千早「プラネタリウム」 (37)
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事務所
ガチャ
P「ただいま戻りました…っと!?」
千早「あ、プロデューサー。おかえりなさい」
P「ち、千早…どうしたんだその格好は」
千早「え? あぁ、これですか…似合いますか?この浴衣」フリフリ
P「あ、あぁ…よく似合ってるぞ。でも、どうして浴衣なんか…」
千早「春香に夏祭りに行こうって誘われて…わざわざ持ってきてくれたんです。着付けまで教えてくれて…春香はまだ着替えてますけど」
P「夏祭り…そういえば神社でやっていたな。かなり賑わっていたぞ。というか、アイドルのお前らが行くと大騒ぎになるんじゃないか?」
千早「変装はしていきますけど…髪型を変えるだけじゃだめですか?」
P「そうだな…ちょっと待ってくれ。えーと、確かここに…」ガチャガチャ
P「あった。これを掛けていけ」
千早「眼鏡…ですか?」
P「伊達眼鏡だから掛けても大丈夫だ。それならバレないと思うぞ」
千早「ありがとうございます」スチャ
<ワタシモメガネホシイデース
P「春香は…リボンを外していけば大丈夫だと思うぞ」
<ヒドイ!ムコセイダッテイイタインデスカ!
ワハハ…
神社への道
ガヤガヤ ワイワイ…ドォーン ピーヒャラピーヒャラ
春香「もう聞こえる…本当に盛り上がってるんだね!」
春香「千早ちゃん、祭りですよ!祭り!」
千早「えぇ、本当ね」
キャッキャッ…ママーモウチョットダケー ダメヨモウカエラナイト
千早「子供たちはもう帰る時間なのね」
春香「そうだね、もう暗くなりかけてるからね、ちかたないね」
千早「それは亜美のマネかしら?それとも真美?あまり似てないわよ」
春香「のワの」
_夕月夜顔だす 消えてく子供の声
キャッキャッ…オネーチャンソレチョーダイ ダメ、アゲナイヨ
千早「…!」
春香「どうしたの?千早ちゃん」
千早「…いえ、なんでもないわ。いきましょ、春香」
千早(……優)
千早(あなたも、この夏祭りを見ているのかしら)
_遠く遠く この空のどこかに
_君はいるんだろう
……………………
優『着いたよ、お姉ちゃん』
千早『ハアッ…ハアッ…どうしたのよ、急に公園まで引っ張ってきて…お母さん心配してるよ』
_夏の終わりに2人で抜け出した
優『上、見てごらん』
_この公園で見つけた
千早『…星が、こんなに』
優『すごいでしょ?ほら、あれが夏の大三角形だよ』
……………………
_あの星座 なんだか覚えてる?
千早(デネブ、ベガ、アルタイル…だったかしら)
_会えなくても記憶をたどって
_同じ幸せを見たいんだ
千早(懐かしいわね…あの頃はただ歌が好きで。優がいて。お母さんとお父さんがいて)
千早(もう…どのくらい前のことかしら)
_あの香りとともに花火が
_ぱっと開く
_行きたいよ 君のところへ
千早(…優に会いたい)
千早(もう一度、優に会いたい)
_今すぐかけだして行きたいよ
_真っ暗で何も 見えない
千早(どうすれば会えるのかしら…)
春香「…千早ちゃん?千早ちゃん!」
千早「!…えぇ、ごめんなさい。それで?」
春香「なに言ってるの?ほら、空が…」
千早「空?……!」
千早(きれい…東京でこんなに星が見えるなんて)
_怖くても大丈夫 数えきれない星空が
_今もずっと ここにあるんだよ
千早(この星空を辿って行けば、もしかしたら…)
千早(…いや、だめよ)
千早(優は…もういないのだから)
千早(もう…いないのよ)
_泣かないよ 昔 君と見た
_きれいな空だったから
ガヤガヤワイワイ…コツ…コツ…ガヤガヤワイワイ
春香「ここを登れば到着だよ」
千早「えぇ…祭り、盛り上がっているわね」
_あの道まで響く 靴の音が耳に残る
千早「…春香、少しいいかしら」
春香「いいけど…どうしたの?」
千早「いえ…後ろが」
春香「後ろ?…わあっ、きれいな街明かり!すごいね千早ちゃん!」
『すごいね、お姉ちゃん!』
千早「っ!…えぇ、本当ね」
_大きな 自分の影を
_見つめて 想うのでしょう
千早(優を否定したいわけじゃない)
千早(遠ざけたいわけでもない)
_ちっとも 変わらないはずなのに
_せつない気持ちふくらんでく
_どんなに想ったって君は
千早(優は私にとって大切な存在。それは変わらない)
_もういない
千早(…それでも、会いたい)
_行きたいよ 君のそばに
_小さくても 小さくても
千早(無理だとは分かっている。それでも、できるなら…)
千早(優は、私の歌の源だから。すべてだから)
_1番に君が好きだよ 強くいられる
春香「あっ!千早ちゃん、あれ!」
千早「!…えっ?」
キラッ
春香「ほら、流れ星だよ!」
キラッ
千早「…!」
千早(…もう一度優に会わせてください。できるならば」
_願いを流れ星に
_そっと 唱えてみたけれど
春香「千早ちゃん、お願い事はした?叶うかなぁ…私の願い…」
千早「お願い事…」
もう一度優に会わせてください
千早(っ…!だめじゃない)
千早(そんなこと…叶うわけないのに)
千早(だって、優は…)
『あっ、お姉ちゃん、流れ星だよ!』
春香「…ゃん、千早ちゃん!!」
千早「!! ごめんなさい春香、私また…」
春香「もう…叶うといいね、お願い事」
_泣かないよ 届くだろう きれいな空に
神社
ワイワイガヤガヤ ピーヒャラピーヒャラ ワイワイガヤガヤ
タコヤキチョウダイ アイヨーマイドアリ ゴヒャクエンダヨ
春香「千早ちゃん、祭りですよ!祭り!」
千早「さっきも聞いたわよそれ」
春香「さ、楽しもうよ!」
春香「カステラ焼きください!」
アイヨーヨンヒャクエンダ アリガトウ
『お姉ちゃん、カステラ焼き買って!』
千早「っ!」
春香「千早ちゃん、チョコバナナ食べる?」ソッチノジョウチャンモイルカイ?
『お姉ちゃん、口にチョコついてるよ』
千早「っ!!」
春香「射的ですよ!射的!」
ウワーハルカサンニンギョウヲトラレターウマイネー
『ほら、僕こんなに取れたよ!』
千早「~~~っ!!」
………
……
…
_会えなくても記憶をたどって
_同じ幸せを見たいんだ
春香「…千早ちゃん?」
千早「何かしら、春香」
春香「どうしたの…千早ちゃん、全然楽しそうじゃないよ」
千早「そんなこt」
春香「今日の千早ちゃんおかしいよ…ボーッとしてるし、なんか辛そうだし」
千早「…」
春香「お腹でも痛いの?今日はもう帰る?」
……………………
ズルッ バタン!
優『…っ!』
千早『優!大丈夫?』
優『痛い…痛いよ、お姉ちゃん』グス
千早『優…じゃあ、お姉ちゃんが…』
……………………
千早「…ごめんなさい春香。」
春香「千早ちゃん…?」
千早「少し…ひとりにさせて」クルッ
春香「千早ちゃん!?」
タッタッタッタ…
春香「千早ちゃん!…千早ちゃん」
小さな公園
タッタッタッタッ…
千早「はぁ…はぁ…」
千早(…ごめんなさい、春香)
千早(…どうして、こう思ってしまうのだろう)
千早(あの時…声が出なくなって、みんなのおかげで、取り戻すことができて)
千早(やっと…優と向き合えたはずなのに)
千早(どうして…会いたいなんて、考えてしまうの?)
千早(もう、そんな幻想に逃げる必要も、泣く必要もないのに)
_あの香りとともに花火が
_ぱっと開く
ヒュ~~~~ ドォォォォン…
千早「!」
千早(それでも…会いたい)
千早(ごめんなさい優…私は、あなたに、もう一度会いたいの)
_行きたいよ 君のところへ
_小さな手をにぎりしめて
千早(叶うはずもない願いを…私はまた願ってしまったの)
千早(まだ…私はあなたの死と、完全に向き合うことはできない)
_泣きたいよ それはそれは
_きれいな空だった
もう一度優に会わせてください。
_願いを流れ星に
_そっと 唱えてみたけれど
千早(ごめんなさい…こんな願いをする私を)
_泣きたいよ 届かない想いを
千早(許して、ちょうだい)
_この空に…。
タッタッタッタッ…
春香「千早ちゃん!!」
千早「!…春香、どうして」
春香「…捜したよ…やっと見つけた…急に…どうしたの…それに…」ゼェ…ゼェ…
春香「そんな…悲しそうな目をして…」
千早「!」
春香「教えたくないなら…それでいいよ…でも…その悲しそうな目を…やめて…」
千早「…ごめんなさい、急にいなくなったりして」
千早「ちょっと…優のことを思い出してしまったの」
千早「あの時…もう逃げないって決めたのに。」
千早「みんなが助けてくれたのに…私はまだ、優の死を受け入れていないのよ」ポロ…
千早「もう…優はいないのにね。情けないわよね…」ポロ…ポロ…
ギュッ
千早「…春香?」
春香「…千早ちゃんは、ちゃんと優君の死と、向き合っているよ」
春香「あの時千早ちゃんは家に閉じこもっちゃったけど…私、いや私たちのところに帰ってきてくれた」
春香「そして、声を取り戻した。それは、優君と向き合うことができたからだよ」
春香「立派だよ…大切な人の死を受け入れて、今も歌っているんだから…」
千早「だったら…!」
春香「でもね」
春香「優君は、千早ちゃんにとってかけがえのない人でしょ?そんな人の死を、全部一気に受け入れるなんて、」
春香「誰にもできないよ…私だってできっこない」
春香「だから、そんなに深く悩まないでいいと思うよ。」
春香「すぐじゃなくていい…ゆっくり、ゆっくりでいいから。向き合っていけばいいと思うよ」
春香「あはは…私が言っても、説得味がn」ギュッ
春香「…千早ちゃん?」
千早「…今すぐじゃなくても、いいのね?」
春香「うん」
千早「ゆっくりで、いいのね?」ポタ…
春香「…うん!」
千早「じゃあ…今は、泣いていいのね?」ポタ…ポタ…
春香「千早ちゃん…うん。」
春香「泣きたい時は、思いきり泣いていいよ」
千早「ありがとう…」ポタポタ…
千早「うわぁぁぁぁん…」ボロボロ
春香「よしよし…辛かったね…」ポタ…ポタ…
ドォォォォン…ドォォォォン…
結局、夏祭りはまったく楽しめずに終わってしまいました。
更に浴衣だけじゃなく、カステラ焼きまで涙で台無しにしてしまって…春香は笑って許してくれましたが。
その代わり、今度は別の夏祭りに行って、今度こそ楽しむことを約束しました。
優。
私の一番大切な人へ。
あなたの死を受け入れるのは、まだまだ先になってしまいそうです。
でも、大丈夫。
今度は、絶対に逃げないと決めたから。
ゆっくり、受け入れていこうと思います。
次の墓参りには、何かお祭りのお土産を持っていくから、
楽しみにしててね。
最後に。
私を、これからも天国から見守ってください。
そして、聴いてください。
あなたへ、いや、
みんなへ届ける私の歌声を。
~おしまい~
ありがとうございました。
お気づきの方もいると思いますが、
大塚愛さんの「プラネタリウム」が題材となっております。もう10年近くも前の曲なのですね…
最初に書いてなくてすいませんでしたが、物語はアニマス25話のしばらく後となっております。
HTML申請についてはお昼くらいにやろうかと思います。
本当にありがとうございました。
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