穂乃果「海未さん」 (44)


海未「...え?」

穂乃果「はい?」ニコニコ

海未「いや...え?」

穂乃果「はい?」ニコニコ

海未「あの...どうしちゃったんですか穂乃果?」

穂乃果「...何か変ですか?」

海未「いや変も何も...なぜ私をさん付けで...?」

穂乃果「あっ、すみません」

穂乃果「海未様!」

海未「も、元に戻って下さい穂乃果ぁーーー!!!」


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海未「どうしちゃったんですか穂乃果ぁ!頭でも打ったんですか!?」ブンブン

穂乃果「う、海未様...そんなに揺すられると...穂乃果は馬鹿になってしまいます...」ガクガク

海未「あなたは元から馬鹿でしょう!!」

穂乃果「あはは...そうでした。おこがましい発言をお許しください海未様」

海未「うおああああああぁぁぁ!!!!」

ことり「穂乃果ちゃんおはよぉ~」

海未「ことり、いい所に!!!穂乃果が!穂乃果がぁ!!」

ことり「あっ、おはようございます海未様。今日もなんて美しいのでしょう」

海未「うおおおああああああぁぁぁぁぁ!!!???」


海未「どうしちゃったんですか二人ともぉ!?いつもの二人に戻って下さい!やりづらいったらありません!」

ことり「...海未様?何をそんなに興奮していらっしゃるのですか?」

穂乃果「朝からこうだったの...。具合が悪いのかも」

ことり「なるほど...海未様。大事を取って今日は学校を休みましょう」

海未「学校は行きます!!
むしろあなた達が休んでいなさい!」

ことり「海未様の命令とあらば」

穂乃果「今日は休ませていただきます」

海未「やりづらい!!!すごく!!」



海未「分かりました二人とも...。
私をからかおうと言うのですね...」

ことり「え?」

海未「二人して私に意地悪して反応を楽しんでいるんでしょう!」


ことり「そ、そんな海未様!」

穂乃果「私達そんなつもりは!」

海未「ええい学校に行けばわかる話です!!行きますよ!!」

ことり「お供します!」

穂乃果「一緒に行かせて下さい!」

海未「...はやく学校に行かなくては。頭がおかしくなりそうです!」

海未「(あれ?でも今日学校無かったような...?まあいいです!)」


キャーウミサマヨ

キョウモカッコイイワー

ステキネー


海未「...」

ことり「さすが海未様、今日もギャラリーがこんなに」

穂乃果「これも海未様の人気と人望が成せる技ですね」

海未「たかが登校なのにマラソン大会みたいになってるじゃないですか!!恥ずかしくて死にそうです!」

ことり「海未様死んでしまうのですか!?」

穂乃果「いやです!!私達を置いていかないで!」

海未「例えですよ!!
泣かないでください!!」

海未「(二人のいたずらにしては規模が大きいですね...。いやしかしこれくらいなら神モブの力で十分実現は可能でしょう!)」


ことり「海未様学校に着きました」

穂乃果「段差に気を付けてください」

海未「分かっています...!はやく絵里の所に行きますよ!」

ことり「絵里ちゃんですか?」

海未「そうです!
あなた達では話になりません!生徒会長を務めるしっかりした絵里ならこんなおふざけを辞めさせてくれるはずです!」

穂乃果「え?いやでも生徒会長は」

海未「騙そうったって無駄です!
さあ生徒会室に着きましたよ!失礼します絵里!」


ガチャ


絵里「ドアくらいなら私が開けますよ、生徒会長様」

海未「」


海未「え...絵里...」

ことり「遅いよ絵里ちゃん。
せっかく海未様が探してたのに、今までどこにいたの?」

絵里「まぁ...生徒会長様が直々に私を探してくれていたなんて...。
すみません生徒会長様、なんなりと用件を...」

海未「頭の整理が追いつかないのですけど...あなたは絵里...ですよね?」

絵里「はいもちろん!あなたの絵里です!」

海未「というか...さっきから私のことを生徒会長と呼ぶのは...一体どういうことでしょう...?」

絵里「...そのままの意味ですが?」

ことり「海未様はこの音ノ木坂学園でもっとも尊い存在」

穂乃果「生徒会長になるのは当然ですよ!」

海未「何を言ってるんですか...何を言ってるんですか...!!!」


海未「流石に嫌な予感がしてきました...!!誰かまともな人間はいないのですか...!!」

絵里「生徒会長様?何かお困りでしたらこのポンコツに言いつけてくだされば...」

海未「あなた今回はやけに賢いですね!久しぶりに見ましたよまあ根本的にポンコツなんですが!!」

絵里「あ、ありがたきお言葉...!」ホロリ

海未「馬鹿らしくなってきました...ええと...希...は一緒になってふざけそうですし...」ブツブツ

希「...」スッ

海未「凛も駄目ですね...存在自体がおふざけのような物です...」ブツブツ

凛「...」スッ

海未「他に誰かしっかりしてそうな...ってうわぁ!いつから後ろに立ってたんですかあなた達!」

希「呼ばれたので」

凛「馳せ参じました」

海未「呟いただけで来るのですか!ちょっと便利ですね!!」


希「何かご用件が?」

凛「私達でよければ喜んで承ります」

海未「あなた達敬語になったせいでアイデンティティ崩壊してるじゃないですか!!」

海未「あなた達に言うことは無いって言ったんですよ!」

希「そ、そんな...」ガクッ

凛「海未様に命じてももらえないなんて...もう凛は生きる価値を見失いました」

希「どうか海未様の手で介錯を」

海未「出来るわけないでしょう!!」


穂乃果「海未様、そろそろ授業が」

海未「ああそうですね...ってやめてください穂乃果らしくもない!」

穂乃果「ええと...?
私はどうすれば?」

海未「いつも通りでいいんですよいつも通りで!」

穂乃果「いつも通り...?」

絵里「...海未様、そろそろいつものアレをお願いします」

海未「はっ!?え?なんですか?
いつもの...アレ!?」

希「そうです。招集された以上アレが無ければ私達は自分の持ち場に戻ることができません」

凛「お願いします海未様!」

海未「えっ...えっと...えぇ....?
あぁ、はい。大丈夫ですよ。
いつものアレですよね...?」

海未「...」

海未「...解散ッ!!!」


~授業中~


海未「(おかしい...おかしすぎます...)」

海未「(これはもう二人のいたずらという範囲におさまっていません...教室に入っただけでクラスメイトが押し寄せる始末でした...)」

海未「(おかしい...なにより一番おかしいのが...)」チラ

穂乃果「...」カリカリ

海未「(穂乃果が真面目に授業を受けている...!!)」

海未「(この園田海未、人生で一番の驚きと言っても過言ではありません...)」

海未「(こんな状況とはいえ穂乃果が自発的に勉強してくれるなんて...)」ホロリ

穂乃果「海未様」チョンチョン

海未「えっ?あ、なんですか?」

穂乃果「当てられています」

海未「...え?」

穂乃果「先生に当てられています」

海未「...あぁっ、すいません!」ガタッ

教師「うん、素直に謝れるなんてさすが園田だ。みんな拍手!」

パチパチパチパチ

パチパチパチパチ

海未「...なんでしょうコレ」


~お昼~


穂乃果「はい海未様、あーん...」

海未「...なんのつもりですか」

ことり「あっ、海未様お口にケチャップが」

海未「あぁどうも...ってやめてください子どもですか私は!」

穂乃果「海未様...食べてくださらないのですか...?」ウルウル

海未「...っ!
食べます食べます!食べればいいんでしょう!」

穂乃果「...!はいっ、あーん!」

海未「あーん...」

海未「(なんだか...これもいいものですね...。いつもは意地を張って断ってしまうのにこの穂乃果達は怒らずに食い下がってくれます...)」

海未「(ってなに考えてるんでしょう私は!ダメですしっかりしてください!)」

穂乃果「美味しいですか?」

海未「美味しいです!」


~放課後~


海未「穂乃果、ことり。
部室に行きますよ」

穂乃果「はい」

ことり「やっといつもの海未様らしくなりましたね」

海未「まぁ...はは。行きましょう」

海未「(正直少しだけ慣れてしまいました...)」

海未「(しかしこの世界では私は何をしても許されるのでしょうか...こんなことがあっていいのでしょうか」

~部室~


絵里「海未様、ご無事でよかった...。私、海未様と離れている時間を千秋にも感じておりました」

希「海未様、また一段とスピリチュアルです」

凛「凛はこちらの海未様も好いております...」

海未「あなた達なんかキャラ取り戻してきてません?」


海未「でも良かった...μ'sはちゃんとあるのですね」

ことり「もうっ、当たり前じゃないですか」

絵里「μ'sの無い生活など、考えられませんもの」

海未「ふふ、どんなに変わっても、やはりみんなはみんなのままですね。すこし安心しました」

海未「穂乃果が作ってくれたμ'sが、無くなってしまうハズありませんよね...」


穂乃果「えっ」

ことり「えっ」

絵里「えっ」

希「えっ」

凛「えっ」



海未「...えっ?」


海未「な、なんですかその反応は。
私なんか変なこと言いました?」

穂乃果「いや..."穂乃果がμ'sを作った"...ってところが...」

ことり「それは違うような...」

海未「そ、そんなはずないです!
μ'sの発端は間違いなく穂乃果ですよ。忘れたんですか、穂乃果の「私やる!やるったらやる!」ってセリフを!」

絵里「それは海未様のセリフじゃないですか」

海未「...は?」

希「後世に残る名言ですね。
さすが海未様」

海未「...え?」

凛「だってμ'sを作ったのは、間違いなく海未様じゃないですか!」

海未「えええええええっっっ!?」


海未「ありえません!
え!?そんな、過去まで変わってしまっているのですか!?」

ことり「海未様、またお具合がよろしくないのですか...?」

海未「平気です!
ていうかちょっと待ってください!
私がμ's結成するわけないじゃないですか!「アイドルは無しです!」これが私のセリフだったはずです!」

穂乃果「それこそ私のセリフですよ~」

海未「あなたは敬語じゃないでしょう...って敬語でしたねこっちの世界では!」

希「海未様、μ'sは海未様の為のチームです。海未様が始めたに決まっているでしょう?」

海未「わ、私の為のチームぅ!?」

凛「今までの曲は全部海未様がセンターですし」

海未「嘘つかないでくださいむしろ殆ど無いでしょう!!」

絵里「皆で叶える海未物語...」

ことり「叶え、海未様の夢...!」

海未「もはや宗教じゃないですか!!」


海未「ええっ!?じゃあμ'sの名付け親は!?」

希「海未様です」

海未「μ'sの衣装を作っているのは!?」

ことり「海未様です☆」

海未「バレリーナだった経験を生かしてμ'sのダンスレベルを底上げしてくれたのは!?」

絵里「海未様ですね」

海未「さすがに無理があるでしょう!」

凛「素人にしか見えないと言われた時は少し傷つきました...」

海未「私はそんなこと言いませんよどこのロシアですか!」


海未「そ...そんな...私達の一年間が...」ヘナヘナ

穂乃果「海未様!?」

海未「...ハッ」

海未「そういえば!これで全員じゃないでしょう!?」

ことり「え?」

海未「メンバーですメンバー!
ここにいる以外のメンバーはどうしたのですか!?」

絵里「あぁ、真姫とにこですね。
真姫は勉強が忙しくて、にこは家庭の事情で欠席です」

海未「そ、そんな、
ライブが近いのですよ!?意識の高い二人が休むはずありません!」

海未「それに...花陽!
花陽は!?花陽はどこです!?」

凛「...花陽?」


絵里「...花陽とは?」

ことり「そんなメンバーいましたか?」

海未「ッ!!とぼけないでください!!
流石に怒りますよ!」

絵里「すっ、すみません...」

海未「凛!花陽です!
あなたの親友でしょう...?」

凛「えっと...ごめんなさい...凛...本当に分からなくて...」

凛「だってμ'sは...8人でμ'sで...」

海未「ふざけないでください!
μ'sは9人で初めてμ'sです!そうでしょう希!」

希「えっ...海未様がそこまで言うのなら、メンバーを追加しますが...」

海未「ッ...!
もういいです!!」

穂乃果「海未様、どこに!」

海未「着いて来ないでください!
あなた達は最低です!」


海未「アルパカ小屋になら...いるかもしれない...!」

海未「!」

海未「花陽!」


花陽「...?」

花陽「...!?えっ!?えぇっ!?」

海未「よかった...いるにはいるのですね...本当によかった...」

花陽「海、海未様...!?
本物...!?なんで花陽なんかの所に...」

海未「...あなたも同じなのですね。
さすがにメンタルがキツイです」


海未「何から言えばいいのか...。
花陽、μ'sを知っていますか...?」

花陽「も、もちろんです!
海未主体のユニット、μ'sを知らない人間なんてこの学園にいませんよ!」

海未「そうですか...
では、メンバーになってみる気はありますか?」

花陽「....えっ?」

花陽「えええええええっっっ!?」

海未「驚くことではありません。
私はあなたと踊りたいんです。あなたのいないμ'sはμ'sじゃないんですよ...!」

花陽「そ、そこまで言ってもらえるなんて...花陽は明日死んじゃうかもしれません...」

花陽「でも海未様、お言葉は大変嬉しいのですが...お気持ちだけ頂戴します」

海未「な、なんでですか...!?」

花陽「...それは」

絵里「それは彼女が自分の身を守る為です」

海未「絵里...!?」


海未「ついてくるなと言ったはずです!」

絵里「海未様、あなたはご自分の立場を分かっていないようですね」

海未「...どういうことです」

絵里「海未様、この学園の生徒はいわば全員があなたのファンと言っても過言ではありません。」

絵里「なかには過激派のファンや不正を行ってまで海未様とコンタクトを取ろうとする輩もいます。」

絵里「一人で学園をうろつくことはさすがに見過ごせません」

海未「しかし」

絵里「お怪我をなさるかもしれないのですよ!?海未様の言いつけを破ったことは謝ります!どんな処罰も甘んじて受けましょう」

絵里「海未様がお怪我をなさる危険性を拭うことが、私一人の処罰で済むのなら安いものですから...」

海未「...絵里」


海未「花陽が自分の身を守るためにμ'sに入れない...というのはどういうことです」

絵里「...μ'sに加入した者は、言ってしまえば酷い嫌がらせを受けます。
海未様の近くにいれない者の僻みです」

絵里「それでも耐えられたメンバーが今のμ'sです。彼女...花陽にはその試練を耐え続ける自信が無いのです...」

花陽「...私は、見ているだけで充分ですから」

海未「...そんな、花陽...」

絵里「正直、海未様と二人きりで話してしまった時点で彼女は嫌がらせの対象でしょう」

海未「!?
そんな...!!」

絵里「安心してください。
私達がなんとかします。さぁ、小泉さんこちらへ...」

海未「花陽...」

海未「...」

海未「ごめんなさい...」


~公園~


海未「結局練習する気も起きず一人でこんな所に来てしまいました...」

海未「...一体どうなっているんです...この世界は...」

海未「初めは少しだけ楽しんでいる自分がいました...しかし、今までのμ'sも、今までのメンバーもいないなんて」

海未「...こんな世界....!」

海未「...でも、みんなこの世界で生きています...」

海未「絵里も、口調や立場が違うだけで、基本は同じです。きっと元の絵里だってあの状況なら同じようにしたはず...」

海未「穂乃果もことりも人懐っこさやあの笑顔は変わっていません...私だけが...置いてけぼりです...」

海未「うう...」

穂乃果「...海未様」


海未「ハッ!?
ほ、穂乃果...!?」

穂乃果「海未様、泣いているのですか...?」

海未「...今更隠しても仕方ありませんね。少しだけ悲しいことがありまして」

穂乃果「私でよければ聞きますよ」

海未「穂乃果、あなたは自分以外の人間がみんな一斉に変わってしまったらどう思いますか...?」

穂乃果「...そうですね。
海未様が突然変わってしまったら...それは胸が張り裂ける思いでしょうね」

海未「...もしそうなったら、あなたはどうします?」

穂乃果「...元に戻そうと奮闘するでしょうね」


海未「...ですが、変わってしまった皆はその変わった世界で楽しく生活しているのですよ?...私にはそれを壊すことなど...できません」

穂乃果「...関係ないですね。
私にとって海未様は最も大切なもの。
大切なものを失ってしまったら、取り戻そうとするのが普通でしょう?」

海未「穂乃果...」

穂乃果「海未様は優しすぎます。
いつもいつも他人のことばかりで自分の意見は後回しで...」

穂乃果「他人の夢にはなんだかんだ協力しようとするくせに、自分のこととなるといつも控えめなんだもん」

海未「....!」

穂乃果「今日は海未ちゃんの日。
海未ちゃんが望めばどうとでもなる日だよ?」

海未「穂乃果、あなた...!」

穂乃果「ほら、海未ちゃん。
諦めないで、答えて?
海未ちゃんの最も大切なものは何?」

海未「私の...最も大切なもの...」

海未「そんなの...決まっています...」

海未「私の望みは.....」

ーーー
ーーーー
ーーーーーー

ーーーーーー
ーーー




ねえことりちゃん
海未ちゃんまだ寝てるよ?

ふふ、もう少し寝かせてあげよ?

あらあら、海未が居眠り?
珍しいこともあるものね

寝てる最中にワシワシで起こしたろかな~?

あんた...どうなっても知らないわよ

はぁ、とにかく誰か起こしてあげなさいヨ...もう下校時刻になっちゃうわよ?

あれ?なんか海未ちゃん寝ながら泣いてるにゃー!

本当だ...悲しい夢でも見てるのかなぁ?


むむっそれは大変だ!
起こしてあげないと!


穂乃果「海未ちゃん!」




ーおしまいー

完結ですー

海未の日のうちに終わらせたかったんですが無理でした。
急ぎすぎてにこまきを出せなかったのが残念です。ありがとうございました。

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