日は朝練が無いから問題なし!」
穂乃果「まず一年生の教室に行って、凛ちゃんにDVDを返さないと」
穂乃果「ん? 遠目からでも分かる、あのトサカ頭は……」
ことり「……」
穂乃果「ことりちゃんだ! やっほー、こっとりちゃーん!」
ことり「うるせぇぞ穂の字!! 気安く話しかけてくんじゃねえ!」
穂乃果「」
穂乃果「ことりちゃん……だよね?」
ことり「誰に見えるってぇんだ、えぇ!?」
ことり「ったく。朝っぱらからうっとうしいったらありゃしない」
穂乃果(穂乃果、ことりちゃんに何かしたっけ。すごく機嫌悪いみたいだけど)
穂乃果(ていうか……)チラッ
ことり「あぁん!? 何ジロジロ見てやがるこのダホ!!」
穂乃果(いつもの高い声でその口調って……! お、面白すぎる……)プククク……
南ことり
16歳。高校2年生。穂乃果の一番の友人。
幼馴染で幼稚園の頃からいつも一緒に遊んでいた仲である。
堅い性格のくせして勉強はできない劣等生。
気性は荒いが、芯は弱く、物怖じしまくる。
穂乃果「なに今のナレーション!?」
ことり「何を一人でぼやいてやがる!!」
穂乃果「怒鳴らないでよぉ。ん……?」
穂乃果「わぁ、見て、ことりちゃん。野良猫がいるよ。かわいいねぇー!」
ことり「!」ビクッ
ことり「そ、そんなのに見惚れてたら、遅刻するぞ! 早く来い!」
穂乃果「う、うん……」
穂乃果(かわいいものを見たら真っ先に飛び付くであろうことりちゃんが、猫にビビって逃げ出した……)
☆ ☆ ☆
ことり「ようやく学校に着いたぜ」
穂乃果「まだホームルームまで十五分もあるよ」
ことり「っておい、どこに行く穂の字」
穂乃果「凛ちゃんにDVDを返しに行くの。ことりちゃんも来る?」
ことり「!」ビクッ
ことり「し、知りもしない下級生なんかと会いたくない! ことりは先に教室に行ってるぜ!」
穂乃果「凛ちゃんに会うだけなんだけど。って行っちゃった……」
穂乃果「……」
気性は荒いが、芯は弱く、物怖じしまくる。
穂乃果「物怖じしまくる……。つまり今のことりちゃんはチキン……」
☆ ☆ ☆
穂乃果「というわけで、一年の教室前に着きました」
穂乃果「ん? あの教壇の前にいる、ずば抜けて胸の大きい一年生は……」
花陽「♪♪」
穂乃果「かよちゃんだ! おーい、かっよちゃーん!!」
花陽「ギャ゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙! 穂乃果ちゃんだ! オ゙バヨ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙! 花陽に会いにきてくれたのー!? ヴッ゙ギャ゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!」
穂乃果「」
穂乃果(穂乃果は夢を見ているのだろうか。あのおとなしめのかよちゃんが……)
花陽「ア゙レ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙!? どうしたの穂乃果ちゃん、元気が無いよぉ!? リピートアフタミー!! オ゙バヨ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙!!!!!!!」
穂乃果「お、おはよう……」
穂乃果(きっとかよちゃんは疲れているんだ……。いや、もしかしたらお腹が空いているのかも)
穂乃果「かよちゃん。よ、よかったら、穂乃果のお弁当の白米、半分あげるよ……」
花陽「エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙!? 今更なに言ってるの穂乃果ちゃん!!」
花陽「花陽のマイブームは、穂乃果ちゃんもだーいすきな、パン、ダヨ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙」
穂乃果「バ、バカな……」
小泉花陽
15歳。高校1年生。クラスで目立ちまくる、うるさい女の子。
常に自信があり、何をしても最後までやり遂げる。μ’sに憧れて、凛、真姫と共に入部することになる。
凛と仲が良く、いつも一緒にいる。白いご飯のブームは過ぎた。
穂乃果「またナレーションが……」
花陽「でも、くれるっていうのなら貰うね! モグモグ……」
花陽「ピャ゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!! やっぱり白いご飯もオ゙イ゙ジイ゙イ゙イ゙イ゙イ゙イ゙イ゙イ゙イ゙イ゙イ゙」
穂乃果「どうしてこんなことに……」
穂乃果「そうだ、凛ちゃんなら何か知ってるかも……」キョロキョロ
穂乃果「あっ! あの席に座っている、穂乃果と似た髪の色の一年生!」
凛「……」
穂乃果「凛ちゃんだ! 助けてー! 凛ちゃ――」
その時、穂乃果の目の前に映った、地球が爆発するくらいに衝撃的な光景――。
穂乃果「り、凛ちゃんが……」
穂乃果「英語の勉強をしている!?」
凛「らぶ……。ういんぐ……。べる……」カキカキ
穂乃果「ど、どどどどうしちゃったの凛ちゃん!? 勉強なんかして! しかも英語の!」
穂乃果「三馬鹿同盟の一員らしくないよ! 正気に戻って!!」
凛「……」ボソボソッ
穂乃果「……え?」
凛「……」ボソボソッ
穂乃果「な、何? もう一度言って?」
凛「穂乃果ちゃん……うるさい」ボソボソッ
穂乃果「声ちっさっ!! 口元に耳近づけるまで聞こえなかったよ!」
星空凛
15歳。高校1年生。文化系でいつも暗く、くよくよ悩んで自分の殻にこもるタイプ。
文科系だけあって面倒見は悪く、幼馴染の花陽の行いをいつも放置して見ている。
何を言われても返事は小さく、だらだら練習する。
凛「……どうしたの?」ボソボソッ
穂乃果「どうしたのじゃないよ! かよちゃんがおかしいんだよ、かよちゃんが!」
凛「いつものことじゃん……。今日はいつになくハジケてるけど」ボソボソッ
凛「凛はああいうかよちんも好きにゃ」ボソボソッ
穂乃果「いつになく、ってことは、いつものかよちゃんのことは覚えてるってことなのかな……?」
凛「りんがべー……。わんだーぞね……」カキカキ
☆ ☆ ☆
穂乃果「DVDは凛ちゃんに返し終わった。とりあえず教室に戻ろう」
穂乃果「でもことりちゃんも花陽ちゃんも凛ちゃんも、一体どうしちゃったんだろう。何かショックな出来事でもあったのかなぁ」
穂乃果「ん? あそこにいる、髪も胸も異様にボリューミーな人は……」
希「……」
穂乃果「……」
穂乃果(これまでの展開通りだと、希ちゃんもいつもと様子が違うに決まってる。どうしよう、無視しようかな)
穂乃果(いや、でも! でもだよ! あの頼れる希ちゃんのことだから、いつも通りの態度で接してくれるかも!)
穂乃果「おーい! 希ちゃーん!!」
希「あら、どうしたのかしら? 高坂さん」
穂乃果「あぁ、やっぱり」
穂乃果「希ちゃん……。いつもの関西弁は?」
希「あぁ、関西弁……」
希「昨日までの私はどうかしていました。関西人でもないというのに、相応しくない言葉を使用してしまい」
穂乃果「は、はぁ……」
穂乃果「でも穂乃果は、普段の明るいノリの希ちゃんの方が好き、かなぁ」
希「……」ギロッ
希「そうですか。非常に嬉しいです」
穂乃果「う、うん」
穂乃果(なんかいま、凄い勢いで睨まれたような……)
穂乃果(まぁでも、今まで会った中では一番頼りになりそう)
希「それより高坂さん。私に何か用?」
穂乃果「えっと実はね、ことりちゃんと花陽ちゃんと凛ちゃんの様子がおかしいの」
穂乃果(希ちゃんもだけど)
希「ふむ。どういった具合に?」
穂乃果「なんていうか、いつもと真逆、って感じで」
希「真逆……。ま、まさか……!」
穂乃果「何か分かったの!?」
希「いいえ、何も」
穂乃果「……」
東條希
17歳。高校3年生。ユアペースな性格で、悠長な日本語を話す。クールな雰囲気の絵里とはいいコンビ。
神経質で、全メンバー中、実は精神年齢は一番下と思わせる所も。
キリッとしているけれど、意外と馬鹿?
穂乃果(あぁ、この人もダメみたい……)
穂乃果(でも、希ちゃんみたいに頼りになりそうな人がこうなる、ってことは……)
穂乃果「にこちゃんだ!!」
希「ど、どうしたのです!?」
穂乃果「にこちゃんだよ! 普段はバカっぽくて口も悪いにこちゃん!」
穂乃果「この状況下で唯一頼れるのはにこちゃんだ! もしかしたら、この異常事態についても何か知っているかも!!」
希「あら、噂をすれば。今にもにっこにっこにーとか言い出しそうなあのツインテール……」
にこ「♪♪」
穂乃果「にこちゃん!! 会いたかったよー! にこちゃーん!!」
にこ「あ、穂乃果ちゃんにのぞみん! にこっにこっにー!!」
のぞほの「えっ、何それ……」
穂乃果「にこっにこっにー……? にっこにっこにーじゃなくて?」
にこ「やだなぁ。イメチェンだよ、イメチェン」
にこ「いつまでもにっこにっこにーだと、ファンから飽きられちゃうでしょ?」
希「ま、まぁ、確かに」
にこ「今、あなたにそんなにファンがいるだろうか、って思ったでしょ?」
にこ「いるのよ、にこの頭の中には!! 二十四時間ブレードを振り続けている、鋼の意志を持ったファンたちが!!」
穂乃果「それって妄想じゃ……」
にこ「もー、穂乃果ちゃーん!!」ダキツキッ
穂乃果「うわわ!?///」
にこ「いくらスクールアイドルって言ったって、にこたちはれっきとしたアイドルなんだよー? どんなファンにも意識を傾けなきゃダメにこー!」
にこ「のぞみんもだよー? 妄想だからって、舐めてかかっちゃダメにこー!」
希「そ、そうですね……」
穂乃果(なんかこのにこちゃん、人懐っこい……)
にこ「それにしても、二人揃って何してたにこ?」
穂乃果「実は、かくかくしかじかで……」
にこ「へー。みんながいつもと真逆……」
穂乃果「あと、さっきからどこかからナレーションが聞こえてくるんだけど」
にこ「希ちゃんの時のナレーションなら、にこの耳にも届いていたにこ」
希「そうですね。私が馬鹿だという失礼な言い分が」イラッ
にこ「ん? もしかして……」
にこ「二人とも、ついてくるにこ!」
☆ ☆ ☆
穂乃果「どうして部室に?」
にこ「ここだとパソコンでネットが見れるからね」
にこ「ほら、これを見てみるにこ」
希「μ'sのメンバー紹介のサイト?」
にこ「その希ちゃんのページにこ」
東條希
17歳。高校3年生。絵里とは対照的にマイペースな性格で、関西弁まじりの独特の口調で話す。クールな雰囲気の絵里とはいいコンビ。
おおらかさがあり、全メンバー中、実は精神年齢は一番上と思わせる所も。
のほほんとしているけれど、意外と策士?
希「これがどうかしたのですか?」
にこ「まだ気づかないなんて、やっぱりのぞみんはお馬鹿にこー!」
希「なん、ですって?」サッ
にこ「ひぃ! わしわしの体勢!!」
穂乃果「あ! このキャラ紹介、さっきのナレーションとちょっと似てる!」
にこ「そ、そう! まるでその紹介文を、人間関係のところ以外はひっくり返したかのような!」
穂乃果「じゃあこの紹介文を見れば、残りのソルゲ組三人がどんな風におかしくなるのか分かるかも!!」
希「逃がしませんよ、矢澤さん!」
にこ「うわー、緊急回避にこー!!」
ドンガラガッシャンズドーン
穂乃果「あー!! 希ちゃんが突っ込んできたせいで、パソコンが壊れたー!!」
にこ「何するの希ちゃん! 回避したにこも悪いけど、それでも構わず停止しないなんて!」
希「……」プイッ
穂乃果(知らんぷりして、窓の外を見つめている……)
にこ「それにしても困ったにこ。これでサイトを見る手段は無くなっちゃった」
穂乃果「そんなの、スマホのサイトを見に行けば……」
にこ「さっきから電波が全然届かないにこ」
穂乃果「なんてことだ……」
にこ「もしかしたら、この音ノ木の範囲内だけなのかもしれない」
にこ「だから音ノ木から出て、どこか電波の強い場所まで移動してみるにこ」
穂乃果「そんなこと言ってにこちゃん……」
穂乃果「上手い具合に授業をサボりたいだけでしょ?」
にこ「……」ニヤリ
穂乃果(このにこちゃん、賢い!!)
矢澤にこ
17歳。高校3年生。アイドルを目指して日夜妄想に励んでいる、正真正銘のアイドルオタク。
先輩としての威厳は見せず、穂乃果たちにベタベタ接する。その割には成功も多く意外にキレ者。
「にこっにこっにー」が合い言葉。
☆ ☆ ☆
穂乃果(現在穂乃果は、おトイレに行ったにこちゃんを玄関で待っています)
穂乃果(と、そんなところへ……)
??「おっ、穂の字!! こんなところで何やってやがる!!」
穂乃果「げっ。ことりちゃん……」
ことり「げっ、とは何だ! ことりに会ったら何か不自由なことでもあんのか、あぁ!?」
穂乃果「そんなこと無いけど、ただ……」
にこ「穂乃果ちゃーん! お待たせしてごめんなさいにこー!」
ことり「!?」ビクッ
にこ「あっ、ことりちゃんだ! にこっにこっにー!」
ことり「ひっ、あっ、うぅぅぅ……」ブルブル…
穂乃果(穂乃果以外には人見知りする口の悪いことりちゃん、意外とかわいいかも……)
ことり「と、とにかく! もう授業が始まるぞ!」
にこ「それをことりちゃんが言う?」
ことり「こ、ことりは違うぞ! 未だ姿を見せない海の字を迎えに行こうとしていただけだ!」
穂乃果「まだ海未ちゃん来てないの?」
ことり「ああ。このことはことりに任せて、穂の字は授業を受けるんだ」
にこ「奇遇にこ。にこたちもここから離れるから、その用件も済ましちゃうにこ」
穂乃果「だからことりちゃんこそ! 穂乃果たちみたいな不良に成り下がっちゃダメだよ!」スタスタ…
ことり「えっ、ちょ、ちょっと待て……」
ことり「行っちまいやがった……。仕方ない、授業を受けにいかなければ……」
ことり「だが、劣等生のことりが今更真面目に授業を受けたって……」
ことり「……」
ことり「待てー、穂の字―!! ことりも一緒に行くぞー!!」
☆ ☆ ☆
にこ「結局ついてきたにこね」
ことり「……穂の字のことだから、何かやらかすと思って」
穂乃果(ことりちゃん、そんなキャラになっても穂乃果のことを心配してくれるなんて……)グスッ…
にこ「それにしても、電波は立たないままにこ」
穂乃果「このままだと海未ちゃんの家についちゃうよ」
にこ「一度高い所に登ってみよう。ちょうどいいタイミングで神田明神が見えてきたにこ」
☆ ☆ ☆
ことり「電波の調子は、ど、どう、ですか? 矢澤、せ、先輩」
にこ「にこでいいにこよ」
にこ「うーん。どうやら、高さは関係無かったみたいにこ」
穂乃果「無駄足だったね。……ん?」
ことり「どうした穂の字」
穂乃果「あ、あの、さい銭箱の上に仰向けで寝ている、バチアタリな黒髪女の子は……!!」
海未「zzz……」
ことり「海の字……!? ま、まっさかぁ」
にこ「いや、どこからどう見ても海未ちゃんにこ」
穂乃果「いくらなんでもヤバいよ! 今すぐ起こさないと!」
にこ「穂乃果ちゃん、早まっちゃダメにこ!!」
海未「zzz」
穂乃果「海未ちゃん、起きて! こんなところで寝てたら神様に怒られるよ!!」
海未「んあ……?」
穂乃果「あ。起き――」
その直後のことでした。穂乃果の右ほっぺたを、弓矢がかすめていったのは。
穂乃果「あ、あわわわわわわわわわわ……!!」ガクブル
海未「チッ、外した――」
穂乃果「ひぃぃぃぃ……! う、海未ちゃん!!」
海未「って、なんだ、穂乃果ですか」
穂乃果「なんだ、じゃないよ!! も、もう少しで、死ぬところだったよぉ!?」
海未「それはそれは。無礼なことをしてしまいました」
穂乃果(なんて軽い謝罪……)
ことり「おい海の字! 穂の字になんてことを!!」
海未「ちょっと間違えただけじゃないですか。何をそんなに怒っているのです」
にこ「それ以前に、行動に問題があると思うにこ」
海未「それにしても、どうかしたのですか、三人揃って」
ことり「どうもこうもねえよ! よくもまぁ、学校サボって呑気にこんなところで!」
海未「別にいいではありませんか。今日だけですよ」
ことり「そういう風にほざいてると毎日サボるようになるぞ! いいから来い!」
海未「さっきから言わせておけば! あなたのような泥棒鳥が、私に命令できると思っているのですか」
ことり「泥棒鳥って……。まったく身に覚えがないのだが」
海未「なら思い出させてあげましょう」
海未「あれは確か、昨日の放課後練習が終わった後のことです」
穂乃果「随分と最近な……」
海未「放課後練習の後、絵里が持ってきた饅頭、『ほむまん』。言わずと知れた私の好物です」
海未「しかし十二個という微妙な個数ゆえ、九人全員平等に行き渡りはしませんでした。穂乃果は食べなかったので、一個食したメンバーと二個食したメンバーがそれぞれ四人」
ことり「たしか海の字は、ことりに二個目のほむまんをくれたな」
海未「いいえ。本当は食べたくて食べたくて仕方がなかった」
ことり「はぁ!? だったら正直に言えよ! 譲ってやったのに!」
海未「冗談じゃありませんよ!! 私の感情を揺らがせたのはどこの誰ですか!」
海未「あんなに目を輝かせてほむまんを見つめて! 『このほむまんはことりの物だ』アピールですか! 度し難い!!」
ことり「いや、そんなつもりは……」
海未「分かっていますよ。あなたは無意識でそういうことをしてしまう女なんです」
海未「まったく、とんだ悪女ですよ。一番タチの悪い人種です」
海未「いえ、人ではなく鳥でしたね。この泥棒鳥! 鳥! アホウ鳥! カラス!」
ことり「そ、そんなに、どなら、なくても……」ブルブル…
にこ「まずい。ことりちゃんが泣きそうにこ」
穂乃果「ちょっとひどすぎるよ海未ちゃん!! ことりちゃんに謝って――」
海未「うぇぇ……。ヒック、うぅぅ……! ことりのアホゥ……」グスグス
ほのにこ「こいつ、先に泣きやがった」
穂乃果「どうして海未ちゃんが泣いてるの! どこに泣く要素があったの!!」
海未「うるさいです! 私はただ、ことりにほむまんを奪われたのが悔しくて悔しくて……」
にこ「女々しい女にこ」
穂乃果「わ、分かったよ。今度、好きなだけタダで食べていいから」
海未「本当ですか!」パーッ!
穂乃果(めんどくさい子だなぁ……)
ことり「とにかく、学校には来てもらうぞ!」
海未「仕方がありませんね。ではその代償として……」
ヌガシッ
海未「これは頂いていきます」
ことり「ん? なんかスースーする……」サワサワ…
ことり「……うわあああああああああ!! こ、ことりのパンツがぁぁぁぁぁ!!///」
海未「ふふふふ。遂に手に入れました、ことりのパンツ!」
ことり「か、返せ!! これじゃあことりが痴女みたいだ!」
海未「どうせ見えないんですから我慢しなさい」
海未「さて、このことりのパンツをこうしてこうして……」
海未「頭に被ります。するとなんと、ことりの匂いが充満!!」
穂乃果(この海未ちゃんヤバいよ! 何がヤバいってヤバすぎるよぉぉぉ!!)
園田海未
16歳。高校2年生。日舞の家元の娘だが、女々しく育ってしまった。
子供の頃から鍛えていた弓術を、気に入らない相手に向けて放つという無礼千万な女。ただただ自分に優しく、周囲の人間などどうでもいい。
悪事や怠けるといったことが大好き。穂乃果、ことりとは幼馴染。
にこ「こ、これ以上はやめるにこ! 社会的にマズいにこ!」
海未「黙りなさい!!」スッ
にこ「うわぁ! こっちに矢を向けないで!」
海未「あなたの名前通り、頭に矢を突き刺してやります!!」
穂乃果「ストーップ!! 海未ちゃんストーップ!」
海未「穂乃果、下がりなさい! これ以上私の邪魔をするというのなら射抜きますよ!」
穂乃果「やれるもんならやってみてよ! にこちゃんの代わりに、穂乃果を!」
にこ「穂乃果ちゃん!!」
海未「ば、馬鹿な! 己の身を呈して彼女を守るというのですか!!」
穂乃果「μ'sは九人いてμ'sだもん! だからにこちゃんは死なせないよ!」
穂乃果「もちろん穂乃果も、海未ちゃんの矢に刺されたって死んだりしないよ!」
海未「う、射ちますよ!? 本当に射ちますからね! 早くしないと――」
海未「射……」
海未「……射てるわけないではありませんかぁぁぁぁぁ!! うわぁぁぁぁぁぁん!!」
ことほのにこ(弱い)
海未「私にとって穂乃果とことりは、もう何物にも代えがたい、かけがえのない存在なのです……」
海未「それをここで葬り去るなんて……絶対にできません……!」
ことり「海の字……!」
穂乃果「海未ちゃん……。変態になっても私たちのこと……」ウルウル…
海未「あっ。にこは別にどうでもいいです。なんだったら今からでも殺っちゃいますが?」
にこ「ひどい」
☆ ☆ ☆
穂乃果「なんだかんだで学校に戻ってきました」
穂乃果「そういえば、なんで外に出てたんだっけ」
ことり「海の字を探すのと……電波の届く場所に移動することだったはず」
にこ「まぁ、一番凶暴そうな海未ちゃんが戻ってきたから良しということで――」
海未「それはどういう意味でしょう」
にこ「こ、言葉の綾にこ~……」
穂乃果「いいかげん、どうしてみんながこうなっちゃったのかの原因を突き止めないとね」
穂乃果「……ていうかさ、海未ちゃん」
穂乃果「穂乃果のパンツまで被ってどうするつもりなの!?///」
ことり「ことりのパンツも返せ!!///」
海未「別に良いではありませんか。あなた方の命令をこうやって聞き入れているわけですから」
海未「穂乃果の匂いとことりの匂いの真剣勝負! あぁ、好きになってしまいそうです……///」
穂乃果「穂乃果は海未ちゃんが嫌いになりそう」
にこ「ん? あそこにいる二人は……」
花陽「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!! 穂乃果ちゃんとことりちゃんと海未ちゃんとにこちゃんだああああああああああああああああ!! オ゙バヨ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙!!!!!!!」
凛「おはよう……」ボソボソッ
穂乃果「うぅっ……。極端すぎるテンションの二人と遭遇してしまった」
海未「おはようございます凛。それと花陽、うるさすぎるので死んでくれませんか」スッ
ことり「海の字、おさえろおさえろ!!」
にこ「ところで、りんぱなの二人は何してるにこ?」
凛「二時間目は音楽の授業だから……。音楽室に行くんだよ」ボソボソッ
花陽「ついでだから、音楽室までみんなで一緒に、ア゙ッ゙ル゙ッ゙ゴオ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙」
穂乃果「そ、そうだね……。ハァ……」
穂乃果「音楽室といえば、まだ真姫ちゃんに会ってないや」
凛「今日はまだ来てないよ。メールしても返信こないからよく分からないけど……」ボソボソッ
花陽「きっと末期ガンなんだよお。『まき』ダゲニ゙イ゙イ゙イ゙イ゙イ゙イ゙イ゙イ゙イ゙イ゙イ゙イ゙イ゙イ゙イ゙!!」
ことり「そ、そういう悪い冗談は、やめた、方が……」ブルブル…
穂乃果(ことりちゃん、後輩に対してもチキンなのか……)
♪♪……♪……
にこ「……ピアノの音が聞こえてくるにこ」
凛「誰かもう音楽室にいるのかも……」ボソボソッ
海未「それにしてもなんと下手なのでしょう。真姫のピアノの腕とは比較にならない――」
??「ア"イ"イ"イ"イ"イ"イ"イ"イ"イ"イ"イ"シ"テ"ル"ウ"ウ"ウ"ウ"ウ"ウ"ウ"ウ"ウ"ウ"ウ"ウ"ウ"ウ"ウ"ウ"ウ"ウ"ウ"ウ"ウ"ウ"ウ"ウ"ウ"ウ"ウ"ウ"ウ"ウ"ウ"ウ"バン"ザ"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"」
ことり「のわあああああああああああ!?」
海未「ひ、酷い!! 耳が潰れそうになる!」
穂乃果「こ、この、どっかのガキ大将並みに下手な歌声の持ち主は……」
穂乃果「誰!?」
にこ「は!? ま、まさか!!」ダッ
海未「あっ、こら、にこ!」
花陽「にこちゃんをオ゙イ゙ガゲヨ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙!!」
凛「待って、かよちん……」アタフタ…
☆ ☆ ☆
??「ア"シ"タ"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"モ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"ヨ"ロ"シ"イ"イ"イ"イ"イ"イ"イ"イ"イ"イ"イ"ク"ウ"ウ"ウ"ウ"ウ"ウ"ウ"ウ"ウ"ウ"ウ"ウ"ウ"ウ"」
にこ「はぁ……。はぁ……。や、やっぱり……」
にこ「歌声の正体は、真姫ちゃんだったんだね!!」
真姫「……あ。に、にこちゃん!?」
にこ「真姫ちゃん! 落ち着いて聞いてほしいにこ」
にこ「実は今――」
真姫「にこちゃん!!」ダキツキッ
にこ「にこ!?///」
穂乃果「もう、にこちゃん! 一人で突っ走らないで……」
真姫「にこちゃんにこちゃんにこちゃん……!!」スリスリスリ
にこ「にこぉ……///」
穂乃果「何この状況」
にこ「ま、真姫ちゃん! 抱き付きたくなるくらいにこがカワイイっていうのは分かるけど、今は落ち着いて……」
真姫「ううん。もう今しかない。今じゃないとダメなの……」
真姫「だから言うわね。私の素直な気持ち……」
にこ「え……」
真姫「私ね。いつもはにこちゃんのことバカにしてるけど、本当はすごく尊敬しているの」
真姫「最初会った時は、なんていい加減な人、って思った。けど、段々とあなたの過去を知っていくにつれて、胸が締め付けられるようになって……」
真姫「それから色んなことを考えるようになった。もしにこちゃんと同じ学年だったらどうなってたのかな、とか。こんな風ににこちゃんを抱きしめて、支えてあげられたのかな、とか」
真姫「けど考えるだけ無駄だったわよね。にこちゃんは、その程度のことで自分の夢を諦めたりしないもの」
真姫「μ'sが解散しそうになった時も、音楽から逃げた私と違って、にこちゃんは自分の夢から逃げなかった」
真姫「のうのうと戻ってきた私なんかを、にこちゃんはいつだって受け入れてくれた」
真姫「こんなにちっちゃいのに、誰よりも強くて、実は仲間思いで……」
にこ「真姫……ちゃん……」
真姫「……一度しか言わないから、よく聞いて」
真姫「そんなにこちゃんを、私は……愛してます」
にこ「あ、あわわわわ……///」
にこ「にこぉ……」バタンッ
穂乃果「にこちゃんが倒れた!!」
花陽「うわぁ、顔マ゙ッ゙ガダヨ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙」
真姫「そこにいるのは……花陽、凛!!」
凛「真姫ちゃん、ここにいたんだ……」ボソボソッ
花陽「もー! 相変わらず真姫ちゃんは、にこちゃんが大す――」
真姫「花陽、凛!!」ダキツキッ
花陽「へっ!?」
凛「にゃ……!?」
真姫「私ね。これまで友達なんて、簡単に消えて無くなるものだと思ってたの。掴んだと思えば弾けて消える、まるでシャボン玉みたいな……」
真姫「音ノ木に入っても変わらない。それどころか掴むことすらできない……なんて思ってた」
真姫「だけど、花陽、凛。今の私にはあなたたちがいる」
真姫「花陽はいつだって優しくて、一緒にいるとポカポカしてくる。凛はいつも元気で、私を笑顔にしてくれる。それでいていつも一緒にいてくれる」
真姫「授業を受ける時も、お弁当を食べる時も、下校する時も。あなたたちは、私が恋い焦がれた『友達』っていう存在そのものなの」
真姫「だからありがとう。二人は私にとって、最高の友達よ」ギューッ…
真姫「大好き……です」
凛「う、うにゃぁ~……///」バタンッ
花陽「ヴヷア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!! 真姫ちゃんに大好きって言われたヨ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙!! ウレピイ゙イ゙イ゙イ゙イ゙イ゙イ゙イ゙イ゙イ゙イ゙イ゙イ゙イ゙イ゙イ゙イ゙イ゙イ゙イ゙イ゙イ゙!!」
穂乃果「こ……この真姫ちゃんは……」
穂乃果「色々と危険すぎる!」
真姫「は!? そこにいるのは、穂乃果、ことり!!」
ことり「ひぃ!?」ガクブル
穂乃果「ま、まずい!!」
真姫「穂乃果! ことり!!」ダッ
海未「……ってこらぁ!! 待ちなさぁい!!」シュパッ!
真姫「う!? 弓矢が頬をかすめていった……」
真姫「何するの海未」
海未「何するのじゃありませんよ!! 私は無視ですか私は!!」
真姫「パンツ被ってる変態をどう愛しろというの」
西木野真姫
15歳。高校1年生。両親が大病院を経営しているお嬢様。
歌が抜群に下手で、ピアノも弾けないどこにでもいる一年生。ごますり上手でプライドが低い。自分の思いの丈を語るのが大好き。
持ち前の度胸で上級生にも擦り寄る、にぎやかな女。
海未「こうやってメンバーたちを籠絡させて、一体何を考えているのです!」
真姫「人聞きの悪いこと言わないで。この真姫ちゃんはねぇ、ただ自分の思いの丈を曝け出しているだけよ♪」
真姫「これまで素直になれないでいた、昨日までの真姫ちゃんとの決別よ!」
穂乃果「確かに真姫ちゃんは、いっつも素直じゃないけど……」
海未「なるほど。これでようやくハッキリしました」
海未「一連の事件の犯人は真姫、あなたですね!!」
ことり「な、なんだってぇ!?」
花陽「ゾヴナ゙ノ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙? 真姫ちゃん!」
真姫「え。違うわよ。何言ってんの?」
穂乃果「違うみたいだよ海未ちゃん」
真姫「けど、その原因は私にあるかもしれないデッショー」サッ
ことり「お、おい何だ! その小さなビンに入ってる赤い液体は!!」
真姫「パパが作っている薬の試作品よ。これは、人の人格を崩壊させることを目的としてつくられた劇薬……」
真姫「キャラギャクテーン!! 略してCGT!」
穂乃果(なんか、コナン君みたいな展開になってきたぞぉ……)
ことり「キャラギャクテーン……!? というと、つまり……」
真姫「説明してあげるわ! このCGTは、服用者のキャラを逆転させてしまう効果を持っているの!」
穂乃果(そのまんまじゃん……)
海未「つまりあなたは、素直になれない自分が嫌いで嫌いで仕方ないから、この薬をお父上から奪った……」
真姫「違うわよ」
海未「ぬぬぬ……」
真姫「半年くらい前、コナンvsゴジラvsターミネーター、通称CGTって映画が流行ったでしょ? 今はDVDが出てるけど」
真姫「そのCGTってネーミングに乗っかって、パパがこの薬を作ったってだけの話よ。要は話題作りを兼ねて、自分の名前を売ろうって魂胆よ」
真姫「そんでその試作品を私が貰ったってわけデッショー」
ことり「なんてくだらない……」
真姫「けどそうね。海未の言い分、否定はしないわ。現に昨日までの自分が大嫌いだったもの」
真姫「μ'sに入って私の世界は変わった。友達、大好きな人、かけがえのない時間。これまで私とは無縁だった存在がいっぱい集まってきた」
真姫「けど当の私はどう? 感謝の言葉も、大好きの一言も、全然ロクに言えない」
真姫「周囲が変わっても自分が変われてないなんて、あまりにも惨めじゃない……」
真姫「だから私は、昨日までの自分と決別して、自分を変えようと思った。それでこの薬を使おうとした」
真姫「そうでもしないと、私に手を差し伸べてくれたみんなに……会わせる顔が無いから……」ポロポロ…
花陽「真姫ちゃん……」
穂乃果「……そんなことないよ」
穂乃果「真姫ちゃんは変われてたよ? 少なくとも、私と初めて会った時よりは」
真姫「ウソよ……。結局こんな薬に頼らないと何もできなかったのに」
穂乃果「ううん。変われてた!」
穂乃果「穂乃果が風邪引いた時に曲作ってくれたりとか、二回目のラブライブ出場に積極的だったりとか、希ちゃんのためにラブソング作ろうとしたりとか」
穂乃果「これって全部全部ぜーんぶ! 真姫ちゃんがやったことなんだよ?」
真姫「でもそんなの、別に大したことじゃ……」
真姫「……ううん、違うわね」
真姫「昔の私だったら、今言われたこと、全部実行したりしないわね」
穂乃果「それに真姫ちゃんはもう、自分の思いの丈を叫んでるよ」
穂乃果「『にこちゃんたちのいないμ'sじゃ嫌』。これってもう、みんなのことが大好きって言ってるようなものだよね」
真姫「……!」
穂乃果「真姫ちゃんは変われてる。自分では分からないのかもだけれど、傍にいた私がそう言ってるんだから絶対そう!」
穂乃果「私以外のメンバーのみんなだって、真姫ちゃんは成長したって、絶対に思ってるはずだよ」
穂乃果「だから自分のことを嫌いにならないで。私たちも真姫ちゃんのことが大好きだから」
真姫「ほ……」ポロポロ…
真姫「穂乃果ァァァァァ!! 私も大好き、大好き、大好きぃぃぃぃ!!」ギューッ!!
穂乃果「ふぇっ!? ちょ、ちょっと……!!///」
ことり「うぉぉぉぉぉん……!! 良い話だなぁぁぁぁ!!」ビェェーン!!
花陽「花陽も真姫ちゃんのこと、大好き、ダヨ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙」
海未「いやいやいや待ってください」
海未「なに無理矢理良い話で終わらせようとしてるんですか!!」
ことり「黙れ海の字!! 折角の雰囲気をぶち壊す気か!」
穂乃果「そうだよ! 穂乃果のパンツ返して!」
海未「嫌です! ってそれはそうとですよ……」
海未「まだ肝心の真犯人が判明していないではないですか!!」
花陽「はっ」
ことり「確かに……」
真姫「言っておくけど、真姫ちゃんは無実デッショー!」
海未「そうですね。今の話を聞いた後だと、真姫が他のメンバーにCGTを飲ませるとは考えにくい」
穂乃果「じゃあ海未ちゃん! 犯人は一体……」
海未「は? 何を言っているのです」
海未「犯人探しはあなたたちの役目ですよ。これ以上の面倒事は時間の無駄ですから」
穂乃果(そう言って海未ちゃんは、床に肘を付けて眠り始めた)
ことり「この怠け者め……」
真姫「とりあえず言えるのは、犯人がCGTを使ってこの状況を作り出したってことデッショー!」
花陽「そんな怪しい薬、飲んだ記憶ナ゙イ゙ヨ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙」
真姫「何か食べ物に混ぜれば、怪しまれずに可能デッショー!」
穂乃果「それより分からないのは、犯人の動機だよ!」
真姫「そうね。それに穂乃果だけいつも通りピンピンしてるし……」
ことり「えぇい! 犯人は何だってこんなことを……」
にこ「μ'sそのものを憎んでいる者の犯行、と考えるのが妥当にこ」
真姫「起きたのね、にこちゃん」
ことり「それってつまり、犯人は他のスクールアイドルってことじゃ……」
穂乃果「……クンクン……。なんだか良い匂いがする……」
穂乃果「あ!! 窓際に置いてある、赤くて美味しそうな果物!!」
イチゴ「……」
穂乃果「イチゴだー!! いっただっきまーす!!」
ことり「……あ、あれ、誰のイチゴ……?」
真姫「音楽室が来た時には既に置いてあったわ」
にこ「長時間保存ができるようにサランラップが巻かれている。しかも皿に乗っているイチゴは大量……」
にこ「……は!? ま、まさか……!!」
にこ「穂乃果ちゃん! そのイチゴを食べちゃダメにこ……!」
穂乃果「ふぇ? なーにー?」モグモグ
真姫「床に落ちている物を食べちゃダメって小学校で教わらなかったの?」
にこ「あぁー、最後の希望の星も、もうおしまいにこー……」
ことり「にこ先輩! 一体何が分かったっていうんだ!」
にこ「それを言う前にまずは……」
にこ「三年の教室に行くにこ!! そこに真犯人がいるはず!」
花陽「ナ゙、ナ゙ン゙ダッ゙デエ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙!?」
真姫「やっぱり真姫ちゃんは犯人じゃなかったデッショー!」
にこ「ん? あ、あれ……?」ガタ、ガタッ
にこ「音楽室の扉が開かない……! 外からカギが閉められているにこ!」
ことまきぱな「なにぃー!?」
穂乃果「なになに? どうしたのー?」モグモグ
にこ「やられたにこ。音楽室に閉じ込められてしまった」
ことり「なんてこった!! まさに何ちゃらの中の鳥!」
花陽「にこちゃん、どうするの!? 宇宙ナンバーワンアイドルのにこちゃんならどうにかできるよね!? ネ゙、ネ゙、ネ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙!?」
にこ「体を揺するなにこー!!」
考えるだけ無駄だ
五人「「「「「!?」」」」」
お前たちは私の共犯者、東條希の手によって身柄を拘束された
真姫「なんですって!?」
ことり「ていうかこの声、ナレーションの声と全く同じだぞ!」
穂乃果「それより、希ちゃんが……共犯者!?」
にこ「ウソにこ! そんな風には見えなかったにこ!」
そうやって否定し続けるがいい。だがこの牢獄の鍵を閉めたのは、紛れもなく東條希だ
穂乃果「音楽室が牢獄って……」
凛「露骨な中二アピールはダサいだけだにゃ……」ボソボソッ
真姫「起きたのね、凛」
にこ「どこにいるにこ! 正体を見せるにこ!」
ならば壁の隅にあるロッカーを直視していろ
穂乃果「ロッ……カー!?」
今こそ見せよう。この一連の事件の首謀者は……
私だ……!!
穂乃果「あ、あなたは……!!」
絵里「おはようチカ。グッモーニン、チカ」
穂乃果「なんだ。いつもの絵里ちゃんか」
絵里「待望の登場だというのに、その反応はあんまりじゃないチカ?」
真姫「まぁ、薄々察しはついていたわ」
にこ「一人だけ出番がまだ無かったから、あまりに胡散臭かったにこ」
絵里「出番が無いのも当然チカ。実は最初から、ホノッカーの後を付けていたのだチカ」
絵里「やれやれ。マッキーが足早に音楽室に来るものだから、先回りするのに苦労したチカ」
穂乃果「何でそんなめんどくさいこと……」
海未「ふふふ。そうですか、やはりですか」
海未「やはり私の推理通り、絵里、あなたが真犯人!!」
穂乃果「起きたんだね、海未ちゃん」
絵里「ウッミー、その弓を下ろすチカ。今のエリチカは、ウッミーの攻撃を回避できる運動神経を持ち合わせていないチカ」
海未「知ったことですかそんなこと!!」
海未「そういえば、あなたの名前にも「や」が入っていますね。その名の通り、首元を射抜いてやりましょう」
海未「死ね! 絢瀬絵里――!」
ことり「待て待て待て待てー!!」
ことり「何で海の字はそうやってすぐ! いい加減やめろってぇの!!」
海未「な、何なんですか、一体……!!」ウルウル
海未「悪の権化くらい、私の好きにさせてくれたってよいではありませんか!! うわぁぁぁぁぁん!!」
凛「なにこのコント」ボソボソッ
にこ「さてエリー。本題に戻るにこ」
にこ「まずは、にこたちをこんな風にした、その動機について話してもらうにこ!」
絵里「いやチカ」
海未「滅殺です!!」シャキッ
ことり「海の字ストオオオップ!!」
真姫「ちょっと! ここまできて、その態度はないデッショー!?」
花陽「自分から名乗り出ておいて、ガッ゙ゴヷル゙イ゙ヨ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙」
絵里「勘違いしないでほしいチカ。いちいち説明するのが面倒なだけチカ」
凛「ポンコツだにゃー……」ボソボソッ
絵里「!」ギロリッ
絵里「二度とチカをポンコツと呼ぶなチカ!!」
凛「ひぃ!?」ビクッ
にこ「ふふん。今のエリーの反応……」
にこ「エリーの動機は確定したにこ♪」
穂乃果「本当なの、にこちゃん!?」
にこ「みんな。ライブの時のエリーのコール&レスポンスといえば?」
凛「かしこい、かわいい……」ボソボソッ
花陽「エ゙リ゙ー゙ヂガア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!」
にこ「ところが最近ネット上なんかだと、エリーは『ぽんこつかわいいエリーチカ』、略してPKEと呼ばれているにこ」
にこ「エリーはその呼ばれ方が嫌で嫌で仕方なくて、今回の様な犯行に及んだ……」
にこ「そうにこね、エリー!!」
絵里「…………フフフ」
絵里「違うチカ」
にこ「え」
絵里「実は昨日までのチカは、ポンコツって呼ばれるのそんなに嫌ではなかったチカ」
ことり「嫌じゃなかったのか……」
海未「ふざけるのも大概にしなさい!! では他にどんな動機があるというのです!」
絵里「動機なんて無いチカ」
海未「なん、だと……」
絵里「そう、動機なんて無かった。ちょっとしたおふざけをやったに過ぎないのだチカ」
ことり「おふざけって一体……」
絵里「確かあれは、一昨日の放課後のことだったチカ……」
穂乃果「また最近な……」
――――――
――――
――
あれは、真姫の着替えが遅いから、部室まで戻った時のことだったチカ。
絵里「真姫ー、どうしたの? 随分と着替えに時間がかかって――」
真姫「ヴェエエエエ!? エ、エリー!!!!///」
絵里「ま、真姫!? 顔が真っ赤よ? 熱でもあるの?」
真姫「そ、そんなんじゃないわよ! もう着替え終わってるから、早く屋上に行くわよ!」
真姫「いやー、今日は暑いわねー!! 春が近づいているからかしら! アハハハハ……」
絵里「行ってしまったわ……。な、何だったのかしら一体」
絵里「ん? これは……」
その時チカが拾った、真姫のカバンの前に落ちていた小さなビン……。
それこそが、キャラギャクテーン。略してCGTだったチカ。
ビンにはご丁寧に、油性ペンで『キャラギャクテーン』と書かれていたチカ。
絵里「よく分からないけれど、香辛料の類かしら。タバスコソースとか? 真っ赤ですごく辛そう……」
絵里「……まさか真姫、私たちに隠れて、こっそりこれをつまみ食いしてたのね? だからあんなに顔真っ赤にして飛び出してったんだわ」
絵里「下手なつまみ食いは体重・脂肪増加につながるわ。本戦直前で前の穂乃果や花陽みたいなことになったら、海未はカンッカンに怒るだろうし……」
絵里「これは没収ね。まぁ、真姫には後で軽く叱っておきましょうか。本人が、『ねぇ、エリー。わ、私の、タバスコ、知らない……?///』とか聞いてきた時にね♪」
絵里「……あっ、そうだ。良いことを思い付いたわ!」
そうしてチカは、練習が終わった後、ホノッカーと一緒に下校したチカ。
ホノッカーの家の饅頭、「ほむまん」を購入するために……。
――
――――
――――――
にこ「ま、まさか……!?」
絵里「そう。昨日、ホノッカー以外が食べたほむまん!」
絵里「あの中には、チカがタバスコだと思い込んでいたCGT! それが注入されていたのだチカ!!」
花陽「ナ゙、ナ゙ン゙ダッ゙デエ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙!?」
真姫「ちょっと! 辻褄の合うように説明しなさいよ!!」
真姫「何でタバスコをほむまんの中に入れようとしたの! その動機を言いなさい!!」
絵里「ただのイタズラ半分だったチカ」
ことり「このポンコツ!!」
絵里「うるせぇ、ポンコツ言うなチカ!」
絵里「あっ、もう半分の理由は、マッキーの『ちょっとエリー!! 私のタバスコ勝手に使ったでしょ!?///』みたいな反応を見たかったことだチカ」
真姫「イミワカンナイ!!」
絵里「ちなみに、ほむまんを二個食べたメンバーは、言語が大幅に変わってしまっているチカ」
絵里「チカとコットーリとハッナーヨ、あとノゾッミーの四人チカね」
絵里「チカ以外はがっついてバクバク二個食ったのだチカ。哀れチカ」
絵里「なお、チカは他のメンバーに怪しまれないために、先陣切ってほむまんを食べたのだチカ」
絵里「思ったより辛くなかったので、もう一個食べたチカ。それがこのバカみたいな語尾の原因チカ」
凛「じゃあ、この事件に犯人はいない……?」ボソボソッ
海未「そういうことになりますね……」
真姫「やれやれ。とんだ茶番だったデッショー」
穂乃果「そういえば真姫ちゃんは、絵里ちゃんが更衣室に来た時、どうして顔を真っ赤にしてたの?」
真姫「あぁ。あれは……」
――――――
――――
――
真姫「あぁぁぁぁ、どうしようどうしようどうしよう!!///」
真姫「パパに薬を作ってもらったところまではいいけれど、これってつまりあれよね!?」
真姫「ク、クールで冷静沈着なこの私のキャラが、いつもと逆転しちゃうってことは……/// あー!! ムリよムリよ!!」
真姫「でも、これを飲んでキャラを変えないと、みんなに感謝の想いを伝えられない……」
真姫「……」
真姫「……バカね、私。この一年間何をやっていたのかしら」
真姫「こんな薬に頼らないと感謝の言葉一つ言えないっていうの? 冗談じゃないわ。伊達にμ'sのメンバーやってないわよ」
真姫「もう自分に逃げたりなんかしない。卑怯な手を使ったりもしない。私は私の言葉で、みんなに想いを伝えて見せるわ」
真姫「け、けど、さすがに今日言うとなると緊張するし……///」
真姫「そ、そうだ。確かひな祭りにμ'sのメンバーで集まるんだったわね。その時にでも――」
絵里「真姫ー、どうしたの? 随分と着替えに時間がかかって――」
真姫「ヴェエエエエ!? エ、エリー!!!!///」
――
――――
――――――
真姫「……とまぁ、こんな感じよ」
穂乃果(真姫ちゃん、いつもそんなに独り言を……?)
真姫「そうそう。ちゃんとCGTの解毒剤は用意してあるから、みんなに飲ませてあげるデッショー」
海未「何故それを先に言わないのです!!」
穂乃果「まぁまぁ。そんなに怒らないでよ海未ちゃん」
穂乃果「穂乃果たちを憎んでいるスクールアイドルの犯行じゃなかったし、μ'sの仲間割れでもなかった! とにかくこれで一件落着!!」
絵里「果たして本当にそうチカ?」
七人「「「「「「「え」」」」」」」
ことり「ゴルァ!! 穂の字がせっかくしめに入ってるって時に!」
凛「絵里ちゃんに動機は無かったはずでしょ……?」ボソボソッ
絵里「確かに動機は無かったチカ。けど……」
絵里「今も悪巧みが無い、とは限らないチカよ」ニヤリ
花陽「何言いたいのか、全然分かんないヨ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙」
にこ「……なるほど」
にこ「みんな。エリーのさっきの発言を思い出すにこ」
お前たちは私の共犯者、東條希の手によって身柄を拘束された
海未「そ、そういえば!!」
真姫「希! まだ希が姿を現していないデッショー!!」
にこ「それとこの発言も!!」
絵里「出番が無いのも当然チカ。実は最初から、ホノッカーの後を付けていたのだチカ」
絵里「やれやれ。マッキーが足早に音楽室に来るものだから、先回りするのに苦労したチカ」
にこ「エリーに悪意が無いのだとしたら、これらの発言に矛盾が生じる」
にこ「エリーが何か企んでいるのは間違いないにこ!!」
真姫「だとしたら、穂乃果の後を付け回していた理由は察しがつくデッショー」
にこ「唯一ほむまんを食べなかった穂乃果ちゃんに、なんとしてでもCGTを服用させるため!」
穂乃果「いやー。アンコ飽きててほむまん食べなかったのが幸いだった――」
穂乃果「――グッ、ウッ、ヌグウゥゥゥゥゥゥゥ!?」
バタンッ
海未「ほ……穂乃果!?」
ことり「穂の字ぃぃぃぃ!!」
絵里「フフフ。十五個イチゴを食わせただけあって、即効性があるチカね」
にこ「穂乃果ちゃんが海未ちゃんに会った後、エリーはすぐさま音楽室へ向かった」
にこ「何故なら、その時点で穂乃果ちゃんが会っていなかったのは、真姫ちゃんとエリーだけだったから!」
真姫「私かエリーに穂乃果が会いに行こうとするのはもはや必然。エリーはこそこそ身を隠していたからまず遭遇しない」
真姫「だとしたら、次に穂乃果が会うのは私。エリーは私が来そうな場所に、CGT入りのイチゴを置いておいた!」
にこ「仮にも頭が良いとは言えない穂乃果ちゃんなら、堂々放置してある毒物イチゴを食べてもおかしくはない」
にこ「多分、一年生の教室前廊下辺りにも、同じようにイチゴが置かれているはずにこ……!」
真姫「あえて数カ所程度に設置場所を定めたのは、他の人にイチゴを持っていかれないようにするためデッショー!」
凛「り、凛は恐ろしいことに気がついたにゃ……」ボソボソッ
花陽「奇遇だね凛ちゃん!! 花陽もダヨ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙!!」
花陽「十五個もイチゴを食べた穂乃果ちゃんは、ドヴナ゙ッ゙ヂャ゙ヴノ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙!?」
絵里「基本的には、チカたちの症状と変わらないチカ」
絵里「ただ、圧倒的に違うのは……」
絵里「解毒剤を服用しようが、二度と治ることはない、ということチカ!!」チカッカッカッカ
ことうみりんぱな「「「「なんだってぇぇぇぇぇぇぇ!?」」」」
ことり「冗談じゃねえぞテメェ!! 穂の字を返せ!! 返せぇぇぇ!!」
海未「退きなさいことり!! その女の爪を剥ぐのは私です!!」
海未「許しません許しません!! 絶対に許しません!!」ウワァァァァァァン!!
絵里「チーッカッカッカ!! もうムダチカ!!」
絵里「いつものホノッカーは死んだチカ! CGTによって生み出される、新たなホノッカーが誕生するのだチカ!」
にこ「……」
真姫「……」
ことり「え、絵里先輩!! お前の目的は何なんだ!! 答えろぉぉぉぉぉ!!」
絵里「仕方ない。教えてやるチカ。チカの目的は……」
絵里「貴様らのキャラを永久に崩壊させて、チカだけ解毒剤を使っていつものキャラに戻る!」
凛「ということは……」ボソボソッ
絵里「ふふん。その通りチカ」
絵里「そのロッカーの中には、15個×6セットのイチゴが入っているチカ」
海未「つまり、私たちも穂乃果の様に、解毒剤の効かない体にしてしまうということですね……!!」
絵里「その通りチカ。すると相対的に、チカが『かしこく』見えてくる」
絵里「ニッコーは以前よりかしこくなっているみたいだけど、もうこの際どうでもいいチカ」
絵里「とにかく、そうすることでチカの『かしこい』という称号を取り戻すのだチカ!」
絵里「ついでにホノッカーをμ'sのリーダーの座から引きずり下ろし、チカがトップになる!まさに一石一鳥チカ!!」
花陽「カッコつけながら四字熟語間違えてるヨ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙!! ダザイ゙ヨ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙」
ことり「ポンコツって呼ばれるのは悪い気しないって言ってたばかりだろうに!」
絵里「それは昨日までのチカだと言っているチカ!」
絵里「今のチカは違うチカ! 腑抜けのチカとは比べ物にならないくらい、野望に満ち満ちているチカ!」
絵里「A-RISEなんて素人チカ! 他のスクールアイドルはゴミチカ! アリチカはチカのペットチカ! 親鳥は良い金づるチカ!」
絵里「そして貴様らμ'sの連中は、チカの家来になるのだチカ! そう、ノゾッミーのように!!」
凛「すごい小物臭がする……」ボソボソッ
海未「こんな粗暴者のために、どうして希は寝返ったのです!」
絵里「チカの圧倒的カリスマのおかげチカ」フフン
絵里「おっとそうだそうだ。ナレーションするのを忘れていたチカ」
絵里「マイクテス。アーアー、ゴホン……」
絢瀬絵里
17歳。高校3年生。ロシア人のクォーター。
頭脳明晰、運動神経抜群、何をやらせてもそつなくこなす。
学校では人気抜群で、正義感が強く、生徒会長を務めていた。
ことり「おいこらポンコツーチカ!! 何も変わってねえじゃねえかよ!!」
絵里「当たり前チカ! チカは『かしこい』のだから!! それとポンコツって呼ぶなチカ!」
絵里「さてマッキー! まずは解毒剤を持ってくるチカ!」
真姫「素直にあんたの命令を聞くわけないデッショー!」
絵里「えぇい、面倒チカ。こうなったら脅しをかけてやるチカ」
絵里「うーん……。おっ、良いことを思い付いたチカ」
絵里「命令を聞かないのなら、このチカが、ホノッカーのファーストキスを奪ってや――」
ことうみ「やめろきさまああああああああああああああああああああ!!」
ことり「真の字!! とっとと解毒剤を持ってこい!」
海未「呑気に突っ立ってないで、早く行きなさい!!」ドンッ
真姫「ギャアアアアアアアアア!!」バリィンッ!!
花陽「真姫ちゃんが窓から投げ出されちゃったヨ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙」
絵里「さて、マッキーが解毒剤を持ってくる間に、餌付けを始めるチカ」
海未「キャラの逆転したあなたに、私たちを捕まえられるとでも?」
絵里「それはムリチカ。だから仲間呼ぶチカ」
絵里「こおおおおおおおおおおおおい!! ノゾッミイイイイイイイイイイイイイ」パチィンッ
希「トージョータックル!!」ズドォンッ!!
にこ「のぞみん……。せっかく閉じた扉を打ち破るなんて……」
凛「バカだにゃー……」ボソボソッ
絵里「随分とみんな冷静チカね」
絵里「東條と登場をかけた渾身のギャグだったというのに」
花陽「ギャグダッダノ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙!?」
海未「そんなことより希! どうしてそんな女の下に!」
希「愛する絵里のため……」
希「というのは建前で、イチゴが美味しかったからです。高坂さんたちに会った後貰ったのです」
絵里「ノゾッミーは、四十五個ものイチゴを完食させた、とてつもない強者チカ」
絵里「さあノゾッミー、やっちまいなチカ!」
希「……」ガシッ
ことり「うおおおお!! や、やめろ! 希先輩!!」
希「申し訳ありません。あなたの気持ちはお察しします」
希「しかし絵里の命令です。逆らえばわしわししますよ」
ことり「うぅぅぅ!! そ、それだけはぁぁぁ!!」
希「ならば食べてください。さぁ」
ことり「ふがっ、もご……」
ことり「」ゴクン
ことり「あ、あぁぁぁ……。なんて、こった。もう終わりだ……」ガクブル
にこ「やばいにこ。このままだと全滅必須にこ」
海未「何を言うのです。私の弓の腕さえあれば、あんなペテンスピリチュアル女……」
ムクッ
にこ「は!?」
海未「ほ、ほの……か……!!」
穂乃果「……」
海未「穂乃果!! 目が覚めたのですね! ほの――」
穂乃果「鬱だ……」
海未「え……」
穂乃果「鬱だ。死にたい」
ことり「ほ、穂の字!?」
穂乃果「嫌だ嫌だ。こんな世界嫌だ。誰か私を殺して」
にこ「最悪にこ……。よりにもよって」
穂乃果「もういいよ。私が自分で死ぬから」
凛「穂乃果ちゃん、まさか……」ボソボソッ
穂乃果「ロープ……。誰か、首吊り用のロープを……」
花陽「鬱病にナ゙ッ゙ヂャ゙ッ゙ダノ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙!?」
穂乃果「あれ? みんな……」
穂乃果「そっか。みんな、私のせいでキャラが変わって……」
海未「違いますよ穂乃果!! それもこれも、全部このポンコツコンビが!!」
絵里「失敬チカ!!」
希「私までポンコツに仕立て上げないでほしいものです」イラッ
穂乃果「ううん。全部私のせいなんだよ」
穂乃果「だって穂乃果がみんなをμ'sに誘わなければ、こんなことにはならなかったんだから……」
ことり「こいつ、根本から否定し始めやがった……」
穂乃果「あ。こんなところに、人一人簡単に殺せそうな弓矢が……」
凛「まずいにゃ……」ボソボソッ
高坂穂乃果
16歳。高校2年生。μ’sの発起人。いつも目付きが悪くとにかく元気が無い。
直感と思いつきでは行動しない、泰然自若タイプ。
困難が立ちはだかると、持ち前の超ネガティブシンキングでその場に立ち止まる。μ’sのブレーキ役。
海未「その小賢しいナレーションを止めなさいポンコツ!!」
絵里「ポンコツって言った方がポンコツチカ!」
ことり「穂の字! その矢を捨てろ! もしくはこっちに渡せ!」
穂乃果「嫌……。穂乃果は死にたいの」
海未「お願いしますうううううう!! 穂乃果ぁぁ、気をしっかり持ってぇぇぇ!!」ポロポロ
海未「いつも怒鳴ったり叱ったりしてごめんなさい! 謝りますから、だからそれだけはぁぁぁ!!」
ことり「穂の字ぃぃ!! こんなところで諦めちまうような女なら、ことりはあんたを好きにはならなかったぞぉぉ!!」
ことり「だから目を覚ましてくれぇぇ!! ことりを置いていくなぁぁ!!」
絵里「チッカッカッカ。ムダチカ。これでチカはかしこくなり、さらにはμ'sのリーダーに……」
にこ「果たしてそれはどうにこ?」
絵里「どういう意味チカ」
にこ「この程度の障害でμ'sが崩れるわけがない、ということにこ」
にこ「μ'sは九人でμ's。誰かが苦しくなれば、誰かが支えてあげるのがμ's」
にこ「そんなにこの大好きなμ'sを、取り戻して見せるにこ!」
にこ「……真姫ちゃんが!!」
真姫「呼ばれて飛び出てジャジャジャーン!! マッキーです!!」
花陽「真姫ちゃん、イ゙ギデダノ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙!?」
希「西木野さん、随分と早かったですね。あなたの家はここから徒歩でかなりかかるはず」
真姫「アルパカは意外と速いデッショー」
絵里「ともかくマッキー、ご苦労ご苦労チカ」
真姫「ペットボトルに入れてきたから、重くて苦労したデッショー」
絵里「さぁ、解毒剤をこちらに渡すチカ! チカ!」
真姫「渡すわけないデッショー」
真姫「花陽、パス!!」シュパァッ
絵里「あっ、こら……!!」
花陽「こ、これが解毒剤!?」キャッチ
真姫「凛に飲ませなさい!」
花陽「ヷ、ヷガッ゙ダヨ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙」
凛「ンギイイイイイイイイイイッ、ゴクゴク、か、かよちん、苦し……」
凛「……」
凛「勇気凛凛、元気凛凛にゃー!!」
絵里「げぇ!! ま、まずい……」
真姫「運動神経の良い凛を先に目覚めさせる戦略よ!」
にこ「凛ちゃん、海未ちゃん! のぞみんをひっ捕らえるにこ!!」
凛「了解にゃー!!」
海未「何故あなた如きが私に命令するのです!!」
真姫「いいからやってよ!!」
希「うぅぅ、捕まってしまいました……」
海未「希、これを飲みなさい!!」
希「ウボオオオオオオオオオオッ、ゴクゴク、喉につっかえ……」
希「……」
希「スピリチュアルパワー、全開やー!!」
絵里「うぐぬぬぬぬぬ……!!」
にこ「これでもう、エリーに味方してくれる人はいなくなったにこ」
海未「さぁ、解毒剤を回し飲みです!」
海未「ゴクゴク……。花陽!」
花陽「ズビズビ……。あっ。も、戻った」
花陽「は、花陽、なんだかすごく恥ずかしい気分になってきたよぉぉぉ///」
凛「凛はこっちのかよちんも好きにゃー!!」ダキツキッ
海未「……はっ!? わ、私としたことが……」
海未「親友二人の下着を頭に被っていただなんて……! は、はしたない///」ヌギヌギッ
花陽「さぁ、次はにこちゃんと真姫ちゃんが」サッ
真姫「にこちゃんは今の方が賢いから、後回しで」
にこ「なんか理不尽にこ!」
にこ「じゃあ真姫ちゃんが先に飲めばいいにこ! ふん!」
真姫「私は……にこちゃんが飲んだ後でいいわ」
真姫「だってそうすれば、にこちゃんと間接キスしたことになるでしょ?」
にこ「真姫ちゃん……///」
ことり「……いちゃついているところ悪いんだけどさァ」
ことり「もう二度とキャラを戻せなくなった、ことりの身も考えてくんね?」
希「ことりちゃん……。やっぱりおつむが弱くなって……」
ことり「あんだとぉ!?」
真姫「まったくー。よーく考えて御覧なさい」
花陽「イチゴ四十五個を食べた希ちゃんが解毒剤を飲んで復活したってことは……」
ことり「……」
ことり「ことりも解毒剤を飲めば、キャラが戻る……?」
絵里「ギクゥッ!!」
ことり「だがどういうことだ!! 確かに絵里先輩は、CGTを大量に摂取すればうんたらかんたらって……」
真姫「そんなのデマに決まってるデッショー!」
凛「今のことりちゃんは、凛よりおバカさんだにゃー」
にこ「最初からおかしいと思ってたにこ。真姫ちゃんのお父さんが作ったCGTについて、どうしてエリーが詳しいのか……」
海未「絵里……。今のあなたのキャラは、ずばりこうです!!」
絢瀬絵里
17歳。高校3年生。ロシア人のクォーター。無知蒙昧、運動音痴抜群、何をやらせてもヒドい結果に終わる。
学校で人気抜群の、責任感の無いポンコツ。
絵里「ポンコツ言うなって言ってんだろうがチカ!!」
ことり「し、信じるぞ? 元に戻れるって信じるぞ!? ゴラァ!!」
ことり「ウボオオオオオオオオオオオ!! ズビズビ、ゴクン、ンイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!」
ことり「……」
ことり「わぁー! すごーい!! 思い通りにしゃべれるよぉー♪」
凛「ワロタ」
海未「さぁ、残る障害は二つ。まずは……」
絵里「ぐぬぬぬぬ……」
ことり「ほら絵里ちゃんも! これさえ飲めばスッキリするよ!」
絵里「えぇい、どうにか、どうにかしてこの危機を乗り切らなければ……」
絵里「こんな時は、『赤い彗星語録』に頼るが勝ちチカ!」ペラペラ
絵里「認めたくないものチカ。自分自身の、若さゆえの過ちというものを」
花陽「絵里ちゃん……。いくらなんでも見苦しいよぉ」
凛「観念して! 悪党の最期だよ!」
絵里「……」
絵里「サボテンが花を咲かせているチカ」
真姫「どこにサボテンがあるってーのよ!!」
にこ「それ以上現実逃避するのなら、無理矢理にでもこれを飲ませるにこ」
絵里「冗談じゃないチカ! チカは今のチカが大好きチカ!」
絵里「それを飲めば、みんなに優しい腑抜けたエリチカに戻ってしまうチカ! それだけは嫌チカ!!」
希「エリチ……。今の言葉、訂正して……!!」
希「優しさを腑抜けなんて言うエリチは嫌いや!!」
絵里「ノ、ノゾッミー……!! しまったチカ」
絵里「赤い彗星語録……。赤い彗星語録……」ペラペラ
絵里「東條希は、チカの母になってくれるかもしれなかった女性チカ!!」
希「エリチ……///」ポッ
海未「赤の他人の台詞に騙されないで!!」
ことり「そりゃ~! ひっとらえろー!」
絵里「チカアアアアアア!! 放せチカアアアアアア!」
凛「放すわけないにゃー」
海未「悔い改めなさい!!」
絵里「チガブウウウウウウウウウウウウウウス!! チクバ、カサレリブアアアアアアアアアアアアア――」
絵里「ゴクン……」
絵里「本当にもうしわけありませんでした!!!」ドゲザッ
にこ「謝罪はやっ!?」
絵里「私が柄にもなく変なイタズラ実行したから、こ、こんな面倒なことに……!」
海未「ま、まぁ、悪気は無かったようですから、そんなに怒ってはいませんが……」
絵里「本当に? パンツ被りながら弓射ってきたりしない?」
海未「掘り起こさないでください恥ずかしい!///」
凛「でもただでは許さないよ! 今度ラーメン奢ってね」
絵里「い、いくらでも奢ります。はい」
希「そうやエリチ。一度、エリチのもやってみたいって思ってたんよ……」ワシワシノカマエッ
絵里「ひっ……!」
真姫「何はともあれ、これで残るは……!」
ことり「穂乃果ちゃんの救出! さぁ穂乃果ちゃん! この解毒剤を!!」
花陽「……って、あれ?」
花陽「……穂乃果ちゃんは?」
☆ ☆ ☆
穂乃果「うわぁ、すっごーい……。音ノ木の屋上って、こんなに見晴らし良かったんだ……。いつも練習で使ってたけど、気付かなかったぁ……」
穂乃果「私が最後に見る光景としてはふさわしいかも……」
バタンッ
海未「穂乃果! どこですか、穂乃果ぁぁ!!」
ことり「穂乃果ちゃん、いたら返事してぇ!」
穂乃果「あぁ……。やっぱりみんな来ちゃった」
穂乃果「でも、お世話になった人たちに看取られながら逝くのも悪くないかなぁ……」
穂乃果「みんなー。穂乃果はここにいるよぉー……」
絵里「穂乃果! あの子、あんな高いところに!」
花陽「屋上にハシゴがあるなんて気付かなかった……」
真姫「穂乃果ぁ! 今からそっちに行くから待ってなさい!!」
穂乃果「ふふ……。みんな上がってきたね」
絵里「ほ、穂乃果! それ以上下がっちゃダメ!!」
穂乃果「ううん。私はね、ちゃんとけじめをつけないといけないんだよ……。この一年間、みんなの人生をムダにしたことに対しての」
希「本当にそう思ってるん……? 九人での活動が、全部ムダだったって!!」
穂乃果「あぁ、ごめん、言いすぎた……。廃校は阻止したっけ」
穂乃果「でもその後は完全に蛇足だったよね。特に意味も無く歌ったり踊ったりして、バカみたい……」
真姫「穂乃果! この真姫ちゃんと一緒にデュエット歌いたくない!?」
穂乃果「できれば独りがいいな……」
花陽「あっ! ほ、穂乃果ちゃん! 花陽のポケットの中に、偶然アンパンが!」
穂乃果「もうアンコは飽きたよ……」
凛「穂乃果ちゃん! じ、実は、『コナンvsゴジラvsターミネーター』の続編が決まってて……」
穂乃果「嘘つけ!! コナン君死んだじゃん!!」
海未「穂乃果、こっちに来てください! 一人の親友として、あなたの自害を許すわけにはいきません!」
穂乃果「海未ちゃん……。ごめんね、これまで散々苦労してきたんだよね。こんな私のために……」
海未「ええ、そうですよ。おそらくこれからも、あなたには苦労されっぱなしでしょう」
海未「しかし……それを一度でもイヤだと言ったことがありますか」
穂乃果「え……」
海未「正直なところ、今の私があるのは、主にあなたの存在があったからだと思っているのです」
穂乃果「私の存在……?」
海未「考えてもみてください。昔の私は穂乃果に引っ張られるがままに進んでいく臆病者だったのに、今は歯止めのきかないあなたのお守り役になっている」
海未「これってすごいことだと思いませんか? あなたの存在は、一人の人間をこうも成長させたのです」
穂乃果「で、でも、私がダメ人間なことに変わりはしないし……」
海未「ですから、さっきも言ったではありませんか!」
海未「私はあなたの世話をするのは嫌いではありません! む、むしろ……」
海未「か、感謝したいくらいなんです! その、つまり……」
ことり「つまり、ちょっとダメなくらいの穂乃果ちゃんが大好きってことだよ♪」
穂乃果「……!」
海未「こ、ことりぃぃぃぃぃぃ!!///」
穂乃果「や、やだ! 私は死ぬんだ! 死なないと……」
ことり「穂乃果ちゃん。あの時、留学しようとしてたことりを追いかけてきてくれて、嬉しかった。ことりの気持ちに気付いてくれて本当に嬉しかったの!」
ことり「だから、ことりは穂乃果ちゃんがいないとダメなの! 穂乃果ちゃんがいるから今のことりがいるの!」
凛「凛たちだって同じだよー!」
真姫「穂乃果がいたからここまで来れた」
希「穂乃果ちゃんがいなかったらここまで来れなかった」
花陽「やっぱり穂乃果ちゃんは、μ'sの太陽みたいな人だから!」
絵里「だから穂乃果! これ以上自分を責めないで! もう一度、私たちと一緒に!」
穂乃果「そ、そんなこと、言ったって……」
ことり「穂乃果ちゃん! 今度は、ことりがあなたを止めてみせる!」
穂乃果(ことりちゃんが近づいてくる……。イ、イヤ、今すぐ飛び降りないと……)
天使穂乃果(ダメです! あなたはここにいる方々全員を悲しませる気ですか!)
悪魔穂乃果(頭から落ちちまえよぉ。昨日のコナンも絶望して自殺しただろう?)
穂乃果(あぁぁぁぁ! どうしたらどうしたらどうした――)
穂乃果(ん……?)
猫「にゃー」
穂乃果「ひぃ!? さっきの野良猫……!!」
グラッ
穂乃果「あっ……」
ヒューンッ
ことり「穂乃果ちゃああああああああああん!!」
海未「穂乃果!? 穂乃果ああああああああああ!! いやあああああああ!!」
希「嘘……。穂乃果ちゃんが……落ちた……」
花陽「ひぃっ……。ダレカ、タスケ……」フラッ……
凛「かよちんしっかりしてぇ……! うわあああああああん穂乃果ちゃああああああん!!」
絵里「あぁぁぁぁ……! 私のせいで……私のせいで、こんな……」
真姫「………………あんたたち」
真姫「頭悪くなった?」
六人「「「「「「え?」」」」」」
穂乃果「う、うぅぅん……。ここは……てん、ごく……?」
穂乃果「……じゃない!? いつもの屋上……!」
穂乃果「そうか……。私、飛び降りようとしてた方角を間違えてたんだ……」
にこ「やれやれー。念のためにここで待機していて正解だったにこ」
穂乃果「にこちゃ――グボッ、ゴブゥゥ!?」
にこ「何も言わずこれを飲むにこ! さぁ、さぁ!!」
穂乃果「ウブゥゥッ、ジュビッ、グバッ……!!」
穂乃果「ゴクン……」
海未「穂乃果! 無事ですか、穂乃果!!」
ことり「穂乃果ちゃーん!! ……あ! 見てあれ!」
穂乃果「うわあああああああああん!! やだよやだよぉー!! 穂乃果、死にたくないよぉー!!」
穂乃果「にこちゃんと別れたくないよぉー!! μ'sのみんなと別れたくないよぉー!! やだやだやだぁぁー!!!」ピェェェェン
にこ「よしよし。こうして生きてるんだから、大丈夫にこ」ナデナデ
絵里「はぁ……。なんとか最悪の展開は免れたようね」
花陽「一時はどうなることかと……」
海未「うぅぅ……! 穂乃果、本当によかった……。穂乃果ぁぁ……!!」
ことり「もう海未ちゃん、目が真っ赤だよ。ぐすっ……」
☆ ☆ ☆
にこ「ふふーん、どうよ! この宇宙ナンバーワンアイドルにこにーにこちゃんの活躍のおかげで、何もかも一件落着!」
希「にこっち……。解毒剤飲まない方が良かったんちゃう?」
絵里「そうね。今後のためにも……」
にこ「どーゆー意味よ!!
にこ「……そういえば、あれ……」
真姫「にこちゃんと間接キスにこちゃんと間接キスにこちゃんと間接キスにこちゃんと間接キスにこちゃんと間接キスにこちゃんと間接キスにこちゃんと――///」
花陽「真姫ちゃんしっかりしてー……!」
にこ「あの子、さっきからずっとあんな感じで……」
凛「いつもの恥ずかしがり屋に戻っちゃったからねー!」
希「ああ、羨ましいなー。ウチもみんなに愛の告白する真姫ちゃん見たかったなー」
海未「真姫。あなたの気持ちはとてもよーく分かります」
真姫「う、海未?」
海未「私も、親友二人の下着を被るなんていう破廉恥行為を犯してしまったのですから!!///」
海未「真姫! 人の記憶を消す薬をください!! あなたのお父上ならそれくらい作れるのでしょう!?」ガシィッ
真姫「海未、肩痛い痛い!! 爪立てないで!!」
ことり「もしかしたら今日の事件って、μ's結成以来最大の事件だったのかも?」
凛「そりゃそうだよ。だってリーダーが死のうとしたんだもん」
穂乃果「面目ない……」
絵里「穂乃果は別に悪くないでしょ?」
花陽「そうだよ。誰も悪意があったわけじゃなかったんだし」
にこ「けど真姫ちゃんと絵里は反省しなさい!! いくらなんでも不用心すぎ!!」
えりまき「すみません……」
真姫「自分で言うのもなんだけど、なんて薬を持ってきちゃったのかしら。もう恐ろしくて触りたくもないわ」
真姫「とにかくこの薬のことは、パパとμ'sメンバーだけの内緒よ。他の誰かに悟られる前に処分しないと」
絵里「そうね。そうと決まれば……」
絵里「もうこんな変な薬はお外にポイね! てりゃー!!」ポイーッ!!
「「「「「「「……」」」」」」」
「「「「「「「何やってんだこのポンコツウウウウウ!!」」」」」」」
にこ「反省しろって言ったばかりでしょうがあああああ!! そこが不用心だっつってんのよぉー!!」
希「エリチ! 『ゴミはゴミ箱に』ってスローガン作ったの、もう忘れてしまったん!?」
穂乃果「すごいよ絵里ちゃん、今の飛距離!! プロ野球の開幕投手になれるよ!」
海未「絵里……。あなたという人は……」
絵里「あ、あはは……」
絵里「ゆ、許して、チカ?」
凛「ぶりっ子ぶってるにゃー!!」
真姫「あんた、本当に解毒剤飲んだんでしょうねぇ!?」
絵里「飲んだ! 飲んだから、そんなに怒らないでぇぇ!!」
花陽「あれ? あのペットボトル……」
ことり「アルパカ小屋の方に飛んでっちゃったぁ……」
アルパカ(♂)「メー」
アルパカ(♀)「メー」
ヒューン……
アルパカ(♂)「メェー……?」
アルパカ(♀)「メェー……!?」
シュポンッ!
アルパカ(♀)「ゴボォォォォォッ!! ガバッ、グビッ、チョッギップルリィィィィィィィィィィイ……」
アルパカ(♀)「ゴクン……」
アルパカ(♂)「メェー?」
アルパカ(♀)「……」
アルパカ(♂)「メェー!! メェー!」
アルパカ(♀)「…………」
アルパカ(♀)「ニヤリ」
完
これにておしまいです。背中が痛いです
見てくださった皆さん、コメントくださった皆さん、ありがとうございました
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