貴音「むーんらいとせっど」 (8)
超絶短い
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私は一人、月明かりが照らす道を歩きながら、今日あったことを思い出しておりました。
P『貴音、今日はどうだった?』
P『――いい日だったか?』
車中での会話。あの方から発せられる言葉はいつもの他愛のないソレではありませんでした。
貴音『……はい、あなた様。今日は良い一日でした』
P『……そうか』
私は今日この日あった、皆が私のことを想い、してくれたことを思い出しつつゆっくりと頷きました。
P『……』
貴音『……』
しばしの沈黙が私達の間に流れました。それは決して気分を害するようなものではありません。
お互いに想い合い、通じあっている。そのような沈黙でありました。
ですが……私は言わなければなりません。
私の前に、約束の日が来てしまった、と。
ふと、何の気なしに空を見上げると、そこには綺麗な月が私を照らしておりました。
見上げた月は、あの方と同じ言葉を私に投げかけているようでした。
『今日はどうだった?いい日だったかい?』
私はゆっくりと頷き、歩を進めます。
P『……そうか、本当に帰るんだな』
貴音『ええ、これはもとより決まっておりました』
P『そういや初顔合わせの時にそう言ってたっけな……』
貴音『……はい』
P『そう、か……』
私の頬に温かい雫が垂れていることに気が付きました。
いつの間にやら泣いてしまっていたようです。
あの人に見られては「みすてりあす」を武器に高みを目指していた者が涙など流すものではない、と笑われてしまうかもしれません。
P『…っ!……うっ!』
貴音『あなた様…泣かないでくださいまし』
P『…あ、ああ……わかってるよ、大の大人が情けないって言うんだろう?』
貴音『そうではありません、あなた様』
P『貴、音…?』
貴音『あなた様、……これは悲しい別れではありません』
P『……』
貴音『私達はまた必ず逢えるのです』
P『貴音…』
貴音『また逢えた時、私に教えて下さいまし』
貴音『皆と過ごした楽しい話を…必ず』
P『…ああ!もちろんだ』
貴音『朝日が昇るまで、ですよ』
これほどまでに明日が来なければいいと思ったことはありません。私は、まだ…
私はまだ、帰りとうございません……あの約束の地に…
明日が来なければいい、あの月が沈まなければ…
あなた様…私は、私はずっとあなた様の隣に居とうございます。
P『…ああ、必ずだ』
貴音『約束ですよ?』
P『約束するよ。俺はあの場所に、絶対お前に逢いに行く』
貴音『……ずっと、待っております』
絶対逢いに行ってやる。それまで、ずっと変わらずにいてくれ、貴音。
あの綺麗な、透き通った眼差しを失わないでくれ。
明日なんて来なければいい。
明日なんて来なければ、貴音は…
明日など来なければ、私は…
もう、明日はこんなにも近く…
世界が変わった、わけでもない。
なんでもない一日がまた始まった。
「おはようございまーす!」
でも明日のために、俺は精一杯今日を生きるよ。
「おう、おはよう。今日はレッスンだな、時間まで事務所にいていいぞ」
貴音、俺はお前とは違う道を行く。でもこれはきっとハッピーエンドなんだ。
これはきっとハッピーエンドなんだよ、貴音
おわり
dustboxというバンドのTomorrowという曲の歌詞をなぞっただけです
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