勇者「たしか母さんは『王様が呼んでる』って言ってたんだけど」
魔王様「王様は王様でも“魔”王様だったと言うわけだ!残念だったな!」
勇者「こうして魔王は勇者によって滅ぼされたのでしためでたしめでたし」
魔王様「マジごめん勘弁して」
勇者「元々こうなる運命だったんだよ。諦めな?」
魔王様「勇者的には戦いの前に話合いを試みるのがセオリーだと思うの」
勇者「信頼していた母にまで騙され、勇者の心は荒んでしまったのさ」
魔王様「そこで頑張ってこその勇者でしょ!」
勇者「頑張って魔王を退治するよ!」
魔王様「争いからは何も生まれないって何で分からないんだアンタは!」
勇者「アンタはここに居ちゃいけない存在なんだ!」
魔王様「えいへーい!勇者ちゃんが何もしてないのに僕のことイジメてきまーす!」
勇者「違うもん!先に嘘ついたのは魔王くんの方だもん!」
衛兵「二人とも悪いところはあったんでしょ?互いにごめんなさいしてそれでおしまい。いいね?」
魔王様「うん……ごめんなさい」
勇者「まだだ!まだ―――終わってねえ!」
魔王様「えいへーい!勇者ちゃんが、勇者ちゃんがぁ…!」
魔王様「で、そろそろ本題に入っていい?」
勇者「よか」
魔王様「実はさぁー、最近暇でぇ――」
勇者「やはりあの時トドメを刺しておくべきだったんだ!」
魔王様「嘘ですマジごめんどうか剣をお納めください」
勇者「で、本当は?」
魔王様「折角魔王と勇者が男女なんだからラブラブしようぜ!」
勇者「で、本当は?」
魔王様「魔王の側について人間滅ぼそうぜ!」
勇者「で、本当は?」
魔王様「魔王と勇者でダベるだけです」
勇者「で、本当は?」
魔王様「いいえ」
勇者「次があると思うなよ?」
魔王様「はい」
魔王様「近隣の村が魔物の襲撃にあっているそうなので、勇者にはそれを調査してきてもらいたい」
勇者「そうしていると普通の王様みたいだね」
魔王様「えへへ…そうかな。ボク魔王なのに」
勇者「そう、あなたは王様ではないの。だから自分で行け」
魔王様「一人じゃ怖いよぉ」
勇者「良い歳なんだからトイレくらい一人でも平気でしょ?私もう寝るから」
魔王様「うん分かった……行ってくるね」
勇者「魔王、達者でね」
魔王様「うん………」
魔王様「そうじゃねえだろ」
勇者「クッ……やはりダメか…」
魔王様「勇者ならばその使命を果たすのだ」
勇者「私はなりたくて勇者になったんじゃない!」
魔王様「というと?」
勇者「トイレに出たgや窓から来た蜂を退治していたらいつの間にか勇者に仕立て上げられていたんだ……」
魔王様「今度倉庫の鼠退治してくんね?」
勇者「今日サボっていいなら」
魔王様「しゃーない自分等でやるか」
勇者「行ってらっしゃーい」
魔王様「倉庫の方な」
魔王様「つーワケだから村の方頼むわ」
勇者「倉庫の鼠と郊外の魔物が釣り合うワケないだろ!フザケんな!」
魔王様「王の命令が聞けぬと申すか!」
勇者「ああ!魔王の命令なんて誰が聞くもんか!」
王様「ただいまー」
衛兵「おかえりー」
勇者「・・・」
王様「魔王さん留守番ありがとねー」
魔王「いえそんな……」
王様「あっ、勇者ちゃん来てたの?ちょうど良いや。実は頼みがあってさ――」
勇者「マジモンの王様の頼みは断れないっすよ……」
魔王「巻き添えで同伴させられるとか酷くね?」
勇者「いっそ2人でバックレちまおうぜ!」
魔王「そんなことしたら家族親戚田中まとめて国から追い出されるぞ」
勇者「だよねー……」
魔王「働きに見合った報償はくれるってんだしもう腹ぁ決めようぜ」
勇者「よし!私サボるよ!」
魔王「そっちの道選んじゃらめぇっ!」
勇者「ちぃーす」
魔法使い「あら勇者、聞いたわよ。あなた王様から勅命を受けたそうじゃない」
勇者「耳の早いこってまあ」
魔法使い「で、それで何でまた私の家なんかに来てるのかしら?」
勇者「だってほら、勇者って言ったらやっぱり街の中探索しないと」
魔法使い「えっ」
魔王「おっ、冷蔵庫の中にコーラがあったぞ!」
魔法使い「ちょっ」
勇者「タンスの中に布の服が!」
魔法使い「待っ」
魔王「ゴミ箱の下から小銭が!」
魔法使い「でっ、出てけーっ!」
魔法使い「出て行って欲しいなら手伝えって脅された……」
勇者「魔法使いの家での惨劇が街中に知れ渡ってて他の家が探索できない……」
魔王「田舎は噂が広まるのが早くて困る」
勇者「つーワケで出ぱーつっ!とっとと用事終わらせてくよー!」
スライム「ぴきーっ!」
魔法使い「街を出て一歩目で魔物が……」
勇者「人語でおk」
魔王「スライムなら体組織変形させて話せるよね?」
スライム「ぷるぷる。ボク悪いスライムじゃないよ」
魔法使い「じゃあ何で出てきたんだろ」
勇者「そう、関係ないね。殺してでも押し通る」
スライム「ぶるぶる。この人悪い人だよ」
魔王「哀れスライム。人を襲おうとするから……」
魔法使い「魔王がそれでいいの?」
勇者「そうだ魔王」
魔王「どした?」
勇者「こう……村まで飛んでいける魔法とか無いの?」
魔王「無いなぁ」
魔法使い「せめて移動が楽になる魔法くらいはないの?」
魔王「あるけど自分にしか使えない」
勇者「じゃあ先に行って待っててー」
魔王「あいよーってそんな事してたまるか!」
勇者「なんだよ使えねぇ」
魔法使い「やっと村に着いた……」
勇者「疲れた……」
魔王「なんだよもうへばったのかよ」
勇者「一休みしたら私たちも手伝うから先に1人で探索しててー」
魔法使い「襲撃された廃村でも探索とか……」
魔王「やだよ俺1人でパシらされるの」
オーク「おんやぁ?お前等こんなところで何してるんだ?」
勇者「ありゃ?襲撃犯のお出まし?」
オーク「ヘッヘッヘ……命が惜しけりゃ――」
魔王「おいーっす」
オーク「げえっ、魔王!」
魔王「ジャンジャジャーン」
魔法使い「ど、どうすんのコレ?」
魔王「働きに見合った褒賞をくれるってんなら……」
勇者「そりゃあモチロン……」
オーク「うわぁあぁああぁぁっ!!」
魔王「南無三っ!」
魔法使い「あっ」
勇者「どしたー?」
魔法使い「どうせならコイツ等の住処の場所とか聞いておけば良かったなって」
勇者「あっ」
魔王「あっ」
勇者「誰か蘇生魔法とか使える?私は無理」
魔法使い「使えないよ」
魔王「同じく」
勇者「だよね。しゃーない、ココ探索して手がかり探そっか…」
魔法使い「そうだね…」
魔王「おーいこっちに生存者居たぞー!」
勇者「マジでー?どこ?」
魔王「この柱時計の中」
少女「・・・」
勇者「七匹の子山羊?」
魔王「怖ーいオークァミから隠れてましたなんつって」
少女「・・・」
魔法使い「引っ込んじゃったけど」
勇者「おのれ、魔王めぇ!!」
魔王「sorry...」
魔法使い「さて、魔物達の住処の手がかりも手に入ったことだし――!」
勇者「帰ろうか」
魔王「そうだな」
魔法使い「いやココはさっきみたいに軽くノしちゃうトコロじゃないの?」
勇者「いやだって頼まれたのは調査だし」
魔王「俺達はもう十分頑張ったさ……。それに」
少女「・・・」
勇者「こんな子を1人でココに置いていくワケにも行かないでしょ?」
魔法使い「それも……そうだね」
勇者「よし、それじゃ帰るよー!」
魔王「おー!」
秋田
勇者「いやあ、ルーr転位魔法って本当にいいもんですね」
魔法使い「街と魔王の家とさっき登録した廃村しか飛べないみたいだけどね」
魔王「やめてよ住んでたからって城のこと家とか言うの」
勇者「うっわ、もう日ぃ随分傾いてるなぁ」
魔王「んじゃ王様に褒美もらいに行くの明日でいっかー」
魔法使い「調査内容の報告に行くんだよ?分かってる?」
魔王「で、そっちの幼子の様子はどうよ?」
魔法使い「緊張が解けたのか寝ちゃったわ」
勇者「さすが善人面。子供を誑かすには打って付けだね」
魔王「俺はともかく勇者が子供にビビられるってダメじゃね?」
勇者「ヘッヘッヘ…これからも頼りにしてるぜぇ?」
魔法使い「なにこの悪事の片棒担がされてる感」
勇者「おっと待ちな嬢ちゃん!そのガキはここに置いていけ!」
魔法使い「え、良いの?」
勇者「良いっつーかだってさぁ…」
魔王「―――夕暮れ時、一人暮らしの魔法使いが身よりの無い幼子を家へと連れ帰る…」
勇者「どう見ても誘拐です。何の実験に使うのかな?」
魔法使い「誰がするかそんなこと!」
勇者「自分がそう言ったからって誰が信じてくれるのかなぁ~?」
魔王「お前って奴は……とうとう…」
魔法使い「アンタ等は信じてよ!むしろ身の潔白を証明するために動けよ!」
勇者「ま、そういうワケだ。大丈夫!その子の世話はちゃんと見るから!親が」
魔法使い「積極的に不安を増大させるのやめてくれない…?」
勇者「さて、と」
魔王「フハハハハ!」
勇者「何でまだ居るの?自宅帰りなよ」
魔王「どうせ明日また来なきゃならんだしどうせなら泊めて」
勇者「魔法使いの方いきなよ」
魔王「俺も子供と戯れたい。この身なりだと滅多にそんな機会ないからな」
勇者「魔王らしく甘言囁いてたらし込めば良くね?」
魔王「子供に近づく前に憲兵様がお近づきになってくれるよ!」
勇者「もう憲兵と戯れたら?」
魔王「そうして仲良くなったのが今の王様です……」
勇者「そこそんな繋がりだったの?」
魔王「泊めてくれるまで動かんからな!」
勇者「しょうがないなぁ。部屋片づけてくるからしばらくそこで待ってて」
魔王「良し!お泊まりイベント発生だな!」
勇者「騒ぐなヤカマしい」
魔王「こんなところで何をしている早く部屋を片づける作業に戻るんだ!」
勇者「はいはい」
魔王「ワクワク」
魔法使い「おや、魔王もう来てたの?早起きね」
魔王「違うよ、待ってるんだ」
魔法使い「何を?」
魔王「勇者がね……部屋片付けるからって。そしたら泊まれるって…」
魔法使い「私と別れたあと何してたのアンタ等」
勇者「ちぃーす」
魔王「!」
勇者「話し声が聞こえたと思ったらもう来てたのか。おはよ」
魔法使い「うんおはよう」
魔王「部屋は……お部屋の片付けは終わったの?ねえねえ?」
勇者「さーてよく寝たことだし王様に褒美賜りに行こうぜ!」
魔法使い「魔王哀れ…」
勇者「おるかー?」
王様「おるよー」
魔法使い「魔物による村襲撃の件でご報告に参りました」
王様「さすが勇者ちゃん早いね」
勇者「つーワケで王のご褒美おーくれ」
王様「カモン、ご褒美box!」
衛兵「はいこちら、宝箱となっておりまーす」
勇者「さてはて、何が出るかな、何が出るかな」
魔法使い「それでは褒美の方ご紹介お願いします」
勇者「棒きれと……小銭?」
魔法使い「えっ」
王様「ほら勇者ちゃん、折角そんなに勇者勇者してるんだからついでに追っ払ってきてよ」
勇者「えっ」
魔王「やっぱり僕には出来なかったよ……」
魔法使い「どうしたの?」
魔王「せっかく勇者の家に残って子供と戯れようとしたのに怯えられてしもうた……」
勇者「何だよコレ!何だよコレ!」
魔王「勇者機嫌悪くね?城で何かあった?」
勇者「棒と小銭渡して『追っ払ってきて』と抜かされたわ!」
魔王「マジかあの野郎!俺等のこと舐めくさってやがるな」
勇者「これどうせ仕事完遂しても次の褒美ちょっと強い剣1本とかなんだろうぜ!」
魔王「いっそ俺等3人で国傾けてやろうぜ」
魔法使い「ちょ待」
勇者「良いこと言うねさすが魔王!じゃあ早速――」
魔王「あっ、でも先に村襲撃した魔物は狩りたいんだが良いか?」
勇者「何、王に近づく口実でも作んの?」
魔王「違う違う。お前の家に居る子供、アレに懐かれなかったアイツ等のせいじゃん?」
勇者「私怨かよ。でも良いねえ……そっちの方が何かやる気出てくるわ」
魔法使い「嫌ーっ!私ここで降りるー!!」
勇者「私等の計画聞いたからには逃がすワケにはいかねえのよなぁ…」
魔王「まあ選択肢くらいはやるよ。生か死か、選べ」
魔法使い「非道い一択じゃないか!」
魔王「そうか……短い付き合いだったな…」
魔法使い「行く!行きます!お願い生きさせてぇ!!」
勇者「これからもよろしくね。魔物退治の褒美の剣はあげるよ」
魔法使い「要らねえ……」
魔王「と、そんなやり取りをしてる間に魔物アジトっぽい洞窟についたワケだ」
勇者「何その説明ゼリフ」
魔王「これくらいなら独白の範囲じゃね?」
魔王「モンスターびびってるぅ!ヘイヘイヘーイ!」
勇者「マップの隅々まで練り歩いてあげるから楽に逝けるようお祈りでもしてな!」
魔法使い「2人とも、洞窟崩落させるのだけはやめてよ…?」
魔王「まったく……人里1つを壊滅させたってんだから多少は骨のある連中かと思いきや」
魔法使い「親分的なのが凄かったとかじゃない?」
勇者「でもこの状況を見るに、ソイツ今居ないっぽい?」
魔法使い「この事を王様に伝えたら『ソレも探してきて』とか言われそうな…」
勇者「でも報告しないと無償奉仕じゃん?」
魔王「王様潰す前に貰える物搾り取っておかないとな」
魔法使い「うわぁ…」
魔物a「クソッ!俺達が束になってもかなわないなんて…!」
魔物b「誰だよ今代の勇者も魔王も腑抜けだとか言ったの!」
魔王「お前じゃね?」
魔物a「お、俺じゃねえよ!」
勇者「じゃあここは言い出しっぺの法則ということで」
魔物b「ハァ?ふざけ――」
勇者「ならシッカリ思い出してね?」
魔王「有力な情報を差し出したならば命くらいは助けてやろう」
魔物a「も、もう来やがったのかよ……」
魔物b「チッ、クショぉぉぉウっ!!せめて1人くらいはぁっ!」
魔法使い「っ!」
魔物b「でぃやぁあぁぁっ!」
魔法使い「きゃあっ!来ないで!」
魔物b「ガハァッ!」
魔物a「嘘だろ……見るからにひ弱そうな女なのに、一撃で…」
魔王「常日頃から勇者に付き合わされてりゃ、こうもなるわな」
勇者「どういう意味かねそりゃ。―――さてと、キミまで捨て身の特攻とかはやめてよね?」
魔物a「・・・」
―――――
勇者「あーあーまったく。情報もドロップアイテムも禄なのないとはさすが雑魚だね」
魔王「推測通りアレ等を率いてた奴が存在したって分かっただけマシだろ」
魔法使い「今更だけど、魔王的には魔物狩っちゃって良かったの?」
魔王「だって俺、魔力が凄い人外だから魔王って呼ばれてるだけだし」
勇者「そっちも渾名かよ」
勇者「そういや、魔物のアジト滅ぼしたワケだけどこの後どうする?王様ヤっちゃうの?」
魔王「魔物率いてた奴探すなら、既にネットワーク築けてる王様利用した方が良くね?」
勇者「なるほど。じゃあ王様は後回し、っと」
魔法使い「このまま先延ばしになり続けてくれればなぁ……」
魔王「ノリ悪いなぁ…国をどうこうした後その半分あげるからやる気出そうぜ?」
魔法使い「別に要らない……勇者ちゃんにあげるよ」
勇者「いや私も要らないよ。マツリゴトとかホント勘弁なんで」
魔王「待てよ俺も国全部とか持て余すんだけど」
勇者「じゃあ国傾けるのやめる?」
魔王「そうしちゃう?」
魔法使い「ホッ……」
勇者「じゃ王様を出来るだけ強請る方向にシフトってことで」
魔王「だな」
魔法使い「ですよねー……」
あっ、>>8だと魔法使い『勇者』って呼んでる
勇者「ところで魔王」
魔王「どうした勇者」
勇者「ちゃんとルーラの移動先を我等が故郷にした?キー操作間違えたりしてない?」
魔王「選択を誤った覚えはないが、何ならもう1回飛んでみるか?」
勇者「いやいい。それより私の家ってルーラの着地地点から東にx歩・南にy歩の位置のハズなんだけどさ」
魔王「勇者の歩幅を70cm、着地地点から家までの直線距離を140mとしたときxとyが取り得る範囲を答えよ」
勇者「ただしxとyは必ず正の整数である」
魔王「一応言っておくが勇者は上下左右――じゃねーや東西南北に真っ直ぐしか歩けないぞ」
勇者「一切の寄り道も許されずに帰ってくるんだよー」
魔法使い「えーっと2歩が140cmだから――っていやいや…」
勇者「さーて馬鹿やってないで状況確認だ。私の家が無い」
魔法使い「それ以前にこの区画一帯がボロボロのようね」
勇者「住民達は余所の区画か、まあこの規模なら城も開けてるだろうから…」
魔王「今なら火事場泥棒し放題じゃね?」
勇者「城までの道すがら素早くなら逃げ遅れが居ないかの確認で言い訳できそうね」
魔王「柵が焼失したりして踏み込めるようになった場所が狙い目だな」
魔法使い「……私、自分の家見てくるね」
魔王「んじゃ早速」
勇者「おい待てそこは私の家だ自分でやるわ」
魔王「なんでも1人で抱え込もうとするなよ、お前の悪い癖だぞ?」
勇者「おい待てそこは私の部屋だ何する気だお前!」
魔王「この家しばらく使えないだろうし色々持っていった方が良くね?」
勇者「おい待て迷わずクローゼットに直行するんじゃない!」
魔王「大丈夫だって誰が入手してもアイテム欄共通だから、な?」
勇者「『な?』じゃねえよ!」
魔王「何だ機嫌悪いな。腐っても勇者、これだけの惨劇が起きれば気も立つか」
勇者「そりゃそうだが今は違わい!おいこらやめっ――!」
魔王「いざ、オープン!」
少女「・・・」
勇者「・・・」
魔王「……クローズ」
魔王「やべっつい閉めちまった」
勇者「何でこんな所に隠れてるのあの子ー!」
魔王「慌てたお前の母親がウッカリ忘れていったとかじゃねーの?」
勇者「そんな無能な人じゃないやい!話しかける度ちゃんとセリフ変わるやい!」
魔王「つーかどうするよコレ?子供係もとい魔法使い呼んでくるか?」
勇者「そうだねそれじゃ魔王はそのままクローゼット押さえてて!」
魔王「いや俺が行くよ気まずい。ここ自宅なんだしくつろいでろよ勇者」
勇者「ここ壊れてます」
魔王「家を無くした悲しみに打ちひしがれる為に1人の時間が要るだろ?」
勇者「クローゼットの中にもう1人居るじゃん?ほら子供と仲良くなるチャンスだと思って!」
魔王「おいおい勇者ともあろうお方が天下の魔王様の前に幼子を1人で放置とか何事だ?」
勇者「まあまあ遠慮すんなって私はお前のこと信じてるから!じゃあな!」
魔王「行っちまった……あ、クローゼット押さえっぱなしだったわ」
魔王「・・・」
魔王「怯える相手をクローゼットに閉じこめるとかフラグバキバキじゃね?」
勇者「あー居た居た――ヘイ相棒!何か収穫はあったかい?」
魔法使い「私には……もう何も残ってないんだ……」
勇者「hahaha!全壊か、そいつぁ災難だったね!」
魔法使い「もう私のことなんて放っておいてよ!」
勇者「そんなこと出来るワケない!私にはあなたが必要なんだから!」
魔法使い「本当に…?」
勇者「マジマジ、こっちチョーヤバくてさー。ちょっとツラ貸して」
魔法使い「……で、何の用なの?」
勇者「そうそう、昨日保護したお子様が逃げ遅れてたから保母さん相手したってよ」
魔法使い「それくらいなら自分達だけでどうにか出来たんじゃないの?」
勇者「私の代わりに家捜しするかい?」
魔法使い「私の役目は小さな子供を悪影響を及ぼしそうなモノから遠ざける事であります!」
勇者「ほぅ…」
魔法使い「ごめんなさい調子乗ったね」
魔法使い「魔王が子供に押し倒される事案……」
勇者「まさか無理心中を持ちかけられるところまで関係が発展するとは予想外デス」
魔王「馬鹿言ってないで引き剥がしてくれ……」
魔法使い「お嬢ちゃん落ち着いて?ね?」
少女「――っ!」
魔王「しばらく寝ててくれ―――スリープ!」
少女「っ!―――…zzz」
勇者「スリプルとかラリホーの方が分かり易くね?」
魔王「何でも良か」
魔法使い「で、何があったの?」
魔王「ああ…その子が急に外国人もビックリの勢いで襲いかかってきてな」
魔法使い「身なりで魔物の仲間だと思われたとか?」
魔王「追いつめられた少女は魔王より凶暴だってか?」
勇者「まあ、その辺りの理由は本人に聞いてみようか」
少女「―――…」
魔王「これはこれはお嬢様、お早いお目覚めで」
魔物達「グルルル……」
魔法使い「魔物……!囲まれてる!」
少女「あなた達にはここで――」
魔王「キャアアアアシャベッタアアアアアア!!」
魔法使い「さっきの『っ』はノーカンなの?」
勇者「発音できないし」
魔法使い「そっか」
少女「・・・」
少女「聞きなさい!」
魔王「キャアアアア!!」
勇者「大丈夫大丈夫、ちゃんと聞いてるんで続けちゃってどうぞー」
少女「………。あ、あなた達にはここで死んでもらう!行けお前達!」
魔物達「シャアアアッ!!」
魔法使い「この魔物達、まさかあなたが操って…!」
勇者「そもそもここまで魔物を招き入れたのもアンタの仕業なのかな?」
少女「ええ、もちろん。何も知らずに保護する人達のアホ面は今思い出しても――」
勇者「そぉい!」
少女「なっ、話してる最中に切りかかってくるなんて!」
勇者「魔王!この辺りに人は!」
魔王「気配は無いな」
勇者「よし!誰かにバレる前にコイツを口封じするよ!」
少女「……アンタそれでも勇者なの?」
魔法使い「まさかの瞬殺…」
勇者「勇者と魔王だよ?こんなモンでしょ」
魔王「ヌルい…ヌル過ぎる……」
少女「う、うぅ……」
勇者「さて、後はアンタだけだけど…どうする?」
少女「じ、実は私はこの少女に取り憑いてるだけで肉体は人間のものだぞー」
勇者「教会まで行く間、抵抗しないようにしておかないとね?」
少女「嘘ウソ!待っ――」
勇者「こうして魔の手は去った……」
魔王「呼んだ?」
勇者「カ・エ・レ!」
魔王「(・ェ・)」
勇者「ちぃーす」
王様「おいすー」
勇者「魔物のアジト潰した褒美を要求する」
魔王「街に溢れてた魔物を追っ払った褒美も寄越せ」
王様「おkおk、ちょい待ち」
勇者「早く早くぅ!」
王様「しっかし街を襲った魔物、どこから湧いたんだか」
魔法使い「・・・」
勇者「うっ……」
王様「なー勇者、ちょいと調査して――」
勇者「ず、ずらかれー!!」
魔王「把握したっ!」
秋田。もう無理
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