超短編
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ほむら「ニトロプラスが二次創作のガイドラインを改定したようね」
さやか「えー!? じゃあもうあたしたちの活躍を二次創作にできないってこと!?」
ほむら「禁止じゃなくて、ニトロプラスが全権利を持っている作品に対しての『規約』つまり約束事よ」
さやか「なんだ~。びっくりさせないでよほむら」
まどか「うーん。でも規約ができたら自由に二次創作活動ができなくなっちゃうんじゃないかなぁ」
さやか「創作活動って誰でも自由にしていいんじゃないの?」
ほむら「『自由』の定義にもよるけど、現状多くの二次創作はグレーゾーンよ。それを今回ガイドラインとして形にしたということね」
さやか「いったいどんな感じなのさ」
ほむら「1:創作性。2:直接販売。3:販売数量の総累計数二百個以内。4:売上予定額が十万円未満。5:その他、絶対的禁止事項に該当しない。の五つよ」
さやか「……えっと。つまりどういうこと?」
ほむら「一つずつ説明していくわね。『創作性が認められる作品』」
まどか「創作性?」
ほむら「『著作権』と言うものを知っているかしら?」
さやか「漫画とか誰かが書いた絵をネットとかにアップしちゃ駄目とかって奴でしょ? でも自分で作ったやつならセーフじゃないの?」
ほむら「間違ってはないけど足りないわね」
まどか「自分で描いた絵もいけないの?」
ほむら「『精巧な模写』つまりは公式と見分けがつかないものも駄目よ。自分なりにアレンジを加えたものにしろということよ」
まどか「そうなんだぁ」
ほむら「あとは、原文や原画を『引用の範囲』を超えて使うのも駄目ね」
まどか「引用?」
ほむら「一部なら認められることも多いけど、原文や原画を全てそのまま載せるのは二次創作じゃないでしょ?」
さやか「そりゃそうか」
ほむら「次に行くわよ。『直接販売すること』」
まどか「直接販売って、自分で売ることだよね? 他にあるの?」
ほむら「『委託販売』と言うものがあるのよ。例えばまどかがエイミーの絵を描くとするでしょう?」
さやか「まどかってば授業中もノートに落書きばっかりしてるもんね」
まどか「ううぅ。ちゃんとノートも取ってるもん……」
ほむら「……いいかしら?」
まどか「あ! 話の腰を折っちゃってごめんねほむらちゃん」
ほむら「いいわよ。自分の絵を多くの人に見てもらいたい、でも売る場所も時間もない。そういうときに貴方たちはどうする?」
さやか「仁美の会社で売ってもらう!」
ほむら「仁美なのはともかく、正解ね。自分の代わりに他の人に販売してもらうのが『委託販売』よ」
まどか「どうしてそれを禁止しちゃうの?」
ほむら「元々二次創作は『個人』が『非営利目的』つまりお金が絡まない『趣味』でするから認められているのよ」
さやか「委託販売は違うの?」
ほむら「『第三者』。つまり、お店にお願いして代理で売ってもらうということは営利活動と見なされても仕方がないわね」
まどか「そうなんだぁ」
ほむら「次に行くわよ? 『販売数量の総累計数が二百個以内』『売上予定額が小規模(十万円未満)』これは似たような意味ね」
さやか「それって少なくない? 本も出してキーホルダーとかも出してってなると絶対に足りないって」
ほむら「安心しなさい。『同一商品』のことよ」
さやか「ああ、そっちか」
まどか「うーん。でも大きなサークルとかだと色々なものを出すだろうし、十万円未満って少ないんじゃないかな?」
ほむら「さっきも言ったけど、二次創作の自由は元々『個人の趣味』を想定しているのよ」
さやか「でもフリーターの人でも月に十五万円近く稼いでない? 十万円じゃ生活できないよ」
ほむら「だから『非営利目的』って言っているでしょう? 利益を出すことが目的なら完全に営利目的じゃない」
さやか「あっそうか」
まどか「でも地方からイベントとかに来る人は辛いんじゃないかな?」
ほむら「例えばだけど、二百冊の本の印刷代四万円。滞在費三万。交通費が札幌から東京往復でも三万円で十万円だし、『個人』ならマイナスにはならないわよ」
さやか「あれ、丁度いい感じ?」
ほむら「これでも高く見積もってるわよ?」
まどか「でも本が売れ残ったら?」
ほむら「販売する以上はそのリスクも当然でしょ? それに自分が好きでしてるのにお金をかけたくないっておかしな話じゃないかしら」
さやか「それもそうか」
ほむら『それに利益を出すのを全部禁止しているわけじゃないの」
まどか「え? 禁止じゃなかったの?」
ほむら「規約を超えた場合は『版権利用料』を払えばいいだけなのよ」
まどか「うー。でもたくさん払わないといけないんでしょ?」
ほむら「『ニトロプラス通常アマチュア版権』を申請すると五百個まで公認で生産できるし、使用料金も五%だからそこまで厳しくはないわよ?」
まどか「思ってたよりはゆるいのかな?」
さやか「てか公認って公式とは違うの?」
ほむら「公式は権利者が作ったもので、。公認は権利者に許可を取って作ったもののことよ」
さやか「なるほど。でもお金払わないといけないのかぁ」
ほむら「それが権利者の『権利』よ? むしろ今までがうやむや過ぎたのよ」
まどか「そうなの?」
ほむら「そうよ。例えは悪いけど、偽ブランドや海賊版DVDのせいで本物が売れなくなることがあるでしょ?」
まどか「うん」
ほむら「仕事にしている人には生活があるし、お給料がでなければ続けていけない。今以上に製作者たちの環境が悪くなれば目指す人が減るし、目指す人が減ればそれだけ質も下がるわね」
さやか「んー。減ったとしてもやってる人がいれば面白いものは無くならないんじゃない?」
ほむら「確かに消えるわけではないわね。でもうちのクラスで一番勉強ができる人とうちのクラスを除いた日本で一番勉強が出来る人はどちらが勉強できると思う?」
さやか「あー。多ければそれだけ凄いものが出てくる確率もあがるのか」
ほむら「あとは個人利用のみで他人に販売や配布目的でないなら、このガイドラインの対象外ね」
さやか「痛車とか自分の部屋に飾る目的で作った人形とか?」
ほむら「ええ。他にも自作絵を無料公開するのも対象外よ。まあ、人目につくものだと内容によっては『名誉毀損罪』とか『わいせつ物の頒布等罪』にはなるけど……」
さやか「ところで五つ目の『絶対的禁止事項』って何?」
ほむら「簡単にいえば『作品のイメージを壊す行為をしないこと』『製作者の社会的信頼を損なわないこと』『公序良俗に反しないこと』『他人の権利を侵害しないこと』『公式と偽らないこと』の五つね」
まどか「公序良俗?」
ほむら「社会的な常識や倫理的なものね。社会的に禁止されている行為を推奨したりするのを禁止しているのよ」
さやか「あー。確かにそんなのを描かれちゃ製作者の評判も作品の評判もダブルで悪くなるしね」
まどか「それにさっきほむらちゃんが例にだした偽ブランドも本物って嘘ついてるし、ちゃんとしたお店で買うはずのものを騙して売ってるからお店が損しちゃうしもんね」
ほむら「そうね。二次創作はあくまで製作者の作ったものを借りているわけだから、きちんと法律や良識を守るべきだわ」
さやか「このガイドラインさえ守ればあたしの活躍もばんばん本にできるってことだね!」
ほむら「『魔法少女まどか☆マギカ』にこのガイドラインはあてはまらないわよ?」
さやか「え」
まどか「え」
マミ「え」
参考
ニトロプラス 著作物転載ガイドライン
http://www.nitroplus.co.jp/license/
なお、このガイドラインは、
・「魔法少女まどか☆マギカ」
・「翠星のガルガンティア」
・『Fate/Zero』
・Xbox 360専用ゲーム『Phantom PHANTOM OF INFERNO』
・PSP専用ゲーム『咎狗の血 True Blood Portable』
・PS2専用ゲーム『咎狗の血 True Blood』
・PS2専用ゲーム『機神咆吼デモンベイン』
については適用されませんのでご注意ください。
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