~ 夜道 ~
段ボール「にゃおんにゃおん」
男「捨て猫か? ごめんな、ウチじゃ飼えないんだよ」
段ボール「にゃおんにゃおん」
ずざざざざざざー
男「……あれ? 飲み過ぎたかな?
段ボールが後から着いてきているような……」
ずざざざざざざー
段ボール「にゃおんにゃおん」
男「……」
段ボール「にゃおんにゃおん」
ずざざざざざざー
男「スルー安定だな……」
段ボール「にゃおんにゃおん」
ずざざざざざざー
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~ アパート・玄関 ~
男「で、そろそろお前が何を企んでいるのか、
きっちり面と向かって話を聞いておきたいんだが?」
狐娘「にゃあ」
ぴょこぴょこ
男「ドヒャー!? 人外だーっ!?」
狐娘「驚きすぎだにゃあ」
男「い、いや、またポルターガイストの一種かと……」
狐娘「ん? 『また』?」
男「そ、それよりもお前は狐……だよな?」
狐娘「そうだにゃあ」
男「語尾がおもっくそネコなのに?
狐はコンコンだよな?」
狐娘「……」
男「……」
狐娘「クウゥオォォン! クウゥオォォン!」
男「本格的だッ!?」
~ 居間 ~
男「それで、何で俺に付きまとう?」
狐娘「ワルモノ捜しの手伝いをしてほしいの」
男「ワルモノ?」
狐娘「うん、真っ黒で性根の腐った悪者(ワルモノ)」
男「なるほど、ならアパートを出て、道をまっすぐ行く、
すると交番が見えてくるから、そっち行け」
狐娘「違う、違うの。
警察が相手するのは人間だけ。
私の捜してるワルモノは人間じゃなくて、悪魔なの」
男「ほう、悪魔?
それはすごいなー」
狐娘「むっ、信じてない?」
男「いえ、メチャ信じてますよー?
だから早く帰れ」
狐娘「……信じないと叫ぶよ?」
男「……はい?」
狐娘「うら若き少女が、絹を引き裂くような悲鳴で、
『きゃー誰かー助けてー』って叫びまくるよ?」
男「そ、そんなことしたらお前も狐だって……」
狐娘「耳とシッポは隠せる」
ぼふん
男「あら本当」
狐娘「そこでもう一度言うね?
信じないと、叫ぶよ?」
男「……ごめんなさい、信じます」
狐娘「よろしい」
~ 狐娘の説明 ~
むかしむかし、あるところに高名な魔法使いがいました。
その魔法使いは銀を金に変えたり、不老長寿の薬を作ったりと、
稀有な才能をいかんなく発揮して魔術の発展に貢献しました。
しかし、高名な魔法使いは憂いていました。
魔術を発展していくには高位存在との接触が必要不可欠。
ですが、それら高位存在のすべてが人間に味方するわけではありません。
中には口先三寸で人間を言い包め、人間界で悪さを企む者もいるはずです。
そうなったとき、果たして誰がその凶行を止める事が出来るのでしょう?
高名な魔法使いは悩んだ末に、一つの解決策を思いつきました。
『ワルモノの名前と、問題が起きた時の対処用の術式、
全部まとめて本に書いて残しとけばいいじゃん?
ワシって天才!』
こうして、ワルモノ対策マニュアルが完成しましたとさ。
めでたしめでたし。
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