穂乃果「明日があるさ」 (65)
※ほのうみです
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穂乃果「今日はみんな用事があるから別々になっちゃった」
穂乃果「私も生徒会の用事で残ってたんだけどね」
穂乃果「あ、海未ちゃんも弓道部の練習終わる頃かな?」
穂乃果「せっかくだし待ってようかな…」
穂乃果()ボケー
穂乃果(海未ちゃんまだかなぁ…)
~~~~~~~~
海未『穂乃果…?』
穂乃果『海未ちゃん!一緒に帰ろ!』
海未『待っていて下さったのですか…ずいぶん待ったでしょうに』
穂乃果『ううん、海未ちゃん待つの好きだからいいんだ』
海未『穂乃果…』キュン
穂乃果『さ、帰ろ?』
~~~~~~~~
穂乃果(なんてことになったりして…)ムフフ
キーンコーンカーンコーン
穂乃果「…あ、もう完全下校時刻過ぎてる…」
穂乃果「海未ちゃん穂乃果より先に上がっちゃったのか…」
穂乃果「帰ろ…」トボトボ
穂乃果「…明日があるさ」グッ
穂乃果「あー…雨だ」
穂乃果「折り畳み傘持ってきてよかったよ」
穂乃果「ん…あれは海未ちゃん…?」
海未「こんなに降るとは思いませんでした…」
海未「困りましたね…」ハァ
穂乃果(海未ちゃん傘忘れたのかな…)
穂乃果(これはもしかして……相合傘のチャンス!?)
穂乃果(…よぉし!一緒に帰ろうって誘うんだ!)
―5分後
穂乃果(一呼吸おこう…)
穂乃果(よぉし!)
―10分後
穂乃果(いやまて心の準備がですね…)
海未「うーん…止みそうにありませんねぇ」
海未「少し弱まりましたし、走って帰りましょう」タッタッタ
穂乃果「あ……」
穂乃果「行っちゃった…」
穂乃果「……私も帰ろ」トボトボ
穂乃果「……明日があるさ」ションボリ
穂乃果「今日は練習がお休みだったからにこちゃんたちと部室で話しこんじゃったよー」
穂乃果「もう夕方だし帰ろっと」タタタ
穂乃果「むむむ!あれに見えるは海未ちゃん!」
穂乃果(今日こそは一緒に帰ろうって声をかけるんだ…)
穂乃果(最近一緒に帰れてないし…)
穂乃果(あれ…?そもそもなんで海未ちゃん誘うのにこんなに緊張してるんだろう?)
穂乃果(穂乃果らしくないなぁ…)
穂乃果(朝の待ち合わせとかは普通にできるし、お昼の時とか休み時間も普通に話せるのになぁ…)
穂乃果(二人きりでってなるとなんだか意識しちゃう…)
穂乃果(も、もしかして…)
穂乃果(これが…これが恋する乙女ってやつですか!)ドキドキ
穂乃果(この甘くて酸っぱいキュンキュンな胸の痛み!)
穂乃果(やーん、穂乃果恥ずかしい///)クネクネ
穂乃果「…あれ?」
穂乃果「考え事してたらうちについちゃった…」
穂乃果「海未ちゃん家も普通の通り過ぎてきちゃった…」
穂乃果「…海未ちゃぁん」グスッ
穂乃果「…明日があるよね」ズズッ
穂乃果「今日は土曜日!練習もお休み」
穂乃果「今日こそ海未ちゃんと二人でお出かけするんだ!!」グッ
穂乃果「電話をかけるよ!」
穂乃果「で、でも…海未ちゃん忙しかったらどうしよう」
穂乃果「先に誰かと約束があるかもしれないし…」
穂乃果「あわわわ…」オドオド
穂乃果「…よし!」
穂乃果「迷ってるなんて穂乃果らしくないよ!」ソウダーススーメー
穂乃果「ていっ」レッツゴー
プルルルルル...
穂乃果(まだかな…)
プルルルルル...
穂乃果(早く出て!)
プルルルルル...
海未『はい、園田ですが』
穂乃果『う、ぅ海未ちゃん!』
海未『い、いきなりなんですか!?穂乃果!?』
穂乃果『ええと、その…』
穂乃果『今日暇だったらお出かけしたいなって思って…』
海未『どうしたんですか?穂乃果らしくもない…』
海未『特に用事もないので構いませんよ』
穂乃果『やったーー!じゃあ今から迎えに行くからね』プツッ
海未『ちょ!ほの…』ツーツー
海未「まったく、人の話も聞かずに…いつもの穂乃果に戻りましたね」フフ
海未「さて、準備しますか」
穂乃果「ふんふ~ん♪」
穂乃果「ふいー疲れたー」
海未「久しぶりに買い物したりして歩きましたからね」
穂乃果「あ、あそこのカフェで少し休憩しようよー」
海未「そうですね」
イラッシャイマセー
穂乃果「海未ちゃん何にする?」
海未「私はアイスコーヒーで」
穂乃果「穂乃果はカフェオレにしよっかな」
スイマセーン
・
・
・
穂乃果(落ち着いてよく見たらここ静かで人も少ない上にカップルしか居ない…)
穂乃果(…この空気に乗ってしまえば言えるんじゃ…)
穂乃果(よし!)
穂乃果「う…海未ちゃん!」バンッ
海未「は、はい!?何ですかいきなり…」ビクッ
穂乃果「私、海未ちゃんのこと、す…す…」プルプル
海未「す?」
穂乃果「す…すごい感謝してるんだ!」
穂乃果(ダメだった…)
海未「そ、そうなのですか?ありがとうございます」
穂乃果「いつも練習メニュー作ってくれたり作詞してくれたり、感謝しきれないよ!」
穂乃果(ここまで出てたんだけどなぁ…うぅ…)
海未「穂乃果がそんなこと言うなんて珍しいですね…雪でも降るんでしょうか…」
穂乃果「夏だよ!?」ガビーン
海未「ふふ、冗談ですよ。ありがとうございます、穂乃果」
穂乃果「むー…」
海未「穂乃果の意気地なし」ボソリ
穂乃果「?なにか言った?」
海未「いえ、なんでもありませんよ」
・
・
・
穂乃果「せっかくのデートでいい雰囲気だったんだけどなぁ…」シュン
穂乃果「…明日があるさ」ハァ
海未「1,2,3,4、5、6、7、8」パンパン
穂乃果「ほっ、ほっ、」
海未「はい、今日はこの辺にしましょうか」
穂乃果「ふいー疲れたー」
ことり「穂乃果ちゃんお疲れ様♪」
凛「今日も疲れたにゃー」グテー
にこ「だらし…ないわね…あんた…たち」ゼェゼェ
希「にこっちが一番疲れとるように見えるよ?」
海未「あ、穂乃果はちょっと残ってください」
穂乃果「へ?」
海未「まだ覚えきれていないステップが有りましたからね」
穂乃果「えぇー!?居残り練習ぅー!?」ガーン
海未「みなさんは先に上がってくださってて結構ですよ」
ことり「今日は私先に帰らなくちゃいけないから…ごめんね?」
絵里「みっちり海未にしごかれなさい」
凛「かーよちーん、ラーメン食べに行くにゃー」
花陽「えぇ、またぁ?」
穂乃果「うぅ…みんなぁ…」ガックシ
海未「さ、少し休んだらステップの復習ですよ」
・
・
・
海未「ふむ、コレならいいでしょう。あとは流れに合わせれば大丈夫そうですね」
穂乃果「あ…足が…うごかない…」プルプル
海未「お疲れ様でした」ニコ
穂乃果「あ///」ドキッ
穂乃果(やっぱり海未ちゃんはカッコイイなぁ…いや、可愛いのもあるけど…)
海未「…穂乃果」
穂乃果「はぇ?なぁに海未ちゃん」
海未「この前の喫茶店で、本当は何を言いかけたんですか?」
穂乃果「!」
穂乃果「えっと…それは…」アセアセ
海未「私は…いつまでも待っていますよ?穂乃果が勇気を出せるまで」
穂乃果「海未ちゃん…」
海未「だから、ちゃんとその口から聞かせてくださいね?」
穂乃果「…うん、もう少しだけ待ってて」
海未「いつもの穂乃果らしくないですね」クスクス
海未「必ず明日はやってくるんですから」
海未「さ、帰りましょう」
海未「すっかり遅くなってしまいましたね」
穂乃果「もうお腹ぺっこぺこだよー」グー
海未「もうすぐ着きますから頑張ってください」
....ォォォン
穂乃果「こんなことならランチパック買っておくんだった…」ゲッソリ
海未「太りますよ?」ジトー
...ォォォオオ
穂乃果「あ、靴紐が…」シャガミ
海未「ちゃんと結ばないからですよ…」テクテク
穂乃果「よし、海未ちゃんまってー」タッタッタ
海未「ほら、信号が変わる前に行きグシャア!!!
ドゴォォォン!!
シュウゥゥゥ.....
穂乃果「…う…みちゃん…?」
メラメラ
穂乃果「あ…あ…うわあああああああああああああああああああ!!!!!!!」
ジコダー
モエテルゾ!ショウボウシャヲヨベー
トラックガツッコンデキタ!
ヒトガマキコマレタミタイダゾ
オイ、キミ!アブナイカラコッチニクルンダ!
・
・
・
――園田家通夜会場
穂乃果「……」
ジコニマキコマレタンダッテ
マダワカイノニカワイソウニネェ
ことり「……穂乃果ちゃん…」グスッ
絵里「……あまり自分を責めてはだめよ…?」ウルウル
希「二人も…無理せんでな…」グスグス
ジコノシュンカンソクシダッタラシイワヨ
クルシマズニイッタノハフコウチュウノサイワイネェ
凛「海未ちゃん…信じられないよ…」グスグス
花陽「うっぅ……」ポロポロ
デモバラバラデメモアテラレナカッタミタイヨ
ジャアヒツギノナカガミレナイノハソウイウコトナノネ...
真姫「……海未…」グスグス
にこ「なんで…こんなところで勝手に死んでるのよ…」ウルウル
穂乃果「……いよ」
穂乃果「私まだ…海未ちゃんに言ってないよ…」ポロポロ
穂乃果「……言わなきゃ…」フラフラ
穂乃果「海未ちゃんに言わなきゃいけないんだ…」ブツブツ
~~~~~~~~~~~
コンコン
雪穂「お姉ちゃん…ご飯持ってきたよ…」
雪穂「……ここ、置いとくね」コトッ
雪穂「……食べないと…持たないよ?」
雪穂「お姉ちゃんまで……だら…私…」ヒック
・
・
・
穂乃果「…相対性理論を使ったとしてもなぁ…」ブツブツ
穂乃果「宇宙ひもを維持できる力なんて無理だろうし…」ブツブツ
穂乃果「物理的な思考じゃこの辺が限界かな…」ガサゴソ
~~~~~~~~~~
コンコン
希「穂乃果ちゃん…入るで」
ガチャ
希「…穂乃果ちゃん」
穂乃果「…希ちゃん」
希「みんな…心配してたで」
穂乃果「ごめん……」
希「せめて…ちゃんと何か食べんと…」
穂乃果「……」
希「海未ちゃんだって、そんな穂乃果ちゃん見たくないで…?」
穂乃果「……」
希「なぁ、穂乃果ちゃんには後悔…ううん、やり残したことが…あるんやろ?」
希「だからこんなにボロボロになって…調べたり考えたりしてるんよな?」
穂乃果「……うん。私は…海未ちゃんに言わなくちゃいけないことがあるの」
穂乃果「…それをやり遂げないと前に進むことができないよ」
希「そっか…」
希「ねぇ、穂乃果ちゃん」
希「もしね…その願いが叶うなら、例え二度と前に進めないほどの代償を払ってでも、やり遂げたいと思う?」
穂乃果「……」
穂乃果「……どのみちここに居たって何もできないなら…その方がよっぽどいいよね」
穂乃果「私にはもう、その道しか残されていないから」
穂乃果「それが本当に出来るなら…私、やるよ!」キッ
希「そっか…穂乃果ちゃんの顔見て安心した。ごめんな、試すような真似して」ニコニコ
希「これ、穂乃果ちゃんにあげる」スッ
穂乃果「懐中…時計?」
希「これはカイロスの時計って言ってな…まぁよく知られているカイロスの時計とは少し違うんやけど…」
穂乃果「???」
希「あっちのはあくまでフィクションのやからなぁ」
穂乃果「えと…初めて聞くんだけど有名なんだ…」ハハハ
穂乃果「カイロスって時間の神様の?」
希「そう。穂乃果ちゃんよく知ってるね。いろいろ勉強したん…?」
穂乃果「ま、まぁ…」
希「そういうことなら話は早いで」
希「この世界には大きく分けて二つの時間が存在するんよ」
穂乃果「二つの時間?」
希「客観的に、そして平等に流れる、まぁ一般的に言われている絶対的な時間。それがクロノス時間」
穂乃果「今こうしている時に流れている時間のことだね」
希「それとは対照的に、主観的、感情的な要因で時間のあり方が変わる…」
希「――たとえば楽しい時間は早くて、苦しい時間は長いと感じるようなものや」
希「そういう時間をカイロス時間と言うんや」
穂乃果「ふーん…」
希「これはそのカイロス時間をもとにしている時計。絶対的なクロノス時間の尺度では測れない特殊な時計なんよ」
希「この時計を使えば、自分の主観的な時間に干渉できる」
穂乃果「うーん…つまりどういうこと?」
希「簡単に言うと、穂乃果ちゃんの一番記憶に残っている時間に行ける言うことや」
穂乃果「!」
穂乃果「過去に戻るなんて、物理的にはどんなに頑張ってもできないってわかって…」
穂乃果「最終的には哲学的な思考の世界の出来事でしかないと思っていたのに…」
希「スピリチュアル、やろ?」フフフ
希「でも、それだけの大きな力が使える代物や。代償もとんでもなく大きい」
穂乃果「代償…そうだよね」
希「まず一つ目は、カイロスの時計を使ってしまうと、今いる時間軸からは完全に消滅することになるんや」
穂乃果「消滅!?」
希「これはタイムパラドックスを防ぐためというか、当然のことと言えば当然のことなんやけど…」
希「時間干渉できるようになるということは、自分の存在を一つの時間軸に留めておくことをやめるいうこと」
希「だからこそ、水に浮いた葉っぱのようにゆらゆらと何処へでも行けるようになる」
希「まぁその移動先の世界の自分になるわけやから、その世界での今までの自分の情報は残っているけれど…」
希「その時間軸から再び移動してしまうと、さっきまで居た時間軸での自分は同じように消滅してしまう」
希「時間旅行というのはそういうこと。自分の時間だけを歩み続けるから、絶対的な流れの中には二度と戻れないんよ」
穂乃果「……なるほど」
希「二つ目は魂の摩耗や」
穂乃果「た、魂?」
希「オカルトな話かもしれんけど、魂というものは確実に存在するんよ?」
希「魂というのもつまるところ宇宙のエネルギーなんや。で、宇宙のエネルギーというのは全て循環しているんよ」
希「宗教で輪廻転生といわれるのもあながち間違いではないんや」
希「うちらが死んでも、その魂のエネルギーは宇宙をぐるり巡って再び別のエネルギーとして再利用される」
希「もちろん次も人間とは限らんよ?星の輝きになるかもしれんし、宇宙空間を漂う分子になるかもしれない」
希「それでも再び何かのエネルギーにはなれる」
希「でも、カイロスの時計はその流れにさえ乗らないんや」
希「いや…乗れないという方が正しいかな」
希「本来輪廻の流れに乗るはずの魂エネルギーを削り、時間旅行をしているんや」
希「だから続けていくうちに魂は無くなってしまうし、輪廻の輪に戻ることもできない」
希「たった一人の時間、たった一人の宇宙の中で削られてそして、消える」
希「そんな冷たい運命しか未来にはなくなるんや」
希「それでも…穂乃果ちゃんはこの時計を使いたい?」
穂乃果「……私は…」
~~~~~~~~~
海未『私は…いつまでも待っていますよ?穂乃果が勇気を出せるまで』
海未『必ず明日はやってくるんですから』
~~~~~~~~~
穂乃果「私の…明日は…」
穂乃果「私の明日は、勇気を出したその先だよ!時間なんて関係ないよ!」
穂乃果「たとえそこには明日がなくても、そこが私の明日なんだ!」
穂乃果「明日が必ずやってくる保証なんてない…明日は自分で作るんだよ!」
穂乃果「それに…海未ちゃんが待ってるんだ!約束したんだ!」
穂乃果「だから…私、行くよ!」
希「……そっか」
希「強いね、穂乃果ちゃんは」
穂乃果「それにしても…どこでこんな知識をつけてきたの?それにこの時計も…」
希「まぁまぁ、そこはお姉さんの秘密ということで♪」
穂乃果「ミステリアス過ぎるよ…」ハハハ
希「みんなの女神のんたんに不可能はないんよ!」
穂乃果「……すごいなぁ」
希「それじゃ穂乃果ちゃん、手を伸ばして」
そう言って希ちゃんは穂乃果に時計を握らせた。
パァァ
穂乃果「時計が…光ってる…」
その光は大きく瞬いた後、穂乃果の胸の中に消えていった。
希「よし、これでこの時計は穂乃果ちゃんの魂と紐付けできた。いつでも時間旅行できるよ」
穂乃果「…ありがとう、希ちゃん」
希「ええんよ……むしろ辛いのは…本番はきっとこれからや。がんばってな」
希「どんなことであれ、定められた運命というのは…えげつなくて強い。負けないでな、穂乃果ちゃん」
穂乃果「希ちゃん…」ギュッ
希「ほ、穂乃果ちゃん!?」
穂乃果「これで今穂乃果は時間旅行したら…もうこの世界に穂乃果は最初から居なかったことになるんだよね…?」
希「…うん」
穂乃果「…ちょっとだけ、怖いかな」
希「穂乃果ちゃん…」
穂乃果「…でもね?」
穂乃果「希ちゃんたちは私のこと忘れちゃうかもしれないけど…私は希ちゃんたちのこと忘れないよ…」ギュッ
希「うん…」
穂乃果「ありがとう」スッ
穂乃果「それじゃ、行ってきます!」
希「…気をつけてな」
穂乃果(海未ちゃんのいる、あの場所へ!)
シュンッ
希「…行ってもうたか」
希「穂乃果ちゃんは本当に強い子やな…」
希「うちにはそっちを使う覚悟がなかったんよ」
希「その代わり、うちはずっと穂乃果ちゃんを…ううん、みんなを見てるから」ギュッ
希「――なぁ、クロノス?」ジャラ
にこ「希ー。こんなところで何してるのよ?」
希「にこっち」
にこ「…明後日からは通常の練習に戻るわよ」
希「…そっか」
にこ「リーダーの海未が居なくなったのは悲しいけれど…私たちがここで止まってしまうのを海未が望んでいるとは思えない」
にこ「私たち『7人』だけでもライブは続けていくわよ」
希「!」
希「…そう、やね」
にこ「それに…ここにいなくたってμ'sはいつまでも『8人』よ」
希「うん…うん……8人や…うちをいれて…」ポロポロ
にこ「…希」ギュッ
にこ「…今だけは泣いていいわよ」ポロポロ
希「にこっちぃ…」ポロポロ
・
・
・
穂乃果「うーん…ここは…」パチッ
穂乃果「学校の昇降口…」キョロキョロ
海未「どうしました?穂乃果?置いていきますよ?」
穂乃果「海未ちゃん!?」
海未「きゃあ!急になんですか大声あげて!?」
穂乃果「ほ、本当に海未ちゃんなんだね!?生きてるんだね!?」ガシッ
海未「な、何を言ってるんですかあなたは」
穂乃果「よかった…よかったよ…」ポロポロ
海未「ど、どうしたんですか急に…」オロオロ
穂乃果「海未ちゃん!!」ギュウゥゥ
海未「く、苦しいですよ穂乃果!」
穂乃果「もう離したくないもん!」モッギュー
海未「穂乃果///」
穂乃果「あのね、海未ちゃん…私、海未ちゃんのことが好き」
穂乃果「1人の女の子として、大好きなの」
海未「…穂乃果」
海未「やっと言ってくれましたね…」
海未「私も…大好きですよ」ギュウ
穂乃果「海未ちゃん…」ギュウ
・
・
・
海未「きょ、今日はもう遅いですし帰りましょうか」
穂乃果「そ、そうだね」
穂乃果(あ、靴紐が緩い…)
穂乃果(海未ちゃんに想いも伝えた。この靴ひももちゃんと結んで、信号も見送れば二人とも無事なはず…)
穂乃果(これで未来は…変わるよね)
・
・
・
海未「すっかり遅くなってしまいましたね」
穂乃果「もうお腹ぺっこぺこだよー」
海未「もうすぐ着きますから頑張ってください」
....ォォォン
穂乃果「こんなことならランチパック買っておくんだった…」ゲッソリ
海未「太りますよ?」
...ォォォオオ
穂乃果(トラックの音が…)
海未「さ、信号が変わる前に…」
穂乃果「待って!」
穂乃果「次の信号で渡ろうよ」
海未「?」
穂乃果「えと…もう少しだけ、海未ちゃんといたいかなって」テヘヘ
海未「穂乃果は甘えんぼさんですね」フフフ
海未「ええ、そうしましょうか」
グオオオオオオンンン!!!
海未「な、信号無視のトラック!?」
ガッシャァァァン!!!
ボワアアアアアアア
海未「か、火事になって…大事故に…」ガタガタ
海未「…もし今渡っていたら私たちは…」サーッ
クラッ
穂乃果「海未ちゃん!!」ガシッ
海未「す、すみません…少し目眩が」
穂乃果「大丈夫?少し休んでいこうか…」
海未「そ、それより事故の方は…」
穂乃果(海未ちゃんを守れた…)
ヒドイジコダ!!
ショウカキハ?ショウボウトキュウキュウハマダカ!!
海未「……ほ、穂乃果?」
穂乃果「なに?」
海未「…あのトラックが突っ込んだラーメン屋って…いつも凛たちが行ってるお店じゃ…」ガタガタ
穂乃果「…まさか……」バッ
ウーウー
ヒハキエタゾ!!
ナカニヒトハ??
テンシュトオキャク…ジョシコウセイガフタリイタゾ!!
海未「女子…高生…」
海未「…凛!花陽!!!」ダッ
穂乃果「海未ちゃん!!」ダッ
ウワーコリャモウダメダ
ソクシダッタナコリャ
海未「ど、どいてください!!」
海未「…な、音ノ木坂の制服……」
海未「…凛…?このかばんは…凛のもので…」
海未「この髪は…花陽…?」
海未「うぷっ」バッ
穂乃果「…そんな…どうして……」ヘナヘナ
穂乃果「海未ちゃんを助けるだけじゃだめだったの…?」ポロポロ
穂乃果「穂乃果は…海未ちゃんに告白して、無事に帰れればそれでよかったのに…」
穂乃果「こんなの…あんまりだよおおおおおおおおおお!!!!!!!」
穂乃果「変えなくちゃ…」
穂乃果「この事故を根本からなくすしかない…」スッ
パァァ
穂乃果「もっと前に戻らなくちゃ!」
・
・
・
・
・
穂乃果「ごめん!今日はお店の手伝いが入っちゃって!だから練習はお休みさせて!」
海未「わかりました。その分明日は厳しくしますからね?」
穂乃果「海未ちゃんの鬼ー!」ウルウル
穂乃果「えっと、あのトラックの会社は…」
穂乃果「あった!ちょうどあのトラックが出るところだ!」
穂乃果「すいませーん!!」
運転手「おっと、どうした?お譲ちゃん」
穂乃果(なんか体調がよくなさそうな顔色だ…)
穂乃果「いきなりこんなことを言うのは失礼とわかっていますが…」
穂乃果「夕方前には配達を切り上げた方がいいですよ」
運転手「どうしてだい?」
穂乃果「その時間…あなたは居眠り運転で音ノ木坂近くの交差点で事故を起こすんです…」
運転手「は?縁起でもねぇこというんじゃねぇよ…」ジロリ
穂乃果「ひっ!」
運転手「でもな…確かに体調も良くないし…ないとは言えねぇなぁ」
運転手「それにこんな可愛い子がわざわざ言いに来たんだ、何かあるんだろう」
運転手「わかったよ、気をつけて運転するよ。ダメそうなら他の奴に交代するよ」
穂乃果「ありがとうございます!…配達、気をつけてくださいねー」タッタッタ
運転手「なんだか変わった子だな…ん、そういやどっかで見たことあるなあ…」
社員A「あれ、知らないんですか?あの子最近話題になってる音ノ木坂のスクールアイドルの子ですよ」
運転手「あぁ、テレビで見たな、そういえば。へへっ今日はいい日になるかもな」
運転手「じゃあ行ってくるわ。15時には一旦帰ってくる」
・
・
・
そしてそのまま事故もなく夜を迎えた。
穂乃果「よかった…これで事故は無くなった…明日からこれで…」
~~♪
穂乃果「あれ?海未ちゃんから電話だ」
穂乃果「もしもし」
海未「穂乃果!大変です!!」
穂乃果「ど、どうしたの!?」
海未「絵里と希が…絵里と希が…」グスグス
穂乃果「…二人がどうかしたの?!」
海未「通り魔に襲われて…意識不明の重体なんです…」グスグス
穂乃果「…そんな…」サーッ
海未「今病院に向かうところです…他のメンバーにも連絡はしましたから…穂乃果も急いで下さい」
穂乃果「…わかった!」
・
・
・
結局、みんなが病院についたころには、二人とも既に息を引き取っていた。
なんでも、無差別犯で本当に偶然だったそうだ。
既に犯人は捕まり、犯行を認めており、開き直っているとのことだ。
穂乃果「…どうして…」ポロポロ
穂乃果「トラックで終わりじゃなかったの…?」
穂乃果「次はトラックを止めるのと一緒にその通り魔をどうにかしなくちゃ…」
シュンッ
通り魔をどうにかした次は、にこちゃんと真姫ちゃんが工事機材の下敷きになり、それを救うと、今度はことりちゃんの家が全焼。
それを救うと練習中に花陽ちゃんが熱中症になったまま帰らぬ人になり、それを救うと…
もう数え切れないほどの不運で、必ずμ'sの誰かが死んでしまう。
100回を超えるまでは必死だった。
500回を超えるまではとにかく一生懸命だった。
1000回を超える頃にはもうわからなくなっていた。
5000回を超えたあたりで考えることさえバカらしくなった。
10000回を超えたあたりで諦めてみた。
30000回を超えたあたりで考え直してみた。
50000回を超えたあたりで作業と哲学の狭間になった。
100000回を超えたあたりでようやく気付いた。
これだけ繰り返しても揺るがない事実に。
穂乃果「μ'sの誰かは絶対に死ぬ…これはもしかすると変えられない運命の力なのかもしれないね」
ループする前に希ちゃんがそんなことを言っていた気がする。
穂乃果「そういえば…穂乃果だけ死んでないね」
希ちゃんの言うように、輪廻転生の輪から外れたからなのか、それとも最初から私だけ当たらない運命なのか。
ここまで来てしまったらもうわからない。
最近は一つの時間への滞在時間が長くなった。
というのも、もう動き続けられるほど体力が残っていないのだ。
きっともう…この旅の終わりが近いのだろう。
私はこの旅で何を得られたのだろうか…
穂乃果「…疲れたなぁ」
この時間軸でも、果たしてメンバーは既に2人が死んでしまっている。
真姫ちゃんが階段から足を滑らせ打ち所が悪く、凛ちゃんは帰宅後家族で車で出かけてそのまま事故に…
穂乃果「私は何がしたいんだろう…」
もともと私がカイロスの時計を使うことになった理由はなんだったっけ。
考えながら握りしめた懐中時計は金属の擦れる音を発した。
そうだ、海未ちゃんだ。
海未ちゃんに告白できないまま死なれちゃって、それを伝えたかったんだ。
でも海未ちゃんを助けると他のみんなが死んでしまって…
それで海未ちゃんが悲しむし、何より私だって悲しいからそれを救う長い旅になってしまったんだ。
でももともとは海未ちゃんが私の原動力だ。
じゃあさ
海未ちゃんさえいればいいんじゃないかな…。
私が一番好きなのは、海未ちゃんなんだし。
そう思ってカイロスの時計に目をやる。
既に外装はボロボロ。ガラスにはひびが入り、針の動きも滑らかではない。
きっとこれが最後の時間旅行。
もう私の魂もとっくに擦り切れているのだろう。
終わりにしよう、これで。
全部全部。
海未ちゃんと二人だけで暮らしていくんだ。
そんな明るく、閉鎖的で、独り善がりな素敵な未来へ…。
カチリ
・
・
・
海未「穂乃果?どうしました?急に立ち止まって…」
夕暮れの校舎。
昇降口は人の気配もない。
ここは――
そうだ、一番最初に時間旅行した時に戻ってきたところだ。
何も考えずに時間を戻してここへ来るなんて、私もなかなか粋なことをする。
穂乃果「…海未ちゃん」
海未「はい?」
穂乃果「私ね、海未ちゃんのことが大好きなんだ」
穂乃果「1人の女の子として、大好き」
穂乃果「この前の喫茶店で言えなかった言葉はこれで全部だよ」
穂乃果「そして…穂乃果の言いたいこともこれで全部」
海未「…穂乃果」
海未「やっと…やっと言ってくれましたね…」
海未「私も…大好きですよ」ギュウ
穂乃果「海未ちゃん…」ギュッ
穂乃果「これでいいんだ、これで…」ボソリ
海未「?」
穂乃果「…今日はもう遅いし帰ろうか」
海未「そうですね」
穂乃果「あ、海未ちゃんの靴私が出しておくよ」
海未「ありがとうございます」
穂乃果「……」
それでもやはり、海未ちゃんの顔を見ると、濁った心は浄化されてしまう。
私はなんてお人好しなんだろう。
でも…こっちのほうが私らしいかな…なんて。
・
・
・
海未「すっかり遅くなってしまいましたね」
穂乃果「もうお腹ぺっこぺこだよー」
海未「もうすぐ着きますから頑張ってください」
穂乃果「こんなことならランチパック買っておくんだった…」ゲッソリ
海未「太りますよ?」
....ォォォン
海未「あ、靴紐が…」シャガミ
穂乃果「……ちゃんと結ばないからだよー」テクテク
海未「あ、穂乃果待ってください!」タッタッタ
穂乃果「海未ちゃん」
海未「…穂乃果?」
穂乃果「穂乃果ね、海未ちゃんのこと大好きだよ」
海未「…私だって大好きですよ?」
穂乃果「いろいろ考えたんだ」
穂乃果「最初は海未ちゃんだけいればいいかなって思ったんだ」
..ォォォォオ
穂乃果「でもやっぱりさ、海未ちゃんの笑顔を見てたら、それじゃダメだなぁって思ったんだ」
海未「…穂乃果」
穂乃果「きっと穂乃果がいろいろやったせいでこんな風にごちゃごちゃな運命になっちゃったのかもしれない」
穂乃果「きっとμ'sの誰かって言うのがカギだったんだよ」
穂乃果「今までの時間軸でも、誰か一人でもいいから犠牲になればそれでよかったんだ」
穂乃果「どうしてもっと早く気付かなかったのかな…」
穂乃果「いや、気づいていたのにそうしようとしなかったんだ」
穂乃果「だから、今回はそれを穂乃果が担えばいいかなって」ニコ
海未「穂乃果、何を言って…」
穂乃果「私のもともとの目的は海未ちゃんに告白すること」
穂乃果「それができれば明日がなくなってもいいって、決意したのに忘れてたんだ」テヘヘ
海未「いったい何の話ですか…?」
穂乃果「ごめんね、海未ちゃん。もう時間だよ。……大好きだよ、海未ちゃグシャアアアア!!!
ドゴォォォン!!
シュウゥゥゥ.....
海未「ほ…ほのかあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
これで…いいんだよ…
ありがとう…そしてごめんね?海未ちゃん。
私のわがままでこうなったのに、私のわがままでまたそれを終わらせるなんて…
結局わがままで振り回して終わりだったね…
・
・
・
あれ…ここはどこだろう
穂乃果死んじゃったはずなんだけど…
『そうやね、ここは消滅前の一瞬のモラトリアム』
ん?希ちゃん?
『穂乃果ちゃんにはそう聞こえてるんかもなぁ』
『残念ながらうちは希じゃないよ』
じゃあ誰なの?その怪しい関西弁はどう聞いても希ちゃんなんだけど…
『うちはクロノス』
『絶対時間の神にして観測者』
『希という子の魂と同化しているから、希に聞こえるのかもしれんね』
そっか、希ちゃんはクロノスの時計を持っていたんだね…
だからあんなに詳しかったんだ…
『ちなみに言うと、君も穂乃果ちゃんと違うで?』
そうなの?穂乃果は穂乃果だよ?
『君はカイロス。魂が穂乃果ちゃんと同化したから、記憶も全部引き継いでるんや』
そうなんだ。
…それで、私はこのまま消えるんでしょ?
魂も使い果たしたはずなんだし…何よりカイロスの時計も粉々だもん。
『消えるのとは少し違うかな』
『穂乃果ちゃんの魂はもう小指の爪ほども残ってない。だから穂乃果ちゃんの魂も記憶もこのまま消えてしまう』
ずいぶん時間旅行してきたもん。仕方ないよ。
『でも、カイロスは神様やからね。またカイロス単体となって残るんや』
そっか。神様だもんね、カイロスは。
『悲しかったり怖かったりしないん?』
ん?なんかもう納得できたというか…私にできるものは全部やりきったかなって。
燃え尽き症候群…みたいな?
『ふーん、穂乃果ちゃんは不思議やなぁ』
よく言われるよ、それ。
褒めてるの?
『まぁ褒めてるってことにしときー』
『そうそう、一つ穂乃果ちゃんに謝ることがあったんよ』
なに?
『うちな、実はこうなることはわかってたんや…』
そうなの?
『最初の海未ちゃんの事故は本当に偶然だった。誰も悪くない。何の陰謀ない。運命でさえもない』
『本当に偶然やった』
『でも、偶然とはいえその事象は起こってしまった』
『世界っていうのはな、起きてしまった事象をもとにバランスをとるんや』
『つまり、「海未ちゃんが死ぬ」ということで世界は定着し、安定してしまった』
うん…
『それを穂乃果ちゃんは力を使って海未ちゃんを救ってしまった』
『それは、建物の柱を引き抜くのと同じことなんよ。バランスが崩れてバラバラになってしまう』
そんなとんでもないことをしたんだ、私…
『でも世界っていうのは水みたいなもんで、欠けた部分は他の何かで補完しようとするんや』
『ものすごい勢いで、濁流のごとくそこを補完する』
『その時に働く「魔の手」のような、人為的にさえ感じる事象を人は「運命」と呼ぶんや』
へー…
運命って強いんだね。
『結局、「海未ちゃんが生存する」というイレギュラーは「μ'sの誰かが死ぬ」ということで補完されることになったんや』
『そういう運命が働いてしまった以上、それは穂乃果ちゃんでも止められへん』
そっか…だからどんなに手を使っても誰かが死んでしまう未来を変えられなかったんだ…。
『それでも穂乃果ちゃんはその補完先を悉く潰してきた』
『だからますます運命の力は強くなって…しまいには絡まりあってほどけなくなってしまったんや』
そうだったんだ…
でも、別に怒ってないよ?だってそれだけ強い運命ならもう他の事象で曲がることはないんでしょう?
『そうやな』
それを穂乃果が全部背負ったんだもん。もう大丈夫だよ。
穂乃果だって立派なμ'sの一員なんだからね!
『でも…最初から穂乃果ちゃんにそれを教えてれば…穂乃果ちゃんは死なずに済んだんよ…?』
ううん、だって海未ちゃんが居なくて…後悔し続けたまま生きてたって碌な人生じゃ無かったよ。
それなら、思い残すことなく消えていける方が何倍もいいよ。
後悔がないなんて言ったら嘘になるけど、それでも、今の自分に不満は無いよ。
『そっか…』
『あ、最後にもう一つだけ、大事なことを言うの忘れとった』
なあに?
『実はな、「μ'sの誰かが死ぬ」というのは、穂乃果ちゃんが死ぬことでで補完できたのはええんやけど、「高坂穂乃果が死ぬ」という事象は世界も考えておらんかったようなんや』
へ?
『高坂穂乃果が生きているということが、世界のバランスを保つ一つの要因でもあったというわけや』
『だから居なくなった「高坂穂乃果」をどうにかして補完しなきゃならんねん』
じゃあ穂乃果は戻るの?
『いや、ここにいる穂乃果ちゃんは跡形もなく消えなくてはならん。バランスがとれへんし、もう輪廻に戻れないんやから』
えー
『でも、新たなエネルギーで、1から「高坂穂乃果」を作ることになったんや』
『きっとそれは今の穂乃果ちゃんとは違う。でも、新しい穂乃果ちゃんも紛れもなく本物や』
『今の穂乃果ちゃん自体は消えてなくなるけど、ここまでの全ての宇宙、全ての時間軸に穂乃果ちゃんの痕跡がある』
『それらが素粒子以下のレベルででも影響し合って、もしかしたら最初の穂乃果ちゃんと同一のものになるかもしれん』
むー…穂乃果には難しくてわかんないよ
『まぁ平たく言えば、また戻れるかも知れんということや』
そうなんだ!
『まぁ期待せずに待ってるとええよ』
あ…そろそろ時間…みたい…
『そか…。本当にごめんな、穂乃果ちゃん』
ううん…最後に希ちゃんに会えてよかったよ。
『ありがとな、穂乃果ちゃん。うちはずっと忘れへんで』
うん、ありがとう希ちゃん。私も忘れないよ…
『クロノスやって』クスクス
サラサラサラ...
『さて、次の時間軸に生まれた穂乃果ちゃんはどうなっているのかな…』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
穂乃果「ふいー疲れたー」
海未「久しぶりに買い物したりして歩きましたからね」
穂乃果「あ、あそこのカフェで少し休憩しようよー」
海未「そうですね」
イラッシャイマセー
穂乃果「海未ちゃん何にする?」
海未「私はアイスコーヒーで」
穂乃果「穂乃果はカフェオレにしよっかな」
スイマセーン
・
・
・
穂乃果(落ち着いてよく見たらここ静かで人も少ない上にカップルしか居ない…)
穂乃果(…この空気に乗ってしまえば言えるんじゃ…)
穂乃果「う…海未ちゃん!」バンッ
海未「は、はい!?何ですかいきなり…」ビクッ
穂乃果「私、海未ちゃんのこと、す…す…」プルプル
海未「す?」
穂乃果「す…」
穂乃果(緊張して言葉が……)
穂乃果(やっぱり今回も無理なのかな……)
『――明日が必ずやってくる保証なんてない…明日は自分で作るんだよ!』
穂乃果(え?今のは……)
穂乃果(……よし!)
穂乃果「好きなんだ!大好きなんだよ!愛してる!」バンザーイ
海未「ほ、穂乃果///そんな大きな声で///」アセアセ
コクハクダー
カワイイネー
穂乃果「大好きだばんざーいだよ!私の彼女になってください!!」
海未「わ、私も穂乃果のことが大好きです///」
海未「ふ、ふつつか者ですが…よろしく…お願いします///」
パチパチパチ
オメデトー
・
・
・
・
・
希「ふふ、うまくいったみたいやね」
希「世界中の誰もが…当の本人たちでさえ、この二人が結ばれるまでに途方もない物語があったなんて知らないやろうなぁ」
希「スピリチュアルやね♪」
希「しかしなんちゅうか…穂乃果ちゃんらしい告白やなぁ」クスクス
絵里「希ー」タッタッタ
希「えりち」
絵里「もう、探したのよー」
希「ごめんごめん、なんだか幸せそうな気を追ってたらこんなところまで来てしまったんよ」
絵里「まったく、希らしいわね」クスクス
絵里「さ、帰りましょ」
希「うん!」
明日は黙っててもやってくる。
時が巡るのがこの世界の理である以上。
でもそれは望んだ明日ではないかもしれない。
もしも望んだ明日を手にしたいのなら、自分でかき分けて進み、その手に掴むしかないのだ。
穂乃果「海未ちゃん」
海未「はい?」
穂乃果「明日はあるし、私たちには夢もある」
穂乃果「でも、それは可能性でしかない」
穂乃果「叶えるためには自分から動かなくちゃ!」
穂乃果「夢を、明日を、掴むためにも、一緒についてきてね、海未ちゃん!」
海未「穂乃果とならどこへだって行けますよ」フフ
海未「海の底でも宇宙の果てでも、ね」
穂乃果「海未ちゃん!」モッギュー
海未「ほ、穂乃果///」
おわり
元々は「明日があるさ」の歌詞でほのうみやりたかっただけなんです。
気づいたら筆が勝手に進み、途方も無い話になってしまいました…
また何かネタが出てきたら筆をとります。
html化依頼出してきますね。
このSSまとめへのコメント
タイムリープと生死の設定使えば感動ものになるとかいう風潮
さあ最後の世界線での海未視点もいってみようか